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JP6783220B2 - サポート材回収剤 - Google Patents

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JP6783220B2 JP2017232644A JP2017232644A JP6783220B2 JP 6783220 B2 JP6783220 B2 JP 6783220B2 JP 2017232644 A JP2017232644 A JP 2017232644A JP 2017232644 A JP2017232644 A JP 2017232644A JP 6783220 B2 JP6783220 B2 JP 6783220B2
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Description

本発明は、熱溶融積層方式の3Dプリンタで三次元物体を製造する際に生じる廃液に溶解及び/又は分散しているサポート材を回収するサポート材回収剤に関する。
3Dプリンタは、ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)の一種で、3D CAD、3D CGなどの3Dデータを元に三次元物体を造形する立体プリンタである。3Dプリンタの方式としては、熱溶融積層方式(以下、FDM方式とも称する)、インクジェット紫外線硬化方式、光造形方式、レーザー焼結方式等が知られている。これらのうち、FDM方式は重合体フィラメントを加熱/溶融し押し出して積層させて三次元物体を得る造形方式であり、他の方式とは異なり材料の反応を用いない。そのためFDM方式の3Dプリンタは小型かつ低価格であり、後処理が少ない装置として近年普及が進んでいる。当該FDM方式で、より複雑な形状の三次元物体を造形するためには、三次元物体を構成する造形材、及び造形材の三次元構造を支持するためのサポート材を積層して三次元物体前駆体を得て、その後、三次元物体前駆体からサポート材を除去することで目的とする三次元物体を得ることができる。
三次元物体前駆体からサポート材を除去する手法として、サポート材に(メタ)アクリル酸系共重合体を用い、三次元物体前駆体をアルカリを含有する三次元物体前駆体処理剤に浸漬することによりサポート材を除去する手法が挙げられる(例えば、下記特許文献1及び2)。当該手法は(メタ)アクリル酸系共重合体中のカルボン酸がアルカリにより中和され、アルカリ水溶液に溶解することを利用している。
特表2008−507619号公報 特表2014−83744号公報
しかし、アルカリを含有する三次元物体前駆体処理剤でメタクリル酸共重合体を含むサポート材を除去する際に生じる廃液は、日本及び欧州等では産業廃棄物として処理する必要があり、廃棄に手間及びコストがかかる。米国等では当該廃液を中和及び/又は希釈した後に排水することができるがメタクリル酸共重合体は溶解等したままであり、環境への負荷が大きい。また、三次元物体前駆体処理剤が強アルカリ性を示す場合、当該三次元物体前駆体処理剤は人体に対する危険性が高く、取扱に注意を要する。
本発明は、前記実情に鑑み、FDM方式の三次元物体の製造過程で生じる廃液からサポート材を安全に回収することができ、環境への負荷を低減することができるサポート材回収剤を提供する。
本発明のサポート材回収剤は、FDM方式による三次元物体の製造過程で、三次元物体及びサポート材を含む三次元物体前駆体を三次元物体前駆体処理剤に接触させて三次元物体前駆体から前記サポート材を除去する際に生じる、前記サポート材が溶解及び/又は分散した廃液から前記サポート材を回収するサポート材回収剤であって、ヒドロキシ基を有する有機酸又はリン酸のいずれか1種以上を含有する。
本発明によれば、FDM方式の三次元物体の製造過程で生じる廃液からサポート材を安全に回収することができ、環境への負荷を低減することができるサポート材回収剤を提供することができる。
実施例の評価結果を示すグラフ
<サポート材回収剤>
本実施形態のサポート材回収剤は、FDM方式による三次元物体の製造過程で、三次元物体及びサポート材を含む三次元物体前駆体を三次元物体前駆体処理剤に接触させて三次元物体前駆体から前記サポート材を除去する際に生じる、前記サポート材が溶解及び/又は分散した廃液から前記サポート材を回収するサポート材回収剤であって、ヒドロキシ基を有する有機酸又はリン酸のいずれか1種以上を含有する。本実施形態のサポート材回収剤によれば、FDM方式の三次元物体の製造過程で生じる廃液からサポート材を安全に回収することができ、環境への負荷を低減することができる。
〔ヒドロキシ基を有する有機酸〕
