実施の形態に係る動物用トイレの構成例について説明する。ただし、本発明は本実施の形態に限定されるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜変更等が可能である。動物用トイレの対象となるペットとしては、特に制限はないが、犬や猫のような主に室内で飼育される動物が挙げられる。
図1〜図2は、実施の形態に係る動物用トイレ1の構成例を示している。このうち、図1は動物用トイレ1の平面図であり、図2は動物用トイレ1の分解斜視図である。動物用トイレ1は、互いに直交する縦方向Lと横方向Wと厚さ方向Tとを有し、横方向Wの中心を通り縦方向Lに延びる中心軸線CLと、縦方向Lの中心を通り横方向Wに延びる中心軸線CWとを有する。中心軸線CLに向かう方向及び遠ざかる方向を、それぞれ横方向Wの内側の方向及び外側の方向とする。中心軸線CWに向かう方向及び遠ざかる方向を、それぞれ縦方向Lの内側の方向及び外側の方向とする。また、縦方向Lと横方向Wとを含む平面に平行な方向を平面方向ともいう。ここでは、縦方向Lの一方を前方又は前側、他方を後方又は後側ともいい、横方向Wの一方を左方又は左側、他方を右方又は右側ともいい、厚さ方向Tの一方を上方又は上側、他方を下方又は下側ともいう。平面視とは、厚さ方向Tに上方から見ることをいう。そして、上記各定義は、動物用トイレ1の各構成や、動物用トイレ1に載置された吸収シート2に共通に用いるものとする。
動物用トイレ1は、少なくとも液透過性部材20を備える。動物用トイレ1は、ペットの排泄物を吸収する吸収シート2の上面にその液透過性部材20が載置された状態で用いられる。動物用トイレ1は、本実施の形態では、更に、土台部材10と、保持部材30とを備える。動物用トイレ1は、吸収シート2が土台部材10上に載置され、液透過性部材20が吸収シート2上に載置され、保持部材30が液透過性部材20の周縁部を保持しつつ、土台部材10上に載置された状態で用いられる。動物用トイレ1(土台部材10)の大きさについては、特に制限はないが、例えば30cm×30cm〜100cm×100cmの大きさが挙げられる。
吸収シート2は、表面シート3と、裏面シート5と、吸収体(吸収部)4と、を備える。表面シート3は、液透過性のシートであり、例えば不織布や多孔フィルムである。裏面シート5は、液不透過性のシートであり、例えばフィルムである。吸収体4は、表面シート3と裏面シート5との間に配置された吸液性を有する部材であり、例えばパルプや吸水性ポリマーやこれらの組み合わせが挙げられ、パルプと吸水性ポリマーの両方を含むことが好ましい。吸収体4と表面シート3との間に他のシート、例えば着色、抗菌又は拡散用のシートを含んでもよく、吸収体4が吸収コアとコアラップから構成されてもよい。ペットが排泄した排泄物(尿)は、表面シート3を通して吸収体4に吸収、保持される。表面シート3及び裏面シート5は、平面視で、互いにほぼ同一の略正方形を有する。吸収体4は、平面視で、略正方形の表面シート3及び裏面シート5に対応して、それらよりも小さな略正方形を有し、表面シート3及び裏面シート5の中央の部分に配置されている。表面シート3と裏面シート5とは、吸収体4が存在しない外周縁の部分において相互に重ね合わされ、接合されている。それにより、吸収シート2の外周縁の部分にはフラップ部6が形成されている。
土台部材10は、吸収シート2、液透過性部材20及び保持部材30が載置される部材であり、例えば室内の床面や棚や室外の地面などに載置される。土台部材10は、平面方向に拡がる略正方形の薄板形状を有する。土台部材10は、一体に形成された載置部12と、外壁部11とを備える。別の実施の形態では、載置部12と外壁部11とは別体に形成され、接着等で一体に形成されてもよい。
載置部12は、平面視で土台部材10の略中央に位置しており、略正方形の形状を有する。載置部12は、吸収シート2や液透過性部材20や保持部材30や檻又は柵(図示されず)等が載置される部分である。載置部12の大きさについては、特に制限はないが、例えば28cm×28cm〜95cm×95cmの大きさが挙げられる。
外壁部11は、平面視で載置部12の周りを囲むように、載置部12の外縁から厚さ方向Tの上方に、平面方向に対して略垂直に起立して設けられている。外壁部11は、載置部12に排泄された排泄物が動物用トイレ1の外側へ漏えいすることを抑制する部分である。別の実施の形態では、外壁部11は、載置部12の外縁から厚さ方向Tの上方に、平面方向に対して傾いた状態で起立して設けられてもよい。動物用トイレ1の載置部12に檻又は柵(図示されず)が配置される場合には、外壁部11は、載置される檻又は柵(図示されず)が動物用トイレ1からはみ出さないように外側への動きを遮る。
載置部12は、中央部13と、延出部14と、防漏壁部15とを含んでいる。
中央部13は、平面視で載置部12の略中央であるが、縦方向Lの一方側(例えば後方側)及び横方向Wの一方側(例えば右方側)に若干ずれた箇所に位置しており、略正方形で平坦な形状を有する。中央部13には吸収シート2の少なくとも吸収体4が配置される。それにより、中央部13は、ペットの排泄物が排泄される領域(排尿領域)となる。中央部13の大きさについては、特に制限はないが、例えば20cm×20cm〜60cm×60cmの大きさが挙げられる。
延出部14は、平面視で載置部12の周縁部に位置し、中央部13の周りを囲み、平坦な形状を有する。延出部14は、液透過性部材20や保持部材30が載置される領域であり、中央部13から排泄物が漏れたとしても、動物用トイレ1の外へ漏れ出さないように溜める領域でもある。中央部13の厚さ方向Tの高さと延出部14の厚さ方向Tの高さとは同じである。
防漏壁部15は、平面視で中央部13と延出部14との間において中央部13の周りを囲み、中央部13及び延出部14の表面から厚さ方向Tの上方に略垂直に起立した壁状の形状を有する。したがって、延出部14は、載置部12において防漏壁部15の外側(外壁部11側)に延出した部分ということができる。防漏壁部15は、中央部13に排泄された排泄物が延出部14へ漏えいすることを抑制する。
更に、防漏壁部15は、中央部13に略正方形の吸収シート2が配置されたとき、吸収シート2の四隅に対応する部分、すなわち防漏壁部15の四隅に、防漏壁部15の配置されていない箇所、すなわち防漏壁部非配置部17を有する。それにより、吸収シート2の四隅に皺を生じさせずに吸収シート2を中央部13に配置できる。別の実施の形態では、防漏壁部15は、防漏壁部非配置部を有さず、したがって連続的な略四角形の環状の形状を有してもよい。よって中央部13の排泄物を延出部14への漏えいをより抑制できる。
延出部14は、防漏壁部15と接する側に、防漏壁部15の周囲を囲むように堤状に形成された堤部16を含む。堤部16の厚さ方向Tの高さは、中央部13及び延出部14の他の部分の厚さ方向Tの高さよりも高く、すなわち延出部14の他の部分から厚さ方向Tの上方に盛り上がっている。ただし、堤部16の厚さ方向Tの高さは、防漏壁部15の厚さ方向Tの高さよりも低い。堤部16は、中央部13に排泄された排泄物が防漏壁部非配置部17から延出部14へ漏れることを抑制する。別の実施の形態では、延出部14は、堤部16を含まなくてもよい。
