以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
<実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る有機電界発光装置1の概略構成例を表したものである。図2は、有機電界発光装置1に設けられた各画素11の回路構成の一例を表したものである。有機電界発光装置1は、例えば、有機電界発光パネル10、コントローラ20およびドライバ30を備えている。有機電界発光パネル10は、本開示の「発光パネル」の一具体例に相当する。ドライバ30は、例えば、有機電界発光パネル10の外縁部分に実装されている。有機電界発光パネル10は、行列状に配置された複数の画素11を有している。コントローラ20およびドライバ30は、外部から入力された映像信号Dinに基づいて、有機電界発光パネル10(複数の画素11)を駆動する。
(有機電界発光パネル10)
有機電界発光パネル10は、コントローラ20およびドライバ30によって各画素11がアクティブマトリクス駆動されることにより、外部から入力された映像信号Dinに基づく画像を表示する。有機電界発光パネル10は、行方向に延在する複数の走査線WSLと、列方向に延在する複数の信号線DTLおよび複数の電源線DSLと、行列状に配置された複数の画素11とを有している。
走査線WSLは、各画素11の選択に用いられるものであり、各画素11を所定の単位(例えば画素行)ごとに選択する選択パルスを各画素11に供給するものである。信号線DTLは、映像信号Dinに応じた信号電圧Vsigの、各画素11への供給に用いられるものであり、信号電圧Vsigを含むデータパルスを各画素11に供給するものである。電源線DSLは、各画素11に電力を供給するものである。
有機電界発光パネル10に設けられた複数の画素11には、赤色光を発する画素11、緑色光を発する画素11、および青色光を発する画素11が含まれている。以下では、赤色光を発する画素11は、画素11Rと称され、緑色光を発する画素11は、画素11Gと称され、青色光を発する画素11は、画素11Bと称されるものとする。複数の画素11において、画素11R,11G,11Bは、カラー画像の表示単位である表示画素12(後述の図3参照)を構成している。なお、各表示画素12には、例えば、さらに、他の色(例えば、白色や、黄色など)を発する画素11が含まれていてもよい。また、各表示画素12には、例えば、同色の複数の画素11(例えば、青色光を発する2つの画素11)が含まれていてもよい。従って、有機電界発光パネル10に設けられた複数の画素11は、所定の数ごとに表示画素12としてグループ分けされている。各表示画素12において、複数の画素11は、所定の方向(例えば、行方向)に一列に並んで配置されている。
各信号線DTLは、後述の水平セレクタ31の出力端に接続されている。各画素列には、例えば、複数の信号線DTLが1本ずつ、割り当てられている。各走査線WSLは、後述のライトスキャナ32の出力端に接続されている。各画素行には、例えば、複数の走査線WSLが1本ずつ、割り当てられている。各電源線DSLは、電源の出力端に接続されている。各画素行には、例えば、複数の電源線DSLが1本ずつ、割り当てられている。
各画素11は、画素回路11−1と、有機電界発光素子11−2とを有している。有機電界発光素子11−2の構成については、後に詳述する。
画素回路11−1は、有機電界発光素子11−2の発光・消光を制御する。画素回路11−1は、後述の書込走査によって各画素11に書き込んだ電圧を保持する機能を有している。画素回路11−1は、例えば、駆動トランジスタTR1、書込トランジスタTR2および保持容量CSを含んで構成されている。駆動トランジスタTR1が、本開示の「第1トランジスタ」の一具体例に相当する。書込トランジスタTR2が、本開示の「第2トランジスタ」の一具体例に相当する。
書込トランジスタTR2は、駆動トランジスタTR1のゲートに対する、映像信号Dinに対応した信号電圧Vsigの印加を制御する。具体的には、書込トランジスタTR2は、信号線DTLの電圧をサンプリングするとともに、サンプリングにより得られた電圧を駆動トランジスタTR1のゲートに書き込む。駆動トランジスタTR1は、有機電界発光素子11−2に直列に接続されている。駆動トランジスタTR1は、有機電界発光素子11−2を駆動する。駆動トランジスタTR1は、書込トランジスタTR2によってサンプリングされた電圧の大きさに応じて有機電界発光素子11−2に流れる電流を制御する。保持容量CSは、駆動トランジスタTR1のゲート−ソース間に所定の電圧を保持するものである。保持容量CSは、所定の期間中に駆動トランジスタTR1のゲート−ソース間電圧Vgsを一定に保持する役割を有する。なお、画素回路11−1は、上述の2TR1Cの回路に対して各種容量やトランジスタを付加した回路構成となっていてもよいし、上述の2TR1Cの回路構成とは異なる回路構成となっていてもよい。
各信号線DTLは、後述の水平セレクタ31の出力端と、書込トランジスタTR2のソースまたはドレインとに接続されている。各走査線WSLは、後述のライトスキャナ32の出力端と、書込トランジスタTR2のゲートとに接続されている。各電源線DSLは、電源回路と、駆動トランジスタTR1のソースまたはドレインに接続されている。
