以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
本発明の第1実施形態に基づくパウチ容器用包材の製造方法、パウチ容器用包材の製造装置およびパウチ容器用包材の中間品について、図1〜図17を参照しつつ以下に説明する。
これらの図において、後述する筒状フィルム1の軸方向すなわち縦シール部20が延びる方向を、x方向と定義する。y方向およびz方向は、x方向に対して直角である方向である。後述するパウチ容器用包材A1が完成するまでの製造工程においては、y方向およびz方向は、主に製造装置の構成要素に依存する方向として定義される。また、パウチ容器用包材A1が完成した以降の説明においては、後述する天シール部23が延びる方向をy方向とする。一方、パウチ容器用包材A1が完成するまでの製造工程においては、U方向およびB方向を便宜上用いる。U方向およびB方向は、パウチ容器用包材A1の中間品である中間品C1に依存する方向である。U方向は、後述する天側偏平部42が延びる方向であり、B方向は、後述する底側偏平部41が延びる方向である。
図1は、本実施形態のパウチ容器用包材の製造装置を示す全体斜視図である。本実施形態のパウチ容器用包材製造装置D1は、第1工程部M1、第2工程部M2、第3工程部M3および後工程部Mpoを備えている。なお、第1工程部M1、第2工程部M2、第3工程部M3および後工程部Mpoは、いずれかの複数の工程部が、それぞれが果たすべき機能が統合された1つの装置部分に集約されていてもよいし、いずれかの一つの工程部が複数の装置部分に分散されていてもよい。
まず、第1工程部M1に用いられる筒状フィルム1を用意する。筒状フィルム1は、たとえば、図2(a)に示すように、帯状フィルム1Aの幅方向両端同士がシールテープ20aによって接合されることにより、筒状とされたものである。
ここで、帯状フィルム1Aは、通常、樹脂フィルムから構成される。該樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性等、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、上記各シール部は、通常、ヒートシールにより形成されるので、シートにはヒートシール性も要求される。シートとしては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好適であり、高いガスバリア性や遮光性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にバリア層を設けることが好適である。なお、ベースフィルム層そのものにバリア性を付与してもよい。この場合は、バリア層をベースフィルム層として用い、バリア層とシーラント層とを有する複層シートとなる。
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、共押出しラミネーション、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーション等により行うことができる。
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)等)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルフォン(PES)等から構成される一層または二層以上の延伸または未延伸フィルムが例示できる。
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層または二層以上の延伸または未延伸フィルムが例示できる。
バリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物等を蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
帯状フィルム1Aには、内容物の商品名や原材料・使用上の注意事項等の商品説明、その他各種デザイン等を表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。例えば、印刷層は、グラビア印刷等の公知の方法により、ベースフィルム層の内側の面に形成できる。なお、上述した帯状フィルム1Aの構成は、後述する筒状フィルム1および主フィルム部10などに継承される。
図2(a)に示された例においては、帯状フィルム1Aは、ベースフィルム層101、シーラント層102、バリア層103および中間層104によって構成されている。ベースフィルム層101が帯状フィルム1Aの最外層を構成しており、シーラント層102が筒状フィルム1の最内層を構成している。バリア層103および中間層104は、ベースフィルム層101とシーラント層102との間に介在している。本例においては、シーラント層102とバリア層103との間に中間層104が配置されている。中間層104は、たとえばベースフィルム層101と同様の材料からなる層である。
シールテープ20aは、通常公知のものが用いられ、例えば、上述したシーラント層と同様の材質からなるフィルムが表裏面を構成する、単層または複層の帯状フィルムである。複層のフィルムである場合は、上述の基材層またはバリア層、あるいはその両方が中心層を構成し、上述のシーラント層が表裏面層を構成する層構成が好適である。また、このとき、帯状フィルム1Aの幅方向端縁は、表裏面のシーラント層同士が接合され、中心層の基材層等の端縁が外部に臨んでいない構成が好適である。
