<本発明者らの検討に基づく知見>
本発明者らは、蓄冷装置を備えたコールドロールボックスにおいて物品を効率的に保冷するための検討を行った。その結果、本発明者らは、蓄冷装置の内部で送風機を作動させて空気の流れを生じさせ、蓄冷体によって冷却された空気の流れを物品の保冷に利用することが有効であることを見出した。本発明者らは、この場合、送風機の作動により空気の流れが生じている期間に、蓄冷体の温度が空気の流れ方向にばらつくことがあることを新たに見出した。そのうえで、本発明者らは、空気の流れ方向における蓄冷体の温度のばらつきを考慮して蓄冷体の蓄冷量を決定できれば高い正確性を有する蓄冷量を表示できることを新たに見出した。そこで、本開示の発明者らは、送風機の作動により生じる空気の流れ方向における複数の位置で蓄冷体の表面温度等の温度を検出し、その検出の結果に基づいて蓄冷量を決定する技術を新たに案出した。
しかし、蓄冷装置の使用状況によっては送風機が停止したままで蓄冷装置が特定期間放置されることもある。送風機が作動している場合には空気の流れによって蓄冷体が有する冷熱の多くが消費されるが、送風機が停止している場合には蓄冷体が有する冷熱の多くは蓄冷装置の外部空間の熱が蓄冷室を定めている壁を伝わることによって消費される。このため、空気の流れ方向における蓄冷体の温度のばらつきを考慮するのみでは、高い正確性を有する蓄冷量を表示することは難しい。そこで、本発明者らは送風機が停止している場合でも、高い正確性を有する蓄冷量を表示できる技術について日夜検討を重ねた。その結果、本発明者らは、それぞれ蓄冷体が収容されている複数の箱体において複数の温度センサの配置を工夫することにより、送風機が停止している場合でも高い正確性を有する蓄冷量を表示できることを新たに見出した。本開示の蓄冷装置は、このような本発明者らの新たな知見に基づいて案出されたものである。なお、上記の知見は、発明者らの検討に基づく知見であり、先行技術として自認するものではない。
本開示の第1態様は、
底面及び前記底面の周縁から上方に延びている第一側面を含む内周面を有し、前記内周面によって蓄冷室を定めている壁と、
それぞれ蓄冷体が収容されており、前記蓄冷室において第一の方向に沿って所定の間隔で配置されている複数の箱体であって、当該複数の箱体の中で前記第一側面に最も近い箱体である第一箱体を含む、複数の箱体と、
前記複数の箱体の隣り合う箱体同士の間に定められた空間を通過する空気の流れを生じさせる送風機と、
前記第一箱体に配置された第一温度センサを含み、かつ、直線に沿ってそれぞれ異なる前記箱体に配置されているとともに、前記箱体の表面温度、前記蓄冷体の表面温度、又は前記蓄冷体の内部の温度を検出する複数の温度センサと、
前記複数の温度センサのうちの少なくとも1つの温度センサによって検出された温度に基づいて前記蓄冷体の蓄冷量を示す状態情報を生成し、前記状態情報を出力する制御器と、
前記制御器が出力した前記状態情報を表示する表示装置と、を備えた、
蓄冷装置を提供する。
第1態様によれば、送風機によって、複数の箱体の隣り合う箱体同士の間に定められた空間を通過する空気の流れを生じさせることができるので物品を効率的に保冷できる。また、箱体の表面温度等の温度を検出する複数の温度センサは、直線に沿ってそれぞれ異なる箱体に配置されている。このため、複数の温度センサによる検出結果は、蓄冷装置の外部空間から第一側面を通過して蓄冷室に伝わる熱の影響を反映する。特に、送風機が停止している場合には蓄冷体が有する冷熱の多くは蓄冷装置の外部空間の熱が蓄冷室を定めている壁を伝わることによって消費される。第1態様によれば、複数の温度センサによって検出された温度に基づいて蓄冷体の蓄冷量を示す状態情報を生成し、その状態情報を表示装置に表示する。このため、送風機が停止している場合でも高い正確性を有する蓄冷量を表示できる。加えて、複数の温度センサの中の少なくともいずれか1つの温度センサによって検出された温度が状態情報を生成するのに適している可能性が高い。このように、第1態様に係る蓄冷装置は、物品を効率的に保冷できるとともに高い正確性を有する蓄冷量を表示するのに有利である。
特許文献1には、送風機によって蓄冷溶剤の周囲に空気の流れを生じさせることは記載されておらず、空気の流れ方向の複数の位置で蓄冷溶剤の温度を検出することも記載されていない。ましてや、特許文献1には、作動していた送風機が停止した場合の蓄冷量を求める方法について何ら示唆されておらず、特許文献1の記載の記載に基づいて、第1態様に係る蓄冷装置を案出することはできない。
本開示の第2態様は、第1態様に加えて、前記複数の箱体のそれぞれの長手方向における全長をLTと表すとき、前記複数の温度センサのそれぞれは、前記空気の流れ方向における最上流端から前記空気の流れ方向の下流側に向かってLT/2未満の領域に配置されている、蓄冷装置を提供する。送風機の作動により箱体同士の間に定められた空間を通過する空気の流れが生じている場合、空気の流れ方向の上流側の箱体の端部に位置する蓄冷体の冷熱が優先的に消費され、その端部に位置する蓄冷体が優先的に融解する。一方、空気の流れ方向の下流側の箱体の端部に位置する蓄冷体は最後まで凝固状態に留まりやすい。送風機が停止している場合に蓄冷量を示す状態情報の生成において参照される温度センサによって検出された温度は融解状態の蓄冷体の温度を反映していることが望ましい。なぜなら、蓄冷体の顕熱変化により、蓄冷装置の外部空間から第一側面を通過して蓄冷室に伝わる熱を定量的に評価できるからである。第2態様によれば、作動していた送風機が停止した直後において、複数の温度センサによって検出された温度が融解状態の蓄冷体の温度を反映している可能性が高く、蓄冷量を有利に決定できる。