書込トランジスタTR2のゲートは、走査線WSLに接続されている。書込トランジスタTR2のソースまたはドレインが信号線DTLに接続されている。書込トランジスタTR2のソースおよびドレインのうち信号線DTLに未接続の端子が駆動トランジスタTR1のゲートに接続されている。駆動トランジスタTR1のソースまたはドレインが電源線DSLに接続されている。駆動トランジスタTR1のソースおよびドレインのうち電源線DSLに未接続の端子が有機電界発光素子11−2の陽極21に接続されている。保持容量CSの一端が駆動トランジスタTR1のゲートに接続されている。保持容量CSの他端が駆動トランジスタTR1のソースおよびドレインのうち有機電界発光素子11−2側の端子に接続されている。
駆動トランジスタTR1および書込トランジスタTR2は、一般的な薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)により構成され、その構成は例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガ構造(トップゲート型)でもよく、特に限定されない。
(ドライバ30)
ドライバ30は、例えば、水平セレクタ31およびライトスキャナ32を有している。水平セレクタ31は、例えば、制御信号の入力に応じて(同期して)、コントローラ20から入力されたアナログの信号電圧Vsigを、各信号線DTLに印加する。ライトスキャナ32は、複数の画素11を所定の単位ごとに走査する。
(コントローラ20)
次に、コントローラ20について説明する。コントローラ20は、例えば、外部から入力されたデジタルの映像信号Dinに対して所定の補正を行い、それにより得られた映像信号に基づいて、信号電圧Vsigを生成する。コントローラ20は、例えば、生成した信号電圧Vsigを水平セレクタ31に出力する。コントローラ20は、例えば、映像信号Dinから得られた制御信号に応じて(同期して)、ドライバ30内の各回路に対して制御信号を出力する。
次に、図3を参照して、有機電界発光パネル10の断面構成について説明する。図3は、有機電界発光パネル10の断面構成例を表したものである。
有機電界発光パネル10は、行列状に配置された複数の画素11を有している。有機電界発光パネル10に設けられた複数の画素11には、上述したように、画素11R、画素11Bおよび画素11Bが含まれており、画素11R,11G,11Bごとに表示画素12が割り当てられている。なお、各表示画素12には、例えば、上述したように、さらに、他の色(例えば、白色や、黄色など)を発する画素11が含まれていてもよい。また、各表示画素12には、例えば、同色の複数の画素11(例えば、青色光を発する2つの画素11)が含まれていてもよい。
画素11Rは、赤色の光を発する有機電界発光素子11−2(11r)を含んで構成されている。画素11Gは、緑色の光を発する有機電界発光素子11−2(11g)を含んで構成されている。画素11Bは、青色の光を発する有機電界発光素子11−2(11b)を含んで構成されている。画素11R,11G,11Bは、ストライプ配列となっており、色ごとに行方向に並んで配置されている。各画素行において、同一色の光を発する複数の画素11が、列方向に並んで配置されている。
有機電界発光パネル10は、TFT基板13を有している。TFT基板13については、後に詳述する。有機電界発光パネル10は、TFT基板13上に、複数の画素11を有している。有機電界発光パネル10は、TFT基板13上に、画素11ごとに有機電界発光素子11−2を有している。有機電界発光パネル10は、さらに、各画素11を区画するバンク17を有している。バンク17は、例えば、絶縁性の樹脂材料によって形成されており、各画素11の周囲を囲んでいる。バンク17は、ピクセルバンクであってもよいし、ラインバンクであってもよい。有機電界発光パネル10は、さらに、各画素11を保護および封止する封止層17を有している。封止層17は、例えば、エポキシ樹脂や、ビニル系樹脂などの樹脂材料によって形成されている。
有機電界発光素子11−2は、例えば、電極層14、有機層15および電極層16をTFT基板13側からこの順に積層して構成されている。有機層15は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層をTFT基板13側からこの順に積層して構成されている。正孔注入層は、正孔注入効率を高めるための層である。正孔輸送層は、電極層13から注入された正孔を発光層へ輸送するための層である。発光層は、電子と正孔との再結合により、所定の色の光を発する層である。電子輸送層は、電極層15から注入された電子を発光層へ輸送するための層である。電子注入層は、電子注入効率を高めるための層である。
電極層14は、例えば、TFT基板13の上に形成されている。電極層14は、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムもしくは銀の合金等、または、反射性を有する反射電極である。なお、電極層14は、反射電極に限るものではなく、例えば、透光性を有する透明電極であってもよい。透明電極の材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)又はIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電性材料が挙げられる。電極層14は、反射電極と透明電極とが積層されたものであってもよい。
