以下、実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
(画像形成装置)
図1は、本実施形態の画像形成装置の構成図である。この画像形成装置100は、電子写真方式で画像形成を行う。画像形成装置100は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の色毎に、画像を形成する画像形成部1200Y、1200M、1200C、1200Kを備える。画像形成部1200Y、1200M、1200C、1200Kは、中間転写体24上に配列されるタンデム方式である。画像形成部1200Y、1200M、1200C、1200Kに対応して、中間転写体24を挟んで対向する位置に、一次転写ローラ23Y、23M、23C、23Kが設けられる。中間転写体24の近傍には、中間転写体24に形成されたトナー像(画像)を検知する画像検知センサ1004が配置される。画像形成装置100は、二次転写ローラ29及び定着器25を備える。以下の説明において、符号末尾のY、M、C、Kは、それぞれ形成する画像の色を表しており、色を区別する必要がない場合には付加しない。
各色の画像形成部1200は、同様の構成であり、感光ドラム10、帯電器21、露光器22、現像器1、及びドラムクリーナ26を備える。なお、ブラックの画像を形成する画像形成部1200Kの感光ドラム10Kは、フルカラー画像以外にモノクロ画像の形成時にも用いられるために、製品寿命を考慮して、他の色の感光ドラム10Y、10M、10Cよりもドラム径が大きく形成される。
感光ドラム10は、ドラム形状の感光体であり、ドラム軸を中心に回転する回転物である。帯電器21は、感光ドラム10の表面を一様に帯電する。露光器22は、感光ドラム10の帯電された表面に、画像データに基づいて変調されたレーザ光を照射することで静電潜像を形成する。現像器1は、静電潜像を現像することで、感光ドラム10の表面にトナー像を形成する。現像器1Yは、イエローの現像剤により、感光ドラム10Yにイエローのトナー像を形成する。現像器1Mは、マゼンタの現像剤により、感光ドラム10Mにマゼンタのトナー像を形成する。現像器1Cは、シアンの現像剤により、感光ドラム10Cにシアンのトナー像を形成する。現像器1Kは、ブラックの現像剤により、感光ドラム10Kにブラックのトナー像を形成する。
現像器1は、非磁性のトナーと低磁化高抵抗のキャリアとを含む2成分現像剤を収容する。非磁性のトナーは、スチレン系樹脂やポリエステル樹脂等の結着樹脂、カーボンブラックや染料、顔料等の着色剤、ワックス等の離型剤、荷電制御剤等を適当量用いることにより構成される。トナーは、粉砕法や重合法等の常法により製造することができる。
トナーは、現像器1内で低磁化高抵抗キャリアとの間で摩擦帯電される。帯電したトナーは、現像バイアス電位が印加されることで、感光ドラム10上の静電潜像に付着する。これにより静電潜像が現像される。本実施形態では、トナーが負に帯電する。現像器1は、トナー補給槽20からトナーが補給される。
感光ドラム10に形成されたトナー像は、一次転写ローラ23により中間転写体24に転写される。感光ドラム10と中間転写対体24とは、トナー像の転写のためのニップ部を形成する。転写後に感光ドラム10に残留するトナーは、ドラムクリーナ26により除去される。中間転写体24は、無端状のベルト部材で構成される像担持体であり、図1において時計回り回転する。中間転写体24は、回転することで感光ドラム10Y、感光ドラム10M、感光ドラム10C、感光ドラム10Kの順にトナー像が転写される。中間転写体24は、転写されたトナー像を回転により二次転写ローラ29に搬送する。中間転写体24に形成されるトナー像は、二次転写ローラ29によりシート30に転写される。転写後に中間転写体24に残留するトナーは、転写体クリーナ28により除去される。シート30は、トナー像が転写された後に、二次転写ローラ29により定着器25に搬送される。定着器25は、トナー像をシート30に定着させる。このようにして画像形成が終了したシート30は、定着器25から画像形成装置100の外部に排出される。
(現像処理)
図2、図3は、現像器1による現像処理の説明図である。感光ドラム10の表面は、帯電器21により負の電位Vdに帯電される。感光ドラム10の静電潜像が形成された部分の電位(露光部電位)VLは、電位Vdから0[V]側に除電される。電位Vdは例えば−700[V]、露光部電位VLは例えば−200[V]である。
現像器1は、収容している負に帯電されたトナーを含む現像剤を、現像剤担持体8によって感光ドラム10の近傍に搬送する。現像剤担持体8に現像時に印加される現像バイアス電位Vdcは、電位Vdと露光部電位VLとの間の電位であり、例えば−550[V]である。現像剤担持体8上の負に帯電したトナーは、負の現像バイアス電位Vdcによって、感光ドラム10の表面の電位Vdや現像バイアス電位Vdcよりも相対的に正電位に近い露光部電位VLの部分に飛翔する。これにより現像バイアス電位Vdcと露光部電位VLとの差分である現像潜像電位Vcontに応じた量のトナーが、感光ドラム10上に付着することになる。トナーが感光ドラム10に付着する量に応じてトナー像の濃度が決定する。そのために、現像潜像電位Vcontを調整することで、画像濃度を調整することができる。感光ドラム10に飛翔した負極性のトナーは、一次転写ローラ23と中間転写体24との圧力及び電界によって、中間転写体24に転写される。この際、一次転写ローラ23にはトナーと逆極性の一次転写バイアス電位Vtr1が印加される。例えば一次転写バイアス電位Vtr1は+1500[V]である。