このような帯状フィルム1Aおよびシールテープ20aを用いて、帯状フィルム1Aの両端縁付近とシールテープ20aとを接合することにより、長手方向(軸方向)に延びる縦シール部20(図2(a)参照)を有する筒状フィルム1が得られる。なお、縦シール部20は、シールテープ20aと帯状フィルム1Aの両端縁付近とが接合された構成に限定されず、たとえば、帯状フィルム1Aの両端縁付近同士の内面のシーラント層どうしを合わせた状態(所謂合掌貼り形状)でこれらを接合することにより、シールテープ20aを用いない構成であってもよい。本実施形態においては、図2(a)に示すように、帯状フィルム1Aの両端縁付近同士が互いに重なり合わされた状態でシールテープ20aと接合された場合を例に説明する。また、本実施形態においては、図2(b)に示すように、縦シール部20およびシールテープ20aは、y方向における一方側へと移動させられた場合を例に説明する。同図(b)に示すように、筒状フィルム1は、y方向両端に一対の折り線18を有する平坦な帯状に形成されている。筒状フィルム1は、たとえば図3に示す中間ロール711に巻き取られた状態で、次の工程に送られる。
次いで、第1工程を行う。図3は、第1工程を行うパウチ容器用包材製造装置D1の第1工程部M1を示す斜視図である。まず、中間ロール711から平坦に折り畳まれた帯状の筒状フィルム1を順次送り出す。次いで、カッタ761によって筒状フィルム1をy方向に横断するように切断する。この切断は、x方向に送られる筒状フィルム1に対して、所定ピッチごとに行う。これにより、筒状フィルム1からx方向長さが所定ピッチの長さである部分が切り取られ、中間品C1が得られる。なお、中間品C1は、筒状フィルム1の一部が切り取られたものであり、本発明で言う筒状フィルムの一例に相当するが、以降の説明においては、理解の便宜上、中間品C1として説明する。中間品C1は、x方向一端に一端側開口部410を有する。一端側開口部410は、y方向全幅にわたって開口している部位である。
次いで、天側偏平部42を形成する工程を行う。本実施形態においては、天側偏平維持部762によって中間品C1に天側偏平部42を形成する。天側偏平維持部762は、中間品C1のx方向一方側端部(パウチ容器用包材A1において天側端部となる部分)を偏平な形状に維持することにより、中間品C1に天側偏平部42を形成するものである。本実施形態においては、天側偏平維持部762は、2つのシールピンによって構成されている。これらのシールピンは、中間品C1の所望箇所の一部同士を熱シールにより接合するものである。図示された例においては、2つのシールピンは、y方向に離間しており、筒状フィルム1のy方向両端に位置している。このような2つのシールピンによって構成された天側偏平維持部762は、図4に示すように、2つの天側部分シール部421および天側部分開口部422を含む天側偏平部42を形成する。なお、図示された例においては、天側偏平部42が形成されるx方向における位置は、後述する底側偏平部41が形成される部位よりもx方向他端寄り(図4におけるx方向右端寄り)である。
2つの天側部分シール部421は、中間品C1のy方向両端においてz方向に重なりあう部分同士が熱シールによって接合されたものである。図示された例においては、天側部分シール部421は、中間品C1のy方向両端を含んでいる。天側部分開口部422は、2つの天側部分開口部422の間においてx方向に開口する部分である。2つの天側部分シール部421が形成されることにより、天側偏平部42は、x方向と直角であるy方向に沿って偏平な状態が維持された部位となっている。以降の説明においては、x方向に対して直角であって天側偏平部42が延びる方向を、U方向とする。本実施形態の天側偏平部42においては、2つの天側部分シール部421と天側部分開口部422とがU方向に並んでいる。
天側偏平部42が形成された中間品C1は、次工程である第2工程部M2へと送られる。図3に図示された例においては、第2工程部M2へのスムーズな受け渡しを意図して、スライドステージ763によって中間品C1がy方向にスライドされている。また、図示された例においては、2つの中間品C1を一括してスライドさせている。
次いで、第2工程を行う。第2工程は、図5〜図9に示す第2工程部M2において実施される。第2工程部M2は、一端側支持体77、駆動部772および底側偏平維持部776を具備している。図示された例は、1つの中間品C1に対して第2工程を一括して行う構成であるが、これは一例である。2つ以上の中間品C1に対して第2工程を一括して行ってもよい。
図5は、中間品C1に一端側支持体77を挿入する工程が完了した状態の第2工程部M2を示す斜視図である。図6は、図5のVI−VI線に沿う断面図である。図5および図6に示すように、本実施形態の一端側支持体77は、一対の第1支持ピン771および一対の第2支持ピン779によって構成されている。一対の第1支持ピン771は、各々がx方向を軸方向とする円柱状であり、z方向に離間配置されている。z方向は、本実施形態の第1方向にあたる。一対の第1支持ピン771の表面のうちz方向両側を向く部分が、一対の第1支持面770を構成している。一対の第2支持ピン779は、各々がx方向を軸方向とする円柱状であり、y方向に離間配置されている。y方向は、本実施形態の第2方向にあたる。本実施形態においては、z方向(第1方向)とy方向(第2方向)とは、90度をなしているが、第1方向と第2方向とは、互いに交差する方向であればよい。一対の第2支持ピン779の表面のうちz方向両側を向く部分が、一対の第2支持面778を構成している。第1支持ピン771および第2支持ピン779の材質は特に限定されず、金属、樹脂等を適宜用いることができる。以降においては、第1支持ピン771および第2支持ピン779がステンレスによって形成されている場合を例に説明する。また、第1支持ピン771および第2支持ピン779の形状は特に限定されない。たとえば、第1支持ピン771および第2支持ピン779の先端が曲面によって構成された半球状とされた場合、後述する工程において第1支持ピン771および第2支持ピン779の先端によって意図しない筋状痕が中間品C1に形成されることを回避することができる。また、第1支持ピン771および第2支持ピン779は、単一の材質によって形成されたものに限定されず、たとえば、金属等からなる芯材の表面に、当該芯材よりも摩擦係数が大である樹脂やゴム等によって形成された滑り止め部材が取り付けられた構成であってもよい。