電極層16は、例えば、ITO膜等の透明電極である。なお、電極層16は、透明電極に限るものではなく、光反射性を有する反射電極であってもよい。反射電極の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金等が用いられる。本実施の形態において、TFT基板13及び電極層14が反射性を有し、電極層16が透光性を有している場合には、有機電界発光素子11−2は、電極層16側から光を放出するトップエミッション構造となっている。なお、本実施の形態において、TFT基板13及び電極層14が透光性を有し、電極層16が反射性を有している場合には、有機電界発光素子11−2は、TFT基板13側から光を放出するボトムエミッション構造となっている。
次に、図4を参照して、TFT基板13について説明する。図4は、TFT基板13の断面構成例を表したものである。
TFT基板13は、例えば、基板110上に、駆動トランジスタTR1、書込トランジスタTR2および保持容量CS1,CS2を有している。保持容量CS1と、保持容量CS2とは、互いに並列接続されており、並列接続された保持容量CS1,CS2が、上述の保持容量CSに対応している。駆動トランジスタTR1、書込トランジスタTR2および保持容量CS1,CS2によって、画素回路11−1が構成されている。
基板110は、例えば、電気絶縁性を有する材料から構成される基板である。基板110は、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス、高耐熱性ガラスなどのガラス材料、又は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドなどの樹脂材料から構成される基板である。基板110は、例えば、シート状又はフィルム状の可撓性を有するフレキシブル基板でもよい。基板110は、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのフィルム材料の単層又は積層で構成されたフレキシブル樹脂基板であってもよい。なお、基板110の表面には、基板110に含まれる不純物(例えば、ナトリウム(Na)及びリン(P)など)、又は、大気中の水分などが酸化物半導体層130に浸入するのを抑制するアンダーコート層が設けられていてもよい。
書込トランジスタTR2は、例えば、酸化物半導体層130と、ゲート絶縁膜135と、ゲート電極136と、半導体補助層123とを有している。
酸化物半導体層130は、書込トランジスタTR2のチャネル層である。酸化物半導体層130は、ゲート絶縁膜135を挟んでゲート電極136と対向している。本実施の形態では、酸化物半導体層130は、CS絶縁膜111上に形成されている。
酸化物半導体層130は、チャネル領域131、ソース領域132およびドレイン領域133を有している。チャネル領域131は、ゲート絶縁膜135を挟んでゲート電極136と対向する領域である。ソース領域132およびドレイン領域133は、チャネル領域131に隣接して設けられており、チャネル領域131の両脇に設けられている。ソース領域132およびドレイン領域133は、チャネル領域131より抵抗率の低い低抵抗領域である。ソース領域132およびドレイン領域133は、例えば、成膜した酸化物半導体の所定の領域に対して酸素欠損を引き起こすことで形成される。酸素欠損を引き起こす方法は、例えば、アルゴン(Ar)又は水素(H)ガスなどを用いたプラズマ処理などによって行われる。
酸化物半導体層130は、透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)を主成分として含有する。具体的には、酸化物半導体層130は、金属の酸化物を主成分として含んでいる。金属は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)又は亜鉛(Zn)である。酸化物半導体層130としては、例えば、InGaZnO、InTiZnO、ZnO、InGaO、InZnOなどを用いることができる。InGaZnOの場合を例にとると、各元素の構成比の一例としては、InGaZnOxである。酸化物半導体層130の膜厚は、例えば、10nm〜300nmである。
ゲート絶縁膜135は、例えば、酸化シリコンによって形成されている。ゲート電極136は、金属などの導電性材料又はその合金などの単層構造又は積層構造の電極である。ゲート電極136の材料としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンタングステン(MoW)、銅(Cu)、チタン(Ti)、クロム(Cr)などを用いることができる。ゲート電極136の膜厚は、例えば、50nm〜300nmである。
半導体補助層123は、ソース領域132を介した書込トランジスタTR2と保持容量CSとの電気的な接続や、ドレイン領域133を介した書込トランジスタTR2とドレイン電極172(後述)との電気的な接続を補助する。具体的には、半導体補助層123は、ソース領域132およびドレイン領域133に対してキャリア供与性を有しており、ソース領域132およびドレイン領域133にキャリアを供給する。これにより、ソース領域132およびドレイン領域133の導電性を高めることができる。あるいは、半導体補助層123は、導電性を有していてもよい。これにより、ソース領域132およびドレイン領域133が導体として機能し、半導体補助層123を介して電流が流れる。
