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JP6812988B2 - 1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法に関する。
最近、冷凍機用冷媒、空調機器用冷媒、発電システム(廃熱回収発電等)用作動媒体、潜熱輸送装置(ヒートパイプ等)用作動媒体、二次冷却媒体のような熱サイクルシステム用の作動媒体として、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、すなわち炭素−炭素二重結合を有するヒドロフルオロカーボン(HFC)に期待が集まっている。HFOは、炭素−炭素二重結合が大気中のOHラジカルによって分解されやすいことから、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が少ない作動媒体として注目されている。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、飽和のHFCをHFCといい、HFOとは区別して用いる。
オゾン層への影響および地球温暖化への影響が少ないうえに、燃焼性が低い作動媒体として、燃焼性を抑えるハロゲンの割合が高く、かつ大気中のOHラジカルによって分解されやすい炭素−炭素二重結合を有する、ヒドロクロロフルオロプロペン等のヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)や、クロロフルオロオレフィン(CFO)がある。そして、ヒドロクロロフルオロプロペンとして、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CClH=CF−CF、HCFO−1224yd)が知られている。
本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。また、略称として、ハイフン(−)より後ろの数字およびアルファベット小文字部分だけ(例えば、「HCFO−1224yd」においては「1224yd」)を用いることがある。
また、1224ydは、二重結合を有する炭素に結合された置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体が存在する。本明細書中で、Z体とE体が存在する化合物について、特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合には、Z体もしくはE体、またはZ体とE体の任意の割合の混合物を示す。化合物名や化合物の略称の後ろに(Z)または(E)を付した場合には、それぞれの化合物のZ体またはE体であることを示す。
1224ydを製造する方法として、特許文献1には、1,2−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(CClH−CFCl−CF、HCFC−234bb)を、酸洗浄のような前処理を施し、かつアルカリ金属塩を担持させたカーボン(活性炭)を触媒として、200〜500℃の温度で脱塩化水素反応させる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された方法において、234bbの転化率を上げるには、触媒であるカーボンの前処理(酸洗浄)を必要とし、処理の方法により触媒の性能が大きく変わるため、前処理を含めた触媒の調整に手間がかかった。また、特許文献1の方法では、触媒の寿命が短く、反応開始から120時間足らずで原料転化率が大きく低下しており、触媒の再生は可能であるが、長時間の安定的な反応は難しかった。
また、特許文献1の方法では、234bbに不活性ガス(Nガス)を混合した原料ガスを使用しており、不活性ガス分のコストがかかるばかりでなく、生成物からの不活性ガスの分離を必要とし、回収のための設備等に費用がかかった。
さらに、特許文献1の方法では、200〜500℃の温度で脱塩化水素反応を行わせており、234bbの転化率や1224ydの選択率を上げるには、400℃付近の温度で反応させる必要があった。そのため、エネルギーコストがかかるという問題があった。
このように、特許文献1に記載の方法は、経済的に有利な製造方法とはいえなかった。
特表2014−513673号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、1,2−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(HCFC−234bb)を原料として効率的に1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1224yd)を得ることができる経済的に有利な製造方法の提供を目的とする。
本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。また、略称として、ハイフン(−)より後ろの数字およびアルファベット小文字部分だけ(例えば、「HCFO−1224yd」においては「1224yd」)を用いることがある。
また、1224ydは、二重結合を有する炭素に結合された置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体が存在する。本明細書中で、Z体とE体が存在する化合物について、特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合には、Z体もしくはE体、またはZ体とE体の任意の割合の混合物を示す。化合物名や化合物の略称の後ろに(Z)または(E)を付した場合には、それぞれの化合物のZ体またはE体であることを示す。
