以下、本発明に係る電源装置を具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、車両に搭載される車載電源システムに利用される電源装置として具体化した場合を想定している。電源装置10は、例えば、車両の座席の下に搭載される。車両は、内燃機関であるエンジンと、エンジンやその他各部を制御する車載ECUと、エンジンにより駆動されて発電する発電機と、発電機の発電電力により充電される蓄電部とを備えている。本実施形態では、蓄電部として、鉛蓄電池を用いている。
まずは、電源装置10の全体構成について図1〜図3を用いて説明する。なお、以下の説明では便宜上、電源装置10を水平面に設置した状態である図1を基準に、電源装置10の上下方向を規定することとしている。各図に、上下方向である高さ方向HD、幅方向WD、及び奥行き方向DDを示す。
電源装置10は、複数の単電池(例えば、リチウムイオン蓄電池)を有する電池モジュール20と、電池モジュール20の充放電制御等を行うための電子部品が搭載される回路基板30と、ベース部材40及びカバー部材41を有する収容ケース42とを備えている。複数の単電池は、直列接続されて組電池を構成している。電池モジュール20及び回路基板30のそれぞれは、図2に示すように、ベース部材40に対して固定されている。図2に示す一体の組付部品に対してカバー部材41が上方から組み付けられることにより、図1に示す電源装置10となる。これにより、電池モジュール20及び回路基板30が収容ケース42内に収容された状態となっている。
電源装置10は、第1外部端子101、第2外部端子102及び第3外部端子103を備えている。第1外部端子101には、モータ機能付き発電機であるISG200が電気的に接続されている。また、ISG200は、エンジン201の出力軸から伝達される動力により発電し、ISG200の発電電力の少なくとも一部は、電池モジュール20に供給される。これにより、電池モジュール20が充電される。また、ISG200は、電源装置10から電力を供給される場合もある。これにより、ISG200は、モータとして機能し、エンジン201とともに動力源として機能する。
第2外部端子102には、車両に搭載された第1電気負荷202が電気的に接続されている。本実施形態において、第1電気負荷202は、蓄電部としての鉛蓄電池と、エンジン201の出力軸に初期回転を付与するスタータとを含む。
第3外部端子103には、車両に搭載された第2電気負荷203が電気的に接続されている。第2電気負荷203は、供給電力の電圧が一定、又は少なくとも所定範囲内で変動するよう安定であることが要求される定電圧要求負荷が含まれる。定電圧要求負荷である電気負荷15の具体例としては、ナビゲーション装置やオーディオ装置、メータ装置、車載ECU等の各種ECUが挙げられる。
次に、電源装置10の各部構成について詳しく説明する。
<収容ケース42のベース部材40>
図4を用いて、収容ケース42のベース部材40について説明する。ベース部材40は、例えばアルミニウム等の金属材料により成型されている。ベース部材40は、段差を有する底部43と、底部43の周縁部又はその周縁部付近から起立して設けられる壁部44とを備えている。
ベース部材40は、回路基板30に搭載された電子部品等で生じた熱を電源装置10の外部に放出する放熱部45を備えている。放熱部45は、底部43の上面から上方に延びており、略長方形状をなしている。放熱部45の長手方向と幅方向WDとは一致しており、放熱部45の長手方向の一端は、壁部44のうち奥行き方向DDに延びる部分の壁面まで延びている。
放熱部45は、その上端面に回路基板30に対向する載置面としての対向面45aを備えている。対向面45aは平坦に形成されている。回路基板30にて生じた熱は、放熱部45及び底部43を介して電源装置10の外部に放出される。
図3に示すように、対向面45aには、電気的絶縁性を有する絶縁体としての絶縁シート46を介して回路基板30が載置され、ネジによって固定される。これにより、対向面45aと回路基板30との間には絶縁シート46が挟み込まれ、回路基板30と放熱部45とが電気的に絶縁されている。なお、底部43、壁部44及び放熱部45は、ダイカスト鋳造により一体成型されている。
<回路基板30>
図5に示すように、本実施形態の回路基板30は、略L字状をなすプリント基板である。回路基板30は、図6に示すように、導電体により薄膜状に形成された導電層が複数(4層)積層されている。すなわち、回路基板30は、多層基板(積層基板)である。以下では、導電層を、上方(カバー部材41側)から順番に、第1層31、第2層32、第3層33、第4層34と示す。第4層34が絶縁シート46を介して対向面45aと対向することとなる。各層の間には、絶縁体で形成された板状の絶縁層としての絶縁基板がそれぞれ設けられている。以下では、第1層31と第2層32との間に設けられた基板を、第1基板35と示し、第2層32と第3層33との間に設けられた基板を、第2基板36と示し、第3層33と第4層34との間に設けられた基板を、第3基板37と示す。
図5に示すように、回路基板30の表面(第1層31側)には、各種の電子部品が実装される。例えば、回路基板30において、幅方向WDの略中央には、第1スイッチSW1が搭載されており、第1スイッチSW1は、複数(本実施形態では6つ)の第1スイッチ素子Sa1〜Sa6から構成されている。第1スイッチ素子Sa1〜Sa6は、幅方向WDに3列に並ぶとともに奥行き方向DDに2列に並ぶように搭載されている。また、回路基板30において、第1スイッチSW1よりも右側(図5における右側)には、第2スイッチSW2が搭載されており、第2スイッチSW2は、複数(本実施形態では8つ)の第2スイッチ素子Sb1〜Sb8から構成されている。第2スイッチ素子Sb1〜Sb8は、幅方向WDに4列に並ぶとともに奥行き方向DDに2列に並ぶように搭載されている。
また、回路基板30において、第1スイッチSW1よりも左側(図5における左側)には、第3スイッチSW3が搭載されており、第3スイッチSW3は、複数(本実施形態では2つ)の第3スイッチ素子Sc1,Sc2から構成されている。第3スイッチ素子Sc1,Sc2は、奥行き方向DDに並ぶように搭載されている。また、回路基板30において、第2スイッチSW2よりも右側には、第4スイッチSW4が搭載されており、第4スイッチSW4は、複数(本実施形態では2つ)の第4スイッチ素子Sd1,Sd2から構成されている。第4スイッチ素子Sd1,Sd2は、奥行き方向DDに並ぶように搭載されている。本実施形態では、各スイッチ素子Sa1〜Sa6,Sb1〜Sb8,Sc1,Sc2,Sd1,Sd2は、回路素子(半導体スイッチング素子)であり、具体的にはMOSFETが用いられている。