本開示の第3態様は、第1態様又は第2態様に加えて、前記複数の温度センサは、前記複数の箱体の中で、少なくとも前記第一箱体及び前記第一箱体と隣り合っている箱体である第二箱体に配置されている、蓄冷装置を提供する。第3態様によれば、第一箱体及び第二箱体に配置された温度センサによって検出された温度は、作動していた送風機が停止して間もなく上昇しやすい。このため、第二箱体に配置された温度センサによって検出された温度に基づいて、送風機の停止後の早い段階で蓄冷量を示す状態情報を生成しやすい。
本開示の第4態様は、第1態様又は第2態様に加えて、前記複数の箱体の数は、3つであり、前記複数の箱体の中で、前記第一箱体及び前記第一箱体と隣り合っている箱体である第二箱体のみに前記温度センサが配置されている、蓄冷装置を提供する。第4態様によれば、第一箱体及び第二箱体のみに温度センサが配置されており、複数の箱体の中で第一側面から最も遠い箱体には温度センサが配置されていない。このため、複数の箱体に配置される温度センサの数を低減できる。
本開示の第5態様は、第1態様〜第3態様のいずれか1つの態様に加えて、前記複数の箱体の数は、nを2以上の自然数と定義したとき、2n又は2n+1であり、前記複数の温度センサは、前記複数の箱体の中で前記第一側面からn+1番目に近い箱体であるm次箱体と前記第一箱体との間に配置されている箱体から選択される少なくとも1つの箱体及び前記第一箱体のみに配置されている、蓄冷装置を提供する。第5態様によれば、複数の箱体に配置される温度センサの数を複数の箱体の数の半分(n個)以下にできる。また、複数の箱体における蓄冷体の温度分布の対称性を考慮することにより、複数の箱体の数の半分以下の数の温度センサによって正確さを大きく損ねることなく、蓄冷体の蓄冷量を示す状態情報を生成できる。
本開示の第6態様は、第5態様に加えて、前記複数の温度センサは、前記複数の箱体の中で、前記第一箱体を含む連続して配置されたn個以下の箱体のみに配置されている、蓄冷装置を提供する。第6態様によれば、第5態様と同様に、n個以下の温度センサによって、正確さを大きく損ねることなく蓄冷体の蓄冷量を示す状態情報を生成できる。蓄冷量を示す状態情報の生成において参照される温度センサによって検出された温度は融解状態の蓄冷体の温度を反映しているとともに温度上昇が飽和していない温度であることが望ましい。第6態様のように、複数の温度センサが連続して配置されたn個以下の箱体に配置されていれば、複数の温度センサによって検出された温度の少なくともいずれかが望ましい範囲に収まりやすい。その結果、高い正確性を有する蓄冷量を長期間わたって切れ目なく生成しやすい。
本開示の第7態様は、第1態様〜第6態様のいずれか1つの態様に加えて、前記直線は、前記第一箱体における最も長い辺に平行な方向及び高さ方向に垂直な直線である、蓄冷装置を提供する。第7態様によれば、第一箱体における最も長い辺に沿って空気の流れを生じさせる送風機が停止している場合でも、高い正確性を有する蓄冷量を表示できる。
本開示の第8態様は、第1態様〜第7態様のいずれか1つの態様に加えて、前記第一の方向は、前記第一側面と垂直な方向であり、前記複数の箱体のそれぞれにおける最も長い辺は、前記第一側面と平行な方向に延びており、前記直線は、前記第一側面と垂直な直線である、蓄冷装置を提供する。第7態様によれば、第一側面の面積を小さくでき、蓄冷装置の外部空間から第一側面を通過して蓄冷室に伝わる熱の量を低減できる。加えて、複数の箱体のそれぞれにおける最も長い辺に沿って空気の流れを生じさせる場合には、空気の流路の長さが長くなり、空気を十分に冷却しやすい。
本開示の第9態様は、第1態様〜第8態様のいずれか1つの態様に加えて、前記送風機は、前記底面及び前記第一側面に平行な第二の方向に前記空気の流れを生じさせ、前記複数の温度センサのそれぞれは、前記複数の箱体のそれぞれの前記空気の流れの方向の上流側の端部に配置されている、蓄冷装置を提供する。第8態様によれば、第2態様と同様に、作動していた送風機が停止した直後において、複数の温度センサによって検出された温度が融解状態の蓄冷体の温度を反映している可能性が高く、蓄冷量を有利に決定できる。
本開示の第10態様は、第1態様〜第9態様のいずれか1つの態様に加えて、前記複数の箱体のそれぞれの長手方向における全長をLTと表すとき、前記複数の温度センサのそれぞれは、前記空気の流れ方向における最上流端から前記空気の流れ方向の下流側に向かってLT/3以下の領域に配置されている、蓄冷装置を提供する。
本開示の第11態様は、第1態様〜第10態様のいずれか1つの態様に加えて、前記複数の箱体のうち少なくとも1つの箱体において前記空気の流れ方向に沿って配置されるとともに、前記箱体の表面温度、前記蓄冷体の表面温度、又は前記蓄冷体の内部の温度を検出する複数の温度センサをさらに含み、前記制御器は、前記直線に沿って配置されている前記複数の温度センサのうちの少なくとも1つの温度センサによって検出された温度、及び前記空気の流れ方向に沿って配置されている前記複数の温度センサのうちの少なくとも1つの温度センサによって検出された温度に基づいて前記状態情報を生成し、前記状態情報を前記表示装置に出力する、蓄冷装置を提供する。第11態様によれば、空気の流れ方向に沿って配置されている複数の温度センサの検出結果によって、送風機が作動しているときの蓄冷体の蓄冷量を有利に求めることができる。
本開示の第12態様は、第1態様〜第11態様のいずれか1つの態様に加えて、