本発明は、以下の[1]〜[12]の構成を有する1224ydの製造方法を提供する。
[1]234bbを、塩基の存在下に液相中で脱塩化水素反応させる1224ydの製造方法。
[2]234bbを、前記塩基を溶解する溶媒、および、前記塩基の存在下に液相中で脱塩化水素反応させる、[1]の製造方法。
[3]前記塩基は、金属水酸化物、金属酸化物、および金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基である、[1]または[2]の製造方法。
[4]前記塩基を、前記234bbの1モルに対して0.2〜2.5モルの割合で用いる、[1]〜[3]の製造方法。
[5]前記脱塩化水素反応の反応温度は40〜100℃である、[1]〜[4]の製造方法。
[6]前記溶媒が、水である、[2]〜[5]の製造方法。
[7]前記塩基の量が、前記溶媒と前記塩基の総質量に対して、10〜50質量%である[2]〜[6]の製造方法。
[8]前記脱塩化水素反応を相間移動触媒の存在下に行う、[1]〜[7]の製造方法。
[9]前記相間移動触媒は第4級アンモニウム塩である、[8]の製造方法。
[10]前記第4級アンモニウム塩は、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、およびメチルトリ−n−オクチルアンモニウムクロリドからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[9]の製造方法。
[11]2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1234yf)と塩素を反応させて、234bbを得る工程を有する、[1]〜[10]の製造方法。
[12]前記1234yfと塩素との反応を、400〜750nmの波長域の光の照射下で行わせる、[11]の製造方法。
本発明によれば、234bbを原料とし、高転化率かつ高選択率で1224ydを製造することができる。そして、本発明によれば、触媒の前処理が不要であるうえに、触媒の寿命が長いので、少ない工程数で脱塩化水素反応を安定的に維持できる。また、比較的低温で脱塩化水素反応を行わせることができ、エネルギーコストが低いうえに、原料の供給に不活性ガスを使用する必要がないので、生成物からの不活性ガスの分離や回収の工程や設備を必要とせず、経済的に有利である。
本発明の実施形態の一例を示すフロー図である。
本発明の1224ydの製造方法は、塩基の存在下に液相中で234bbを脱塩化水素反応させる方法である。脱塩化水素反応は、234bbを液相中で、前記塩基を溶解する溶媒と塩基の存在下に、溶媒に溶解した塩基と接触させて行うことが好ましい。また、反応系中に、原料や生成物が均一に分布している状態で反応させることが好ましい。
<234bbの脱塩化水素反応>
本発明の製造方法に係る234bbの脱塩化水素反応は、下式(1)で示される。
Figure 0006812988
本発明の製造方法で得られる1224ydは、燃焼性を抑えるハロゲンの割合が高いうえに、大気中のOHラジカルによって分解され易い炭素―炭素二重結合を分子内に有しており、燃焼性が低く、オゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が少ない。したがって、熱サイクルシステム用作動媒体としての有用性が高い。
本発明の製造方法で得られる1224ydは、Z体のみであってもE体のみであってもZ体とE体の混合物であってもよい。Z体である1224yd(Z)は、E体である1224yd(E)よりも化学的安定性が高く、熱サイクルシステム用作動媒体としてより好ましい。そして、本発明の製造方法によれば、1224yd(Z)を必須とする1224ydを効率的に製造できる。さらに、本発明の製造方法によれば、1224yd(E)に比べて1224yd(Z)の含有割合が高い1224ydを得ることができる。
<234bbの製造>
本発明の製造方法に用いる234bbは、含フッ素化合物の製造原料または中間体として知られる公知の化合物であり、公知の方法により製造できる。例えば、下式(2)に示すように、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)と塩素を反応させることにより、234bbを製造できる。
Figure 0006812988
式(2)で示される反応(以下、反応(2)という。)の出発物質である1234yfは、地球温暖化係数が極めて低いため、近年、熱サイクルシステム用作動媒体としての需要が高まりつつある。1234yfは、公知の製造方法により製造することができる。1234yfの製造方法としては、例えば、特許第5713016号明細書に記載の方法が挙げられる。
反応(2)は、反応速度を上げる観点から、光照射下で行うことが好ましい。照射に用いる光は、1234yfの過塩素化体である1,1,2−トリクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(HCFC−224ba)、および1,1,1,2−テトラクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(CFC−214bb)の副生を抑制し、目的生成物である234bbの選択率を高くできることから、可視光線が好ましい。可視光線とは、短波長限界が360〜400nm、長波長限界が760〜830nmである光である。照射に用いる光の波長は、400〜750nmが好ましいく、420〜730nmがより好ましい。なお、照射に用いる光には、400nm未満の波長の光や750nmを超える波長の光が一部含まれていてもよい。
