図1に示す加工装置1は、研削手段7A,7Bと研磨手段4とを備える加工装置であって、各保持手段3A〜3Dを構成する各保持テーブル30に保持された被加工物Wを、研削手段7A,7Bにより研削し、さらに、研磨手段4により研磨する装置である。加工装置1は、例えば、第1の装置ベース10の後方(+Y方向側)に第2の装置ベース11を連結して構成している。第1の装置ベース10上は、被加工物Wの搬出入等が行われる領域である搬出入領域Aとなっている。第2の装置ベース11上は、研削手段7A,7B又は研磨手段4によって保持手段3A〜3Dに保持された被加工物Wの加工が行われる領域である加工領域Bとなっている。
第1の装置ベース10の正面側(−Y方向側)には、例えば、第1のカセット載置部150及び第2のカセット載置部151が設けられており、第1のカセット載置部150には加工前の被加工物Wが収容される第1のカセット150aが載置され、第2のカセット載置部151には加工後の被加工物Wを収容する第2のカセット151aが載置される。
第1のカセット150aの前方(+Y方向側)には、第1のカセット150aから加工前の被加工物Wを搬出するとともに加工後の被加工物Wを第2のカセット151aに搬入するロボット155が配設されている。ロボット155に隣接する位置には、仮置き領域152が設けられており、仮置き領域152には位置合わせ手段153が配設されている。位置合わせ手段153は、第1のカセット150aから搬出され仮置き領域152に載置された被加工物Wを所定の位置に位置合わせする。
位置合わせ手段153と隣接する位置には、被加工物Wを保持した状態で旋回するローディングアーム154aが配置されている。ローディングアーム154aは、位置合わせ手段153において位置合わせされた被加工物Wを保持し、加工領域B内に配設されているいずれかの保持テーブル30へ搬送する。ローディングアーム154aの隣には、加工後の被加工物Wを保持した状態で旋回するアンローディングアーム154bが設けられている。アンローディングアーム154bと近接する位置には、アンローディングアーム154bにより搬送された加工後の被加工物Wを洗浄する洗浄手段156が配置されている。洗浄手段156により洗浄された被加工物Wは、ロボット155により第2のカセット151aに搬入される。
第2の装置ベース11上の後方(+Y方向側)には第1のコラム12が立設されており、第1のコラム12の−Y方向側の側面には研削送り手段20が配設されている。研削送り手段20は、鉛直方向(Z軸方向)の軸心を有するボールネジ200と、ボールネジ200と平行に配設された一対のガイドレール201と、ボールネジ200に連結しボールネジ200を回動させるモータ202と、内部のナットがボールネジ200に螺合し側部がガイドレール201に摺接する昇降板203と、昇降板203に連結され研削手段7Aを保持するホルダ204とを備えており、モータ202がボールネジ200を回動させると、これに伴い昇降板203がガイドレール201にガイドされてZ軸方向に往復移動し、ホルダ204に保持された研削手段7AがZ軸方向に研削送りされる。
研削手段7Aは、軸方向が鉛直方向(Z軸方向)であるスピンドル70と、スピンドル70を回転可能に支持するハウジング71と、スピンドル70を回転駆動するモータ72と、スピンドル70の下端に接続された円形状のマウント73と、マウント73の下面に着脱可能に接続された研削ホイール74とを備える。そして、被加工物Wを研削加工する加工具である研削ホイール74は、ホイール基台741と、ホイール基台741の底面に環状に配設された略直方体形状の複数の研削砥石740aとを備える。研削砥石740aは、例えば、レジンボンドやメタルボンド等でダイヤモンド砥粒等が固着されて成形されている。なお、研削砥石740aの形状は、環状に一体に形成されているものでもよい。研削砥石740aは、例えば、粗研削に用いられる砥石であり、砥石中に含まれる砥粒が比較的大きな砥石である。すなわち、研削手段7Aは、被加工物Wに対して粗研削を施すための研削手段となる。
図2に示すように、スピンドル70の内部には、研削水の通り道となる流路70aが、スピンドル70の軸方向(Z軸方向)に貫通して形成されており、流路70aは、さらにマウント73を通り、ホイール基台741に形成された流路70bに連通している。流路70bは、ホイール基台741の内部においてスピンドル70の軸方向と直交する方向に、ホイール基台741の周方向に一定の間隔をおいて配設されており、ホイール基台741の底面において研削砥石740aに向かって研削水を噴出できるように開口している。