前記有機酸はヒドロキシ基を有していれば特に限定はなく用いることができる。前記有機酸の例としては、カルボン酸やヒドロキシスルホン酸が例示できる。カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、安息香酸、グリコール酸、及び乳酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸等の多価カルボン酸が例示できる。前記有機酸が有するヒドロキシ基は、カルボキシ基の一部であるヒドロキシ基であってもよく、カルボキシ基の一部であるヒドロキシ基以外のヒドロキシ基であってもよい。これらのカルボン酸の中でも臭気が弱く、使いやすいことから多価カルボン酸や、カルボキシ基の一部であるヒドロキシ基以外のヒドロキシ基を有するカルボン酸が好ましい。カルボキシ基のヒドロキシ基とは別にヒドロキシ基を有するカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸等が例示できる。また、多価カルボン酸の中でもジカルボン酸は臭気が弱いことから使いやすく、好ましい。
また、ヒドロキシスルホン酸としてはヒドロキシメタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸等のヒドロキシスルホン酸が例示できる。
前記サポート材回収剤は、前記有機酸以外にリン酸を単独、又は有機酸と併用して含有することができる。
前記有機酸及びリン酸の水における酸解離定数(pKa)は、前記サポート材回収剤を添加した廃液のpH調整の観点から、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。前記有機酸及びリン酸の水における酸解離定数(pKa)は、廃液からサポート材を速やかに析出させる観点から、7以下が好ましく、6以下がより好ましい。前記有機酸及びリン酸の水における酸解離定数(pKa)は、前記サポート材回収剤を添加した廃液のpH調整の観点、及び廃液からサポート材を速やかに析出させる観点から、2〜7が好ましく、3〜6がより好ましい。
ヒドロキシ基を有する有機酸を使用する場合には、粉粒体として用いたり、水性溶媒との併用による流動体として用いることができる。
〔その他成分〕
前記サポート材回収剤は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、水性溶媒、増粘剤、防腐剤、防錆剤、顔料、着色剤等が含まれていてもよい。
[水性溶媒]
前記水性溶媒としては、水、エタノールやイソプロピルアルコール等の低級アルコールや、それらの混合溶媒等が例示できるが、水を含有するものが好ましく、水の含有量が水性溶媒中80質量%以上であることが好ましい。
前記水性溶媒の含有量は、前記サポート材回収剤の残部(合計を100質量%とする量)であってよい。前記サポート材回収剤中の前記水性溶媒の含有量は、酸の溶解性に応じて適宜選択できる。取扱いの利便性や凝集物の分散の観点から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。前記サポート材回収剤中の前記水性溶媒の含有量は、凝集作用の効率化や容器容量の観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。前記サポート材回収剤中の前記水性溶媒の含有量は、取扱いの利便性の観点、及び容器容量の観点から、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
〔廃液〕
前記廃液は、FDM方式による三次元物体の製造過程で、三次元物体及びサポート材を含む三次元物体前駆体を前記処理剤に接触させて三次元物体前駆体から前記サポート材を除去する際に生じる、前記サポート材が溶解及び/又は分散しているものである。
[サポート材]
前記廃液に溶解及び/又は分散しているサポート材は、従来のFDM方式の三次元物体の製造方法で用いられるものであれば特に限定なく用いることが出来る。当該サポート材の例としては、親水性モノマー及び疎水性モノマーをモノマー単位として有する(メタ)アクリル酸系共重合体を含むサポート材が挙げられる。
[(メタ)アクリル酸系共重合体]
(親水性モノマー)
前記親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、α−ヒドロキシアクリル酸等が挙げられる。これらの中でも、サポート材の除去性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。
(疎水性モノマー)
前記疎水性モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル,メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸系共重合体は、前記親水性モノマー及び前記疎水性モノマー以外のモノマーユニットを含有していてもよい。前記親水性モノマー及び前記疎水性モノマー以外のモノマーユニットとしてはスチレンモノマーユニットが挙げられる。
