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JP6666196B2 - 漆黒調加飾フィルム、加飾成形品、及び、漆黒調加飾フィルムの製造方法 - Google Patents

漆黒調加飾フィルム、加飾成形品、及び、漆黒調加飾フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、漆黒調加飾フィルム、加飾成形品、及び、漆黒調加飾フィルムの製造方法に関する。
従来、基材(被着体)に漆黒調の意匠を付与するために、基材に黒色塗料を塗装し、その上にクリアー塗料で塗装を行う方法が用いられてきた。しかし、塗装に手間がかかること、塗料を乾燥する時間がかかることから、基材に漆黒調加飾フィルムを貼り付ける方法が提案されている。漆黒調加飾フィルムに関係する先行技術を開示した文献としては、例えば、特許文献1及び2が挙げられる。
特許文献1には、所定の全光線透過率の表面フィルム、黒色色素を添加した粘着剤層、少なくとも片面に金属層が形成された金属層保持フィルム、透明または黒色に調色された粘着剤層、及び、黒色のベースシートが、この順で積層されてなる漆黒調加飾用シートが開示されている。また、特許文献2には、ポリカーボネート樹脂、所定量の有機系黒色染料、及び、所定量のポリアルキレンテレフタレートを必須成分として含有し、有機系黒色染料する樹脂組成物が開示されている。
特開2009−40022号公報 特開2012−126776号公報
近年、漆黒調加飾フィルムを、平坦面だけでなく、3次元曲面に対しても貼り付けることが検討されている。漆黒調加飾フィルムの支持体であるベースフィルム層には、透明性が高いことから、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート樹脂等が用いられることが多いが、3次元曲面部を有する基材の形状に追従させることは困難であった。また、光沢を出すために、フィルムの表面に紫外線(UV)硬化樹脂を塗工し、UVコーティングすることも考えられるが、追従性が不充分であった。そのため、任意の3次元曲面に対して、漆黒塗装品と同等の外観と、追従できる伸長性を備えた漆黒調加飾フィルムが求められていた。
なお、フィルムの成形温度(貼り付け時の温度)を高くすれば、フィルムがより軟化するので、3次元曲面への追従性を向上させることが可能である。しかしながら、成形温度を高くした場合には、基材に変形等の損傷が加わるおそれがあった。このため、3次元曲面への貼り付け加工は低温で行うことが求められていた。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、漆黒塗装品と同等の外観を有し、かつ、3次元曲面部への貼り付け加工にも適した漆黒調加飾フィルム、該漆黒調加飾フィルムを用いて得られる加飾成形品、及び、該漆黒調加飾フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、漆黒調の外観を再現するための方法を検討し、厚さが100μm以上、300μm以下のベースフィルム層に、黒色顔料を0.5重量部以上、10重量部以下で含有させることで、深みのある黒を実現できることを見出した。更に、ベースフィルム層上に全光線透過率が80%以上であり、所定の厚さの表面フィルム層を設けることで、フィルムの表面に光沢を与え、漆黒塗装品と同等の外観を有する漆黒調加飾フィルムが得られることを見出した。そして、上記ベースフィルム層に、塩化ビニル系樹脂及び可塑剤を用い、表面フィルム層に塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂を用いることで、比較的低温(約120℃)での成形性が良好であり、3次元曲面部への貼り付けに適した漆黒調加飾フィルムが得られ、漆黒調加飾フィルムを3次元曲面部へ貼り付けても、漆黒塗装品と同等の外観を維持できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の漆黒調加飾フィルムは、粘接着剤層、ベースフィルム層、及び、表面フィルム層が順に積層され、上記ベースフィルム層は、塩化ビニル系樹脂、可塑剤、及び、黒色顔料を含有し、上記黒色顔料の含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上、10重量部以下であり、上記ベースフィルム層の厚さは、100μm以上、300μm以下であり、上記表面フィルム層は、塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂を含有し、上記表面フィルム層の全光線透過率は、80%以上であり、上記ベースフィルム層の厚さに対する前記表面フィルム層の厚さの比は、0.3以上、1.0以下であることを特徴とする。
上記アクリル系樹脂は、ポリメタクリル酸メチルであることが好ましい。
上記黒色顔料は、カーボンブラックであることが好ましい。
上記漆黒調加飾フィルムは、80℃での引張強度が1〜30MPaであることが好ましい。
上記漆黒調加飾フィルムは、80℃での伸張率が150%以上であることが好ましい。
本発明の加飾成形品は、3次元曲面部を有する基材と、上記3次元曲面部を覆う加飾フィルムとを備える加飾成形品であって、上記加飾フィルムは、本発明の漆黒調加飾フィルムであり、上記粘接着剤層を介して上記3次元曲面部に貼り付けられていることを特徴とする。
