1.第1の実施形態
1.1構造
図1に、この発明の一実施形態による軸体検査装置を示す。軸体搬送部である搬送ガイド34は、左右ガイド部材34a、34bの間にガイド空間36を有している。ガイド空間36の幅は、検査対象であるネジ32の頭部32aより狭く、ネジ32の本体部32bより広く構成されている。また、搬送ガイド34は、矢印38の方向に向かって、徐々に低くなるように構成されている。ネジ32の構成は、図3を参照のこと。
したがって、ネジ32は、頭部32aをガイド部材34a、34bによって支えられながら、搬送中心線40に沿って、矢印38の方向に搬送されることになる。
搬送ガイド34の先端部近傍には、軸体保持円盤42が設けられている。軸体保持円盤42は、モータなどの駆動手段(図示せず)により、矢印46の方向に回転させられる。なお、図において、軸体保持円盤42以外の部材は、回転せず固定されている。軸体保持円盤42の外周には、所定間隔にて凹部44が設けられている。図2に示すように、凹部44の幅Wは、ネジ32の頭部32aより狭く、ネジ32の本体部32bより広く構成されている。したがって、凹部44によって、ネジ32の頭部32aを支えることが可能となっている。また、凹部44の深さDは、ネジ32の本体部32bの径より大きく形成されている。したがって、凹部44により、確実にネジ32を保持することができる。また、搬送ガイド34から凹部44にネジ32を移動させる場合に、確実に凹部44によってネジ32を保持することができる。
図1に戻って、搬送ガイド34の先端部近傍には空気を吹き付けるためのノズル86が設けられている。ネジ32が搬送ガイド34の先端部付近まで来ると、ノズル86から空気が吹き付けられ、ネジ32は軸体保持円盤42の凹部44に飛ばされる。このようにして、ネジ32は搬送ガイド34から軸体保持円盤42に移動させられる。軸体保持円盤42の外周には、わずかな隙間を空けて、ガード部材43が設けられている。ガード部材43は、回転せず固定されている。
軸体保持円盤42の外周上には、凹部44にネジ32が保持されているかどうかを判断するための光センサ70、72、74が設けられている。光センサ70の詳細を、図3に示す。発光素子70aに対向するように受光素子70bが設けられている。したがって、凹部44にネジ32が保持されていれば、発光素子70aからの光が遮られ、保持されていなければ、発光素子70aからの光は遮られない。これにより、受光素子70bからの出力があれば(受光すれば)ネジ32が保持されておらず、出力がなければ(受光しなければ)ネジ32が保持されていると判断することができる。他の光センサ72、74も同様の構成である。
図1に戻って、インデックス用の光センサ82も設けられている。図4に、光センサ82の詳細を示す。発光素子82aと受光素子82bが、軸体保持円盤42を挟むように設けられている。凹部44の部分においては受光素子82bが光を受光し、凹部44のない部分においては受光素子82bが光を受光しない。したがって、受光素子70bからの出力があれば(受光すれば)凹部44であり、出力がなければ(受光しなければ)凹部44でないと判断することができる。
これら光センサ70、72、74、82の出力は、制御部84に与えられている。
また、軸体保持円盤42上には、不良品のネジ32を不良品回収通路92に落とすための不良品脱落ノズル88、良品のネジ32を良品回収通路94に落とすための良品脱落ノズル90が設けられている。これらノズル88、90は、制御部84によって制御される。
頭部全周撮像カメラ79が設けられている。頭部全周撮像カメラ79近傍の断面図を、図5Aに示す。頭部全周撮像カメラ79は、ネジ32の頭部32aに対し、斜め方向から撮像を行うように配置されている。図5Aに示す頭部全周撮像カメラ79近傍を、下側から見た図を、図5Bに示す。
ガード部材43の下側には、下部当接受支部材である合成樹脂製の受け部材136が、本体部32bに外側から当接するように設けられている。なお、受け部材136は、本体部32bと同程度の長さもしくはそれ以上の長さであることが好ましい。
軸体保持円盤42の下側には、下部当接移動部材であるゴムチューブ130が設けられている。このゴムチューブ130は、リング状に形成されており、フランジ付きベアリング132、132、駆動ローラ134を結ぶように巻回されている。フランジ付きベアリング132、132、駆動ローラ134は、そのフランジによってゴムチューブ130を保持し、脱落を防止している。フランジ付きベアリング132、132は、ネジ32の本体部32bにゴムチューブ130が内側から当接するように、ネジ32に沿って配置されている。
駆動ローラ134は、モータ(図示せず)によって回転駆動される。この実施形態では、矢印47の方向に回転するようにしている。つまり、本体部32bに接するゴムチューブ130は、軸体保持円盤42の回転方向46と同じ方向に移動する。なお、ゴムチューブ130を用いているので、本体部32bとの当接により容易に変形し、接触抵抗を高めることができる。
この実施形態では、ゴムチューブ130の移動速度を、軸体保持円盤42の回転による移動速度よりも速くしている。したがって、ネジ32は、図5Bの図面において反時計方向49に、つまり、上面から見ると時計方向に回転(自転)する。頭部全周撮像カメラ79は、このように自転しながら、矢印46の方向に移動するネジ32の頭部32aを、連続的に撮像する。つまり、連続して複数の静止画を撮像する。撮像するタイミングは、たとえば、90度回転する毎に撮像するようにすればよい。
なお、頭部全周撮像カメラ79による撮像範囲(たとえば、70mmの範囲)に頭部32aが入ってから、抜けるまでの間に、頭部32aが少なくとも1回転するように、ゴムチューブ130の移動速度を設定することが好ましい。これにより、頭部32aの全周の静止画を得ることができるからである。なお、この実施形態では、上記撮像範囲において、ほぼ2回転するようにゴムチューブ130の移動速度を設定している。
図1に戻って、本体部全周撮像カメラ80が設けられている。本体部全周撮像カメラ80近傍の断面図を、図6Aに示す。本体部全周撮像カメラ80は、ネジ32の本体部32bに対し、斜め下方向から撮像を行うように配置されている。図6Aに示す本体部全周撮像カメラ80近傍を、上側から見た図を、図6Bに示す。なお、図6Bにおいては、保持板111を省略している。
ガード部材43の上側には、上部当接支持部材であるゴムチューブ120が、頭部32aの外側から当接するように設けられている。このゴムチューブ120は、リング状に形成されており、フランジ付きベアリング122、122を結ぶように巻回されている。フランジ付きベアリング122、122は、そのフランジによってゴムチューブ120を保持し、脱落を防止している。フランジ付きベアリング122、122は、ネジ32の頭部32aにゴムチューブ120が外側から当接するように、ネジ32に沿って配置されている。また、フランジ付きベアリング122、122の内の一つは、ネジ32から離れた位置に配置されている。したがって、フランジ付きベアリング122、122は、ほぼ三角形に配置される。これらフランジ付きベアリング122、122は、軸体保持円盤42、ガード部材43の上部に設けられた保持板111に固定されている。保持板111は、軸体保持円盤42の回転と共に回転するものではなく、固定されている。