[三次元物体前駆体処理剤]
前記三次元物体前駆体処理剤は、アルカリ性を示し、三次元物体及びサポート材を含む三次元物体前駆体から前記サポート材を除去できるものであれば特に限定されない。
前記三次元物体前駆体処理剤は、アルカリ剤を含有する水溶液である。前記アルカリ剤は、サポート材の溶解性の観点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、並びにアミン化合物からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
〔アミン化合物〕
前記アミン化合物は、1級アミン化合物、2級アミン化合物、3級アミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である。
前記1級アミン化合物は、1以上の1級アミノ基を有する化合物を意味する。前記1級アミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノn−プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノn−ブチルアミン、モノイソブチルアミン、モノsec−ブチルアミン、モノt−ブチルアミン、モノn−ペンチルアミン、及びイソペンチルアミン等のアルキルアミン;、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、及びモノブタノールアミン等のアルカノールアミン等が例示できるが、これらの中でもモノアルカノールアミンが好ましく、モノエタノールアミンがより好ましいが、サポート材の除去速度の点からモノプロパノールアミン、及びモノイソプロパノールアミンから選ばれる1種以上が更に好ましい。前記1級アミン化合物は、分子内に1級アミノ基以外のアミノ基を有していても構わない。
前記2級アミン化合物としては、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジイソプロピルアミン、ジエタノールアミン、ブチルエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルヘキシルアミン、ジペンチルアミン、ピペリジン、モルホリン、及び2,6−ジメチルモルホリン等の2級モノアミン化合物、ピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン等の2級ジアミン化合物が例示できる。これらの中でも、サポート剤除去の観点から、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ブチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、及びヒドロキシエチルピペラジンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。
前記3級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリエタノールアミン、ドロキシエチルピペラジン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、N−tert−ブチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール(商品名KL−26;花王株式会社製)、エチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール(商品名KL−25;花王株式会社製)、5−(ジメチルアミノ)−2−ペンタノール、5−(ジメチルアミノ)−1−ペンタノール、3−(ジエチルアミノ)−1−プロパノール、n−メチルモルホリン、n−エチルモルホリン、及び4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン等の3級モノアミン化合物、テトラエチルヘキサンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン(商品名KL−1;花王株式会社製)、テトラメチルプロパンジアミン(商品名KL−2;花王株式会社製)、(2−ジメチルアミノエチル)メチルエタノールアミン(商品名KL−28;花王株式会社製)、テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、ジピロリジノエタン、スパルテイン、及びトリメチルアミノプロピルエタノールアミン等の3級ジアミン化合物が例示できる。