例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ラインプ、メタルハライドランプ等を用いて、400nm未満の波長をもつ高エネルギー線を反応(2)に用いた場合には、反応が過剰に活性化されやすく、反応の制御が困難になりやすい。このため、400nm以上の波長をもつ光を用いることが好ましい。反応(2)に用いる光は、400nm未満の波長の光を除いたものであってもよい。
なお、転化率は、反応に使用した原料の全量に対する、反応で消費された原料の量の割合(モル%)をいい、選択率は、生成物の全量に対する、目的生成物の生成した量の割合(モル%)をいう。
反応(2)に用いる光が750nm以下の波長をもつ光であれば、反応が活性化され、効率的に反応が進行しやすい。750nmを超える波長の光は、目的生成物である234bbの選択率には影響を与えにくいため、反応に使用する光に750nmを超える波長の光が含まれていてもよい。
反応(2)において、原料に400〜750nmの波長の光の照射を効率よく行える光源としては、例えば、蛍光灯、白熱灯またはLEDライトなどが挙げられる。蛍光灯や白熱灯から得られる光に含まれる波長400nm未満の光は、フィルタなどを用いて除いてもよい。
反応(2)の原料に光を照射する方法としては、反応時間を通して、原料と溶媒および生成物を含む反応液全体に均一に光を照射できる方法であれば、特に制限されない。例えば、ジャケットを装着した光源を、反応液中に挿入し、反応液内部から反応液中の原料に対して光を照射する方法等が挙げられる。該ジャケットは、少なくとも上記反応に有用な波長の光を透過し、反応液に含まれる成分に対して不活性であり、またこれらの成分により腐食されにくい材料であることが好ましい。また、光源が熱を発生する場合には、反応温度によっては、上記ジャケットは冷却手段を有することが好ましい。
反応(2)において、1234yfと塩素は、それぞれ別々に反応器に供給されてもよく、予め混合された状態で供給されてもよい。また、1234yfと塩素はそれぞれガス状態で供給されてもよく、液状態で供給されてもよい。
供給される1234yfと塩素の比率は、反応を活性化する観点、および副生成物を抑制し234bbの選択率を上げる観点から、塩素の供給モル量と1234yfの供給モル量の比率(以下、「塩素/1234yf」とも示す。)として、0.5〜2.0が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。
反応(2)は、通常、原料を溶媒に溶解した混合液を入れた反応器内で行われる。反応温度は、反応速度を上げる観点から、0〜100℃が好ましく、5〜60℃がより好ましい。反応器内の圧力は、効率良く製造できるため、0〜1MPaが好ましく、0.05〜0.5MPaがより好ましい。生産性を向上させるため、加圧条件で反応を行うことが好ましい。本明細書において、圧力は、特に記載しない限りゲージ圧のことである。
反応器の材質としては、反応液に含まれる成分に対して不活性で、これらの成分により腐食されにくい材質であれば特に制限されない。反応器の材質としては、例えば、鉄、ニッケル、これらを主成分とする合金、ガラス、樹脂等を挙げることができる。耐圧性と耐腐食性の観点から、反応器の内面が樹脂でライニングされた上記合金製の反応容器が好ましい。
反応(2)は、半連続式、バッチ式、連続式のいずれの方法で行ってもよい。反応時間は、各方式により一般的な方法で適宜調整することができる。反応器への原料の供給は、成分毎に各所定量を供給する方法でもよいし、各成分を各所定量含む混合物として供給する方法でもよい。原料の供給は、必要に応じて窒素等の不活性ガスで希釈して行ってもよい。
半連続式の場合において、原料は反応中に原料の各成分として、または原料の各成分を混合した混合物として、一定の速度で添加して供給される。原料の添加は、断続的であってもよいし、連続的であってもよい。
バッチ式の場合は、原料は反応前に反応器に溶媒などとともに仕込まれ、反応に供される。
連続式の場合は、原料は、例えば、反応中に溶媒を仕込んだ反応器の下部から連続的に供給される。連続式の場合は、反応終了後の生成物は反応器上部から、例えば、オーバーフロー等により連続的に取り出す。
反応(2)に際しては、半連続式、バッチ式、連続式のいずれの方法においても、通常の方法、装置等を用いて、撹拌することが好ましい。
上記のようにして得られる生成物は、目的生成物である234bb、未反応原料、溶媒、副生成物等を含有する。副生成物としては、1,1,2−トリクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(224ba)、1,1,1,2−テトラクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(214bb)等が挙げられる。
得られる生成物から目的生成物である234bbを分離する方法としては、例えば、アルカリで洗浄することにより塩素を除去した後、蒸留によって溶媒および副生成物を除去する方法などの通常の分離方法が挙げられる。また、蒸留により234bbの精製を行うことができ、蒸留を繰り返し行うことで所望の純度の234bbを得ることができる。
<1224ydの製造>
本発明の1224ydの製造方法は、塩基の存在下に液相中で234bbを、前記反応式(1)にしたがって脱塩化水素反応させることを特徴とする。
本発明の製造方法において、式(1)で示される反応(以下、反応(1)という。)の出発物質である234bbとしては、前述の方法で得られた234bbを用いることができる。なお、234bbの入手方法はこれに限定されない。