本発明の漆黒調加飾フィルムの製造方法は、粘接着剤層を形成する工程と、黒色顔料と塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含有するマスターバッチに、更に塩化ビニル系樹脂を混合して黒色樹脂組成物を得る工程と、上記黒色樹脂組成物を上記粘接着剤層上に積層し、ベースフィルム層を形成する工程と、上記ベースフィルム層上に塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂を含有する樹脂組成物を積層し、表面フィルム層を形成する工程とを有し、上記マスターバッチ全体に対する、上記黒色顔料の含有量は、20〜25重量%であり、上記黒色樹脂組成物における上記黒色顔料の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上、10重量部以下であり、上記ベースフィルム層の厚さは、100μm以上、300μm以下であり、上記表面フィルム層の全光線透過率は、80%以上であり、上記ベースフィルム層の厚さに対する上記表面フィルム層の厚さの比は、0.3以上、1.0以下であることを特徴とする。
本発明の漆黒調加飾フィルムは、漆黒塗装品と同等の外観を有し、かつ、3次元曲面部への貼り付け加工に適している。また、本発明の加飾成形品は、従来の加飾フィルムでは意匠を付与することが困難であった3次元曲面部を含む基材に対して、本発明の漆黒調加飾フィルムを貼り付けることによって、高品位の黒を付与することを可能としたものである。更に、本発明の漆黒調加飾フィルムの製造方法は、漆黒塗装品と同等の外観を有し、かつ、3次元曲面部への貼り付け加工に適した漆黒調加飾フィルムを製造することができる。
本発明の漆黒調加飾フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の加飾成形品の一例を示した模式図である。
本発明の漆黒調加飾フィルムは、粘接着剤層、ベースフィルム層、及び、表面フィルム層が順に積層され、上記ベースフィルム層は、塩化ビニル系樹脂、可塑剤、及び、黒色顔料を含有し、上記黒色顔料の含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上、10重量部以下であり、上記ベースフィルム層の厚さは、100μm以上、300μm以下であり、上記表面フィルム層は、塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂を含有し、上記表面フィルム層の全光線透過率は、80%以上であり、上記ベースフィルム層の厚さに対する上記表面フィルム層の厚さの比は、0.3以上、1.0以下であることを特徴とする。
図1は、本発明の漆黒調加飾フィルムの一例を模式的に示した断面図である。図1に示した漆黒調加飾フィルム10は、粘接着剤層12、ベースフィルム層13、及び、表面フィルム層14が順に積層されている。更に、漆黒調加飾フィルム10は、粘接着剤層12のベースフィルム層13と反対側に、セパレーター11を有してもよい。
[セパレーター]
セパレーター11を設けることにより、漆黒調加飾フィルム10の製造、運搬、保存中に粘接着剤層12が露出しないようにして、粘接着剤層12の劣化防止や、漆黒調加飾フィルム10の取扱い性向上が可能となる。セパレーター11は、基材への貼付の直前に剥離すればよい。
セパレーター11としては特に限定されないが、粘接着剤層12を損傷することなく容易に剥離できるものが好適であり、離型フィルムであっても、離型紙であってもよい。上記離型フィルムとしては、例えば、易剥離処理が施された樹脂フィルムが挙げられる。上記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等のフィルムが挙げられる。上記易剥離処理は、例えば、上記樹脂フィルムの粘接着剤層12と接触する面に、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂等を塗布する方法等が挙げられる。上記離型紙としては、例えば、上質紙又はグラシン紙等の紙に、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂等を塗布したものが挙げられる。セパレーター11の厚さは、12〜200μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましい。
[粘接着剤層]
粘接着剤層12は、粘着機能(感圧接着性)及び接着機能の少なくとも一方を有するものであれば特に限定されない。粘接着剤層12は、初期タック力(ベタツキ)が高く、基材に貼り付けた後も濡れた状態を保ち、剥離が容易である粘着剤と、初期タック力が低く、基材に貼り付けた後に固体化し、剥離し難い接着剤との両方の性質を備えていることが好ましく、初期タック力に優れ、かつ、基材に貼り付け後に固体化し基材から剥離し難いものであってもよい。粘接着剤層12に用いる粘着剤は、特に限定されず、常温で粘着力を発現する粘着剤であってもよいし、加熱することで粘着力を発現するホットメルト粘着剤であってもよい。真空・圧空成形等に用いる観点からは、粘接着剤層12は、ホットメルト接着剤を含有するものが好ましい。ホットメルト接着剤は、溶剤を含有しないため、真空・圧空成形による漆黒調加飾フィルム10の貼り付けに好適である。上記ホットメルト接着剤としては、例えば、ポリエステル系ホットメルト接着剤、アクリル系ホットメルト接着剤、ゴム系ホットメルト接着剤、シリコーン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。