液透過性部材20は、ペットの排泄物を吸収シート2へ通過させつつ、ペットが吸収シート2をいたずらすることや、ペットの足裏が吸収シート2表面の排泄物で濡れたりすること等を抑制する部材である。液透過性部材20は、平面視で中央部13及び防漏壁部15を覆うように形成され、略正方形の形状を有する。液透過性部材20は、動物用トイレ1の使用時には、吸収シート2の少なくとも吸収体4における厚さ方向Tの上面に載置されて少なくとも吸収体4を覆う。ただし、物を「覆う」とは、厚さ方向Tの上方から見て物が視認できない状態をいう(以下、同様である)。別の実施の形態では、液透過性部材20は少なくとも中央部13を覆えばよく、中央部13から延出部14の少なくとも一部までを覆ってもよい。
液透過性部材20は、吸収シート2の膨張に伴う、吸収シート2における上面の厚さ方向Tの上方への移動に応じて、厚さ方向Tの上方に移動可能に構成されている。液透過性部材20を上方に移動可能にする構成(移動機構)については後述される。液透過性部材20は、厚さ方向Tの上側のメッシュ部材20Aと、下側の通液フィルタ20Bと、を含んでいる。
通液フィルタ20Bは、平面視で中央部13、すなわち載置部12に載置された吸収シート2における主に中央部13上の吸収体4を覆うように形成され、中央部13よりも一回り小さい略正方形の形状を有する。通液フィルタ20Bは、メッシュ部材20Aを介して上面側から流入する排泄物を下面側の吸収シート2の吸収体4へ向けて流通させると共に、排泄物の吸収や消臭が可能である。通液フィルタ20Bは、厚さ方向Tに貫通する多数の孔(又は隙間、開口部など)を備えるコルゲート構造を有するフィルタである。通液フィルタ20Bの平面視での開口率としては、例えば50〜90%が挙げられる。吸収シート2が排泄物を多量に吸収して吸収速度が低下したり、リウェットしたりして、吸収シート2の上面に排泄物が一時的残ったとしても、排泄物が通液フィルタ20Bを超えてメッシュ部材20Aに到達することを抑制でき、排泄物がメッシュ部材20Aに溜まる等により臭気が生じることを抑制できる。通液フィルタ20Bの大きさについては、特に制限はないが、例えば19cm×19cm〜58cm×58cmの大きさが挙げられる。別の実施の形態では、通液フィルタ20Bは、厚さ方向Tに貫通する多数の孔(又は隙間、開口部など)を有する、コルゲート構造以外の構造を有してもよい。
メッシュ部材20Aは、平面視で中央部13及び防漏壁部15、すなわち通液フィルタ20B及び通液フィルタ20Bの外側に延出した吸収シート2の外周縁の部分の一部、を覆うように形成され、防漏壁部15よりも一回り大きい略正方形の形状を有する。メッシュ部材20Aは、ペットが排泄した排泄物を溜めることなく、厚さ方向Tの下方の通液フィルタ20Bへ流通させる。メッシュ部材20Aの大きさについては、特に制限はないが、例えば22cm×22cm〜66cm×66cmの大きさが挙げられる。メッシュ部材20Aは、一体に形成されたメッシュ部26と、枠部21と、側面部22と、を含んでいる。別の実施の形態では、メッシュ部26と枠部21と側面部22とは別体に形成され、接着等で一体に形成されてもよい。
メッシュ部26は、平面方向に拡がり、平坦な略正方形の形状を有する。メッシュ部26は、上面に排泄物が溜まらないように液透過性を有する。具体的には、メッシュ部26は、厚さ方向Tに貫通する複数の開口部(又は隙間、孔など)25を備えるハニカム構造を有する。開口率としては、例えば50〜90%が挙げられる。別の実施の形態では、メッシュ部26は、厚さ方向Tに貫通する複数の開口部(又は隙間、孔など)を有する、ハニカム構造以外の構造を有してもよい。
枠部21は、平面方向に拡がり、平坦な枠状の形状を有する。枠部21は、平面方向における枠の内側にメッシュ部26を保持している。枠部21は、略正方形のメッシュ部26における縦方向L及び横方向Wに延びる各辺に対応する、縦方向L及び横方向Wに延びる各辺の部分、すなわち枠部21における縦方向Lに延びる(横方向W両側の)右辺部分21−1及び左辺部分21−3、横方向Wに延びる(縦方向L両側の)後辺部分21−2及び前辺部分21−4を有する。各辺の部分では、それぞれ縦方向L及び横方向Wの略中央に、移動制限部23が設けられている。枠部21の各辺の部分の移動制限部23は、それぞれ各辺の部分に沿って、二個並んで設けられている。移動制限部23は平面視で円形の開口部であり、開口部の大きさの範囲で別体の凸部などを挿入可能である。別の実施の形態では、移動制限部23は枠部21の各辺の部分の各々に一個又は三個以上設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。
側面部22は、枠部21の外周縁から厚さ方向Tに略垂直に下方に延び、平坦な枠状の形状を有する。側面部22は、厚さ方向Tの上端における枠の内側に枠部21を保持している。枠部21における各辺の部分に対応する、側面部22における縦方向L及び横方向Wに延びる各辺の部分には、移動制限部24が設けられている。具体的には、側面部22における縦方向Lに延びる(横方向W両側の)各辺の部分では、それぞれ縦方向Lの略両端部において、それぞれ横方向Wの外側に張り出すように移動制限部24が設けられている。同様に、側面部22における横方向Wに延びる(縦方向L両側の)各辺の部分では、それぞれ横方向Wの略両端部において、それぞれ縦方向Lの外側に張り出すように移動制限部24が設けられている。側面部22の各辺の部分の移動制限部24は、各辺の部分に沿って延びる棒状の部材である。移動制限部24の両端部は、内側(メッシュ部26側)の側面部22の各辺の部分に接合されている。移動制限部24は、厚さ方向Tの厚さが側面部22よりも小さく、厚さ方向Tの上面が、側面部22の厚さ方向Tの上面と同一の高さに位置している。このとき、側面部22の各辺の部分の各々における両端部の移動制限部24を別体の凹部などで保持することで、メッシュ部材20Aを保持することができる。別の実施の形態では、移動制限部24は側面部22の各辺の部分の各々に一個又は三個以上設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。
保持部材30は、液透過性部材20をその周縁部で保持する枠状の部材であり、略中央には開口部39を有する。保持部材30の枠は、平面視で、液透過性部材20の周縁部及び載置部12の中央部13の周縁部を覆うように形成され、液透過性部材20よりも一回り大きい略正方形の枠状の形状を有する。開口部39は、ペットが排泄物を排泄する領域、すなわち吸収シート2の吸収体4の載置される領域に対応している。言い換えると、開口部39は、平面視で中央部13、通液フィルタ20B及びメッシュ部26と概ね重なる位置に設けられている。保持部材30の大きさについては、特に制限はないが、例えば27cm×27cm〜90cm×90cmの大きさが挙げられる。保持部材30は、一体に形成された枠部31と側面部32とを含んでいる。別の実施の形態では、枠部31と側面部32とは別体に形成され、接着等で一体に形成されてもよい。