図1に示すように、第2の装置ベース11上の後方(+Y方向側)には、第2のコラム13が第1のコラム12にX軸方向に並列して立設されており、第2のコラム13の−Y方向側の側面には研削送り手段20が配設されている。第2のコラム13に配設された研削送り手段20は、研削手段7BをZ軸方向に研削送りする。研削手段7Bは、砥石中に含まれる砥粒が比較的小さな仕上げ研削用の研削砥石740bを備えており、その他の構成は研削手段7Aと同様となっている。すなわち、研削手段7Bは、被加工物Wに対して仕上げ研削を施すための研削手段となる。
研削手段7A、7Bには、研削手段7A、7Bに研削水を供給する研削水供給手段8が接続されている。研削水供給手段8は、例えば、水源となるポンプ等からなる研削水供給源80と、研削水供給源80に接続されスピンドル70内部の流路70aと連通する配管81とから構成されている。なお、研削水供給手段8は、研削水を研削砥石740a又は研削砥石740bと被加工物Wとの接触部位に対して研削手段7A、7Bの外部から噴射するノズル等から構成されていてもよい。
第2の装置ベース11上の左方(−X方向側)には、第3のコラム14が立設されており、第3のコラム14の+X方向側の側面には、Y軸方向移動手段24が配設されている。Y軸方向移動手段24は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ240と、ボールネジ240と平行に配設された一対のガイドレール241と、ボールネジ240を回動させるモータ242と、内部のナットがボールネジ240に螺合し側部がガイドレール241に摺接する可動板243とから構成される。そして、モータ242がボールネジ240を回動させると、これに伴い可動板243がガイドレール241にガイドされてY軸方向に移動し、可動板243上に配設された研磨手段4が可動板243の移動に伴いY軸方向に移動する。
可動板243上には、研磨手段4を保持テーブル30に対して接近および離反する方向に昇降させる昇降手段25が配設されている。昇降手段25は、鉛直方向(Z軸方向)の軸心を有するボールネジ250と、ボールネジ250と平行に配設された一対のガイドレール251と、ボールネジ250に連結しボールネジ250を回動させるモータ252と、内部のナットがボールネジ250に螺合し側部がガイドレール251に摺接する昇降板253とから構成され、モータ252がボールネジ250を回動させると、これに伴い昇降板253がガイドレール251にガイドされてZ軸方向に往復移動し、昇降板253上に配設された研磨手段4が保持テーブル30に対して接近及び離反するZ軸方向に昇降する。
研磨手段4は、例えば、軸方向が鉛直方向(Z軸方向)であるスピンドル40と、スピンドル40を回転可能に支持するハウジング41と、スピンドル40を回転駆動するモータ42と、スピンドル40の下端に接続された研磨加工具43とを備えている。研磨加工具43は、円形板状のマウント431と、マウント431の下面に着脱可能に取り付けられた円形状の研磨パッド430とから構成されている。研磨パッド430は、例えば、フェルト等の不織布等からなる。例えば、スピンドル40の内部には、スラリーが流入する図示しない流路が形成されており、この流路にスラリー供給源49が連通している。スラリー供給源49からスピンドル40に対して供給されたスラリーは、マウント431の底面に形成された開口から研磨パッド430に対して供給される。なお、加工装置1は、粗研削用の研削手段7A、仕上げ研削用の研削手段7B、及び研磨手段4のような3軸の加工手段を備える構成には限定されず、例えば1軸の研削手段のみを備えるものであってもよい。
図1に示すように、第2の装置ベース11上には、ターンテーブル17が配設され、ターンテーブル17の上面には、例えば4つの保持テーブル30が周方向に等間隔を空けて配設されている。ターンテーブル17の中心には、ターンテーブル17を自転させるための図示しない回転軸が配設されており、回転軸を中心としてターンテーブル17を自転させることができる。ターンテーブル17が自転することで、4つの保持テーブル30を公転させ、仮置き領域152の近傍から、研削手段7Aの下方、研削手段7Bの下方、研磨手段4の下方へと順次移動させることができる。
