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JP6693185B2 - 低温用ニッケル鋼板の製造方法 - Google Patents

低温用ニッケル鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、靭性に優れた低温用ニッケル鋼板の製法に関するものである。
この製法で製造した低温用ニッケル鋼板は、造船、橋梁、建築、海洋構造物、圧力容器、タンク、ラインパイプなどの溶接構造物一般に用いることができるが、特に−196℃から−160℃程度の低温での破壊靱性が要求される低温タンクでの使用において有効である。
環境規制の強化に伴い、重油ではなくLNGによりエンジンを駆動して航行するLNG燃料船の開発が進められている。LNG燃料船に搭載されるLNGタンクの材料として、オーステナイト系ステンレス鋼のほかに、9%Ni鋼や6%Ni鋼などのフェライト系低温用鋼も使用可能と考えられる。
しかしながら、フェライト系低温用ニッケル鋼は、歪時効による靭性低下がみられることから、この克服が実用化への鍵となる。歪時効後も優れた靭性を維持するためには、母材の時点で−196℃のシャルピー衝撃吸収エネルギーの最低値が150J程度であることが望ましい。現在の水準では、大半の鋼板でこれを達成しているものの、全ての鋼板で達成することは容易ではない。
フェライト系低温用ニッケル鋼の−196℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーに、ごく低い確率で発生する低値には、介在物が関わっていることがある。連続鋳造で製造される鋼スラブには、数μmの介在物が浮上分離せずに残存しているが、通常の清浄度であれば、そのような独立した介在物が−196℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーに与える影響は軽微である。
しかしながら、数μmの介在物が凝集合体したクラスターを形成した場合、−196℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーが150J以下に低下することがある。介在物の主たるものは、アルミナ(Al)である。
介在物、たとえばMnSなどの伸長介在物による害悪を軽減する方法として、クロス圧延がある。クロス圧延とは、鋼板の形状を作りこむ熱間圧延において、普通は鋼板の長手方向にのみ実施する圧延のうち、一部の圧下を鋼板の幅方向に実施するものであり、介在物がMnSの場合は鋼板長手方向のMnSの伸長が抑制されることから、試験片の長手方向が圧延幅方向と平行になるような試験片を用いたシャルピー試験において、シャルピー衝撃吸収エネルギーが改善する。
たとえば、特許文献1、特許文献2では、クロス圧延を実施する際の幅方向圧延を未再結晶温度域で行うことで、曲げ加工性や低温靭性を改善している。しかしながら、未再結晶温度域での幅方向圧延を行った場合、圧下前のオーステナイト粒径が大きいまま未再結晶域圧延を行うこととなり、却って靭性が低下することが多く、この方法では前記の目的を達成できない。
また、特許文献3には、クロス圧延を実施する際の幅方向圧延と長手方向圧延の圧下比率を規定することで等方性の高い鋼板としている。介在物の制御に関しては、この方法が有効であるものの、圧下比率の規定のみでは、シャルピー衝撃吸収エネルギーに最も影響する因子である有効結晶粒径を小さくできないため、この方法では前記の目的を達成できない。つまり、現在の技術では、靭性に優れた低温用ニッケル鋼を提供することはできない。
特許第4897125号公報 特開2005−226080号公報 特開2002−161341号公報
本発明が解決しようとする問題点は、靭性に優れた低温用ニッケル鋼板の製造方法を提供することである。
本発明は、靭性に優れた低温用ニッケル鋼板の製造方法を提供するものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)鋼が、質量%で、C:0.03%以上かつ0.10%以下、Si:0.02%以上かつ0.40%以下、Mn:0.3%以上かつ1.2%以下、Ni:5.0%以上かつ8.0%未満、Cr:0.4%以上かつ1.5%以下、Mo:0.02%以上かつ0.40%以下、Al:0.010%以上かつ0.080%以下、