枠部31は、平面方向の内側に開口部39を有する枠状の形状を有し、枠の内側(開口部39側)に向かうに連れて、厚さ方向Tの高さが低くなるように傾斜している。開口部39は、平面視で保持部材30の略中央であるが、縦方向Lの一方側(例えば後側)及び横方向Wの一方側(例えば右側)に若干ずれた箇所に位置しており、略正方形の形状を有する。そのため、図2における枠部31の各辺の部分、すなわち枠部31における横方向Wの右辺部分31−1及び左辺部分31−3、縦方向Lの後辺部分31−2及び前辺部分31−4において、幅の狭い右辺部分31−1及び後辺部分31−2と、幅の広い左辺部分31−3及び前辺部分31−4とが存在することになる。ただし、右辺部分31−1及び後辺部分31−2と、左辺部分31−3及び前辺部分31−4とは、それらの幅が狭い/広いという相違以外は、いずれも構造が同じである。別の実施の形態では、開口部39は、平面視で保持部材30の中央であって、縦方向L及び横方向Wにずれていない箇所に位置してもよく、すなわち右辺部分31−1、左辺部分31−3、後辺部分31−2及び前辺部分31−4とは、幅が同じでも良い。
側面部32は、枠部21の外周縁から厚さ方向Tに略垂直に下方に延び、平坦な枠状の形状を有する。側面部32は、厚さ方向Tの上端における枠の内側に枠部31を保持している。枠部31の外周を覆う側面部32の角部は丸みを帯びており、厚さ方向Tの下方に開口部が形成されている。側面部32は角部に開口部33を備えており、載置部12に載置された吸収シート2の角部を開口部33から指で引っ張ることにより、吸収シート2の位置の調整が可能である。
図3は動物用トイレ1の保持部材30を裏側から見た斜視図である。保持部材30は、枠部31の裏側、すなわち厚さ方向Tの下側に、枠部31及び側面部32に接し、枠部31の側面部32側の端縁から開口部39側の端縁に亘って延設された複数の第1のリブ34及び複数の第2のリブ35を更に備える。
枠部31の各辺の部分(右辺部分31−1、後辺部分31−2、左辺部分31−3及び前辺部分31−4の各々)の両端部に一つずつ第1のリブ34が設けられ、両端部の第1のリブ34の間に二つの第2のリブ35が設けられている。別の実施の形態では、枠部31の各辺の部分の一箇所又は三か所以上に第1のリブ34が設けられてもよいし、又は第1のリブ34が設けられなくてもよい。更に別の実施の形態では、枠部31の各辺の部分の一か所又は三か所以上に第2のリブ35が設けられてもよいし、又は第2のリブ35が設けられなくてもよい。なお、保持部材30では、右辺部分31−1及び後辺部分31−2と左辺部分31−3及び前辺部分31−4とは、それらの幅の相違以外はいずれも構造が同じであるから、各辺の部分における第1のリブ34及び第2のリブ35も、各辺の部分の幅に対応する寸法の相違以外はいずれも構造は同じである。
第1のリブ34及び第2のリブ35は、いずれも枠部31における側面部32側の端から反対側の端まで、枠部31を厚さ方向Tの下側から保持するように延設されている。第1のリブ34及び第2のリブ35は、いずれも枠部31及び側面部32と一体に形成されている。別の実施の形態では、第1のリブ34及び第2のリブ35は、枠部31及び/又は側面部32とは別体に形成され、接着等で一体に形成されてもよい。
第1のリブ34は、本体部343と内側延出部341とを備える。本体部343は、側面部32側の部分であり、枠部31及び側面部32に接するように形成されている。本体部343の厚さ方向Tの厚さは概ね側面部32と同じである。本体部343には、開口部39側へ突出する突起部342が形成されている。内側延出部341は、開口部39側の部分であり、枠部31に接し、本体部343の開口部39側の部分から開口部39へ向かって延出するように形成されている。内側延出部341の厚さ方向Tの厚さは本体部343よりも小さい。本体部343には、横方向Wの内側へ突出する突起部342が形成されている。内側延出部341と本体部343と突起部342とにより凹部が形成される。
第2のリブ35は、本体部353と内側延出部351とを備える。本体部353は、側面部32側の部分であり、枠部31及び側面部32に接するように形成されている。本体部353の厚さ方向Tの厚さは概ね側面部32と同じである。内側延出部351は、開口部39側の部分であり、枠部31に接し、本体部353の開口部39側の部分から開口部39へ向かって延出するように形成されている。内側延出部351の厚さ方向Tの厚さは本体部343よりも小さい。内側延出部351には、厚さ方向Tの下方へ凸状に突出する突出部352が形成されている。
本実施の形態では、土台部材10の各部、吸収シート2の各部、液透過性部材20の各部及び保持部材30の各部は、略正方形の平面形状を有し、よって互いに同じ平面形状(相似形を含む)を有する。別の本実施の形態では、土台部材10の各部、吸収シート2の各部、液透過性部材20の各部及び保持部材30の各部は、円形、楕円形、多角形又はこれらの組み合わせの平面形状を有してもよいし、互いに同じ平面形状(相似形を含む)を有さなくてもよい。ただし、中央部13、防漏壁部15、吸収シート2及び液透過性部材20は、順次積層されて、互いに覆い覆われる関係にあるので、互いに概ね同じ平面形状(相似形を含む)を有することが好ましい。
土台部材10、液透過性部材20及び保持部材30の形成に用いられる材料は、特に制限はなく、樹脂材料、あるいは、金属でもよい。通液フィルタ20Bについては、上記の他にパルプが挙げられる。また、土台部材10、液透過性部材20、保持部材30の形成方法は、特に制限はないが、例えば、材料が樹脂材料である場合には、射出成形やブロー成形が挙げられる。材料が樹脂材料以外の材料を含む場合には、資材から部材を切り出して、部材同士を接着剤等で接着する方法や溶等により接合する方法が挙げられる。
次に、土台部材10、(未使用又は膨潤していない)吸収シート2、液透過性部材20及び保持部材30を積層した状態、すなわち未使用又は膨潤していない吸収シート2が配置された図1の状態の動物用トイレ1について説明する。ただし、動物用トイレ1において、保持部材30の各辺(四辺)の部分に対応する、土台部材10、液透過性部材20及び保持部材30の部分を、動物用トイレ1の各辺(四辺)の部分とする。そして、動物用トイレ1の各辺の部分は、保持部材30の各辺の部分の幅が相違すること、それら各辺の部分に対応する延出部14の幅が相違すること、及び縦方向L又は横方向Wの向きが相違すること以外は、いずれも構造が同じである。したがって、以下では、動物用トイレ1の各辺の部分のうち、保持部材30の幅の狭い右辺部分31−1に対応する部分について、その積層状態を説明する。図4〜図6は図1の動物用トイレ1の断面図である。ただし、図4、図5及び図6はそれぞれ図1の動物用トイレ1のIV−IV、V−V及びVI−VIに沿った断面図である。
図4は、図1の動物用トイレ1における第2のリブ35に沿った断面図である。