前記制御器は、前記直線に沿って配置されている前記複数の温度センサに含まれる特定温度センサにより検出された温度T1及び温度T2に基づいて前記蓄冷体の蓄冷量を示す状態情報を生成し、
前記温度T1は、第1の時において前記特定温度センサによって取得されたものであり、かつ前記蓄熱材料が固体から液体へと変化する温度より大きな値を有し、
前記温度T2は、前記第1の時から所定時間経過した第2の時において前記特定温度センサによって取得されたものであり、かつ前記蓄冷装置の外部空間の温度よりも低い値を有する、蓄冷装置を提供する。
第12態様によれば、特定温度センサは、顕熱変化による温度上昇を測定する。そのため、特定温度センサによって検出された温度の時間的変化を用いて、外部空間から流入する入熱量を容易に求めることができる。
本開示の第13態様は、第12態様に加えて、
前記温度T1及び前記温度T2は、前記送風機が停止しているときに前記特定温度センサによって取得されたものである、蓄冷装置を提供する。
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。なお添付の図面においてX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、それぞれ同一の方向を示す。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交している。また、X軸、Y軸、及びZ軸に言及されることなく説明される構成要素は、必要に応じて、適切な位置に配置可能である。
図1〜図3に示す通り、蓄冷装置100は、壁65と、複数の箱体11と、送風機20と、複数の温度センサ12と、制御器30と、表示装置40とを備えている。図2に示す通り、壁65は、底面61及び第一側面62を含む内周面を有する。第一側面62は、底面61の周縁から上方(Z軸正方向)に延びている。壁65は、底面61及び第一側面62を含む内周面によって蓄冷室15を定めている。図3に示す通り、複数の箱体11のそれぞれには蓄冷体10が収容されており、複数の箱体11は、蓄冷室15において第一の方向(Y軸方向)に沿って所定の間隔で配置されている。複数の箱体11は、複数の箱体11の中で第一側面62に最も近い箱体である第一箱体11aを含んでいる。送風機20は、複数の箱体11の隣り合う箱体11同士の間に定められた空間を通過する空気の流れを生じさせる。図2及び図3における矢印は、送風機20の作動により生じる空気の流れを概念的に示す。図3に示す通り、複数の温度センサ12は、第一箱体11aに配置された第一温度センサ12aを含み、かつ、直線L(仮想的な直線)に沿ってそれぞれ異なる箱体11に配置されている。加えて、複数の温度センサ12は、箱体11の表面温度、蓄冷体10の表面温度、又は蓄冷体10の内部の温度を検出する。制御器30は、複数の温度センサ12のうちの少なくとも1つの温度センサによって検出された温度に基づいて蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を生成し、その状態情報を出力する。表示装置40は、制御器30が出力したその状態情報を表示する。なお、本明細書において、「温度センサ12が箱体11に配置されている」とは、温度センサ12が、箱体11の外周面若しくは箱体11の外周面に接触していること、又は、箱体11の内部空間に位置することを意味する。また、「複数の温度センサ12は直線Lに沿って配置されている」とは、複数の温度センサ12が直線L上に配置されている場合を当然含む。加えて、「複数の温度センサ12は直線Lに沿って配置されている」とは、生成される状態情報の正確性に影響が及ばない程度にX軸方向及びZ軸方向の少なくともいずれか1つの方向に直線Lからずれて温度センサ12が配置されている場合も含む。
図2及び図3に示す通り、送風機20が作動することにより、複数の箱体11の隣り合う箱体11同士の間に定められた空間を通過する空気の流れが生じる。このため、この空間を通過して冷却された空気が物品の保冷に利用される。これにより、物品を効率的に保冷できる。直線Lに沿ってそれぞれ異なる箱体11に配置されている複数の温度センサ12の検出結果は、蓄冷装置100の外部空間から第一側面62を通過して蓄冷室15に伝わる熱の影響を受ける。特に、送風機20が停止している場合には蓄冷体10が有する冷熱の多くは蓄冷装置100の外部空間の熱が蓄冷室15を定めている壁65を通って蓄冷室15に伝わることによって消費される。蓄冷装置100は、複数の温度センサ12によって検出された温度に基づいて蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を生成して表示装置40に表示する。このため、送風機20が停止している場合でも高い正確性を有する蓄冷量を表示できる。このように、蓄冷装置100は、物品を効率的に保冷できるとともに高い正確性を有する蓄冷量を表示するのに有利である。
図3に示す通り、複数の温度センサ12のそれぞれは、例えば、複数の箱体11のそれぞれの空気の流れの方向(X軸正方向)の上流側の端部に配置されている。なお、「上流側の端部」とは、複数の箱体11のそれぞれの長手方向における全長をLTと表すとき、空気の流れ方向における最上流端から空気の流れ方向の下流側に向かってLT/2未満の領域を意味する。なお、複数の温度センサ12のそれぞれは、空気の流れ方向における最上流端から空気の流れ方向の下流側に向かってLT/3以下の領域、LT/4以下の領域、又はLT/5以下の領域に配置されていてもよい。