(制御系統)
図4は、このような構成の画像形成装置100の制御系統の構成図である。制御系統は、画像形成装置100に内蔵される。画像形成装置100は、制御系統により各部の動作が制御されて画像形成処理を行う。
制御系統は、主にコントローラ1001により画像形成装置100の動作を制御する。コントローラ1001は、CPU(Central Processing unit)1000を主制御部として備える。CPU1000は、不図示のメモリからコンピュータプログラムを読み出して実行することで、各部の動作を制御する。コントローラ1001は、速度設定コントローラ1002、カラーレジストコントローラ1003、作像コントローラ1100Y、1100M、1100C、1100K、及び出力トルク検知部45Y、45M、45C、45K、45Bを備える。コントローラ1001は、画像検知センサ1004、画像形成部1200Y〜1200K、及び速度制御部1300Y〜1300K、1400に接続される。速度制御部1300Y〜1300Kは、ドラム駆動モータ41Y〜41Kに接続される。速度制御部1400は中間転写体駆動モータ42に接続される。
カラーレジストコントローラ1003は、CPU1000の制御に応じて、画像検知センサ1004の動作を制御し、画像検知センサ1004の検知結果に応じて作像コントローラ1100Y〜1100Kの調整を行う。速度設定コントローラ1002は、CPU1000の制御に応じて、各感光ドラム10Y〜10K及び中間転写体24の回転速度を調整する。
作像コントローラ1100Yは、CPU1000の制御に応じて、画像形成部1200Yの動作を制御する。作像コントローラ1100Mは、CPU1000の制御に応じて、画像形成部1200Mの動作を制御する。作像コントローラ1100Cは、CPU1000の制御に応じて、画像形成部1200Cの動作を制御する。作像コントローラ1100Kは、CPU1000の制御に応じて、画像形成部1200Kの動作を制御する。
速度制御部1300Yは、速度設定コントローラ1002の制御に応じて、ドラム駆動モータ41Yの動作を制御する駆動制御部である。ドラム駆動モータ41Yは、感光ドラム10Yを回転駆動する。速度制御部1300Yは、ドラム駆動モータ41Yの負荷トルクを表すPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力トルク検知部45Yに入力する。出力トルク検知部45Yは、PWM信号を速度設定コントローラ1002に送信する。速度制御部1300Yは、速度設定コントローラ1002の制御により、感光ドラム10Yが所定速度(目標速度)で回転するように、ドラム駆動モータ41Yの負荷トルクを制御する。
速度制御部1300Mは、速度設定コントローラ1002の制御に応じて、ドラム駆動モータ41Mの動作を制御する駆動制御部である。ドラム駆動モータ41Mは、感光ドラム10Mを回転駆動する。速度制御部1300Mは、ドラム駆動モータ41Mの負荷トルクを表すPWM信号を出力トルク検知部45Mに入力する。出力トルク検知部45Mは、PWM信号を速度設定コントローラ1002に送信する。速度制御部1300Mは、速度設定コントローラ1002の制御により、感光ドラム10Mが所定速度(目標速度)で回転するように、ドラム駆動モータ41Mの負荷トルクを制御する。
速度制御部1300Cは、速度設定コントローラ1002の制御に応じて、ドラム駆動モータ41Cの動作を制御する駆動制御部である。ドラム駆動モータ41Cは、感光ドラム10Cを回転駆動する。速度制御部1300Cは、ドラム駆動モータ41Cの負荷トルクを表すPWM信号を出力トルク検知部45Cに入力する。出力トルク検知部45Cは、PWM信号を速度設定コントローラ1002に送信する。速度制御部1300Cは、速度設定コントローラ1002の制御により、感光ドラム10Cが所定速度(目標速度)で回転するように、ドラム駆動モータ41Cの負荷トルクを制御する。
速度制御部1300Kは、速度設定コントローラ1002の制御に応じて、ドラム駆動モータ41Kの動作を制御する駆動制御部である。ドラム駆動モータ41Kは、感光ドラム10Kを回転駆動する。速度制御部1300Kは、ドラム駆動モータ41Kの負荷トルクを表すPWM信号を出力トルク検知部45Kに入力する。出力トルク検知部45Kは、PWM信号を速度設定コントローラ1002に送信する。速度制御部1300Kは、速度設定コントローラ1002の制御により、感光ドラム10Kが所定速度(目標速度)で回転するように、ドラム駆動モータ41Kの負荷トルクを制御する。