反応(1)の出発物質は、234bbの他に不純物を含まないものが概念上は好ましいが、経済性の観点からは、不純物を含んでもよい。不純物は、234bbの脱塩化水素反応を阻害しないような化合物が好ましい。不純物としては、1234yfの塩素化物で234bb以外のものが挙げられ、224ba、214bb等が例示できる。
不純物を含む場合の、不純物と234bbの総量に対する234bbの割合は、85質量%以上100質量%未満が好ましく、90質量%以上99質量%以下がより好ましい。
反応(1)の出発物質は、234bbを主成分とし、224baと214bbから選ばれる少なくとも1種の化合物を含むものが好ましい。不純物である224baおよび214bbの総量の割合は、効率よく1224ydを製造するために、不純物と234bbの総量に対して、0モル%超15モル%以下が好ましく、0.1モル%以上7モル%以下がより好ましい。
反応(1)における塩基としては、反応(1)の脱塩化水素反応が実行可能な塩基であれば、特に限定されない。塩基は、金属水酸化物、金属酸化物および金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
金属水酸化物としては、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物などが挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが好ましく、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。塩基は、1種であっても2種以上の併用であってもよい。
金属酸化物としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物などが挙げられる。アルカリ金属酸化物としては、酸化ナトリウムが好ましく、アルカリ土類金属酸化物としては、酸化カルシウムが好ましい。
また金属酸化物は、1種の金属の酸化物であってもよく、2種以上の金属の複合酸化物であってもよい。
金属炭酸塩としては、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。アルカリ土類金属炭酸塩としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウムの炭酸塩が挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウムの炭酸塩が挙げられる。
上記塩基としては、金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの併用がより好ましい。
234bbに対する塩基の割合は、234bbの転化率および1224ydの選択率を向上させる観点から、234bbの1モルに対して0.2〜2.5モルが好ましく、0.5〜2.0モルがより好ましい。
上記塩基は反応(1)が行われる液相中に存在する。反応(1)は塩基と溶媒の存在下の液相中で行われることが好ましい。溶媒としては、上記塩基の所定量を溶解できかつ上記脱塩化水素反応に寄与しない溶媒であれば特に制限されない。上記塩基に対する溶解性が高く、脱塩化水素反応に対して不活性であるため、上記塩基を溶解する溶媒としては水が好ましい。すなわち、反応(1)において塩基は、好ましくは塩基の水溶液として用いられる。塩基の水溶液としては、アルカリ金属水酸化物の水溶液が好ましく、水酸化ナトリウムの水溶液または水酸化カリウムの水溶液がより好ましい。
溶媒と塩基の総質量に対する塩基の質量の割合は、10〜50質量%となる量が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。塩基の量が上記下限値以上であれば、十分な反応速度が得られやすく、2層分離による目的物の分離を行いやすい。上記上限値以下であれば、塩基が十分に溶解されやすく、金属塩が析出しにくいため、工業的なプロセスにおいて有利になりやすい。
本発明の製造方法においては、図1に示すように、塩基を溶媒に溶解させた溶液、234bb、および必要に応じて用いる他の反応に関与する化合物(符号2で示す。)を、反応器1に供給し、反応を実施する。生成した1224ydを含む組成物は、反応器1から回収するが、必要に応じて、冷却器3を経由して冷却する。さらに、必要に応じて脱水塔4に通して水分を取り除いたものを、生成物5として回収するのが好ましい。
反応器1としては、液相反応での脱塩化水素反応に用いる公知の反応器が好ましい。反応器1の材質としては、鉄、ニッケル、これらを主成分とする合金、ガラス等が挙げられる。必要に応じて、樹脂ライニング、ガラスライニング等のライニング処理を反応器1に行ってもよい。また、反応系において原料や生成物、塩基、溶媒等が均一に分布している状態で反応が行われるように、反応器1に撹拌手段を設け、撹拌しながら反応を行うことが好ましい。
反応温度は、反応器1内の温度であり、40〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。反応温度を上記範囲にすることにより、反応速度および反応率が向上し、副生成物を抑制しやすい。
反応中の反応器内の圧力は、0〜10MPaが好ましく、0.05〜5MPaがより好ましく、0.15〜1MPaがさらに好ましい。反応器内の圧力は、反応温度における234bbの蒸気圧以上であることが好ましい。
反応(1)は、半連続式、バッチ式、連続式のいずれの方法でも実行可能である。なお、反応時間は各方式により一般的な方法で適宜調整することができる。反応時間は、原料である234bbの転化率および1224ydの選択率を制御しやすいため、バッチ式であれば1〜50時間が好ましく、連続式であれば1〜3000秒間が好ましい。