本実施形態においては、一対の第1支持ピン771および一対の第2支持ピン779は、駆動部772に連結されている。駆動部772は、一対の第1支持ピン771をz方向において互いに接近および離間させるとともに、一対の第2支持ピン779をy方向において互いに接近および離間させるものである。駆動部772の具体的構成は特に限定されず、モータ、エアシリンダ等が駆動源として適宜採用される。
図5に示す第2工程部M2(a)においては、第1工程を終えた中間品C1のx方向一端の一端側開口部410から一端側支持体77をx方向に挿入する。一端側支持体77(一対の第1支持ピン771)を中間品C1に挿入する長さは特に限定されないが、後述する中間品C1偏平な形状に変化させる工程を適切に実施可能であれば、挿入深さは短いほうが好ましい。また、一端側支持体77を中間品C1に挿入する際には、駆動部772によって一対の第1支持ピン771のz方向距離を最小とし、一対の第2支持ピン779のy方向距離を図5に示す距離よりも狭めておく。そして、一端側支持体77が中間品C1に挿入された後に、一対の第2支持ピン779の距離を図5に示す距離に広げてもよい。一端側支持体77の挿入が完了した状態においては、中間品C1の一端側開口部410付近の部分が、y方向に広げられている。また、天側部分開口部422が延びる方向であるU方向は、y方向に対して略平行である。
次いで、中間品C1の少なくとも一部を偏平な形状に変化させる工程を行う。図5に示した状態から、図6に示すように、駆動部772によって、一対の第1支持ピン771をz方向に離間させつつ、一対の第2支持ピン779をy方向に接近させる。この際、一対の第1支持面770および一対の第2支持面778に中間品C1の内面が接するように、中間品C1が張力を有する状態を維持することが好ましい。このような状態維持は、たとえば、既知である中間品C1の周長に基いて、一対の第1支持ピン771のz方向距離と一対の第2支持ピン779のy方向距離とを、駆動部772によって同期制御することによって実現可能である。図6は、中間品C1の少なくとも一部を偏平な形状に変化させる工程の途中段階を示している。
図7に示す第2工程部M2(b)は、中間品C1を偏平な形状に変化させる工程が完了した状態を示している。本状態においては、一対の第1支持ピン771がz方向に離間するとともに、一対の第2支持ピン779がy方向において最接近している。これにより、中間品C1のうち一端側開口部410側の部分は、一対の第1支持ピン771(第1支持面770)によってz方向に沿う偏平な形状とされている。一方、中間品C1のz方向他端側である天側偏平部42は、U方向に沿った偏平な形状が維持されている。これにより、一端側開口部410側の部分が沿う方向とU方向とは、90度をなして交差している。
次いで、図8に示す第2工程部M2(c)において、底側偏平維持部776によって中間品C1に底側偏平部41を形成する。底側偏平維持部776は、中間品C1のx方向における天側偏平部42とは反対側の端部(パウチ容器用包材A1において底端部となる部分)を偏平な形状に維持することにより、中間品C1に底側偏平部41を形成するものである。本実施形態においては、底側偏平維持部776は、2つのシールピンによって構成されている。これらのシールピンは、中間品C1の所望箇所の一部同士を熱シールにより接合するものである。図示された例においては、これらのシールピンは、z方向において一対の第2支持ピン779を挟んで配置されており、一対の第1支持ピン771の間に設けられている。このようなシールピンによって構成された底側偏平維持部776は、図9および図10に示すように、2つの底側部分シール部411および3つの底側部分開口部412を含む底側偏平部41を形成する。
2つの底側部分シール部411の各々は、中間品C1のz方向中央においてy方向に重なりあう部分同士が熱シールによって接合されたものである。3つの底側部分開口部412は、底側部分開口部412のB方向両側および2つの底側部分シール部411の間においてx方向に開口する部分である。底側部分シール部411が形成されることにより、底側偏平部41は、z方向に沿って偏平な状態が維持された部位となっている。以降の説明においては、x方向に対して直角であって底側偏平部41が延びる方向を、B方向とする。B方向は、U方向と所定角度をなしており、図示された例においては、B方向とU方向とは、90度をなしている。本実施形態の底側偏平部41においては、2つの底側部分シール部411と3つの底側部分開口部412とがB方向に並んでいる。
次いで、図9に示すように、第2工程部M2(d)において、中間品C1を底側偏平部41側から支持し且つ一端側支持体77から離脱させる。具体的には、他端側支持体781によって、中間品C1の天側偏平部42をそれぞれ支持する。他端側支持体781は、たとえば偏平な天側偏平部42を挟むことにより、中間品C1を支持する。そして、他端側支持体781を一端側支持体77から離間させることにより、中間品C1を一端側支持体77から離脱させる。
次いで、第3工程を行う。第3工程は、図11に示す第3工程部M3によって実施する。図示された例においては、1つの中間品C1ごとに第3工程を行う構成とされているが、これは一例であり、2つ以上の中間品C1に対して第3工程を一括して行う構成としてもよい。
図11(a)においては、中間品C1の天側偏平部42側部分が他端側支持体781によって支持されている。図示された例においては、底側偏平部41が延びる方向であるB方向がy方向と一致する姿勢とされている。この場合、z方向視において中間品C1の折り線18が正面に位置している。次いで、同図(b)においては、シールバー782によって、中間品C1の底側偏平部41をB方向に沿ってたとえば熱シールにより接合する。次いで、同図(c)においては、冷却部783によって、熱シールされた部分を冷却する。これにより、同図(d)および図12に示すように、中間品C1には、第1底シール部21が形成される。同図(e)においては、次の工程に備えて、中間品C1がx方向周りに90度回転されている。本実施形態においては、他端側支持体781が、このような回転機能を備えている。