速度制御部1400は、速度設定コントローラ1002の制御に応じて、中間転写体駆動モータ42の動作を制御する駆動制御部である。中間転写体駆動モータ42は、中間転写体24を回転駆動する。速度制御部1400は、中間転写体駆動モータ42の負荷トルクを表すPWM信号を出力トルク検知部45Bに入力する。出力トルク検知部45Bは、PWM信号を速度設定コントローラ1002に送信する。速度制御部1400は、速度設定コントローラ1002の制御により、中間転写体24が所定速度(目標速度)で回転するように、中間転写体駆動モータ42の負荷トルクを制御する。
(画像形成処理)
2枚のシート30に対して連続して画像形成処理を行う場合、画像形成装置100は、前回転処理、作像処理、紙間処理、後回転処理を行う。
前回転処理は、作像を実行するために、ドラム駆動モータ41Y〜41K、42等の駆動部や、帯電器21等の高電圧部材を安定した動作状態にする処理である。前回転処理では、感光ドラム10及び中間転写体24を駆動する。感光ドラム10及び中間転写体24は、イナーシャが大きいために、駆動開始から目標の回転速度(目標速度)に到達して安定して一定速度で動作するまでに所定時間、例えば500ミリ秒必要である。感光ドラム10及び中間転写体24の駆動の詳細については後述する。感光ドラム10及び中間転写体24が一定速度で安定動作した後に、帯電器21に帯電バイアスを印加する。一次転写バイアス電位Vtr1は、感光ドラム10上の帯電部位が一次転写ローラ23の位置を通過するタイミングに応じて印加される。現像剤担持体8の駆動部及び現像バイアス電位Vdcは、感光ドラム10上に形成された静電潜像が現像剤担持体8に接近する前に所望の回転速度及び所望の電位になっていればよい。ただし、現像剤の劣化を防止するために、現像剤担持体8の駆動部及び現像バイアス電位Vdcは、できるだけ遅いタイミングで所望の回転速度及び所望の電位になることが望ましい。
作像処理は、感光ドラム10上にトナー像を形成し、中間転写体24に転写する処理である。作像処理では、帯電した感光ドラム10の表面に対して、露光器22からレーザ光が露光されて静電潜像が形成される。現像器1は、トナーにより静電潜像を可視化する。一次転写ローラ23は、感光ドラム10に形成されたトナー像を中間転写体24に転写する。
紙間処理は、1枚目と2枚目のシート間にできる微小な隙間において、作像処理を行わず、各駆動部や高電圧部材を稼働する処理である。
後回転処理は、各駆動部や高電圧部材を停止する処理を表す。後回転処理では、露光器22、帯電器21、現像剤担持体8の駆動部、現像バイアス電位Vdc、一次転写バイアス電位Vtr1、帯電バイアスの順で停止した後に、感光ドラム10及び中間転写体24の回転を停止する。
(カラーレジスト調整処理)
画像形成装置100は、中間転写体24上に形成したテスト画像の位置を画像検知センサ1004で検知することで、感光ドラム10へのトナー像の形成位置を補正するカラーレジスト調整処理を行う。カラーレジスト調整処理は、ユーザからの指示、画像形成装置100の設置時、所定枚数のシートへの画像形成後、或いは設定された所定のタイミングで行われる。カラーレジスト調整処理により、画像形成装置100の製造ばらつきによるトナー像の形成位置ずれ及び機内昇温等の環境変化によるトナー像形成位置の経時変化が補正される。
カラーレジスト調整処理の開始が指示された場合、コントローラ1001は、中間転写体24の駆動を開始して、テスト画像の作像処理を開始する。図5はテスト画像の例示図である。各色のテスト画像702Y、702M、702C、702Kは、中間転写体24上の画像検知センサ1004の検知位置に、中間転写体24の回転方向に並んで連続して形成される。画像検知センサ1004は、テスト画像702Y、702M、702C、702Kを中間転写体24の回転に応じて連続して検知する。
カラーレジストコントローラ1003は、画像検知センサ1004がテスト画像702Y、702M、702C、702Kを検知するタイミングにより、各テスト画像702Y、702M、702C、702Kの相対的な位置を検知する。各色のテスト画像702Y、702M、702C、702Kが画像検知センサ1004の検知位置(図5の2点鎖線)を通過する場合、その通過タイミングから各テスト画像702Y、702M、702C、702Kの間隔が算出される。例えば図5のLys、Lmsは、各テスト画像702Y、702Mの主走査方向(中間転写体24の回転方向に直交する方向)の位置を表しており、その大小で各色のテスト画像702Y、702Mの主走査方向の相対的な位置関係が算出される。
また、各テスト画像702Y、702Mの2箇所の通過部の平均値の相対差である、図5のLymからは、各パッチの副走査方向(中間転写体24の回転方向)の相対的な位置関係が算出される。このようにして、各色のテスト画像702Y、702M、702C、702Kの相対的な位置関係が算出される。
図5のような各色のテスト画像702Y、702M、702C、702Kを一組とし、複数組のテスト画像702Y、702M、702C、702Kを形成してその位置関係が算出される。各組のテスト画像には様々な外乱がのり、微小な画像形成位置のバラツキが生じる。複数組のテスト画像により算出される位置関係を平均化することで、テスト画像702Y、702M、702C、702Kの位置関係を正確に検知することができる。