なお、フランジ付きベアリング122、122はいずれも、モータなどの駆動源に接続されていないので自ら回転しないが、ネジ32の頭部32aの回転や移動に伴なうゴムチューブ120の移動を受けて回転する。
軸体保持円盤42の上側には、上部当接移動部材であるゴムチューブ110が設けられている。このゴムチューブ110は、リング状に形成されており、フランジ付きベアリング112、112、駆動ローラ114を結ぶように巻回されている。フランジ付きベアリング112、112、駆動ローラ114は、そのフランジによってゴムチューブ110を保持し、脱落を防止している。フランジ付きベアリング112、112は、ネジ32の頭部32aにゴムチューブ110が内側から当接するように、ネジ32に沿って配置されている。
駆動ローラ114は、モータ(図示せず)によって回転駆動される。この実施形態では、矢印47の方向に回転するようにしている。なお、図6Bの駆動ローラ114と、図5Bの駆動ローラ134は、同じ回転方向であるが、図5Bが下側から見た図、図6Bが上側から見た図となっているため、図面上では逆方向の矢印となっている。上記駆動ローラ114の回転により、頭部32aに接するゴムチューブ110は、軸体保持円盤42の回転方向46と同じ方向に移動する。
この実施形態では、ゴムチューブ110の移動速度を、軸体保持円盤42の回転による移動速度よりも速くしている。したがって、ネジ32は、図6Bの図面において時計方向49に回転(自転)する。本体部全周撮像カメラ80は、このように自転しながら、矢印46の方向に移動するネジ32の本体部32bを、連続的に撮像する。つまり、連続して複数の静止画を撮像する。撮像するタイミングは、たとえば、90度回転する毎に撮像するようにすればよい。
なお、本体部全周撮像カメラ80による撮像範囲(たとえば、70mmの範囲)に本体部32bが入ってから、抜けるまでの間に、本体部32bが少なくとも1回転するように、ゴムチューブ110の移動速度を設定することが好ましい。これにより、本体部32bの全周の静止画を得ることができるからである。なお、この実施形態では、上記撮像範囲において、ほぼ2回転するようにゴムチューブ110の移動速度を設定している。
なお、上記実施形態では、上部当接部材としてゴムチューブ120を用いている。これにより、頭部32aの形状が円形でなくとも、適切にゴムチューブ120が変形して頭部32aに当接させることができる。しかし、上部当接部材として、合成樹脂部材を用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、下部当接部材として合成樹脂による受支部材140を用いている。しかし、下部当接部材としてゴムチューブを用いるようにしてもよい。
図7に制御回路の詳細を示す。CPU100には、操作用のタッチパネル102、ハードディスク104、ノズル86、88、90、センサ70、72、74、インデックス用センサ82、頭部全周撮像カメラ79、本体部全周撮像カメラ80が接続されている。ハードディスク104には、各部を制御するための制御プログラム106が記録されている。
なお、図1においては、ネジ32を自転させながら撮像するカメラ79、80を示している。特許5496930、特開2013−63050などに示されるように、ネジ32が自転しない状態で、その長さや頭部の形状を撮像して検査するためのカメラも設けられているが、図においては省略している。
1.2検査処理
制御プログラム106のフローチャートを図8〜図11に示す。なお、以下では、各処理が順次行われるように記載しているが、並列して処理を行うようにしてもよい。CPU100は、インデックス用センサ82が凹部44を検出したかどうかを判断する(ステップS1)。凹部44を検出すると、当該凹部にインデックスIDを付す(ステップS2)。回転する軸体保持円盤42の凹部44を検出するごとに、順次、「1」「2」「3」・・・「30」「1」「2」・・・というようにインデックスIDを、循環的に付していく。たとえば、図12に示すように、軸体保持円盤42に30個の凹部44が設けられていた場合、1〜30までのインデックスIDが、各凹部44に付されることになる。
図12に示すように、インデックス用センサ82と、ネジ32が搬送ガイド34によって移送される位置、各センサ70、72、74の位置、カメラ79、80の位置などとの関係は予め定まっている。したがって、インデックス用センサ82に位置する凹部44のインデックスIDを特定することにより、他のセンサなどの位置にある凹部44のインデックスIDも特定することができる。
CPU100は、ノズル86を駆動し、搬送ガイド34からのネジ32を凹部44の方向に押す(ステップS3)。なお、フローチャートでは、凹部44にインデックスIDを付与した後に、ノズル86の駆動を行うように示しているが、実際には、インデックス用センサ82が凹部44を検出すると同時に、ノズル86の駆動が行われる(以下の処理において同様である)。
図12に示すように、インデックス用センサ82が凹部44にインデックスIDとして「1」を付与した場合には、インデックスID「29」が付与されている凹部44にネジ32が収納されることになる。
また、CPU100は、センサ70の出力を取得してネジ32の有無を記録する(ステップS4)。ここでは、図12に示すように、インデックスID「23」が付与されている凹部44にネジが収納されているか否かを判断する。本来は、センサ70の位置に来た全ての凹部44にネジ32が収納されるが、搬送ガイド34からの搬送が遅れるなどの理由によって、ネジ32が収納されない凹部44も存在する。ネジ32の有無は、図13に示すようなテーブルとして、ハードディスク104に記録される。
CPU100は、カメラ79、80の位置にネジ32が存在するかどうかを判断する(ステップS5)。これを判断するためには、カメラ79、80の位置にある凹部44に付されたインデックスIDを特定する。さらに、テーブルを参照して、当該インデックスID(ここでは「19」「15」)にネジ「有」と記録されているか「無」と記録されているかを判断すればよい。ここでは、図13に示すように、「有」と記録されているので、ステップS6、S7を実行する。なお、ステップS5において、カメラ79、80の位置にネジ32が存在しない場合、当該ネジ32が存在しない凹部44についてステップS6、S7は実行しない。これにより、無駄な撮像処理を行わないようにすることができる。
CPU100は、カメラ79、80からの画像を取り込む(ステップS6)。この実施形態では、自転するネジ32の全周方向からの複数の画像を取り込むことになる。続いて、CPU100は、取得した各画像に基づいて、ネジ32の頭部の形状、ねじ山の形状などが規格内にあるかどうかを判断する。判断結果を、図14のテーブルに記録する(ステップS7)。CPU100は、カメラ79による判定結果(頭部良否)と、カメラ80による判定結果(本体部良否)を、対応するインデックスIDに記録する。この実施形態では、傷やヒビの有無により、良否を判断している。
CPU100は、ステップS11において、不良品脱落ノズル88(センサ72)の位置に、ネジ32が存在するか否かを判断する。存在すれば、当該ネジ32に異常処理フラグが付されているかどうかを判断する(ステップS12)。なお、平常状態では、異常処理フラグは付されていないので、ステップS13に進む。なお、異常処理フラグについては後述する。