T−O:0.0001%以上かつ0.0030%以下を含有し、P:0.0010%以上0.0100%以下、S:0.0001%以上0.0035%以下、N:0.0005%以上0.0070%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを900℃以上1270℃以下に加熱したのちに熱間圧延を行い、当該の熱間圧延の全圧下率を0.65以上、熱間圧延のうち圧延幅方向に行うクロス圧延の圧下率を0.1以上0.6以下、クロス圧延の温度範囲を800℃以上1000℃以下、仕上1パス前温度を600℃以上850℃以下として、圧延後すみやかに水冷を行い、鋼板を600℃以上かつ750℃以下に加熱した後冷却を行う中間熱処理を行い、さらに鋼板を500℃以上かつ650℃以下に加熱した後冷却する焼戻しを行い、SEMの二次電子線像、倍率10倍でシャルピー衝撃試験片の破面写真を撮影し、セパレーション状の縦割れ破面の総長さを(単位:mm)測定し、これを、破面面積(80mm )で除した値として定義されるアルミナクラスター指数が0.030以下であり、有効結晶粒径が7.0μm以下の組織とすることを特徴とする低温用ニッケル鋼板の製造方法。
(2)さらに、Cu:0.1%以上かつ3.0%以下、Nb:0.005%以上0.100%以下、V:0.010%以上0.500%以下、Ti:0.005%以上0.500%以下、Ca:0.0001%以上0.0050%以下、Mg:0.0001%以上0.0050%以下、REM:0.0001%以上0.0100%以下、Zr:0.0001%以上0.0100%以下、B:0.0002%以上0.0030%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の低温用ニッケル鋼板の製造方法。
本発明によれば、靭性に優れた低温用ニッケル鋼板およびその製造方法を提供することが可能であり、産業上の価値の高い発明であるといえる。
アルミナクラスター指数とクロス圧延圧下率との関係を示すグラフである。 シャルピー衝撃吸収エネルギーとアルミナクラスター指数との関係を示すグラフである。 有効結晶粒径とクロス圧延温度との関係を示すグラフである。 有効結晶粒径と全圧下率との関係を示すグラフである。 靱性と有効結晶粒径との関係を示すグラフである。
本発明を詳細に説明する。発明者らは、低温用ニッケル鋼板のうち、Ni含有量が5.0%以上8.0%未満の鋼板の靭性に及ぼす、アルミナクラスター、すなわち長径が数μmのアルミナが圧延方向に連続的に分布する集合体の影響を明らかにするため、シャルピー衝撃試験の試験片の破面調査を行った。
その結果、シャルピー試験片の長手方向を鋼板の幅方向と平行にした場合には、アルミナクラスターの圧延方向の連続的な分布が、シャルピー試験片の破面となる面に平行となることから、セパレーション状の粗大なボイド合体型破面を形成して、延性き裂進展抵抗の低下や、延性き裂進展から脆性破壊への遷移を通じてシャルピー衝撃吸収エネルギー低下をもたらすことを新たに知見した。発明者らは、シャルピー試験片の破面に平行な面、すなわち鋼板の幅方向に垂直な面上のアルミナの個数を低減することが靭性改善に有効と着想して、その方法を種々検討した結果、鋼板の熱間圧延時、粗圧延の一部を鋼板幅方向への圧下とするクロス圧延を実施する際の種々の条件を厳格に規定することが必要であることを知見した。以下詳細に説明する。
粗圧延の一部を鋼板幅方向への圧下とする、クロス圧延の効果を実験により確認した。ここで、クロス圧延とは、最終的な鋼板長手方向に対してほぼ垂直方向に実施する圧延を指し、粗圧延時に実施される。クロス圧延を行った後は、鋼板の長手方向の圧延を行うため、鋼片を90°程度回転させる。クロス圧延を行うことで、密集していたアルミナは鋼板の幅方向に広がりをもって分布するようになり、鋼板の幅方向に垂直な面、すなわちシャルピー試験片の破面に平行な面上のアルミナ個数は相対的に減少する。鋼板幅方向に垂直な面にほぼ平行なシャルピー試験片の破面上の情報からアルミナクラスターの分布を測定した。SEM(走査型電子顕微鏡)の二次電子線像、倍率10倍でシャルピー衝撃試験片の破面写真を撮影し、セパレーション状の縦割れ破面の総長さを(単位:mm)測定した。これを、破面面積(80mm)で除した値をアルミナクラスター指数と定義した。単位は1/mmである。アルミナクラスター指数とクロス圧延圧下率の関係を図1に示す。クロス圧延圧下率は、クロス圧延の圧下量を熱間圧延前の鋼片厚さで除した値である。クロス圧延圧下率の増大とともに、アルミナクラスター指数が低下する傾向がみられる。
シャルピー衝撃吸収エネルギーとアルミナクラスター指数の関係を図2に示す。アルミナクラスター指数の低下とともに、シャルピー衝撃吸収エネルギーが増大する。靭性改善、すなわちvE−196を150Jとするためには、アルミナクラスター指数を0.030以下とする必要があり、これにはクロス圧延の圧下率を0.1以上とする必要がある。クロス圧延の圧下率が0.6超の場合、鋼板の幅が大きくなり以後の熱間圧延が困難になるという操業上の理由から、クロス圧延の圧下率の上限を0.6とする。