カラーレジストコントローラ1003は、このような一連の処理を、所定数のテスト画像の組から位置関係を取得するまで繰り返し行う。所定数の位置関係の取得が終了すると、カラーレジストコントローラ1003は、各テスト画像702Y、702M、702C、702Kによる各色の画像の相対位置ずれを平均化し、その平均位置ずれを補正するようなカラーレジスト調整値を算出する。カラーレジストコントローラ1003は、算出したカラーレジスト調整値に基づいて、露光器22によるレーザ光の露光タイミングを調整する。
(感光ドラム10及び中間転写体24の回転速度制御)
図6は、感光ドラム10を回転駆動するドラム駆動部の説明図である。ドラム駆動部は、モータギア31、第1速度検知部32、第2速度検知部33、エンコーダ34、及びドラム駆動ギア35を備え、ドラム駆動モータ41により駆動される。ドラム駆動モータ41は、速度制御部1300により回転速度が制御される。
ドラム駆動モータ41の駆動により、駆動力がモータギア31及びドラム駆動ギア35を介して感光ドラム10のドラム軸101に伝達される。これにより感光ドラム10が回転する。エンコーダ34はドラム軸101に設けられる。第1速度検知部32及び第2速度検知部33は、エンコーダ34の回転を監視する。第1速度検知部32及び第2速度検知部33は、感光ドラム10の回転速度をパルスとしてカウントする。第1速度検知部32及び第2速度検知部33は、感光ドラム10の回転速度を第1、第2速度検知信号として、速度制御部1300に入力する。速度制御部1300は、第1、第2速度検知信号に応じて駆動命令であるPWM信号を生成してドラム駆動モータ41に入力することで、感光ドラム10の回転速度が目標速度で一定になるようにフィードバック制御する。
速度制御部1300は、PWM信号を出力トルク検知部45にも入力する。PWM信号は、感光ドラム10を駆動するのに必要な電力を表しており、ドラム駆動モータ41の負荷トルクに関連する信号である。ドラム駆動モータ41の負荷トルクは、感光ドラム10の負荷トルクを表す。また、感光ドラム10の回転速度は、中間転写体24の回転速度よりも速く、例えば0.15%速くなるように目標速度が設定されている。
図7は、中間転写体24を回転駆動する中間転写体駆動部の説明図である。中間転写体駆動部は、モータギア36、第1速度検知部37、第2速度検知部38、エンコーダ39、中間転写体駆動ローラ40、及び駆動ギア400を備え、中間転写体駆動モータ42により駆動される。中間転写体駆動モータ42は、速度制御部1400により回転速度が制御される。
中間転写体駆動モータ42の駆動により、駆動力がモータギア36及び駆動ギア400を介して中間転写体駆動ローラ40に伝達される。中間転写体駆動ローラ40は、回転駆動されることにより、中間転写体24を回転させる回転部材である。エンコーダ39は中間転写体駆動ローラ40に設けられる。第1速度検知部37及び第2速度検知部38は、エンコーダ39の回転を監視する。第1速度検知部37及び第2速度検知部38は、中間転写体駆動ローラ40の回転速度をパルスとしてカウントする。第1速度検知部37及び第2速度検知部38は、中間転写体駆動ローラ40の回転速度を第1、第2速度検知信号として、速度制御部1400に入力する。速度制御部1400は、第1、第2速度検知信号に応じて駆動命令であるPWM信号を生成して中間転写体駆動モータ42に入力することで、中間転写体駆動ローラ40の回転速度が目標速度で一定になるようにフィードバック制御する。
速度制御部1400は、PWM信号を出力トルク検知部45Bにも入力する。PWM信号は、中間転写体24を駆動するのに必要な電力を表しており、中間転写体駆動モータ42の負荷トルクに関連する信号である。中間転写体駆動モータ42の負荷トルクは、中間転写体24の負荷トルクを表す。
(感光ドラム10と中間転写体24との接触部分の摩擦)
図8は、感光ドラム10と中間転写体24との接触部分における、通紙枚数(画像形成したシートの数)に応じた負荷トルクの変化の説明図である。
感光ドラム10と中間転写体24との接触部分の摩擦力は、感光ドラム10にトナー像が形成されているか否かにより異なる。感光ドラム10にトナー像が形成されている場合、感光ドラム10と中間転写体24との接触部分にトナーが介在することで、感光ドラム10と中間転写体24との間に回転速度の速度差が発生しても、摩擦力はほとんど変化しない。感光ドラム10にトナー像が形成されていない場合、感光ドラム10と中間転写体24との接触部分にトナーが介在しないために、感光ドラム10と中間転写体24との間に回転速度の速度差が発生すると、摩擦力に大きく影響する。速度差が大きくなる程、摩擦力が大きくなる。
図8に示すように、感光ドラム10にトナー像が形成されている場合、経年変化、例えば通紙枚数(画像形成したシートの数)に応じて感光ドラム10と中間転写体24と接触部分の摩擦力の変化が少なく、負荷トルクの変動が少ない。そのためにPWM信号のデューティー比の変化が少ない。感光ドラム10にトナー像が形成されていない場合、経年変化に応じて感光ドラム10と中間転写体24と接触部分の摩擦力が大きくなり、負荷トルクが増大する。負荷トルクの増大によりPWM信号のデューティー比が低下する。負荷トルクの増大は、最終的に中間転写体24が引っ張られることで、負荷トルクが生じなくなることによる制御発散を起こす。感光ドラム10は、負荷トルクの増大により負荷重になる。