ステップS13において、CPU100は、当該ネジ32が不良であるかどうかを判断する。頭部良否、本体部良否ともに「良」であれば、「良」であると判断する。頭部良否、本体部良否のいずれか一方でも「否」であれば、「不良」であると判断する。
不良(「否」)であれば、CPU100は、不良品脱落ノズル88を作動し、凹部44からネジ32を脱落させる(ステップS14)。脱落した不良品のネジ32は、不良品回収路92(図1参照)を介して、不良品回収部(図示せず)に回収される。さらに、CPU100は、センサ72の出力により、ネジ32が脱落されたかどうかを判断する(ステップS15)。予定どおり脱落していれば、ステップS16に進む。脱落していない場合には、異常処理を行う。異常処理については、後述する。
ステップS13において、CPU100は、ネジ32が不良でなければ、ステップS16に進む。
なお、ここでは、図13に示すように、不良品脱落ノズル88の位置(インデックスID「10」)にあるネジ32は、不良品であるので、ステップS14、S15が実行される。
ステップS16において、CPU100は、良品脱落ノズル90(センサ74)の位置に、ネジ32が存在するかどうかを判断する。存在すれば、ステップS17において、当該ネジ32に異常処理フラグが付いているかどうかを判断する。ここでは、異常処理フラグが付いていないものとして説明を進める。ステップS18において、CPU100は、良品回収通路94を良品回収箱200に向ける(図14参照)。なお、通常の状態では、進路変更板204は実線の位置にあり、良品回収通路94は良品回収箱200に向いているので、そのままの状態とする。
CPU100は、良品脱落ノズル90を作動させ、凹部44にある良品のネジ32を、良品回収通路94に脱落させる。これにより、良品のネジ32は、良品回収箱300に回収される。なお、仮に、良品のネジ32が、良品脱落ノズル90によっても落ちなかった場合には、図1に示す強制脱落ガイド96によって良品回収通路94に落とすことができる。強制脱落ガイド96は、頭部32aに当接し、徐々にネジ32を軸体保持円盤42の外周に押しやり、最後には脱落させるものである。
以上の処理が終了すると、CPU100は、ステップS1以下を繰り返し実行する。
(異常処理について)
次に、ステップS14において、不良品のネジ32を凹部44から脱落させようとしたにもかかわらず、ネジ32が落ちなかった場合について説明する。これを放置すると、不良品のネジ32は、良品脱落ノズル90または強制脱落ガイド96によって、良品回収通路94に落とされることになってしまう。これでは、良品の中に不良品が混入してしまうことになる。
そこで、この実施形態では、不良品であると判断したネジ32が、不良品脱落ノズル88によって落ちなかった場合(ステップS15)、次のような異常処理を行うようにしている。CPU100は、図13に示すテーブルの全てのネジ(全てのインデックスID)に対して、異常処理フラグを記録する(ステップS20)。次に、CPU100は、良品回収通路94を仕掛品回収箱302に向ける(ステップS21)。
図14に、良品回収通路94の側断面を示す。良品回収通路94の底部には、軸306を中心として回動可能な進路変更板304が設けられている。進路変更板304は、通常の状態においては、図の実線に示す位置に保持されている。したがって、良品回収通路94に落とされたネジ32は、良品回収箱300に回収される。
CPU100は、ステップS21において、モータなどの駆動手段(図示せず)を制御して、進路変更板304を二点鎖線で示す状態に回動させる。これにより、良品回収通路94に落とされたネジ32は、仕掛品回収箱302に回収されることになる。
したがって、ステップS14において、脱落されるべきであったにもかかわらず、凹部44に残ってしまった不良品のネジ32は、ステップS19において、良品回収通路94に落とされるが、仕掛品回収箱302に回収されることになる。
また、この実施形態では、上記の異常が生じた時点で軸体保持円盤42に保持されている全てのネジ32に対して異常フラグを記録している。したがって、以後、CPU100は、これら異常処理フラグが記録されているネジ32を、良品回収通路94に落とし、仕掛品回収箱302に回収する(ステップS12、S17、S19)。
なお、脱落されるべきであったにもかかわらず、凹部44に残ってしまった不良品のネジ32だけを、仕掛品回収箱302に回収するようにしてもよい。この実施形態では、安全をみて、異常が生じた時点で軸体保持円盤42に保持されている全てのネジ32を仕掛品回収箱302に回収するようにしている。
異常処理フラグの記録されていないネジ32(異常が起こった後に、軸体保持円盤42に保持されたネジ32)が見いだされると、CPU100は、良品回収通路94の進路変更板304を、図14の実線で示す位置に戻す(ステップS18)。これにより、以降は、良品回収通路94に落とされたネジ32は、良品回収箱300に回収されることになる。
1.3その他の実施形態
(1)上記実施形態では、処理装置として検査装置を例に説明を行った。しかし、ネジなどの軸体を軸体保持円盤42に保持して、塗装を行うなどの処理を行う装置にも適用することができる。
(2)上記実施形態では、頭部全周撮像カメラ79、本体部全周撮像カメラ80の双方を設けている。しかし、いずれか一方だけを設けるようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、受支部材140の本体部32bと当接する面には特別な処理を施していない。しかし、軸体との摩擦による摩耗を防ぐため、対摩耗部材を貼り付けるなどの処理を行ってもよい。
(5)上記実施形態では、ネジ32の内側に上部当接駆動部材を設け、ネジ32の外側に上部当接部材を設けている。しかし、ネジ32の内側に上部当接部材を設け、ネジ32の外側に上部当接駆動部材を設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ネジ32の内側に下部当接駆動部材を設け、ネジ32の外側に下部当接部材を設けている。しかし、ネジ32の内側に下部当接部材を設け、ネジ32の外側に下部当接駆動部材を設けるようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、軸体としてネジ32を例として説明した。しかし、少なくとも頭部を有し、頭部の径よりも小さい径の部分を有する軸体であれば同様に適用することができる。たとえば、釘、ピン、頭部付きのシャフトなどにも適用することができる。
(7)上記実施形態では、軸体保持部として回転する軸体保持円盤42を用いている。しかしながら、リニアに移動する軸体保持部(たとえば、直線的な無限軌道)を用いてもよい。
(8)上記実施形態では、良品と不良品を回収箱に回収している。しかし、不良品を脱落させ、良品をそのまま製造工程に移送して使用するようにしてもよい。
(9)上記実施形態では、良品と判断したネジ32について、ノズル90により良品回収通路94に脱落させるようにしている。しかし、ノズル88を制御して不良品と判定したネジ32を不良品回収通路92に脱落させ、それ以外のネジ32は良品であるとして、強制脱落ガイド96によって脱落させるようにしてもよい。この場合、ノズル90を省略しながらも、CPU100により、強制脱落ガイド96まで搬送して良品回収通路94に脱落させるかどうかを制御することができる。