また、回路基板30において、幅方向WDの端部には、各スイッチ素子Sa1〜Sa6,Sb1〜Sb8,Sc1,Sc2,Sd1,Sd2のオンオフを制御して、電池モジュール20の充放電制御を行うマイコン80が搭載されている。また、電源装置10は、図3に示すように、複数のバスバーからなるバスバーユニット90を備えている。バスバーユニット90により、第1外部端子101、第2外部端子102及び第3外部端子103と、回路基板30が接続されている。
ここで、電源装置10の電気回路について、電気回路図を用いて説明する。図7に示すように、電源装置10には、各外部端子101,102を繋ぐ電気経路L1と、電気経路L1上の接続点N1と電池モジュール20とを繋ぐ電気経路L2とが設けられている。このうち電気経路L1に第1スイッチSW1が設けられ、電気経路L2に第2スイッチSW2が設けられている。
第1スイッチSW1は、2組の第1スイッチ素子Sa1〜Sa6に分けられ、2組の第1スイッチ素子Sa1〜Sa6を直列に接続するように構成されている。各組の第1スイッチ素子Sa1〜Sa6は、3つの第1スイッチ素子Sa1〜Sa6により構成されており、並列に接続されている。本実施形態では、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3の組と、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6の組に分けられており、各組において第1スイッチ素子Sa1〜Sa6が並列に接続されている。
また、各組において、3つの第1スイッチ素子Sa1〜Sa6を並列に接続する際、MOSFET(スイッチ素子)が有する寄生ダイオードのカソードの向きが同じ方向となるように接続される。その一方、2組の第1スイッチ素子Sa1〜Sa6を直列に接続する際、各組のカソードの向きが反対側となるように接続されている。
具体的には、第1スイッチSW1のうち、第2外部端子102側に接続される第1スイッチ素子Sa1〜Sa3は、そのカソードを第2外部端子102側とする向きで並列に接続されている。一方、第1スイッチSW1のうち、第1外部端子101側に接続される第1スイッチ素子Sa4〜Sa6は、そのカソードを第1外部端子101側とする向きで並列に接続されている。つまり、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3が有する寄生ダイオードのアノードと、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6が有する寄生ダイオードのアノードと、が接続されることとなる。
第2スイッチSW2は、スイッチ素子の数を除き、第1スイッチSW1と基本的な構成は同じである。具体的には、第2スイッチSW2のうち、第1外部端子101側に接続される第2スイッチ素子Sb1〜Sb4は、そのカソードを第1外部端子101側とする向きで並列に接続されている。一方、第2スイッチSW2のうち、電池モジュール20側に接続される第2スイッチ素子Sb5〜Sb8は、そのカソードを電池モジュール20側とする向きで並列に接続されている。つまり、第2スイッチ素子Sb1〜Sa4が有する寄生ダイオードのアノードと、第2スイッチ素子Sb5〜Sb8が有する寄生ダイオードのアノードと、が接続されることとなる。
上記のようにして、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2が構成されることで、例えば第1スイッチSW1がオフ(開放)状態となった場合、つまり第1スイッチ素子Sa1〜Sa6がオフ状態となった場合において、寄生ダイオードを通じて電流が流れることが完全に遮断される。
なお、第1スイッチSW1における第1スイッチ素子Sa1〜Sa6の寄生ダイオードの向きを互いに変更し、寄生ダイオードがカソード同士で接続されるようにしてもよい。具体的には、寄生ダイオードのアノードを第1外部端子101側とする向きで、3つの第1スイッチ素子Sa1〜Sa3を並列に接続し、寄生ダイオードのアノードを第2外部端子102側とする向きで、3つの第1スイッチ素子Sa4〜Sa6を並列に接続してもよい。なお、第2スイッチSW2についても同様である。
また、半導体スイッチとして、MOSFETに代えて、IGBTやバイポーラトランジスタ等を用いることも可能である。IGBTやバイポーラトランジスタを用いた場合には、上記の寄生ダイオードの代わりに各半導体スイッチにそれぞれダイオードを並列に接続させる。
また、電気経路L1において第2外部端子102と第1スイッチSW1との間の接続点N2には、電気経路L3の一端が接続される。それとともに、電気経路L2において電池モジュール20と第2スイッチSW2との間の接続点N4には、電気経路L4の一端が接続されている。これら電気経路L3,L4の他端同士が中間点N3で接続されている。また、中間点N3と第3外部端子103とが電気経路L5により接続されている。電気経路L3,L4にはそれぞれ第3スイッチSW3と第4スイッチSW4が設けられている。
第3スイッチSW3は、第3スイッチ素子Sc1,Sc2を直列に接続するように構成されている。第3スイッチ素子Sc1,Sc2を直列に接続する際、各第3スイッチ素子Sc1,Sc2が有するカソードの向きが反対側となるように接続されている。つまり、第3スイッチ素子Sc1,Sc2のアノード同士が接続されている。第4スイッチSW4も同様である。なお、第3スイッチSW3と第4スイッチSW4も、第1スイッチSW1と同様に構成してもよい。
第1外部端子101から第1スイッチSW1又は第2スイッチSW2までの電気経路は、バスバーユニット90のバスバーにより構成されている。同様に、第2外部端子102から第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3までの電気経路は、バスバーにより構成されている。第2スイッチSW2から電池モジュール20又は第4スイッチSW4までの電気経路は、バスバーにより構成されている。第3外部端子103から、第4スイッチSW4及び第3スイッチSW3までの電気経路は、バスバーにより構成されている。
一方、第1スイッチSW1〜第4スイッチSW4において、スイッチ素子同士を直列に接続する電気経路は、回路基板30に設けられている。以下、スイッチ素子同士を接続するための構成について詳しく説明する。なお、第1スイッチSW1〜第4スイッチSW4は、接続されるスイッチ素子の数が異なるだけで、同様に接続されている。このため、第1スイッチSW1を例示して説明し、第2スイッチSW2〜第4スイッチSW4の説明は省略する。