反応(1)は、反応に影響を与えない範囲で、相間移動触媒の存在下に行ってもよい。反応に影響を与えない範囲で、テトラグライム等の水溶性有機溶媒を用いてもよい。反応速度を上げるために、相間移動触媒を用いることが好ましい。
相間移動触媒としては、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩、スルホニウム塩、クラウンエーテルなどが挙げられ、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩、スルホニウム塩が好ましく、第4級アンモニウム塩がより好ましい。
第4級アンモニウム塩としては、下式(i)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006812988
ただし、式(i)中、R11〜R14は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基、または反応に不活性な官能基が結合した1価の炭化水素基を表し、Yは、陰イオンを表す。
11〜R14が炭化水素基である場合、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。R11〜R14の炭素原子数は、4〜100が好ましく、6〜30がより好ましい。R11〜R14は、それぞれ同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。
11〜R14が、反応に不活性な官能基が結合した1価の炭化水素基である場合の官能基は、反応条件に応じて適宜選択されるが、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ニトリル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシル基などが挙げられる。
上記式(i)における第4級アンモニウム(R11121314)としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、メチルトリ−n−オクチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、セチルベンジルジメチルアンモニウム、セチルピリジニウム、n−ドデシルピリジニウム、フェニルトリメチルアンモニウム、フェニルトリエチルアンモニウム、N−ベンジルピコリニウム、ペンタメトニウム、ヘキサメトニウムなどが挙げられる。
上記式(i)におけるYとしては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられ、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオンが好ましく、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化物イオンがより好ましく、塩素イオンまたは臭素イオンがさらに好ましい。
上記式(i)で表される化合物としては、汎用性および反応性の観点から、下記第4級アンモニウム(R11121314)と、下記Yとの組合せが好ましい。
第4級アンモニウム(R11121314):テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、メチルトリ−n−オクチルアンモニウム。
:フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化物イオン。
第4級アンモニウム塩としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(TBAC)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムクロリド(TOMAC)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
第4級ホスホニウム塩としては、下式(ii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006812988
ただし、式(ii)中、R21〜R24は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基を表し、Yは、陰イオンを表す。R21〜R24は、それぞれ同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。
21〜R24における炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。
上記式(ii)における第4級ホスホニウム(R21222324)としては、テトラエチルホスホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウム、エチルトリ−n−オクチルホスホニウム、セチルトリエチルホスホニウム、セチルトリ−n−ブチルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウム、n−アミルトリフェニルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムなどが挙げられる。
としては、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられ、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンが好ましい。