土台部材10において、防漏壁部15は、中央部13によりも厚さ方向Tの上方にある、すなわち高い位置にある頂部15bと、防漏壁部15の起立の基点となる、頂部15bよりも中央部13側の内側基部15a、及び、頂部15bよりも延出部14側の外側基部15cとを有する。この場合、横方向Wにおいて、中央部13(全体)における両端縁間の距離、すなわち両側にある防漏壁部15(全体)の内側基部15a間の距離をD101とし、中央部13(全体)の両側にある防漏壁部15の外側基部15c間の距離をD102とすると、D102>D101である。なお、縦方向Lについても同様である。防漏壁部15は、内側基部15a及び外側基部15cから略垂直に起立している。別の実施の形態では、防漏壁部15は、内側基部15aと頂部15bとの間の面が、外側基部15c側に傾斜するように起立してもよく、その場合には、吸収シート2を載置部12に載置するとき、適切な位置に容易に位置決めし易くなる。そのとき、中央部13と防漏壁部15との境界は内側基部15aであり、延出部14と防漏壁部15との境界が外側基部15cである。外側基部15cは、堤部16と防漏壁部15との境界でもある。
土台部材10の載置部12の上面には吸収シート2が載置される。具体的には、吸収シート2が中央部13と、防漏壁部15と、延出部14の少なくとも一部とを覆うように、載置部12の上面に吸収シート2が載置される。この場合、吸収シート2は、吸収体4又はフラップ部6が防漏壁部15の内側基部15a及び頂部15bを含む表面に沿い、更にフラップ部6が防漏壁部15の外側基部15cを含む表面に沿い、外側基部15cを超えて堤部16の表面に延在するように載置される。フラップ部6の外側の端部は、堤部16まで又は堤部16の外側の延出部14まで延在している。この場合、吸収シート2の大きさについては特に制限はないが、吸収体4については例えば20cm×20cm〜60cm×60cmの大きさが挙げられ、フラップ部6を含む吸収シート2全体については例えば26cm×26cm〜80cm×80cmの大きさが挙げられる。なお、堤部16は、横方向Wにおいて側面部22よりも所定の幅だけ外側に延出している。別の実施の形態では、吸収シート2は、フラップ部6の外側の端部が中央部13内部と防漏壁部15の外側基部15cとの間の範囲に存在してもよい。更に別の実施の形態では、吸収シート2は、吸収体4又はフラップ部6が防漏壁部15の内側基部15a、頂部15b及び外側基部15cのいずれかの表面に沿わずに、離れていてもよい。
吸収シート2の上面には液透過性部材20が載置される。具体的には、液透過性部材20の通液フィルタ20Bが吸収シート2の上面に載置される。このとき、通液フィルタ20Bは、平面視で防漏壁部15の内側に位置するので、吸収シート2の上面に直接接触できる。更に、通液フィルタ20Bの上面にはメッシュ部材20Aが載置される。具体的には、メッシュ部材20Aのメッシュ部26は、平面視で、中央部13の周縁部分を除く部分を覆い、メッシュ部材20Aの枠部21は、中央部13の周縁部分、防漏壁部15及び延出部14の堤部16(一部)を覆う。ここで、通液フィルタ20B及び吸収シート2を積層したとき、中央部13を基準とした厚さ方向Tの高さとしては、通液フィルタ20Bの上面の高さが、防漏壁部15の頂部15bの高さ以上となる。したがって、メッシュ部材20Aが通液フィルタ20Bの上面に載置されると、メッシュ部材20Aの下面が防漏壁部の頂部15bに接する(ただし頂部15bに荷重は加わらず)、又は、防漏壁部の頂部15bの上方に離間して、浮いた状態になる。その結果、メッシュ部材20Aの下面が通液フィルタ20Bの上面に直接接触できる。すなわち、メッシュ部材20Aは、防漏壁部15によって、通液フィルタ20Bの上面から上方に離間して、浮いた状態になることはない。よって、液透過性部材20を、吸収シート2上に直接載置され、防漏壁部15に接する(ただし頂部15bに荷重は加わらず)、又は、防漏壁部15から上方に浮いた状態にすることができる。なお、図4は、メッシュ部材20Aが防漏壁部15の頂部15bに接する(ただし頂部15bに荷重は加わらず)例を示している。液透過性部材20Bの材料としては、特制限はないが、不織布やフィルムほどには軟かくないがある程度固いものが用いられる。
この場合、通液フィルタ20Bは、平面視で防漏壁部15の内側に位置する。したがって、横方向Wにおいて、通液フィルタ20B(全体)における両端縁間の距離をD20B1とすると、D20B1≦D101である。また、メッシュ部材20Aは、平面視で中央部13、防漏壁部15及び延出部14の堤部16(一部)を覆う。したがって、横方向Wにおいて、メッシュ部材20A(全体)の両側にある側面部22の内側の表面間の距離をD20A1とし、外側の表面間の距離をD20A2とすると、D20A2>D20A1>D102である。また、メッシュ部材20Aの移動制限部24は、側面部22よりも外側に位置している。したがって、メッシュ部材20A(全体)の両側にある移動制限部24の外側の表面間の距離をD20A3とすると、D20A3>D20A2となる。なお、縦方向Lについても同様である。
土台部材10の延出部14の上面には、液透過性部材20の周縁部の上方を覆う保持部材30が載置される。そのとき、保持部材30の第2のリブ35では、下面が延出部14に接し、内側(開口部39側)の面がメッシュ部材20Aの側面部22と対向する。
保持部材30の第2のリブ35の本体部353は、やや内側(開口部39側)に傾いた略矩形の形状を有する。延出部14に接する底面353bと、底面353bの横方向Wの外縁から厚さ方向Tの上方に延びる外側面32aと、底面353bの横方向Wの内縁から厚さ方向Tの上方に延びる内側面353aと、底面353bに対して厚さ方向Tの反対側の頂面31aと、を有する。ただし、外側面32aは側面部32の外側の表面と共通であり、頂面31aは枠部31の上側の表面と共通である。
内側面353aと底面353bとの交差する部分には、延出部14に対して凹状に窪んだ凹面353cが設けられている。凹面353cは、延出部14から凸状に盛り上がった堤部16に対応する形状、すなわち凸状の堤部16が凹状の凹面353cに入り込むことが可能な形状を有する。吸収シート2のフラップ部6の外側の端部は、これら堤部16と凹面353cとの間に挿入され、挟持される。別の実施の形態では、吸収シート2のフラップ部6の外側の端部は、堤部16と凹面353cとの間に挿入されなくてもよい。
第2のリブ35の内側延出部351は、本体部353の内側面353aの厚さ方向Tの上方の部分から、横方向Wの内側(開口部39側)に略垂直に延出し、先端部が丸みを帯びた略三角形状を有する。内側延出部351は、内側面353aから横方向Wの内側に延びる底面351aを有し、底面351aと厚さ方向Tの反対側の面が頂面31aである。