図12は、第1底シール部21が形成された後の中間品C1を示している。第1底シール部21は、中間品C1のx方向における底側端部においてB方向に延びる帯状のシール部分である。本実施形態においては、中間品C1には、一対の底部通気孔25が設けられている。底部通気孔25は、中間品C1の内部に生じる空間が外部と通じる孔である。図示された例においては、一対の底部通気孔25は、中間品C1のB方向中央を避けた位置であってB方向両端寄りに設けられている。また、各底部通気孔25は、図11におけるシールバー782による熱シールにおいて、部分的に熱シールされない箇所が設定されることによって形成されている。この底部通気孔25を構成する未シール部は、第1底シール部21をx方向に横断している。
図13は、パウチ容器用包材製造装置D1の後工程部Mpoを示す斜視図である。同図においては、理解の便宜上、1つの中間品C1に対して後工程を実施する場合を例に説明するが、2つ以上の中間品C1に対して後工程を一括して実施してもよい。同図(a)に示すように、図示された例においては、中間品C1の天側偏平部42が保持具803によって保持されている。また、中間品C1の天側偏平部42よりも底側の部分を支持具831と押さえ具841とによって挟む。なお、保持具803は、図11に示す第3工程部M3の他端側支持体781がそのまま流用されたものであってもよいし、他端側支持体781とは別の保持具であってもよい。なお、第3工程部M3においては、中間品C1の軸方向に沿う方向がx方向であり、x方向と直角であって中間品C1のU方向が一致する方向がy方向であり、x方向およびy方向に直角である方向がz方向である。
支持具831と押さえ具841とは、後工程を行うための装置構成の一例である。支持具831は、支持面832を有している。支持面832は、x方向およびy方向に沿って広がる平面である。押さえ具841は、支持具831の支持面832に対してz方向に対向配置されている。押さえ具841は、たとえば平板状部材を有している。この平板状部材は、xy平面に対して起立した姿勢で、x方向に移動自在とされている。また、前記平板状部材は、後述する位置においてy方向に延びる軸周りに回動自在とされている。このような平板状部材の移動および回動は、モータ、シリンダなどの公知の駆動源や、ラックピニオン機構、クランク機構およびリンク機構等をはじめとする公知の機構を適宜採用できる。
図13(a)に示すように、支持具831の支持面832と押さえ具841とによって中間品C1を挟んだ後は、図13(b)に示すように、支持具831および筒状フィルム1に対して押さえ具841を下降させる。この際、押さえ具841の一端部が中間品C1に対して摺動する。このため、支持具831と押さえ具841とに挟まれた筒状フィルム1内の気体(空気)が上述した底部通気孔25から排出され、中間品C1のうちz方向(B方向)に対向する部分同士が近接させられる。これにより、中間品C1は、一対の主フィルム部10および遷移部12を有する形態となる。一対の主フィルム部10は、支持具831および押さえ具841によって折り畳まれた部分であり、z(B方向)方向において対面するとともにy方向(U方向)を幅方向としている。また、一対の主フィルム部10のいずれかは、縦シール部20を有している。また上述した通り、縦シール部20は、いずれかの主フィルム部10に含まれるものの、この主フィルム部10の幅方向であるy方向(U方向)の中央には位置しておらず、該中央からずれた位置にある。遷移部12は、一対の主フィルム部10とB方向に延びる第1底シール部21との間に介在しており、且つこれらを繋いでいる。また、遷移部12は、筒状フィルム1のうちいまだ押さえ具841が通過していない部分である。このため、遷移部12内には気体(空気)が残存しており、膨らまされている。なお、中間ロール711に巻かれていた際に筒状フィルム1の両端に一対の折り線18が設けられていたため、同図(b)においては、筒状フィルム1は、一対の折り線18に沿ってスムーズに折り畳まれるという効果が期待できる。
図14は、図13(b)に示す状態の中間品C1の、シールテープ20aを通るxy平面における断面を示す要部断面図である。同図に示すように、縦シール部20においては、筒状フィルム1の一部とシールテープ20aとが重なっている。このため、縦シール部20は、剛性が高い部分となっている。これにより、第1底シール部21は、縦シール部20によって図中左方に押される格好となり、x方向に対して若干傾いた姿勢をとりうる。図15は、図13(b)に示す状態の中間品C1、支持具831および押さえ具841を示す要部側面図である。同図に示すように、支持具831は、xy平面に沿って広がる支持面832を有する平板状である。このため、中間品C1の第1底シール部21(B方向)は、z方向に対して傾いた状態となる。
次いで、図13(c)に示すように、押さえ具841をy方向に延びる軸周りに回動させる。図16は、図13(c)に示す状態の中間品C1、支持具831および押さえ具841を示す要部側面図である。押さえ具841の回動により、中間品C1の遷移部12および第1底シール部21を挟んで、押さえ具841および支持具831が閉じる動作を行う。この際、遷移部12内に残存した気体(空気)は、底部通気孔25から排出される。これと並行して、第1底シール部21の両端を互いに近接させることにより、第1底シール部21および遷移部12が、二分するように折り畳まれる。また、第1底シール部21および遷移部12は、一対の主フィルム部10に沿う平坦状に折り畳まれる。
図14に示したように、第1底シール部21は、高剛性である縦シール部20に押されることにより、x方向に対して縦シール部20の無い側(図中左方)に若干傾いている。また、第1底シール部21は、全長にわたって略均一な幅とされており、第1底シール部21全体が図14に示すように傾いている。このため、図13(c)および図16に示す折り畳み工程においては、傾いていた第1底シール部21の全体が、傾いていた側に倒れこむようにして折り畳まれる。図14において第1底シール部21がx方向に対して略平行な姿勢であると、折り畳み工程において、第1底シール部21がいずれの方向に倒れるかが、安定しない。たとえば、第1底シール部21の半分が、他の半分に対して反対側に倒れるといった挙動が懸念される。本実施形態においては、第1底シール部21が、縦シール部20によって傾けられた側に再現性良く倒れることが期待できる。