保持手段3B〜3Dは、保持手段3Aの構成と同様であるため、以下に保持手段3Aの構成についてのみ説明する。被加工物Wを保持する保持手段3Aは、図2に示すように、被加工物Wを吸引保持する保持部300を備える保持テーブル30と、保持テーブル30の底面側の中央に一端を固定した回転軸31と、回転軸31を囲繞する筒状のロータリージョイント33と、回転軸31を回転させる回転手段35とを少なくとも備えている。
保持テーブル30は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなり被加工物Wを吸引保持する保持部300と、保持部300を支持する枠体301とを備える。保持部300の露出面である保持面300aは、例えば、保持テーブル30の中心を頂点とする円錐面に形成されている。保持部300は図2に示す吸引源61に連通し、吸引源61が吸引することで生み出された吸引力が保持面300aに伝達されることで、保持手段30は保持面300a上で被加工物Wを吸引保持する。例えば、保持テーブル30の枠体301の内部には複数の吸引路301cが形成されており、各吸引路301cの上端は、保持部300と連通している。
保持テーブル30の底面側の中央には、軸方向が鉛直方向(Z軸方向)であり円柱状に形成された回転軸31の上端が固定されている。回転軸31を回転させる回転手段35は、例えば、回転プーリ機構であり、軸方向が鉛直方向である駆動軸350と、駆動軸350の下端側に取り付けられ駆動軸350を回転駆動するモータ351と、駆動軸350の上端に取り付けられた駆動プーリ352と、駆動プーリ352に巻回された無端状の駆動ベルト353と、回転軸31に上端側の外周面に取り付けられる従動プーリ354とを備えている。駆動ベルト353は、従動プーリ354にも巻回されており、モータ351によって駆動軸350が回転駆動することに伴って、従動プーリ354も回転する。そして、従動プーリ354が回転することで生み出される回転力により、回転軸31が回転する。なお、回転手段35の構成は本実施形態に限定されるものではなく、回転軸31の下端にモータを取り付けることで構成されてもよい。
回転軸31は、保持テーブル30の保持部300に連通する吸引路310を備えている。吸引路310は、例えば、回転軸31内部に複数本形成されており、その各上端側は、枠体301の各吸引路301cに連通している。各吸引路310は、回転軸31の軸方向に向かって延在しており、その下端側は径方向外側に向かって曲がり回転軸31の外周面にそれぞれ開口している。
回転軸31は、外形が筒状のロータリージョイント33に軸受け33aを介して挿通されており、回転軸31の下端側から従動プーリ354の取り付け位置付近までロータリージョイント33により囲繞されている。ロータリージョイント33の筒内周面と回転軸31の外周面との間には、僅かな隙間Vが形成されている。ロータリージョイント33には、回転軸31の内部に流体を流通させるための連通路330が複数本、ロータリージョイント33の外周面から内周面に向かって形成されている。各連通路330の一端は配管330aを介して、それぞれ三方電磁弁60に接続されている。三方電磁弁60には、真空発生装置及びコンプレッサ等からなり吸引力を生み出す吸引源61と、エアを保持テーブル30の保持面300aに供給するエア供給源62とが接続されている。
ロータリージョイント33の内周面には、環状溝333が筒内周面を一周するように複数形成されており、各環状溝333は各連通路330と連通している。また、各環状溝333は、回転軸31の外周面に開口する各吸引路310の下端と隙間Vを介して連通している。
図2に示すように、ロータリージョイント33の内周面と回転軸31の外周面との間の隙間Vには、複数(図2に示す例においては、4つ)のメカニカルシール36が回転軸31に沿って配設されている。メカニカルシール36は、例えば、スプリング等により回転軸31の軸方向に動くことが可能でかつ回転軸31と共に回転する回転密封環と、軸方向に動かずかつ回転しない固定密封環等から構成されている。メカニカルシール36は、回転軸31が回転している最中に、例えば、吸引源61が吸引を行うことで生み出す吸引力が、連通路330、隙間V及び環状溝333からなる吸引力の移動経路を通過する際に、吸引力の遺漏を最小限に抑える役割を果たす。