図2及び図3に示す通り、例えば、送風機20は、隣り合う箱体11同士の間に定められた空間において、底面61及び第一側面62に平行な第二の方向(X軸正方向)に空気の流れを生じさせる。この場合、複数の温度センサ12のそれぞれは、複数の箱体11のそれぞれの空気の流れの方向(X軸正方向)の上流側の端部に配置されている。
送風機20の作動により空気の流れが生じている場合、空気の流れ方向(第二の方向:X軸正方向)の上流側の箱体11の端部に位置する蓄冷体10が有する冷熱が優先的に消費され、その端部に位置する蓄冷体10が優先的に融解する。一方、空気の流れ方向(第二の方向:X軸正方向)の下流側の箱体11の端部に位置する蓄冷体10は最後まで凝固状態に留まりやすい。送風機20が停止している場合に蓄冷量を示す情報の生成において参照される温度センサによって検出された温度は融解状態の蓄冷体10の温度を反映していることが望ましい。なぜなら、蓄冷体10の顕熱変化により、蓄冷装置100の外部空間から第一側面62を通過して蓄冷室15に伝わる熱を定量的に評価できるからである。このため、作動していた送風機20が停止した直後において、複数の温度センサ12によって検出された温度が融解状態の蓄冷体10の温度を反映している可能性が高い。このため、複数の温度センサ12によって蓄冷体10の顕熱変化を検出しやすく、蓄冷室15に伝わる熱を定量的に評価できる。
図3に示す通り、例えば、複数の温度センサ12は、複数の箱体11の中で、少なくとも第一箱体11a及び第一箱体11aと隣り合っている箱体である第二箱体11bに配置されている。第一箱体11a及び第二箱体11bに収容された蓄冷体10の温度は、作動していた送風機20が停止して間もなく上昇しやすい。このため、第二箱体11bに配置された温度センサ12によって検出された温度に基づいて、送風機20の停止後の早い段階で制御器30が蓄冷量を示す状態情報を生成しやすい。
蓄冷室15に配置された複数の箱体11の数は、特に制限されないが、例えば、蓄冷装置100に必要な冷熱量、蓄冷体10の寸法、及び蓄冷室15の高さ等のパラメータに基づいて適切に定められる。また、蓄冷室15に配置された複数の箱体11の数は、望ましくは、蓄冷室15を流れる空気との箱体11との熱交換面積が十分に確保されるように定められる。さらに、蓄冷室15に配置された複数の箱体11の数は、望ましくは、箱体11同士の間に形成された空気の流路において空気の流れに生じる圧力損失が適切な大きさに保たれるように定められる。
図3に示す通り、例えば、複数の箱体11の数は、nを2以上の自然数としたとき、2nである(本例では、n=4)。この場合、複数の温度センサ12は、例えば、m次箱体11mと第一箱体11aとの間に配置されている箱体11から選択される少なくとも1つの箱体及び第一箱体11aのみに配置されている。m次箱体11mは、複数の箱体11の中で第一側面62からn+1番目に近い箱体11である。換言すると、複数の箱体11の中で、第一側面62から最も遠い箱体11である末端箱体11z、末端箱体11zとm次箱体11mとの間に配置されている箱体、及びm次箱体11mには温度センサ12が配置されていない。このように、複数の箱体11に含まれる箱体の数が2n個である場合に、温度センサ12の数を箱体11の数の半分(n個)以下にできる。送風機20が停止している場合、複数の箱体11に収容された蓄冷体の温度分布は対称性を有することが多い。この温度分布の対称性を考慮することにより、複数の箱体11の数の半分以下の数の温度センサ12によって正確さを大きく損ねることなく、蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を生成できる。なお、本明細書において「自然数」とは、正の整数(1、2、3、・・・)を意味する。
図4に示す通り、例えば、複数の箱体11の数は、nを2以上の自然数としたとき、2n+1であってもよい(本例では、n=4)。この場合も、複数の温度センサ12は、例えば、m次箱体11mと第一箱体11aとの間に配置されている箱体11から選択される少なくとも1つの箱体及び第一箱体11aのみに配置されている。
図3及び図4に示す通り、複数の温度センサ12は、複数の箱体11の中で、第一箱体11aを含む連続して配置されたn個以下の箱体11のみに配置されている。この場合も、n個以下の温度センサ12によって、正確さを大きく損ねることなく蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を生成できる。蓄冷量を示す状態情報の生成において参照される温度センサ12によって検出された温度は融解状態の蓄冷体10の温度を反映しているとともに温度上昇が飽和していない温度であることが望ましい。複数の温度センサ12が連続して配置されたn個以下の箱体11に配置されていれば、複数の温度センサ12によって検出された温度の少なくともいずれかが望ましい温度範囲に収まりやすい。その結果、高い正確性を有する蓄冷量を長期間にわたって切れ目なく生成しやすい。
複数の箱体11の数は、例えば、3つであってもよい。この場合、複数の箱体11の中で、第一箱体11a及び第一箱体11aと隣り合っている箱体である第二箱体11bのみに温度センサ12が配置されている。換言すると、複数の箱体11の中で第一側面62から最も遠い箱体には温度センサ12が配置されていない。このため、複数の温度センサ12の数を複数の箱体11の数よりも少なくできる。
