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JP6736451B2 - 金属蒸着フィルムの製造方法 - Google Patents

金属蒸着フィルムの製造方法 Download PDF

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JP6736451B2
JP6736451B2 JP2016211753A JP2016211753A JP6736451B2 JP 6736451 B2 JP6736451 B2 JP 6736451B2 JP 2016211753 A JP2016211753 A JP 2016211753A JP 2016211753 A JP2016211753 A JP 2016211753A JP 6736451 B2 JP6736451 B2 JP 6736451B2
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Description

本発明は、金属蒸着フィルムの製造方法に関する。
従来、被着体に金属調の意匠を付与するために、金属薄膜層を有する樹脂フィルムを被着体に貼り付ける方法が知られている。金属薄膜層を有する樹脂フィルムに関係する先行技術を開示した文献としては、例えば、特許文献1及び2が挙げられる。
特許文献1には、易接着性処理を施したエチレン―ビニルアルコール共重合体フィルム、金属薄膜層、熱可塑性樹脂フィルム及び金属版の順に積層された金属化粧版が開示されている。
また、特許文献2には、基材上に、少なくとも、金属薄膜層及び接着層をこの順に有し、該接着層を構成する樹脂が、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、又は塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂であり、該樹脂の平均酸化が1〜6mgKOH/gである三次元成形加飾フィルムが開示されている。
特開平8−34090号公報 特開2012−76353号公報
樹脂フィルムに金属薄膜層を形成する方法としては、基材となる樹脂フィルムに金属を蒸着加工する方法が挙げられる。金属蒸着は、例えば、500〜800℃の高温下で金属を気化させ、基材表面に付着させるため、上記基材としては、一般的に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系フィルムが用いられる。
近年、金属蒸着フィルムを、平坦面だけでなく、3次元曲面に対しても貼り付けることが検討されている。ポリ塩化ビニルフィルムは、伸びがよく、破断し難いことから、3次元曲面を有する被着体に貼り付けるフィルムの基材として好適である。一方で、ポリ塩化ビニルフィルムは、PET、PMMA等と比較して耐熱性が低く、特に3次元曲面を有する被着体の加飾に用いられるポリ塩化ビニルフィルムは、60℃程度から軟化するため、蒸着加工には不向きであった。軟化しやすいポリ塩化ビニルフィルムに蒸着加工を行うと、加工時にフィルムが軟化し、たわむことで、基材表面に均一に金属を塗布することが困難であり、ムラが発生することがあった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ムラなく均一な金属薄膜を有する金属蒸着フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ポリ塩化ビニルからなる基材に金属蒸着膜を形成する方法を検討し、上記基材に支持フィルムを貼り付けた後、上記基材の支持フィルムを貼り付けた面と反対側の面に金属蒸着膜を形成することで、耐熱性が低いポリ塩化ビニルフィルムを基材として用いても、金属ムラのない均一な金属薄膜を形成することができることを見出した。更に、上記支持フィルムを特定の厚さとし、かつ、上記基材と上記支持フィルムとの剥離力を一定以上とすることで、蒸着加工時に基材がたわむことを抑制し、上記基材の表面にムラなく均一な金属薄膜を形成できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の金属蒸着フィルムの製造方法は、ポリ塩化ビニルからなる基材の一方の面に支持フィルムを貼り付ける工程と、上記基材の支持フィルムを貼り付けた面と反対側の面に金属蒸着膜を形成する工程と、上記金属蒸着膜の形成後に、上記基材から上記支持フィルムを剥離する工程と、上記基材の支持フィルムを剥離した面に粘着剤層を形成する工程とを有し、上記支持フィルムの厚さは、上記基材の厚さに対して0.1倍以上であり、上記基材と上記支持フィルムとの剥離力は、0.05N/25mm以上であることを特徴とする。
上記基材の厚さは、50μm以上、200μm以下であることが好ましい。
上記基材の支持フィルムを貼り付けた面と反対側の面の表面粗さは、2.0μm以下であることが好ましい。
上記金属蒸着膜は、アルミ、スズ又はインジウムを含むことが好ましい。
本発明の金属蒸着フィルムの製造方法は、ムラなく均一な金属薄膜を有する金属蒸着フィルムを製造することができる。
実施形態1の金属蒸着フィルムの製造方法を模式的に示した概要図である。 実施形態2の金属蒸着フィルムの製造方法により製造される金属蒸着フィルムを模式的に示した断面図である。 実施形態3の金属蒸着フィルムの製造方法により製造される金属蒸着フィルムを模式的に示した断面図である。
(実施形態1)