(10)上記実施形態では、頭部の外形が丸形のネジについて説明したが、六角形など他の形状の頭部を有するネジについても適用することができる。
(11)上記実施形態では、カメラ79、80の撮像時に、少なくともネジ32を1回転以上させている。しかし、1回転より小さい所定角度だけ回転させるようにしてもよい。
(12)上記実施形態では、ゴムチューブ110、120、130を用いている。しかし、可撓性が有り変形可能な部材であれば他の物を用いてもよい。
(13)上記実施形態では、ゴムチューブ130(110)の移動速度を軸体保持円盤42の移動速度よりも早くしている。しかし、ゴムチューブ130(110)の移動速度を軸体保持円盤42の移動速度よりも遅くするようにしてもよい。この場合、ネジ32の自転方向は反対方向となる。また、ゴムチューブ130(110)を停止させるようにしてもよい。さらに、ゴムチューブ130(110)を、軸体保持円盤42の移動方向と逆方向にしてもよい。
(14)上記変形例は、その本質に反しない限り、第二の実施形態にも適用できる。
2.第2の実施形態
2.1構造
図15に、第2の実施形態による軸体検査装置を示す。軸体搬送部である搬送ガイド34は、左右ガイド部材34a、34bの間にガイド空間36を有している。ガイド空間36の幅は、検査対象であるネジ32の頭部32aより狭く、ネジ32の本体部32bより広く構成されている。また、搬送ガイド34は、矢印38の方向に向かって、徐々に低くなるように構成されている。ネジ32の構成は、図3を参照のこと。ただし、この実施形態では、頭部32aの外形が六角形であるネジ32を例として説明する。
ネジ32は、頭部32aをガイド部材34a、34bによって支えられながら、搬送中心線40に沿って、矢印38の方向に搬送されることになる。
搬送ガイド34の先端部近傍には、軸体保持円盤42が設けられている。軸体保持円盤42は、モータなどの駆動手段(図示せず)により、矢印46の方向に回転させられる。なお、図において、軸体保持円盤42以外の部材は、回転せず固定されている。軸体保持円盤42の外周には、所定間隔にて凹部44が設けられている。凹部44の構造は、図2に示すとおりである。
図15に戻って、搬送ガイド34の先端部近傍には空気を吹き付けるためのノズル86が設けられている。ネジ32が搬送ガイド34の先端部付近まで来ると、ノズル86から空気が吹き付けられ、ネジ32は軸体保持円盤42の凹部44に飛ばされる。
これとともに、ネジ32の本体部32bが、矢印65の方向に回転する回転体63に接する。これにより、ネジ32は、矢印11の方向に回転させられて凹部44に、適正に収容されることになる。また、仮に、ネジ32が凹部44に正しく収納されなかった場合には、再び、回転体63がネジ32の本体部32bに接して、ネジ32を凹部44の方向に押しやり、正しい位置に収納することが可能となる(特許5496930参照のこと)。
このようにして、ネジ32は搬送ガイド34から軸体保持円盤42に移動させられる。
軸体保持円盤42の外周には、わずかな隙間を空けて、ガード部材43が設けられている。ガード部材43は、回転せず固定されている。
軸体保持円盤42の外周上には、凹部44にネジ32が保持されているかどうかを判断するための光センサ70、72が設けられている。光センサ70、72の詳細は、図3に示すとおりである。図1に戻って、インデックス用の光センサ82も設けられている。光センサ82の詳細は、図4に示すとおりである。
これら光センサ70、72、82の出力は、制御部84に与えられている。
また、軸体保持円盤42上には、不良品のネジ32を不良品回収通路92に落とすためのアクチュエータ89、再検査対象のネジ32を仕掛品回収通路83に落とすためのアクチュエータ91が設けられている。これらアクチュエータ89、91は、制御部84からの制御信号により、ロッドを突出させることでネジ32を押して凹部44から脱落させるものである。
さらに、アクチュエータ89、91によって脱落させられなかったネジ32、つまり良品のネジ32を、良品回収通路94に落とすための強制脱落ガイド96が設けられている。強制脱落ガイド96によって凹部44から良品回収通路94に落とされたネジ32を検出する光センサ75が、軸体保持円盤42の下に設けられている。光センサ75の出力は、制御部84に与えられている。
第1回転撮像部には、頭部全周撮像カメラ79が設けられている。頭部全周撮像カメラ79近傍の断面図を、図16Aに示す。頭部全周撮像カメラ79は、ネジ32の頭部32aに対し、斜め下方向から撮像を行うように配置されている。図16Aに示す頭部撮像カメラ79近傍を、下側から見た図を、図16Bに示す。
下部当接受支部材である合成樹脂製の受け部材136が、本体部32bに外側から当接するように設けられている。なお、受け部材136は、本体部32bと同程度の長さもしくはそれ以上の長さであることが好ましい。
軸体保持円盤42の下側には、下部当接移動部材であるゴムチューブ130が設けられている。このゴムチューブ130は、リング状に形成されており、フランジ付きベアリング132、132、駆動ローラ134を結ぶように巻回されている。フランジ付きベアリング132、132、駆動ローラ134は、そのフランジによってゴムチューブ130を保持し、脱落を防止している。フランジ付きベアリング132、132は、ネジ32の本体部32bにゴムチューブ130が内側から当接するように、ネジ32に沿って配置されている。
駆動ローラ134は、モータ(図示せず)によって回転駆動される。この実施形態では、矢印47の方向に回転するようにしている。つまり、本体部32bに接するゴムチューブ130は、軸体保持円盤42の回転方向46と同じ方向に移動する。なお、ゴムチューブ130を用いているので、本体部32bとの当接により容易に変形し、接触抵抗を高めることができる。
この実施形態では、ゴムチューブ130の移動速度を、軸体保持円盤42の回転による移動速度よりも速くしている。したがって、ネジ32は、図16Bの図面において反時計方向49に、つまり、上面から見ると時計方向に回転(自転)する。頭部撮像カメラ79は、このように自転しながら、矢印46の方向に移動するネジ32の頭部32aを、連続的に撮像する。つまり、連続して複数の静止画を撮像する。
なお、頭部全周撮像カメラ79による撮像範囲(たとえば、70mmの範囲)に頭部32aが入ってから、抜けるまでの間に、頭部32aが少なくとも1回転するように、ゴムチューブ130の移動速度を設定することが好ましい。これにより、頭部32aの全周の静止画を得ることができるからである。なお、この実施形態では、上記撮像範囲において、ほぼ2回転するようにゴムチューブ130の移動速度を設定している。また、この実施形態では、軸体32が2回転する間に、20枚の静止画を撮像するようにしている。
図17に、頭部全周カメラ79による撮像部分の斜視図を示す。カメラ79による撮像部分においては、軸体保持円盤42の外周にガード部材43が設けられていない。したがって、受け部材136の上面が露出している。したがって、凹部44に保持されているネジ32(図17では示していない)の頭部32aの裏面を、斜め下から撮像することができる(図16A参照)。なお、この実施形態においては、受け部材136の上面を、軸体保持円盤42の下面より下になるように構成している。