第4級アルソニウム塩としては、下式(iii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006812988
ただし、式(iii)中、R31〜R34は、式(ii)におけるR21〜R24と同様であり、好ましい態様も同様である。Yは陰イオンを表す。Yとしては、ハロゲンイオンが好ましく、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンがより好ましい。
上記式(iii)で表わされる第4級アルソニウム塩としては、トリフェニルメチルアルソニウムフロライド、テトラフェニルアルソニウムフロライド、トリフェニルメチルアルソニウムクロライド、テトラフェニルアルソニウムクロライド、テトラフェニルアルソニウムブロマイドなどが挙げられる。
第4級アルソニウム塩としては、トリフェニルメチルアルソニウムクロライドが好ましい。
スルホニウム塩としては、下式(iv)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006812988
ただし、式(iv)中、R41〜R43およびYは、式(iii)におけるR31〜R34およびYと同様であり、好ましい態様も同様である。
上記式(iv)で表されるスルホニウム塩としては、ジ−n−ブチルメチルスルホニウムアイオダイド、トリ−n−ブチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジヘキシルメチルスルホニウムアイオダイド、ジシクロヘキシルメチルスルホニウムアイオダイド、ドデシルメチルエチルスルホニウムクロライド、トリス(ジエチルアミノ)スルホニウムジフルオロトリメチルシリケートなどが挙げられる。
スルホニウム塩としては、ドデシルメチルエチルスルホニウムクロライドが好ましい。
クラウンエーテルとしては、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6などが挙げられる。
相間移動触媒の使用量は、234bbの100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5.0質量部がより好ましく、0.1〜1.0質量部がさらに好ましい。相間移動触媒の量が上記範囲内であると、十分な反応速度が得られやすい。上記範囲外であると反応促進効果は得らにくく、コスト面で不利になりやすい。相間移動触媒を使用する場合、予め相間移動触媒を234bbに混合しておき、234bbとの混合液の状態で反応器に供給することが好ましい。
相間移動触媒を使用する場合の、反応工程、反応装置、および反応器の材質は、相間移動触媒を使用しない場合と同様であってよい。また、塩基の濃度、使用量、および反応温度などの反応条件も、相間移動触媒を使用しない場合と同様であってよい。
反応(1)は、例えば、234bb、塩基、必要に応じて溶媒、さらに必要に応じて相間移動触媒などの反応に関与する化合物を反応器に供給し、これらが均一になるように撹拌し、所望の温度条件、圧力条件にすることで進行させうる。
塩基を溶媒に溶解した溶液として、例えば、アルカリ金属水酸化物の水溶液等を用いた場合、反応系は水相と有機相に分離する。そのような場合は、相間移動触媒の代わりに、例えば、テトラグライム等の水溶性有機溶媒を用いて、塩基を含む水相と有機相とを相溶化することにより、反応(1)を行うことができる。水溶性有機溶媒を用いる場合は、反応系中の反応に関与する化合物を均一な状態にするために、撹拌を十分に行うのが好ましい。
反応終了後の反応液を放置して、有機相と水相に分離する場合には、有機相中には、未反応の234bb、目的生成物の1224yd以外に、副生成物が含まれ得る。副生成物としては、1224ydがさらに脱塩化水素した1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロピンが挙げられる。また、原料として、不純物が含まれる234bbを使用した場合は、副生成物として、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214ya)等が含まれる場合がある。
反応(1)で得られる生成物には、目的生成物である1224ydの他に、未反応の234bb、前記副生成物等が含まれる。目的生成物である1224yd以外は、蒸留して分離する等の方法により、容易に除去することができる。
本発明の製造方法によれば、工業的に実施可能な経済的に有利な方法で、234bbから、地球温暖化係数の小さい熱サイクルシステム用作動媒体として有用な1224ydを、高い転化率および選択率で製造することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。製造例1〜6は234bbの製造例である。また、例1〜4は1224ydの製造における実施例である。
[分析条件]
以下の製造例および例において、得られた生成物の組成分析は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて行った。カラムは、DB−1301(商品名、アジレント・テクノロジー株式会社製、長さ60m×内径250μm×厚み1μm)を用いた。得られた生成物の分析結果を表1または表2に示す。
(製造例1)
公知の方法で得られた1234yfを、塩素化して234bbを製造した。