また、図15に示すように、中間品C1には、一対の底部通気孔25が設けられている。図14および図15に示す状態においては、遷移部12の内部には、気体(空気)が存在している。一方、図16に示す折り畳み工程が完了した状態においては、筒状フィルム1の内部には、ほとんど気体が存在しない。一対の底部通気孔25を設けることにより、折り畳み工程において、気体を筒状フィルム1の外部へとよりスムーズに排出することができる。なお、本実施形態においては、図13(c)において、押さえ具841が全閉状態となった際においても、図16に示すように、底部通気孔25は、押さえ具841から下方にはみ出す位置関係となっている。
次いで、831および押さえ具841を取り除く。そして、図13(d)に示すように、シールバー87を用いた熱シールなどによって、二分された遷移部12に、各々がy方向(U方向)に延びる2つの第2底シール部22を形成する。
2つの第2底シール部22は、二分された遷移部12の各部の内面同士が接合された部位である。シールバー87による熱シールは、シールバー87によって縦シール部20および第1底シール部21を挟むように行う。この手法により、シールバー87によって遷移部12を挟む一の動作を経て、2つの第2底シール部22が同時に形成される。図17は、第2底シール部22を形成する直前の中間品C1を示している。同図から理解されるように、2つの第2底シール部22は、いずれもが第1底シール部21と交差する構成となる。さらに、2つの第2底シール部22のいずれかが縦シール部20と交差する構成となる。なお、上述の工程では、2つの第2底シール部22が同時に形成される方法を述べたが、これに限定されず、2つの第2底シール部はそれぞれ個別に順次形成されてもよい。また、図17においては、第2底シール部22が形成される領域を想像線によって示している。同図によく表れているように、第2底シール部22は、縦シール部20のうち遷移部12においてy方向(U方向)に沿って存在する部分に対して図中上端寄りに形成される。また、第2底シール部22は、底部通気孔25よりもx方向図中上方に形成され、言い換えると、第2底シール部22は、x方向において底部通気孔25と主フィルム部10との間に形成される。次いで、図13(e)に示すように、形成された2つの第2底シール部22を冷却部88によって冷却する。
次いで、図13(f)に示すように、一対の第2底シール部22をy方向(U方向)において縦断するように、中間品C1をカッタ89によって切断する。これにより、第1底シール部21および遷移部12のうち2つの第2底シール部22よりもx方向外方に位置した部分が除去される。この結果、同図(g)に示すように、2つの第2底シール部22が、折り畳まれた状態の中間品C1のx方向底側端部となる。ここで、図17において、本工程での切断位置を切断線CLによって示している。切断線CLは、第2底シール部22に重なっている。このような切断工程を経て得られるパウチ容器用包材A1においては、切断工程後もパウチ容器用包材A1の一部として残存する遷移部12、すなわち後述する台形部10aや底フィルム部11に、縦シール部20のうちy方向に沿って存在していた部分が、外観に明瞭に表れる態様では残存しない。図示された例においては、切断線CLは、縦シール部20のうちy方向に延びる部分とは重なっていない。このような場合、縦シール部20のうちy方向に沿って存在していた部分は、後述するパウチ容器用包材A1には全く残存しない構成をとりうる。なお、切断線CLと縦シール部20との相対位置によっては、かろうじて、縦シール部20の一部が、第2底シール部22と重なって残存する構成となりうる。また、図12に示すように、一対の底部通気孔25は、第1底シール部21の両端寄りに設けられていた。このため、図17においては、中間品C1のx方向下端寄りに位置しており、切断線CLよりもx方向下方にある。したがって、切断線CLに沿って中間品C1を切断した後は、底部通気孔25は、パウチ容器用包材A1には残存しない。
この後は、例えば、底側偏平部41の底側部分開口部412にスパウト5を挿入する。この際、スパウト5は、縦シール部20に対してy方向に退避した位置に設けることが好ましく、例えば、一対の主フィルム部10のy方向中央に配置する。この場合、縦シール部20が一対の主フィルム部10のy方向中央に対してずれた位置に設けられている。これにより、図18に示すパウチ容器用包材A1においては、スパウト5は、縦シール部20から退避した配置となる。次いで、シールバーを用いた熱シール等によって、図18に示された天シール部23を形成する。天シール部23は、一対の主フィルム部10のx方向端部同士が接合された部位である。また、一対の主フィルム部10のうちスパウト5を挟む部分は、スパウト5に対して内部の密閉状態を保つように接合される。以上の工程を経ることにより、パウチ容器用包材A1が得られる。なお、図示されたスパウト5は、蓋部品によって封止された状態を例示している。なお、図18においては、中間品C1の軸方向であった方向をx方向、U方向であった方向をy方向、x方向およびy方向と直角である方向をz方向と定義しており、図19〜図22においても同様である。また、図示されたパウチ容器用包材A1は、天シール部23の両端に切欠き部17が形成されている。たとえば、図17に示す中間品C1に天シール部23を形成した後に、筒状フィルム1の一部を切断することによって切欠き部17を形成してもよい。あるいは、図3に示すカッタ761による切断において、切欠き部17に相当する切り欠き部を形成しておいてもよい。また、中間品C1は、切欠き部17を有さないものであってもよい。