図16Aに示すように、回転するネジ32の頭部32aを上から撮像するためのカメラ81が設けられている。
図15に戻って第1回転撮像部に続く第2回転撮像部に、本体全周撮像カメラ80が設けられている。本体全周撮像カメラ80近傍の断面図を、図18Aに示す。本体撮像カメラ80は、ネジ32の本体部32bに対し、斜め下方向から撮像を行うように配置されている。図18Aに示す本体撮像カメラ80近傍を、上側から見た図を、図18Bに示す。なお、図18Bにおいては、保持板111を省略している。
ガード部材43の上側には、上部当接第1支持部材であるゴムチューブ120が、頭部32aの一方側上部から、頭部32aを押さえつけるように設けられている。このゴムチューブ120は、リング状に形成されており、フランジ付きベアリング122、122を結ぶように巻回されている。フランジ付きベアリング122、122は、そのフランジによってゴムチューブ120を保持し、脱落を防止している。フランジ付きベアリング122、122は、ネジ32の頭部32aにゴムチューブ120が上側から当接するように、ネジ32に沿って配置されている。
また、フランジ付きベアリング122、122の他に、ネジ32から離れた位置に駆動ローラ123が配置されている。駆動ローラ123は、モータ(図示せず)によって回転駆動される。この実施形態では、矢印49の方向に回転するようにしている。
これらフランジ付きベアリング122、122、駆動ローラ123は、ガード部材43の上部に設けられた保持板111aに固定されている。保持板111aは、軸体保持円盤42の回転と共に回転するものではなく、固定されている。
また、この保持板111aは、図示しない調整機構により、X方向、Y方向に移動調整可能に構成されている。ネジ32の種類により、頭部32aの大きさや高さが変わるので、これに対応して、適切な位置にゴムチューブ120を当接させるためである。
軸体保持円盤42の上側には、上部当接第2移動部材であるゴムチューブ110が設けられている。このゴムチューブ110は、リング状に形成されており、フランジ付きベアリング112、112、駆動ローラ114を結ぶように巻回されている。フランジ付きベアリング112、112、駆動ローラ114は、そのフランジによってゴムチューブ110を保持し、脱落を防止している。フランジ付きベアリング112、112は、ネジ32の頭部32aにゴムチューブ110が上側から圧接するように、ネジ32に沿って配置されている。なお、ゴムチューブ110は、頭部32aにおいて、ゴムチューブ120と反対側に設けられている。
駆動ローラ114は、モータ(図示せず)によって回転駆動される。この実施形態では、矢印47の方向に回転するようにしている。なお、図18Bの駆動ローラ114と、図16Bの駆動ローラ134は、同じ回転方向であるが、図16Bが下側から見た図、図18Bが上側から見た図となっているため、図面上では逆方向の矢印となっている。上記駆動ローラ114の回転により、頭部32aに接するゴムチューブ110は、軸体保持円盤42の回転方向46と同じ方向に移動する。
以上のように、ゴムチューブ120が矢印49の方向に回転し、ゴムチューブ110が矢印47の方向に回転するので、ネジ32は矢印49の方向に回転することになる。
これらフランジ付きベアリング112、112、駆動ローラ114は、軸体保持円盤42の上部に設けられた保持板111bに固定されている。保持板111bは、軸体保持円盤42の回転と共に回転するものではなく、固定されている。
また、この保持板111bは、図示しない調整機構により、保持板111aと独立して、X方向、Y方向に移動調整可能に構成されている。ネジ32の種類により、頭部32aの大きさや高さが変わるので、これに対応して、適切な位置にゴムチューブ110を当接させるためである。
この実施形態では、ゴムチューブ110、120の移動速度を、軸体保持円盤42の回転による移動速度よりも速くしている。したがって、ネジ32は、図18Bの図面において時計方向49に回転(自転)する。本体部撮像カメラ80は、このように自転しながら、矢印46の方向に移動するネジ32の本体部32bを、連続的に撮像する。つまり、連続して複数の静止画を撮像する。撮像するタイミングは、たとえば、90度回転する毎に撮像するようにすればよい。
なお、本体部撮像カメラ80による撮像範囲(たとえば、70mmの範囲)に本体部32bが入ってから、抜けるまでの間に、本体部32bが少なくとも1回転するように、ゴムチューブ110、120の移動速度を設定することが好ましい。これにより、本体部32bの全周の静止画を得ることができるからである。なお、この実施形態では、上記撮像範囲において、ほぼ2回転するようにゴムチューブ110の移動速度を設定している。
また、図18Aに示すように、ネジ32の頭部32aを上部から撮像して、回転を確認するためのカメラ83が設けられている。
なお、第一の実施形態では、頭部32aが円形であるため、頭部32aの側面にゴムチューブ110、120を当接させることで回転させている。しかし、この実施形態では、頭部32aが六角形であるため、頭部32aの側面にゴムチューブ110、120を当接させても、回転しない場合がある。そこで、頭部32aの上部から押さえつけるようにしてゴムチューブ110、120を当接させ、双方のゴムチューブ110、120を回転駆動させている。
上記実施形態では、下部当接部材として合成樹脂による受支部材140を用いている。しかし、下部当接部材としてゴムチューブを用いるようにしてもよい。
図15に戻って、第2回転撮像部に続く第1非回転撮像部には、カメラ150、152が設けられている。この第1非回転撮像部においては、ネジ32は自転させられることなく、撮像されて検査される。
カメラ150は、頭部32aを上部から撮像し、頭部32aの寸法を検査する。
カメラ152の方向から見た図を、図19に示す。第1非回転撮像部においては、ガード部材43が薄く形成されている。ガード部材43は、他の部分においては、軸体保持円盤42と同じ厚さに構成されている。しかし、第1非回転撮像部では、上半分の厚さにされ、軸体保持円盤42の下面の位置をカメラ152によって撮像可能にされている。つまり、軸体保持円盤42の下面よりもガード部材43の下面の方が上になるようにしている。
これは、次のような理由による。第1非回転撮像部では、ネジ32の首下寸法(頭部32aの裏面から本体部32bの下面までの長さ)を検査する。この際、軸体保持円盤42が、完全に平坦になっていないことがある。つまり、軸体保持円盤42に保持されたそれぞれのネジ32は、この第1非回転撮像部に来た際に、円盤42のうねりにより上下方向の位置が一定しない。このため、カメラ152で撮像したときに、頭部32aの下面の位置を特定できず(頭部32aの下面の位置がガード部材43に隠れる場合がある)、正確な測定を行うことができない。
そこで、図19のように、円盤42の下面の位置をカメラ152にて撮像すれば、円盤42の厚さ(厚さが一定になるように精密に製造されている)を考慮して、頭部32aの下面の位置を正確に特定することができる。
図15に戻って、第1非回転撮像部に続く第2非回転撮像部には、カメラ154が設けられている。この第2非回転撮像部においては、ネジ32は自転させられることなく、撮像されて検査される。