図8に示すように、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3は、奥行き方向DDの電池モジュール20側において、横並びに(列状(本実施形態では1列状)に)配置されている。一方、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6は、奥行き方向DDにおいて、他方側に、横並びに(列状(本実施形態では1列状)に)配置されている。なお、図8においては、上側に第1スイッチ素子Sa1〜Sa3が配置され、下側に第1スイッチ素子Sa1〜Sa3が配置されている。また、奥行き方向DDにおいて、各第1スイッチ素子Sa1〜Sa3が、各第1スイッチ素子Sa4〜Sa6とそれぞれ対向するように配置されている。また、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3が並ぶ直線は、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6が並ぶ直線と平行となっている。
図6に示すように、第1層31〜第4層34は、導電体により薄膜状に形成されており、例えば、銅箔等により構成される。第1層31〜第4層34は、第1基板35〜第3基板37に印刷等されることにより設けられる。具体的には、第1層31は、第1基板35の表面(上面)に印刷されることにより設けられる。第2層32は、第2基板36の表面(上面)に印刷されることにより設けられる。第3層33は、第3基板37の表面(上面)に印刷されることにより設けられる。第4層34は、第3基板37の表面(下面)に印刷されることにより設けられる。
なお、第2層32は、第1基板35と第2基板36の間に設けられれば、第1基板35と第2基板36のうちいずれの面に設けられていてもよい。同様に、第3層33は、第2基板36と第3基板37の間に設けられれば、第2基板36と第3基板37のうちいずれの面に設けられていてもよい。
また、回路基板30には、第1層31〜第4層34(及び第1基板35〜第3基板37)を貫通する貫通ビア51〜54(多層貫通ビアホール)が複数設けられている。すなわち、貫通ビア51〜54は、第1層31〜第4層34に対して交わるように(直交するように)設けられている。貫通ビア51〜54は、第1層31〜第4層34に設けられた貫通孔の内側に、導電体を挿入すること(例えば、銅メッキを施すこと)により、構成されている。したがって、貫通ビア51〜54を介して、電流を流すことが可能となっている。また、貫通ビア51〜54を介して、熱を伝達可能となっている。このため、貫通ビア51〜54は、複数の導電層を接続する接続部材に相当する。
次に第1スイッチSW1が配置される領域(図8において破線で示す領域)において、各第1層31〜第4層34の構成について説明する。図9に示すように、第1層31には、電流が流れる電気経路パターンが設けられており、電気経路層となる。第1層31の電気経路パターンは、2つに分かれている。第1層31の電気経路パターンのうち、奥行き方向DDにおいて、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側における領域(上側の領域)を、第1領域311と示し、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側における領域(下側の領域)を、第2領域312と示す。
第1領域311は、各第1スイッチ素子Sa1〜Sa3のドレイン端子と接続される。この第1領域311は、長方形状の通電領域であり、その長手方向が幅方向WDに沿って設けられている。また、第1領域311の長手方向の長さは、少なくとも、第1スイッチ素子Sa1から第1スイッチ素子Sa3までの幅よりも長くなっている。
同様に、第2領域312は、各第1スイッチ素子Sa4〜Sa6のドレイン端子と接続される。この第2領域312は、長方形状の通電領域であり、その長手方向が幅方向WDに沿って設けられている。また、第2領域312の長手方向の長さは、少なくとも、第1スイッチ素子Sa4から第1スイッチ素子Sa6までの幅よりも長くなっている。
第1層31において、第1領域311と第2領域312は、絶縁領域313により区切られている。すなわち、第1層31において、第1領域311と、第2領域312は、接続されていない。具体的には、第1領域311と、第2領域312との間には、幅方向WDに沿って直線状の絶縁領域313が設けられている。
なお、第1領域311と第2領域312との間には、温度検出素子314が配置されている。また、第1領域311と第2領域312との間において、この温度検出素子314と接続される電気経路パターン315が設けられている。この電気経路パターン315は、第1層31において、第1領域311及び第2領域312と接続されることがない。温度検出素子314と接続される電気経路パターン315は、制御部としてのマイコン80などと接続されており、各スイッチ素子の温度を検出して、検出結果を出力するように構成されている。
また、第1層31において、貫通ビア51が、第1領域311に複数配置されており、第1領域311と接続されている。同様に、第1層31において、貫通ビア52が、第2領域312に複数配置されており、第2領域312と接続されている。また、第1領域311内に設けられた複数の絶縁領域316においても、それぞれ複数の貫通ビア53が配置されている。同様に、第2領域312内に設けられた複数の絶縁領域317においても、複数の貫通ビア54が配置されている。
以下では、第1領域311と接続される貫通ビア51を、第1貫通ビア51と示し、第2領域312と接続される貫通ビア52を、第2貫通ビア52と示す。また、第1領域311内の絶縁領域316に配置された貫通ビア53を、第3貫通ビア53と示し、第2領域312内の絶縁領域317に配置された貫通ビア54を、第4貫通ビア54と示す。