上記ホットメルト接着剤の軟化温度は、60℃以上、120℃以下であることが好ましい。上記ポリエステル系ホットメルト接着剤は、飽和ポリエステル樹脂を主成分とした溶剤型接着剤であり、その軟化温度は、通常、60〜100℃程度であることから、比較的低温(120℃以下)で加工できる塩化ビニル系樹脂を含有するベースフィルム層13と組み合わせて用いことができる。上記ポリエステル系ホットメルト接着剤としては、例えば、日立化成ポリマー社製ハイボン7663等が挙げられる。
粘接着剤層12の厚さは、10〜60μmが好ましい。上記厚さが10μm未満では、充分な粘着性を得ることができない場合があり、上記厚さが60μmを超えると、粘着性がさほど向上しない。粘接着剤層12のより好ましい厚さは、20〜50μmである。
[ベースフィルム層]
ベースフィルム層13は、塩化ビニル系樹脂、可塑剤、及び、黒色顔料を含有する。ベースフィルム層13の樹脂成分として塩化ビニル系樹脂を用いることにより、比較的低温(約120℃)で漆黒調加飾フィルム10を基材に貼り付ける際(成形時)に、3次元曲面部の形状への優れた追従性(成形性)が得られるという利点がある。また、塩化ビニル系樹脂を含有するフィルムは、伸びがよく、破断し難いことから、3次元曲面部への貼り付けが容易である。
上記塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと他の単量体との共重合体を挙げることができる。
上記他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフィン;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル;フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記他の単量体の上記共重合体における含有量は、通常、50重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。50重量%を超えると、表面フィルム層14の耐屈曲性が低下するおそれがある。上記塩化ビニル系樹脂のなかでも、寸法安定性が得られる点から塩化ビニルの単独重合体が好ましい。
上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度は特に限定されないが、750〜1300であることが好ましく、より好ましい上限は1050である。上記平均重合度が750〜1300の範囲内であると、比較的低温での成形性が特に良好である。これに対して、上記平均重合度が1300を超えると、成形時の3次元曲面部の形状への追従性が不十分となるおそれがある。
上記可塑剤としては特に限定されず、従来から塩化ビニル系樹脂に配合されているものを用いることができ、例えば、フタル酸オクチル(ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP))、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル等のフタル酸ジエステル;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸ジエステル;トリクレジルホスフエート、トリオクチルホスフエート等のリン酸トリエステル;エポキシ化大豆油、エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;高分子ポリエステル可塑剤等を挙げることができる。
上記高分子ポリエステル可塑剤としては、例えば、フタル酸のポリエチレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジエステル等のポリアルキレングリコールジエステル;アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族二塩基酸のポリエチレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジエステル等のポリアルキレングリコールジエステルを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記可塑剤の数平均分子量は、350〜3000であることが好ましい。上記数平均分子量が350未満では、可塑剤が粘接着剤層12に移行しやすく、接着力の低下を引き起こすことがある。一方、上記数平均分子量が3000を超えると、可塑剤の添加によりフィルムを柔軟にする効果が充分に得られず、表面フィルム層14が硬くなり過ぎることで、成形時にフィルムが破れてしまうおそれがある。
ベースフィルム層13における、上記可塑剤の含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、10重量部以上、25重量部以下であることが好ましい。上記含有量の範囲内であれば、比較的低温での成形性が特に良好である。上記含有量が10重量部未満では、ベースフィルム層13が硬くなり過ぎることで、成形時にフィルムが破れてしまうおそれがある。一方、25重量部を超えると、ベースフィルム層13が柔らかくなり過ぎることで、基材の端部に漆黒調加飾フィルム10が食い込まず、剥がれ易くなるおそれがある。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は15重量部であり、より好ましい上限は、23重量部である。
上記黒色顔料は、ベースフィルム層13を黒色に着色するために添加される。顔料は、染料に比べて耐候性に優れるため、着色料として、顔料を用いることで、漆黒調加飾フィルム10は、幅広い使用環境を選択することができる。
