以下、本発明の化粧板及びその製造方法について説明する
[第1実施形態]
以下、図面に基づいて、本発明の第1実施形態に係る化粧板について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る化粧板の構成を模式的に示す断面図である。
化粧板
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る化粧板1Aは、第1主面S1及び第1主面S1の反対側に位置する第2主面S2を有する支持シート2と、支持シート2の第1主面S1の一部に設けられた第1層3と、支持シート2の第1主面S1の残部に設けられた第2層4とを備える。
図1に示すように、第2層4は、第1層3の少なくとも一部を露出させる開口部40を有し、第2層の開口部40は、化粧板1Aの表面に凹部5を形成している。第1層3は、第2層4の開口部40から露出し、凹部5の底部の少なくとも一部を形成している。
化粧板1Aの表面のうち、凹部5に隣接する部分は、相対的に凸部となっており、化粧板1Aの表面には凹凸形状が形成されている。化粧板1Aは、後述する工程(1)〜(4)を含む製造方法により製造することができる。この製造方法の結果物である化粧板は、凹部5の表面(第2層4の開口部40から露出する第1層3の表面を含む)が相対的に粗面となり、入射光に対して拡散反射性を有する低光沢領域を構成するという特徴とともに、凸部を含む凹部5以外の領域の表面が相対的に鏡面となり、入射光に対して鏡面反射性を有する高光沢領域を構成するという特徴を有する。したがって、化粧板1Aは、凹凸形状に基づいて、グロスマット調の意匠感も表現することができる。特に、凹凸形状(即ち、高光沢領域及び低光沢領域)を、後述する装飾層22の絵柄模様と位置同調させることにより、化粧板1Aは、優れたグロスマット調の意匠感を表現することができる。例えば、装飾層22が木目模様を形成する場合、凹部5を、木目模様中の導管部(即ち、導管の切断面開口部によって形成される線条の溝部)と、両者の平面視での位置が一致するように位置同調させるとともに、凸部を含む凹部5以外の領域を、木目模様中の導管部以外の領域と、両者の平面視での位置が一致するように位置同調させることにより、木目模様中の導管部が相対的に凹部の外観を呈し、これにより、化粧板1Aは、本物の木目模様と同様の表面凹凸形状の意匠感(質感)を表現することができる。なお、ここで「平面視」とは、支持シート2の第1主面S1の法線方向から観察することを意味する。例えば、図1において、同図に向かって上方から下方を見降ろすことを意味する。
化粧板1Aにおいて、第1層3の全体が、第2層4の開口部40から露出し、凹部5の底部を形成していてもよいが、必ずしもその必要はない。第1層3の一部は、第2層4で被覆されていてもよい。特に、第1層3が、装飾層22が形成する木目模様の導管部と位置同調する場合、第1層3のうち導管部の周縁部に相当する部分は、第2層で被覆されていてもよい。なお、凹部5と凸部(第2層4)とから成る凹凸形状の高低差が目視外観上で十分に確保され、且つ耐摩耗性等の表面物性上も実用上支障が無い範囲内においては、第1層3表面の全面にわたって第2層が残渣又は痕跡程度に微量に残留していてもよい。化粧板1Aを平面視したとき、第1層3のうち、第2層4の開口部40から露出し、凹部5の底部を形成している部分の面積は、支持シート2の第1主面S1のうち、第1層3が設けられる領域の面積の50%以上であることが好ましい。これにより、化粧板1Aは、凹凸形状の意匠感を表現することができる。
化粧板1Aにおいて、複数の凹部5の全部が、第1層3の少なくとも一部を露出させる第2層4の開口部40により形成されていてもよいが、必ずしもその必要はない。複数の凹部5のうちの一部は、第2層4自体及び/又は第1層3自体に形成されていてもよい。
図1に示すように、化粧板1Aは、支持シート2の第2主面S2に設けられた補強層6をさらに備える。なお、本発明には、支持シート2の第2主面S2に補強層6が設けられていない実施形態も包含される。
支持シート
支持シート2は、第1層3及び第2層4を支持するシートである。
図1に示すように、支持シート2は、第1主面T1及び第1主面T1の反対側に位置する第2主面T2を有する基材シート21と、基材シート21の第1主面T1に設けられた装飾層22とを有する。
基材シート
図1に示すように、基材シート21は、第1主面T1が支持シート2の第1主面S1側に位置し、第2主面T2が支持シート2の第2主面S2側に位置するように配置されている。なお、本実施形態では、基材シート21の第2主面T2が、支持シート2の第2主面S2を形成している。
基材シート21は特に限定されないが、好ましくは、多孔質シートである。多孔質シートは、液体浸透性を有する限り特に限定されない。基材シート21が液体浸透性を有する場合、例えば、第2層4の形成原料として使用される樹脂組成物を基材シート21に含浸させることができる。多孔質シートとしては、例えば、繊維シート等が挙げられる。繊維シートとしては、例えば、紙、不織布、織布等が挙げられる。紙としては、例えば、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾルコート又はドライラミネートしたいわゆるビニル壁紙原反、上質紙、コート紙、パーチメント紙、和紙等が挙げられる。その他の繊維シートとしては、例えば、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機繊維で構成されるシート;ポリエステル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維で構成されるシート等が挙げられる。多孔質シートは、液体含浸性の観点から、好ましくは、チタン紙、薄葉紙、クラフト紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙等であり、さらに好ましくは、チタン紙である。基材シート21の坪量は、最終製品の用途、使用方法等により適宜調整することができるが、例えば40〜150g/m2程度である。基材シート21の厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜調整することができるが、例えば50〜170μmである。
基材シート21として使用可能な多孔質シート以外のシートとしては、例えば、熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン(高密度、中密度又は低密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型又はシンジオタクチック型)、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
基材シート21が多孔質シートである場合、多孔質シートの空隙には、硬化性樹脂の硬化物が充填されていることが好ましい。これにより、化粧板1Aの強度を向上させることができる。第2層4が硬化性樹脂の硬化物を含む場合、多孔質シートの空隙に充填された硬化性樹脂の硬化物は、第2層4に含まれる硬化性樹脂の硬化物と一体化されていることが好ましい。これにより、支持シート2と第2層4との接合強度を向上させることができる。例えば、第2層4を形成する際、第2層4の形成原料である硬化性樹脂組成物を多孔質シートに含浸させて硬化させることにより、多孔質シートの空隙に充填された硬化性樹脂の硬化物と、第2層4に含まれる硬化性樹脂の硬化物とを一体化することができる。
なお、本発明には、基材シート21として使用される多孔質シートの空隙に硬化性樹脂の硬化物が充填されていない実施形態、基材シート21として多孔質シートの空隙に硬化性樹脂の硬化物が充填されているが、多孔質シートの空隙に充填された硬化性樹脂の硬化物が、第2層4に含まれる硬化性樹脂の硬化物と一体化されていない実施形態等も包含される。
基材シート21は、着色されていてもよい。基材シート21の製造段階(例えば、基材シート21が紙であれば、抄造段階)において、形成原料に着色剤(顔料又は染料)を配合することにより、基材シート21を着色することができる。また、第2層4を形成する際、第2層4の形成原料として、着色剤を含む樹脂組成物を使用し、これを基材シート21に含浸させることにより、基材シート21を着色することができる。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の粒子からなる無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の粒子からなる有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。着色剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。着色剤の配合量は、所望の色合い等に応じて適宜調整することができる。
基材シート21は、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の添加剤を含んでもよい。
装飾層
図1に示すように、装飾層22は、基材シート21の第1主面T1に設けられている。装飾層22は、基材シート21の第1主面T1の全体に形成されていてもよいし、基材シート21の第1主面T1の一部に形成されていてもよい。装飾層22が基材シート21の第1主面T1の全体に形成される場合、支持シート2の第1主面S1は装飾層22の表面により形成される。装飾層22が基材シート21の第1主面T1の一部に形成される場合、支持シート2の第1主面S1は、基材シート21の第1主面T1の一部(装飾層22が設けられていない部分)及び装飾層22の表面により形成される。
なお、本発明には、装飾層22が基材シート21の第1主面T1に形成されていない実施形態も包含される。装飾層22が基材シート21の第1主面T1に形成されていない実施形態において、支持シート2の第1主面S1は、基材シート21の第1主面T1により形成される。
装飾層22は、化粧板1Aに装飾性(意匠性)を付与する。装飾層22としては、例えば、着色層、絵柄層、これらの組み合わせ等が挙げられる。
着色層は、化粧板1Aに所望の色を付与する。着色層は、例えば、基材シート21の第1主面T1の全体に形成された全面ベタ層である。着色層の色は、通常、不透明色であるが、基材シート21等の下地の色又は模様を活かす場合には、透明色であってもよい。また、基材シート21等の下地の色又は模様を活かす場合には、着色層を形成しなくてもよい。
絵柄層は、化粧板1Aに所望の模様を付与する。絵柄層は、例えば、基材シート21の第1主面T1の一部又は全体あるいは着色層の表面の一部又は全体に形成された印刷層である。模様層を構成する模様としては、例えば、年輪断面の春材領域及び秋材領域、導管部等から構成される木目模様、レザー(皮シボ)模様、大理石、花崗岩、砂岩等の石材表面の石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
装飾層22の厚みは、製品特性等に応じて適宜調整することができるが、例えば0.1〜20μm程度である。
第1層
図1に示すように、第1層3は、支持シート2の第1主面S1の一部に、例えば所望の模様状で、設けられている。第1層3は、隣接する第2層4よりも厚みが小さい部分を有しており、この部分が、隣接する第2層4の開口部40から露出して、化粧板1Aの表面の凹部5の底部を形成している。
支持シート2の第1主面S1のうち、第1層3が設けられる領域は、連続した1つの領域であってもよいし、不連続な複数の領域であってもよい。第1層3は、連続した1つの層で構成されていてもよいし、不連続な複数の層で構成されていてもよい。第1層3が連続した1つの層で構成される場合、第1層3の厚みは部分的に異なっていてもよい。第1層3が不連続な複数の層で構成される場合、各層の厚みは部分的に異なっていてもよいし、ある層の厚みと別の層の厚みは異なっていてもよい。第1層3の厚み、例えば0.1〜20μm程度である。
第1層3は、例えば、樹脂層である。樹脂層としては、例えば、硬化樹脂層、熱可塑性樹脂層等が挙げられる。第1層3は、異なる材料で構成された2種以上の層を含んでもよい。
硬化樹脂層は、硬化性樹脂組成物の硬化により形成された層であり、硬化性樹脂の硬化物を含む。硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。表面硬度(耐傷性)、凸形状保持性、生産性等の観点から、硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂の少なくとも一部が電離放射線硬化性樹脂であることが好ましく、硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂の全部が電離放射線硬化性樹脂であることがさらに好ましい。
第1層3は、支持シート2の第1主面S1に所定のパターンで形成されていることが好ましく、装飾層22が形成する絵柄模様のうち視覚的に凹部又は低光沢(艷消)としたい領域と位置同調したパターンで形成されていることがさらに好ましい。第1層3が形成するパターンとしては、例えば、装飾層22が木目模様の場合は木目板の導管部、春材領域等の凹部又は低光沢領域、石目模様の場合はトラバーチン大理石板の凹陥部、花崗岩板の劈開面の凹部等の石板表面凹凸、布目模様の場合は布表面テクスチャア、レザー模様の場合は皮シボの皺形状、タイル貼模様や煉瓦積模様の場合は目地凹部、其の他、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝、文字、記号、幾何学模様等のパターンが挙げられる。