図18〜図21は、本発明の第1実施形態に基づくパウチ容器用包材を示している。本実施形態のパウチ容器用包材A1は、上述した製造方法によって形成されるものであり、一対の主フィルム部10、底フィルム部11、縦シール部20、第1底シール部21、一対の第2底シール部22、天シール部23およびスパウト5を備えている。なお、これらの構成要素は、パウチ容器用包材A1が図示されたように平坦状に折り畳まれた状態を前提に定義づけられている。たとえば、パウチ容器用包材A1が拡開された状態やさらに折り畳まれた状態においては、各構成要素は、以下の説明にある要件とは異なる態様をとりうる。しかし、図示された折り畳み状態において、個々の要件を満たすものであれば、本発明が意図する構成にあたる。
一対の主フィルム部10は、パウチ容器用包材A1の大部分を構成する部材である。一対の主フィルム部10は、z方向において互いに対面しており、y方向両端同士がシール部などを介することなく一体的に繋がっている。このため、胴部全面に連続したデザイン印刷を施すことができ、意匠性を向上させることができる。また、一対の主フィルム部10のうち紙面手前側に位置する主フィルム部10は、縦シール部20を有している。縦シール部20は、当該主フィルム部10をx方向に縦断している。また、各主フィルム部10は、台形部10aを有している。台形部10aは、x方向図中下端側(第2底シール部22側)に位置しており、x方向において前記下端側(第2底シール部22側)に向かうほどy方向寸法である幅が小となる台形状の領域である。台形部10aの下辺は主フィルム部10のx方向図中下端であり、台形部10aの上辺は台形部10aの各斜辺の図中上端を結んでy方向に延びる仮想線である。また、台形部10aの各斜辺は、折り曲げ部31とされている。
図20および図21に示すように、縦シール部20は、上述した帯状フィルム1Aの両端縁であった部位が重なりあっており、これらの両端縁と重なるようにシールテープ20aが主フィルム部10の内面に熱シールなどによって接合されている。
底フィルム部11は、一対の台形部10aの間において折り畳まれて挟まれている。底フィルム部11は、一対の主フィルム部10の一対の台形部10aの2つの下辺および4つの斜辺に繋がっている。なお、底フィルム部11と一対の台形部10aの2つの下辺とは、後述する一対の第2底シール部22を介して繋がっている。また、底フィルム部11と一対の台形部10aの4つの斜辺とは折り曲げ部31を介して繋がっている。
第1底シール部21は、一対の台形部10aの下辺に到達しており、底フィルム部11を横断している。第1底シール部21は、底フィルム部11のy方向両側部分同士が熱シールなどによって接合されたものである。第1底シール部21は、底フィルム部11とともに、一対の台形部10aの間において折り畳まれて挟まれている。
一対の第2底シール部22は、各々が一対の台形部10aのx方向の端部(下辺)と該端部に隣接する底フィルム部11の端部とが熱シールなどにより接合されたものである。各第2底シール部22は、y方向に延びている。また、第2底シール部22の長さは、主フィルム部10の図中x方向上方に位置する矩形状部分のy方向寸法よりも小である。また、一対の第2底シール部22のうち紙面手前側に位置するものには、縦シール部20が到達している。縦シール部20の到達箇所は、第2底シール部22の中央を避けており、第2底シール部22の一端付近である。
天シール部23は、一対の主フィルム部10のx方向図中上端部同士が熱シールなどにより接合されたものである。一対の主フィルム部10、底フィルム部11、第1底シール部21、一対の第2底シール部22および天シール部23が形成されることにより、パウチ容器用包材A1には、内容物を収容するための収容空間19が設けられている。また、天シール部23のy方向両端には、一対の切欠き部17が設けられている。
スパウト5は、一対の主フィルム部10のx方向図中上端部に挟まれており、図17に示すように天シール部23の一部として、一対の主フィルム部10と密閉状態となるように接合されている。スパウト5は、収容空間19に内容物を充填するための充填口や、内容物を注出するための注出口として用いられる。なお、図示されたスパウト5は、蓋部品が装着されている。いまだ内容物が充填されていないパウチ容器用包材A1においては、前記蓋部品は未装着としてもよい。
図22は、パウチ容器用包材A1を用いて製造されたパウチ容器を示している。このパウチ容器B1は、パウチ容器用包材A1の収容空間19に内容物6が充填されており、スパウト5に前記蓋部品が装着されることにより、密閉状態で内容物6を収容している。
パウチ容器B1を製造するには、パウチ容器用包材A1を用意し、スパウト5にノズルを挿入する等して内容物6を充填する。そして、スパウト5に上述した蓋部品を装着することによりパウチ容器用包材A1を封止し、収容空間19を密閉状態とする。これにより、パウチ容器B1が得られる。
図22は、所定量の内容物6を収容するパウチ容器B1を、スパウト5が鉛直方向上方を向く姿勢とした場合に、斜め下方から見た図である。同図から理解されるように、底フィルム部11の一部ずつ、第1底シール部21および一対の第2底シール部22は、平らな底面を構成している。また、4本の折り曲げ部31は、内容物6の重量によって開かれている。このように、本例においては、中間品C1の一端側がパウチ容器B1において底側となり、他端側がパウチ容器B1において天側となる。
次に、パウチ容器用包材A1の製造方法およびパウチ容器用包材製造装置D1の作用について説明する。
本実施形態によれば、図5の第2工程部M2(a)に示すように、一端側支持体77によって中間品C1を支持した後に、図6および図7に示すように、一対の第1支持ピン771(第1支持面770)をz方向に離間させることにより、中間品C1の一部を一対の折り線18が離間する方向と一致するU方向と交差する方向に偏平な形状に変化させる。そして、一対の第1支持面770が離間する方向に偏平である底側偏平部41を形成する。これにより、一対の折り線18が離間する方向と交差する方向に沿って偏平とされた底側偏平部41を、たとえば手作業による工程と比べて効率よく形成することが可能である。