本体部353の内側面353aは、メッシュ部材20Aの移動制限部24の外側の表面に対向し、近接している。一方、内側延出部351の底面351aは、メッシュ部材20Aの枠部21に対向している。この場合、メッシュ部材20Aの厚さ方向Tの高さが低いときには、内側面353aと移動制限部24とは近接するが接触しないように第2のリブ35が形成されている。すなわち、メッシュ部材20Aが安定しているため、横方向Wの自由度を相対的に高くしている。一方、メッシュ部材20Aの厚さ方向Tの高さが高くなり、枠部21が底面351aに近くなると、内側面353aと移動制限部24とは接触するように第2のリブ35が形成されている。すなわち、メッシュ部材20Aがやや不安定になる可能性があるため、横方向Wの自由度を相対的に低くしている。別の実施の形態では、内側面353aと移動制限部24とは常時接触してもよいし、又は、常時離れていてもよい。
底面351aにおける横方向Wの内側には厚さ方向Tの下方へ突出した突出部352を備える。突出部352は、メッシュ部材20Aの枠部21の移動制限部23の開口部に挿入されるように形成されている。すなわち、移動制限部23と突出部352とは、移動制限部23の開口部の平面方向の断面形状が突出部352の平面方向の断面形状を含み得るように形成されている。そのため、突出部352は、移動制限部23の開口部の内縁に接することなく、開口部に挿入される。そして、メッシュ部材20Aと保持部材30とが相対的に動くとき、移動制限部23の開口部に挿入された突出部352は、平面方向では開口部の範囲のみで移動でき、それよりも外側の範囲には移動できない。したがって、移動制限部23は、メッシュ部材20Aを平面方向に移動可能にしつつ、その移動を開口部で設定される範囲内に保っている(制限している)。
この場合、本体部353の内側面353aは、メッシュ部材20Aの移動制限部24に対向し、近接している。したがって、横方向Wにおいて、保持部材30(全体)では、右辺部分31−1の第2のリブ35における本体部353の内側面353aと、左辺部分31−3の第2のリブ35における本体部353の内側面353aとの距離をD305とすると、D305≧D20A3である。なお、縦方向Lについても同様である。
また、動物用トイレ1の使用開始時の段階では、すなわち吸収シート2が排泄物を吸収していない段階では、内側延出部351の底面351aは、メッシュ部材20A(液透過性部材20)の上面と離間しており、例えば距離d1だけ離れている。したがって、メッシュ部材20A(液透過性部材20)は、第2のリブ35に制限されることなく、厚さ方向Tの上方に移動することができる。
図5は、図1の動物用トイレにおける第1のリブ34に沿った断面である。
上述されたように、土台部材10の上面には吸収シート2が載置される。吸収シート2の上面には液透過性部材20が載置される。すなわち液透過性部材20の通液フィルタ20Bが吸収シート2の上面に直接載置され、通液フィルタ20Bの上面にはメッシュ部材20Aが直接載置される。それにより、メッシュ部材20A、延いては液透過性部材20は、防漏壁部15に接する(ただし頂部15bに荷重は加わらず)、又は、上方に浮いた状態になる。なお、図5は、メッシュ部材20Aが防漏壁部15の頂部15bに接する(ただし頂部15bに荷重は加わらず)例を示している。
土台部材10の延出部14の上面には、液透過性部材20の周縁部の上方を覆う保持部材30が載置される。そのとき、保持部材30の第1のリブ34では、下面が延出部14に接し、内側(開口部39側)の面がメッシュ部材20Aの側面部22の移動制限部24と対向することになる。
保持部材30の第1のリブ34の本体部343は、やや内側(開口部39側)に傾いた略矩形の形状を有する。本体部343は、延出部14に接する底面343bと、底面343bの横方向Wの外縁から厚さ方向Tの上方に延びる外側面32aと、底面343bの横方向Wの内縁から厚さ方向Tの上方に延びる内側面343aと、底面343bに対して厚さ方向Tの反対側の頂面31aと、を有する。ただし、外側面32aは側面部32の外側の表面と共通であり、頂面31aは枠部31の上側の表面と共通である。
内側面343aと底面343bとの交差する部分には、延出部14に対して凹状に窪んだ凹面343cが設けられている。凹面343cは、延出部14から凸状に盛り上がった堤部16に対応する形状、すなわち凸状の堤部16が凹状の凹面343cに入り込むことが可能な形状を有する。吸収シート2のフラップ部6の外側の端部は、これら堤部16と凹面343cとの間に挿入され、挟持される。別の実施の形態では、吸収シート2のフラップ部6の外側の端部は、堤部16と凹面343cとの間に挿入されなくてもよい。
第1のリブ34の内側延出部341は、本体部343の内側面343aの厚さ方向Tの上方の部分から、横方向Wの内側(開口部39側)に略垂直に延出し、先端部が丸みを帯びた略三角形状を有する。内側延出部341は、内側面343aから横方向Wの内側に延びる底面341aを有し、底面341aと厚さ方向Tの反対側の面が頂面31aである。
本体部343の内側面343aは、メッシュ部材20Aの移動制限部24の外側の表面に対向し、近接している。一方、内側延出部341の底面341aは、メッシュ部材20Aの枠部21に対向している。この場合、メッシュ部材20Aの厚さ方向Tの高さが低いときには、内側面343aと移動制限部24とは近接するが接触しないように第1のリブ34が形成されている。すなわち、メッシュ部材20Aが安定しているため、横方向Wの自由度を相対的に高くしている。一方、メッシュ部材20Aの厚さ方向Tの高さが高くなり、枠部21が底面341aに近くなると、内側面343aと移動制限部24とは接触するように第1のリブ34が形成されている。すなわち、メッシュ部材20Aがやや不安定になる可能性があるため、横方向Wの自由度を相対的に低くしている。別の実施の形態では、内側面343aと移動制限部24とは常時接触してもよいし、又は、常時離れていてもよい。
内側面343aにおける厚さ方向Tの下側には横方向Wの内側へ突出した突起部342を備える。内側延出部341の底面341aと内側面343aと突起部342の上面とにより、側面部32側に向かって窪んだ凹部344が形成されている。凹部344には、メッシュ部材20Aの移動制限部24が入り込んでいる。したがって、例えば、保持部材30が上方に持ち上げられた場合には、メッシュ部材20Aは第1のリブ34の凹部344によって保持されて、保持部材30と共に持ち上げられることになる。凹部344に移動制限部24が入り込んでいるとき、横方向Wにおいて、凹部344の内側面343aと、移動制限部24の外側の面との間にはある程度の距離があり、すなわち隙間がある。したがって、凹部344に、メッシュ部材20Aの移動制限部24が入り込んだ状態では、移動制限部24は、横方向Wの内側又は外側へ移動可能であるが、その移動は内側面343aとの隙間の範囲に制限される。また、凹部344における厚さ方向Tの突起部342の上面と底面341aとの間の距離は、移動制限部24の厚さ方向Tの厚さと比べて小さい。したがって、凹部344に、メッシュ部材20Aの移動制限部24が入り込んだ状態では、移動制限部24は、厚さ方向Tの上方又は下方へ移動可能であるが、その移動は突起部342の上面と底面341aとの間の範囲に制限される。したがって移動制限部24は、メッシュ部材20Aを厚さ方向T及び横方向Wに移動可能にしつつ、その移動を凹部344で設定される範囲内に保っている(制限している)。なお、別の実施の形態では、移動制限部24を有さず、メッシュ部材20Aの端部(側面部22を含む)が凹部344に入り込んでもよい。この場合、メッシュ部材20Aの端部が移動制限部24として機能する。