まず、光源からの光を透過する石英管およびジャケットを取り付けたステンンレス製反応器(内容積2.3L)を、0℃に冷却した。この反応器内に、溶媒として1395gの四塩化炭素(CCl)を入れた後、蛍光灯(東芝社製、商品名:ネオコンパクト、電球型:EFP12EL、出力12W)からの可視光を照射しながら、1234yfを毎時245gの流量で反応器内に供給し、塩素ガスを毎時152gの流量で、反応器内に供給した。反応の進行に伴って反応熱が生じるとともに、反応器内の温度は7.6℃に上昇し、反応器内の圧力は0.08MPaに上昇した。上記流量で1234yfおよび塩素ガスをそれぞれ供給しながら1時間反応を続け、1234yfの245gおよび塩素ガスの152gが供給されたことを確認した後、1234yfおよび塩素の供給を停止し、反応器内の圧力が常圧となるまで、光照射を継続した。
反応終了後、得られた反応液を20質量%の炭酸水素カリウム水溶液で中和し、次いで分液操作を行った。静置後、分離した下層から1734gの生成物(1)を回収した。生成物(1)を通常の操作で蒸留して、純度99.8%の234bbを得た。
(製造例2)
製造例1で使用した反応器に、タイマーによって自動的に開閉可能な電磁弁を接続した。製造例1で得られた234bb(純度99.8g)の1800gを溶媒として用いた。
製造例1の蛍光灯で可視光を照射しながら、製造例1と同様に1234yfと塩素ガスを供給した。1234yfは、供給開始後数分から10数分間かけて段階的に流量が毎時1070gとなるように調整し、毎時1070gとなってからは、この流量で供給を継続した。塩素ガスについても1234yfと同様にして流量が毎時666gとなるように段階的に調整し、毎時666gとなってからはこの流量で供給を継続した。反応器内の液量が一定となるように、生成物を連続的に抜き出しながら、8時間反応させた。1234yfの全供給量は8327gであり、塩素ガスの全供給量は5028gであった。また、反応器内の温度は36〜39℃、反応器内の圧力は0.18MPaであった。
反応器から抜き出した生成物を製造例1と同様に中和して、15048gの生成物(2)を回収した。
(製造例3)
溶媒として、製造例2で得られた生成物(2)の1917gを用いた。製造例2と同様の方法で流量を調整した1234yfと塩素ガスを反応器内に8.5時間供給した。この時の1234yfの供給速度は、毎時1221gであり、塩素ガスの供給速度は毎時760gであった。1234yfの全供給量は9991gであり、塩素ガスの全供給量は6154gであった。反応器内の温度は49〜51℃、反応器内の圧力は0.24MPaであった。製造例2と同様にして17884gの生成物(3)を得た。
(製造例4)
溶媒として、製造例3で得られた生成物(3)の2468gを用いた。製造例2と同様の方法で流量を調整した1234yfと塩素ガスを反応器内に6時間供給した。この時の1234yfの供給速度は、毎時1068gであり、塩素ガスの供給速度は毎時660gであった。1234yfと塩素ガスの供給量を前記の通りとする以外は、製造例2と同様の操作を行った。1234yfの全供給量は6669gであり、塩素ガスの全供給量は4209gであった。反応器内の温度は53〜57℃、反応器内の圧力は0.24MPaであった。製造例2と同様の操作を行い、13098gの生成物(4)を得た。
(製造例5)
反応器の内容積を4.5Lとし、使用する光源をLEDランプ(三菱電機社製、電球型:LHT15D−G−E39、出力15W)とし、溶媒として、製造例4で得られた生成物(4)の3000gを用いた。製造例2と同様の方法で流量を調整した1234yfと塩素ガスを反応器内に6時間供給した。この時の1234yfの供給速度は、毎時1069gであり、塩素ガスの供給速度は毎時666gであった。1234yfと塩素ガスの供給速度を前記の通りとする以外は、製造例2と同様の操作を行った。1234yfの全供給量は6420gであり、塩素ガスの全供給量は3990gであった。反応器内の温度は14〜15℃、反応器内の圧力は0.06MPaであった。製造例2と同様の操作を行い、10110gの生成物(5)を得た。
(製造例6)
製造例1で用いたものと同じ反応器に、CClの1323gを入れた後、高圧水銀灯(英光社製、出力400W)からの、波長250〜320nmおよび波長360nmに特徴的な線スペクトルを持つ紫外光を照射しながら、1234yfを毎時245gの流量で反応器内に供給し、塩素ガスを毎時152gの流量で反応器内に供給した。反応の進行に伴い、反応熱が生じるとともに、反応器内の温度は9.8℃に上昇し、反応器内の圧力は0.14MPaに上昇した。上記流量で1234yfおよび塩素ガスをそれぞれ供給しながら1時間反応を続け、1234yfの全供給量が245gおよび塩素ガスの全供給量が152gとなったことを確認した後、供給を停止し、反応器内の圧力が常圧となるまで、紫外光の照射を継続した。
反応終了後、製造例1と同様の操作により、1412gの生成物(6)を得た。
製造例1〜6において得られた組成物(1)〜(6)のGC分析結果を、表1に示す。
表1中、1234yfの転化率は、反応器に供給した1234yfの全量に対する、反応で消費された1234yfの量の割合(単位:モル%)である。また、各化合物の選択率は、全ての生成物の合計量に対する各化合物の割合(単位:モル%)である。
なお、反応様式が連続式である、製造例2〜5における1234yfの転化率および各化合物の選択率は、反応開始から5時間後以降の抜出液のGC分析結果から算出した。また、製造例2〜5において、234bbの選択率は、生成物中の234bbから、溶媒として初期に供給した234bbを除いた量を、234bbの生成量(モル)として求めた。
Figure 0006812988
表1からわかるように、400〜750nmの波長の光の照射を効率よく行える光源を用いた製造例1〜5によれば、400nm未満の波長の紫外光を照射した製造例6に比べて、副生成物の生成を抑制し、高選択率で目的とする234bbを得ることができる。
(例1)
