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JP6780696B2 - 1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法に関する。
1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCF=CHCl、HCFO−1224yd。以下、1224ydとも記す。)は、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(CF−CF−CHCl、HCFC−225ca)や1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CClF−CF−CClFH、HCFC−225cb)等のクロロフルオロカーボンに代わって、新たに洗浄剤、冷媒、発泡剤、溶剤、およびエアゾール用途等に有用とされる、地球温暖化係数(GWP)が小さく地球環境に負荷の少ない化合物である。
本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。
1224ydは二重結合上の置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体が存在する。本明細書中では特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合には、Z体およびE体から選ばれる少なくとも1種を示し、化合物名や化合物の略称の後ろに(E)または(Z)を付した場合には、其々の化合物のE体またはZ体であることを示す。例えば、1224yd(Z)および1224yd(E)は、それぞれ1224ydのZ体およびE体を示す。
1224ydの製造例としては、例えば、特許文献1に、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCF=CCl、CFO−1214ya。以下、1214yaとも記す。)をパラジウム触媒の存在下、水素と反応させて還元することで2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCF=CH、HFO−1234yf)を得る際に、中間体として1224ydが得られることが記載されている。特許文献1では、上記反応において中間体として得られる1224ydを1214yaとともに、HFO−1234yfの原料化合物として使用している。
上記特許文献1には、1214yaを水素と反応させて還元する方法において、目的物質であるHFO−1234yfを高収率で得る条件や手段の記載はあるが、副生物として位置づけられる1224ydを効率よく得る方法について記載はない。すなわち、特許文献1の方法では、1224ydも多少生成されるが、1224ydにとっては過還元体であるHFO−1234yfやさらにその還元体である1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(CFCHFCH、HFC−254eb)が多量に副生する問題がある。
国際公開第2011/162341号
本発明は、1214yaを還元して1224ydを得る方法において、過還元体であるHFO−1234yfやHFC−254eb等の副生を低減した効率的な1224ydの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す構成の1224ydの製造方法を提供する。
[1]比表面積が40m/g以下のパラジウム触媒を担体に担持させたパラジウム触媒担持担体の存在下、気相で1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1214ya)を水素と反応させることを特徴とする1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
[2]前記比表面積が6〜33m/gである[1]に記載の製造方法。
[3]前記比表面積が6〜20m/gである、[1]に記載の製造方法。
[4]前記パラジウム触媒におけるパラジウム100質量部に対するパラジウム以外の金属の割合が50質量部以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記担体に対する前記パラジウム触媒の質量割合が、0.1〜10質量%である[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記パラジウム触媒がパラジウム単体である[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記担体が活性炭である[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]前記活性炭がヤシ殻活性炭である、[7]に記載の製造方法。