実施形態1の金属蒸着フィルムの製造方法は、ポリ塩化ビニルからなる基材の一方の面に支持フィルムを貼り付ける工程と、上記基材の支持フィルムを貼り付けた面と反対側の面に金属蒸着膜を形成する工程と、上記金属蒸着膜の形成後に、上記基材から上記支持フィルムを剥離する工程と、上記基材の支持フィルムを剥離した面に粘着剤層を形成する工程とを有し、上記支持フィルムの厚さは、上記基材の厚さに対して0.1倍以上であり、上記基材と上記支持フィルムとの剥離力は、0.05N/25mm以上であることを特徴とする。なお、本明細書において、「フィルム」は、「シート」と同義であり、厚さによって両者を区別していない。
実施形態1の金属蒸着フィルムの製造方法について、図1を参照して以下に説明する。図1は、実施形態1の金属蒸着フィルムの製造方法を模式的に示した概要図である。図1の(d)に示したように、実施形態1の金属蒸着フィルムの製造方法により製造される金属蒸着フィルム10Aは、金属蒸着膜3、基材1及び粘着剤層4の順に積層される。金属蒸着フィルム10Aは、粘着剤層4の基材1と反対側の面にセパレーター5を有してもよい。
以下に、図1を用いて、実施形態1の金属蒸着フィルムの製造方法を説明する。図1の(a)は、ポリ塩化ビニルからなる基材1の一方の面に支持フィルム2を貼り付ける工程を表す。基材1は、ポリ塩化ビニルからなるフィルムであり、金属蒸着フィルム10Aの支持体の役割を有する。基材1の樹脂成分としてポリ塩化ビニルを用いることにより、比較的低温(約130℃)で金属蒸着フィルムを被着体に貼り付ける際(成形時)に、3次元曲面部の形状への優れた追従性(成形性)が得られるという利点がある。なお、ここでの「比較的低温」とは、ポリ塩化ビニル及びアクリル樹脂以外の透明樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート)を成形する場合の成形温度(130℃超)と比べて低温であることを意味している。一方で、金属蒸着層3の蒸着は一般に高温(500〜800℃)で実施されるが、ポリ塩化ビニルはPET、PMMA等と比較して耐熱性が低いため、蒸着加工の際にたわみやすく(変形しやすく)、基材1の表面に金属を均一に付着させることができず、金属ムラが発生しやすい。そこで、蒸着加工を行う際に、支持フィルム2を仮貼りしておくことで、加熱により基材1が軟化してたわむことを防ぎ、基材1の表面にムラのない均一な金属薄膜を形成することができる。支持フィルム2は、基材1上に金属蒸着膜3を形成する際に、予め基材1の蒸着面と反対側の面に貼り付けるフィルムである。基材1に支持フィルム2を貼り付ける方法は特に限定されず、例えば、基材1と支持フィルムと支持フィルム2とを重ね、130〜170℃でラミネートする方法等が挙げられる。
基材1を形成する方法は特に限定されず、例えば、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の従来公知の成形法等が挙げられる。上記カレンダー成形に用いられるカレンダー形式としては、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等が挙げられる。
図1の(b)は、基材1の支持フィルム2を貼り付けた面と反対側の面に金属蒸着膜3を形成する工程を表す。金属蒸着膜3を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の蒸着法が挙げられる。なかでも、高温に加熱して蒸着加工を行うことから、真空蒸着法を用いた場合に、効果的に金属ムラの発生を抑制することができる。
基材1の支持フィルム2を貼り付けた面と反対側の面の表面粗さは、2.0μm以下であることが好ましい。上記基材1の支持フィルム2を貼り付けた面と反対側の面とは、基材1の金属蒸着膜3を形成する側の面である。蒸着時に金属は基材1の表面の凹凸に入り込み、金属蒸着膜3の表面形状は、蒸着面である基材1の表面に存在する凹凸形状に影響される。基材1の表面の平坦度が高い場合には、光沢感のある金属調の外観になり、基材1の表面の平坦度が低い場合には、マット感のある金属調の外観になる。上記表面粗さが2.0μmを超えると、金属蒸着膜3の表面の平坦度が低くなるため、金属蒸着フィルム10Aの意匠の鮮映性が損なわれるおそれがある。上記基材1の表面粗さの下限は特に限定されず、低ければ低いほど基材1の表面がフラットになり、鮮映性が向上する。本明細書において、「表面粗さ」とは、JIS B 0601(2013)に準拠する算術平均粗さRaを意味する。
基材1の支持フィルム2を貼り付けた面と反対側の面は、金属蒸着膜3との密着性を向上させるために表面処理が施されてもよい。表面処理の種類としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等が挙げられる。
図1の(c)は、金属蒸着膜3の形成後に、基材1から支持フィルム2を剥離する工程を表す。支持フィルム2は、金属蒸着膜3の形成後に剥離されるため、金属蒸着フィルム10Aは、支持フィルム2を有さない。
基材1と支持フィルム2との剥離力は、0.05N/25mm以上である。上記剥離力が0.05N/25mm未満であると、蒸着加工時に基材1から支持フィルム2が剥がれてしまい、基材1がたわむことで金属ムラが発生する。上記剥離力の上限は、例えば、0.3N/25mmである。上記剥離力が0.3N/25mmを超えると、基材1と支持フィルム2との接着力が高すぎるため、金属蒸着膜3の形成後に基材1から剥離する際に、基材1が変形することがある。上記剥離力の好ましい上限は0.2N/25mmであり、好ましい上限は0.1N/25mmである。上記剥離力は、JIS Z 0237に準拠した方法で測定することができる。