この場合、凹部344には、メッシュ部材20Aの移動制限部24が入り込んでいる。したがって、横方向Wにおいて、保持部材30(全体)では、右辺部分31−1の第1のリブ34における本体部353の突起部342の先端と、左辺部分31−3の第1のリブ34における突起部342の先端との距離をD3041とすると、D3041<D20A3である。また、本体部353の内側面353aは、メッシュ部材20Aの移動制限部24に対向し、近接している。したがって、横方向Wにおいて、右辺部分31−1の第1のリブ34における本体部353の内側面343aと、左辺部分31−3の第1のリブ34における内側面343aとの距離をD3042とすると、D3042(=D305)>D20A3>D3041である。なお、縦方向Lについても同様である。
また、動物用トイレ1の使用開始時の段階では、すなわち吸収シート2が排泄物を吸収していない段階では、内側延出部341の底面341aは、メッシュ部材20A(液透過性部材20)の上面と離間しており、例えば距離d1だけ離れている。したがって、メッシュ部材20A(液透過性部材20)は、第1のリブ34に制限されることなく、厚さ方向Tの上方に移動することができる。
図6は、図1の動物用トイレにおけるリブの無い箇所の断面である。
上述されたように、土台部材10の上面には吸収シート2が載置される。吸収シート2の上面には液透過性部材20が載置される。すなわち液透過性部材20の通液フィルタ20Bが吸収シート2の上面に直接載置され、通液フィルタ20Bの上面にはメッシュ部材20Aが直接載置される。それにより、メッシュ部材20A、延いては液透過性部材20は、防漏壁部15に接する(ただし頂部15bに荷重は加わらず)、又は、上方に浮いた状態になる。土台部材10の延出部14の上面には、液透過性部材20の周縁部の上方を覆う保持部材30が載置される。
土台部材10の延出部14の上面には、保持部材30の側面部32が載置されており、側面部32により略横方向Wに保持された保持部材30の枠部31が液透過性部材20の周縁部の上方を覆っている。枠部31の裏面31b及び側面部32の裏面32bは、それぞれ厚さ方向T及び横方向Wに液透過性部材20から離間している。
また、使用開始時の段階では、すなわち吸収シート2が排泄物を吸収していない段階では、枠部31における横方向Wの内側の先端部分は、メッシュ部材20A(液透過性部材20)の上面と離間しており、例えば距離d1だけ離れている。したがって、メッシュ部材20A(液透過性部材20)は、厚さ方向Tの上方に移動することができる。
次に、動物用トイレ1の作用について説明する。
上述の図4〜図5は、吸収シート2が膨潤する前の場合での動物用トイレ1の断面図である。一方、図7〜図8は、吸収シート2が膨潤したときの動物用トイレ1の断面図である。ただし、図7、図8はそれぞれ図1の動物用トイレ1のIV−IV及びV−Vに沿った断面図である。以下では、動物用トイレ1の各辺の部分のうち、保持部材30の幅の狭い右辺部分31−1に対応する部分について、動物用トイレ1の作用を説明する。
図4及び図5に示すように、吸収シート2が排泄物を吸収しておらず、膨潤する前の段階、すなわち動物用トイレ1の使用開始時の段階では、メッシュ部材20A(液透過性部材20)の上面は、内側延出部351の底面351aと離間している(距離d1)。このとき、メッシュ部材20Aは防漏壁部15の頂部15bに接していて頂部15bに荷重は加わらず(又は浮いていて)、したがって吸収シート2の上面に通液フィルタ20Bの下面が直接接触し、通液フィルタ20Bの上面がメッシュ部材20Aの下面に直接接触している。すなわち、液透過性部材20の下面が吸収シート2の上面に直接接触している。
この状態において、ペットが排泄物を液透過性部材20の上面に排泄した場合には、ペットの排泄物は、メッシュ部材20A及び通液フィルタ20Bを介して吸収シート2に吸収される。そのとき、メッシュ部材20Aの下面が通液フィルタ20Bの上面から離れておらず、通液フィルタ20Bの下面が吸収シート2の上面から離れていないので、排泄物がメッシュ部材20Aや通液フィルタ20Bの下面に残存して、臭気が生じることを抑制できる。また、メッシュ部材20Aの移動制限部24の下側の表面は、突起部342の上面と接しているか、又は、突起部342の上面よりも近接しつつ上方に離間している。そのため、ペットがメッシュ部材20Aに乗るなどの理由でメッシュ部材20Aが下方に沈んでも、突起部342の上面の高さ以下には下がることはない。したがって、ペットがメッシュ部材20Aに乗ったときでも、メッシュ部材20Aが吸収シート2の膨張を阻害することはない。更に、突起部342が無い場合でも、ペットが押圧するメッシュ部材20Aの領域は狭いので、ペットが押圧するメッシュ部材20Aの領域以外の領域で排泄物を吸収できるので問題はない。
また、土台部材10及び保持部材30は、液透過性部材20を固定していない。すなわち、土台部材10は、液透過性部材20を、吸収シート2を介して下方から支持している。しかし、液透過性部材20は平面方向及び厚さ方向Tの上方への移動は可能である。また、保持部材30における第2のリブ35の突出部352は、液透過性部材20の移動制限部23の開口部に挿入されている。しかし、液透過性部材20は、平面方向では開口部の範囲で移動可能であり、厚さ方向Tの上方への移動は底面351aまでの範囲で可能である。更に、保持部材30における第1のリブ34の凹部344は、液透過性部材20の移動制限部24が挿入されている。しかし、液透過性部材20は、平面方向では内側面343aとの隙間の範囲で移動可能であり、厚さ方向Tの上方への移動は底面341aまでの範囲で可能である。
この状態において、ペットが排泄物を排泄する回数が増えるに伴い、吸収シート2が吸収する排泄物の量が増加すると、吸収シート2内のパルプや吸水性ポリマーが膨潤して、吸収シート2の厚さ方向Tの厚みが厚くなってくる。それに伴い、吸収シート2により、液透過性部材20(メッシュ部材20A及び通液フィルタ20B)を厚さ方向Tの上方へ持ち上げようとする力が生じる。このとき、図7及び図8に示すように、液透過性部材20が固定されていないため、厚さ方向Tの上方へ移動することができる。例えば、底面351aとメッシュ部材20Aの上面との距離はd1(図4)からd2に縮まり(図7)、底面341aとメッシュ部材20Aの上面との距離はd1(図5)からd2に縮まる(図8)。その結果、液透過性部材20により吸収シート2の膨潤が制限されて吸収シート2の吸収阻害が生じる、という事態を抑制できる。言い換えると、吸収シート2の膨潤する力を推進力として液透過性部材20を厚さ方向Tの上方へ移動できる。よって、ペットが排泄した排泄物が吸収シート2に吸収され難くなることを抑制でき、吸収されなかった排泄物から臭気が生じたり、吸収されなかった排泄物が吸収シートや液透過性部材の表面を伝って動物用トイレの外側に漏れたりすることを抑制できる。