図5に示す通り、蓄冷体10は、例えば、蓄冷材料10aがフィルム製の容器10bによって密閉されて形成されている。蓄冷体10は、例えば、液状の蓄冷材料10aが冷却されて固化することにより潜熱の形態で冷熱を蓄えることができる。蓄冷材料10aは、特に制限されないが、例えば、所定の濃度で塩化ナトリウムが添加された塩化ナトリウム及び水を含む混合物である。蓄冷材料10aの結晶開始温度と蓄冷材料10aの結晶終了温度との差の絶対値は、特に制限されないが、例えば、2℃以下である。容器10bを形成するフィルムは、例えば、アルミニウム層と、アルミニウム層の厚み方向の両側に配置された2つ以上の樹脂層とを備えた、積層フィルムである。
複数の箱体11のそれぞれにおいて最も長い辺は、例えば、図2に示す通り、第二の方向(空気の流れ方向:X軸正方向)に延びている。これにより、送風機20が作動している期間において、蓄冷体10の全体の融解状態が第二の方向にばらつきやすい。また、箱体11同士の間に定められた空間を空気の流れが第二の方向に通過する期間が長くなりやすく、箱体11同士の間に定められた空間に導かれた空気が確実に冷却されやすい。加えて、箱体11同士の間に定められた空間を流れる空気の流れに生じる圧力損失が比較的大きいので、空気の流れが生じる複数の空間に均等に空気が導かれやすい。箱体11は、特に制限されないが、例えば、図2に示す通り、第二の方向に細長く延びた直方体状の外形を有する。
直線Lは、例えば、第一箱体11aにおける最も長い辺に平行な方向(X軸方向)及び高さ方向(Z軸方向)に垂直な直線である。
図2に示す通り、第一の方向(Y軸方向)は、例えば、第一側面62と垂直な方向である。加えて、複数の箱体11のそれぞれにおける最も長い辺は、第一側面62と平行な方向に延びている。また、直線Lは、例えば、第一側面62と垂直な直線である。この場合、第一側面62の面積が小さくなりやすく、蓄冷装置100の外部空間から第一側面62を通過して蓄冷室15に伝わる熱の量を低減できる。加えて、複数の箱体11のそれぞれにおける最も長い辺に沿って空気の流れを生じさせる場合には、空気の流路の長さが長くなり、空気を十分に冷却しやすい。
箱体11は、組み立てやすさを考慮して、Y軸方向に組み合わせ可能な複数の部品によって形成されていてもよい。箱体11を形成する材料は、特に制限されないが、例えば、アルミニウムなどの金属又は合金である。この場合、蓄冷体10が有する冷熱が箱体11の近くを流れる空気に伝わりやすい。
温度センサ12は、特に制限されないが、例えば、熱電対若しくはサーミスターを有する接触式温度センサ又はサーモパイルを有する非接触式温度センサである。温度センサ12は、望ましくは、箱体11の表面温度又は箱体11に収容されている蓄冷体10の表面温度を検出する。この場合、温度センサ12を蓄冷体10の内部に設置する必要がないので、蓄冷体10におけるシール不良による蓄冷材料10aの漏えいが起こりにくい。また、蓄冷体10の交換が必要なときでも、温度センサ12の設置作業を簡単にでき、又は、温度センサ12の設置作業を不要にできる。
温度センサ12は、例えば、蓄冷体10の表面又は箱体11の表面に設置されている。換言すると、温度センサ12は、蓄冷体10の表面又は箱体11の表面に接している。この場合、蓄冷体10の表面又は箱体11の表面と温度センサ12との間に隙間がほとんど形成されないので、蓄冷体10の表面又は箱体11の表面と温度センサ12との間に温度センサ12による温度検出を阻害する異物が存在しにくい。このため、蓄冷体10の表面温度又は箱体11の表面温度をより確実に検出できる。例えば、図5に示す通り、温度センサ12は蓄冷体10の表面に設置されている。
図3に示す通り、例えば、複数の箱体11のうち少なくとも1つの箱体11には、複数の温度センサ13が配置されている。複数の温度センサ13は、第二の方向(空気の流れ方向:X軸正方向)に沿って配置されている。複数の温度センサ13が配置されている箱体に複数の温度センサ12に含まれる1つの温度センサ12が配置されている場合、その温度センサ12は、例えば複数の温度センサ13の一部を兼ねていてもよい。複数の温度センサ13のそれぞれは、複数の温度センサ12と同様に、箱体11の表面温度、蓄冷体10の表面温度、又は蓄冷体10の内部の温度を検出する。制御器30は、例えば、複数の温度センサ12のうちの少なくとも1つの温度センサによって検出された温度及び複数の温度センサ13のうちの少なくとも1つの温度センサによって検出された温度に基づいて状態情報を生成してもよい。この場合、制御器30は、生成された状態情報を表示装置40に出力する。
送風機20が作動している期間に、空気の流れ方向(第二の方向)の上流側の箱体11の端部に位置する蓄冷体10が有する冷熱が優先的に消費され、その端部に位置する蓄冷体10が優先的に融解する。一方、空気の流れ方向の下流側の箱体11の端部に位置する蓄冷体10は最後まで凝固状態に留まりやすい。このため、送風機20が作動している期間において、空気の流れの上流に位置する温度センサ13によって検出される温度は、空気の流れの下流に位置する温度センサ13によって検出される温度よりも先に融点を超えて上昇しやすい。これにより、複数の温度センサ13によって検出された温度の空気の流れ方向における分布状態を利用して蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を生成できる。すなわち、制御器30は、送風機20が作動している期間には、複数の温度センサ13によって検出された温度に基づいて蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を生成する。このため、蓄冷材料10aの結晶開始温度と蓄冷材料10aの結晶終了温度との差が比較的小さい場合でも、蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を適切に生成できる。なお、蓄冷材料10aの結晶開始温度と蓄冷材料10aの結晶終了温度との差が比較的小さいと、例えば、物品を保冷するために許容される保冷温度の許容範囲が狭い場合に蓄冷体10を有利に利用できる。制御器30は、例えば、送風機20の停止直後に複数の温度センサ13によって検出された温度に基づいて蓄冷体10の初期蓄冷量を決定できる。