[9]前記1214yaのモル数に対する前記水素の分子のモル数の比が1.4以下である、[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法は、安定した製造方法が確立されている1214yaを還元して1224ydを得る方法であり、工業的に実施しやすく、安定に実施可能な方法である。また、本発明の1224ydの製造方法によれば、過還元体であるHFO−1234yfやHFC−254eb等の副生を低減した、高反応率および高選択率での1224ydの製造が可能である。
実施例に使用した反応装置を示した模式図である。
本発明の1224ydの製造方法は、比表面積が40m/g以下のパラジウム触媒を担体に担持させたパラジウム触媒担持担体の存在下、気相で1214yaを水素と反応させることを特徴とする。本明細書において、特に断りのない限り、水素は分子の状態の水素をいい、必要に応じてHと記すこともある。本発明の1224ydの製造方法に係る1214yaと水素の反応は下式(1)で示される。
Figure 0006780696
本発明の製造方法で得られる1224ydは、Z体およびE体の混合物であってもよく、Z体のみであってもよく、E体のみでもよい。1224ydは、燃焼性を抑えるハロゲンの割合が高いうえに、大気中のOHラジカルによって分解され易い炭素―炭素二重結合を分子内に有していることから、燃焼性が低く、オゾン層への影響が少なく、かつGWPが小さい。したがって、洗浄剤、冷媒、発泡剤、溶剤、およびエアゾール用途として有用性が高い。
<1214ya>
本発明の1224ydの製造方法は1214yaを原料とする。1214yaは、公知の方法により製造できる。1214yaの入手方法は特に限定されず、例えば、式(2)に示されるとおり、HCFC−225caを相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液と接触させて脱フッ化水素反応させる方法により製造可能である。
Figure 0006780696
なお、式(2)の反応に用いるHCFC−225caは、HCFC−225caとその異性体を含むジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC−225)異性体混合物の状態で使用できる。HCFC−225異性体混合物を用いる場合、相間移動触媒によりHCFC−225異性体混合物中のHCFC−225caのみが選択的に脱フッ化水素される。反応後、得られた1214yaは蒸留等の公知の方法により分離回収できる。相間移動触媒としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)が好ましい。
HCFC−225caを含むHCFC−225異性体混合物は、例えば、テトラフルオロエチレンとジクロロフルオロメタンを、塩化アルミニウム等の触媒の存在下で反応させることにより製造できる。該反応により得られるHCFC−225異性体混合物には、HCFC−225caとHCFC−225cbが主成分として含まれ、他に2,2−ジクロロ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHFCClCF、HCFC−225aa)、2,3−ジクロロ−1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHFCClFCClF、HCFC−225bb)等が少量含まれる。
HCFC−225caを含むHCFC−225異性体混合物は、市販品を用いてもよい。市販品としては、アサヒクリンAK225(旭硝子社製、商品名、HCFC−225caの48モル%と、HCFC−225cbの52モル%の混合物)等が挙げられる。
<パラジウム触媒担持担体>
本発明の製造方法においては、上記の方法等で入手した1214yaと水素を比表面積が40m/g以下のパラジウム触媒を担体に担持させたパラジウム触媒担持担体の存在下、気相で反応させる。以下、比表面積が40m/g以下のパラジウム触媒を担体に担持させたパラジウム触媒担持担体をパラジウム触媒担持担体(X)という。
本発明は、上記式(1)の反応をパラジウム触媒担持担体(X)の存在下で行うことで、過還元体であるHFO−1234yfやHFC−254eb等の副生を低減した高反応率および高選択率での1224ydの製造を可能とするものである。
本発明において、パラジウム触媒担持担体(X)におけるパラジウム触媒は、パラジウムを主として含有する金属触媒を意味する。パラジウムを主として含有するとは、パラジウム触媒におけるパラジウム100質量部に対するパラジウム以外の金属の割合が50質量部以下であることをいう。パラジウム100質量部に対するパラジウム以外の金属の割合は30質量部以下が好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。パラジウム触媒はパラジウム以外の金属を含有しない、すなわちパラジウム単体であることが高い触媒活性が得られる点で特に好ましい。