第1層3の厚みは特に限定されないが、例えば0.1〜20μm程度である。
第1層3は、シリコーン系離型剤を含んでもよい。第1層3に含まれるシリコーン系離型剤は、第1層3の形成原料に添加されるシリコーン系離型剤(シリコーンオイル)に由来する。第1層3の形成原料に添加されるシリコーン系離型剤は、反応性シリコーン系離型剤であってもよいし、非反応性シリコーン系離型剤であってもよい。第1層3の形成原料に添加されるシリコーン系離型剤が反応性シリコーン系離型剤である場合、シリコーン系離型剤は、第1層3のその他の成分(例えば、硬化性樹脂の硬化物等)と結合した状態で第1層3に含まれ得る。シリコーン系離型剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第2層
図1に示すように、第2層4は、支持シート2の第1主面S1の残部に設けられている。「第1主面S1の残部」は、支持シート2の第1主面S1のうち、第1層3が設けられていない領域を意味する。支持シート2の第1主面S1のうち、第2層4が設けられる領域は、連続した1つの領域であってもよいし、不連続な複数の領域であってもよい。第2層4は、例えば、第1層3の一部又は全体を囲むように設けることができる。第2層4は、連続した1つの層で構成されていてもよいし、不連続な複数の層で構成されていてもよい。第2層4が連続した1つの層で構成される場合、第2層4の厚みは部分的に異なっていてもよい。第2層4が不連続な複数の層で構成される場合、各層の厚みは部分的に異なっていてもよいし、ある層の厚みと別の層の厚みは異なっていてもよい。なお、化粧板1A表面に発現する凹凸形状の輪郭形状の明瞭化及び第1層3と第2層4との表面高低差の確保の点からは、第1層3の直上部に第2層4が全く残留しないことが好ましい。但し、第1層3上に一旦形成された第2層4の前駆層(被覆層CL)を、全く痕跡や残渣も無く完全に剥離及び除去することが困難な場合もある。その場合、凹部5と凸部(第2層4)とから成る凹凸形状の高低差が目視外観上で十分に確保され、且つ耐摩耗性等の表面物性上も実用上支障が無い範囲内においては、第1層3表面の全面にわたって第2層が残渣又は痕跡程度に微量に残留することは許容され得る。
第2層4が設けられている領域の面積(Sa)と、第1層3が設けられている面積(Sb)との面積比(Sa:Sb)は、好ましくは3:7〜9:1、さらに好ましくは5:5〜8:2である。面積比が上述の範囲内であると、化粧板1Aが表現する凹凸形状の意匠感がより鮮明となる。
第2層4のうち開口部40を囲む部分は、第1層3のうち第2層4の開口部40から露出する部分よりも厚みが大きい。第1層3と第2層4との表面高低差は、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜30μmである。表面高低差が上述の範囲内であると、化粧板1Aが表現する凹凸形状の意匠感がより鮮明となる。
第1層3と第2層4との表面高低差は、株式会社小坂研究所製 三次元表面粗さ測定器SE−30Kを使用して、JIS B 0601:2013に規定された方法に従って測定する。具体的には、化粧板表面のうち、第1層3が形成されていない領域(第2層4が形成されている領域)と、第1層3が形成されている領域(被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1が剥離された部分)との高低差を測定する。この際、表面の最大高さ粗さ(Rz)を表面高低差のパラメ−タ−として使用し、10箇所の平均値を「表面高低差」とする。
第2層4は、例えば、樹脂層である。樹脂層としては、例えば、硬化樹脂層、熱可塑性樹脂層等が挙げられる。第2層4は、異なる材料で構成された2種以上の層を含んでもよい。
硬化樹脂層は、硬化性樹脂組成物の硬化により形成された層であり、硬化性樹脂の硬化物を含む。硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。第1層3が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化により形成された硬化樹脂層である場合、第2層4は、熱硬化性樹脂組成物の硬化により形成された硬化樹脂層であることが好ましい。
第2層4の厚みは、第1層3の厚みとの関係で適宜調整することができるが、基材シート21と第2層4との厚みの合計は、50〜300μm程度が好ましい。
第2層は、シリコーン系離型剤を含む。第2層4に含まれるシリコーン系離型剤は、第2層4の形成原料に添加されるシリコーン系離型剤(シリコーンオイル)に由来する。第2層4の形成原料に添加されるシリコーン系離型剤は、反応性シリコーン系離型剤であってもよいし、非反応性シリコーン系離型剤であってもよいが、好ましくは、非反応性シリコーン系離型剤である。第2層4の形成原料に添加されるシリコーン系離型剤が反応性シリコーン系離型剤である場合、シリコーン系離型剤は、第2層4のその他の成分(例えば、硬化性樹脂の硬化物等)と結合した状態で第2層4に含まれ得る。シリコーン系離型剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第2層4の形成原料として熱硬化性樹脂組成物が使用され、熱硬化性樹脂組成物が未硬化状態にある水溶性熱硬化性樹脂組成物(例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂等)を含む場合、シリコーン系離型剤として、ポリエーテル変性シリコーンを使用することが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンは、水溶性、水分散性等の特性を有するので、シリコーン系離型剤がポリエーテル変性シリコーンであると、シリコーン系離型剤が水溶性熱硬化性樹脂組成物と混和しやすくなり、シリコーン系離型剤の局在化を防止しつつ、シリコーン系離型剤の離型性を効果的に発揮させることができる。第2層4は、ポリエーテル変性シリコーン以外の非反応性シリコーンを含んでいてもよい。ポリエーテル変性シリコーン以外の非反応性シリコーンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第2層4の形成原料として熱硬化性樹脂組成物が使用され、熱硬化性樹脂組成物が未硬化状態にある水溶性熱硬化性樹脂組成物(例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂等)を含む場合、シリコーン系離型剤として、6以上16以下のHLB値を有するシリコーン系離型剤(特に、6以上16以下のHLB値を有するポリエーテル変性シリコーン)を使用することが好ましい。シリコーン系離型剤のHLB値は、さらに好ましくは10以上15以下、さらに一層好ましくは12以上14以下である。HLB値が高いほど、シリコーン系離型剤が水溶性熱可塑性樹脂と混和しやすくなり、シリコーン系離型剤の局在化を防止することができるが、HLB値が高すぎると、シリコーン系離型剤の離型性が低下するおそれがある。シリコーン系離型剤のHLB値が上記範囲であると、シリコーン系離型剤の局在化を防止しつつ、シリコーン系離型剤の離型性を効果的に発揮させることができる。なお、HLB(親水性親油性バランス:Hydrophile-Lypophile Balance)値は、界面活性剤の水及び油への親和性を示す値であり、グリフィン法により次式から求めることができる。
HLB=20×[(界面活性剤中に含まれる親水基の分子量)/(界面活性剤の分子量)]
熱硬化性樹脂組成物
第1層3及び/又は第2層4の形成原料としては、熱硬化性樹脂組成物を使用することができる。特に、第2層4の形成原料として、熱硬化性樹脂組成物を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。第2層4の形成原料として使用される熱硬化性樹脂組成物は、メラミン樹脂を含むことが好ましい。メラミン樹脂は、耐熱性及び耐汚染性があり、硬度が高い点で好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、熱硬化性樹脂の硬化反応に関与する成分、例えば、触媒、硬化剤(架橋剤、重合開始剤、重合促進剤等を含む)等を含んでもよい。例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の硬化剤としては、イソシアネート、有機スルホン酸塩等が挙げられ、エポキシ樹脂等の硬化剤としては、有機アミン等が挙げられ、不飽和ポリエステル樹脂のラジカル開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物
第1層3及び/又は第2層4の形成原料としては、電離放射線硬化性樹脂組成物を使用することができる。特に、第1層3の形成原料として、電離放射線硬化性樹脂組成物を使用することが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線としては、例えば、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等が挙げられるが、好ましくは、紫外線、電子線等である。
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合、エポキシ基等を分子中に有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー等の1種以上を使用することができる。特に、多官能モノマー及びオリゴマーの1種以上を使用することが好ましい。電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂、シロキサン等のケイ素樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
重合性モノマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられる。特に、多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを併用してもよい。
重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。また、重合性オリゴマーとしては、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーとしては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは500以上、さらに好ましくは1000以上である。電離放射線硬化性樹脂の重量平均分子量が上記範囲であると、第1層3及び/又は第2層4を形成する際、形成原料として使用される硬化性樹脂組成物が、基材シート21へ浸み込みにくいので、第1層3及び/又は第2層4を形成しやすい。この効果は、基材シート21が多孔質シートである場合に大きい。
電離放射線硬化性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは80000以下、さらに好ましくは50000以下である。電離放射線硬化性樹脂の重量平均分子量が上記範囲であると、樹脂組成物の粘度を、塗布に適した粘度に調整しやすい。
なお、「重量平均分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレンを標準物質に用いて測定される値である。
電離放射線硬化性樹脂は、重量平均分子量が500以上である多官能モノマー及びオリゴマーから選択される少なくとも1種であることが好ましい。このような多官能モノマー又はオリゴマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、電離放射線硬化性樹脂の硬化反応に関与する成分、例えば、光重合開始剤(増感剤)を含んでもよい。例えば、紫外線の照射により電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させる場合、電離放射線硬化性樹脂組成物は光重合開始剤(増感剤)を含むことが好ましい。なお、電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するので、電子線の照射により電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させる場合、電離放射線硬化性樹脂組成物は光重合開始剤(増感剤)を含まなくてもよい。
電離放射線硬化性樹脂がラジカル重合性不飽和基を有する場合、光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種を使用することができる。また、電離放射線硬化性樹脂組成物がカチオン重合性官能基を有する場合、光重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種を使用することができる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して、通常0.1〜10質量部程度である。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、耐熱性及び架橋密度を向上させるために、多官能の重合性モノマーを含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物