図1の(d)は、基材1の支持フィルム2を剥離した面に粘着剤層4を形成する工程を表す。粘着剤層4の形成方法は特に限定されず、例えば、基材1の支持フィルム2を剥離した面に市販の粘着シートを貼り付けてもよいし、セパレーター5上に形成した粘着剤層4を、基材1の支持フィルム2を剥離した面に貼り合わせてもよい。セパレーター5上に形成した粘着剤層4を貼り合わせる場合、セパレーター5上にバーコーター等を用いて、粘着剤組成物を塗工し、乾燥させる方法等の従来公知の方法を用いることができる。
更に、粘着剤層4を形成する工程の後に、粘着剤層4の基材1と反対側の面にセパレーター5を貼り付ける工程を有してもよい。上記粘着剤層4を形成する工程で、セパレーター5上に形成した粘着剤層4を貼り合わせる方法を用いる場合、上記粘着剤層4を形成する工程は、セパレーター5を貼り付ける工程を兼ねてもよい。
上記金属蒸着フィルムは、更に、必要に応じて、裁断、ロール状への巻き取り等の処理が行われる。
以下に、実施形態1の金属蒸着フィルムの製造方法により製造される金属蒸着フィルム10Aの構成について説明する。
[基材]
基材1は、樹脂成分としてポリ塩化ビニルを含む。上記ポリ塩化ビニルとしては、例えば、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと他の単量体との共重合体を挙げることができる。上記他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフィン;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル;フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記他の単量体の共重合体における含有量は、通常、50重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。50重量%を超えると、基材1の耐屈曲性が低下するおそれがある。上記ポリ塩化ビニルのなかでも、寸法安定性が得られる点から、塩化ビニルの単独重合体が好ましい。
上記ポリ塩化ビニルの平均重合度は特に限定されず、求められるフィルムの硬さや、硬さの調整に用いられる可塑剤の量に応じて調整されるものであり、例えば、750〜1300とされる。上記平均重合度の好ましい上限は1050である。上記平均重合度が750〜1300の範囲内であると、比較的低温での成形性が特に良好である。これに対して、上記平均重合度が750未満では、基材1の表面に金属蒸着膜を形成しにくくなるおそれがある。一方、上記平均重合度が1300を超えると、成形時の3次元曲面部の形状への追従性が不充分となるおそれがある。本明細書において、ポリ塩化ビニルの平均重合度は、JIS K6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
基材1は、可塑剤を含有していてもよい。上記可塑剤としては特に限定されず、従来から塩化ビニル樹脂に配合されているものを用いることができ、例えば、フタル酸オクチル(ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP))、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル(DINP)等のフタル酸ジエステル;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸ジエステル;トリクレジルホスフエート、トリオクチルホスフエート等のリン酸トリエステル;エポキシ化大豆油、エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;高分子ポリエステル可塑剤等を挙げることができる。
上記高分子ポリエステル可塑剤としては、例えば、フタル酸のポリエチレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジエステル等のポリアルキレングリコールジエステル;アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族二塩基酸のポリエチレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジエステル等のポリアルキレングリコールジエステルを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記可塑剤の数平均分子量は、350〜3000であることが好ましい。上記数平均分子量が350未満では、可塑剤が接着剤層7に移行しやすく、接着力の低下を引き起こすことがある。一方、上記数平均分子量が3000を超えると、可塑剤の添加によりフィルムを柔軟にする効果が充分に得られず、表面保護層8が硬くなり過ぎることで、成形時にフィルムが破れてしまうおそれがある。
基材1における可塑剤の含有量は、上記樹脂成分100重量部に対して、10重量部以上、30重量部以下であることが好ましい。上記含有量の範囲内であれば、基材1が熱により変形し難く、表面により均一な金属薄膜を形成することができる。上記含有量が10重量部未満では、基材1が硬くなり過ぎることで、成形性が低下し、成形時にフィルムが破れてしまうおそれがある。一方、30重量部を超えると、基材1が柔らかくなり過ぎることで、蒸着加工時に基材1がたわみやすく、金属ムラが発生しやすくなるおそれがある。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は18重量部であり、より好ましい上限は23重量部である。
基材1は、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収材、着色剤、発泡剤、滑剤、改質剤、無機粒子や無機繊維等の充填剤、希釈剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤としては、塩化ビニル樹脂に一般的に配合されるものを使用することができる。