上記黒色顔料は、無機顔料であることが好ましい。なかでも、カーボンブラックであることがより好ましい。カーボンブラックは、黒色顔料の中でも入手が容易であり、一次平均粒子径等により色味を調整しやすいため、好適に用いられる。なお、染料であるアニリンブラックは、カーボンブラックよりも漆黒性は高いが、耐候性が劣るため、カーボンブラックが好適である。
上記黒色顔料の一次平均粒子径は、10nm以上、20nm以下であることが好ましい。上記黒色顔料の一次平均粒子径が上記範囲内であると、分散性に優れ、より優れた漆黒調を得ることができる。上記範囲内では、一次平均粒子径が小さいほど、分散性が高くなるため、より漆黒性が増す傾向がある。一次平均粒子径が20nmを超えると、漆黒性が劣り、白っぽくなることがある。なお、一次平均粒子径とは、凝集していない一次粒子の平均粒子径をいう。
上記黒色顔料の含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上、10重量部以下である。上記黒色顔料の含有量が0.5重量部未満では、漆黒調加飾フィルム10の隠蔽性が低く、3次元曲面部を有する基材に漆黒調加飾フィルム10を貼り付けた際に、基材の色が透けてしまう。また、漆黒調加飾フィルム10を折り曲げた場合に、漆黒調の色味を維持できない。一方、上記黒色顔料の含有量が10重量部を超えると、上記黒色顔料の含有量を増やしても、漆黒調加飾フィルム10の漆黒調の色味の差はほとんど視認できなくなる。更に、上記黒色顔料の含有量を増やしすぎると、上記黒色顔料が凝集してフィルム表面に異物として現れ、外観不良の原因となる。
ベースフィルム層13は、更に、黒色以外の顔料を含有してもよい。黒色以外の顔料としては、例えば、赤色顔料、青色顔料等が挙げられる。これらの顔料を含有することで、漆黒調の色味を調整することができる。
ベースフィルム層13は、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収材、滑剤、改質剤、無機粒子や無機繊維等の充填剤、希釈剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤としては、塩化ビニル系樹脂に一般的に配合されるものを使用することができる。
上記安定剤としては、例えば、脂肪酸カルシウム、脂肪酸亜鉛、脂肪酸バリウム等の金属石ケン;ハイドロタルサイト等が挙げられる。上記金属石ケンの脂肪酸成分としては、例えば、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、リシノール酸バリウム等が挙げられる。また、上記安定剤としては、エポキシ系安定剤;バリウム系安定剤;カルシウム系安定剤;スズ系安定剤;亜鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系(Ca−Zn系)、バリウム−亜鉛系(Ba−Zn系)等の複合安定剤も使用することができる。
上記安定剤を含有する場合、その含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.3〜5.0重量部が好ましい。上記含有量が0.3重量部未満では、安定剤を配合することによる効果が充分に発揮されない場合があり、一方、上記含有量が5.0重量部を超えると、安定剤がブルーム(噴き出し)するおそれがある。
また、上記紫外線吸収材を含有する場合、その含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.3〜2.0重量部が好ましい。上記含有量が0.3重量部未満では、あまり効果がなく、一方、上記含有量が2.0重量部を超えると、ベースフィルム層13の表面にブリードするおそれがある。
ベースフィルム層13の厚さは、100μm以上、300μm以下である。上記厚さが100μm未満では、漆黒調加飾フィルム10を基材に貼り付けた際に、充分な漆黒調の色味を維持できない。一方、上記厚さが300μmを超えると、成形時の3次元曲面部の形状への追従性が不充分となる。上記厚さの好ましい下限は、150μmであり、好ましい上限は、250μmである。
[表面フィルム層]
表面フィルム層14は、塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂を含有する。すなわち、表面フィルム層14は、ポリ塩化ビニルフィルム(PVCフィルム)又はアクリルフィルムと一般に呼ばれるものであってもよい。表面フィルム層14に塩化ビニル系樹脂又はアクリル樹脂を用いることにより、高い透明性と比較的低温(約120℃)での良好な成形性を得ることができる。なお、ここでの「比較的低温」とは、塩化ビニル系樹脂及びアクリル樹脂以外の透明樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート)を成形する場合の成形温度と比べて低温であることを意味している。黒色のベースフィルム層13に重ねることで、漆黒調加飾フィルム10の表面に光沢を付与することができるため、表面フィルム層14には高い透明性が求められる。また、比較的低温での良好な成形性とは、漆黒調加飾フィルム10を加熱しながら基材に貼り付ける際(成形時)に、3次元曲面部の形状への追従性に優れることを指す。
表面フィルム層14は、可塑剤を含有していてもよい。表面フィルム層14における、上記可塑剤の含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、10重量部以上、25重量部以下であることが好ましい。上記可塑剤の含有量の好ましい下限は15重量部であり、好ましい上限は23重量部である。表面フィルム層14中の可塑剤は、組成、数平均分子量、含有量等の点で、ベースフィルム層13中の可塑剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