カメラ154の方向から見た図を、図20に示す。第2非回転撮像部においては、ガード部材43が薄く形成されている。ガード部材43は、他の部分においては、軸体保持円盤42と同じ厚さに構成されている。しかし、第2非回転撮像部では、下半分の厚さにされ、頭部32aの下面の位置をカメラ154によって撮像可能にしている。つまり、軸体保持円盤42の上面よりもガード部材43の上面の方が下になるようにしている。
これは、次のような理由による。第2非回転撮像部では、ネジ32の頭部32aの厚さ寸法(頭部32aの上面から裏面までの長さ)を検査する。この際、軸体保持円盤42が、完全に平坦になっていないことがある。つまり、軸体保持円盤42に保持されたそれぞれのネジ32は、この第2非回転撮像部に来た際に、円盤42のうねりにより上下方向の位置が一定しない。このため、カメラ154で撮像したときに、頭部32aの下面の位置を特定できず(頭部32aの下面の位置がガード部材43に隠れる場合がある)、正確な測定を行うことができない。
そこで、図20のように、ガード部材43を薄くして、頭部32aの下面の位置をカメラ154にて撮像すれば、正確に、頭部32aの厚さ寸法を計測することができる。
図21に制御回路の詳細を示す。CPU100には、操作用のタッチパネル102、ハードディスク104、ノズル86、アクチュエータ89、91、センサ70、72、75、インデックス用センサ82、頭部全周撮像カメラ79、回転確認カメラ81、本体部全周撮像カメラ80、回転確認カメラ83、頭部形状検査カメラ150、本体部寸法検査カメラ152、頭部寸法検査カメラ154が接続されている。ハードディスク104には、各部を制御するための制御プログラム106が記録されている。
1.2検査処理
制御プログラム106のフローチャートを図22〜図26に示す。なお、以下では、各処理が順次行われるように記載しているが、並列して処理を行うようにしてもよい。CPU100は、インデックス用センサ82が凹部44を検出したかどうかを判断する(ステップS51)。凹部44を検出すると、当該凹部にインデックスIDを付す(ステップS52)。たとえば、図27に示すように、軸体保持円盤42に30個の凹部44が設けられていた場合、1〜30までのインデックスIDが、各凹部44に付されることになる。
図27に示すように、インデックス用センサ82と、ネジ32が搬送ガイド34によって移送される位置、各センサ70、72、75の位置、カメラ79、80、81、83、150、152、154の位置などとの関係は予め定まっている。したがって、インデックス用センサ82に位置する凹部44のインデックスIDを特定することにより、他のセンサなどの位置にある凹部44のインデックスIDも特定することができる。
CPU100は、ノズル86を駆動し、搬送ガイド34からのネジ32を凹部44の方向に押す(ステップS53)。なお、フローチャートでは、凹部44にインデックスIDを付与した後に、ノズル86の駆動を行うように示しているが、実際には、インデックス用センサ82が凹部44を検出すると同時に、ノズル86の駆動が行われる(以下の処理において同様である)。
図27に示すように、インデックス用センサ82が凹部44にインデックスIDとして「1」を付与した場合には、インデックスID「29」が付与されている凹部44にネジ32が収納されることになる。
また、CPU100は、センサ70の出力を取得してネジ32の有無を記録する(ステップS54)。ここでは、図27に示すように、インデックスID「26」が付与されている凹部44にネジが収納されているか否かを判断する。本来は、全ての凹部44にネジ32が収納されるが、搬送ガイド34からの搬送が遅れるなどの理由によって、ネジ32が収納されない凹部44も存在する。ネジ32の有無は、図28に示すようなテーブルとして、ハードディスク104に記録される。
CPU100は、カメラ79の撮像位置にネジ32が存在するかどうかを判断する(ステップS55)。これを判断するためには、テーブルを参照して、対象となるインデックスにネジ「有」と記録されているか「無」と記録されているかを判断すればよい。カメラ79の撮像位置に、対象となるインデックス(たとえばインデックス「23」)が入り、当該インデックスにおいてネジ「有」であれば、ステップS56〜S59を実行する。なお、ステップS55において、カメラ79の位置にネジ32が存在しない場合、ステップS56〜S59は実行しない。これにより、無駄な撮像処理を行わないようにすることができる。
ネジ32が存在する場合、CPU100は、頭部全周撮像カメラ79からの撮像画像を取り込む(ステップS57)。頭部全周撮像カメラ79の撮像領域において、ネジ32は自転させられている。したがって、自転するネジ32の頭部32aの全周方向からの複数の画像を取り込むことになる。前述のように、この実施形態では、ネジ32が2回転する間に、20枚の画像を撮像して取り込むようにしているので、約36度の回転ごとの複数の画像が取り込まれることになる。
CPU100は、取り込んだ頭部撮像画像に基づいて、頭部32aに、傷やヒビなどの欠陥がないかを解析する(ステップS58)。なお、図16Aに示すように、頭部全周撮像カメラ79は、頭部32aの側面と裏面を撮像しているので、頭部32aの側面および下面の検査を行うことができる。
CPU100は、側面、裏面のいずれにも欠陥がなければ、図28のテーブルの対応するインデックスIDの頭部良否欄に、「良」を記録する。側面、裏面のいずれかに欠陥があれば、「不良」を記録する。
上記と並行して、CPU100は、頭部32aを上から撮像する回転確認カメラ81からの撮像画像を取り込む(ステップS56)。取り込んだ撮像画像に基づき、頭部32aが所定角度以上(ここでは、2回転=720度)回転したかどうかを判定する(ステップS59)。
回転角度は、頭部32aの特定の辺(または角)の回転を追跡することによって行うことができる。この実施形態では、約36度の回転ごとに画像を撮像するように設定しているので、この角度を基準として追跡を行うことが容易である。
CPU100は、所定角度以上回転していると判断すれば、図28のテーブルの対応するインデックスIDの頭部回転欄に、「適」を記録する。回転角度が不足していると判断すれば、「不適」を記録する。「不適」を記録した場合、当該ネジ32の頭部検査は不十分であるから、仕掛フラグに「1」を記録する。
CPU100は、本体部全周撮像カメラ80の撮像位置にネジ32が存在するかどうかを判断する(ステップS60)。これを判断するためには、テーブルを参照して、対象となるインデックスにネジ「有」と記録されているか「無」と記録されているかを判断すればよい。カメラ80の撮像位置に、対象となるインデックス(たとえばインデックス「19」)が入り、当該インデックスにおいてネジ「有」であれば、ステップS61〜S64を実行する。なお、ステップS60において、カメラ80の位置にネジ32が存在しない場合、ステップS61〜S64は実行しない。これにより、無駄な撮像処理を行わないようにすることができる。
ネジ32が存在する場合、CPU100は、本体部全周撮像カメラ80からの撮像画像を取り込む(ステップS62)。本体部全周撮像カメラ80の撮像領域において、ネジ32は自転させられている。したがって、自転するネジ32の本体部32bの全周方向からの複数の画像を取り込むことになる。前述のように、この実施形態では、ネジ32が2回転する間に、20枚の画像を撮像して取り込むようにしているので、約36度の回転ごとの複数の画像が取り込まれることになる。