パラジウム触媒がパラジウム以外に含有してもよい金属としては、鉄、ルテニウム、オスミウム等の第8族元素;コバルト、ロジウム、イリジウム等の第9族元素;ニッケル、白金等の第10族元素;金、銀、銅等の第11族元素;レニウム、亜鉛、カドミウム、錫、鉛、アンチモン、ビスマス等が挙げられる。これらパラジウム以外の金属は、1種であっても、2種以上であってもよい。パラジウム触媒は、パラジウムと他の金属との合金であってもよく、パラジウムと他の金属との混合物であってもよい。パラジウム合金触媒としては、パラジウム/白金合金触媒やパラジウム/ロジウム合金触媒などが挙げられる。パラジウム以外の金属を含有するパラジウム触媒は、パラジウム単体からなるパラジウム触媒よりも触媒耐久性が高くなる。
パラジウム触媒担持担体(X)に用いるパラジウム触媒の比表面積は40m/g以下である。パラジウム触媒の比表面積は、1224ydの生産効率をより高める観点から6〜33m/gが好ましく、6〜20m/gがより好ましい。
なお、本明細書において、パラジウム触媒の比表面積は、パラジウム触媒担持担体(X)を試料として、以下の方法で測定される比表面積をいう。
[比表面積測定方法]
パラジウム触媒担持担体(X)20gを秤量し、SUS316製のカラムに充填する。前処理として、40℃、ガス流量300mL/分の条件で、カラムにヘリウムガスを30分間、次いで水素ガスを30分間、最後にヘリウムガスを30分間流す。次いで、カラムにCOガスを一定量パルスで吸着が平衡に達するまで流し、平衡に達したときのCO吸着量を見積もる。吸着が平衡に達したかどうかの確認はガスクロマトグラフィー(TCD)で行う。
パラジウム触媒の比表面積(MSA)は以下の式(3)から算出する。
MSA = (V×a)/w 式(3)
w:パラジウム触媒担持担体(X)中のパラジウム触媒質量(g)
V:CO吸着量(mL)
a:COが吸着した時に占めるCOの単位体積あたりのパラジウム触媒表面積(=4.35m/mL)
wはパラジウム触媒担持担体(X)質量(g)とパラジウム触媒含有率(質量%)の積から算出する。
本発明の製造方法において、上記パラジウム触媒は、担体に担持されたパラジウム触媒担持担体(X)として用いられる。担体としては、活性炭や、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア等の金属酸化物等が挙げられる。これらのうちでも触媒活性、耐久性、反応選択性の観点から活性炭が好ましい。
活性炭としては、木材、木炭、果実殻、ヤシ殻、泥炭、亜炭、石炭等を原料として調製したものが挙げられ、鉱物質原料よりも植物原料から得られたものが好ましく、ヤシ殻活性炭が特に好ましい。活性炭の形状としては、長さ2〜5mm程度の成形炭、4〜50メッシュ程度の破砕炭、粒状炭等が挙げられる。なかでも、4〜20メッシュの破砕炭、または成形炭が好ましい。
パラジウム触媒担持担体(X)におけるパラジウム触媒の担持量は、担体に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜1質量%がより好ましい。上記パラジウム触媒の担持量が下限値以上であれば、1214yaと水素の反応率が向上する。上記パラジウム触媒の担持量が上限値以下であれば、反応熱による触媒層(後述する)の過剰な温度上昇を抑制しやすく、副生物の生成を低減しやすい。
パラジウム触媒を担体に担持させる方法としては、一般に金属触媒を担体に担持させる方法が特に制限なく使用可能である。例えば、パラジウム単体をパラジウム触媒とし担体を活性炭とする場合、塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、塩化テトラアミンパラジウム(II)等のパラジウム塩の水溶液を活性炭に含浸させ、乾燥することで活性炭の表面にパラジウム塩を析出させた後、パラジウム塩中のパラジウムイオンを還元することでパラジウム担持活性炭が得られる。
このような方法でパラジウム触媒担持担体(X)を作製する場合、パラジウム触媒の比表面積は、上記のように還元を行い、パラジウム触媒を担持させた担体を、不活性ガス中で加熱処理することにより調整できる。上記において、例えば、加熱処理の温度を400〜800℃、時間を1〜20時間とすることでパラジウム触媒の比表面積が上記範囲に調整されたパラジウム触媒担持担体(X)が得られる。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
<1224ydの製造>
本発明の製造方法において、パラジウム触媒担持担体(X)の存在下、気相で1214yaを水素と反応させる方法として、具体的には、パラジウム触媒担持担体(X)を充填した触媒層を形成し、該触媒層に1214yaと水素をガス状で導入する方法が挙げられる。