現像器1は、内部にトナーを少量しか収容していない場合であっても、現像時には現像剤担持体8の回転に応じてトナーを感光ドラム10に供給する。そこでトナーの消費量を必要最低限に抑えるために、画像形成に必要な最小限の時間しか現像剤担持体8を回転させないことが要求される。具体的には、現像剤担持体8は、感光ドラム10及び中間転写体24が回転した後に、画像形成直前のタイミングで回転を開始し、画像形成終了後に速やかに回転を停止する。そのために現像剤担持体8は、感光ドラム10にトナー像が形成されていない状態で駆動されることが多くなる。現像剤担持体8の回転時に中間転写体24の制御発散や感光ドラム10の負荷重が発生する可能性がある。
感光ドラム10と中間転写体24との回転速度の速度差が大きくなることで、接触部分の摩擦力が増加する。物体同士の摩擦力には、静止摩擦力及び動摩擦力がある。速度差に関連する摩擦力は動摩擦力である。動摩擦力は、物体間の速度差がある程度大きい場合、速度差に影響されず一定である。しかし感光ドラム10と中間転写体24との速度差は、最大でも通常は1%程度である。そのために感光ドラム10と中間転写体24との動摩擦力は、速度差の影響を受けて変化する。図9は、このような動摩擦力と速度差の関係を表す図である。画像形成装置100のように感光ドラム10と中間転写体24との回転速度の速度差が小さ装置では、速度差が大きくなることで動摩擦力が上昇する。
(感光ドラム10及び中間転写体24の速度調整処理)
図10は、感光ドラム10の回転速度の調整処理を表すフローチャートである。
コントローラ1001は、画像形成処理の開始の指示を取得するまで待機する(S11)。画像形成処理の開始の指示を取得したコントローラ1001は、画像形成処理を開始する。コントローラ1001は、作像処理を開始する(S12)。これにより画像形成装置100の各部が駆動、例えば感光ドラム10及び中間転写体24が回転を開始する。このとき、現像剤担持体8も回転を開始しており、現像バイアス電位Vdcに関係なく少量のトナーが感光ドラム10に供給される。トナーが感光ドラム10に付着して中間転写体24に到達することで、感光ドラム10と中間転写体24との接触部分における摩擦力が低下する。このように現像剤担持体8が駆動している間は感光ドラム10と中間転写体24との摩擦力が低下することで、負荷トルクの影響が抑制され、感光ドラム10及び中間転写体24が安定して駆動制御される。
作像処理の終了、或いは紙間処理により、コントローラ1001は、現像器1の動作を停止する(S13)。これにより現像剤担持体8の回転も停止する。コントローラ1001は、現像剤担持体8が完全に停止して、供給されたすべてのトナーが感光ドラム10を経由して中間転写体24に到達するまで待機する(S14)。待機時間は、感光ドラム10のドラム径、現像剤担持体8の位置、及び感光ドラム10の回転速度に基づいて決まる。また、すべての画像形成部1200Y〜1200Kにおいて中間転写体24までトナーが到達する時間は、最上流の画像形成部1200Yのトナーが最下流の画像形成部1200Kの位置を通過するまでの時間である。例えば本実施形態では、約1.5秒である。
コントローラ1001は、出力トルク検知部45Bにより中間転写体24の負荷トルクを表すPWM信号を取得する(S15)。PWM信号の取得処理の詳細については後述する。コントローラ1001は、取得したPWM信号を所定のメモリに保管する(S16)。保管したPWM信号はバックアップ値として用いられる。メモリは、最大で30個のPWM信号を保管する。コントローラ1001は、31個目以降のPWM信号を取得した場合メモリを随時最新の値で更新する。なお、PWM信号の保管数は、負荷状態を判断するのに十分な量であれば30個である必要は無い。
コントローラ1001は、速度設定コントローラ1002により、メモリに保管したPWM信号のデューティー比の平均値を算出して閾値と比較する(S17)。コントローラ1001は、平均値が閾値より大きくなるまでS12〜S16の処理を繰り返し実行する(S17:N)。これにより、感光ドラム10及び中間転写体24からトナーがなくなるタイミング毎に、負荷トルクの状態が監視される。
平均値が閾値よりも大きくなった場合(S17:Y)、コントローラ1001は、中間転写体24の負荷状態が制御発散のおそれがあると判断する。この場合、コントローラ1001は、速度設定コントローラ1002により感光ドラム10の回転速度の目標速度を変更する(S18)。本実施形態では、カラー(有彩色)の感光ドラム10Y、10M、10Cとブラック(無彩色)の感光ドラム10Kとでドラム径が異なる。ドラム径が異なるために、目標速度を変更することで静電潜像形成時の書き出し位置にずれが生じる。そのために速度設定コントローラ1002は、ドラム径の差を考慮して、感光ドラム10Y、10M、10Cと感光ドラム10Kとで異なる目標速度を設定することで書き出し位置を調整する(S19)。コントローラ1001は、目標速度の変更に並行して、上述のカラーレジスト調整を別途実行してもよい。