ロータリージョイント33には、連通路330に水を供給する水供給路335が複数本、ロータリージョイント33の外周面から内周面に向かって形成されている。各水供給路335の一端は通水管335aを介して、ポンプ等からなり純水等を供給可能な給水源337に連通している。なお、各水供給路335は各通水管335aを介して、独立した給水源に連通していてもよい。各水供給路335のもう一端は、例えば、隙間V及び環状溝333を介して連通路330にそれぞれ連通している。なお、各水供給路335は、連通路330に直に連通していてもよい。例えば、各通水管335aの管内には、水供給路335から連通路330に供給する水量を調整する絞り部338が配設されている。
以下に、図1〜3を用いて、加工装置1において、保持手段3Aに保持された被加工物Wに対して、仕上げ厚み程度まで薄くする粗研削、被加工面の平坦性を高める仕上げ研削、及び被加工面の研磨を含む一連の加工を行う場合の、加工装置1の動作について説明する。
図1に示す被加工物Wは、例えば、SiC又はサファイアのような硬質材で形成された外形が円形板状のウエーハであり、被加工物Wの裏面Wbが、研削加工等が施される被加工面となる。被加工物Wの表面Waは、保護テープT1が貼着されて保護されている。
被加工物Wの研削においては、まず、図1に示すターンテーブル17が自転することで、被加工物Wが載置されていない状態の保持手段3Aの保持テーブル30が公転し、保持テーブル30がローディングアーム154aの近傍まで移動する。ロボット155が第1のカセット150aから一枚の被加工物Wを引き出し、被加工物Wを位置合わせ手段153に移動させる。次いで、位置合わせ手段153において被加工物Wが所定の位置に位置決めされた後、ローディングアーム154aが、位置合わせ手段153上の被加工物Wを保持手段3Aの保持テーブル30上に移動させる。そして、保持テーブル30の中心と被加工物Wの中心とが略合致するように、被加工物Wが、保護テープT1側を下にして保持面300a上に載置される。そして、図2に示す吸引源61により生み出される吸引力が、配管330a、連通路330、環状溝333、吸引路310及び枠体301の吸引路301cを通り保持面300aに伝達されることにより、保持テーブル30が保持面300a上で被加工物Wを吸引保持する。図2に示すように、保持テーブル30の保持面300a全面は、被加工物Wに貼着された保護テープT1によって覆われた状態となる。
例えば、図1に示すように、+Z軸方向から見て反時計回り方向にターンテーブル17が自転することで、被加工物Wを保持した保持テーブル30が公転し、加工領域B内の研削手段7Aの下まで移動して、研削手段7Aに備える研削ホイール74と保持テーブル30に保持された被加工物Wとの位置合わせがなされる。位置合わせは、例えば、図2に示すように、研削ホイール74の回転中心が保持テーブル30の回転中心に対して所定の距離だけ+X方向にずれ、研削砥石740aの回転軌道が保持テーブル30の回転中心を通るように行われる。
研削手段7Aに備える研削ホイール74と被加工物Wとの位置合わせが行われた後、スピンドル70が回転駆動されるのに伴って研削ホイール74が回転する。また、研削手段7Aが研削送り手段20(図2には不図示)により−Z方向へと送られ、回転する研削ホイール74の研削砥石740aが被加工物Wの裏面Wbに当接することで粗研削加工が行われる。粗研削中は、回転手段35が回転軸31を回転させて保持テーブル30を回転させるのに伴って、保持面300a上に保持された被加工物Wも回転するので、研削砥石740aが被加工物Wの裏面Wbの全面の粗研削加工を行う。吸引源61が生み出す吸引力は、ロータリージョイント33から回転軸31に移動する際においても、メカニカルシール36によって遺漏することがないため、粗研削加工中に保持面300aの吸引力が低下することはない。また、研削水供給手段8が、研削水をスピンドル70中の流路70aを通して研削砥石740aと被加工物Wとの接触部位に対して供給して、研削砥石740aと被加工物Wの裏面Wbとの接触部位を冷却・洗浄する。
研削手段7Aから噴射された研削水は、研削砥石740aと被加工物Wの裏面Wbとの接触部位を冷却し、かつ、被加工物Wから生じた研削屑を除去し、研削屑と共に被加工物Wの裏面Wb上から径方向外側に向かって流れていき、被加工物W上及び保持テーブル30上から流下する。ここで、保持テーブル30の保持面300a全面は、被加工物Wに貼着された保護テープT1によって覆われた状態となっているため、保持面300aから研削水が吸水されない。そのため、回転軸31とロータリージョイント33との間に研削水が通水されず、研削水によって回転軸31とメカニカルシール36とによって発生する摩擦熱を下げることは難しい。