第1層3及び/又は第2層4の形成原料としては、熱可塑性樹脂組成物を使用することができる。熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン(高密度、中密度又は低密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型又はシンジオタクチック型)、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
シリコーン系離型剤
シリコーン系離型剤は、第2層4に含まれる。また、シリコーン系離型剤は、第1層3に含まれ得る。シリコーン系離型剤は、オルガノポリシロキサン構造を基本構造とし、側鎖及び/又は末端に有機基が導入された変性シリコーンである。有機機が導入される末端は、片方の末端であってもよいし、両方の末端であってもよい。
反応性シリコーン系離型剤は、側鎖及び/又は末端に有機基が導入された変性シリコーンのうち、導入する有機基の性質によって反応性を有するものをいう。反応性シリコーン系離型剤としては、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、異種官能基変性シリコーン等が挙げられる。より具体的には、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、メルカプト変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、カルビノール変性ポリジメチルシロキサン、フェノール変性ポリジメチルシロキサン、メタクリル変性ポリジメチルシロキサン、異種官能基変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。反応性シリコーン系離型剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
非反応性シリコーン系離型剤は、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の反応性官能基を有しないシリコーンであれば特に制限されない。非反応性シリコーン系離型剤としては、例えば、ポリシロキサンからなるシリコーンのほか、ポリエーテル変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、フロロアルキル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、高級脂肪酸アミド変性シリコーン、フェニル変性シリコーン等が挙げられる。より具体的には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリジメチルシロキサン、フロロアルキル変性ポリジメチルシロキサン、長鎖アルキル変性ポリジメチルシロキサン、高級脂肪酸エステル変性ポリジメチルシロキサン、高級脂肪酸アミド変性ポリジメチルシロキサン、フェニル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。非反応性シリコーン系離型剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリエーテル変性シリコーン
第2層4の形成原料として熱硬化性樹脂組成物が使用され、熱硬化性樹脂組成物が水溶性熱可塑性樹脂組成物(例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂等)を含む場合、シリコーン系離型剤として、ポリエーテル変性シリコーンを使用することが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンは、主鎖がポリシロキサンであり、1個以上のポリオキシアルキレン基を置換基として有するものである。主鎖は環を形成していてもよい。
ポリエーテル変性シリコーンにおけるポリオキシアルキレン基の結合位置は、任意の適切な結合位置であり得る。例えば、ポリオキシアルキレン基は、主鎖の両末端に結合されていてもよいし、主鎖の片末端に結合されていてもよいし、側鎖に結合されていてもよい。ポリエーテル変性シリコーンは、ポリオキシアルキレン基が側鎖に結合された側鎖型ポリエーテル変性シリコーンであることが好ましい。
側鎖型ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、一般式(1)で表される。
一般式(1)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基を表し、R1は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R2は水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基を表し、R3は−(C2H4O)a−(C3H6O)b−で表されるポリオキシアルキレン基であり、aは1〜50であり、bは0〜30であり、mは1〜7000であり、nは1〜50である。
一般式(1)中、Rは、好ましくはメチル基である。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、信越シリコーン(株)製の商品名「KF−6011」(HLB:14.5)、「KF−6011P」(HLB:14.5)、「KF−6012」(HLB:7.0)、「KF−6013」(HLB:10.0)、「KF−6015」(HLB:4.5)、「KF−6016」(HLB:4.5)、「KF−6017」(HLB:4.5)、「KF−6017P」(HLB:4.5)、「KF−6043」(HLB:14.5)、「KF−6004」(HLB:9.0)、「KF351A」(HLB:12)、「KF352A」(HLB:7)、「KF353」(HLB:10)、「KF354L」(HLB:16)、「KF355A」(HLB:12)、「KF615A」(HLB:10)、「KF945」(HLB:4)、「KF−640」(HLB:14)、「KF−642」(HLB:12)、「KF−643」(HLB:14)、「KF−644」(HLB:11)、「KF−6020」(HLB:4)、「KF−6204」(HLB:10)、「X22−4515」(HLB:5)等の側鎖型(直鎖タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイル;信越シリコーン(株)製の商品名「KF−6028」(HLB:4.0)、「KF−6028P」(HLB:4.0)等の側鎖型(分岐鎖タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイル;信越シリコーン(株)製の商品名「KF−6038」(HLB:3.0)等の側鎖型(分岐鎖タイプ、アルキル共変性タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
補強層
補強層6は、化粧板1Aを補強する層である。図1に示すように、補強層6は、支持シート2の主面のうち、第1層3及び第2層4と反対側の主面、すなわち第2主面S2に積層されている。補強層6は、例えば、多孔質シートと、多孔質シートの空隙に存在する熱硬化性樹脂の硬化物とを有する。補強層6は、例えば、熱硬化性樹脂含浸シートを加熱して、熱硬化性樹脂を硬化させることにより形成することができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化性ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂含浸シートとしては、例えば、メラミン樹脂化粧板等のコア紙として汎用されているフェノール樹脂含浸紙等が挙げられる。
フェノール樹脂含浸紙は、一般に、坪量150〜250g/m2程度のクラフト紙にフェノール樹脂を含浸率45〜60%程度となるように含浸し、100〜140℃程度で乾燥させることにより製造された紙である。フェノール樹脂含浸紙には、市販品を使用することができる。フェノール樹脂含浸紙を積層する際には、必要に応じて、支持シート2の第2主面S2にコロナ放電処理を施したり、プライマー層を形成したりしてもよい。
化粧板1Aは、必要に応じて、補強層6の両面のうち一方又は両方に積層されたその他の補強層を有していてもよい。例えば、化粧板1Aがメラミン樹脂化粧板である場合、補強層6として使用されるコア紙の黒褐色の色調が化粧板表面から透視されることを隠蔽するために、チタン白顔料を混抄した所謂チタン紙からなるバリアー紙を、コア紙と支持シート2との間に積層することができる。また、熱圧成形の際に生じる化粧板1Aの反りを相殺するために、チタン紙からなるバランス紙等を、補強層6の裏面(支持シート2の第2主面S2とは反対側の面)に積層することができる。これらのその他の補強層は、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含む未硬化状態の樹脂組成物を含浸した上で、その他の層(例えば、支持シート2)と共に熱圧成形することにより、その他の層と一体化することができる。
接着剤層
化粧板1Aは、必要に応じて、接着剤層を有していてもよい。接着剤層は、例えば、支持シート2と第1層3との間、及び/又は、支持シート2と第2層4との間に、これらの層の密着性を高めるため形成することができる。接着剤層は、透明性接着剤層であることが好ましい。「透明性」には、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも包含される。
接着剤は特に限定されず、化粧板の分野で公知の接着剤を適宜選択して使用することができる。接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。接着剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も使用可能である。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みは、例えば0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度である。
プライマー層
化粧板1Aは、支持シート2の第2主面S2、補強層6の裏面(支持シート2の第2主面S2と反対側の面)等に、必要に応じて、プライマー層を有していてもよい。プライマー層を設けると、例えば、化粧板1Aと被着材とを積層して、化粧部材を製造する際に有用である。被着材としては、例えば、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等が挙げられる。具体的には、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として使用される木質部材;鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として使用される金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として使用される窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として使用される樹脂部材等が挙げられる。また、これらの部材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
被着材は、用途に応じて適宜選択すればよく、壁、天井、床等の建築物の内外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具を用途とする場合は、木質部材、金属部材、樹脂部材、これらの組み合わせた部材が好ましい。被着材の厚さは、用途及び材料に応じて適宜選択すればよく、通常0.1〜5mm、好ましくは0.1〜3mmである。
プライマー層は、公知のプライマー剤を、支持シート2の第2主面S2、補強層6の裏面(支持シート2の第2主面S2と反対側の面)等に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜調整することができる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m2、好ましくは0.1〜50g/m2程度である。プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
化粧板1Aは、鮮明な凹凸形状が賦形されており、グロスマット調の凹凸形状を含む凹凸形状の意匠感を表現することができるので、意匠性の高い化粧板である。化粧板1Aは、所定の成形加工等を施し、各種用途に用いることができる。例えば、化粧板1Aを木質基材、金屬基材、非金屬無機質基材、樹脂基材等の基材上に積層し、壁、天井、床等の建築物の内装、車輛、船舶等の乗物の内裝、家具又は弱電又はOA機器のキャビネット等に利用することができる。木質基材として、具体的には、杉、檜、欅、松、樫、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、集成材、チップボード、又はチップボードが積層された複合基材等が挙げられる。金屬基材としては、鉄、銅、アルミニウム、チタニウム等の金屬単体、或いはこれら金屬の1種以上を含む合金からなる基材等が挙げられる。非金屬無機材料基材としては、珪酸カルシウム、石膏、セメント、陶磁器等の窯業系材料、或いは花崗岩、石灰岩等の石材からなる基材等が挙げられる。樹脂基材としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等からなる基材等が挙げられる。