表面フィルム層14に用いる塩化ビニル系樹脂としては、組成及び平均分子量等の点で、ベースフィルム層13中の塩化ビニル系樹脂と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記アクリル系樹脂としては、アクリル酸アルキルの重合体が挙げられる。なかでも、カレンダー加工性が有利である観点から、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)が好ましい。上記アクリル系樹脂は、PMMAの単重合体であってもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲で他のアクリル樹脂を含むものであってもよい。
上記表面フィルム層14は、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収材、滑剤、改質剤、無機粒子や無機繊維等の充填剤、希釈剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤としては、塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂に一般的に配合されるものを使用することができる。
表面フィルム層14の厚さは、30μm以上、150μm以下であることが好ましい。表面フィルム層14の厚さが上記範囲内であると、成形性に優れ、ベースフィルム層13に追従することができるため、加飾成形後にも漆黒塗装品と同等の外観を維持することができる。表面フィルム層14の厚さが30μm未満であると、カレンダー成形を用いた場合に均一なフィルムを製膜できないことがある。一方、表面フィルム層14の厚さが150μmを超えると、加飾成形するための加工温度を高くする必要がある。市販されているアクリルフィルムとしては、例えば、三菱レイヨン株式会社製 アクリプレンHBS006等が挙げられる。
表面フィルム層14の全光線透過率は、80%以上である。ベースフィルム層13上に全光線透過率が80%以上の表面フィルム層14を配置することで、表面に光沢をもたせ、ベースフィルム層13の黒色をより際立たせることができる。上記全光線透過率が80%未満であると、漆黒調加飾フィルム10の表面の光沢が不充分となる。上記全光線透過率の好ましい下限は、85%である。上記全光線透過率は、JIS K 7105に準拠した方法で測定する。なお、表面フィルム層14は、高い透明性を得るために、平坦な表面を有することが好ましいが、上記全光線透過率が80%以上であれば、本発明に用いる表面フィルム層14として、充分な表面平滑性を有すると判断することができる。
ベースフィルム層13の厚さに対する表面フィルム層14の厚さの比は、0.3以上、1.0以下である。上記比が0.3未満であると、3次元曲面形状に追従した時に表面フィルムの厚さが薄くなり、光沢が不十分となる。一方、上記比が1.0を超えると、表面フィルム層14の厚さが厚くなり、成形性が不十分となる。特に、曲面形状の基材端部への食い込みが不十分となる。上記厚さの比の好ましい下限は0.5であり、好ましい上限は0.8である。
本発明の漆黒調加飾フィルム10には、表面フィルム層14、ベースフィルム層13、粘接着剤層12及びセパレーター11以外に、例えば、プライマー層等の他の層が設けられていてもよい。
より簡易な構成で漆黒調の外観を得る観点からは、粘接着剤層12とベースフィルム層13と表面フィルム層14との間に他の層は介さず、粘接着剤層12とベースフィルム層13が接することが好ましく、また、ベースフィルム層13と表面フィルム層14とが接することが好ましい。
漆黒調加飾フィルム10は、80℃での引張強度が1〜30MPaであることが好ましい。80℃での引張強度が1〜30MPaであれば、3次元曲面部への貼り付けに好適である。上記引張強度が1MPa未満であると、3次元曲面部に追従できずに破断するおそれがある。上記引張強度が30MPaを超えると、フィルムが硬いために3次元曲面部に追従できないおそれがある。上記引張強度は、JIS K 7161に準拠した方法で測定することができる。具体的には、引張試験機を用いて、漆黒調加飾フィルム10の試験片を80℃の環境下で1分放置する。その後、測定温度80℃で、試験片を速度200mm/minで引っ張り、試料が切断(破断)したときの強度を測定する。
漆黒調加飾フィルム10は、80℃での伸張率が150%以上であることが好ましい。伸張率が150%以上であると、3次曲面部を有する基材の形状に充分に追従することができる。80℃での伸張率の好ましい上限は、500%である。80℃での伸張率が500%を超えると、漆黒調加飾フィルム10のコシが不充分となり、加熱成形を行う際に、漆黒調加飾フィルム10が垂れて加工し難くなるおそれがある。また、基材に貼り付けた後に、漆黒調加飾フィルム10が浮いてきたり、剥がれ易くなるおそれがある。上記伸張率は、下記式(1)で求めることができる。下記式(1)中、Laは、引張試験を行う前の試験片の長さであり、Lbは、引張試験において試験片が破断した際の時の試験片の長さである。
伸張率(%)={(Lb−La)/La}×100 (1)