以上の説明では感光ドラム10の回転速度の目標速度を変更しているが、中間転写体24の回転速度の目標速度を変更するようにしてもよい。中間転写体24の回転速度を変更する場合、画像領域の拡大及び縮小が発生する。そのために、画像領域の拡大及び縮小が許容できない場合には、例えば画像パターンの調整が必要になる。
S15の中間転写体24のPWM信号の取得処理について説明する。本実施形態では、速度制御部1400が、第1検知速度及び第2検知速度を約300ミリ秒の間に8ミリ秒間隔で36回サンプリングして平均化することで、中間転写体24のPWM信号を生成する。中間転写体24を駆動する上で中間転写体駆動部の負荷変動等の影響により、中間転写体24のPWM信号が変化する。速度制御部1400は、PWM信号をFFT(Fast Fourier Transform)解析することで、このような影響の度合いがわかるため、最も影響している値をキャンセルすることで精度よくPWM信号を生成することができる。コントローラ1001は、このようにして生成されたPWM信号を出力トルク検知部45により取得する。
感光ドラム10のPWM信号を取得する際も、速度制御部1300が同様の処理によりPWM信号を生成する。上記のサンプリング時間は、感光ドラム10が約300ミリ秒で1回転するために設定されている。サンプリング時間は、ダウンタイムの低減を優先する場合やPWM信号の取得回数を多くする場合に、短く設定することも可能である。負荷トルクは、感光ドラム10及び中間転写体24の少なくとも一方を取得すればよい。
中間転写体24の駆動時に負荷トルクを発生する主たる要因には、感光ドラム10による摩擦力及び転写体クリーナ28による摩擦力がある。本実施形態では、中間転写体24にトナーが介在せず、現像器1が停止している状態で、中間転写体24の負荷トルク(PWM信号)が測定される。
転写体クリーナ28に除去したトナーが包含されている場合と、包含されていない場合とで、中間転写体24の負荷トルクが変化する。中間転写体24の回転速度を安定させるためには、感光ドラム10を中間転写体24よりも速く回転させる。この場合、感光ドラム10と中間転写体24との摩擦力によって、感光ドラム10が中間転写体24を引っ張り、中間転写体24の負荷トルクを軽くすることがある。そのために転写体クリーナ28の負荷がより小さいときの中間転写体24の負荷状態を取得することが望ましい。
転写体クリーナ28にトナーが包含されている場合、中間転写体24と転写体クリーナ28との摩擦力が低減されるために、中間転写体24の負荷トルクが小さくなる。そのために、コントローラ1001は、中間転写体24にトナーが介在しない状態且つ転写体クリーナ28にトナーが包含されている状態で、中間転写体24の負荷トルク(PWM信号)を取得する。本実施形態ではこれら2つの条件がそろう時間が約2秒存在する。サンプリング時間が約300ミリ秒であるために、PWM信号の取得には十分な時間である。
本実施形態では感光ドラム10が中間転写体24よりも速く回転するように設定されているが、逆に、中間転写体24が感光ドラム10よりも速く回転するように設定されている場合であっても同様である。ただし、転写体クリーナ28がトナーを包含していないタイミングで中間転写体24の負荷を取得することが望ましい。
以上のような回転速度の調整処理により感光ドラム10の目標速度を変更した場合の中間転写体24の負荷トルクの変化を説明する。図11は、この場合の感光ドラム10と中間転写体24との接触部分における、通紙枚数に応じた負荷トルクの変化の説明図である。感光ドラム10と中間転写体24との接触部分の摩擦力が大きい場合や、経年変化に応じて摩擦力が増加していく場合であっても、中間転写体24は、制御発散することなく安定して駆動可能である。
なお、本実施形態では、コントローラ1001が負荷トルクをドラム駆動モータ41、中間転写体駆動モータ42を制御するPWM信号として取得する。これに代えてコントローラ1001は、同じく負荷トルクの特性と概略比例関係にあるドラム駆動モータ41、中間転写体駆動モータ42への入力電流により、負荷トルクを取得してもよい。
(感光ドラム10の負荷トルク取得)
感光ドラム10の負荷トルクが大きくなる場合、感光ドラム10の制御発散が発生する可能性がある。この場合、コントローラ1001は、中間転写体24の負荷トルク及び感光ドラム10の負荷トルクも取得する。
感光ドラム10の負荷トルクを取得する際には、対象とする画像形成部1200の感光ドラム10にトナーが存在しない状態であれば、他の画像形成部1200に関係無く、負荷トルクを取得することが可能である。コントローラ1001は、対象とする画像形成部1200の感光ドラム10にトナーが存在しない状態になるのに必要な時間で取得可能であるために、取得タイミングを多くすることができる。
感光ドラム10の駆動時に負荷トルクを発生する主たる要因には、中間転写体24による摩擦力及びドラムクリーナ26による摩擦力がある。本実施形態では、現像器1が停止して感光ドラム10にトナーが介在しない状態で、感光ドラム10の負荷トルク(PWM信号)が測定される。
ドラムクリーナ26に除去したトナーが包含されている場合と、包含されていない場合とで、負荷トルクが変化する。感光ドラム10の回転速度を安定させるためには、感光ドラム10を中間転写体24よりも速く回転させる。この場合、ドラムクリーナ26による負荷トルク(摩擦力)がより大きいときの感光ドラム10の負荷トルクを取得することが望ましい。