図10に基づき、第2層32について説明する。なお、図10の上側が、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側となり、第2層32を上方から見た図である。第2層32には、電流が流れる電気経路パターンが設けられており、経路層となる。第2層32の電気経路パターンは、略長方形状に構成されており、幅方向WDの長さが奥行き方向DDよりも長くなっている。第2層32の電気経路パターンは、奥行き方向DDにおいて、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3の接続位置から、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6の接続位置まで、繋がるように設けられている。つまり、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3と、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6との間に、2つの領域を仕切る絶縁領域が設けられていない。
また、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側の第1領域311及び第3領域321における経路幅(幅方向WDの長さ)は、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3のうち両端の間隔よりも広くなっている。同様に、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側の第2領域312及び第4領域322における経路幅(幅方向WDの長さ)は、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6のうち両端までの間隔よりも広くなっている。
第2層32において、奥行き方向DDの中央付近には、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3が配置されている第1領域311を基準として電流方向と直交する幅方向WDの長さが定められた領域が設けられている。より詳しくは、第2層32において、奥行き方向DDの中央付近には、第1領域311と比較して、電気経路パターンの経路幅が狭くなる領域(以下、括れ領域323と示す)が設けられている。より詳しく説明すると、第2層32の電気経路パターンには、奥行き方向DDの略中央において、幅方向WDの外側から幅方向WDに沿って直線状の切込み324が設けられている。すなわち、幅方向WDの外側から内側に向かって、直線状の絶縁領域324aが設けられている。
この切込み324は、幅方向WDにおける内側端部において、奥行き方向DDの両側に延びるように形成されている。すなわち、幅方向WDの外側から内側に沿って延びる絶縁領域324aの幅方向WDにおける内側端部には、奥行き方向DDの中央から外側に向かって、直線状の絶縁領域324bが設けられている。この切込み324により、第2層32の電気経路パターンには、奥行き方向DDの中央付近において、幅WD1(幅方向WDの長さ)、長さDD1(奥行き方向DDの長さ)の括れ領域323が形成されている。この括れ領域323は、複数の第1スイッチ素子Sa1〜Sa3が配置される第1領域311を基準として電流方向と直交する幅方向WDの長さが定められた設定領域といえる。
第2層32の電気経路パターンのうち、奥行き方向DDにおいて、括れ領域323又は絶縁領域324aよりも第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側の領域を、第3領域321と示し、括れ領域323又は絶縁領域324aよりも第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側の領域を、第4領域322と示す。第1層31と第2層32を重ねた場合、第3領域321は、第1領域311に含まれる。同様に、第1層31と第2層32を重ねた場合、第4領域322は、第2領域312に含まれる。
第2層32において、貫通ビア51〜54は、電気経路パターンと接続するように配置されている。詳しくは、第1層31において第1領域311に配置され、第1領域311と接続されている第1貫通ビア51は、第2層32において第3領域321に配置され、第3領域321と接続されている。すなわち、第1領域311と接続されている第1貫通ビア51は、奥行き方向DDにおいて、括れ領域323と重なる場合には、括れ領域323よりも第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側に配置され、第2層32の電気経路パターンと接続されている。一方、第1領域311と接続されている第1貫通ビア51は、奥行き方向DDにおいて、括れ領域323と重ならない場合には、絶縁領域324aよりも第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側に配置され、第2層32の電気経路パターンと接続されている。
また、第1層31において第2領域312に配置され、第2領域312と接続されている第2貫通ビア52は、第2層32において第4領域322に配置され、第4領域322と接続されている。すなわち、第2領域312と接続されている第2貫通ビア52は、奥行き方向DDにおいて、括れ領域323と重なる場合には、括れ領域323よりも第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側に配置され、第2層32の電気経路パターンと接続されている。一方、第2領域312と接続されている第2貫通ビア52は、奥行き方向DDにおいて、括れ領域323と重ならない場合には、絶縁領域324aよりも第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側に配置され、第2層32の電気経路パターンと接続されている。
すなわち、括れ領域323は、電気経路パターンにおいて、第1領域311及び第2領域312と接続されている貫通ビア51,52が配置されていない領域に設けられている。これにより、括れ領域323は、貫通ビア51,52を介して、第1領域311及び第2領域312と接続されていないこととなる。
一方、第2層32の括れ領域323に設けられ、括れ領域323と接続する第3貫通ビア53及び第4貫通ビア54は、第1層31において、第1領域311内及び第2領域312内の絶縁領域316,317に配置される。つまり、括れ領域323に設けられた貫通ビア53,54は、第1層31において、電気経路パターンを介して第1スイッチ素子Sa〜Sa6と接続されないように、第1領域311及び第2領域312と絶縁される絶縁領域316,317に配置されている。なお、第3層33は、第2層32と同じ構成をしているため、説明を省略する。