本発明の漆黒調加飾フィルムは、ベースフィルム層を形成する際に、黒色顔料をマスターバッチとして添加する製造方法を利用して用いて製造することができる。すなわち、粘接着剤層を形成する工程と、黒色顔料と塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含有するマスターバッチに、更に塩化ビニル系樹脂を混合して黒色樹脂組成物を得る工程と、上記黒色樹脂組成物を上記粘接着剤層上に積層し、ベースフィルム層を形成する工程と、上記ベースフィルム層上に塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂を含有する樹脂組成物を積層し、表面フィルム層を形成する工程とを有し、上記マスターバッチ全体に対する、上記黒色顔料の含有量は、20〜25重量%であり、上記黒色樹脂組成物における上記黒色顔料の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上、10重量部以下であり、上記ベースフィルム層の厚さは、100μm以上、300μm以下であり、上記表面フィルム層の全光線透過率は、80%以上であり、上記ベースフィルム層の厚さに対する上記表面フィルム層の厚さの比は、0.3以上、1.0以下である漆黒調加飾フィルムの製造方法もまた、本発明の一態様である。
粘接着剤層12を形成する工程は、特に限定されず、例えば、セパレーター11上に直接バーコーター等を用いて、粘着剤組成物を塗工し、乾燥させる方法等の従来公知の方法を用いることができる。粘接着剤層12がホットメルト接着剤を含有する場合、例えば、セパレーター11上にホットメルトアプリケータ等を用いて塗布して形成してもよいし、別途用意した支持体に一旦塗布した後、転写して形成してよい。
上記マスターバッチは、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、一軸混練押出機、二軸混練押出機等の公知の混練機等を用いて、黒色顔料と塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを溶融混練して作製することができる。上記黒色顔料を予めマスターバッチに加工して、ベースフィルム層13を形成することで、黒色顔料がベースフィルム層13中で凝集することを防ぎ、ベースフィルム層13中に均一に分散させることができる。
上記マスターバッチ全体に対する、黒色顔料の含有量は、20〜25重量%である。上記含有量が20重量%未満であると、得られる漆黒調加飾フィルム10の隠蔽性が低く、3次元曲面部を有する基材に漆黒調加飾フィルム10を貼り付けた際に、基材の色が透けてしまうことがある。一方で、上記含有量が25重量%を超えると、上記黒色顔料が凝集して均一に分散できないおそれがある。
上記マスターバッチ全体に対する、塩化ビニル系樹脂の含有量は、25〜30重量%であってもよい。また、上記マスターバッチ全体に対する、上記可塑剤の含有量は、45〜50重量%であってもよい。
本発明の漆黒調加飾フィルムの製造方法は、上記マスターバッチに、更に塩化ビニル系樹脂を混合して黒色樹脂組成物を得る工程を有する。上記マスターバッチに、更に塩化ビニル系樹脂を混合することで、上記黒色顔料の含有量が、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上、10重量部以下である黒色樹脂組成物を得ることができる。上記黒色樹脂組成物は、上記可塑剤の含有量が、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、10重量部以上、25重量部以下であってもよい。上記黒色樹脂組成物を用いることで、上述のベースフィルム層13を形成することができる。
本発明の漆黒調加飾フィルムの製造方法は、上記黒色樹脂組成物を上記粘接着剤層上に積層し、ベースフィルム層を形成する工程を有する。上記工程としては、例えば、上記黒色樹脂組成物を、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の従来公知の成形法によってフィルム状に成形し、得られたフィルムを粘接着剤層12上に積層する方法が挙げられる。上記カレンダー成形に用いられるカレンダー形式としては、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等が挙げられる。
本発明の漆黒調加飾フィルムの製造方法は、上記ベースフィルム層上に塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂を含有する樹脂組成物を積層し、表面フィルム層を形成する工程を有する。上記工程としては、例えば、上記樹脂組成物を、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の従来公知の成形法によってフィルム状に成形し、得られたフィルムをベースフィルム層13上に積層する方法が挙げられる。上記カレンダー成形に用いられるカレンダー形式としては、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等が挙げられる。このような方法により、本発明の漆黒調加飾フィルム10を製造することができる。本発明の漆黒調加飾フィルム10は、更に、必要に応じて、裁断、ロール状への巻き取り等の処理が行われる。
本発明の漆黒調加飾フィルム10の用途は特に限定されず、種々の基材に貼り付けて用いることができる。本発明の漆黒調加飾フィルム10によれば、塗装よりも簡易かつ安全な方法で、漆黒塗装品と同等の外観を基材に付与することができる。また、漆黒調加飾フィルム10は、従来の加飾フィルムでは装飾することが困難であった3次元曲面部を有する基材の表面であっても装飾できることから、3次元曲面部を有する基材を装飾するのに特に適している。すなわち、3次元曲面部を有する基材と、上記3次元曲面部を覆う加飾フィルムとを備える加飾成形品であって、上記加飾フィルムは、上記漆黒調加飾フィルムであり、上記粘接着剤層を介して上記3次元曲面部に貼り付けられている加飾成形品もまた、本発明の一態様である。