上記安定剤としては、例えば、脂肪酸カルシウム、脂肪酸亜鉛、脂肪酸バリウム等の金属石ケン;ハイドロタルサイト等が挙げられる。上記金属石ケンの脂肪酸成分としては、例えば、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、リシノール酸バリウム等が挙げられる。また、上記安定剤としては、エポキシ系安定剤;バリウム系安定剤;カルシウム系安定剤;スズ系安定剤;亜鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系(Ca−Zn系)、バリウム−亜鉛系(Ba−Zn系)等の複合安定剤も使用することができる。
上記安定剤を含有する場合、その含有量は、上記樹脂成分100重量部に対して、0.3〜5.0重量部が好ましい。上記含有量が0.3重量部未満では、安定剤を配合することによる効果が充分に発揮されない場合があり、一方、上記含有量が5.0重量部を超えると、安定剤がブルーム(噴き出し)するおそれがある。
また、上記紫外線吸収材を含有する場合、その含有量は、上記樹脂成分100重量部に対して、0.3〜2.0重量部が好ましい。上記含有量が0.3重量部未満では、あまり効果がなく、一方、上記含有量が2.0重量部を超えると、表面保護層8の表面にブリードするおそれがある。
基材1の厚さは、50μm以上、200μm以下であることが好ましい。
基材1の厚さが50μm未満であると、金属蒸着フィルム10Aが柔軟になり過ぎて施工性が低下するおそれや、耐候性が低下するおそれがある。一方、基材1の厚さが200μmを超えると、成形時の3次元曲面部の形状への追従性が不充分となるおそれがある。基材1の厚さのより好ましい下限は80μmであり、より好ましい上限は150μmである。
[支持フィルム]
支持フィルム2としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系フィルム、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。耐熱性に優れることから、PETフィルムが好適である。支持フィルム2の表面は、易剥離処理が施されていないことが好ましい。易剥離処理剤が施されると支持フィルム2の表面の疎水性が上がるため、基材1と支持フィルム2とをラミネートする場合に所望の剥離力で貼り付け難くなることがある。
支持フィルム2の厚さは、基材1の厚さに対して0.1倍以上である。
基材1の厚さに対する支持フィルム2の厚さが0.1倍未満であると、基材1の表面に蒸着加工を行う際に基材1を充分に支持できず、基材1がたわみ、金属ムラが発生する。基材1の厚さに対する支持フィルム2の厚さの上限は、特に限定されないが、例えば、5倍以下であることが好ましい。基材1の厚さに対する支持フィルム2の厚さの好ましい下限は0.2倍であり、より好ましい上限は4倍であり、更に好ましい上限は3倍である。
支持フィルム2の厚さは、5μm以上、1000μm以下であることが好ましい。支持フィルム2の厚さのより好ましい下限は10μmであり、より好ましい上限は500μmであり、更に好ましい上限は250μmであり、特に好ましい上限は100μmである。
[金属蒸着膜]
金属蒸着膜3は、金属蒸着フィルム10Aの外観に金属光沢感を付与するための層である。金属蒸着膜3は、アルミ、スズ又はインジウムを含むことが好ましい。これらの金属は、伸展性に富むことから、金属蒸着フィルム10Aを3次元曲面部に貼り付けた場合であっても、金属蒸着膜3は、クラックを発生し難い。
[粘着剤層]
粘着剤層4は、粘着機能(感圧接着性)及び接着機能の少なくとも一方を有するものであれば特に限定されず、具体的には、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤を含有するものが挙げられる。なかでも、粘着性、加工性、耐熱老化性、耐湿老化性、耐候性に優れるとともに、比較的安価である点から、アクリル系粘着剤が好適に用いられる。
粘着剤層4は、例えば、粘着剤、架橋剤(硬化剤)等を含有する粘着剤組成物を支持体上に塗工して塗膜を形成した後、該塗膜を加熱乾燥することによって硬化させる方法によって形成できる。上記架橋剤(硬化剤)は、粘着剤中の官能基と化学反応又は相互作用をして架橋させる化合物である。上記架橋剤としては、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の公知の架橋剤を用いることができる。
上記粘着剤組成物は、必要に応じて、更に、触媒、疎水性有機溶剤等の溶剤、又は、無機フィラー等を含有してもよい。また、上記粘着剤組成物には、本発明の金属蒸着フィルムに要求される特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、安定剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、粘着付与剤、染料、顔料等の各種添加剤が添加されていてもよい。
上記粘着剤組成物の塗工量は、10〜90g/m(乾燥時重量換算)であることが好ましい。言い換えれば、上記粘着剤組成物を乾燥させた粘着剤層4の塗工量が10〜90g/mであることが好ましい。上記塗工量が10〜90g/mの範囲に調整されることによって、粘着剤層4の粘着力を確保することができる。上記塗工量が10g/m未満では、粘着力が不充分なことがある。上記塗工量が90g/mを超えると、粘着剤層4の一部が被着体の表面に残り、糊残りが発生しやすくなる。上記塗工量のより好ましい下限は50g/mである。上記塗工量が50g/m以上であると、基材表面の凹凸に対する充分な追従性が得られる。上記塗工量の更に好ましい上限は70g/mである。