本発明において触媒層は、通常、パラジウム触媒担持担体(X)を反応器に充填することによって形成される。触媒層におけるパラジウム触媒担持担体(X)の充填密度は、0.3〜1g/cmが好ましく、0.4〜0.8g/cmがより好ましい。パラジウム触媒担持担体(X)の充填密度が下限値以上であれば、単位容積あたりのパラジウム触媒担持担体(X)の充填量が多く、反応させるガス量を多くすることができるため生産性が向上する。パラジウム触媒担持担体(X)の充填密度が上限値以下であれば、反応熱による触媒層の過剰な温度上昇を抑制しやすく、副生物の生成を低減しやすい。パラジウム触媒担持担体(X)の充填部分、すなわち触媒層は、反応器内に1つあってもよく、2つ以上あってもよい。
このような触媒層を用いて本発明の製造方法を行うには、上記触媒層の一方の側からガス状の1214yaと水素を導入する。該導入された1214yaと水素のガスは触媒層を通過しながら気相で反応し1224ydを生成する。そして、触媒層の1214yaと水素が導入された側とは反対側から1224ydを含む生成ガスが排出される。以下、触媒層を用いた場合を例に本発明の製造方法を説明する。触媒層の1214yaと水素が導入される側を「ガス導入部」、生成ガスが排出される側を「ガス排出部」という。
触媒層に導入する1214yaと水素の割合は、過還元体であるHFO−1234yfやHFC−254eb等の副生を低減する点から、1214yaのモル数に対する水素のモル数の比(以下、モル比(H/1214ya)で表わす。)として、その値を1.4以下とする割合が好ましい。モル比(H/1214ya)は、小さいほどHFO−1234yf、HFC−254eb等の副生を低減しやすく、1.2以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましい。また、モル比(H/1214ya)は、1224ydの収率の点から、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。
後述の方法(A)のように水素を分割導入する場合、同様に、触媒層に導入する1214yaと触媒層に導入する水素の総量との割合は、モル比(H/1214ya)を1.4以下とする割合が好ましく、1.2以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましい。また、モル比(H/1214ya)は、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。
本発明の製造方法において、1214yaを水素と反応させる反応温度は、気相反応であることより、反応に用いる1214yaと水素の混合ガス、ただし不活性ガスを用いる場合には、1214yaと水素と不活性ガスの混合ガスの露点を越える温度とする。また、本発明の製造方法では、副生物の生成を抑制する観点から、反応温度は200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
本発明の製造方法における反応温度は、具体的には、以下に説明する触媒層の反応域の温度で示される。本発明の製造方法においては、触媒層の反応域の温度すなわち触媒層の最高温度を上記反応温度の範囲内に制御することで、反応性の向上と副生物の生成抑制が可能となる。
触媒層の温度は、初期温度を所定の温度に設定しても、触媒の劣化の進行に伴い次第に低下し、それにより触媒される反応の反応率が低下するという問題がある。そのため、高い反応率を維持できるよう、触媒層の温度を所定の温度に保つ操作を行うことが好ましい。例えば、触媒層を熱媒などで外部から加熱してその温度を維持している場合は、熱媒の温度を徐々に上げることで、触媒層の温度低下を防ぐことができる。
なお、触媒層の温度とは、外部からの加熱等により維持される触媒層の温度をいう。通常、1214yaと水素は触媒層の一部の領域で反応し、反応熱の発生により反応域(1214yaと水素が反応している領域)は他の触媒層領域よりも高温となる。この反応域の触媒活性は経時的に低下することより、通常、反応域はガス導入部付近からガスの流れ方向の下流側に徐々に移動していく。また、反応域の下流側では反応域で生成した温度の高い生成ガスが流れ、通常、触媒層の温度よりも高温となり、反応域から離れるほど徐々に温度が低下していく。本発明において触媒層の温度とは反応域の上流側の温度、すなわち、熱媒などで外部から加熱してその温度を維持している触媒層の温度をいう。
また、本発明の製造方法では、1214yaと水素の反応熱による触媒層の過剰な温度上昇を抑制して、触媒層の最高温度を上記反応温度の上限値以下にすることが好ましい。上記のように、1214yaと水素が反応している反応域およびその下流側の領域における温度は、反応熱により他の領域の触媒層の温度よりも高くなる。反応中の触媒層の最高温度とはこの反応熱の発生により他の領域よりも高温となった触媒層領域の最高温度をいう。なお、反応中の触媒層の最高温度の測定法としては、例えば、挿し込み型の温度計を用いた下記測定法が挙げられる。