CPU100は、取り込んだ本体部撮像画像に基づいて、本体部32bに、傷やヒビなどの欠陥がないかを解析する(ステップS64)。CPU100は、本体部32bの側面の全周に欠陥がなければ、図28のテーブルの対応するインデックスIDの本体部良否欄に、「良」を記録する。欠陥があれば、「不良」を記録する。
上記と並行して、CPU100は、頭部32aを上から撮像する回転確認カメラ83からの撮像画像を取り込む(ステップS61)。取り込んだ撮像画像に基づき、頭部32aが所定角度以上(ここでは、2回転=720度)回転したかどうかを判定する(ステップS63)。
回転角度は、頭部32aの特徴形状(たとえば、特定の辺(または角))の回転を追跡することによって行うことができる。この実施形態では、約36度の回転ごとに画像を撮像するように設定しているので、この角度を基準として追跡を行うことが容易である。また、頭部32aにマイナス溝、十字溝や六角溝がある場合には、これらの一部を特徴形状として、回転を追跡することができる。
CPU100は、所定角度以上回転していると判断すれば、図28のテーブルの対応するインデックスIDの本体部回転欄に、「適」を記録する。回転角度が不足していると判断すれば、「不適」を記録する。「不適」を記録した場合、当該ネジ32の本体部検査は不十分であるから、仕掛フラグに「1」を記録する。
CPU100は、頭部形状カメラ150、本体部寸法カメラ152の撮像位置にネジ32が存在するかどうかを判断する(ステップS65)。これを判断するためには、テーブルを参照して、対象となるインデックスにネジ「有」と記録されているか「無」と記録されているかを判断すればよい。カメラ150、152の撮像位置に、対象となるインデックス(たとえばインデックス「15」)が入り、当該インデックスにおいてネジ「有」であれば、ステップS66、S67を実行する。なお、ステップS65において、カメラ80の位置にネジ32が存在しない場合、ステップS66、S67は実行しない。これにより、無駄な撮像処理を行わないようにすることができる。
CPU100は、頭部形状カメラ150、本体部寸法カメラ152からの画像を取り込む(ステップS66)。頭部形状カメラ150は、自転していないネジ32の頭部32aの上面を撮像するものである。CPU100は、撮像画像に基づいて、頭部32aの形状寸法が規格内に収まっているかどうか、傷やヒビなどの欠陥がないかどうかを解析する(ステップS67)。形状寸法が規格内であり欠陥がなければ、図28のテーブルの対応するインデックスIDの頭部形状欄に、「良」を記録する。形状寸法が規格外であったり、欠陥がある場合には「不良」を記録する。
本体部寸法カメラ152は、自転していないネジ32の本体部32bの側面を撮像するものである。CPU100は、図19に示すように、本体部32bの下面の位置から軸体保持円盤42の下面の位置までの長さLを算出する。これに、軸体保持円盤42の厚さ(L0)を加算すれば、本体部32bの長さを正確に得ることができる。CPU100は、算出した本体部32bの長さが規格内であるかどうかを解析する(ステップ67)。さらに、ネジのピッチなどが規格内の寸法であるかどうかを解析する(ステップS67)。
CPU100は、上記の形状寸法が規格内であれば、図28のテーブルの対応するインデックスIDの本体部寸法欄に、「良」を記録する。形状寸法が一つでも規格外である場合には「不良」を記録する。
CPU100は、頭部寸法カメラ154の撮像位置にネジ32が存在するかどうかを判断する(ステップS68)。これを判断するためには、テーブルを参照して、対象となるインデックスにネジ「有」と記録されているか「無」と記録されているかを判断すればよい。カメラ150、152の撮像位置に、対象となるインデックス(たとえばインデックス「12」)が入り、当該インデックスにおいてネジ「有」であれば、ステップS69、S70を実行する。なお、ステップS68において、カメラ80の位置にネジ32が存在しない場合、ステップS69、S70は実行しない。これにより、無駄な撮像処理を行わないようにすることができる。
CPU100は、頭部寸法カメラ154からの画像を取り込む(ステップS69)。頭部寸法カメラ154は、自転していないネジ32の頭部32aを撮像するものである。CPU100は、撮像画像に基づいて、頭部32aの厚さ寸法(上面位置から下面位置までの寸法)が規格内に収まっているかどうかを解析する(ステップS70)。形状寸法が規格内であれば、図28のテーブルの対応するインデックスIDの頭部寸法欄に、「良」を記録する。形状寸法が規格外である場合には「不良」を記録する。
CPU100は、ステップS71において、不良品脱落アクチュエータ89の位置に、ネジ32が存在するか否かを判断する。存在すれば、当該ネジ32に異常処理フラグが付されているかどうかを判断する(ステップS72)。なお、平常状態では、異常処理フラグは付されていないので、ステップS73に進む。なお、異常処理フラグについては後述する。
ステップS73において、CPU100は、当該ネジ32が不良であるかどうかを判断する。図28のテーブルにおいて、頭部良否、本体部良否、頭部形状、本体部寸法、頭部寸法のいずれか一つ以上「不良」があれば、全体として「不良」であると判断する。
不良(「否」)であれば、CPU100は、不良品脱落アクチュエータ89を作動し、凹部44からネジ32を脱落させる(ステップS74)。脱落した不良品のネジ32は、不良品回収路92(図15参照)を介して、不良品回収部(図示せず)に回収される。さらに、CPU100は、センサ72の出力により、ネジ32が脱落されたかどうかを判断する(ステップS75)。予定どおり脱落していれば、ステップS78に進む。脱落していない場合には、異常処理を行う。異常処理については、後述する。
ステップS73において、CPU100は、ネジ32が不良でなければ、ステップS78に進む。なお、ここでは、図28に示すように、インデックスID「11」にあるネジ32は、不良品であるので、ステップS74、S75が実行される。
ステップS78において、仕掛品脱落アクチュエータ91の位置に、ネジ32が存在するかどうかを判断する。存在すれば、ステップS79において、当該ネジ32に仕掛フラグが付いているかどうかを判断する(前述のように、回転不足などで検査未了のネジ32は仕掛フラグが付けられている)。仕掛フラグがついていれば、CPU100は、仕掛品脱落アクチュエータ91を作動し、凹部44からネジ32を脱落させる(ステップS85)。脱落した仕掛品のネジ32は、仕掛品回収路93(図15参照)を介して、仕掛品回収部(図示せず)に回収される。
良品のネジ32の場合、ステップS79において、仕掛フラグがついていないので、ステップS80に進む。CPU100は、ステップS80において、良品回収通路94を良品回収箱300に向ける(図14参照)。なお、通常の状態では、進路変更板304は実線の位置にあり、良品回収通路94は良品回収箱300に向いているので、そのままの状態とする。
良品ネジの場合、不良品脱落アクチュエータ89、仕掛品脱落アクチュエータ91によって脱落させられないので、強制脱落ガイド96によって良品回収通路94に脱落させられることになる。これにより、良品のネジ32は、良品回収箱300に回収される。