靭性に優れた鋼板とするためには、クロス圧延圧下率を前記のように規定する圧下比を確保することに加え、有効結晶粒径を小さくする必要がある。このためには、クロス圧延を実施する温度を規定し、かつ熱間圧延の全圧下率を規定する必要がある。以下詳細に説明する。
クロス圧延の温度範囲を規定することは、有効結晶粒径の微細化に重要である。クロス圧延温度を1000℃超とした場合、再結晶後の粒成長によりオーステナイトが粗大化して、変態後のマルテンサイトを主体とする組織の有効結晶粒径が粗大化する。逆に、クロス圧延温度が800℃未満の場合も、再結晶がほとんど生じない未再結晶温度域での圧延が主体となるため、有効結晶粒径が粗大化する。有効結晶粒径とクロス圧延温度の関係を図3に示す。ここで、有効結晶粒径とは、変態後の組織にEBSDを行い、方位差15°以上を粒界と定義して算出した平均の結晶粒径を指す。
熱間圧延の全圧下率を規定することも、有効結晶粒径の微細化に重要である。熱間圧延の全圧下率を増大することで有効結晶粒径が小さくなる。これは、再結晶を通じたオーステナイトの微細化と、さらに未再結晶域での圧下を通じたオーステナイト中への転位導入によって、変態後のマルテンサイトを主体とする組織が微細化するためである。図4に、クロス圧延温度を800℃以上1000℃以下とした場合の、有効結晶粒径と全圧下率と靭性の関係を示す。全圧下率を0.65以上とすることで、有効結晶粒径を7.0μm以下と小さくすることができる。ここで、全圧下率とは、熱間圧延前の鋼片厚さから熱間圧延後の鋼板厚を引いた値を、熱間圧延前の鋼片厚さで除した値である。なお、本発明における熱間圧延は、その一部を、最終的な鋼板長手方向に対してほぼ垂直方向に行うクロス圧延で、残部を、最終的な鋼板長手方向に対してほぼ平行方向に行うストレート圧延で行うものであり、全圧下率は、クロス圧延とストレート圧延の合計の圧下量を熱間圧延前の鋼片厚さで除した値、クロス圧延圧下率は、クロス圧延の圧下量を熱間圧延前の鋼片厚さで除した値である。
クロス圧延の温度範囲や、熱間圧延の全圧下率を規定することで、有効結晶粒径を微細化した場合の、靭性と有効結晶粒径の関係を図5に示す。靭性確保、すなわちvE−196を150J以上とするためには、有効結晶粒径を7.0μm以下とする必要があり、このためには、クロス圧延温度を800℃以上1000℃以下、全圧下率を0.65以上とする必要がある。
以下に鋼板の合金元素の範囲を規定する。
Cは、強度確保に必須の元素であるため、その添加量を0.03%以上とする。しかし、一方でC量の増大は靱性低下を招くため、その上限を0.10%とする。
Siは、強度確保に必須の元素であるため、その添加量を0.02%以上とする。しかし、一方で0.40%超のSi添加は靭性や溶接性の低下を招くためその上限を0.40%とする。
Mnは、強度増大に有効な元素であり、最低でも0.3%以上の添加が必要となるが、逆に1.2%を超えて添加すると焼戻し脆化感受性が高くなって靭性が低下する。よって、Mnの添加量を0.3%以上1.2%以下と規定する。
Niは、下限については靭性確保のため、最低でも5.0%以上の添加が必要となるが、上限は特に規定はないものの、8.0%以上では製造コストが大幅に増大するため8.0%未満が好ましい。よって、Niの添加量を5.0%以上8.0%未満とする。
Crは、焼入性の確保に有効な元素であり、最低でも0.4%以上の添加が必要となるが、逆に1.5%を超えて添加すると靭性と溶接性が低下する。よって、Crの添加量を0.4%以上1.5%以下と規定する。
Moは、焼戻し脆化の軽減に有効な元素であり、最低でも0.02%の添加が必要となるが、逆に0.40%を超えて添加すると靭性と溶接性が低下する。よって、Moの添加量を0.02%以上0.40%以下と規定する。
Alは、脱酸に有効な元素であり、最低でも0.010%以上の添加が必要となるが、逆に0.080%を超えて添加すると溶鋼再酸化を通じたアルミナクラスター形成を通じて靭性が低下する。よって、Alの添加量を0.010%以上0.080%以下と規定する。
T−Oは、下限については特に規定はないものの、0.0001%未満では精錬負荷の増大によって生産性が低下するため0.0001%以上が好ましい。0.0030%を超えて添加するとアルミナクラスター形成を通じて靭性が低下するため上限は0.0030%とする。よって、T−Oの添加量を0.0001%以上0.0030%以下とする。
Pは、下限については特に規定はないものの、0.0010%未満とするには精錬負荷の増大により生産性が大幅に低下するため0.0010%以上が好ましい。また0.0100%を超えると焼戻し脆化により靭性が低下するため上限は0.0100%とする。よって、Pの添加量を0.0010%以上0.0100%以下とする。
Sは、下限については特に規定はないものの、0.0001%未満では精錬負荷の増大により生産性が大幅に低下するため0.0001%以上が好ましい。また0.0035%を超えると靱性が低下するため上限は0.0035%とする。よって、Sの添加量を0.0001%以上0.0035%以下とする。