触媒層における1214yaと水素の反応は、まず、これらがガス状で導入されるガス導入部付近の触媒が反応に寄与し、該ガス導入部付近の触媒が劣化するとその下流側の触媒が反応に寄与するというように、触媒層における反応域がガス排出側に向かって徐々に移動していく。つまり、触媒層の最高温度を示す部分は、1214yaと水素の反応域の移動と共に移動していくため、予め挿し込み型の温度計の計測部を触媒層のガス導入部に位置させておき、反応の進行と共に該計測部を移動させることで触媒層の最高温度を測定できる。
反応中の触媒層の最高温度を上記反応温度の上限値以下に維持する方法としては、触媒層の最高温度を低く制御しつつ、生産性を高く維持しやすい点から、触媒層に水素を分割して導入する方法(方法(A))が好ましい。水素を触媒層の複数個所に分割して導入すれば、1214yaの導入量を変化させずに触媒層の反応域を分散させられるため、反応熱の発生が一箇所に集中しない。そのため、生産性を低下させずに、触媒層の局所的な過剰発熱を容易に抑制できる。
水素の分割導入とは、1214yaと、本製造方法に用いる所定量の水素のうちの一部を触媒層のガス導入部に導入するとともに、触媒層のガス導入部とガス排出部との間の少なくとも1か所から水素の残部を導入することをいう。すなわち、ガス導入部以外に触媒層の少なくとも1箇所、すなわち、合計2箇所以上、から水素を導入することをいう。そして、分割導入においては、このようにして2箇所以上から導入される水素の総量が上記水素の所定量となる。
具体的には、触媒層のガス導入部(触媒層においてガスの流れ方向の最上流側に位置する)に導入する1214yaと水素の量は、触媒層に導入する水素の一部と1214yaの全量とする。残余の水素はガスの流れ方向下流の触媒層に水素導入部から導入し、その導入位置の触媒層を流れるガス(通常は、1214yaの一部が水素と反応した後の、生成ガス)に水素を混入し、該水素の導入位置から下流側の触媒層で未反応の1214yaを水素と反応させ、触媒層のガス排出部(触媒層においてガスの流れ方向の最下流側に位置する)から生成ガスを排出する。
ガス導入部とガスの流れ方向の最上流側の水素導入部との間で、ガス導入部から導入された水素の少なくとも一部は1214yaと反応していることが好ましい。また、ガスの流れ方向の最下流側の水素導入部は、その水素導入部とガス排出部との間の触媒層で、該水素導入部から導入された水素と1214yaとが十分反応しうる位置に設けることが好ましい。
方法(A)における水素の導入は、2箇所に分割導入しても、3箇所以上に分割導入してもよく、プロセスを簡略化できるという観点から、2箇所から分割導入することが好ましい。触媒層の2箇所以上に分割導入する水素は、触媒層の最高温度を低く維持しやすい点から、分割導入される各々の水素の量を等量とすることが好ましい。
反応器内に触媒層が2つ以上ある場合、水素の分割導入は、例えば、水素の一部を1214yaと共に最も上流側(1段目)の触媒層に導入し、残部を1段目より下流側の2段目以降の触媒層に導入する方法が挙げられる。
また、方法(A)以外の触媒層の最高温度の制御方法としては、1214yaおよび水素と共に触媒層に不活性ガスを流通させる方法(方法(B))が挙げられる。不活性ガスを流通させ、触媒層中を流通する1214yaおよび水素の濃度を調節することで、反応熱による触媒層の過剰な温度上昇を抑制できる。また、不活性ガス以外の希釈ガスを不活性ガスの代わりにまたは不活性ガスとともに使用することもできる。
不活性ガスとしては、窒素、希ガス(ヘリウム、アルゴン等)、二酸化炭素、水素化反応に不活性なフロン類等が挙げられる。不活性ガス以外の希釈ガスとしては塩化水素などが挙げられる。
触媒層への不活性ガスの導入量は、触媒層の最高温度を低く維持しやすく、副生物の生成を低減しやすい点、および触媒の劣化を抑制しやすい点から、1214yaの1モルに対して、0.5モル以上が好ましく、1.0モル以上がより好ましい。また、不活性ガスの導入量は、該不活性ガスの回収率の点から、1214yaの1モルに対して、10モル以下が好ましく、4モル以下がより好ましい。
方法(B)においては、原料が液化した状態での反応では、1224ydが過剰に還元された副生物の生成が増加することにより1224ydの収率が低下する点から、触媒層の温度は、上記混合ガスの露点よりも高いことが好ましい。より好ましくは露点よりも高くかつ200℃未満、さらに好ましくは、露点よりも高くかつ150℃以下である。
また、方法(A)、方法(B)以外の触媒層の最高温度の制御方法としては、触媒層の温度を、反応に用いる1214yaと水素の混合ガス、ただし不活性ガスを用いる場合には、1214yaと水素と不活性ガスの混合ガスの露点を下限として、より低い温度とする方法(方法(C))が挙げられる。触媒層の温度を低く保つことで、反応熱のより迅速な除熱が可能となり、触媒層の過剰な温度上昇を抑制できる。