ここで、第1のリブ34の本体部343の内側面343aは、液透過性部材20の平面方向の移動範囲を適切に制限し、移動を適正にガイドしつつ、吸収シート2における上面の厚さ方向Tの上方への移動に応じ、液透過性部材20を厚さ方向Tの上方に移動可能としている。したがって、側面部32及び第1のリブ34の本体部343(ただし突起部342は含まなくてもよい)は移動機構(以下、第1の移動機構ともいう。)と見ることができる。また、第2のリブ35の本体部353の内側面353aは、液透過性部材20の平面方向の移動範囲を適切に制限し、移動を適正にガイドしつつ、吸収シート2における上面の厚さ方向Tの上方への移動に応じ、液透過性部材20を厚さ方向Tの上方に移動可能としている。したがって、側面部32及び第2のリブ35の本体部353は移動機構(以下、第2の移動機構ともいう。)と見ることができる。言い換えると、これらの第1、第2の移動機構に例示される移動機構とは、吸収シート2の膨潤する力を推進力として、液透過性部材20を適正な方向に、ガイドさせる機構ということができる。このような移動機構を有する場合には、移動機構が無い場合と比較して、吸収シート2の厚さ方向Tの上方において、より適切な位置に、円滑に液透過性部材20を移動させることができる。別の実施の形態では、第1、第2の移動機構の一方が無くてもよい。
本実施の形態では、動物用トイレ1は、液透過性部材20の他に、土台部材10や保持部材30を備えている。別の実施の形態では、動物用トイレ1は、土台部材10を備えなくてもよい。すなわち、床面などに直接載置された吸収シート2の上面に液透過性部材20及び保持部材30を載置してもよい。その場合にも上述された作用を奏することができ、それによりペットが排泄した排泄物が吸収シート2に吸収され難くなることを抑制でき、吸収されなかった排泄物から臭気が生じたり、吸収されなかった排泄物が吸収シートや液透過性部材の表面を伝って動物用トイレの外側に漏れたりする、ことを抑制できる。
本実施の形態では、動物用トイレ1の液透過性部材20は、メッシュ部材20Aの他に通液フィルタ20Bを備える。別の実施の形態では、液透過性部材20は、通液フィルタ20Bを備えなくてもよい。図9は、通液フィルタ20Bを有さない液透過性部材20を備える動物用トイレ1の構成を示す断面図であり、図1のV−Vに沿った断面に対応している。この動物用トイレ1では、液透過性部材20のメッシュ部材20Aが、吸収シート2における厚さ方向Tの上面に載置されて、吸収シート2の膨張に伴う吸収シート2における上面の厚さ方向Tの上方への移動に応じて、厚さ方向Tの上方に移動可能に構成されている。この場合、吸収シート2における厚さ方向Tの厚さを、防漏壁部15における厚さ方向Tの中央部13の表面からの高さ以上とする。それにより、メッシュ部材20Aは、吸収シート2によって、防漏壁部15の頂部15bに接する(ただし頂部15bに荷重は加わらず)、又は、防漏壁部15の頂部15bから上方に離間して、浮いた状態になる。そして、メッシュ部材20Aは、吸収シート2の膨潤する力を推進力として、上方に移動することができる。そのような動物用トイレ1では、通液フィルタ20Bが無いため、ペットの排泄物を液透過性部材20(メッシュ部材20A)から吸収シート2により素早く導いて吸収シート2により容易に吸収できる。それと共に、吸収シート2でのペットの排泄物の吸収量が多いときには、吸収シート2の膨張による厚みの増加に追随して、吸収シート2上に載置された液透過性部材20も上方に移動することができる。それにより、吸収シート2の膨潤が制限され、吸収シート2の吸収阻害が生じることを抑制できる。
本実施の形態では、好ましい態様として、第1のリブ34の凹部344が、移動制限部24を介して、液透過性部材20の移動範囲をより適切に制限し、移動をより適正にガイドしつつ、吸収シート2における上面の厚さ方向Tの上方への移動に応じ、液透過性部材20を厚さ方向Tの上方に移動可能としている。言い換えると、第1の移動機構は、本体部343に加えて、突起部342及び内側延出部341を更に備えている。したがって、動物用トイレ1は、厚さ方向移動保持部としての上記の第1の移動機構を備えている。すなわち、上記の第1の移動機構は、第1のリブ34の凹部344に液透過性部材20の移動制限部24が入り込むことで、液透過性部材20を突起部342よりも下方に落ちないように保持しながら、保持部材30に対して液透過性部材20を厚さ方向Tの上方に移動可能とする厚さ方向移動保持部と見ることができる。そのような動物用トイレ1は、厚さ方向移動保持部を有するので、保持部材30で液透過性部材を保持しつつ、保持部材30自体を上方に移動させずに、液透過性部材20を上方に移動させることができる。それにより、保持部材30上にペットや物が乗ること等の理由により、保持部材30が厚さ方向Tに移動困難な場合があっても、それに影響されずに、液透過性部材20を上方に移動することができる。それにより、吸収シート2の膨潤が制限されたり、吸収シート2の吸収阻害が生じたりすることを抑制できる。
本実施の形態では、好ましい態様として、動物用トイレ1は、平面方向移動保持部としての上記の第1の移動機構(本体部343、突起部342及び内側延出部341を含む)を備えている。すなわち、上記の第1の移動機構は、第1のリブ34の凹部344に液透過性部材20の移動制限部24が入り込むことで、液透過性部材20を突起部342よりも下方に落ちないように保持しながら、保持部材30に対して液透過性部材20を平面方向に移動可能とする平面方向移動保持部と見ることができる。そのような動物用トイレ1は、平面方向移動保持部を有するので、保持部材30で液透過性部材20を保持しつつ、液透過性部材20を、上方及び/又は平面方向に移動させることができる。言い換えると、液透過性部材20は、厚さ方向T及び平面方向の自由度を有するので、部分的に上方へ移動する等、傾きつつ移動することができる。ここで、ペットの排泄が吸収シート2の特定の部分に集中するなどの理由により、吸収シート2が局所的に膨張して、吸収シート2の厚さが局所的に増加することが起こり得る。その場合でも、その吸収シート2の局所的な膨張に応じて、液透過性部材20の膨張箇所に対応する部分を高く、他の部分を低く、すなわち液透過性部材20を傾けつつ上方に移動させることができる。それにより、ペットの排泄物を液透過性部材20に残り難くすると共に、吸収シート2の膨潤が制限され、吸収シート2の吸収阻害が生じることを抑制できる。