半導体補助層123は、例えば、金属または低抵抗化された酸化物半導体等を含んでいる。具体的には、半導体補助層123として、AlSi(アルミニウムシリコン合金),アルミニウム(Al),IZOまたはITO等を用いることができる。半導体補助層123を構成する酸化物半導体材料は、ソース領域132およびドレイン領域133を構成する酸化物半導体材料と異なる材料を含んでいるか、あるいは、ソース領域132およびドレイン領域133を構成する酸化物半導体材料とは異なる組成を有している。ウエットエッチング可能な材料を用いて半導体補助層123を構成することにより、半導体補助層123を形成する際のソース領域132およびドレイン領域133への影響を抑えることが可能となる。半導体補助層123の厚みは、例えば5nm〜25nm程度である。このようなキャリア供与性または導電性を有する半導体補助層123を設けることにより、仮に、チャネル領域131からソース領域132およびドレイン領域133へのキャリアの拡散(キャリアの染み出し)が十分でない場合にも、ソース領域132およびドレイン領域133を介した電気的な接続が維持される。
半導体補助層123は、例えば、CS絶縁膜111とソース領域132およびドレイン領域133との間に設けられ、ソース領域132およびドレイン領域133の下面(基板110側の面)に接している。半導体補助層123は、チャネル領域131よりも広い領域にわたって設けられていることが好ましい。半導体補助層123は、例えば、チャネル領域131から、チャネル領域131に隣接する両側の領域に拡幅して設けられている。半導体補助層123は、より広い領域にわたって設けるようにしてもよく、半導体補助層123が、例えば、ソース領域132およびドレイン領域133の下面全体に接して設けられていてもよい。
書込トランジスタTR2には、信号線DTLや走査線WSLと接続するための引出電極が接続されている。走査線WSLに接続された引出電極(ゲート電極(図示せず))は、コンタクトホール(図示せず)を介してゲート電極136と電気的に導通している。信号線DTLに接続された引出電極(ドレイン電極172)は、コンタクトホール161を介してドレイン領域133と電気的に導通している。ゲート電極(図示せず)およびドレイン電極172は、例えば、導電性材料又はその合金などの単層構造又は積層構造の電極である。信号線DTLや走査線WSLと接続するための引出電極の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンタングステン(MoW)、銅(Cu)、チタン(Ti)、クロム(Cr)などを用いることができる。
駆動トランジスタTR1は、例えば、酸化物半導体層140と、ゲート絶縁膜145と、ゲート電極146と、半導体補助層144とを有している。
酸化物半導体層140は、駆動トランジスタTR1のチャネル層である。酸化物半導体層140は、ゲート絶縁膜145を挟んでゲート電極146と対向している。本実施の形態では、酸化物半導体層140は、CS絶縁膜111上に形成されている。
酸化物半導体層140は、チャネル領域141、ソース領域143およびドレイン領域142を有している。チャネル領域141は、ゲート絶縁膜145を挟んでゲート電極146と対向する領域である。ソース領域143およびドレイン領域142は、チャネル領域141に隣接して設けられており、チャネル領域141の両脇に設けられている。ソース領域143およびドレイン領域142は、チャネル領域141より抵抗率の低い低抵抗領域である。ソース領域143およびドレイン領域142は、例えば、成膜した酸化物半導体の所定の領域に対して酸素欠損を引き起こすことで形成される。酸素欠損を引き起こす方法は、例えば、アルゴン(Ar)又は水素(H)ガスなどを用いたプラズマ処理などによって行われる。
酸化物半導体層140は、透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)を主成分として含有する。具体的には、酸化物半導体層140は、金属の酸化物を主成分として含んでいる。金属は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)又は亜鉛(Zn)である。酸化物半導体層140としては、例えば、InGaZnO、InTiZnO、ZnO、InGaO、InZnOなどを用いることができる。InGaZnOの場合を例にとると、各元素の構成比の一例としては、InGaZnOxである。酸化物半導体層140の膜厚は、例えば、10nm〜300nmである。
ゲート絶縁膜145は、例えば、酸化シリコンによって形成されている。ゲート電極146は、金属などの導電性材料又はその合金などの単層構造又は積層構造の電極である。ゲート電極146の材料としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンタングステン(MoW)、銅(Cu)、チタン(Ti)、クロム(Cr)などを用いることができる。ゲート電極146の膜厚は、例えば、50nm〜300nmである。
半導体補助層144は、ソース領域143を介した駆動トランジスタTR1と保持容量CSとの電気的な接続や、ドレイン領域142を介した駆動トランジスタTR1とドレイン電極173(後述)との電気的な接続を補助する。具体的には、半導体補助層144は、ソース領域143およびドレイン領域142に対してキャリア供与性を有しており、ソース領域143およびドレイン領域142にキャリアを供給する。これにより、ソース領域143およびドレイン領域142の導電性を高めることができる。あるいは、半導体補助層144は、導電性を有していてもよい。これにより、ソース領域143およびドレイン領域142が導体として機能し、半導体補助層144を介して電流が流れる。