粘着剤層4の厚さは、10〜60μmが好ましい。上記厚さが10μm未満では、充分な粘着性を得ることができない場合があり、上記厚さが60μmを超えると、粘着性がさほど向上しない。粘着剤層4のより好ましい厚さは、20〜40μmである。
[セパレーター]
セパレーター5を設けることにより、金属蒸着フィルム10Aの製造、運搬、保存中に粘着剤層4が露出しないようにして、粘着剤層4の劣化防止や、金属蒸着フィルム10Aの取扱い性向上が可能となる。セパレーター5は、被着体への貼付の直前に剥離すればよい。
セパレーター5としては特に限定されないが、粘着剤層4を損傷することなく容易に剥離できるものが好適であり、例えば、粘着剤層4と接触する面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を塗布することによって易剥離処理が施されたポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の樹脂フィルム(離型フィルム);上質紙、グラシン紙等の紙(離型紙);紙と被覆層との積層フィルム等が挙げられる。セパレーター5の厚さは、12〜200μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましい。粘着剤層4とセパレーター5との剥離力は、特に限定されないが、例えば、0.1〜0.5N/25mmであってもよい。上記剥離力の下限は0.3N/25mmより大きいことが好ましい。
[金属蒸着フィルム]
金属蒸着フィルム10Aは、鮮明度光沢度(Gd値)が0.5以上であることが好ましい。上記鮮明度光沢度値は、試料(金属蒸着フィルム10A)の表面の光沢を評価する値であり、試料の表面に映る像の鮮明性を評価する値である。上記鮮明度光沢度値は、鮮明度光沢度計(例えば、財団法人日本色彩研究所製、PGD−IV)を用いて測定することができる。上記鮮明度光沢度計では、肉眼で観察される光沢度と上記鮮明度光沢度値とが一致するように測定することができる。具体的には、鮮明度光沢度計の底部に試料(フィルム)を配置し、数字等が記載されたテストパターンに、タングステンランプ等の光源から光を照射し、複数の鏡面により反射させて、反射光(パターン像)を試料面に入射させる。上記パターン像は、試料面で反射され、更に、他の複数の鏡面で反射されて、観察者側に配置された観察筒に結像される。観察者は、上記結像されたテストパターンの影像の見え方によって、鮮明度光沢度(Gd値)を判定する。上記Gd値は、例えば、0.1〜2.0で表示され、数字が大きいほど、試料表面の光沢度が高い。
金属蒸着フィルム10Aの用途は特に限定されず、種々の被着体に貼り付けて加飾フィルムとして用いることができる。上記金属蒸着フィルムによれば、塗装よりも簡易かつ安全な方法で、塗装品と同等の金属光沢感を被着体に付与することができる。また、上記金属蒸着フィルムは、従来の加飾フィルムでは装飾することが困難であった3次元曲面部を有する被着体の表面であっても装飾できることから、3次元曲面部を有する被着体を装飾するのに特に適している。
上記被着体の材質は特に限定されないが、樹脂成形品等のプラスチック系被着体に上記金属蒸着フィルムを貼り付ければ、プラスチック系被着体を用いる利点を得つつ、金属調の外観を得ることができることから、利用価値が高い。上記被着体の種類は特に限定されないが、例えば、化粧板、携帯電話用カバー、自動2輪車用部品、車両用内装部品が挙げられる。
上記金属蒸着フィルムを被着体へ貼り付ける方法は特に限定されず、例えば、ラッピング、熱成形、真空成形が挙げられる。ラッピングの具体例としては、ドライヤーで金属蒸着フィルムを温めて軟らかくしながら、プラスチック系被着体に沿わせて貼り付ける方法が挙げられる。また、真空成形の具体例としては、真空・圧空成形機としてTOM成形機(布施真空社製、型番:NGF−0406)を使用し、ヒーターの加熱温度80〜140℃で、プラスチック系被着体に、金属蒸着フィルムを貼り付ける方法が挙げられる。真空成形によれば、金属蒸着フィルムと被着体の間に空気が入ることを効果的に防止できる。
(実施形態2)
実施形態2の金属蒸着フィルムの製造方法は、上記金属蒸着膜3を形成する工程の前に、基材1にプライマー層6を形成する工程を有すること以外は、実施形態1と同様である。図2は、実施形態2の金属蒸着フィルムの製造方法により製造される金属蒸着フィルムを模式的に示した断面図である。図2に示したように、実施形態2の金属蒸着フィルムの製造方法により製造される金属蒸着フィルム10Bは、基材1と金属蒸着膜3との間にプライマー層6を有する。
基材1と金属蒸着膜3との間にプライマー層6を形成することで、基材1と金属蒸着膜3との密着性を向上させることができる。プライマー層6を形成する方法は特に限定されず、例えば、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法等が挙げられる。
上記プライマー層6を形成する工程は、上記支持フィルム2を貼り付ける工程の前であってもよいし、上記支持フィルム2を貼り付ける工程と上記金属蒸着膜3を形成する工程との間であってもよい。上記プライマー層6を形成する工程が上記支持フィルム2を貼り付ける工程の前である場合、上記支持フィルム2は、基材1のプライマー層6を形成した面と反対側の面に貼り付けられる。上記プライマー層6を形成する工程が上記支持フィルム2を貼り付ける工程と上記金属蒸着膜3を形成する工程との間である場合、プライマー層6は、基材1の支持フィルム2を貼り付けた面と反対側の面に形成される。