また、本実施形態においては、一端側支持体77は、一対の第1支持ピン771(第1支持面770)に加えて一対の第2支持ピン779(第2支持面778)を有する。そして、図6に示すように、中間品C1を偏平な形状に変化させる工程においては、中間品C1の内面が一対の第1支持面770および一対の第2支持面778に接するように、中間品C1が張力を有する状態を維持する。これにより、一対の第1支持ピン771が離間し且つ一対の第2支持ピン779が接近する際に、一対の第1支持ピン771および一対の第2支持ピン779に対して中間品C1がずれてしまうことをより確実に防止することができる。
また、中間品C1に一端側支持体77を挿入する工程の前に、中間品C1に天側偏平部42を形成する。このため、図7に示すように、中間品C1を偏平な形状に変化させる工程以降の工程において、中間品C1のうち天側偏平部42が形成された側の部分を、U方向に沿った偏平な形状に確実に維持することができる。
また、中間品C1には、互いに交差する方向に沿って偏平とされた底側偏平部41および天側偏平部42が形成される。このような中間品C1は、図18に示すパウチ容器用包材A1の製造や図22に示すパウチ容器B1の製造に好ましい。底側偏平部41と天側偏平部42とを利用することにより、互いに交差する方向に延びる第1底シール部21および天シール部23をより容易に設けることが可能であり、パウチ容器B1を自立させるのに適している。
第1支持ピン771がステンレス等の摩擦や腐食に比較的強い材質からなることにより、中間品C1の内部に第1支持ピン771の微粉末等の異物が付着することを回避することができる。これは、パウチ容器用包材A1の内容物6として食品等が選択される場合に好ましい。
図4に示すように、天側偏平部42は、U方向両端寄りに位置する一対の天側部分シール部421を含む。このような一対の天側部分シール部421は、天側偏平部42をU方向に延びる偏平形状に維持するのに適している。また、天側偏平部42のy方向中央寄り部分には、天側部分開口部422が設けられている。天側部分開口部422は、図18に示すパウチ容器用包材A1において、スパウト5を挿入する部位として利用するのに適している。
図9に示すように、一端側支持体77は、一対の第1支持ピン771および一対の第2支持ピン779によって構成されている。一対の第1支持ピン771および一対の第2支持ピン779の間に空間が存在することにより、中間品C1のうち一対の第1支持ピン771および一対の第2支持ピン779の間に位置する部分に、底側偏平維持部776によって底側部分シール部411を形成することができる。したがって、一端側支持体77(一対の第1支持ピン771)によって、中間品C1をB方向に偏平な形状に保った状態で、底側部分シール部411を適切に形成することができる。
図13に示すように、第1底シール部21および遷移部12を二分するように折り畳んだ状態で、2つの第2底シール部22を同時に形成する。このため、第2底シール部22の形成工程などにおいて、筒状フィルム1を略円筒状に膨らませたり、起立させたりする必要がない。さらに、折り畳まれた筒状フィルム1に対する加工は、自動化された生産ラインで行うのに適している。そして、本実施形態においては、一対の主フィルム部10の間の気体(空気)を排出するとともに、遷移部12を膨らませた状態から、遷移部12を二分するように折り畳む。このような手法によれば、遷移部12や第1底シール部21が不当に歪んだり屈曲したりすることを回避しつつ、遷移部12をスムーズに折り畳むことができる。したがって、パウチ容器用包材A1の製造効率を高めることができる。そして、かかる工程を経て形成されたパウチ容器用包材A1を用いて製造されたパウチ容器B1は、平らな棚板などに自立させることが可能であり、且つ把持した際の不快感を抑制することができる。
中間品C1には、一対の底部通気孔25が形成されている。これにより、筒状フィルム1の内部の気体(空気)を底部通気孔25を通じて筒状フィルム1外へとスムーズに排出することができる。また、一対の底部通気孔25は、第1底シール部21の両端側に離間して配置されている。このため、中間品C1の第1底シール部21付近の隅部等に気体(空気)が残存してしまうことを回避することができる。また、本実施形態においては、第1底シール部21の両端付近は、図13および図16に示す後工程部Mpo(j)において、押さえ具841からx方向下方にはみ出している。これにより、押さえ具841が完全に閉じた状態となっても、底部通気孔25は押さえ具841によって塞がれない。これは、筒状フィルム1内の気体(空気)をよりスムーズかつより完全に排出するのに適している。
底部通気孔25は、第1底シール部21の未シール部によって構成されている。このため、第1底シール部21を形成する処理を行えば、底部通気孔25を併せて形成することができる。これは、底部通気孔25を形成するための別の処理を行う必要がなく、製造効率の向上に好ましい。
縦シール部20が折り曲げ部31ではなく第2底シール部22に到達している。言い換えれば、底フィルム部11に縦シール部20が存在していない。これにより、縦シール部20がパウチ容器用包材A1の外観に過剰に現れることを回避し、パウチ容器用包材A1の強度を向上することができる。具体的には、本実施形態と異なり、図18において、縦シール部20が折り曲げ部31に到達していると、縦シール部20は、折り曲げ部31において略90度折り返されて、底フィルム部11にも現れることになる。また、底フィルム部11は、パウチ容器B1の底面をなす部材であり、この底フィルム部11に縦シール部20が形成されていると、パウチ容器B1を例えば商品棚等に載置した際に、縦シール部20が商品棚と接触し、強度低下を引き起こすおそれがある。本実施形態によれば、底フィルム部11に縦シール部20が現れることがなく、外観や強度の向上に好ましい。
さらに、縦シール部20は、y方向においてスパウト5を避けた位置に設けられている。充填口や注出口として機能するスパウト5は、基本形状が筒形状であり、平坦な形状としがたい。このため、一対の主フィルム部10に挟んだ状態で密閉性良く接合することは容易ではない。このような接合困難な箇所に縦シール部20が存在すると、スパウト5における密閉性が劣ってしまうおそれがある。本実施形態によれば、このような懸念を払しょくすることができる。