半導体補助層144は、例えば、金属または低抵抗化された酸化物半導体等を含んでいる。具体的には、半導体補助層144として、AlSi(アルミニウムシリコン合金),アルミニウム(Al),IZOまたはITO等を用いることができる。半導体補助層144を構成する酸化物半導体材料は、ソース領域143およびドレイン領域142を構成する酸化物半導体材料と異なる材料を含み、あるいは、異なる組成を有している。ウエットエッチング可能な材料を用いて半導体補助層144を構成することにより、半導体補助層144を形成する際のソース領域143およびドレイン領域142への影響を抑えることが可能となる。半導体補助層144の厚みは、例えば5nm〜25nm程度である。このようなキャリア供与性または導電性を有する半導体補助層144を設けることにより、仮に、チャネル領域141からソース領域143およびドレイン領域142へのキャリアの拡散(キャリアの染み出し)が十分でない場合にも、ソース領域143およびドレイン領域142を介した電気的な接続が維持される。
半導体補助層144は、例えば、CS絶縁膜111とソース領域143およびドレイン領域142との間に設けられ、ソース領域143およびドレイン領域142の下面(基板111側の面)に接している。半導体補助層144は、チャネル領域141よりも広い領域にわたって設けられていることが好ましい。半導体補助層144は、例えば、チャネル領域141から、チャネル領域141に隣接する両側の領域に拡幅して設けられている。半導体補助層144は、より広い領域にわたって設けるようにしてもよく、半導体補助層144が、例えば、ソース領域143およびドレイン領域142の下面全体に接して設けられていてもよい。
駆動トランジスタTR1には、電源線DSLや有機電界発光素子11−2と接続するための引出電極が接続されている。電源線DSLに接続された引出電極(ドレイン電極173)は、コンタクトホール162を介してドレイン領域142と電気的に導通している。有機電界発光素子11−2に接続された引出電極(ソース電極171)は、コンタクトホール163およびCS上部電極126を介してソース領域143と電気的に導通している。ドレイン電極173およびソース電極171は、例えば、導電性材料又はその合金などの単層構造又は積層構造の電極である。電源線DSLや有機電界発光素子11−2と接続するための引出電極の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンタングステン(MoW)、銅(Cu)、チタン(Ti)、クロム(Cr)などを用いることができる。
保持容量CSは、互いに並列接続された2つの保持容量CS1,CS2によって構成されている。保持容量CS1および保持容量CS2は、基板110側からこの順に積層されている。保持容量CS1は、CS下部電極121と、CS絶縁膜122と、半導体補助層123とによって構成されている。CS下部電極121が、本開示の「第1金属層」の一具体例に相当する。CS絶縁膜122が、本開示の「第1絶縁層」の一具体例に相当する。保持容量CSは、CS絶縁膜122を介して半導体補助層123と対向する位置に設けられたCS下部電極121を有し、CS絶縁膜122を介したCS下部電極121と半導体補助層123とによって保持容量CS1を形成する。保持容量CSは、CS下部電極121、CS絶縁膜122および半導体補助層123を基板110からこの順に積層して構成された積層体によって保持容量CS1を形成する。保持容量CS2は、半導体補助層123と、ソース領域124と、CS絶縁膜125と、CS上部電極126とによって構成されている。CS上部電極126が、本開示の「第2金属層」の一具体例に相当する。CS絶縁膜125が、本開示の「第2絶縁層」の一具体例に相当する。保持容量CSは、CS下部電極121と駆動トランジスタTR1のゲート(ゲート電極146)とを互いに接続するCS上部電極126を更に有し、CS絶縁膜125およびソース領域124を介した半導体補助層123およびCS上部電極126によって保持容量CS2を形成する。保持容量CSは、半導体補助層123、ソース領域124、CS絶縁膜125およびCS上部電極126を基板110からこの順に積層して構成された積層体によって保持容量CS2を形成する。保持容量CS2は、保持容量CS1上に設けられている。
CS下部電極121は、導電性材料を主成分として含んでいる。具体的には、導電性材料は、例えば、チタン(Ti)又はアルミニウム(Al)などであるが、これに限定されない。例えば、導電性材料は、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)などの金属、又は、これらの中から選ばれる2以上の金属の合金(例えば、モリブデンタングステン(MoW)など)によって構成されている。
CS絶縁膜122は、基板110の表面全体に設けられたCS絶縁膜111の一部である。CS絶縁膜122は、CS下部電極121上に形成されている。CS絶縁膜111およびCS絶縁膜122は、基板110上に設けられた無機層であり、例えば、アンダーコート層としての役割も有している。アンダーコート層としての役割も有するCS絶縁膜111およびCS絶縁膜122が設けられることにより、基板110に含まれる不純物(例えば、ナトリウム(Na)及びリン(P)など)、又は、大気中の水分などが酸化物半導体層130,140に浸入するのを抑制することができる。これにより、酸化物半導体層130,140の膜質を安定化させて、TFT特性を安定化させることができる。CS絶縁膜111およびCS絶縁膜122は、例えば、シリコン窒化膜(SiNx)からなるCS絶縁膜と、シリコン酸化膜(SiOx)からなるCS絶縁膜1との積層構造となっている。CS絶縁膜111およびCS絶縁膜122の膜厚は、例えば、100nm〜1000nmである。半導体補助層144は、CS絶縁膜122上に形成されている。