図3に示す通り、制御器30には、有線又は無線によって通信可能に、温度センサ12が接続されている。また、図示を省略しているが、制御器30には、有線又は無線によって通信可能に、温度センサ13も接続されている。このため、制御器30には、温度センサ12及び温度センサ13によって検出された温度を示す情報が入力される。制御器30は、例えば、情報の入出力のためのインターフェース、CPU等の演算装置、メモリ等の主記憶装置、及びハードディスクドライブなどの補助記憶装置を備えたコンピュータとして構成されている。制御器30は、上記のようにして、蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を生成する。図3に示す通り、制御器30は、通信ケーブルによって表示装置40に接続されており、蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を表示装置40に出力する。表示装置40は、特に制限されないが、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。表示装置40は、例えば、蓄冷装置100の筐体の外周面に配置されている。
図1に示す通り、蓄冷装置100は、例えば、冷気ダクト21、床板60、及び冷凍サイクル70をさらに備えている。蓄冷装置100の蓄冷室15を含む内部空間は、床板60によって蓄冷室15と貯蔵室50とに分かれている。例えば、床板60より下方(Z軸負方向)に蓄冷室15が形成され、床板60より上方(Z軸正方向)に貯蔵室50が形成されている。貯蔵室50は、食品などの保冷が必要な物品を収納するための空間である。例えば、床板60の端の一部と貯蔵室50を形成する壁面との間には隙間が形成されており、この隙間によって蓄冷室15と貯蔵室50とが連通している。
送風機20は、例えば、貯蔵室50の内部に配置されている。送風機20は、貯蔵室50の天井面近傍で貯蔵室50の側面に配置されている。冷気ダクト21は蓄冷室15と送風機20の後方の空間とを連通させている。送風機20が作動すると、蓄冷室15の内部の空気は、箱体11同士の間に形成された空間を通過する。このとき、蓄冷体10によって空気が冷却される。冷却された空気は、冷気ダクト21の内部を通って送風機20の後方の空間に導かれ、送風機20によって貯蔵室50に吹き出される。これにより、貯蔵室50に貯蔵された物品が保冷される。貯蔵室50の内部の空気の一部は、床板60の端の一部と貯蔵室50を形成する壁面との間に形成された隙間を通って蓄冷室15に導かれる。
図1に示す通り、冷凍サイクル70は、蒸発器71、圧縮機72、凝縮器73、及び膨張弁74を備えている。蒸発器71、圧縮機72、凝縮器73、及び膨張弁74の順番で冷媒が通過するようにこれらが配管によって環状に接続されている。蒸発器71は、蓄冷室15に配置されている。例えば、図5に示す通り、蒸発器71の冷媒の流路を定める配管が箱体11の外周面に接触して配置されている。この配管と箱体11との間の伝熱性を良好にするために、例えば、金属製の押圧部材(図示省略)によって配管が箱体11の外周面に接触するように押圧されている。蒸発器71の冷媒の流路を定める配管は、例えば、箱体11の上流端から第二の方向に沿って下流端に延びて下流端で折り曲がり第二の方向に沿って上流端に向かって延びている。蒸発器71の冷媒の流路を定める配管は、箱体11の下流端から第二の方向に沿って箱体11の上流端に延びて箱体11の上流端で折り曲がり第二の方向に沿って箱体11の下流端に向かって延びていてもよい。
冷凍サイクル70を動作させると、蒸発器71を流れる冷媒によって蓄冷体10が冷却される。蒸発器71における冷媒の温度は、蓄冷材料10aの凝固点よりも低い。このため、液体状態の蓄冷材料10aが凝固して蓄冷体10に冷熱が蓄えられる。冷凍サイクル70は、例えば、貯蔵室50で物品を保冷する前に、蓄冷体10に冷熱を蓄えるために使用される。また、冷凍サイクル70を動作させている間に送風機20を作動させて冷凍サイクル70における冷媒が有する冷熱を利用して貯蔵室50を冷却してもよい。
蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を生成するための蓄冷装置100の動作の一例を示す。この動作は、例えば、送風機20を作動させて箱体11同士の間に定められた空間を通過する空気の流れを生じさせて蓄冷体10によって冷却された空気を循環させた後に、送風機20が停止した場合に実施される。この動作は、場合によっては、冷凍サイクル70を動作させて蓄冷体10に冷熱を蓄えた後に送風機20が作動されずに蓄冷装置100が放置されている場合に実施されてもよい。
所定の条件が満たされると、蓄冷装置100は、蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報を生成するための動作を開始する。所定の条件には、送風機20が停止していることが含まれる。所定の条件には、例えば、作動していた送風機20が停止したこと、又は、冷凍サイクル70の動作が停止したことが含まれる。