方法(C)においては、触媒層が低い温度であるほど目的物である1224ydと分離困難な副生物の生成を抑制するのに有利である点、および、原料が液化した状態での反応では、1224ydが過剰に還元された副生物の生成が増加することにより1224ydの収率が低下する点から、触媒層の温度は、上記混合ガスの露点よりも高いことが好ましい。より好ましくは露点よりも高くかつ50℃未満、さらに好ましくは、露点よりも高くかつ30℃以下である。
触媒層の最高温度の制御には、方法(A)、方法(B)、方法(C)をそれぞれ単独で用いる、またはこれらの2つ、または3つを併用することが好ましい。
反応圧力は、取り扱い性の点から、常圧が好ましい。反応時間は0.4〜400秒が好ましく、1〜400秒がより好ましく、4〜400秒が最も好ましい。本発明の製造方法において、反応時間は、具体的には、1214yaのパラジウム触媒担持担体(X)に対する接触時間である。この接触時間は、反応器に導入される1214yaの体積と触媒層の体積から計算される。
本発明の製造方法では、触媒層における下式(4)で表される1214yaの線速度uは、0.1〜100cm/秒が好ましく、0.1〜30cm/秒がより好ましく、0.1〜10cm/秒が最も好ましい。線速度uが0.1cm/秒以上であれば、生産性が向上し、1214yaが触媒層を均一に流れやすい。線速度uが100cm/秒以下であれば、1214yaと水素の反応率が向上し、線速度uが30cm/秒以下であれば発熱による反応点付近の温度制御が容易になる。
線速度uは、反応器に導入される1214yaのガス量と触媒層の体積とから、下式(4)によって計算される。
u=(W/100)×V/S 式(4)
W:触媒層を流通する全ガス中の1214yaの濃度(モル%)
V:触媒層を流通する全ガスの流量(cm/秒)
S:触媒層のガスの流通方向に対する断面積(cm
なお、本発明の製造方法において、触媒層に導入するガス状成分には、1214ya、水素、任意成分としての不活性ガス、希釈ガスの他に、本発明の効果を損なわない範囲でその他成分が含まれていてもよい。その他成分としては、例えば、1214yaを準備する際に不純物として1214yaとともに持ち込まれる成分等が挙げられる。
本発明の製造方法に用いる反応器としては、触媒担持担体を充填して触媒層を形成できる公知の反応器が挙げられる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、鉄、ニッケル、またはこれらを主成分とする合金等が挙げられる。
反応後の生成ガスには、目的物である1224ydの他に、未反応の原料、過還元体であるHFO−1234yf、HFC−254eb、1,1,1−トリフルオロプロパン(CFCHCH、HFC−263fb)、3,3,3−トリフルオロプロペン(CFCH=CH、HFO−1243zf)等およびHClが含まれる。
生成ガスに含まれるHClは、例えば、該生成ガスをアルカリ水溶液に吹き込んで中和することにより除去できる。上記アルカリ水溶液に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。生成ガスからの1224ydの回収方法としては、例えば、分留等の公知の方法を採用できる。得られる1224ydは、通常、1224ydのE体とZ体の混合物である。該混合物から1224ydのE体およびZ体の分離が必要な場合には、蒸留等の分離精製方法を用いればよい。
以上説明した本発明の製造方法によれば、比表面積が40m/g以下のパラジウム触媒を担体に担持させたパラジウム触媒担持担体の存在下、気相で1214yaを水素と反応させることで、過還元体であるHFO−1234yf、HFC−254eb、HFC−263fb、HFO−1243zf等の副生が低減される。結果的に、生成ガス中の目的物である1224ydの量が増えるので、高純度な1224ydを効率良く生産できる。また、反応に用いる1214yaについては、入手が容易な原料から安定した製造方法が確立されている化合物であるため、本発明の製造方法は、工業的に実施しやすく、安定に実施可能な方法といえる。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1〜4は実施例、例5〜8は比較例である。
まず、各例に用いたパラジウム触媒担持担体を以下のようにして調製した。パラジウム触媒担持担体(X1)〜(X3)は本発明に係るパラジウム触媒担持担体であり、パラジウム触媒担持担体(Cf1)〜(Cf3)は比較例用のパラジウム触媒担持担体である。また、各パラジウム触媒担持担体の調整には、粒度が4〜8メッシュのヤシ殻活性炭100質量%に対して0.5質量%のパラジウム単体が担持されたパラジウム担持活性炭(エヌ・イーケムキャット社製;以下「パラジウム担持活性炭(A)」という。)を用いた。パラジウム担持活性炭(A)における、担持されたパラジウム触媒(パラジウム単体)の比表面積を、前述の比表面積測定法で測定した結果、198m/gであった。
[調製例1]