化粧板の製造方法
以下、図面に基づいて、本発明の第1実施形態に係る化粧板の製造方法について説明する。図2及び図3は、本発明の第1実施形態に係る化粧板の製造方法の一実施形態を説明するための説明図である。なお、図3は、図2の続きである。
本実施形態に係る化粧板1Aの製造方法は、
(1)第1主面S1及び第1主面S1の反対側に位置する第2主面S2を有する支持シート2を準備する工程、
(2)支持シート2の第1主面S1の一部に第1層3を形成する工程、
(3)支持シート2の第1主面S1の残部及び第1層3の少なくとも一部を被覆し、かつ、シリコーン系離型剤を含む被覆層CLを形成する工程、及び
(4)被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離して、支持シート2の第1主面の残部に第2層を形成する工程
を含む。
以下、各工程について説明する。
工程(1)
工程(1)では、図2(a)に示すように、第1主面S1及び第1主面S1の反対側に位置する第2主面S2を有する支持シート2を準備する。
図2(a)に示すように、支持シート2は、支持シート2の第1主面S1側に位置する第1主面T1及び支持シート2の第2主面S2側に位置する第2主面T2を有する基材シート21と、基材シート21の第1主面T1に設けられた装飾層22とを有する。
支持シート2は、基材シート21の第1主面T1に装飾層22を形成することにより製造することができる。基材シート21の第1主面T1に装飾層22を形成する前に、基材シート21の第1主面T1に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の処理を施してもよい。これにより、装飾層22の密着性を高めることができる。
装飾層22は、例えば、着色層、絵柄層又はこれらの組み合わせである。
着色層は、例えば、基材シート21の第1主面T1の全面に形成されたベタ層である。ベタ層の形成方法としては、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等のコーティング法が挙げられる。
絵柄層は、例えば、印刷法により基材シート21の第1主面T1の一部又は全体或いは着色層の表面の一部又は全体に形成された印刷層である。絵柄層の形成に使用される印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。
装飾層22の形成に使用されるインキは、例えば、溶剤又は分散媒と、着色剤、バインダー樹脂等の成分との混合物である。インキは、その他の成分として、着色剤、体質顔料、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含んでもよい。インキは、シートのVOC(揮発性有機化合物)を低減する観点から、水性組成物であってもよい。
インキに含まれる着色剤としては、例えば、カーボンブラック、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
インキに含まれるバインダー樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
インキに含まれる溶剤又は分散媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。溶剤又は分散媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
装飾層22は、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法等の方法により形成してもよい。また、装飾層22がアルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属層(金属薄膜)である場合、蒸着法、スパッタリング法、エッチング法等の方法により装飾層22を形成することができる。
装飾層22の厚みは、製品特性に応じて適宜調整することができるが、インキ塗工時の厚みは、例えば1〜200μm程度であり、乾燥後の厚みは、例えば0.1〜20μm程度である。
工程(2)
工程(2)では、図2(b)に示すように、支持シート2の第1主面S1の一部に第1層3を形成する。これにより、支持シート2と、支持シート2の第1主面S1の一部に形成された第1層3とを備える中間体M1が形成される。
第1層3を形成するための樹脂組成物(塗工液)としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物等を使用することができる。熱硬化性樹脂組成物を使用する場合、例えば、支持シート2の第1主面S1の一部に熱硬化性樹脂組成物を所定の模様状に印刷し、加熱して硬化させることにより、第1層3を形成することができる。電離放射線硬化性樹脂組成物を使用する場合、例えば、支持シート2の第1主面S1の一部に電離放射線硬化性樹脂組成物を所定の模様状に印刷し、電離放射線を照射して硬化させることにより、第1層3を形成することができる。熱可塑性樹脂組成物を使用する場合、例えば、支持シート2の第1主面S1の一部に熱可塑性樹脂組成物を所定の模様状に印刷して乾燥させることにより、第1層3を形成することができる。第1層3の形成に使用される印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。第1層3を形成するための樹脂組成物は印刷法以外の方法で支持シート2の第1主面S1の一部に塗布してもよく、樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法等の塗布法が挙げられる。
第1層3を形成するための樹脂組成物がシリコーン系離型剤(シリコーンオイル)を含む場合、シリコーン系離型剤は、樹脂組成物の硬化時に、第1層3の表面に配向するので、第1層3に離型性が付与される。これにより、工程(4)において、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離する際、第1層3を被覆する部分CL1の剥離性を向上させることができる。
第1層3を形成するための樹脂組成物(塗工液)としては、電離放射線硬化性樹脂を使用することが好ましい。この場合、第1層3は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層であり、工程(2)は、(2−1)支持シート2の第1主面S1の一部を、電離放射線硬化性樹脂組成物で被覆する工程、及び、(2−2)電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化樹脂層を第1層3として形成する工程を含む。
電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させるための電離放射線として紫外線を使用する場合には、紫外線源として、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源を使用することができる。紫外線の波長は、例えば、190〜380nm程度である。電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させるための電離放射線として電子線を使用する場合には、電子線源として、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の電子線加速器を使用することができる。電子線のエネルギーは、好ましくは100〜1000keV程度、さらに好ましくは100〜300keV程度である。電子線の照射量は、好ましくは2〜15Mrad程度である。
第1層3を形成するための塗工液は、体質顔料を含むことが好ましい。これにより、塗工液にチキソトロピー性を付与することができ、版を用いて塗工液を印刷する際に、塗工液の模様形状を維持させることができる。体質顔料としては、例えば、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらのうち、材料設計の自由度が高く、意匠性、白さ及びインキとしての塗工安定性に優れた材料であるシリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。
塗工液における体質顔料の含有量は、塗工液に含まれる樹脂100質量部あたり、通常0.1〜20質量部程度、好ましくは0.5〜15質量部程度、さらに好ましくは2〜15質量部程度であり、さらに一層好ましくは5〜15質量部程度である。体質顔料の含有量を上記範囲とすることにより、塗工液に十分なチキソトロピー性を付与することができるとともに、隆起形状及び微細凹凸面の発現を付与する効果が得られる。
塗工液は、無色であってもよいし、着色されていてもよい。着色する場合には、装飾層で使用する着色剤と同様のものを使用することができる。
塗工液は、粘度を調整する目的で溶媒を含んでもよい。溶媒としては、水;トルエン、キシレン等の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、メチルグリコール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;テロラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。塗工液中の溶媒の量は、塗工液の粘度に応じて適宜設定することができる。
塗工液には、望まれる物性に応じて、公知の添加剤を適宜配合することができる。添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、熱ラジカル発生剤、アルミキレート剤等が挙げられる。
第1層3は、支持シート2の第1主面S1に所定のパターンで形成することが好ましい。第1層3のパターンは、化粧板1A表面において凹部又は低光沢(艷消)領域となる領域に対応することが好ましい。第1層3のパターンとしては、例えば、木目板の導管部、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝、文字、記号、幾何学模様等が挙げられる。
第1層3の厚みは特に限定されず、塗工時の厚みは、例えば1〜100μm程度、乾燥後の厚みは、例えば0.1〜20μm程度である。
工程(3)
例えば、被覆層CLが、熱硬化性樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層である場合、工程(3)は、(3−1)支持シート2の第1主面S1の残部及び第1層3の少なくとも一部を、熱硬化性樹脂及びシリコーン系離型剤を含む熱硬化性樹脂組成物で被覆する工程、及び、(3−2)熱硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化樹脂層を被覆層CLとして形成する工程を含む。
例えば、基材シート21が多孔質シートであり、被覆層CLが、熱硬化性樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層である場合、工程(3)は、(3−1)支持シート2の第1主面S1の残部及び第1層3の少なくとも一部を、熱硬化性樹脂及びシリコーン系離型剤を含む熱硬化性樹脂組成物で被覆する工程、及び、(3−2)熱硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化樹脂層を被覆層CLとして形成する工程を含み、工程(3−1)において、多孔質シートに前記熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、工程(3−2)において、前記多孔質シートに含浸させた前記熱硬化性樹脂組成物を硬化させることができる。
工程(3)では、まず、図2(c)に示すように、支持シート2の第1主面S1の残部(すなわち、支持シート2の第1主面S1のうち第1層3が形成されていない領域)及び第1層3の少なくとも一部を、第2層4を形成するための樹脂組成物(塗工液)で被覆し、必要に応じて乾燥する。これにより、支持シート2と、支持シート2の第1主面S1の一部に形成された第1層3と、支持シート2の第1主面S1の残部及び第1層3の少なくとも一部を被覆する樹脂組成物層PCとを備える中間体M2が形成される。
第2層4を形成するための樹脂組成物(塗工液)としては、例えば、シリコーン系離型剤(シリコーンオイル)を含む熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂組成物等を使用することができる。第1層3を形成するための樹脂組成物として電離放射線硬化性樹脂を使用する場合、第2層4を形成するための樹脂組成物として、シリコーン系離型剤(シリコーンオイル)を含む熱硬化性樹脂組成物を使用することが好ましい。
支持シート2の第1主面S1の残部及び第1層3の少なくとも一部を樹脂組成物で被覆する際、樹脂組成物は、例えば、支持シート2の第1主面S1側から供給される。基材シート21として多孔質シートが使用される場合、供給された樹脂組成物のうち、一部は基材シート21に含浸し、多孔質シートに含浸されない残部は、支持シート2の第1主面S1の残部及び第1層3の少なくとも一部を被覆する。なお、樹脂組成物は、第1層3には含浸されず、第1層3を被覆する。樹脂組成物の基材シート21への含浸を促進するために、支持シート2の第1主面S1側からの樹脂組成物の供給に加えて、支持シート2の第2主面S2側からの樹脂組成物の供給を行ってもよい。基材シート21として多孔質シートが使用される場合、支持シート2の第2主面S2側からの樹脂組成物の供給のみを行ってもよい。支持シート2の第2主面S2側からの樹脂組成物の供給のみが行われる場合も同様に、供給された樹脂組成物のうち、一部は、基材シート21に含浸し、多孔質シートに含浸されない残部は、支持シート2の第1主面S1の残部及び第1層3の少なくとも一部を被覆する。樹脂組成物の供給方法としては、例えば、樹脂組成物への浸漬;キスコーター、コンマコーター等のコーターによる塗布;スプレー装置、シャワー装置等による吹き付け等が挙げられる。