図6に示す通り、ステップS1において、複数の温度センサ13を用いて、箱体11の表面温度、蓄冷体10の表面温度、又は蓄冷体10の内部の温度を検出する。次に、ステップS2において、制御器30は、複数の温度センサ13によって検出された温度を示す情報Daを複数の温度センサ13から取得する。次に、ステップS3において、制御器30は、情報Daに基づいて、送風機20の停止直後又は冷凍サイクル70の停止直後における、複数の箱体11の蓄冷体10における蓄冷量(初期蓄冷量Ci)を決定し、記憶する。例えば、制御器30は、複数の温度センサ13の中で蓄冷体10が凝固状態にあることを示す第一閾値未満の温度を検出した温度センサ13が代表する蓄冷体10の容量が蓄冷体10の全体の容量に占める割合に基づいて初期蓄冷量Ciを算出する。送風機20の停止直前又は冷凍サイクル70の停止直前における蓄冷体10の蓄冷量が制御器30に記憶されている場合には、ステップS1〜S3の処理は省略されてもよい。
次に、ステップS4において、複数の温度センサ12を用いて、箱体11の表面温度、蓄冷体10の表面温度、又は蓄冷体10の内部の温度を検出する。次に、ステップS5において、制御器30は、複数の温度センサ12によって検出された温度を示す情報Dbを複数の温度センサ12から取得し、記憶する。次に、ステップS6において複数の温度センサ12によって検出された温度に基づいて蓄冷体10の蓄冷量を示す状態情報Dsを生成する。
例えば、制御器30は、情報Dbの中から、蓄冷体10が融解状態であることを示す第一閾値以上である複数の温度を選び出し、選び出した複数の温度を検出した温度センサ12の空間的な位置関係を考慮して、温度勾配を決定する。蓄冷装置100の外気温度が高いと、複数の温度センサ12の間で第一温度センサ12aによって検出された温度が相対的に高く、第一温度センサ12aよりも第一側面62から遠い温度センサ12によって検出された温度が低い温度分布が生じる。温度勾配の絶対値は、蓄冷装置100の外部空間から第一側面62を通過して蓄冷室15に伝わる入熱量が大きくなるほど大きい。この入熱量に相当する蓄冷体10の冷熱が消費される。このため、制御器30は、例えば温度勾配に基づいて消費冷熱量Ccを決定できる。さらに、制御器30は、例えば、初期蓄冷量Ciから温度勾配に基づいて決定した消費冷熱量Ccを差し引くことによって、送風機20が停止している期間における蓄冷体10の蓄冷量を求め、状態情報Dsを生成する。
制御器30は、初期蓄冷量Ciから消費冷熱量Ccを差し引くことによって蓄冷体10の蓄冷量を求める代わりに、複数の温度センサ12及び複数の温度センサ13によって検出された温度に基づいて蓄冷体10の蓄冷量を直接求めてもよい。この場合、ステップS6に代えて、複数の温度センサ12及び複数の温度センサ13によって検出された温度に基づいて蓄冷体10の蓄冷量を求めたうえで状態情報Dsを生成するステップが制御器30によって実行される。
例えば、図4に示す通り、第一箱体11a、第二箱体11b、及び第三箱体11cには、それぞれ、第一温度センサ12a、第二温度センサ12b、及び第三温度センサ12cが配置されている。第三箱体11cは、第一の方向に第二箱体11bと隣り合っている箱体である。例えば、第一温度センサ12a、第二温度センサ12b、及び第三温度センサ12cによって検出された温度に基づいて図7に示すような温度勾配が得られた場合を考える。図7における一点鎖線は、第一閾値(上限値)及び第二閾値(下限値)によって定義された特定の温度範囲を示し、蓄冷材料10aは、この温度範囲において固体から液体に変化する。図7における各プロットは、第一温度センサ12a、第二温度センサ12b、又は第三温度センサ12cによって検出された温度を示す。図7に示す通り、第一側面62から遠ざかるほど温度センサ12によって検出された温度が低い。例えば、このような温度勾配から、制御器30は、蓄冷装置100の外部空間から第一側面62を通過して蓄冷室15に伝わる入熱量を算出する。加えて、制御器30は、例えば、送風機20の停止直後又は冷凍サイクル70の停止直後からの入熱量の積算値(消費冷熱量)を初期蓄冷量Ciから差し引くことによって蓄冷体10の蓄冷量を求め、状態情報Dsを生成する。
次に、ステップS7において、制御器30は、表示装置40に状態情報を表示させる。次に、ステップS8において、制御器30は、送風機20が作動しているか否か判断する。ステップS8における判断結果が肯定的である場合、一連の処理を終了する。ステップS8における判断結果が否定的である場合、ステップS9に進み、制御器30は、所定時間(例えば1分間又は数分間)が経過しているか否か判断する。ステップS9における判断結果が否定的である場合、ステップS8に戻る。ステップS9における判断結果が肯定的である場合、ステップS4に戻り、ステップS4〜S7の処理が再度実行される。この場合、制御器30は、例えば、上記の通り、温度勾配を用いて状態情報Dsを生成してもよいし、温度勾配に代えて、温度センサ12によって検出された温度の時間的変化を利用して状態情報Dsを生成してもよい。