パラジウム担持活性炭(A)を窒素中750℃で10時間加熱処理することにより、担持されたパラジウムの比表面積が6m/gであるパラジウム触媒担持担体(X1)を得た。
[調製例2]
調製例1における加熱処理温度を600℃に変更すること以外は調製例1と同様に行い、担持されたパラジウムの比表面積が20m/gであるパラジウム触媒担持担体(X2)を得た。
[調製例3]
調製例1における加熱処理温度を550℃に変更すること以外は調製例1と同様に行い、担持されたパラジウムの比表面積が33m/gであるパラジウム触媒担持担体(X3)を得た。
[調製例4]
調製例1における加熱処理温度を500℃に変更すること以外は調製例1と同様に行い、担持されたパラジウムの比表面積が41m/gであるパラジウム触媒担持担体(Cf1)を得た。
[調製例5]
調製例1における加熱処理温度を400℃に変更すること以外は調製例1と同様に行い、担持されたパラジウムの比表面積が88m/gであるパラジウム触媒担持担体(Cf2)を得た。
[調製例6]
パラジウム担持活性炭(A)(パラジウムの比表面積が198m/g)をパラジウム触媒担持担体(Cf3)としてそのまま用いた。
[例1]
1224ydの製造は、図1に模式図を示す反応装置100を用いて、上記の方法(B)にて行った。反応装置100は、図1に示すように、1本の反応管8と、それを浸漬する油浴9を備えている。反応管8としては、内径2.14cm、全長70cmのSUS304製のU字型の反応管を用いた。反応管8は、その出口11側に上記で調整されたパラジウム触媒担持担体(X1)が充填密度0.73g/cmで充填された、高さ40cmの触媒層10を有する。
また、反応装置100は、1214yaガス収容容器1、水素ガス収容容器2および窒素ガス収容容器3を有し、各容器はそれぞれ配管4、5、6を介して反応管8の入口7に接続されている。反応管8の出口11から排出されるガスについては、配管13によりアルカリ洗浄槽14に移送され、アルカリ洗浄後、配管15を介して生成ガス収容容器16に回収される。以下の説明において、反応管8の出口11から排出されるガスを「出口ガス」、出口ガスをアルカリ洗浄して得られたガスを「生成ガス」という。
まず、触媒層10が全て浸漬されるように、反応管8を100℃に温度調整した油浴9中に浸漬し、触媒層10を100℃に加熱した。次いで、1214yaガス、水素ガスおよび窒素ガスを反応管8に流通させ、排出された出口ガスをアルカリ洗浄して生成ガスを得た。
触媒層10に充填されたパラジウム触媒担持担体(X1)に対する1214yaガスの接触時間は12秒とし、1214yaガスのモル数と、触媒層に導入する水素ガスの総導入量のモル数との比、モル比(H/1214ya)は1.0とした。また、1214yaガスのモル数と、触媒層に導入する窒素ガスの総導入量のモル数との比、モル比(N/1214ya)は2.0とした。1214yaの線速度uは0.8cm/秒とした。
また、反応中の触媒層10の最高温度(反応温度)を、触媒層に挿入した差し込み型の温度計12により測定したところ、88℃であった。なお、触媒層の温度は、1214yaガス、水素ガスおよび窒素ガスを流通することにより変化し、油浴温度とは異なる温度を示す場合がある。実際には、このような状況下、触媒層10の最高温度を測定し上記反応温度とした。
出口ガスのアルカリ洗浄は、温度15℃の20質量%水酸化ナトリウム水溶液により行った。
[例2]
パラジウム触媒担持担体(X1)をパラジウムの比表面積が20m/gであるパラジウム触媒担持担体(X2)に変更した以外は、例1と同様にして生成ガスを得た。反応中の触媒層10の最高温度を、触媒層に挿入した差し込み型の温度計12により測定したところ、123℃であった。
[例3]
パラジウム触媒担持担体(X1)をパラジウムの比表面積が33m/gであるパラジウム触媒担持担体(X3)に、油浴9の温度を80℃に変更した以外は、例1と同様にして生成ガスを得た。反応中の触媒層10の最高温度を、触媒層に挿入した差し込み型の温度計12により測定したところ、146℃であった。
[例4]
油浴9の温度を100℃に変更した以外は、例3と同様にして生成ガスを得た。反応中の触媒層10の最高温度を、触媒層に挿入した差し込み型の温度計12により測定したところ、189℃であった。
[例5]
パラジウム触媒担持担体(X1)をパラジウムの比表面積が41m/gであるパラジウム触媒担持担体(Cf1)に、油浴9の温度を80℃に変更した以外は、例3と同様にして生成ガスを得た。反応中の触媒層10の最高温度を、触媒層に挿入した差し込み型の温度計12により測定したところ、161℃であった。
[例6]
パラジウム触媒担持担体(X1)をパラジウムの比表面積が88m/gであるパラジウム触媒担持担体(Cf2)に変更した以外は、例1と同様にして生成ガスを得た。反応中の触媒層10の最高温度を、触媒層に挿入した差し込み型の温度計12により測定したところ、159℃であった。
[例7]