本実施の形態では、好ましい態様として、第2のリブ35の突出部352が、移動制限部23を介して、液透過性部材20の移動範囲をより適切に制限し、移動をより適正にガイドしつつ、吸収シート2における上面の厚さ方向Tの上方への移動に応じ、液透過性部材20を厚さ方向Tの上方に移動可能としている。言い換えると、第2の移動機構は、本体部353に加えて、突出部352及び内側延出部351を備えている。そして、動物用トイレ1の移動機構(第1の移動機構(本体部343、突起部342及び内側延出部341を含む)、第2の移動機構(本体部353に加えて、突出部352及び内側延出部351を含む))は、液透過性部材20の周縁部近傍における少なくとも三箇所(例示:第1、第2の移動機構は八箇所)の位置にある。そして、それら移動機構(第1、第2の移動機構)は、それら三箇所の位置が形成する仮想的な三角形の内側に、液透過性部材20の重心の位置が入るような位置に存在している。そのような動物用トイレ1では、液透過性部材20を上方へ移動させる移動機構が、液透過性部材20の周縁部の所定の条件を満たす少なくとも三箇所の位置に存在するので、液透過性部材20の形状を面状に保ち、姿勢を概ね水平に保ちつつ、安定的に上方に移動可能となる。すなわち、液透過性部材20の一部、例えば複数の移動制限部24のうちの一つの移動制限部24が、対応する凹部344に引っ掛かって、部分的に上方に移動できなくなる、という事態を抑制できる。それにより、液透過性部材20の一部が上方に移動できず、その部分に対応する吸収シート2の膨潤が制限され、吸収シート2の吸収阻害が生じる、という事態を抑制できる。
本実施の形態では、好ましい態様として、動物用トイレ1の液透過性部材20は、吸収シート2の側に位置する通液フィルタ20Bを含んでいる。そのため、そのような動物用トイレ1では、吸収シート2が排泄物を多量に吸収して吸収速度が低下したり、リウェットしたりして、吸収シート2の上面に排泄物が一時的に残ったとしても、排泄物が通液フィルタ20Bを超えて液透過性部材20(メッシュ部材20A)の上面に到達することを抑制でき、排泄物が液透過性部材20に溜まる等により臭気が生じることを抑制できる。
本実施の形態では、好ましい態様として、動物用トイレ1の液透過性部材20(のメッシュ部材20A及び/又は通液フィルタ20B)は厚さ方向Tに貫通する複数の開口部を有する。そのため、そのような動物用トイレ1は、液透過性部材20が不織布や開孔フィルムのような部材の場合と比べて、液透過性部材20の通液性を高めることができ、排泄物を、液透過性部材20の複数の開口部を介して吸収シート2側に容易に移行させることができる。それにより臭気をより抑制することができる。
本実施の形態では、好ましい態様として、動物用トイレ1の液透過性部材20の複数の開口部の面積は、吸収シート2の表面シート3が有する複数の開口部の面積よりも大きくしている。そのため、そのような動物用トイレ1は、液透過性部材20での排泄物の透過速度が、表面シート3での排泄物の透過速度よりも速い。したがって、液透過性部材20に律速されることなく、排泄物を、液透過性部材20の表面から吸収シート2の表面に向かって容易に移行できる。そのため、ペットの排泄物を液透過性部材20に、より残り難くすることができ、したがって臭気を、より抑制することができる。
本実施の形態では、好ましい態様として、動物用トイレ1の液透過性部材20はメッシュ部材20Aを含んでいる。図10はメッシュ部材20Aの構成例を部分的に示す断面図である。メッシュ部26における開口部25を囲む部分は、吸収シート2側の面26aが平坦な面である。一方、吸収シート2と反対側の面が、吸収シート2側の面26aに対して傾斜する面26bを含む。そのような動物用トイレ1では、ペットが排泄物をメッシュ部材20A上に排泄したとき、排泄物がメッシュ部材20Aのメッシュ部26における傾斜する面26bの傾きに沿って表面から裏面により向い易くできる。したがって排泄物がメッシュ部材20Aのメッシュ部26の開口部25により落ち込み易くすることができる。更に、動物用トイレ1では、メッシュ部材の裏面が広い面積で部材50(通液フィルタ20B又は吸収シート2)に接しているので、メッシュ部材20Aのメッシュ部26の開口部25に落ち込んだ排泄物を吸収シート2側へより移行し易くすることができる。
本実施の形態では、好ましい態様として、動物用トイレ1の液透過性部材20(例示:メッシュ部材20A)の開口部(例示:開口部25)は、一つの内角が90度を超える多角形(例示:六角形)である。その動物用トイレ1では、開口部25の内角が90度よりも大きいので、排泄物が角の内側の部分に溜まり難くなる。そのため、液透過性部材20に排泄物をより残り難くすることができ、したがって臭気をより抑制することができる。
本実施の形態では、好ましい態様として、動物用トイレ1の液透過性部材20(例示:メッシュ部材20A)の複数の開口部(例示:開口部25)がハニカム構造を有する。その動物用トイレ1では、開口率を高くできるので、液透過性部材20の通液性を高められる。それにより、液透過性部材20に排泄物をより残り難くでき、臭気をより抑制することができる。更に、液透過性部材20の強度を高めることができる。また、ハニカム構造の場合、吸収シート2が膨張したとき、吸収シート2の上面を開口部の内側で上方に盛り上がった状態(膨らんだ状態)にできる。それにより、盛り上がった部分の湿り気により、ペットは排泄物を排泄した箇所を検知し易くなり、ペットに対してその箇所を避けて排泄を行わせることが可能となる。それにより、排泄箇所を分散させることができる。
本実施の形態では、好ましい態様として、吸収シート2が載置部12に載置されたときに、少なくとも防漏壁部を覆うように構成されている。そのため、ペットが動物用トイレ1で複数回、排泄物を排泄し、排泄物が吸収シート2内に吸収され難くなり、吸収シート2の表面を伝って外側へ漏れようとしても、吸収シート2における防漏壁部15に対応する部分に堰き止められるので、吸収シート2の外側に漏れることを抑制できる。ただし、吸収シート2の表面を伝って外側へ漏れようとする排泄物を、吸収シート2における防漏壁部15に対応する部分により堰き止めきれない場合も考えられる。しかし、吸収シート2が更に延出部14の少なくとも一部を覆うように構成されている。そのため、吸収シート2における延出部14に対応する部分において排泄物を保持して、吸収シート2の外側に排泄物が漏れること、延いては動物用トイレ1の延出部14における吸収シート2で覆われていない箇所に排泄物が漏れ出て、動物用トイレ1が汚染されることを抑制できる。
ここで、吸収シート2や中央部13の形状を略正方形とし、吸収体4及び中央部13の大きさを同程度とし、フラップ部6の外縁が延出部14までとする。その場合、吸収体4については例えば20cm×20cm〜60cm×60cmが挙げられ、吸収体4を環状に囲むフラップ部6の幅については例えば3cm〜10cmが挙げられる。フラップ部6の幅と吸収体4の一辺の長さとの比は例えば約0.15〜0.3程度が挙げられる。
本発明の動物用トイレは、上述した各実施の形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組合せや変更等が可能である。すなわち、各実施の形態に記載の各種の技術は互いに矛盾の生じない限り別の実施の形態にも適用可能である。