ノリタケ社製樹脂スタティックミキサーを設置した、外径1/2インチ、長さ30m(内容積1L)のフッ素系樹脂製のチューブリアクターを反応器として用いた。恒温槽内に反応器を設置し、反応温度を60℃とした。20質量%のKOH水溶液を毎時4550gの流量で反応器に供給し、1質量%となるようにテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)を混合した234bb混合液を毎時1500gの流量で反応器に供給した。次いで、反応器の出口に設置した圧力調節弁で、反応器内の圧力を0.2MPaとなるように調整し、8時間連続的に反応させた。例1で用いた234bbは、製造例1で蒸留して得られた234bb(純度99.8%)である。
反応器から得られた生成物を、60℃に保温した常圧のジャケット付きタンクに抜き出した。抜き出した生成物をガス化させて気相部から取り出し、−20℃に冷却したジャケット付きタンクに回収した。回収された生成物を60℃でガス化させてサンプリングし、GC分析を行った。
(例2)
反応器内の温度を、60℃から70℃へ変更したこと以外は、例1と同様にして、反応させた。反応器から得られた生成物を、例1と同様の操作により回収した後、GC分析を行った。
(例3)
反応器内の温度を70℃として、20質量%のKOH水溶液の反応器への供給速度を毎時6304gとし、TBABを1質量%となるように混合した234bbの反応器への供給速度を毎時2160gとした以外は実施例1と同様にして反応させた。得られた生成物を、例1と同様の操作により回収した後、GC分析を行った。
例1〜3の反応条件、得られた組成物のGC分析結果を表2に示す。表中、234bbの転化率は、反応器に供給した234bbの全量に対する、反応で消費された234bbの量の割合(モル%)である。また、各化合物の選択率は、転化した234bbに対する、生じた各成分の割合(モル%)であり、40℃で気化させたガスのGC分析結果から算出している。
Figure 0006812988
(例4)
製造例3で得られた生成物(3)を例1の234bbの代わりに使用し、例1と同様に反応させた。得られた生成物を、例1と同様にして回収し、GC分析を行った。
例4の反応条件、得られた組成物のGC分析結果を表3に示す。
表3においては、234bbに由来する生成物として1224ydの選択率を算出し、224baに由来する生成物として1214yaの選択率を算出した。
Figure 0006812988
表2、3からわかるように、例1〜4によれば、副生成物の生成を抑制し、高選択率、高収率で目的とする1224ydを製造できる。
また、1224yd(E)に比べて、化学的安定性が高く熱サイクルシステム用作動媒体として有用な1224yd(Z)の選択率が高いので、本発明の1224ydの製造方法は、熱サイクルシステム用作動媒体の製造方法として、工業的に有利である。
1…反応器、2…溶媒に溶解させた塩基の溶液、234bbおよび必要に応じて供給する他の反応に関与する化合物、3…冷却器、4…脱水塔、5…生成物。

Claims (11)

  1. 1,2−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパンを、塩基の存在下に液相中で50〜100℃の反応温度で脱塩化水素反応させる1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
  2. 1,2−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパンを、前記塩基を溶解する溶媒、および、前記塩基の存在下に液相中で脱塩化水素反応させる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記溶媒が、水である請求項に記載の製造方法。
  4. 前記塩基の量が、前記溶媒と前記塩基の総質量に対して、10〜50質量%である請求項2または3に記載の製造方法。
  5. 前記塩基は、金属水酸化物、金属酸化物、および金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記塩基を、前記1,2−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパンの1モルに対して0.2〜2.5モルの割合で用いる、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記脱塩化水素反応を相間移動触媒の存在下に行う、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記相間移動触媒は第4級アンモニウム塩である、請求項に記載の製造方法。
  9. 前記第4級アンモニウム塩は、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、およびメチルトリ−n−オクチルアンモニウムクロリドからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の製造方法。
  10. 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと塩素を反応させて、1,2−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパンを得る工程を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと塩素との反応を、400〜750nmの波長域の光の照射下で行わせる、請求項10に記載の製造方法。
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