図11に基づき、第4層34について説明する。なお、図11の上側が、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側となり、第4層34を上方から見た図である。第4層34には、放熱パターン340が設けられている。第4層34の放熱パターン340は、2つに分かれている。第4層34の放熱パターン340のうち、奥行き方向DDにおいて、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側における領域を、第5領域341と示し、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側における領域を、第6領域342と示す。
第5領域341は、横長形状の領域であり、その長手方向が幅方向WDに沿って設けられている。また、第5領域341の長手方向の長さは、少なくとも、第1スイッチ素子Sa1から第1スイッチ素子Sa3までの幅よりも長くなっている。
同様に、第6領域342は、横長形状の領域であり、その長手方向が幅方向WDに沿って設けられている。また、第6領域342の長手方向の長さは、少なくとも、第1スイッチ素子Sa4から第1スイッチ素子Sa6までの幅よりも長くなっている。
第4層34において、第5領域341と第6領域342は、絶縁領域343により区切られている。すなわち、第4層34において、第5領域341と、第6領域342は、接続されていない。絶縁領域343は、幅方向WDの中央付近において奥行き方向DDの長さ(幅)が大きくなっている。
また、第1層31と第4層34を重ねた場合、第5領域341は、第1領域311に含まれる。同様に、第1層31と第4層34を重ねた場合、第6領域342は、第2領域312に含まれる。第2層32(又は第3層33)と第4層34を重ねた場合、第5領域341は、第3領域321とほぼ重なり、括れ領域323と重ならない。同様に、第2層32(又は第3層33)と第4層34を重ねた場合、第6領域342は、第4領域322とほぼ重なり、括れ領域323と重ならない。
また、第2層32(又は第3層33)と第4層34を重ねた場合、括れ領域323は、第5領域341と第6領域342の間に設けられた絶縁領域343にほぼ含まれる。すなわち、絶縁領域343の中央部分における幅方向WDの長さは、括れ領域323の幅WD1とほぼ同じであり、絶縁領域343の中央部分における奥行き方向DDの長さは、括れ領域323の長さDD1とほぼ同じである。また、絶縁領域343の中央位置と、括れ領域323の中央位置がほぼ同じである。
なお、奥行き方向DDの中央付近に設けられた絶縁領域343には、幅方向WDの中央において、第5領域341と接続される配線状の電気経路パターン344と、第6領域342と接続される配線状の電気経路パターン345が設けられている。これらの電気経路パターン344,345は、図示しない電流検出回路又は電圧検出回路の端子とそれぞれ接続されている。この電気経路パターン344,345を介して、電流検出回路又は電圧検出回路は、第1スイッチ素子Sa1〜Sa6の間(すなわち、第1スイッチSW1)における電流又は電圧を検出し、検出結果を制御部としてのマイコン80等に出力する。
第4層34において、第5領域341には、複数の第1貫通ビア51が配置されており、第5領域341と接続されている。第5領域341と接続されている第1貫通ビア51は、第1層31において、第1領域311に配置され、第1領域311と接続されている。また、第5領域341と接続されている第1貫通ビア51は、第2層32及び第3層33において、第3領域321に配置されており、第3領域321と接続されている。すなわち、第5領域341と接続されている複数の第1貫通ビア51は、括れ領域323に配置されていない。
具体的には、第5領域341と接続されている第1貫通ビア51は、第2層32において、奥行き方向DDにおいて、括れ領域323と重なる場合には、括れ領域323よりも第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側に配置されている。一方、第5領域341と接続されている第1貫通ビア51は、第2層32において、奥行き方向DDにおいて、括れ領域323と重ならない場合には、絶縁領域324aよりも第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側に配置されている。
同様に、第4層34において、第6領域342には、複数の第2貫通ビア52が配置されており、第6領域342と接続されている。第6領域342と接続されている第2貫通ビア52は、第1層31において、第2領域312に配置され、第2領域312と接続されている。また、第6領域342と接続されている第2貫通ビア52は、第2層32及び第3層33において、第4領域322に配置されており、第4領域322と接続されている。すなわち、第6領域342と接続されている第2貫通ビア52は、括れ領域323に配置されていない。
具体的には、第6領域342と接続されている第2貫通ビア52は、第2層32(又は第3層33)において、奥行き方向DDにおいて、括れ領域323と重なる場合には、括れ領域323よりも第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側に配置されている。一方、第6領域342と接続されている第2貫通ビア52は、第2層32(又は第3層33)において、奥行き方向DDにおいて、括れ領域323と重ならない場合には、絶縁領域324aよりも第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側に配置されている。
また、第4層34において、第5領域341と第6領域342との間の絶縁領域343には、第3貫通ビア53及び第4貫通ビア54が配置される。これらの貫通ビア53,54は、第1層31において、絶縁領域316,317内に配置されており、第1層31の電気経路パターンと接続されていない。また、第5領域341と第6領域342との間の絶縁領域343に配置された貫通ビア53,54は、第2層32及び第3層33において、括れ領域323内に配置され、括れ領域323と接続されている。
ここで、貫通ビア51〜54が各層においてどのように配置されているかについて説明する。第1層31において、第1領域311に接続された第1貫通ビア51は、第2層32(及び第3層33)において、第3領域321と接続され、第4層34において、第5領域341と接続されている。第1層31において、第2領域312に接続された第2貫通ビア52は、第2層32(及び第3層33)において、第4領域322と接続され、第4層34において、第6領域342と接続されている。第1領域311内の絶縁領域316に配置された第3貫通ビア53は、第2層32(及び第3層33)において、括れ領域323と接続され、第4層34において、絶縁領域343内に配置されている。第2領域312内の絶縁領域316に配置された第4貫通ビア54は、第2層32(及び第3層33)において、括れ領域323と接続され、第4層34において、絶縁領域343内に配置されている。