これらの中でも、サポート剤除去の観点から、テトラメチルヘキサンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、(2−ジメチルアミノエチル)メチルエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、N−tert−ブチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、エチルジエタノールアミン、及び6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノールがより好ましい。
なお、前記ジアミン化合物が有する2つのアミノ基は、少なくともその一方が2級又は3級であれば好ましい。つまり、例えば前記ジアミン化合物が分子内に1級アミンを有していても構わない。ただし、1級アミンの存在割合は(メタ)アクリル酸系共重合体の膨潤化を抑制する観点から少ない方が好ましい。具体的にはアミン化合物中、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がよりこのましく、10質量%以下が更に好ましい。
前記有機アミン化合物の中でも、除去速度の観点から、2級モノアミン化合物、及び3級モノアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。
前記有機アミン化合物の中でも、除去速度の観点から、アルコール性水酸基を有するアミン化合物が好ましい。
前記有機アミン化合物の中でも、除去速度の観点から、前記アミン化合物中の炭化水素部の炭化水素数は4以上が好ましく、6以上がより好ましい。
前記三次元物体前駆体処理剤のpHは、サポート材の溶解性の観点から10以上が好ましく、11以上がより好ましい。また、前記アルカリ水溶液のpHは、造形材へのダメージ抑制又は低減の観点から14以下が好ましく、13以下がより好ましい。これらの観点を総合すると、前記アルカリ水溶液のpHは、10〜14が好ましく、10〜13がより好ましく、11〜13が更に好ましい。
前記三次元物体前駆体処理剤は、サポート材の溶解性を損なわない範囲で、更に他の成分を含んでいても良い。当該他の成分としては、アルキレングリコールアルキルエーテル、R−OCHCH(OH)CHOH(Rはアルキル基、アルケニル基、ベンジル基、フェニル基、フルフリル基、フルフリルメチル基から選ばれる基)で示されるグリセリルエーテル等の1種又は2種以上の水溶性溶剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤の1種又は2種以上の界面活性剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性ポリマーを含んでもよい。
<サポート材の回収方法>
本実施形態のサポート材の回収方法は、FDM方式による三次元物体の製造過程で、三次元物体及びサポート材を含む三次元物体前駆体を三次元物体前駆体処理剤に接触させて三次元物体前駆体から前記サポート材を除去する際に生じる、前記サポート材が溶解及び/又は分散した前記廃液から前記サポート材を回収するサポート材の回収方法であって、前記廃液に、前記サポート材回収剤を添加する添加工程を有する。本実施形態のサポート材の回収方法によれば、FDM方式の三次元物体の製造過程で生じる廃液からサポート材を安全に回収することができ、環境への負荷を低減することができる。
〔添加工程〕
前記添加工程は、前記廃液に前記サポート材回収剤を添加する工程である。
前記添加工程において、前記サポート材回収剤は、サポート材を析出させる観点から、前記廃液のpHが6以下になるまで添加するのが好ましく、5以下になるまで添加するのがより好ましい。なお、サポート材を析出させる観点からは、当該pHに下限はないが、pHが低いと設備等が腐食するおそれがあるため、2以上が好ましい。
前記添加工程において、前記サポート材回収剤を添加する手法は特に限定されず、公知の手法を用いることができるが、前記サポート材を析出させる観点から、前記廃液を撹拌しながら前記サポート材回収剤を添加するのが好ましい。また、前記添加工程は、前記サポート材回収剤が添加された廃液を40℃以上に加温処理して前記サポート材の析出を促すことができる。また、この様にして出てきた析出物は硬く、分離がしやすい。高温なほど析出時間が短く、硬い析出物が得られるので好ましいが、扱いの安全性の観点から80℃以下が好ましい。よって、加温条件としては40〜80℃が好ましく、65℃±5程度がより好ましい。
〔分離工程〕
前記分離工程は、前記添加工程の後、析出したサポート材を前記廃液から分離する工程である。