ドラムクリーナ26にトナーが包含されている場合、感光ドラム10とドラムクリーナ26との摩擦力が低減されるために、感光ドラム10の負荷トルクが小さくなる。そのために、コントローラ1001は、感光ドラム10にトナーが介在しない状態且つドラムクリーナ26にトナーが包含されていない状態で、感光ドラム10の負荷トルク(PWM信号)を取得する。中間転写体24の負荷トルクも同時に取得する場合、コントローラ1001は、転写体クリーナ28にトナーが包含されなくなる直前で、該負荷トルクを取得する。
本実施形態では感光ドラム10が中間転写体24よりも速く回転するように設定されているが、逆に、中間転写体24が感光ドラム10よりも速く回転するように設定されている場合であっても同様である。ただし、ドラムクリーナ26がトナーを包含するタイミングで中間転写体24の負荷トルクを取得することが望ましい。
このように感光ドラム10と中間転写体24との接触部分の摩擦力が大きい場合や、経年変化に応じて摩擦力が増加していく場合であっても、感光ドラム10は、制御発散することなく安定して駆動可能である。
(画像形成モード)
画像形成装置100は、カラー画像(多色画像)を形成する画像形成モードと、ブラック単色で画像(単色画像)を形成する画像形成モードとが設定可能である。オフィス向けの高速カラー画像形成装置は、ブラック単色で画像を形成する画像形成モードで使用されることが多いために、ブラック画像を形成するための構成(画像形成部1200K)の耐久性が高くなっている。この場合、画像形成装置100には、カラー画像を形成するための構成(画像形成部1200Y、1200M、1200C)を劣化させないための構成が設けられる。コントローラ1001(CPU1000)は、画像形成装置100を印刷ジョブ等により指示される画像形成モードで設定して、画像形成部1200を制御するモード制御手段である。
図12は、画像形成モードに応じた画像形成装置100の動作の説明図である。ここでは、画像形成モードに応じた感光ドラム10と中間転写体24との関係を表す。図12(a)は、カラー画像を形成する画像形成モードのときの感光ドラム10と中間転写体24との関係を表す。図12(b)は、ブラック単色で画像を形成する画像形成モードのときの感光ドラム10と中間転写体24との関係を表す。
一次転写ローラ23Yと中間転写体駆動ローラ40との間には上流張架ローラ51が設けられる。一次転写ローラ23Cと一次転写ローラ23Kとの間には、下流張架ローラ52が設けられる。一次転写ローラ23Y、23M、23C、上流張架ローラ51、及び下流張架ローラ52は、感光ドラム10Y、10M、10Cから離間する方向に移動可能である。コントローラ1001は、各画像形成モードに応じて一次転写ローラ23Y、23M、23C、上流張架ローラ51、及び下流張架ローラ52を移動させる。
カラー画像(多色画像)を形成する画像形成モードのときは、一次転写ローラ23Y、23M、23C、及び上流張架ローラ51が感光ドラム10Y、10M、10C側に移動する。これにより感光ドラム10Y、10M、10C、10Kが中間転写体24に接触する。ブラック単色の画像を形成する画像形成モードのときは、一次転写ローラ23Y、23M、23C、及び上流張架ローラ51が感光ドラム10Y、10M、10Cから離間し、下流張架ローラ52が感光ドラム10側に移動する。これにより感光ドラム10Kが中間転写体24に接触し、感光ドラム10Y、10M、10Cが中間転写体24から離間する。
ブラック単色の画像(単色画像)を形成する画像形成モードの場合(図12(b))、画像を形成するシートの種類によっては、感光ドラム10Kと一次転写ローラ23Kとの挟持力では、二次転写部ショックの影響が画像に表れることがある。コントローラ1001は、例えば、シートの坪量が150[g/m2]未満ならば、図12(b)に示すように、感光ドラム10Y、10M、10Cを中間転写体24から離間させた状態でブラック単色の画像を形成する。シートの坪量が150[g/m2]以上であれば、コントローラ1001は、画像形成モードにかかわらず、図12(a)に示すように、感光ドラム10Y、10M、10Cと一次転写ローラ23Y、23M、23Cとに中間転写体24を挟持させる。このとき、感光ドラム10Y、10M、10Cは空回転する。つまり、現像器1Y、1M、1Cの現像剤担持体8の回転は停止される。
そのため、感光ドラム10Y、10M、10Cにトナーが供給されず、感光ドラム10Y、10M、10Cと中間転写体24との間の摩擦力が大きくなる。ドラムクリーナ26Y、26M、26Cがトナーを包含しないために、ドラムクリーナ26Y、26M、26Cと感光ドラム10Y、10M、10Cとの間の摩擦力も大きくなる。そのために、感光ドラム10Y、10M、10C及び中間転写体24のいずれでも制御発散が発生する可能性が出てくる。