しかし、本発明に係る加工装置1においては、研削加工中に、給水源337から純水を通水管335aに流入させる。この純水は、通水管335a内で絞り部338によってその水量が減少するように制御される。そのため、流量が減少した純水が、水供給路335、隙間V及び環状溝333を通り、連通路330に到達する。そのため、回転軸31とロータリージョイント33との間に加温等がされていない純水を介在させることができる。この純水が、回転する回転軸31とメカニカルシール36とによって発生する摩擦熱を下げることで、ロータリージョイント33の不具合の発生を防ぎ、また、メカニカルシール36のシール性を高めることができる。
一枚の被加工物Wを所定の研削量だけ粗研削して、一枚の被加工物Wの粗研削を完了させた後、図1に示すターンテーブル17が+Z方向から見て反時計回り方向に自転することで、粗研削後の被加工物Wを保持する保持テーブル30が公転し、保持テーブル30が研削手段7Bの下方まで移動する。研削手段7Bに備える研削ホイール74と被加工物Wとの位置合わせが行われた後、研削手段7Bが研削送り手段20により−Z方向へと送られ、回転する研削ホイール74の研削砥石740bが被加工物Wの裏面Wbに当接することで仕上げ研削加工が行われる。仕上げ研削中は、回転手段35が回転軸31を回転させて保持テーブル30を回転させるのに伴って、保持面300a上に保持された被加工物Wも回転するので、研削砥石740bが被加工物Wの裏面Wbの全面の仕上げ研削加工を行う。吸引源61が生み出す吸引力は、ロータリージョイント33から回転軸31に移動する際においても、メカニカルシール36によって遺漏することがないため、仕上げ研削加工中に保持面300aの吸引力が低下することはない。また、仕上げ研削加工中においても、給水源337から純水を通水管335aに流入させ、絞り部338で水量を絞り、流量が減少した水を水供給路335から連通路330に供給して回転軸31とロータリージョイント33との間に介在させる。そのため、回転する回転軸31とメカニカルシール36とによって発生する摩擦熱を加温されていない純水で下げることで、ロータリージョイント33の不具合の発生を防ぎ、また、メカニカルシール36のシール性を高めることができる。
一枚の被加工物Wを仕上げ研削して、被加工物Wの裏面Wbの平坦性を高めた後、図1に示すターンテーブル17が+Z方向から見て反時計回り方向に自転することで、仕上げ研削後の被加工物Wを保持する保持テーブル30が公転し、保持テーブル30が研磨手段4の下方まで移動する。そして、研磨手段4に備える研磨加工具43と被加工物Wとの位置合わせがなされる。位置合わせは、例えば、図3に示すように、研磨加工具43の回転軸心が、保持テーブル30の回転中心に対して所定の距離だけ+X方向にずれ、保持テーブル30で保持された被加工物Wの裏面Wbの全面を研磨加工具43の研磨パッド430で覆った状態にする。
研磨加工具43が回転駆動され、また、研磨手段4が昇降手段25(図3には不図示)により−Z方向へと送られ、研磨パッド430が被加工物Wの裏面Wbに当接することで研磨加工が行われる。研磨加工中は、回転手段35が回転軸31を回転させることで、保持面300a上に保持された被加工物Wも回転するので、研磨パッド430が被加工物Wの裏面Wbの全面の研磨を行う。また、研磨加工中においても、給水源337から純水を通水管335aに流入させ、絞り部338で水量を絞り、流量が減少した水を水供給路335から連通路330に供給して回転軸31とロータリージョイント33との間に介在させる。そのため、回転する回転軸31とメカニカルシール36とによって発生する摩擦熱を加温されていない純水で下げることで、ロータリージョイント33の不具合の発生を防ぎ、また、メカニカルシール36のシール性を高めることができる。
一枚の被加工物Wの研磨を完了させた後、図1に示す昇降手段25により研磨手段4を+Z方向へと移動させて研磨加工済みの被加工物Wから離間させる。また、保持テーブル30の回転が停止され、図1に示すターンテーブル17が+Z方向から見て反時計回り方向に自転することで、研磨加工後の被加工物Wを保持する保持テーブル30が公転し、保持テーブル30がアンローディングアーム154bの近傍まで移動する。さらに、給水源337が通水管335aに水を流入させるのを停止し、連通路330への水の供給が停止される。