プライマー層6の表面粗さは、2.0μm以下であることが好ましい。プライマー層6の表面粗さが2.0μmを超えると、金属蒸着膜3の表面の平坦度が低くなるため、金属蒸着フィルム10Bの意匠の鮮映性が損なわれるおそれがある。上記プライマー層6の表面粗さの下限は特に限定されず、低ければ低いほど金属蒸着フィルム10Aの鮮映性が向上する。
[プライマー層]
プライマー層6は、基材1と金属蒸着膜3との密着性を高める層である。プライマー層6は、特に限定されず、例えば、アクリルウレタン系、ポリ塩化ビニル系、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー系、ブチラール系等の樹脂を含有してもよい。
(実施形態3)
実施形態2の金属蒸着フィルムの製造方法は、金属蒸着膜3の基材1と反対側の面に表面保護層8を形成する工程を有すること以外は、実施形態1と同様である。図3は、実施形態3の金属蒸着フィルムの製造方法により製造される金属蒸着フィルムを模式的に示した断面図である。図3に示したように、実施形態3の金属蒸着フィルムの製造方法により製造される金属蒸着フィルム10Cは、金属蒸着膜3の基材1と反対側の面に接着剤層7及び表面保護層8を有し、表面保護層8、接着剤層7、金属蒸着膜3、基材1及び粘着剤層4の順に積層されてもよい。金属蒸着フィルム10Cも、上記金属蒸着フィルム10Bと同様に、基材1と金属蒸着膜3との間にプライマー層を有してもよい。
上記表面保護層8を形成する工程は、例えば、金属蒸着膜3の基材1と反対側の面に接着剤層を形成し、上記接着剤層上に表面保護層8を積層する方法が挙げられる。上記表面保護層8は、例えば、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の従来公知の成形法によって作製することができる。上記カレンダー成形に用いられるカレンダー形式としては、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等が挙げられる。
[接着剤層]
接着剤層7は、金属蒸着膜3の表面に表面保護層8を貼り付けるための接着剤が硬化した層である。上記接着剤には、優れた接着性及び透明性を有するものが好適である。上記接着剤は、金属蒸着フィルムを被着体に貼り付けた後、60℃以上の高温環境(促進評価試験の条件)で保管した場合であっても、接着力が低下しないことが好ましい。
上記接着剤は特に限定されず、例えば、ポリエステルポリウレタン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ゴム系接着剤、ポリエステル樹脂系接着剤等を用いることができる。接着剤層7の厚さは特に限定されないが、5〜25μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましい。接着剤層7は、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。上記全光線透過率が80%未満であると、金属蒸着膜3による金属光沢感が損なわれるおそれがある。上記全光線透過率は、90%以上であることがより好ましい。
[表面保護層]
表面保護層8は、樹脂成分を含有し、該樹脂成分は、ポリ塩化ビニル又はアクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)であることが好ましい。表面保護層8は、金属蒸着膜3の表面を保護する役割を有するものであるが、樹脂成分として塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂を用いることにより、高い透明性と比較的低温(約130℃)での良好な成形性を得ることができる。高い透明性は、金属蒸着膜3によって得られる金属光沢感が表面保護層8のために損なわれることを防止する観点から求められる。また、比較的低温での良好な成形性とは、金属蒸着フィルムを加熱しながら基材に貼り付ける際(成形時)に、3次元曲面部の形状への追従性に優れることや、エンボス加工により凹凸形状を付与でき、かつ成形時に凹凸形状を維持できることを指す。
上記樹脂成分は、ポリ塩化ビニルであることが好ましく、アクリル樹脂であってもよい。表面保護層8中のポリ塩化ビニルは、組成及び平均分子量等の点で、基材1中のポリ塩化ビニルと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
表面保護層8中の上記アクリル樹脂としては、従来公知のものを用いることができるが、例えば、メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル共重合体A、メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル−スチレン共重合体B、それらの混合物等が用いられる。アクリル樹脂は、透明性及び強度において特に優れている。