ソース領域132は、半導体補助層144上に形成されている。ソース領域132のうち、CS絶縁膜125と接する部分が、ソース領域124である。ソース領域124は、ソース領域132のうち、CS絶縁膜125と接していない部分と比べて高抵抗となっている。CS絶縁膜125は、半導体補助層123およびCS絶縁膜122上に設けられた無機層である。CS絶縁膜125は、半導体補助層123およびソース領域124と、CS上部電極126との間に配置されており、半導体補助層123およびソース領域124と、CS上部電極126とを互いに絶縁分離する。CS絶縁膜125は、例えば、CS絶縁膜111,122と共通の材料によって形成されている。CS絶縁膜125は、例えば、シリコン窒化膜(SiNx)やシリコン酸化膜(SiOx)等によって形成されている。CS上部電極126は、CS絶縁膜125、CS下部電極層121、ソース領域143および半導体補助層144上に形成されている。CS上部電極126は、CS下部電極層121、ソース領域143および半導体補助層144と電気的に導通している。CS上部電極126は、ゲート電極136,146と共通の材料によって形成されている。
TFT基板13は、さらに、例えば、各画素回路11−1を覆う無機絶縁膜150および有機絶縁膜160を有している。TFT基板13は、例えば、無機絶縁膜150および有機絶縁膜160の積層体によって覆われている。無機絶縁膜150および有機絶縁膜160は、駆動トランジスタTR1、書込トランジスタTR2および保持容量CSを覆うように形成されている。無機絶縁膜150は、駆動トランジスタTR1、書込トランジスタTR2および保持容量CSの表面に接している。
無機絶縁膜150は、水素の透過を抑制するために設けられた絶縁膜である。無機絶縁膜150は、例えば、下部無機膜151と、中間無機膜152と、上部無機膜153とを基板110側からこの順に積層してなる3層構造の積層膜である。無機絶縁膜150は、駆動トランジスタTR1および書込トランジスタTR2の表面に接している。
下部無機膜151は、水素の透過を抑制する水素抑制層(水素ブロック層)である。下部無機膜151は、中間無機膜152に含まれる水素がチャネル領域131,141に供給されるのを抑制する。また、下部無機膜151は、基板110などに含まれる水素が中間無機膜152に供給されるのを抑制する。
下部無機膜151は、ゲート電極136、ソース領域132、ドレイン領域133、CS上部電極126、ソース領域143、ゲート電極146およびドレイン領域142の表面を覆うように設けられている。具体的には、下部無機膜151は、ゲート電極136、ソース領域132、ドレイン領域133、CS上部電極126、ソース領域143、ゲート電極146およびドレイン領域142の各々の表面に接触して設けられている。
下部無機膜151の膜厚は、酸化物半導体層130,140から酸素を引き抜くのに十分な厚さであればよく、例えば、10nm以上であり、好ましくは、20nm以上である。また、下部無機膜151の膜密度は、例えば、2.7g/cm3以下である。下部無機膜151は、例えば、酸化アルミニウムによって形成されている。
中間無機膜152は、下部無機膜151を覆うように設けられている。具体的には、中間無機膜152は、画素回路11−1が形成されている素子領域の全面を覆うように形成されている。中間無機膜152の膜厚は、特に限定されないが、例えば、200nmである。
中間無機膜152は、無機物を主成分とする材料によって形成される。中間無機膜152は、例えば、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、シリコン酸窒化膜(SiONx)又は酸化アルミニウム膜(AlOx)などの単層膜、又は、積層膜である。このとき、中間無機膜152は、比誘電率が小さい材料を用いて、厚膜に形成してもよい。これにより、ゲート電極136とドレイン電極172との間の寄生容量や、ゲート電極146とドレイン電極173との間の寄生容量を低減することができる。
上部無機膜153は、水素の透過を抑制する水素抑制層(水素ブロック層)の一例である。上部無機膜153は、有機絶縁膜160に含まれる水素が中間無機膜152に供給されるのを抑制する。
上部無機膜153は、中間無機膜152を覆うように設けられている。具体的には、上部無機膜153は、画素回路11−1が形成されている素子領域の全面を覆うように形成されている。上部無機膜153の膜厚は、特に限定されないが、例えば、10nm以上である。上部無機膜153は、例えば、酸化アルミニウムによって形成されている。
有機絶縁膜160は、無機絶縁膜150上に形成される。有機絶縁膜160は、例えば、ポリイミドなどの有機材料を用いて形成されている。なお、有機絶縁膜160は、単層膜でもよく、積層膜でもよい。
無機絶縁膜150と有機絶縁膜160とには、各々を連続して貫通するように複数の開口部(コンタクトホール161,162,163)が形成されている。この開口部を介して、画素回路11−1と、信号線DTL,走査線WSL,電源線DSL,有機電界発光素子11−2とが電気的に導通している。
[製造方法]