次いで、保持テーブル30上に吸引保持されている研磨加工が施された被加工物Wを、保持テーブル30から搬出する。すなわち、アンローディングアーム154bが被加工物Wの裏面Wbに接触して被加工物Wを吸引保持し、また、吸引源61による吸引を止めて、保持テーブル30による被加工物Wの吸引保持を解除する。さらに、図3に示す三方電磁弁60によって、各配管330aがエア供給源62と連通するように流路を切り替え、エア供給源62から各配管330aに対してエアを供給する。配管330aに供給されたエアは、連通路330、環状溝333、回転軸31の吸引路310、及び枠体301の吸引路301cを通り保持面300aから上方に向かって噴出する。このエアの噴射圧力によって、被加工物Wを保持面300aから押し上げ、保持面300aと被加工物Wとの間に残存する真空吸着力を排除し、アンローディングアーム154bによる被加工物Wの吸引保持を完全なものとする。
アンローディングアーム154bが保持テーブル30から被加工物Wを搬出した後、ローディングアーム154aが研削加工前の別の新しい一枚の被加工物Wを保持テーブル30に搬送して、次いで、上記と同様に一連の加工を被加工物Wに施していく。
なお、本発明に係る加工装置1は上記実施形態に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されている加工装置1の各構成の大きさや形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
例えば、加工装置1は、図4に示す保持手段3Eを備えるものとしてもよい。保持手段3Eは、図2に示す保持手段3Aの構成の一部、すなわち、保持テーブル30を保持テーブル30Eに変更したものであり、保持テーブル30と保持テーブル30Eとの構成の違い以外については、保持手段3Eと保持手段3Aとは同様に構成されている。保持テーブル30Eは、環状フレームFによって支持された状態の被加工物Wを吸引保持することができる。
図4に示す被加工物W1は、例えば、外形が円形状の半導体ウエーハであり、被加工物W1の表面W1aに被加工物W1よりも大径の保護テープT2が貼着されている。そして、保護テープT2の外周部が環状フレームFに貼着されていることで、被加工物W1は保護テープT2を介して環状フレームFに支持された状態となっている。そして、上側を向いている裏面W1bが、研削加工が施される被研削面となる。
保持テーブル30Eは、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなり被加工物Wを吸引保持する保持部300と、保持部300を支持する枠体307とを備える。保持テーブル30Eの保持面300aは、例えば、保持テーブル30Eの中心を頂点とする円錐面に形成されている。保持部300は図4に示す吸引源61に連通している。
枠体307は、例えば、枠体307の基部307bから径方向(回転軸31の軸方向と水平方向に直交する方向)外向きに延出される平板部307cを備えている。平板部307c上のより基部307b側には、環状保持部307dが+Z方向に突出するように形成されており、環状保持部307dよりもさらに外周側に、環状の外壁部307eが+Z方向に突出するように形成されている。そして、枠体307には、環状保持部307dと外壁部307eとに囲繞される環状凹み部307fが形成されている。なお、環状凹み部307fには、図示しない排水口が形成されている。
例えば、基部307bの中央部には、厚み方向(Z軸方向)に吸引路307gが貫通して形成されており、吸引路307gの上端は、保持部300と連通しており、下端は、回転軸31内の複数の吸引路310の内の一本に連通している。
また、枠体307の内部には、基部307bから環状保持部307dまで延びる吸引路307hが複数形成されている。環状保持部307dの上面は、被加工物W1を支持する環状フレームFを吸引保持する環状の保持面307iとなっている。そして、環状保持面307iには、吸引路307hの上端が開口している。吸引路307hの開口は、例えば、環状の保持面307iに周方向に一定の間隔をおいて複数(例えば90度間隔で4箇所、図4においては、2箇所のみ図示)箇所形成されている。各吸引路307hの下端は、回転軸31内の複数の吸引路310の内の一本にそれぞれ連通している。なお、環状保持部307dの環状保持面307iに環状の溝を形成し、この環状溝に吸引路307hの上端が連通しているものとしてもよい。
以下に、図1、図4〜5を用いて、加工装置1において、保持手段3Eに保持された被加工物W1に対して、仕上げ厚み程度まで薄くする粗研削、被加工面の平坦性を高める仕上げ研削、及び被加工面の研磨を含む一連の加工を行う場合の、加工装置1の動作について説明する。