なお、樹脂組成物は第1層3の少なくとも一部を被覆していればよく、例えば、第1層3が占める全面積(支持シート2の第1主面S1のうち第1層3が設けられている領域の面積)の30%以上が樹脂組成物により被覆されていればよい。第1層3の全面積における樹脂組成物の被覆割合は、50〜100%程度であることが好ましい。
樹脂組成物層PCの厚みは特に限定されず、支持シート2と樹脂組成物層PCとの厚みの合計は、塗工時では、例えば50〜500μm程度であり、乾燥後では、例えば50〜300μm程度である。
多孔質シートの空隙に充填される樹脂組成物の充填率は、化粧板1Aに求められる性能、多孔質シートの空隙率等に応じて適宜調整することができる。樹脂組成物の充填率は、好ましくは30〜200%程度、さらに好ましくは50〜150%程度である。なお、樹脂組成物の充填率は、下記式により算出される。
充填率(%)=[(樹脂組成物を含浸させた後の多孔質シートの重量−樹脂組成物を含浸させる前の多孔質シートの重量)/樹脂組成物を含浸させる前の多孔質シートの重量]×100
樹脂組成物層PCを形成した後、硬化する前に、必要であれば、樹脂組成物層PCの表面の光沢を調整してもよい。例えば、樹脂組成物層PC上に光沢調整した賦型シートを積層した状態で硬化する方法、樹脂組成物層PC上にエンボス型板(テクスチャーを付けた鏡面板)を設置して硬化する方法等により、樹脂組成物層PCの表面の光沢を調整することができる。その後、工程(4)において、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離することにより、化粧板1Aの表面に賦型による細かな凹凸によって光沢を調整した部分と、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離することで得られる深いマット意匠部とを備えた立体的で深みのある意匠の化粧板1Aを得ることができる。
熱硬化性樹脂組成物を使用する場合、樹脂組成物層PCを加熱して硬化させることにより、硬化樹脂層が被覆層CLとして形成される。電離放射線硬化性樹脂組成物を使用する場合、樹脂組成物層PCに電離放射線を照射して硬化させることにより、硬化樹脂層が被覆層CLとして形成される。
第2層4を形成するための樹脂組成物に含まれるシリコーン系離型剤(シリコーンオイル)は、樹脂組成物の硬化時に、第2層4の表面に配向するので、第2層4に第1層3からの離型性が付与される。これにより、工程(4)において、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離する際、第1層3を被覆する部分CL1の剥離性を向上させることができる。シリコーン系離型剤が非反応性シリコーンオイルであると、シリコーン系離型剤が第2層4の表面に配向しやすい。
第2層4の形成原料として熱硬化性樹脂組成物が使用され、熱硬化性樹脂組成物が未硬化状態にある水溶性熱硬化性樹脂組成物(例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂等)を含む場合、シリコーン系離型剤として、ポリエーテル変性シリコーンオイルを使用することが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンオイルは、水溶性、水分散性等の特性を有するので、シリコーン系離型剤がポリエーテル変性シリコーンオイルであると、シリコーン系離型剤が水溶性熱可塑性樹脂と混和しやすくなり、シリコーン系離型剤の局在化を防止しつつ、シリコーン系離型剤の離型性を効果的に発揮させることができる。また、未硬化状態にある水溶性熱硬化性樹脂組成物と混和したシリコーン系離型剤により、水溶性熱硬化性樹脂の硬化が阻害され、熱硬化性樹脂の硬化物の強度を低下させることが予想される。熱硬化性樹脂の硬化物の強度の低下は、工程(4)において、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離する際、第1層3を被覆する部分CL1の剥離性の向上に寄与すると考えられる。熱硬化性樹脂組成物は、ポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルを含んでいてもよい。ポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第2層4の形成原料として熱硬化性樹脂組成物が使用され、熱硬化性樹脂組成物が未硬化状態にある水溶性熱硬化性樹脂組成物(例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂等)を含む場合、シリコーン系離型剤として、6以上16以下のHLB値を有するシリコーン系離型剤(特に、6以上16以下のHLB値を有するポリエーテル変性シリコーンオイル)を使用することが好ましい。シリコーン系離型剤のHLB値は、さらに好ましくは10以上15以下、さらに一層好ましくは12以上14以下である。HLB値が高いほど、シリコーンオイル系離型剤が未硬化状態にある水溶性熱硬化性樹脂組成物と混和しやすくなり、シリコーン系離型剤の局在化を防止することができるが、HLB値が高すぎると、シリコーン系離型剤の離型性が低下するおそれがある。シリコーン系離型剤のHLB値が上記範囲であると、シリコーン系離型剤の局在化を防止しつつ、シリコーン系離型剤の離型性を効果的に発揮させることができる。また、未硬化状態にある水溶性熱硬化性樹脂組成物と混和したシリコーン系離型剤により、未硬化状態にある水溶性熱硬化性樹脂組成物の硬化が阻害され、熱硬化性樹脂の硬化物の強度を低下させることが予想される。熱硬化性樹脂の硬化物の強度の低下は、工程(4)において、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離する際、第1層3を被覆する部分CL1の剥離性の向上に寄与すると考えられる。
シリコーン系離型剤(シリコーンオイル)の使用量は、第2層4を形成するための樹脂組成物に含まれる樹脂100質量部あたり、通常0.1〜50質量部程度、好ましくは0.5〜20質量部程度、さらに好ましくは3〜20質量部程度、さらに一層好ましくは3〜10質量部程度である。シリコーン系離型剤(シリコーンオイル)の使用量が上記範囲であると、工程(4)において、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離する際、第1層3を被覆する部分CL1の剥離性を向上させることができる。
第2層4を形成するための樹脂組成物として、シリコーン系離型剤(シリコーンオイル)を含む熱硬化性樹脂組成物を使用する場合、樹脂組成物層PCの硬化は以下のように行うことができる。
まず、図2(d)に示すように、樹脂組成物層PCに剥離フィルムPFを積層するとともに、支持シート2の第2主面S2に補強シートPPを積層する。これにより、支持シート2と、支持シート2の第1主面S1の一部に形成された第1層3と、支持シート2の第1主面S1の残部及び第1層3の少なくとも一部を被覆する樹脂組成物層PCと、樹脂組成物層PCに積層された剥離フィルムPFと、支持シート2の第2主面S2に積層された補強シートPPとを備える中間体M3が形成される。樹脂組成物層PCへの剥離フィルムPFの積層は、支持シート2の第2主面S2への補強シートPPの積層の前、後、同時のいずれの時点で行ってもよい。
剥離フィルムPFとしては、例えば、易接着性樹脂フィルムを使用することができる。易接着性樹脂フィルムとしては、例えば、熱可塑性樹脂フィルム等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂等のフィルムの単体、又は、これらのフィルムの積層体が挙げられる。
易接着性樹脂フィルムの表面には、易接着性樹脂の塗布によって易接着層が形成されていてもよい。易接着層の形成前に、易接着層の接着性を向上させるために、易接着性樹脂フィルムの表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の処理を施してもよい。
易接着層(プライマー層、アンカー層と呼ばれることもある)に含まれる樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
剥離フィルムPFとしては、剥離対象である樹脂皮膜(被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1)との剥離重さが調整された剥離フィルムを使用することが好ましい。例えば、メラミン樹脂の熱硬化皮膜の場合には、剥離重さを0.1〜10N/インチに調整することが好ましい。剥離重さが0.1未満ではメラミン樹脂の熱硬化皮膜を剥離することが難しく、剥離重さが10N/インチを超えると剥離フィルムが破断したり、剥離対象である樹脂皮膜以外の樹脂被膜(被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1以外の部分)も剥離されたりおそれがある。剥離重さが0.1〜10N/インチに調整された剥離フィルムを使用することにより、剥離対象である樹脂皮膜(被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1)を簡単に除去することができる。
剥離重さは、株式会社オリエンテック製テンシロン万能材料試験機RTC−1250Aを使用して測定される値であり、具体的な測定方法は次の通りである。後述する中間体M4において、剥離フィルムPFに1インチの巾に切り込みを入れ、剥離フィルムPFの一部を1インチの巾で剥がし、図8のように剥離フィルムPFの一部を剥がした中間体M4の一端(下部)を試験機に固定する。180°剥がした剥離フィルムPFを上部の方向(矢印方向)に100mm/分のスピードで剥離したときの重さを測定し、これを「剥離重さ」とする。
剥離重さが0.1〜10N/インチに調整された剥離フィルムとしては、例えば、基材フィルムと、該基材フィルム上に形成された硬化樹脂層とを有するフィルムを使用することができる。このフィルムは、硬化樹脂層側の面が樹脂組成物層PCと接するように使用されることが好ましい。基材フィルムは特に限定されず、例えば、紙、不織布、熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。基体フィルムは、熱可塑性樹脂シートが好ましく、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂シートが特に好ましい。基材フィルムの厚みは特に限定されず、通常10〜200μm程度である。また、硬化樹脂層は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化により形成された硬化樹脂層であることが好ましい。これにより、メラミン樹脂の熱硬化皮膜との剥離重さを0.1〜10N/インチに調整することが容易となる。電離放射線硬化性樹脂組成物については、上記の説明が適用される。電離放射線硬化性樹脂組成物は、剥離重さを調整する等の目的で、適宜、体質顔料等の成分を含んでいてもよい。硬化性樹脂層の厚みとしては、通常1〜30μm程度である。
補強シートPPとしては、例えば、熱硬化性樹脂含浸シートを使用することができる。熱硬化性樹脂含浸シートは、多孔質シートと、多孔質シートに含浸した熱硬化性樹脂とを有する。熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化性ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂含浸シートは、例えば、化粧板のコア紙として汎用されているフェノール樹脂含浸紙等が挙げられる。フェノール樹脂含浸紙とは、一般に、コア紙として坪量150〜250g/m2程度のクラフト紙にフェノール樹脂を含浸率45〜60%程度となるように含浸し、100〜140℃程度で乾燥させることにより製造された紙である。フェノール樹脂含浸紙には、市販品を使用することができる。フェノール樹脂含浸紙を積層する際には、必要に応じて、支持シート2の第2主面S2にコロナ放電処理を施したり、プライマー層を形成したりしてもよい。
次いで、図2(e)に示すように、中間体M3を2枚の鏡面加工金属板P1,P2の間に挟み、加圧及び加熱し、樹脂組成物層PCを硬化させる。これにより、硬化樹脂層が被覆層CLとして形成される。基材シート21として多孔質シートが使用される場合、多孔質シートの空隙に含浸した樹脂組成物も、この段階で硬化する。補強シートPPとして熱硬化性樹脂含浸シートが使用される場合、熱硬化性樹脂含浸シートの熱硬化性樹脂も、この段階で硬化し、補強層6が形成される。剥離フィルムPFは、この段階で被覆層CLと接着する。
加熱温度、加熱時間は、使用する熱硬化性樹脂の種類等により適宜調整することができる。例えば、イソシアネート硬化型不飽和ポリエステル樹脂又はウレタン硬化型ポリウレタン樹脂の場合は40〜60℃程度で1〜5日間程度であり、ポリシロキサン樹脂の場合は80〜150℃程度で1〜30分間程度であり、メラミン樹脂の場合は90〜160℃程度で30秒間〜30分間程度である。