次に、電流の流れについて説明する。図9〜図11において、電流の流れを矢印で示す。なお、本実施形態では、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側から、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側へ電流が流れるものとして説明する。この場合、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3が、第1回路素子であり、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6が、第2回路素子となる。第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側から、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側へ電流が流れる場合も電流の方向が違うだけで同様である。
図9に示すように、第1スイッチ素子Sa1〜Sa6の各ゲート端子に信号が入力されている場合(通電状態となる場合)、外部の電圧源から入力された電流が、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3の各ドレイン端子を介して第1領域311へ流れる。電圧源としては、例えば、ISG200や電池モジュール20等がある。第1領域311に流れた電流は、第1領域311と接続されている複数の第1貫通ビア51を介して、第2層32及び第3層33の第3領域321に流れる。
この際、第1領域311と接続されている第1貫通ビア51は、第2層32及び第3層33において、括れ領域323に配置されていない。このため、電流が、第1領域311と接続されている第1貫通ビア51から括れ領域323に直接流れることはない。
そして、図10に示すように、第2層32及び第3層33において、電気経路パターンに沿って第3領域321→括れ領域323→第4領域322の順番に、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側から第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側へ電流が流れる。
その後、第4領域322に接続されている第2貫通ビア52を介して、第1層31における第2領域312に電流が流れる。図9に示すように、第2領域312に流れた電流は、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6の各ドレイン端子を介して、外部の電気負荷へと流れていく。電気負荷としては、第1電気負荷202、第2電気負荷203又は電池モジュール20等がある。このように回路基板30の各層に設けられた電気経路パターンに沿って電流が流れる。
第1領域311と第2領域312は、接続されていないので、第1領域311から第2領域312へ直接電流が流れることはない。同様に、第5領域341と第6領域342は、直接接続されていないので、第5領域341から第6領域342へ直接電流が流れることはない。なお、第5領域341と第6領域342は、電気経路パターン344,345及び電流検出回路(または電圧検出回路)を介して接続されており、これらの経路を介して電流が流れることはありうる。ただし、電流検出回路(または電圧検出回路)の回路特性は、回路基板30における電気経路パターンの回路特性と比較して、きわめて大きいため、電流が流れたとしても、流れる電流は無視できるほどわずかである。
このように回路基板30を通過する電流は、必ず、第2層32及び第3層33の括れ領域323を通過する。この括れ領域323は、回路基板30における電気経路パターンにおいて、他の経路よりも経路幅が狭くなっており、電流が最も流れにくい。経路幅は、電流が流れる電流方向と直交する方向における幅のことである。このため、電気経路パターンにおける電流の流れにくさを示す回路特性(抵抗やインピーダンス)は、括れ領域323の長さ及び幅により、決定されることとなる。なお、厚さは、ほぼ均一であるため、導電層の厚さは、回路特性に影響は与えない。すなわち、括れ領域323の幅WD1及び長さDD1に基づき、電気経路パターンの回路特性を設定可能に構成されているといえる。
また、経路幅が狭くなる括れ領域323は、電流が流れにくくなっている(インピーダンスが大きい)ため、他の領域(第3領域321や第4領域322等)と比較して熱が発生しやすい。このため、この括れ領域323を、貫通ビアを介して放熱パターンと接続し、放熱することが望ましい。
しかしながら、放熱パターンも導電性を有しているため、放熱パターン同士を接続すると、括れ領域323を迂回して、すなわち、放熱パターンを介して電流が流れる可能性がある。この場合、回路特性に影響を与えることとなり、括れ領域323の形状によって回路特性を定めることができなくなる。例えば、第4層34において、電位が異なる貫通ビアが、放熱パターンを介して接続されている場合、括れ領域323を迂回して、放熱パターンに電流が流れる。この場合、括れ領域323の形状だけでは、回路特性が定められない。そこで、本実施形態の回路基板30では、以下のように構成した。
第4層34には、導電体(例えば、銅箔)により薄膜状に形成された放熱パターン61,62が設けられている。このため、第4層34は、放熱層といえる。この放熱パターン61,62は、第5領域341と第6領域342との間の絶縁領域343に配置される。また、第4層34と第2層32(又は第3層33)を重ねた場合、放熱パターン61,62は、括れ領域323に含まれるように配置される。
第5領域341と第6領域342との間の絶縁領域343には、複数の放熱パターン61,62が設けられており、各放熱パターン61,62は、それぞれ長方形状に形成されている。そして、各放熱パターン61,62は、奥行き方向DDにおいて2列、幅方向WDに12列で配列されている。