上記基材の材質は、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)系樹脂等の樹脂;鉄、銅、アルミニウム等の金属;合金等が挙げられる。なかでも、樹脂基材に漆黒調加飾フィルム10を貼り付ければ、樹脂基材を用いる利点を得つつ、漆黒調の外観を得ることができることから、利用価値が高い。上記基材の種類は特に限定されないが、例えば、携帯電話用カバー、自動2輪車用部品、車両用内装部品、建造物の壁面等の建築材料等が挙げられる。
漆黒調加飾フィルム10を基材に貼り付ける方法としては、セパレーター11を剥がした後、例えば、真空成形、圧空成形、真空・圧空成形、インモールド成形、フィルムインサート成形、ラミネート等により、基材に貼り付けることができる。なかでも、真空・圧空成形が好適に用いられる。具体的には、真空・圧空成形機として、TOM成形機(布施真空社製、NGF−0406)を使用し、ヒーターの加熱温度80〜140℃で、上記基材に、漆黒調加飾フィルム10を貼り付ける。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
[粘接着剤層の形成]
厚さ100μmのセパレーター(東レ株式会社製、ルミラー)の一方の面に、コンマバーコーターを用いて、乾燥厚さが40μmとなるようにホットメルト接着剤(日立化成ポリマー社製、ハイボン7663)を塗工し、塗膜を形成した。上記塗膜を乾燥炉にて80℃で1分間、加熱乾燥することによって、塗膜中の溶剤を除去し、粘接着剤層を形成した。
[ベースフィルム層の形成]
まず、黒色顔料を含有するマスターバッチを作成した。バンバリーミキサーを用いて、マスターバッチ全体の重量に対して、黒色顔料を25重量%、平均重合度1000のポリ塩化ビニル25 重量%、可塑剤としてフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOP)50重量%を溶融混練して、マスターバッチを作製した。上記黒色顔料としては、一次平均粒子径が13nmのカーボンブラックを用いた。
次に、得られたマスターバッチ5重量部と、平均重合度1000のポリ塩化ビニル100重量部とを添加し、バンバリーミキサーで3〜5分間溶融混練し、平均重合度1000のポリ塩化ビニル100重量部に対して、可塑剤を15重量部、黒色顔料を5重量部含有する黒色樹脂組成物を得た。得られた黒色樹脂組成物を、カレンダー加工によりフィルム状に加工し、上記粘接着剤層に積層して厚さ100μmのベースフィルム層を形成した。
[表面フィルム層の形成]
平均重合度1000のポリ塩化ビニル100重量部、可塑剤としてDOP(ジェイプラス社製)15重量部を、バンバリーミキサーで3〜5分間溶融混練し、PVCコンパウンドを得た。得られたPVCコンパウンドを、カレンダー加工によりフィルム状に加工し、上記ベースフィルム層に積層して、厚さ80μmの表面フィルム層を形成した。
以上により、実施例1の漆黒調加飾フィルムを得た。実施例1の漆黒調加飾フィルムの構成を下記表1に示す。
(実施例2)
実施例2では、表面フィルム層として、アクリル系樹脂を含有するフィルムを用いた点以外は、実施例1と同様にして実施例2の漆黒調加飾フィルムを作製した。表面フィルム層は、アクリル系樹脂を含有するフィルムとして、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)フィルム(三菱レイヨン株式会社製、アクリプレンHBS006)を用いた。上記PMMAフィルムの全光線透過率は93%、厚さは50μmであった。上記PMMAフィルムをベースフィルム層上に、熱ラミネートにより積層し、表面フィルム層を形成した。これにより、実施例2の漆黒調加飾フィルムを得た。実施例2の漆黒調加飾フィルムの構成を下記表1に示す。
(実施例3〜8、及び比較例1〜7)
実施例1と同様にして、下記表1及び2に示した構成の漆黒調加飾フィルムを作製した。なお、粘接着剤層は、全て実施例1と同様のものを用いた。
(評価試験)
実施例及び比較例で作製した漆黒調加飾フィルムについて、下記の方法により、(1)引張強度、(2)伸張率、(3)成形前の外観、(4)成形後の外観、及び、(5)曲面形状への成形性を評価した。その結果を下記表1及び2に示した。
(1)引張強度
漆黒調加飾フィルムを縦15cm、横2.5cmに切断し、80℃の環境下で1分放置した。その後、セパレーターを剥離し、試験片とした。引張試験機(島津製作所社製、AG−100NXplus)を用いて、JIS K 7162に準拠した方法で引張試験を行い、試験片が破断した際の引張張力(MPa)を測定した。測定温度は80℃、引張速度は200mm/minであった。上記引張強度が1〜30MPaであれば、3次元曲面部への貼り付けに好適である。
(2)伸張率
伸張率は、上記引張試験で得た引張強度を用いて、下記式(1)によって求めた。下記式(1)中、Laは、引張試験を行う前の試験片の長さであり、Lbは、引張試験において試験片が破断した際の時の試験片の長さである。伸張率が150%以上であると、3次曲面部を有する基材の形状に充分に追従することができる。
伸張率(%)={(Lb−La)/La}×100 (1)
(3)成形前の外観
漆黒度合(黒味の深さ)、輝度感(表面の光沢)を目視で確認し、黒色塗料を用いた塗装品との外観の違いを以下の基準で評価した。
○:漆黒度合及び輝度感に差がない。
△:輝度感に差はないが、漆黒度合が劣る。
×:漆黒度合及び輝度感が劣る。
(4)成形後の外観