鏡面加工金属板P1,P2によって加えられる圧力は、例えば5〜100kg/cm2程度である。
これにより、図3(f)に示すように、支持シート2と、支持シート2の第1主面S1の一部に形成された第1層3と、支持シート2の第1主面S1の残部及び第1層3の少なくとも一部を被覆する被覆層CLと、被覆層CL上に積層された剥離フィルムPFと、支持シート2の第2主面S2に積層された補強層6とを備える中間体M4が形成される。
工程(4)
工程(4)では、図3(g)に示すように、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離して、支持シート2の第1主面の残部に第2層を形成する。被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1は剥離されやすく、被覆層CLの残部CL2は剥離されにくいので、第1層3を被覆する部分CL1は剥離フィルムPFに接着したまま、剥離フィルムPFとともに剥離される一方、被覆層CLの残部CL2は、支持シート2の第1主面S1の残部に残り、第2層4を形成する。被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1が除去されることにより、第2層4の開口部40が形成されるとともに、第1層3の少なくとも一部が、第2層4の開口部40を通じて露出し、化粧板1Aの表面の凹部5が形成される。これにより、図3(h)に示すように、化粧板1Aが製造される。
第2層4に含まれるシリコーン系離型剤は、第2層4に離型性を付与するので、工程(4)において、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離しやすい。第1層3がシリコーン系離型剤を含む場合は、この効果が大きくなる。
被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離する方法は、剥離フィルムを使用した方法に限定されない。例えば、被覆層CLの表面に、マスキングフィルム等の保護フィルム、セロハンテープ、ガムテープ等の粘着テープ、賦型シート等を貼り付け、その後に該フィルムを剥がすと同時に剥離させる方法;被覆層CLの表面をバフ研磨、鑢、綿布、たわし、メラミンスポンジ、スチールウール、高圧洗浄機、粘着テープ、粘着ゴムローラー、粘着ゴムシート等で剥離する方法;被覆層CLに、予め溶剤に溶解させた塩化ゴム系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂液を塗工し、乾燥した後、剥離する方法;被覆層CLに、ホットメルト接着剤を塗工した後、低温下で剥離する方法;被覆層CLに、樹脂板又は金属板を貼り付けた後、剥離する方法等が挙げられる。
粘着テープ、マスキングテープ、賦型シート等のシートを用いて、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を被覆層CLの残部CL2から剥離する場合、剥離対象である樹脂皮膜(被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1)との剥離重さが調整されたシートを使用することが好ましい。例えば、メラミン樹脂の熱硬化皮膜の場合には、剥離重さを0.1〜10N/インチに調整することが好ましい。剥離重さが0.1未満ではメラミン樹脂の熱硬化皮膜を剥離することが難しく、剥離重さが10N/インチを超えるとシートがちぎれたり、剥離対象である樹脂皮膜以外の樹脂被膜(被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1以外の部分)も剥離されたりおそれがある。剥離重さが0.1〜10N/インチに調整されたシートを使用することにより、剥離対象である樹脂皮膜(被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1)を簡単に除去することができる。
剥離重さを0.1〜10N/インチに調整した賦型シートの粘着テープ、マスキングテープ、賦型シート等のシートは、被覆層CLの前駆体である樹脂組成物層PC上に積層してもよい。
上記方法により製造される化粧板1Aは、表面に凹凸形状を有する。したがって、化粧板1Aは、凹凸形状に基づいて、凹凸形状の意匠感を表現することができる。特に、上記製造方法の結果物である化粧板は、凹部5の表面(第2層4の開口部40から露出する第1層3の表面を含む)が相対的に粗面となり、入射光に対して拡散反射性を有する低光沢領域を構成するという特徴とともに、凸部を含む凹部5以外の領域の表面が相対的に鏡面となり、入射光に対して鏡面反射性を有する高光沢領域を構成するという特徴を有する。したがって、化粧板1Aは、凹凸形状に基づいて、グロスマット調の意匠感も表現することができる。例えば、化粧板1Aは、凹部がマット感を呈し、凸部がグロス感を呈するようなグロスマット調の凹凸形状を含む凹凸形状による外観を発現することができる。特に、凹凸形状を、平面視において装飾層22の絵柄模様と同調させることにより、化粧板1Aは、優れた凹凸形状の意匠感を表現することができる。例えば、装飾層22が木目模様を形成する場合、凹部を、木目模様の導管部と、両者の平面視における位置が一致するように、位置同調させることにより、化粧板1Aは、本物の木目模様と同様のグロスマット調の意匠感(質感)を含む外観を表現することができる。凹凸の差(第1層3の厚みと第2層4の厚みとの差)を大きくすることにより、凹凸形状の意匠感をより鮮明とすることができる。
[第2実施形態]
以下、図面に基づいて、本発明の第2実施形態に係る化粧板について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る化粧板の構成を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、本発明の第2実施形態に係る化粧板1Bは、第2層4上に設けられた耐摩耗層7Aを備える点で、化粧板1Aと異なる。それ以外の点は、化粧板1Aと同様であるので、説明を省略する。
耐摩耗層
耐摩耗層7Aの厚みは特に限定されず、耐摩耗性インキの塗工時の厚みは、例えば10〜100μm程度、乾燥後の厚みは、例えば2〜20μm程度である。
耐摩耗層7A及び第2層4の積層体と第1層3との表面高低差は、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜30μmである。表面高低差が上記範囲内であると、化粧板1Bが表現する凹凸形状の意匠がより鮮明となる。
耐摩耗層7A及び第2層4の積層体と第1層3との表面高低差は、株式会社小坂研究所製 三次元表面粗さ測定器SE−30Kを使用して、JIS B 0601:2013に規定された方法に従って測定する。具体的には、化粧板表面のうち、第1層3が形成されていない領域(耐摩耗層7A及び第2層4の積層体が形成されている領域)と、第1層3が形成されている領域(被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1が剥離された部分)との高低差を測定する。この際、表面の最大高さ粗さ(Rz)を表面高低差のパラメ−タ−として使用し、10箇所の平均値を「表面高低差」とする。
耐摩耗層7Aの形成には、例えば、耐摩耗性インキを使用することができる。耐摩耗性インキに含まれる樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を使用することができる。これらの樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。耐摩耗性インキに含まれる樹脂は、耐摩耗層の形成が容易な点で、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)が好ましい。耐摩耗性インキには、架橋剤、硬化剤、重合促進剤等を添加することができる。
耐摩耗性インキには、耐摩耗性を付与する目的で、フィラーを含有させることが好ましい。フィラーは特に限定されず、無機フィラー又は有機フィラーを使用することができる。
無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カオリン、クレー、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、焼成タルク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、燐酸マグネシウム等が挙げられる。
有機フィラーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;フッ素系樹脂;スチレン系樹脂;エポキシ系樹脂;メラミン系樹脂;尿素系樹脂;アクリル系樹脂;フェノール系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の共重合体を使用することもできる。
フィラーとしては、耐摩耗性に優れる点で、無機フィラーを使用することが好ましく、特に、アルミナ、シリカ、ジルコニアを使用することがより好ましい。フィラーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フィラーの形状は特に限定されず、多面体球状、球状、多面体形状等のいずれの形状であってもよい。
フィラーの平均粒子径は、好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜30μmである。フィラーの平均粒子径を上記範囲とすることで、耐摩耗層の耐摩耗性がより優れ、第2層4の表面の平滑性を損ねないので、第2層4の表面がグロスの意匠感を表現し易くなる。
なお、フィラーの平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定される値である。
フィラーのモース硬度の好ましい下限は4であり、好ましい上限は9である。さらに好ましい下限は7である。フィラーとして、モース硬度が上記範囲のものを使用することにより、化粧板1Bが、より優れた耐摩耗性を示すことができる。
なお、フィラーのモース硬度は、モース硬度計により測定される値である。具体的には、モース硬度は、軟らかい鉱物より硬い鉱物に至る10種の鉱物を箱に収め、軟らかいものから1度、2度、・・・・・10度として硬度の順位を示したものである。標準鉱物は次の通りである(数字は硬度を示す)。1:カッ石 2:セッコウ 3:ホウカイ石 4:ホタル石5:リンカイ石 6:セイチョウ石 7:セキエイ 8:トパズ9:コランダム 10:ダイヤモンド
硬さを求める鉱物試料の面を、これらの鉱物で引っ掻いて傷を付けようとするとき、それに抵抗する力(傷が付くか付かないか)により硬さを比較する。例えば、ホウカイ石に傷が付くときは、試料の硬さは3度より大きい。もし、ホタル石で傷が付き、逆にホタル石に傷が付かないときは、この試料の硬さは4度より小さい。このとき、試料の硬さは3乃至4または3.5と示す。互いに多少傷が付くときは、試料の硬さは用いた標準鉱物と同じ順位の硬さを示す。
耐摩耗性インキ中のフィラーの含有量は、耐摩耗性インキを100質量%として、5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。耐摩耗性インキ中のフィラーの含有量を上記範囲に調整することで、耐摩耗層の耐摩耗性がより優れ、第2層4の表面の平滑性を損ねないので、第2層4の表面がグロスの意匠感を表現し易くなる。
耐摩耗性インキは、無色であってもよいし、着色されていてもよい。着色する場合には、後述する絵柄模様層で使用する着色剤と同様のものを使用することができる。
耐摩耗性インキは、粘度を調整する目的で溶媒を含有してもよい。溶媒としては、水;トルエン、キシレン等の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、メチルグリコール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;テロラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。耐摩耗性インキ中の溶媒の量は、インキの粘度に応じて適宜設定することができる。
耐摩耗性インキには、得られる所望物性に応じて、公知の添加剤を配合することができる。添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、熱ラジカル発生剤、アルミキレート剤等が挙げられる。
耐摩耗層7Aは、第2層4の表面に耐摩耗性インキを塗布し、耐摩耗性インキに含まれる樹脂を乾燥及び/又は硬化させることにより形成することができる。耐摩耗性インキの塗布方法としては、例えば、ロールコート法、コンマコート法、カーテンコート法、スクイズコート法、ブレードコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