CPU100は、脱落された良品のネジ32を、センサ75によって検出して計数する(ステップS81)。したがって、良品回収箱300に何個の良品が入っているかを知ることができる。
所定数を超えるまでは、CPU100は、ステップS1以下を繰り返し実行する。
CPU100は、良品が所定数(たとえば、100個)を超えると、つまり、101個目の良品を検出すると、直ちに、良品回収通路94を仕掛品回収部に向ける(ステップS83)。これにより、101個目の良品ネジは、仕掛品回収部に収納されることになる。
さらに、CPU100は、この時点で軸体保持円盤42の上に保持されているネジ32の全てについて、図28のテーブルに仕掛フラグを付ける(ステップS84)。
上記のように、この実施形態では、良品回収箱に所定個数の良品ネジが収納されると、軸体保持円盤42上のネジ32を仕掛品として回収するようにしている。この間に、自動もしくは手動にて、新たな良品回収箱300を載置すれば、装置を停止させることなく連続的に処理を行うことができる。
(異常処理について)
次に、ステップS74において、不良品のネジ32を凹部44から脱落させようとしたにもかかわらず、ネジ32が落ちなかった場合について説明する。これを放置すると、不良品のネジ32は、強制脱落ガイド96によって、良品回収通路94に落とされることになってしまう。これでは、良品の中に不良品が混入してしまうことになる。
そこで、この実施形態では、不良品であると判断したネジ32が、不良品脱落アクチュエータ89によって落ちなかった場合(ステップS75)、次のような異常処理を行うようにしている。CPU100は、図28に示すテーブルの全てのネジ(全てのインデックスID)に対して、異常処理フラグを記録する(ステップS76)。次に、CPU100は、良品回収通路94を仕掛品回収箱302に向ける(ステップS77)。
図14に、良品回収通路94の側断面を示す。良品回収通路94の底部には、軸306を中心として回動可能な進路変更板304が設けられている。進路変更板304は、通常の状態においては、図の実線に示す位置に保持されている。したがって、良品回収通路94に落とされたネジ32は、良品回収箱300に回収される。
CPU100は、ステップS77において、モータなどの駆動手段(図示せず)を制御して、進路変更板204を二点鎖線で示す状態に回動させる。これにより、良品回収通路94に落とされたネジ32は、仕掛品回収箱302に回収されることになる。
したがって、ステップS74において、脱落されるべきであったにもかかわらず、凹部44に残ってしまった不良品のネジ32は、強制脱落ガイド96により、良品回収通路94に落とされるが、仕掛品回収箱302に回収されることになる。
また、この実施形態では、上記の異常が生じた時点で軸体保持円盤42に保持されている全てのネジ32に対して異常フラグを記録している。したがって、以後、CPU100は、良品回収通路を仕掛品回収部に向け続けるので、これら異常処理フラグが記録されているネジ32は、良品回収通路94に落とされ、仕掛品回収箱302に回収される(ステップS88)。
なお、脱落されるべきであったにもかかわらず、凹部44に残ってしまった不良品のネジ32だけを、仕掛品回収箱302に回収するようにしてもよい。この実施形態では、安全をみて、異常が生じた時点で軸体保持円盤42に保持されている全てのネジ32を仕掛品回収箱302に回収するようにしている。
異常処理フラグの記録されていないネジ32(異常が起こった後に、軸体保持円盤42に保持されたネジ32)が見いだされると、CPU100は、良品回収通路94の進路変更板304を、図14の実線で示す位置に戻す(ステップS80)。これにより、以降は、良品回収通路94に落とされたネジ32は、良品回収箱300に回収されることになる。
1.3その他の実施形態
(1)上記実施形態では、処理装置として検査装置を例に説明を行った。しかし、ネジなどの軸体を軸体保持円盤42に保持して、塗装を行うなどの処理を行う装置にも適用することができる。
(2)上記実施形態では、頭部全周撮像カメラ79、本体部全周撮像カメラ80の双方を設けている。しかし、いずれか一方だけを設けるようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、受支部材140の本体部32bと当接する面には特別な処理を施していない。しかし、軸体との摩擦による摩耗を防ぐため、対摩耗部材を貼り付けるなどの処理を行ってもよい。
(4)上記実施形態では、ネジ32の内側に下部当接駆動部材を設け、ネジ32の外側に下部当接部材を設けている。しかし、ネジ32の内側に下部当接部材を設け、ネジ32の外側に下部当接駆動部材を設けるようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、ネジ32の内側に下部当接駆動部材(モータによって回転駆動されるゴムチューブ)を設け、ネジ32の外側に下部当接部材(合成樹脂部材)を設けている。しかし、ネジ32の内側および外側に下部当接駆動部材(モータによって回転駆動されるゴムチューブ)を設けるようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、軸体としてネジ32を例として説明した。しかし、少なくとも頭部を有し、頭部の径よりも小さい径の部分を有する軸体であれば同様に適用することができる。たとえば、釘、ピン、頭部付きのシャフトなどにも適用することができる。
(7)上記実施形態では、軸体保持部として回転する軸体保持円盤42を用いている。しかしながら、リニアに移動する軸体保持部(たとえば、直線的な無限軌道)を用いてもよい。
(8)上記実施形態では、良品と不良品を回収箱に回収している。しかし、不良品を脱落させ、良品をそのまま製造工程に移送して使用するようにしてもよい。
(9)上記実施形態では、不良品と判断したネジ32について、アクチュエータ89により不良品回収通路92に脱落させるようにしている。しかし、アクチュエータ89を制御して良品と判定したネジ32を良品回収通路94に脱落させ、それ以外のネジ32は不良品であるとして、強制脱落ガイド96によって脱落させるようにしてもよい。
(10)上記実施形態では、頭部の外形が六角形のネジについて説明したが、丸形など他の形状の頭部を有するネジについても適用することができる。
(11)上記実施形態では、カメラ79、80の撮像時に、少なくともネジ32を1回転以上させている。しかし、1回転より小さい所定角度だけ回転させるようにしてもよい。
(12)上記実施形態では、ゴムチューブ110、120、130を用いている。しかし、可撓性が有り変形可能な部材であれば他の物を用いてもよい。
(13)上記実施形態では、ゴムチューブ130(110)の移動速度を軸体保持円盤42の移動速度よりも早くしている。しかし、ゴムチューブ130(110)の移動速度を軸体保持円盤42の移動速度よりも遅くするようにしてもよい。この場合、ネジ32の自転方向は反対方向となる。また、ゴムチューブ130(110)を停止させるようにしてもよい。さらに、ゴムチューブ130(110)を、軸体保持円盤42の移動方向と逆方向に移動させてもよい。
(14)上記変形例は、その本質に反しない限り、第一の実施形態にも適用できる。