次に、本実施の形態に係るTFT基板13の製造方法について、図5A〜図5Qを用いて説明する。図5A〜図5Qには、基板110を準備する工程から、各引出電極(例えばソース電極171,ドレイン電極172,173)を形成する直前までの工程が示されている。
まず、基板110を準備する(図5A)。このとき、必要に応じて、基板110の表面を洗浄する。次に、例えば、スパッタ法を用いて、基板110の表面全体にCS下部電極121を形成する。続いて、CS下部電極121上に所定のパターンのマスクを形成した後、ドライエッチングにより、CS下部電極121を選択的に除去する(図5B)。その後、マスクを除去する。
次に、例えば、CVD法を用いて、CS下部電極121を含む表面全体に、CS絶縁膜111を形成する(図5C)。続いて、例えば、スパッタ法を用いて、CS絶縁膜111上に半導体補助層181を形成する(図5D)。半導体補助層181は、後に半導体補助層123,144になる層である。続いて、半導体補助層181上に所定のパターンのマスクを形成した後、ウエットエッチングにより、半導体補助層181を選択的に除去する。これにより、半導体補助層181に対して、後にチャネル領域131,141を形成する箇所に開口部181H1,181H2を形成する(図5E,図5F)。このとき、開口部181H1の、所定の方向の幅L1が書込トランジスタTR2のL長に相当する。また、開口部181H2の、所定の方向の幅L2が駆動トランジスタTR1のL長に相当する。このように、L長をパターニングにより規定することにより、L長を高精度に規定することができる。その後、マスクを除去する。
次に、例えば、スパッタ法を用いて、半導体補助層181を含む表面全体に、酸化物半導体層182を形成する(図5G)。酸化物半導体層182は、後に酸化物半導体層130,140になる層である。続いて、酸化物半導体層182上に所定のパターンのマスクを形成した後、ウエットエッチングにより、酸化物半導体層182と、半導体補助層181とを選択的に除去する。その後、マスクを除去し、アニールを行う。このようにして、幅L1の間隙を介して面内で対向する2つの半導体補助層123と、幅L2の間隙を介して面内で対向する2つの半導体補助層144とを形成する(図5H,図5I)。さらに、2つの半導体補助層123をまたぐように酸化物半導体層182Aを形成するとともに、2つの半導体補助層144をまたぐように酸化物半導体層182Bを形成する(図5H,図5I)。このとき、積層されたCS下部電極121、CS絶縁膜122および半導体補助層123によって、保持容量CS1が形成される。
次に、例えば、CVD法を用いて、酸化物半導体層182A,182Bを含む表面全体に、ゲート絶縁膜183を形成する(図5J)。ゲート絶縁膜183は、後にゲート絶縁膜135,136になる絶縁膜である。続いて、ゲート絶縁膜183上に所定のパターンのマスクを形成した後、ドライエッチングにより、ゲート絶縁膜183を選択的に除去する。このようにして、酸化物半導体層182A上にゲート絶縁膜135を形成するとともに、酸化物半導体層182B上にゲート絶縁膜145を形成する(図5K)。その結果、酸化物半導体層130,140が形成される。
さらに、このときのドライエッチングにより、CS絶縁膜111のうち、CS下部電極121と対向する箇所(CS絶縁膜122)を選択的に除去する。このようにして、CS絶縁膜122に、底面にCS下部電極121が露出した開口11Aを形成するとともに、開口11A近傍にある半導体補助層123およびソース領域132を覆うようにCS絶縁膜125を形成する(図14K)。その後、マスクを除去する。
次に、例えば、スパッタ法を用いて、ゲート絶縁膜135,145およびCS絶縁膜125を含む表面全体にゲート電極184を形成する(図5L)。ゲート電極184は、後にゲート電極136,146およびCS上部電極126になる金属層である。続いて、ゲート電極184上に所定のパターンのマスクを形成した後、ドライエッチングにより、ゲート電極184を選択的に除去する。このようにして、駆動トランジスタTR1、書込トランジスタTR2および保持容量CS2を形成する(図5M)。その後、マスクを除去する。
次に、例えば、スパッタ法を用いて、下部無機膜151を形成した後、例えば、CVD法を用いて、中間無機膜152を形成し、さらに、例えば、スパッタ法を用いて、上部無機膜153を形成する(図5N)。これにより、無機絶縁膜150が形成される。ここで、下部無機膜151は酸化物半導体層を低抵抗に保つ機能を持つ。そのため、下部無機膜151に接しているソース領域132は低抵抗に保たれるが、下部無機膜151に接しておらず、かつCS絶縁膜125に接しているソース領域124は高抵抗になり配線としての機能を果たさない。続いて、例えば、塗布により有機絶縁膜160を形成した後、アニールを行い、有機絶縁膜160を固化させる(図5N)。
次に、例えば、有機絶縁膜160上に所定のパターンのマスクを形成した後、ドライエッチングにより、有機絶縁膜160および無機絶縁膜150を選択的に除去する。これにより、有機絶縁膜160および無機絶縁膜150を貫通するコンタクトホール161,162,163を形成する(図5P)。その後、マスクを除去する。続いて、例えば、スパッタ法を用いて、各コンタクトホール161,162,163を含む表面全体に電極層185を形成する(図5Q)。電極層185は、後に各引出電極(ソース電極171,ドレイン電極172,173)となる金属層である。続いて、電極層185上に所定のパターンのマスクを形成した後、ドライエッチングにより、電極層185を選択的に除去する。その後、アニールを行う。これにより、各引出電極(ソース電極171,ドレイン電極172,173)が形成される(図4)。このようにして、TFT基板13が製造される。