上記共重合体A及び共重合体Bのモノマー成分であるメタクリル酸アルキルとしては特に限定されず、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。なかでも、上記共重合体A及び共重合体Bのモノマー成分はいずれも、カレンダー加工性が有利である観点から、メタクリル酸メチルを用いることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合体A及び共重合体Bのモノマー成分であるアクリル酸アルキルとしては特に限定されず、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。なかでも、上記共重合体A及び共重合体Bのモノマー成分はいずれも、柔軟性をより良好なものにすることができる観点から、アルキル部分の炭素数が大きいアクリル酸アルキルであるアクリル酸2−エチルヘキシルを用いることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合体Aのモノマー成分のメタクリル酸アルキルと、上記共重合体Bのモノマー成分のメタクリル酸アルキルとは、同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。同様に上記共重合体Aのモノマー成分のアクリル酸アルキルと、上記共重合体Bのモノマー成分のアクリル酸アルキルとは、同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。なお、上記アクリル樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で他のアクリル樹脂を含むものであってもよい。
表面保護層8は、可塑剤を含有していてもよい。表面保護層8中の可塑剤は、組成及び数平均分子量等の点で、基材1中の可塑剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。表面保護層8における可塑剤の含有量は、上記樹脂成分100重量部に対して、10〜25重量部であることが好ましい。上記含有量の範囲内であれば、比較的低温での成形性が特に良好である。上記含有量が10重量部未満では、表面保護層8が硬くなり過ぎることで、成形時にフィルムが破れてしまうおそれがある。一方、25重量部を超えると、表面保護層8が柔らかくなり過ぎることで、金属蒸着フィルムが被着体から剥がれ易くなり、表面保護層8が基材1から剥がれやすくなるおそれもある。上記可塑剤の含有量は、15〜25重量部がより好ましい。なお、表面保護層8及び基材1は、積層されることから、基本的には同じ硬さであることが好ましい。そのため、表面保護層8及び基材1は、厚さが同じであれば、可塑剤の含有量も同じであることが好ましい。
表面保護層8は、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収材、着色剤、発泡剤、滑剤、改質剤、無機粒子や無機繊維等の充填剤、希釈剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤としては、塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂に一般的に配合されるものを使用することができ、基材1中の添加剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
表面保護層8の厚さは特に限定されないが、40〜200μmであることが好ましく、50〜100μmであることがより好ましい。表面保護層8の全光線透過率が80%以上であることが好ましい。上記全光線透過率が80%未満であると、金属蒸着膜3による金属光沢感が損なわれるおそれがある。上記全光線透過率は、90%以上であることがより好ましい。
表面保護層8の表面には、必要に応じて、エンボス加工等の表面加工が施されていてもよい。エンボス加工により表面保護層8の表面にエンボス形状(凹凸形状)を付与すれば、エンボス形状による質感の向上と金属蒸着膜3による良好な金属光沢感の相乗効果によって、上記金属蒸着フィルムの意匠性を大きく高めることができる。従来の加飾フィルムにおいてもエンボス加工を施すことは可能であったが、曲面形状への成形時に凹凸形状を維持することは困難であり、意匠性が大きく低下していた。表面保護層8の樹脂成分が塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂とすることで、曲面形状への成形時にエンボス形状を維持でき、成形後まで意匠が保持される。
エンボス加工による凹凸形状の付与は、転写率が60%以上であることが好ましい。上記転写率は、エンボス加工用の型(例えば、エンボスロール)に設けられた凹凸の深度に対する、フィルムに転写された凹凸の深度の割合を示し、例えば、型の凹凸深度が100μmで、フィルムの凹凸深度が50μmの場合、転写率は50%である。また、上記凹凸深度は、JIS B 0601(2013)に規定された最大高さ粗さ(Ry)に基づく値である。
表面保護層8は、最表面の表面粗さが2.0μm以下であることが好ましい。表面保護層8にエンボス加工を施す場合、鏡面ロールでエンボス加工を実施すれば、表面粗さを2.0μm以下にすることができる。凹凸形状を有するロールでエンボス加工を実施した場合には、表面粗さが2.0〜10μm程度になってもよい。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
基材として使用するポリ塩化ビニル(PVC)フィルムを以下の手順で作製した。平均重合度1000のPVC100重量部に対して、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル(DINP)を20重量部添加し、PVCコンパウンドを得た。得られたPVCコンパウンドを、バンバリーミキサーで溶融混練した後、逆L字型カレンダーにて厚さ50μmのシート状に成形し、PVCフィルムを作製した。なお、PVCコンパウンドには、熱安定剤、酸化防止剤、着色のための顔料等の添加物を添加してもよい。
次いで、基材に支持フィルムとして厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを重ね、150〜160℃でラミネートすることにより貼り付けた。上記PETフィルムは易剥離処理がされていないものを用いた。上記基材の支持フィルムを貼り付けた面と反対側の面の表面粗さは、1.2μmであった。上記表面粗さは、JIS B 0601(2013)に準拠した方法で測定した。また、基材と支持フィルムとの剥離力は、0.06N/25mmであった。上記剥離力は、JIS Z 0237に準拠した方法で測定した。