ローディングアーム154aが、位置合わせ手段153上の被加工物W1を保持手段3Eの保持テーブル30E上に移動させる。被加工物W1が、保護テープT2側を下にして保持面300a上に載置され、また、被加工物W1を支持する環状フレームFが、環状保持面307iに保護テープT2を介して接触した状態になる。そして、図4に示す吸引源61により生み出される吸引力が、配管330a、連通路330、環状溝333、回転軸31の吸引路310及び枠体307の吸引路307gを通り保持面300aに伝達されることにより、保持テーブル30が保持面300a上で被加工物W1を吸引保持する。また、吸引源61により生み出される吸引力が、配管330a、連通路330、環状溝333、回転軸31の吸引路310及び枠体307の吸引路307hを通り環状保持面307iに伝達されることにより、環状フレームFが環状保持面307i上で吸引保持される。そして、図4に示すように、保持テーブル30Eの保持面300a全面は被加工物W1に貼着された保護テープT2によって覆われた状態となる。
図1に示すターンテーブル17が自転することで、被加工物W1を保持した保持テーブル30Eが公転し、研削手段7Aの下まで移動する。そして、回転する研削ホイール74が下降し、研削砥石740aが被加工物W1の裏面W1bに当接することで粗研削加工が行われる。粗研削中は、回転手段35が回転軸31を回転させて保持テーブル30Eを回転させるのに伴って、保持面300a上に保持された被加工物W1も回転するので、研削砥石740aが被加工物W1の裏面W1bの全面の粗研削加工を行う。また、研削水供給手段8が、研削水を研削砥石740aと被加工物W1の裏面W1bとの接触部位に供給し、研削水がこの接触部位を冷却・洗浄する。
保持テーブル30Eの保持面300a全面は、被加工物W1に貼着された保護テープT2によって覆われた状態となっているため、保持面300aから研削水を吸水して回転軸31とメカニカルシール36とによって発生する摩擦熱を下げることは難しい。しかし、本発明に係る加工装置1においては、研削加工中に、給水源337から純水を通水管335aに流入させる。この純水は、通水管335a内で絞り部338によってその水量が減少するように制御される。そのため、流量が減少した純水が、水供給路335、隙間V及び環状溝333を通り、連通路330に到達する。そのため、回転軸31とロータリージョイント33との間に加温等がされていない純水を介在させることができる。この純水が、回転する回転軸31とメカニカルシール36とによって発生する摩擦熱を下げることで、ロータリージョイント33の不具合の発生を防ぎ、また、メカニカルシール36のシール性を高めることができる。
次いで、粗研削後の被加工物W1に対して、図1に示す研削手段7Bにより仕上げ研削を行う。仕上げ研削加工中においても、給水源337から純水を通水管335aに流入させ、絞り部338で水量を絞り、流量が減少した水を水供給路335から連通路330に供給して回転軸31とロータリージョイント33との間に介在させる。そのため、回転する回転軸31とメカニカルシール36とによって発生する摩擦熱を加温されていない純水で下げることで、ロータリージョイント33の不具合の発生を防ぎ、また、メカニカルシール36のシール性を高めることができる。
一枚の被加工物W1を仕上げ研削して、被加工物W1の裏面W1bの平坦性を高めた後、保持テーブル30Eが図5に示す研磨手段4の下方まで移動する。研磨加工具43が回転駆動され、また、研磨手段4が昇降手段25(図5には不図示)により−Z方向へと送られ、研磨パッド430が被加工物W1の裏面W1bに当接することで研磨加工が行われる。研磨加工中は、回転手段35が回転軸31を回転させることで、保持面300a上に保持された被加工物W1も回転するので、研磨パッド430が被加工物W1の裏面W1bの全面の研磨を行う。また、研磨加工中においても、給水源337から純水を通水管335aに流入させ、絞り部338で水量を絞り、流量が減少した水を水供給路335から連通路330に供給して回転軸31とロータリージョイント33との間に介在させる。そのため、回転する回転軸31とメカニカルシール36とによって発生する摩擦熱を加温されていない純水で下げることで、ロータリージョイント33の不具合の発生を防ぎ、また、メカニカルシール36のシール性を高めることができる。