例えば、第一温度センサ12a、第二温度センサ12b、及び第三温度センサ12cによって検出された温度によって図8に示すような温度の時間的変化が得られた場合を考える。図8における一点鎖線は、図7と同様に、第一閾値(上限値)及び第二閾値(下限値)によって定義された特定の温度範囲を示す。また、図8における丸印のプロットは、図6に示す一連の動作が開始されてN回目のステップS4及びS5の処理において第一温度センサ12a、第二温度センサ12b、及び第三温度センサ12cによって検出された温度を示す。Nは自然数である。一方、図8における四角印のプロットは、図6に示す一連の動作が開始されてN+1回目のステップS4及びS5の処理において第一温度センサ12a、第二温度センサ12b、及び第三温度センサ12cによって検出された温度を示す。さらに、図8における破線は、例えば、第一閾値よりも15℃高い温度である検出上限値を示す。
図8に示す通り、N回目のステップS4及びS5の処理において第一温度センサ12aによって検出された温度は検出上限値以上である。この場合、第一温度センサ12aによって検出された温度は、蓄冷装置100の外部空間の温度に近い温度まで上昇している。このため、N+1回目のステップS4及びS5の処理において第一温度センサ12aによって検出された温度は、N回目のステップS4及びS5の処理において第一温度センサ12aによって検出された温度からほとんど上昇していない。このため、第一温度センサ12aによって検出された温度の時間的変化を用いて蓄冷装置100の外部空間から第一側面62を通過して蓄冷室15に伝わる入熱量を求めることは難しい。また、N回目のステップS4及びS5の処理において第三温度センサ12cによって検出された温度は第一閾値未満であり、第三箱体11cに収容された蓄冷体10の相変化により冷熱が消費される。このため、第三温度センサ12cによって検出された温度の時間的変化を用いて蓄冷装置100の外部空間から第一側面62を通過して蓄冷室15に伝わる入熱量を求めることは難しい。
これに対し、N回目のステップS4及びS5の処理並びにN+1回目のステップS4及びS5の処理において第二温度センサ12bによって検出された温度は、第一閾値と検出上限値との間の温度範囲に収まっている。これにより、N+1回目のステップS4及びS5の処理において第二温度センサ12bによって検出された温度は、N回目のステップS4及びS5の処理において第二温度センサ12bによって検出された温度から大きく上昇している。第二温度センサ12bによって検出された温度の時間的変化は、蓄冷装置100の外部空間から第一側面62を通過して蓄冷室15に伝わる入熱に伴う顕熱変化による温度上昇を示す。このため、制御器30は、例えば、第二温度センサ12bによって検出された温度の変化量と第二箱体11b及び第二箱体11bに収容された蓄冷体10の熱容量との積として消費冷熱量を求めることができる。さらに、制御器30は、N回目のステップS6において求めた蓄冷体10の蓄冷量からこの消費冷熱量を差し引くことによって現在の蓄冷体10の蓄冷量を求め、状態情報Dsを生成できる。
ステップS7において、制御器30は、状態情報Dsとして、蓄冷体10の蓄冷量を直接的に示す情報を生成してもよいし、蓄冷体10の蓄冷量を間接的に示す情報を生成してもよい。蓄冷体10の蓄冷量を間接的に示す情報は、例えば、保冷可能時間及び蓄冷装置100に含まれる蓄冷体10のうち所定量の蓄冷体10が固化するまでに要する時間である。
保冷可能時間は、例えば、送風機20を作動させた場合に、蓄冷室15を通過する空気を蓄冷体10によって所定温度以下に冷却可能な時間を意味する。保冷可能時間は、例えば、蓄冷装置100の内部から蓄冷装置100の外部に放出される単位時間当たりの冷熱量及び蓄冷量に基づいて求めることができる。蓄冷装置100の内部から蓄冷装置100の外部に放出される単位時間当たりの冷熱量は、例えば、蓄冷装置100の外部の温度と、蓄冷装置100の内部空間の温度との差に基づいて定められる。蓄冷装置100は、貯蔵室50の温度を検出するための貯蔵室温度センサ(図示省略)をさらに備えており、制御器30には、有線又は無線によって通信可能に、貯蔵室温度センサが接続されている。制御器30は、貯蔵室温度センサによって検出された温度を示す情報をさらに取得する。この場合、制御器30は、温度センサ12によって検出された温度から求めた温度勾配から蓄冷室15への入熱量を決定したうえで、その入熱量から蓄冷装置100の外気温度を推算する。制御器30は、推算された蓄冷装置100の外気温度及び貯蔵室温度センサによって検出された温度を示す情報に基づいて、蓄冷装置100の内部から蓄冷装置100の外部に放出される単位時間当たりの冷熱量を決定する。さらに、制御器30は、例えば、蓄冷量がA[J]であり、蓄冷装置100の内部から蓄冷装置100の外部に放出される単位時間当たりの冷熱量がB[W]である場合、A/B[秒]として保冷可能時間を決定する。
制御器30は、例えば、蓄冷材料10aが液体状態である蓄冷体10に冷凍サイクル70を動作させて冷熱を蓄える場合に蓄冷装置100に含まれる蓄冷体10のうち所定量の蓄冷体10が固化するまでに要する時間を状態情報Dsとして生成する。所定量の蓄冷体10は、蓄冷装置100に含まれる蓄冷体10の全てであってもよいし、蓄冷装置100に含まれる蓄冷体10の一部であってもよい。例えば、制御器30は、蒸発器71の冷却能力及び蓄冷体10の蓄冷量に基づいて、蓄冷体10の全体が固化するまでに要する時間を決定する。蒸発器71の冷却能力は、例えば、制御器30に記憶されている。蓄冷体10の全体が固化するまでに要する時間は、例えば、蓄冷量がC[J]であり、蓄冷体10の全体が固化した場合に蓄冷体10に蓄えられる冷熱量がD[J]であり、蒸発器71の冷却能力がE[W]である場合、(D−C)/E[秒]として算出される。