これを回避するために、図13に示すフローチャートのように、コントローラ1001は、負荷トルクが制御発散の発生する可能性のある値にならないように、中間転写体24のPWM信号をモニタする。コントローラ1001は、負荷トルクが発散の可能性がある閾値を超えた場合、感光ドラム10Y、10M、10Cの回転速度の目標速度を変更する。なお、コントローラ1001は、予め感光ドラム10Y、10M、10Cにトナーが存在しないときの負荷特性を取得しておき、これに基づいてブラックの単色画像を形成する画像形成モードでの感光ドラム10の回転速度の目標速度を決定する。このとき、ブラックの画像を形成するための感光ドラム10Kの回転速度は変更しない。このように特定の感光ドラム10Kのみが画像形成を行う場合には、他の感光ドラム10Y、10M、10Cの回転速度を変更することで、他の感光ドラム10Y、10M、10C及び中間転写体24の制御発散を防止する。
画像形成装置100が感光ドラム10Y、10M、10C、10Kを中間転写体24ベルトに当接させた状態でブラック単色の画像を形成する画像形成モードについて図13のフローチャートに基づき説明する。CPU1000は、ブラックの単色画像を形成する場合、メモリ(不図示)に格納されたプログラムを読み出し、図13のフローチャートの処理を実行する。
先ず、CPU1000は、画像形成装置100の画像形成モードをブラックの単色画像形成モードに設定する(S21)。S21の処理において、CPU1000は、速度制御部1300Y、1300M、1300C、及び1300Kに、感光ドラム10Y、10M、10C、10Kの目標速度を設定し、速度制御部1400に中間転写体24の目標速度を設定する。そして、CPU1000は、画像形成部1200Kに画像データに基づいてブラックの単色画像を形成させる(S22)。画像データに基づくブラックの画像を形成し終えた後、CPU1000は、画像形成部1200Kに現像剤担持体8の回転を停止させ(S23)、所定時間待機した後(S24)、中間転写体駆動モータ42のPWM信号値を取得する(S25)。S25の処理において、CPU1000は、出力トルク検知部45Bから転送されたPWM信号を取得する。出力トルク検知部45Bは、中間転写体駆動モータ42の負荷トルクを表すPWM信号を、中間転写体駆動モータ42のPWM信号値としてCPU1000に入力する。このPWM信号値はメモリに保管される(S26)。
次いで、CPU1000は、PWM信号値が閾値より大きいか否かを判定する(S27)。ここで、感光ドラム10Y、10M、10C、10Kの回転速度によって中間転写体24の周速度が変化すると、中間転写体駆動モータ42の負荷トルクが除々に低下する。すなわち、出力トルク検知部45Bにより検知されるPWM信号値が低下する。S27の処理において、CPU1000はPWM信号値と閾値とを比較し、PWM信号値が閾値より小さければ、中間転写体駆動モータ42の負荷トルクが除々に低下していると判定する。
S27の処理においてPWM信号値が閾値より小さければ、CPU1000は、中間転写体24の負荷を減少させるために、感光ドラム10Y、10M、10Cの回転速度を低下させる(S28)。CPU1000は、S28の処理において、速度制御部1300Y、1300M、1300Cに、感光ドラム10Y、10M、10Cの回転速度が所定値だけ低下するように、目標速度の設定を変更する。そして、CPU1000は、カラー画像の画像データが転送されたか否かを判定する(S29)。カラー画像の画像データが入力されていなければ、CPU1000は、S22の処理へ移行する。
また、S27の処理において、PWM信号値が閾値以上ならば、CPU1000は、感光ドラム10Y、10M、10Cの回転速度を変更せずに、S29の処理へ移行する。S29の処理において、カラー画像の画像データが入力された場合、CPU1000は、感光ドラム10Y、10M、10Cの目標速度の変更が実施されたか否かを判定する。つまり、S28の処理において、感光ドラム10Y、10M、10Cの回転速度の目標速度が変更されたか否かを判定する。目標速度が変更されていない場合、カラー画像を形成するため、CPU1000は、画像形成装置100の画像形成モードをカラー画像形成モードに設定する。
一方、S28の処理において、感光ドラム10Y、10M、10Cの回転速度の目標速度が変更されていた場合、CPU1000は、書き出し位置の調整を実行する(S31)。なお、カラー画像を形成する画像形成モードに移行する際にコントローラ1001は、感光ドラム10Y、10M、10Cの回転速度の目標速度はそのままにしておくことが望ましい。それは、カラー画像の画像形成モードになっても、ドラムとベルトの摩擦力が上がった状態で維持され続けているためである。この場合、感光ドラム10Y、10M、10Cの回転速度と感光ドラム10Kの回転速度にズレが生じる。これを補正するためにコントローラ1001は、上述してカラーレジスト調整を行い、露光器22による感光ドラム10への静電潜像の書き出し位置を変更する。これにより回転速度のズレによるトナー像の形成位置のズレが補正される。
このように画像形成装置100は、画像形成モードに応じた処理により感光ドラム10の回転速度を変更する場合であっても、適宜最適な目標速度の設定が可能である。感光ドラム10と中間転写体24との間の摩擦力によらず、感光ドラム10及び中間転写体24が制御発散することなく、安定して駆動される。