また、放熱パターン61,62には、貫通ビア53,54が配置されており、この貫通ビア53,54とそれぞれ接続されている。すなわち、放熱パターン61,62は、貫通ビア53,54毎に独立して設けられている。具体的には、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3側に配列されている放熱パターン61は、それぞれ第3貫通ビア53が配置され、第3貫通ビア53と接続されている。また、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6側に配列されている放熱パターン62は、それぞれ第4貫通ビア54が配置され、第4貫通ビア54と接続されている。その一方、各放熱パターン61,62は、貫通ビア53,54ごとに絶縁領域343により区切られている。
各放熱パターン61,62と接続される貫通ビア53,54は、前述したように、第2層32及び第3層33において、括れ領域323に配置され、括れ領域323と接続されている。また、各放熱パターン61,62と接続される貫通ビア53,54は、第1層31において、絶縁領域316,317に配置され、第1層31の電気経路パターンと接続されていない。
このように放熱パターン61,62を、独立して設けたことにより、第2層32及び第3層33において、括れ領域323に設けられた貫通ビア53,54と接続されていたとしても、第4層34において放熱パターン61,62を介して電流が流れることがない。同様に、第1層31において、括れ領域323に設けられた貫通ビア53,54を介して、電流が流れることがない。
より詳しくは、括れ領域323と接続される貫通ビア53,54は、電流方向に沿って2列設けられている。電流方向は、第1スイッチ素子Sa1〜Sa6の配置と、電気経路パターンにより定められる。本実施形態において、括れ領域323は、奥行き方向DDに沿って直線状に設けられており、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3と、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6は、奥行き方向DDに並べて配置されている。このため、括れ領域323において、電流方向は、奥行き方向DDに沿った方向となる。
括れ領域323では、第3領域321等の経路幅が広い領域と比較して、電流が流れにくくなっている(インピーダンスが大きくなっている)。このため、括れ領域323では、電流方向における位置が異なる場合、電位も異なることとなる。すなわち、括れ領域323において、第3貫通ビア53の電位と、第3貫通ビア53とは電流方向の位置が異なる第4貫通ビア54の電位と、は異なることとなる。
しかしながら、第4層34において、貫通ビア53,54と接続される放熱パターン61,62は、絶縁領域343により区切られ、互いに独立して設けられている。つまり、第4層34において、第3貫通ビア53と接続される放熱パターン61と、第4貫通ビア54と接続される放熱パターン62は、接続されていない。このため、電位が異なる貫通ビア53,54同士が、放熱パターン61,62を介して接続されることがなく、放熱パターン61,62を介して電流が流れることがない。また、括れ領域323では、電流が流れにくくなっているため、発熱しやすいが、括れ領域323に発生する熱は、複数の貫通ビア53,54を介して、放熱パターン61,62に伝達される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
第1スイッチ素子Sa1〜Sa6からの電流が流れる電気経路パターンが設けられた導電層(第1層31〜第3層33)とは別の層(第4層34)に、放熱パターン61,62を設けた。これにより、第1層31〜第3層33に設けた電気経路パターンと干渉されることなく、放熱パターン61,62の大きさを設定することができ、放熱効率を向上させることができる。すなわち、露出面積を大きくすることができ、放熱効率を向上させることができる。また、複数の貫通ビア53,54を介して、電気経路パターンを放熱パターン61,62に接続しているため、1つの貫通ビアを介して接続している場合と比較して、効率的に放熱することができる。
ところで、電流方向において異なる位置に配置された複数の貫通ビア53,54が、放熱パターンを介して互いに接続されていると、電気経路パターンを迂回して、放熱パターンにも電流が流れる場合がある。この場合、電流の流れにくさを示す回路特性(例えば、抵抗やインピーダンスなど)は、電気経路パターンだけでなく、放熱パターンの形状や繋がり方などによっても影響を受ける場合がある。そこで、電流方向において異なる位置に配置された複数の貫通ビア53,54のいずれかと接続される放熱パターン61,62は、第4層34において絶縁領域343により区切られることにより、当該放熱パターン61,62と接続されている貫通ビア53,54と異なる位置に配置された貫通ビア53,54と接続されている放熱パターン61,62とは、互いに独立して設けられているようにした。これにより、放熱パターン61,62に電流が流れることがなく、電気経路パターンによって回路特性が定まる。すなわち、放熱パターン61,62による回路特性への影響を抑制することができる。
第1スイッチ素子Sa1〜Sa3から、第1スイッチ素子Sa4〜Sa6へ、電流が流れる電気経路パターンのうち、経路幅が他よりも狭い括れ領域323ではほかの広い領域(第3領域321、第4領域322等)と比較して電流が流れにくくなる。これにより、電流が括れ領域323を通過する場合、発熱量が多くなる。このため、当該括れ領域323と放熱パターン61,62を接続することにより、効率的に放熱することができる。また、経路幅が他よりも狭い括れ領域323では広い領域と比較して電流が流れにくくなるため、電気経路パターンの回路特性は、この狭い領域によって定められるといえる。
しかしながら、そのような括れ領域323に配置され、かつ、電流方向において異なる位置に配置された複数の貫通ビア53,54が放熱パターンを介して互いに接続されていると、電流が流れにくい括れ領域323を迂回して、電流が流れる場合がある。この場合、電気経路パターンの回路特性が、経路幅が他よりも狭い括れ領域323における電流の流れにくさだけで決まらなくなる。そこで、貫通ビア53,54を介して当該経路幅が狭い括れ領域323と接続されている放熱パターン61,62を、互いに独立して設けることとして、電気経路パターンの回路特性が、経路幅が他よりも狭い括れ領域323における電流の流れにくさで定まるようにした。これにより、電気経路パターンにおける回路特性の設定が容易となる。