前記分離工程において、析出したサポート材を前記廃液から分離する手法は特に限定されず、公知の手法を用いることができるが、分離精度及び簡便さの観点から、遠心分離、濾過、及びデカンテーションの少なくともいずれかが好ましく、濾過がより好ましい。濾過としては、濾紙や濾布等を使用した常圧濾過;フィルタープレス、加圧濾紙濾過機、リーフフィルター、ロータリープレス等を使用した加圧式濾過;回転ドラム式連続濾過機、真空フィルター等を使用した減圧濾過等が挙げられるが、簡便性の点で、減圧濾過が好ましい。
前記廃液が、前記アミン化合物を含有する三次元物体前駆体処理剤にサポート材が溶解及び/又は分散している廃液である場合、析出したサポート材を速やかに分離できる。
分離されたサポート材は廃棄することができる。
<三次元物体製造キット>
本実施形態の三次元物体製造キットは、FDM方式による三次元物体の製造過程で、三次元物体及びサポート材を含む三次元物体前駆体を三次元物体前駆体処理剤に接触させて三次元物体前駆体から前記サポート材を除去する際に生じる、前記サポート材が溶解及び/又は分散した廃液から前記サポート材を回収するに際し用いられるものである。その構成は、前記サポート材回収剤、及び前記三次元物体前駆体処理剤を有する。本実施形態の三次元物体製造キットによれば、FDM方式の三次元物体の製造過程で生じる廃液からサポート材を安全に回収することができ、環境への負荷を低減することができる。
<実施例1〜6、比較例1〜3>
〔サンプルの調製〕
三次元物体前駆体処理剤(主基材としてジイソプロピルアミン5%の水溶液)80gを70℃に加温して、サポート材(ストラタシス社製メタクリル酸系共重合体;商品名SR−30)を2.4g(3wt%)添加して6時間撹拌(マグネティックスターラー使用、500rpm)し、完全にサポート材が溶解分散して無くなった事を目視で確認した。サポート材が溶解分散した三次元物体前駆体処理剤は白濁していた。当該サポート材が溶解分散した三次元物体前駆体処理剤をサンプルとした。
〔評価方法〕
[実施例1]
前記サンプルにpHの経時変化を測定しながら乳酸を4.2mmol添加していき、pH変動が1を超える変動が起こった後、pHが0.4以内の変化しか起こらなくなった時点で酸の添加を止め、アドバンテック東洋株式会社製 減圧濾過用フィルターホルダーKGS−47とアドバンテック東洋株式会社製 定性濾紙NO.2を用いて、10.7KPaで減圧濾過を行った。この操作において、濾過前の液は全てのサンプルは白濁(分散状態)していたが、濾液は全て透明であることを確認した。
[実施例2]
乳酸をリンゴ酸に変更した以外は実施例1と同様にpHの変化を測定した。
[実施例3]
乳酸を酒石酸に変更した以外は実施例1と同様にpHの変化を測定した。
[実施例4]
乳酸をクエン酸に変更した以外は実施例1と同様にpHの変化を測定した。
[実施例5]
乳酸をグルタル酸に変更した以外は実施例1と同様にpHの変化を測定した。
[実施例6]
乳酸をリン酸に変更した以外は実施例1と同様にpHの変化を測定した。
[比較例1]
乳酸を塩酸に変更した以外は実施例1と同様にpHの変化を測定した。
[比較例2]
乳酸をホウ酸に変更した以外は実施例1と同様にpHの変化を測定した。
[比較例3]
乳酸をベンゼンスルホン酸に変更した以外は実施例1と同様にpHの変化を測定した。
図1は、実施例1〜6、及び比較例1〜3のpHの変化の測定結果を示すグラフである。縦軸はpH、横軸は添加した酸の量(mmol)を示す。実施例1〜6の有機酸はpH4付近でpHが0.4以内の変化しか起こらなかったことが判る。一方、比較例1及び比較例3の酸は、サポート材は析出したものの、pHの制御が困難であり、pHが2以下になってもpHが大きく変動し、設備にダメージを与える可能性が高いことが判る。また、比較例2の酸は、廃液のpHが下がらずにサポート材の析出が起こらないので、分離できないことが判る。
<実施例7、8、比較例4、5>
〔実施例7〕
[サンプルの調製]
三次元物体前駆体処理剤(主基材としてジメチルヘキサノールアミン5%の水溶液)80gを70℃に加温して、サポート材(ストラタシス社製メタクリル酸系共重合体;商品名SR−30)を2.4g(3wt%)添加して6時間撹拌(マグネティックスターラー使用、500rpm)し、完全にサポート材が溶解分散して無くなった事を目視で確認した。サポート材が溶解分散した三次元物体前駆体処理剤は白濁していた。当該サポート材が溶解分散した三次元物体前駆体処理剤をサンプルとした。
〔評価方法〕
前記サンプルにpHの経時変化を測定しながら乳酸を4.2mmol添加していき、pH変動が1を超える変動が起こった後、pHが0.4以内の変化しか起こらなくなった時点で酸の添加を止め、アドバンテック東洋株式会社製 減圧濾過用フィルターホルダーKGS−47とアドバンテック東洋株式会社製 定性濾紙NO.2を用いて、10.7KPaで減圧濾過を行い、液が垂れなくなるまでの時間を測定した。この操作において、濾過前の液はサンプルは白濁(分散状態)していたが、濾液は透明であることを確認した。