[効果]
次に、本実施の形態に係るTFT基板13およびそれを備えた有機電界発光装置1における効果について、比較例と対比して説明する。
図6は、比較例に係るTFT基板200の断面構成例を表したものである。比較例に係るTFT基板200では、保持容量CSは、金属層170を介して書込トランジスタTR2に接続されており、ソース配線147を介して駆動トランジスタTR1に接続されている。つまり、保持容量CSが駆動トランジスタTR1および書込トランジスタTR2とは別個に設けられている。そのため、保持容量を確保しつつ、精細度を高くすることが容易ではない。
一方、本実施の形態では、CS絶縁膜122を介したCS下部電極121と、ソース領域132に接して設けられた半導体補助層123とによって保持容量CS1が形成される。このように、本実施の形態では、書込トランジスタTR2の一部が保持容量CS1の一部を兼ねている。これにより、保持容量CS1を別個に設けた場合と比べて、保持容量を確保しつつ精細度を高くすることができる。
また、本実施の形態では、CS下部電極121、CS絶縁膜122および半導体補助層123を基板110側からこの順に積層して構成された積層体によって保持容量CS1が形成される。これにより、保持容量CS1を別個に設けた場合と比べて、保持容量を確保しつつ精細度を高くすることができる。
また、本実施の形態では、CS絶縁膜125を介したソース領域132とCS上部電極126とによって保持容量CS2が形成される。これにより、保持容量CS2を別個に設けた場合と比べて、保持容量を確保しつつ精細度を高くすることができる。
また、本実施の形態では、ソース領域132、CS絶縁膜125およびCS上部電極126を基板110側からこの順に積層して構成された積層体によって保持容量CS2が形成される。これにより、保持容量CS2を別個に設けた場合と比べて、保持容量を確保しつつ精細度を高くすることができる。
また、本実施の形態では、保持容量CS2が保持容量CS1上に設けられている。これにより、保持容量CS1と保持容量CS2を平置きした場合と比べて、保持容量を確保しつつ精細度を高くすることができる。
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
自発光素子に流れる電流を制御する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲートに対する電圧印加を制御する第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲート−ソース間の電圧を保持する保持容量と
を備え、
前記第2トランジスタは、
チャネル領域と、前記第1トランジスタのゲートに電気的に接続された、前記チャネル領域より抵抗率の低い低抵抗領域とを含む酸化物半導体層と、
前記低抵抗領域に接して設けられ、前記低抵抗領域を介した電気的な接続を補助する半導体補助層と
を有し、
前記保持容量は、第1絶縁層を介して前記半導体補助層と対向する位置に設けられた第1金属層を有し、前記第1絶縁層を介した前記第1金属層と前記半導体補助層とによって第1容量を形成する
半導体基板。
(2)
前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタおよび前記保持容量を支持する基板を更に備え、
前記保持容量は、前記第1金属層、前記第1絶縁層および前記半導体補助層を前記基板側からこの順に積層して構成された第1積層体によって前記第1容量を形成する
(1)に記載の半導体基板。
(3)
前記保持容量は、前記第1金属層と前記第1トランジスタのゲートとを互いに接続する第2金属層を更に有し、第2絶縁層を介した前記低抵抗領域と前記第2金属層とによって第2容量を形成する
(2)に記載の半導体基板。
(4)
前記保持容量は、前記低抵抗領域、前記第2絶縁層および前記第2金属層を前記基板側からこの順に積層して構成された第2積層体によって前記第2容量を形成する
(3)に記載の半導体基板。
(5)
前記第2積層体は、前記第1積層体上に設けられている
(4)に記載の半導体基板。
(6)
前記半導体補助層は、金属または酸化物半導体を含む
(1)から(5)のいずれか1つに記載の半導体基板。
(7)
半導体基板上に、画素ごとに自発光素子を有する発光パネルと、
前記発光パネルを駆動する駆動回路と
を備え、
前記半導体基板は、
前記自発光素子に流れる電流を制御する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲートに対する電圧印加を制御する第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲート−ソース間の電圧を保持する保持容量と
を前記画素ごとに有し、
前記第2トランジスタは、
チャネル領域と、前記第1トランジスタのゲートに電気的に接続された、前記チャネル領域より抵抗率の低い低抵抗領域とを含む酸化物半導体層と、
前記低抵抗領域に接して設けられ、前記低抵抗領域を介した電気的な接続を補助する半導体補助層と
を有し、
前記保持容量は、第1絶縁層を介して前記半導体補助層と対向する位置に設けられた第1金属層を有し、前記第1絶縁層を介した前記第1金属層と前記半導体補助層とによって第1容量を形成する
発光装置。