電気経路パターンは、並列に接続されている複数の第1スイッチ素子Sa1〜Sa3と、並列に接続されている複数の第1スイッチ素子Sa4〜Sa6と、を直列に接続するものである。このため、1つずつ第1スイッチ素子が直列に接続されている場合と比較して、大きな電流が流れる場合がある。この場合であっても、放熱パターン61,62を介して電流が流れることがないため、回路特性に影響を与えることなく、適切に放熱することができる。
第1スイッチ素子Sa1〜Sa6は、2列に配列されており、電気経路パターンは、その間を繋ぐように直線状に設けられている。このため、電流方向は、第1スイッチ素子Sa1〜Sa6の配置、及び電気経路パターンの形状により定めることができる。これにより、電流方向の位置が異なる貫通ビア53,54を適切に判断し、当該貫通ビア53,54が放熱パターン61,62によって接続されないように、適切な放熱パターン61,62を定めることができる。
電気経路パターンは、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3が配置される第1領域311における経路幅が、第1スイッチ素子Sa1と第1スイッチ素子Sa3との間隔よりも広くなるように設けられている。その一方、括れ領域323は、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3が配置される第1領域311における経路幅よりも狭くなっている。このため、電気経路パターンにより、第1スイッチ素子Sa1〜Sa3から電流が集められ、集められた電流が、経路幅の狭い括れ領域323に流れることとなる。すなわち、括れ領域323が、電流の流れにくい領域であり、他の領域よりも発熱量が大きいことを容易に特定することができる。また、括れ領域323により、電気経路パターンの回路特性が定められることを認識できる。このように、発熱量が大きく、回路特性に影響を与えうる領域を特定できるため、第4層34に、適切な放熱パターン61,62を設けることができる。
前記電気経路パターンには、括れ領域323よりも経路幅が広い第3領域321があり、第5領域341は、第3領域321に配置されている第1貫通ビア51を接続するように、繋げられている。経路幅が広い第3領域321を電流が迂回することはほとんどないため、電気経路パターンの回路特性への影響は少ない。このため、第5領域341を繋げることにより、絶縁領域を少なくし、放熱効率を向上させることができる。第6領域342についても同様である。
放熱パターン61,62が設けられる第4層34は、外層に配置される。このため、第1基板35〜第3基板37間の間に設けられる中間層(第2層32及び第3層33)に設ける場合と比較して、外部と接触する面積が大きく、放熱効率を向上させることができる。
回路基板30の両側の外層(第1層31と第4層34)のうち、第1層31にスイッチ素子や温度検出素子314等の回路素子が配置され、第4層34に放熱パターン61,62が設けられた。このため、回路素子に干渉されることなく、放熱パターン61,62の面積を大きくすることができる。また、回路素子の配置が容易となる。
回路基板30は、ベース部材40に設けられた対向面45aに載置されるものであり、放熱パターン61,62は、対向面45aと対向するように配置されている。これにより、放熱パターン61,62からの熱を対向面45aに伝達しやすくし、放熱効率を向上させることができる。
また、放熱パターン61,62は、絶縁シート46を介して、対向面45aと対向するように配置されている。このため、放熱パターン61,62と対向面45aとにより、コンデンサを形成することができる。これにより、放熱パターン61,62を介して、電気経路パターンに生じるノイズを除去することができる。また、絶縁シート46を介在させることにより、放熱パターン61,62と対向面45aとからなるコンデンサの容量を大きくすることができる。つまり、効果的にノイズを除去することができる。同時に、放熱パターン61,62が対向面45aと接触することを確実に防止でき、放熱パターン61,62から対向面45aを介して電流が流れることを防止できる。
回路基板30は、車載電源システムの電源装置10に適用され、スイッチ素子を接続する電気経路パターンが設けられているため、大電流が流れうる。このため、放熱パターン61,62による回路特性への影響を抑制しつつ、放熱効率を向上させることにより、大電流が流れうる回路基板30として適切なものとなる。
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
・電流方向と直交する方向(括れ領域323においては幅方向WD)に沿った直線上に設けられた複数の貫通ビアは、電位が同じとなる。すなわち、第3貫通ビア53と接続される放熱パターン61同士を互いに接続しても、電流が流れない。同様に、第4貫通ビア54と接続される放熱パターン62同士を互いに接続しても、電流が流れない。そこで、電位が同じとなる複数の第3貫通ビア53と接続される放熱パターン61を互いに接続してもよい。同様に、電位が同じとなる複数の第4貫通ビア54と接続される放熱パターン62を互いに接続してもよい。これにより、各放熱パターン61,62を独立して設ける際に必要となる絶縁領域を小さくして、放熱パターン61,62を大きくすることができる。すなわち、放熱パターン61,62による回路特性への影響を抑制しつつ、放熱効率を向上させることができる。
・上記実施形態において、電位が同じとなる貫通ビアと接続されている放熱パターンを繋げてもよい。
・貫通ビアの数及び配置を変更してもよい。また、電気経路パターン及び放熱パターンの形状を変更してもよい。
・第1層31〜第4層34を貫通する貫通ビア51〜54を利用して、各層を接続したが、すべての層を貫通させて、接続する必要はない。例えば、特定の層間だけを接続する接続ビア(ブラインドビア)を設けてもよい。具体的には、括れ領域323に配置されるビアは、第1基板35を貫通していなくてもよい。
・放熱パターン61,62を、外層である第1層31に設けてもよい。また、中間層である第2層32又は第3層33に設けてもよい。
・対向面45aと離間しているのであれば、絶縁シート46を設けなくてもよい。例えば、所定距離だけ回路基板30を浮かせて配置してもよい。
・放熱パターン61,62が対向面45aと対向するように、回路基板30を載置しなくてもよい。例えば、回路基板30を立てて配置してもよい。
・上記実施形態において、絶縁層(基板)の積層数を任意に変更してもよい。同様に、導電層の積層数を任意に変更してもよい。
・電気経路パターンに、括れ領域323を設けなくてもよい。この場合、第4層34において、各貫通ビア51〜54毎に、放熱パターンを独立して設けることが望ましい。