耐摩耗性インキに含まれる樹脂が熱硬化性樹脂である場合、耐摩耗層7Aは、例えば、化粧板1Aの製造方法に以下の変更を加えて形成することができる。すなわち、図5に示すように、工程(3−1)の後であって工程(3−2)の前に、支持シート2の第1主面S1の残部及び第1層3の少なくとも一部を被覆する熱硬化性樹脂組成物上に耐摩耗性インキを塗布し、次いで、工程(3−2)において、耐摩耗性インキに含まれる熱硬化性樹脂を硬化させて耐摩耗層7A’を形成する。工程(3−2)の後、化粧板1Aと同様の工程を経ることにより、耐摩耗層7Aを形成することができる。工程(4)では、被覆層CL及び耐摩耗層7A’のうち第1層3を被覆する部分を、被覆層CL及び耐摩耗層7A’の残部から剥離して、支持シート2の第1主面の残部に第2層4を形成するとともに、第2層4上に耐摩耗層7Aを形成する。被覆層CL及び耐摩耗層7A’のうち第1層3を被覆する部分は剥離フィルムPFに接着したまま、剥離フィルムPFとともに剥離される。一方、被覆層CL及び耐摩耗層7A’の残部は、支持シート2の第1主面S1の残部に残り、第2層4及び第2層4上の耐摩耗層7Aを形成する。被覆層CL及び耐摩耗層7A’のうち第1層3を被覆する部分が除去されることにより、第2層4の開口部40が形成されるとともに、第1層3の少なくとも一部が、第2層4の開口部40を通じて露出し、化粧板1Aの表面の凹部5が形成される。これにより化粧板1Bが製造される。
耐摩耗層7A’と剥離フィルムPFとの接着力は、被覆層CLと剥離フィルムPFとの接着力よりも弱いが、第2層4には、シリコーン系離型剤による離型性が付与されるので、被覆層CL上に耐摩耗層7A’が形成されている場合であっても、被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1を、剥離フィルムPFにより、被覆層CLの残部CL2から剥離することができる。第1層3もシリコーン系離型剤を含む場合、第1層3にも離型性が付与されるので、第1層3を被覆する部分CL1の剥離性を向上させることができる。
化粧板1Bは、耐摩耗性に優れるとともに、鮮明なグロスマット調の意匠感を含む表面の凹凸形状を表現することができる意匠性の高い化粧板である。化粧板1Bは、所定の成形加工等を施し、化粧板1Aと同様、各種用途に用いることができる。
[第3実施形態]
以下、図面に基づいて、本発明の第3実施形態に係る化粧板について説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係る化粧板の構成を模式的に示す断面図である。
図6に示すように、本発明の第3実施形態に係る化粧板1Cは、支持シート2と第2層4との間に設けられた耐摩耗層7Bを備える点で、化粧板1Aと異なる。それ以外の点は、化粧板1Aと同様であるので、説明を省略する。
化粧板1Cにおいて、第1層3は、支持シート2の第1主面S1の一部に設けられており、耐摩耗層7Bは、支持シート2の第1主面S1の残部(すなわち、支持シート2の第1主面S1のうち、第1層3が設けられていない領域)に設けられており、第2層4は、耐摩耗層7B上に設けられている。第1層3の一部は、耐摩耗層7Bで被覆されていてもよい。特に、第1層3が、装飾層22が形成する木目模様の導管部と平面視で位置同調する場合、第1層3のうち導管部の周縁部に相当する部分は、耐摩耗層7Bで被覆されていてもよい。化粧板1Cを平面視したとき、第1層3のうち、第2層4の開口部40から露出し、凹部5の底部を形成している部分の面積は、支持シート2の第1主面S1のうち、第1層3が設けられる領域の面積の50%以上であることが好ましい。これにより、化粧板1Cは、凹凸形状の意匠感を表現することができる。
耐摩耗層7Bの厚みは特に限定されず、耐摩耗性インキの塗工時の厚みは、例えば10〜100μm程度、乾燥後の厚みは、例えば2〜20μm程度である。
耐摩耗層7B及び第2層4の積層体と第1層3との表面高低差は、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜30μmである。表面高低差が上記範囲内であると、化粧板1Cが表現する凹凸形状の意匠がより鮮明となる。
耐摩耗層7B及び第2層4の積層体と第1層3との表面高低差は、株式会社小坂研究所製 三次元表面粗さ測定器SE−30Kを使用して、JIS B 0601:2013に規定された方法に従って測定する。具体的には、化粧板表面のうち、第1層3が形成されていない領域(耐摩耗層7B及び第2層4の積層体が形成されている領域)と、第1層3が形成されている領域(被覆層CLのうち第1層3を被覆する部分CL1が剥離された部分)との高低差を測定する。この際、表面の最大高さ粗さ(Rz)を表面高低差のパラメ−タ−として使用し、10箇所の平均値を「表面高低差」とする。
耐摩耗層7Bの形成には、例えば、耐摩耗性インキを使用することができる。耐摩耗性インキに関する説明は、第2実施形態と同様であるので、省略する。但し、耐摩耗層7Bの形成に使用される耐摩耗性インキは、第2層4の形成に使用される樹脂組成物(例えば、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物)が含浸し易い樹脂を含むことが好ましい。これにより、耐摩耗層7Bが、より優れた耐摩耗性を発揮することができる。
耐摩耗層7Bは、例えば、工程(2)の後であって工程(3)の前に、支持シート2の第1主面S1の残部(すなわち、支持シート2の第1主面S1のうち第1層3が形成されていない領域)を、耐摩耗層7Bを形成するための耐摩耗性インキで被覆し、耐摩耗性インキに含まれる樹脂を乾燥及び/又は硬化させることにより形成することができる。
耐摩耗性インキに含まれる樹脂が熱硬化性樹脂である場合、耐摩耗層7Bは、例えば、化粧板1Aの製造方法に以下の変更を加えて形成することができる。すなわち、図7に示すように、工程(2)の後であって工程(3−1)の前に、支持シート2の第1主面S1の残部(すなわち、支持シート2の第1主面S1のうち第1層3が形成されていない領域)及び第1層3を、耐摩耗層7Bを形成するための耐摩耗性インキで被覆し、必要に応じて乾燥し、耐摩耗性インキ層を形成し、次いで、工程(3−1)において、耐摩耗性インキ層を、第2層4を形成するための樹脂組成物(塗工液)で被覆し、必要に応じて乾燥し、樹脂組成物層PCを形成し、次いで、工程(3−2)において、耐摩耗性インキに含まれる熱硬化性樹脂を硬化させて耐摩耗層7B’を形成する。耐摩耗性インキ層7Bは第1層3の一部を被覆するように形成されてもよく、この場合、樹脂組成物層PCは、耐摩耗性インキ層7Bで被覆されていない第1層3の一部を被覆するように形成されてもよい。耐摩耗性インキ層を、第2層4を形成するための樹脂組成物(塗工液)で被覆する際、第2層4の形成に使用される樹脂組成物が、耐摩耗性インキ層に含浸することが好ましい。工程(3−2)の後、化粧板1Aと同様の工程を経ることにより、耐摩耗層7Bを形成することができる。工程(4)では、被覆層CL及び耐摩耗層7B’のうち第1層3を被覆する部分を、被覆層CL及び耐摩耗層7B’の残部から剥離して、支持シート2の第1主面の残部に耐摩耗層7Bを形成するとともに、耐摩耗層7B上に第2層4を形成する。被覆層CL及び耐摩耗層7B’のうち第1層3を被覆する部分は剥離フィルムPFに接着したまま、剥離フィルムPFとともに剥離される。一方、被覆層CL及び耐摩耗層7B’の残部は、支持シート2の第1主面S1の残部に残り、耐摩耗層7B及び耐摩耗層7B上の第2層4を形成する。被覆層CL及び耐摩耗層7B’のうち第1層3を被覆する部分が除去されることにより、第2層4の開口部40が形成されるとともに、第1層3の少なくとも一部が、第2層4の開口部40を通じて露出し、化粧板1Cの表面の凹部5が形成される。これにより化粧板1Cが製造される。
化粧板1Cは、耐摩耗性に優れるとともに、鮮明なグロスマット調の意匠感を含む表面の凹凸形状を表現することができる意匠性の高い化粧板である。化粧板1Cは、所定の成形加工等を施し、化粧板1Aと同様、各種用途に用いることができる。
参考例1
(1)離型インキの調製
電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックスM400)60質量部、反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X−22−164B)0.6質量部、及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社)40質量部を、プロセスホモジナイザーPH91(株式会社エスエムテー製)を用いて、回転数2000rpmで1時間撹拌して離型インキを調製した。
(2)化粧板の製造
原紙として坪量100g/m2の白チタン紙(KJ特殊紙株式会社製、KW−1002P)を使用し、絵柄印刷インキ(DICグラフィックス株式会社製、オーデSPTI)を用いて絵柄を印刷した後、上記(1)で製造した離型インキを用いて木目柄を印刷し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線照射を行い、離型層を形成して化粧シートを得た。離型層は、木目柄であるため、厚みが厚い箇所と薄い箇所とが存在しており、離型層の厚みは0.2〜3μmであった。
次いでメラミンホルムアルデヒド樹脂50質量部、水45質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部からなる熱硬化性樹脂の液状未硬化組成物を、含浸用の含浸装置を用いて該未硬化組成物が100g/m2(乾燥時)の割合となるように含浸し、乾燥することにより含浸化粧シートを得た。この含浸化粧シートを、クラフト紙にフェノール樹脂からなる樹脂液を含浸した、坪量245g/m2のフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社、太田コア)4枚の上に積層し、積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、該未硬化組成物を熱硬化させることによりメラミン樹脂を含有する熱硬化性樹脂層を形成して、高圧メラミン化粧板の成型物を得た。この際、離型層上には、熱硬化した樹脂膜が形成された。
次いで剥離工程として、高圧メラミン化粧板の表面にマスキングテープ(株式会社スミロン製:E−207)を貼付け、その後、貼付けたマスキングテープを剥がして、離型層上に形成された熱硬化した樹脂膜を剥離して、化粧板を製造した。得られた化粧板の熱硬化性樹脂層の厚みは30μmであり、離型層と熱硬化性樹脂層との高低差、すなわち、化粧板の表面高低差は5μmであった。
参考例2〜21
離型インキの組成を表1のように変更した以外は参考例1と同様にして、化粧板を製造した。
比較例1
木目柄を印刷しなかった以外は参考例1と同様にして、化粧板を製造した。
参考例22〜37
離型インキを構成する樹脂として表3に示す樹脂を用い、表4に示すシリカ、表5に示すシリコーンを用いて離型インキの組成を表6及び7のように変更した以外は参考例1と同様にして、化粧板を製造した。
参考例1〜37及び比較例1の化粧板について、以下の測定方法により意匠感及び表面高低差を評価した。
意匠感
化粧板の表面を目視により観察し、下記の評価基準に基づいて評価した。
◎:グロスマット感が十分に鮮明であり、良好
○:グロスマット感が鮮明であり、良好
△:グロスマット感が鮮明でないが、使用可能
×:グロスマット感が鮮明でなく、使用不可
表面高低差
化粧板の表面高低差を、株式会社小坂研究所製 三次元表面粗さ測定器SE−30Kを使用して、JIS B 0601:2013に規定された方法に従って測定した。具体的には、化粧板表面の離型層が形成されていない領域(熱硬化性樹脂層が形成されている領域)と離型層が形成されている領域(熱硬化した樹脂膜が剥離した部分)との高低差を測定した。表面の最大高さ粗さ(Rz)を表面高低差のパラメ−タ−として用いた。10箇所の平均値を表1に記載した。
結果を表1、2、6及び7に示す。
参考例38
(1)離型インキの調製
電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックスM400)60質量部、反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X−22−164B)0.6質量部、シリカ(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア320)4.8質量部、及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社)40質量部を、プロセスホモジナイザーPH91(株式会社エスエムテー製)を用いて、回転数2000rpmで1時間撹拌して離型インキを調製した。
(2)耐摩耗性インキの調製
ウレタン樹脂固形分が30質量%であるウレタン樹脂組成物(第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス126)30質量%、及び、無機フィラーとして平均粒子径20.3μmの多面球状体のアルミナ(住友化学工業社製、スミコランダムAA18)15質量%を、水35質量%とエタノール20質量%との混合溶媒に添加して、プロセスホモジナイザーPH91(株式会社エスエムテー製)を用いて、回転数2000rpmで20分間撹拌し、耐摩耗性インキを調製した。アルミナのモース硬度は9であった。
(3)化粧板の製造
原紙として坪量100g/m2の白チタン紙(KJ特殊紙株式会社製、KW−1002P)を使用し、絵柄印刷インキ(DICグラフィックス株式会社製、オーデSPTI)を用いて絵柄を印刷した後、上記(1)で製造した離型インキを用いて木目柄を印刷し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線照射を行い、離型層を形成した。離型層は、木目柄であるため、厚みが厚い箇所と薄い箇所とが存在しており、離型層の厚みは0.2〜3μmであった。
次いで、上記(2)で調製した耐摩耗性インキを塗布し、100℃で3分間乾燥して耐摩耗層を形成して化粧シートを得た。このときの耐摩耗層の乾燥時の塗布量は12g/m2であった。この際、離型層上には、耐摩耗性被膜が形成された。