漆黒調フィルムからセパレーターを剥がし、真空・圧空成形(TOM成形により伸張率100%で基材に貼り付けた。その後、漆黒度合(黒味の深さ)、輝度感(表面の光沢)を目視で確認し、成形前の漆黒調フィルムとの外観の違いを以下の基準で評価した。基材としては、ABS樹脂製のスマートフォン用カバーを用いた。
○:漆黒度合及び輝度感に変化がない。
△:基材の色は確認できないものの、漆黒度合及び輝度感が低下した。
×:漆黒度合及び輝度感が低下し、基材の色が確認できた。
(5)曲面形状への成形性
700mm×700mmに切断した漆黒調加飾フィルムからセパレーターを剥離し、成形温度120℃で真空・圧空成形(TOM成形)により、3次元曲面部を有する基材へ貼り付け、100%以上伸長して3次元曲面部の形状に追従するか否かに基づき、以下の基準で判定した。基材としては、ABS樹脂製のスマートフォン用カバーを用いた。
〇:基材の端部までフィルムが追従しており、フィルムの破れ、剥がれがない。
△:基材の端部までフィルムが追従しているが、破れがある。
×:基材の端部までフィルムが追従せず、剥がれている。
Figure 0006666196
Figure 0006666196
表1及び2から分かるように、実施例1、4〜7の漆黒調加飾フィルムは、引張強度、伸張率、成形前後の外観、及び、成形性のいずれについても良好な結果であった。実施例2及び3は、実施例1と比較すると、表面フィルム層の厚さが薄いため成形後の光沢がやや低下し、実施例8は、実施例1と比較すると、黒色顔料の一次平均粒子径が大きいため分散性が低く、成形前後の外観がやや低下したものの、漆黒塗装品と同等の外観を有し、かつ、3次元曲面部への貼り付け加工に適した漆黒調加飾フィルムが得られた。一方、比較例1の漆黒調加飾フィルムは、表面フィルム層の全光線透過率が70%と低いため、成形前後の外観が劣っていた。比較例2は、黒色顔料の含有率が低いため、漆黒度合が低かった。比較例3は、黒色顔料の含有量が多いため、黒色顔料の凝集が起こり、漆黒度合が低くなったと考えられる。比較例4及び5は、ベースフィルム層の厚さに対する表面フィルム層の厚さの比が0.3未満であるため、成形性が不充分であった。比較例6は、ベースフィルム層が薄いため、成形後に充分な漆黒調の色味を維持できなかった。比較例7は、ベースフィルム層が厚いため、成形性が不充分であった。
10 漆黒調加飾フィルム
11 セパレーター
12 粘接着剤層
13 ベースフィルム層
14 表面フィルム層

Claims (7)

  1. 粘接着剤層、ベースフィルム層、及び、表面フィルム層が順に積層され、
    前記ベースフィルム層は、塩化ビニル系樹脂、可塑剤、及び、黒色顔料を含有し、
    前記黒色顔料の含有量は、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上、10重量部以下であり、
    前記ベースフィルム層の厚さは、100μm以上、300μm以下であり、
    前記表面フィルム層は、塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂を含有し、
    前記表面フィルム層の全光線透過率は、80%以上であり、
    前記ベースフィルム層の厚さに対する前記表面フィルム層の厚さの比は、0.3以上、1.0以下であることを特徴とする漆黒調加飾フィルム。
  2. 前記アクリル系樹脂は、ポリメタクリル酸メチルであることを特徴とする請求項1に記載の漆黒調加飾フィルム。
  3. 前記黒色顔料は、カーボンブラックであることを特徴とする請求項1又は2に記載の漆黒調加飾フィルム。
  4. 前記漆黒調加飾フィルムは、80℃での引張強度が1〜30MPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の漆黒調加飾フィルム。
  5. 前記漆黒調加飾フィルムは、80℃での伸張率が150%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の漆黒調加飾フィルム。
  6. 3次元曲面部を有する基材と、前記3次元曲面部を覆う加飾フィルムとを備える加飾成形品であって、
    前記加飾フィルムは、請求項1〜5のいずれかに記載の漆黒調加飾フィルムであり、前記粘接着剤層を介して前記3次元曲面部に貼り付けられていることを特徴とする加飾成形品。
  7. 粘接着剤層を形成する工程と、
    黒色顔料と塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含有するマスターバッチに、更に塩化ビニル系樹脂を混合して黒色樹脂組成物を得る工程と、
    前記黒色樹脂組成物を前記粘接着剤層上に積層し、ベースフィルム層を形成する工程と、
    前記ベースフィルム層上に塩化ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂を含有する樹脂組成物を積層し、表面フィルム層を形成する工程とを有し、
    前記マスターバッチ全体に対する、前記黒色顔料の含有量は、20〜25重量%であり、
    前記黒色樹脂組成物における前記黒色顔料の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上、10重量部以下であり、
    前記ベースフィルム層の厚さは、100μm以上、300μm以下であり、
    前記表面フィルム層の全光線透過率は、80%以上であり、
    前記ベースフィルム層の厚さに対する前記表面フィルム層の厚さの比は、0.3以上、1.0以下であることを特徴とする漆黒調加飾フィルムの製造方法。
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