図23〜図27は、本発明の変形例を示している。なお、これらの図において、上述した例と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図23は、第2工程部M2の変形例を示している。本変形例においては、第2工程部M2は、マークセンサ777を備えている。マークセンサ777は、中間品C1の所定箇所に設けられたマーク151を位置検出するためのものである。マーク151としては、たとえば筒状フィルム1となる前のフィルム材料に印刷によって設けられたものが挙げられる。また、マークセンサ777としては、たとえばCCDカメラやフォトセンサ等が挙げられる。
また、本変形例においては、一対の第1支持ピン771の一方(図中z方向上側の第1支持ピン771)が、z方向周りに回転可能とされている。たとえば、この第1支持ピン771は、駆動部772に備えられたモータによって回転駆動される。たとえば、一対の第1支持ピン771をz方向に離間させることによって中間品C1の一端側開口部410側の部分をz方向に沿って偏平な形状に変化させた後に、マークセンサ777によってマーク151が所定位置に位置しているかを検出する。マーク151が所定位置からズレている場合、たとえば駆動部772の前記モータをフィードバック制御することにより、マーク151を所定箇所に移動させる。
このような変形例によっても、底側偏平部41を有する中間品C1を効率よく製造することができる。また、一対の折り線18に対してより正確な位置に底側部分シール部411を形成することができる。また、第1支持ピン771を回転させる構成に代えて、第1支持ピン771との間に中間品C1を挟んで回転する回転手段を備えた構成であってもよい。このような回転手段は、中間品C1の外表面に接するものであるため、たとえば当該回転手段をシリコーン樹脂やゴム等によって形成した場合に、これらの微粉末等が中間品C1の内部に付着するおそれが少ない。
図24は、パウチ容器用包材A1の製造方法およびパウチ容器用包材製造装置D1の他の変形例を示している。本変形例においては、第1工程部M1において、筒状フィルム1をカッタ761によって所定ピッチに切断することにより中間品C1を形成した後に、天側偏平部42の形成を省略している。中間品C1は、一対の折り線18を有する筒状フィルム1から形成されており、一対の折り線18が折られた状態を維持する拘束力を発揮する。このため、図示された第2工程部M2(b)以降の工程においても、中間品C1のうち底側偏平部41が形成された側とx方向において反対の側は、一対の折り線18を亮太とする偏平な形状に維持されうる。したがって、たとえば、図示された第2工程部M2(b)において、あるいは以降の工程において、天側偏平部42を適切に形成することができる。
図25は、パウチ容器用包材A1の製造方法およびパウチ容器用包材製造装置D1の他の変形例を示している。本変形例においては、第2工程部M2(b)において、中間品C1に第1底シール部21が形成される。第1底シール部21は、中間品C1をz方向に横断するものである。このため、図示された例においては、第1底シール部21は、x方向において一対の第1支持ピン771を避けた位置に設けられればよい。また、本変形例においては、第1底シール部21が底側偏平部にあたる。
図26は、パウチ容器用包材A1の製造方法およびパウチ容器用包材製造装置D1の他の変形例を示している。本変形例においては、第2工程部M2において、一対の第1支持ピン771および一対の第2支持ピン779のx方向長さが、上述した例よりも長く、たとえば中間品C1のx方向長さの過半を占める長さとされている。このため、一対の第1支持ピン771(第1支持面770)が離間し一対の第2支持ピン779(第2支持面778)が接近した状態である第2工程部M2(d)の状態では、中間品C1の略全体がz方向に沿って偏平な形状に保たれる。そして、本変形例においては、中間品C1の他端寄り(一端側開口部410とは反対側寄り)の一部同士が接合されることにより、底側部分シール部411(底側偏平部41)が形成される。この後は、たとえば、底側偏平部41を上述した他端側支持体781によって支持することにより、一端側支持体77から中間品C1を取り外すと、一対の折り線18の回復力により、中間品C1の一端側部分が一対の折り線18を両端とする偏平な形状に復帰する。そして、中間品C1の一端側部分に、天側偏平部42を形成する。このように、本変形例においては、中間品C1の一端側がパウチ容器B1において天側となり、他端側がパウチ容器B1において底側となる。なお、底側偏平部41を形成する構成に代えて、第1底シール部21を形成してもよい。
図27は、パウチ容器用包材A1の製造方法およびパウチ容器用包材製造装置D1の他の変形例を示している。本実施形態においては、一端側支持体77は、一対の第1支持ピン771(一対の第1支持面770)のみによって構成されており、一対の第2支持ピン779(一対の第2支持面778)を有していない。このため、z方向に接近された状態の一対の第1支持ピン771を中間品C1の一端側開口部410から挿入した後に、一対の第1支持ピン771をz方向に離間させることにより、中間品C1の少なくとも一部をz方向に沿って偏平な形状に変化させる。このように、一端側支持体77は、一対の第1支持面770を有する構成であればよい。なお、本変形例において、中間品C1の位置ずれを防止する観点から、たとえば中間品C1に設けられたマーク151をマークセンサ777によって検出し、駆動部772によって第1支持ピン771を回転させることによって中間品C1の位置を調整する構成が好ましい。
本発明に係るパウチ容器用包材の製造方法およびパウチ容器用包材の製造装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るパウチ容器用包材の製造方法およびパウチ容器用包材の製造装置の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。