次いで、メラミンホルムアルデヒド樹脂50質量部、水45質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部からなる熱硬化性樹脂の液状未硬化組成物を、耐摩耗層の上から含浸用の含浸装置を用いて該未硬化組成物が100g/m2(乾燥時)の割合となるように含浸し、乾燥することにより含浸化粧シートを得た。この含浸化粧シートを、クラフト紙にフェノール樹脂からなる樹脂液を含浸した、坪量245g/m2のフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社、太田コア)4枚の上に積層し、積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、該未硬化組成物を熱硬化させることにより高圧メラミン化粧板の成型物を得た。
次いで剥離工程として、高圧メラミン化粧板の表面にマスキングテープ(株式会社スミロン製:E−207)を貼付け、その後、貼付けたマスキングテープを剥がして、離型層上に形成された、耐摩耗性被膜及び熱硬化した樹脂膜を剥離して、化粧板を製造した。
参考例39〜48
耐摩耗性インキの組成、及び乾燥時の塗布量を表8のように変更し、フィラーとして表9に示すフィラーを用いた以外は参考例38と同様にして、化粧板を製造した。
比較例2
耐摩耗層を形成しなかった以外は参考例38と同様にして、化粧板を製造した。
参考例3
耐摩耗層を形成せずに調製した含浸化粧シートの上に、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を積層してオーバーレイ層を形成した。メラミン樹脂含浸オーバーレイ層の調製方法は、以下の通りである。すなわち、オーバーレイ原紙の原料となるα−セルロースパルプ繊維100質量部に対し、内添薬品として、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、カルボキシメチルセルロース、硫酸バンド、アルミン酸ソーダを用い、坪量が42g/m2のオーバーレイ原紙を得た。このオーバーレイ原紙にメラミン樹脂からなる樹脂液を含浸してメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を調製した。樹脂含浸率は142質量%であった。それ以外は参考例38と同様にして、化粧板を製造した。
参考例49及び50
離型インキを構成する樹脂として表10に示す樹脂を用い、表11に示すシリカ、表12に示すシリコーンを用いて離型インキの組成を表13のように変更した以外は参考例38と同様にして、化粧板を製造した。なお、表13では、参考のために参考例38の離型インキの組成も記載している。
参考例38〜50、参考例2及び3の化粧板について、以下の測定方法により意匠感及び耐摩耗性を評価した。
意匠感
化粧板の表面を目視により観察し、下記の評価基準に基づいて評価した。
○:グロスマット感が鮮明であり、良好
△:グロスマット感が鮮明でないが、使用可能
×:グロスマット感が鮮明でなく、使用不可
耐摩耗性
JIS K 6902;2007(熱硬化性樹脂高圧化粧板試験方法)A法に準拠した測定方法に基づいて、化粧板の表面における耐摩耗性を測定した、具体的には、JIS K 6902;2007のA法に準拠した測定方法により、グロスマットパターンのコーティングが明らかに擦り切れ0.6mm2以上の擦り切れ面積となったときの回転数を初期摩耗値(IP)とし、摩耗区域においてグロスマットパターンの約95%が擦り切れる時点での回転数を終点摩耗値(FP) として、式(IP+FP)/2により算出される値(回)により、下記の評価基準に基づいて評価した。
◎:500回以上であり、非常に良好
○:300回以上500回未満であり、良好
△:200回以上300回未満であり、使用可能
×:200回未満であり、高い耐摩耗性が必要な用途に使用不可
結果を表8及び9に示す。
参考例51
(1)離型インキの製造
電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックス(登録商標)M400)60質量部、反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X−22−164B)0.6質量部、シリカ(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア320)4.8質量部、及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社)40質量部を、プロセスホモジナイザーPH91(株式会社エスエムテー製)を用いて、回転数2000rpmで1時間撹拌して離型インキを得た。
(2)化粧板の製造
原紙として坪量100g/m2の白チタン紙(KJ特殊紙株式会社製、KW−1002P)を使用し、絵柄印刷インキ(DICグラフィックス株式会社製、オーデSPTI)を用いて絵柄を印刷した後、上記(1)で製造した離型インキを用いて木目柄を印刷し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線照射を行って離型層を形成して化粧シートを得た。
次いでメラミンホルムアルデヒド樹脂50質量部、水45質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部からなる熱硬化性樹脂を、含浸用の含浸装置を用いてメラミン樹脂が100g/m2(乾燥時)の割合となるように含浸し、乾燥することにより含浸化粧シートを得た。この含浸化粧シートをフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社製、DL−25)4枚の上に積層し、積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、高圧メラミン化粧板の成型物を得た。
次いで剥離工程として、高圧メラミン化粧板の表面にマスキングテープ(株式会社スミロン製:E−207)を貼付け、その後、貼付けたマスキングテープを剥がした。
参考例52
(1)賦型シートの製造
50μm厚のPETフィルム(東洋紡株式会社製コスモシャイン(登録商標)A4100(50μm)の易接着面に、電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックス(登録商標)M350)100質量部、反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X−22−164B)2質量部、シリカ(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア450)8質量部、及び酢酸エチル50質量部を含む賦型シート用塗工インキを、5g/m2(乾燥時)塗工し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線照射を行い、硬化することで賦型シートを得た。
(2)化粧板の製造
参考例1と同様にして製造した含浸化粧シートをフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社製、DL−25)4枚の上に積層し、更に含浸化粧シートの上に上記(1)で製造した賦型シートを、賦型シートの印刷面が含浸化粧シートの印刷面と接するように載せた積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、鏡面板及び賦型シートを外すことで高圧メラミン化粧板の成型物を得た。
次いで、高圧メラミン化粧板の表面にマスキングテープ(株式会社スミロン製:E−207)を貼付け、貼付けたマスキングテープを剥がすことで、化粧板が得られた。
比較例4
参考例51の剥離工程を行わない以外は参考例51と同様にして、比較例4のメラミン化粧板を得た。
比較例5
参考例51の離型インキの印刷を行わない以外は参考例51と同様にして、比較例5のメラミン化粧板を得た。
参考例51及び52、並びに比較例4及び5の化粧板について、以下のように意匠感及び表面高低差を評価した。また、剥離重さも測定した。
意匠感は、目視により以下の評価基準で判定を行った。
◎:十分な表面テクスチャー及び立体的で深みのあるグロスマット感があり、非常に良好○:十分な表面テクスチャーがあり、良好
×:表面テクスチャーが少なく、使用不可
表面高低差は、株式会社小坂研究所製 三次元表面粗さ測定器SE−30Kを使用し、JIS B 0601:2013に規定された方法に従って測定した。具体的には、化粧板表面の離型層の無い部分(熱硬化した樹脂膜が被覆している部分)と離型層の有る部分(熱硬化した樹脂膜が剥離した部分)との高低差を測定した。表面の最大高さ粗さ(Rz)を表面高低差のパラメ−タ−として用いた。10箇所の平均値を表14に記載した。
剥離重さは、株式会社オリエンテック製テンシロン万能材料試験機RTC−1250Aを使用して測定される値であり、具体的な測定方法は次の通りである(図8参照)。化粧板の表面に1インチの巾にカットしたマスキングテープ(株式会社スミロン製:E−207)を貼り付けた後、マスキングテープの一部を剥がし、マスキングテープを剥がした化粧板の一端(下部)を試験機に固定した。180°剥がしたマスキングテープを上部の方向(矢印方向)に100mm/分のスピードで剥離したときの重さを測定した。
参考例51の方法によれば、十分な表面テクスチャーを有する化粧板を簡単に製造することができる。さらに樹脂皮膜の表面の光沢を調整することを含む参考例52の方法によれば、メラミン化粧板の表面が、熱硬化性樹脂の皮膜に被覆されている細かな凹凸意匠の部分と被覆されていない深い凹部分とが混在している深みのあるグロスマット意匠を持った化粧板が得られる。
参考例53
(1)賦型シートの製造
50μm厚のPETフィルム(東洋紡株式会社製コスモシャイン(登録商標)A4100(50μm)の易接着面に、下記表2の参考例3に記載の組成を有する賦型シート用塗工インキを5g/m2(乾燥時)塗工し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線照射を行い、硬化することで賦型シートを得た。
(2)化粧板の製造
参考例1と同様にして製造した含浸化粧シートをフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社製、DL−25)4枚の上に積層し、更に含浸化粧シートの上に、上記(1)で製造した賦型シートを載せた積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、鏡面板及び賦型シートを外すことで高圧メラミン化粧板を得た。
参考例54〜60
参考例53の賦型シート用塗工インキの組成を、下記表15の参考例54〜60の組成に変えた以外は、参考例53と同様にして、メラミン化粧板を得た。
比較例6
参考例53の賦型シート用塗工インキの組成を、下記表15の比較例6の組成に変えた以外は、参考例53と同様にして、メラミン化粧板を得た。
参考例53〜60、及び比較例6の化粧板について、以下のように剥離重さ及び表面高低差を評価した。
剥離重さは、上記(2)化粧板の製造の工程において、加熱成型して鏡面板を外した後、賦型シートに1インチの巾に切り込みを入れて一部を剥がし、参考例51及び52、並びに比較例4及び5と同じ方法で測定した。
意匠性は、目視により以下の評価基準で判定を行った。
○:グロスマット感があり、良好
△:グロスマット感が鮮明でないが使用可能
×:グロスマット感が少なく、使用不可
紫光(登録商標)UV1700B:紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂
KARAYAD PET−30:放射線硬化性樹脂
ソルバイン(登録商標)A:塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂
Nipsil E220A:シリカ
X−22−164A:反応性シリコーン
MEK:メチルエチルケトン
樹脂膜を熱硬化する前に、剥離重さを0.1〜10N/インチの範囲に調整した賦型シートを熱硬化性樹脂の上に積層して加熱成形する参考例3〜10の方法によれば、熱硬化後に鏡面板及び賦型シートを外すだけで十分な意匠性(グロスマット感)を有する化粧板を得ることができる。
実施例1〜48
上記熱硬化性樹脂の液状未硬化組成物として、参考例1で使用した熱硬化性樹脂の液状未硬化組成物中に、更に、シリコーン系離型剤として、HLB値が14である側鎖型ポリエーテル変性の非反応性シリコーンオイル(信越化学社製、製品名:KF−640)を該熱硬化性樹脂組成物中に3質量%添加してなる実施例用の熱硬化性樹脂の液状未硬化組成物を用意した。
熱硬化性樹脂の液状未硬化組成物として、上記実施例用の熱硬化性樹脂の液状未硬化組成物を用いた以外は参考例1〜48と同様にして、実施例1〜48の化粧板を製造した。
その際、マスキングテープを剥離する際の剥離の重さ及びマスキングテープの化粧板側への残留の有無を評価した。
その結果、参考例1〜48に比べて実施例1〜48は剥離の抵抗が軽かった。また、同様の条件で剥離した場合、参考例1〜48においては、マスキングテープの一部が1度の剥離作業では剥離せずに化粧板表面に残留し、残留したマスキングテープの残渣を手作業で剥離除去する必要が生じる場合があった。一方、実施例1〜48においては、何れの実施例も、1度の剥離作業で化粧板表面の全面から剥離が出来、残留したマスキングテープの残渣を剥離除去する作業は不要であった。