パラジウム触媒担持担体(X1)をパラジウムの比表面積が198m/gであるパラジウム触媒担持担体(Cf3)に、油浴9の温度を80℃に変更した以外は、例1と同様にして生成ガスを得た。反応中の触媒層10の最高温度を、触媒層に挿入した差し込み型の温度計12により測定したところ、165℃であった。
[例8]
油浴9の温度を100℃に変更した以外は、例7と同様にして生成ガスを得た。反応中の触媒層10の最高温度を、触媒層に挿入した差し込み型の温度計12により測定したところ、185℃であった。
[分析方法]
各例で得られた生成ガスをガスクロマトグラフィー(GC)にて分析し、下式(5)、(6)により、1214yaの1224yd(Z)への選択率X(単位:%)、および1224yd(E)への選択率Y(単位:%)をそれぞれ算出した。
X=[a/(a+b+c+d)]×100 式(5)
Y=[b/(a+b+c+d)]×100 式(6)
(ただし、式(5)、(6)中「a」は1224yd(Z)のモル数、「b」は1224yd(E)のモル数、「c」はHFO−1234yfのモル数、「d」はその他の過還元体(HFC−254eb、HFC−263fb、HFO−1243zf、その他)の合計モル数を示す。)
また、1224yd(Z体およびE体)の収率を下式(7)により算出した。
1224yd(Z体およびE体)の収率= [A×(X+Y)]/100
式(7)
(ただし、式(7)中、「A」は1214yaの反応率を示す。)
分析結果を、反応条件等とともに表1に示す。また、生成ガスのGC分析における面積比をモル比(単位:モル%)として表2に示す。なお、表1におけるパラジウム触媒担持担体の種類は符号のみを示す。
Figure 0006780696
Figure 0006780696
表1および表2に示すように、本発明の実施例である例1〜4は、パラジウム触媒担持担体におけるパラジウム触媒の比表面積が本発明の範囲外である例5〜8に比べて、1224yd(Z)への選択率Xと1224yd(E)への選択率Yの合計、ならびに1224yd収率について高い結果が得られた。例1〜4のなかでもパラジウム触媒担持担体におけるパラジウム触媒の比表面積が6〜20m/gの例1、2では、1224yd(Z)への選択率Xと1224yd(E)への選択率Yの合計、ならびに1224yd収率は特に高い結果である。
本発明の製造方法によれば、1214yaを還元して1224ydを得る方法において、HFO−1234yf、HFC−254eb等の還元体の生成を抑制することで高純度の1224ydを製造することができる。そして、本発明の方法で得られる1224ydは、地球温暖化係数(GWP)が小さく、クロロフルオロカーボン類に代わる化合物として、洗浄剤、冷媒、発泡剤、溶剤、およびエアゾール用途等に有用である。
100…反応装置、1…1214yaガス収容容器、2…水素ガス収容容器、3…窒素ガス収容容器、7…反応管入口、8…反応管、9…油浴、10…触媒層、11…反応管出口、12…温度計、14…アルカリ洗浄槽、16…生成ガス収容容器。

Claims (9)

  1. 比表面積が6〜40m/gパラジウム触媒を担体に担持させたパラジウム触媒担持担体の存在下、気相で1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを水素と反応させることを特徴とする1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
  2. 前記比表面積が6〜33m/gである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記比表面積が6〜20m/gである、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記パラジウム触媒におけるパラジウム100質量部に対するパラジウム以外の金属の割合が50質量部以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記担体に対する前記パラジウム触媒の質量割合が、0.1〜10質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記パラジウム触媒がパラジウム単体である請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記担体が活性炭である請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記活性炭がヤシ殻活性炭である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンのモル数に対する前記水素の分子のモル数の比が1.4以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
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