〔実施例8〕
三次元物体前駆体処理剤を実施例1で用いた三次元物体前駆体処理剤(主基材としてジイソプロピルアミン5%の水溶液)に変更した以外は実施例7と同様にしてpHの変化及び濾過時間を測定した。
〔比較例4〕
三次元物体前駆体処理剤をウォーターワークス(ストラタシス社製三次元物体前駆体処理剤)に変更した以外は実施例7と同様にしてpHの変化及び濾過時間を測定した。
〔比較例5〕
三次元物体前駆体処理剤をTECHNI PRINT 3D SUPPORT CLEANER CONCENTRATE(テクニプリント社製)に変更した以外は実施例7と同様にしてpHの変化及び濾過時間を測定した
前記濾過処理を行った実施例7,8及び比較例4,5の其々の濾過完了までの所要時間は、実施例7の場合;60分、実施例8の場合;35分、比較例4の場合;150分、及び比較例5の場合;130分であり、サポート材の除去剤としてアミン化合物を含有する場合には、濾過時間が短いことがわかる。
〔実施例9〕
実施例4にて廃液槽内にて析出してきたサポート剤成分が含まれる廃液槽(液温25℃)を加温して60℃にすると析出物自体が液分を排出して硬い凝集物となることが認められた。その為得られた硬い凝集物は廃液からの濾過が極めて容易となった。

Claims (12)

  1. 熱溶融積層方式による三次元物体の製造過程で、三次元物体及びサポート材を含む三次元物体前駆体を三次元物体前駆体処理剤に接触させて三次元物体前駆体から前記サポート材を除去する際に生じる、前記サポート材が溶解及び/又は分散した廃液から前記サポート材を回収するサポート材回収剤であって、
    ヒドロキシ基を有する有機酸又はリン酸のいずれか1種以上を含有し、
    前記三次元物体前駆体処理剤がアルカリ剤を含有し、前記サポート材が(メタ)アクリル酸系共重合体を含む、サポート材回収剤。
  2. 前記有機酸の酸解離定数(pKa)が、2〜7である、請求項1に記載のサポート材回収剤。
  3. 前記有機酸が、カルボン酸である、請求項1又は2に記載のサポート材回収剤。
  4. 前記カルボン酸が、カルボキシ基の一部であるヒドロキシ基以外のヒドロキシ基を有する、請求項3に記載のサポート材回収剤。
  5. 前記有機酸が、多価カルボン酸である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のサポート材回収剤。
  6. 水性溶媒を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のサポート剤回収剤。
  7. 前記三次元物体前駆体処理剤が、アルカリ性である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のサポート材回収剤。
  8. 前記三次元物体前駆体処理剤が、アミン化合物を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のサポート材回収剤。
  9. 熱溶融積層方式による三次元物体の製造過程で、三次元物体及びサポート材を含む三次元物体前駆体を三次元物体前駆体処理剤に接触させて三次元物体前駆体から前記サポート材を除去する際に生じる、前記サポート材が溶解及び/又は分散した廃液から前記サポート材を回収するサポート材の回収方法であって、
    前記廃液に、請求項1〜8のいずれか1項に記載のサポート材回収剤を添加する添加工程を有し、
    前記三次元物体前駆体処理剤がアルカリ剤を含有し、前記サポート材が(メタ)アクリル酸系共重合体を含む、サポート材の回収方法。
  10. 前記添加工程の後に、加温による分離工程を有する請求項9に記載のサポート材の回収方法。
  11. 前記添加工程において、前記サポート材回収剤を前記廃液に当該廃液のpHが6以下になるまで添加する、請求項9又は10に記載のサポート材の回収方法。
  12. 熱溶融積層方式による三次元物体の製造過程で、三次元物体及びサポート材を含む三次元物体前駆体を三次元物体前駆体処理剤に接触させて三次元物体前駆体から前記サポート材を除去する際に生じる、前記サポート材が溶解及び/又は分散した廃液から前記サポート材を回収するサポート材回収剤、並びに前記三次元物体前駆体処理剤を有する三次元物体製造キットであって、
    前記サポート材回収剤が、請求項1〜8のいずれか1項に記載のサポート材回収剤であり、
    前記三次元物体前駆体処理剤がアルカリ剤を含有し、前記サポート材が(メタ)アクリル酸系共重合体を含む、三次元物体製造キット。
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