その後、基材の支持フィルムを貼り付けた面と反対側の面に、真空蒸着法によりアルミ(Al)蒸着層を形成した。
また、厚さ100μmのセパレーター(二軸延伸ポリエステル(PET)フィルム、東レ社製「ルミラー(登録商標)」)の一方の面に、コンマバーコーターにて乾燥厚さが40μmとなるように粘着剤溶液(日立化成ポリマー社製、「ハイボン7663」)を塗工し、塗膜を形成した。上記塗膜を乾燥炉にて80℃で1分間、加熱乾燥することによって、塗膜中の溶剤を除去し、粘着剤層を得た。
次に、上記基材から支持フィルムを剥離し、基材の支持フィルムを剥離した面に、粘着剤層を介してセパレーターと上記積層体とを貼り合わせ、セパレーター上に形成された粘着剤層を基材側に転写した。これにより、実施例1の金属蒸着フィルムを得た。実施例1の金属蒸着フィルムの構成を下記表1に示す。表1中、基材の金属蒸着面側の表面粗さは、基材の支持フィルムを貼り付けた面と反対側の面の表面粗さである。
(実施例2〜9及び比較例1〜3)
実施例1と同様にして、下記表1に示した構成の金属蒸着フィルムを作製した。比較例3は、基材に支持フィルムを貼り付けずに金属蒸着膜を形成した。
(評価試験)
実施例及び比較例で作製した金属蒸着フィルムについて、下記の方法により、外観評価として、(1)金属ムラの有無、(2)スジ型の有無、及び、(3)鮮映度を評価した。また、上記(1)〜(3)の結果から、総合評価を行った。総合評価は、上記(1)の金属ムラが発生する場合を×、少なくとも金属ムラが発生しない場合を○とした。更に、上記(1)〜(3)のすべてが良好である場合を◎とした。上記(1)結果を下記表1に示した。
(1)金属ムラの有無
金属蒸着フィルムの金属ムラの有無は、金属蒸着フィルムの表面を目視にて観察した。その結果を以下の基準で判定した。上記金属ムラは、基材がたわみ、金属蒸着膜の厚みに差ができることで発生する外観不良であり、例えば10cm程度の範囲で、金属の濃淡が発生する。
(判定基準)
有り:目視にて金属ムラが観察された
無し:目視にて金属ムラが観察されなかった
(2)スジ型の有無
金属蒸着フィルムのスジ型の有無は、金属蒸着フィルムの表面を目視にて観察した。その結果を以下の基準で判定した。上記スジ型は、基材が変形し、谷となった部分に金属が溜まることで発生する外観不良であり、フィルムの流れ方向に、例えば2〜3mに渡って線状に金属のスジが発生する。
(判定基準)
有り:目視にてスジ型が観察された
無し:目視にてスジ型が観察されなかった
(3)鮮映度
金属蒸着フィルムの鮮映度は、以下の測定条件及び判定基準により評価した。
(測定条件)
鮮明度光沢度計(財団法人日本色彩研究所製、PGD−IV)を用いて、金属蒸着フィルムの表面で反射されたテストパターンを目視にて観察し、テストパターンの見え方により鮮明度光沢度(Gd値)を判定した。
(判定基準)
鮮明度光沢度が0.5以上であれば適合とし、0.5未満であれば不適合とした。
Figure 0006736451
表1から分かるように、実施例1〜9では、金属ムラが発生せず、ムラなく均一な金属薄膜を有する金属蒸着フィルムが得られた。更に、実施例1〜8では、金属ムラ及びスジ型のいずれも発生しなかった。更に、実施例1〜6、8及び9では、基材の支持フィルムを貼り付けた面と反対側の面が平らであったため、基材の表面により均一な金属薄膜を形成することができ、鮮映性に優れた金属蒸着フィルムが得られた。但し、実施例8は、基材に含まれる可塑剤の含有量が少ないため、やや成形性が劣るものであった。
一方、比較例1では、基材の厚さに対して、支持フィルムの厚さが薄いため、蒸着加工時に基材がたわみ、均一な金属薄膜を形成できなかった。比較例2では、基材と支持フィルムとの剥離力が弱いため、蒸着加工時に支持フィルムが剥がれ、基材がたわみ均一な金属薄膜を形成できなかった。比較例3では、基材に支持フィルムを貼り付けずに金属蒸着膜を形成したため、蒸着加工時に基材がたわみ、金属ムラが発生した。
1 基材
2 支持フィルム
3 金属蒸着膜
4 粘着剤層
5 セパレーター
6 プライマー層
7 接着剤層
8 表面保護層
10A、10B、10C 金属蒸着フィルム

Claims (4)

  1. ポリ塩化ビニルからなる基材の一方の面に支持フィルムを貼り付ける工程と、
    前記基材の支持フィルムを貼り付けた面と反対側の面に金属蒸着膜を形成する工程と、
    前記金属蒸着膜の形成後に、前記基材から前記支持フィルムを剥離する工程と、
    前記基材の支持フィルムを剥離した面に粘着剤層を形成する工程とを有し、
    前記支持フィルムの厚さは、前記基材の厚さに対して0.1倍以上であり、
    前記基材と前記支持フィルムとの剥離力は、0.05N/25mm以上であることを特徴とする金属蒸着フィルムの製造方法。
  2. 前記基材の厚さは、50μm以上、200μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
  3. 前記基材の支持フィルムを貼り付けた面と反対側の面の表面粗さは、2.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
  4. 前記金属蒸着膜は、アルミ、スズ又はインジウムを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
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