Nは、下限については特に規定はないものの、0.0005%未満では精錬負荷の増大によって生産性が低下するため0.0005%以上が好ましい。また0.0070%を超える添加では靭性が低下するため上限は0.0070%とする。よって、Nの添加量を0.0005%以上0.0070%以下とする。
なお、本発明では、さらに以下の元素を添加することができる。
Cuは、強度確保のため、最低でも0.1%以上の添加が必要となるが、3.0%を超えると靭性が低下する。よって、Cuの添加量を0.1%以上3.0%以下と規定する。
Nbは強度確保に有効な元素である。0.005%未満の添加では効果が小さく、0.100%超の添加では靱性の低下を招く。よって、Nbの添加量を0.005%以上0.100%以下と規定する。
Vは、強度確保に有効な元素である。0.010%未満の添加では効果が小さく、0.500%超の添加では靱性の低下を招く。よって、Vの添加量を0.010%以上0.500%以下と規定する。
Tiは、強度確保に有効な元素である。0.005%未満の添加では効果が小さく、0.500%超の添加では靭性の低下を招く。よって、Tiの添加量を0.005%以上0.500%以下と規定する。
Caは、ノズル閉塞防止に有効な元素である。0.0001%未満の添加ではその効果が小さく、0.0050%超の添加では靭性の低下を招く。よって、Caの添加量を0.0001%以上0.0050%以下と規定する。
Mgは、靱性向上に有効な元素である。0.0001%未満の添加ではその効果が小さく、0.0050%超の添加では靭性の低下を招く。よって、Mgの添加量を0.0001%以上0.0050%以下と規定する。
REMは、靱性向上に有効な元素である。0.0001%未満の添加ではその効果が小さく、0.0100%超の添加では靭性の低下を招く。よって、REMの添加量を0.0001%以上0.0100%以下と規定する。
Zrは、靱性向上に有効な元素である。0.0001%未満の添加ではその効果が小さく、0.0100%超の添加では靭性の低下を招く。よって、Zrの添加量を0.0001%以上0.0100%以下と規定する。
Bは、焼入性の向上に有効な元素である。0.0002%未満ではその効果が小さく、0.0030%を超える添加では靭性が低下する。よって、Bの添加量を0.0002%以上0.0030%以下と規定する。
なお、鋼板および溶接材料を製造する上で、添加合金を含めた使用原料または溶製中に炉材等から溶出する不可避的不純物として混入しうる、Zn、Sn、Sb等も0.002%未満の混入であれば何ら本発明の効果を損なうものではない。
次に本発明の鋼板の製造方法について記載する。鋼板は、連続鋳造で製造されたスラブを前記の方法で熱間圧延する方法で製造されるが、前記以外に、一般的にマルテンサイトを主体とする組織を微細化するために実施する下記の条件も必要になる。鋼片の加熱温度は、1270℃以上ではオーステナイトの粒成長により変態後のマルテンサイトを主体とする組織が粗大化すること、900℃未満では熱間圧延が困難になることから、900℃以上1270℃以下とする。クロス圧延の後に実施する圧延における仕上1パス前温度は、850℃超では未再結晶域圧下が少なくなり、変態後のマルテンサイトを主体とする組織が粗大化すること、600℃未満では熱間圧延が困難になることから、仕上1パス前温度を600℃以上850℃以下とする。
圧延後はすみやかに水冷を行い、鋼板を600℃以上かつ750℃以下に加熱した後冷却を行う中間熱処理を行い、さらに鋼板を500℃以上かつ650℃以下に加熱した後冷却する焼戻しを行う。
前記熱処理により、最適温度に焼戻された焼戻しマルテンサイトを主体として、残部が安定なオーステナイトからなる組織とすることができ、靭性が向上する。
種々の化学成分、製造条件で製造した板厚20mm、50mmの鋼板について、引張試験およびシャルピー衝撃試験を実施した。鋼板の化学成分、アルミナクラスター指数、有効結晶粒径、板厚、熱間圧延条件、熱処理条件、機械的特性の評価結果を表1−1、表1−2(表1−1続き)に示す。引張試験はJIS Z 2241に記載の金属材料引張試験方法に基づいて行った。試験片は、板厚の1/4だけ鋼板表面から内部に入った部位において、試験片の長手方向が圧延方向と垂直になるように採取した。常温で2本の試験を行い、引張強さの平均値が690MPa以上830MPa以下を合格とした。シャルピー衝撃試験は、2mmVノッチ試験片のフルサイズ試験片を、板厚の1/4だけ鋼板表面から内部に入った部位において、試験片の長手方向が圧延方向と垂直になるように、またノッチの前縁を結ぶ線が板厚方向に平行になるように採取した。試験温度−196℃で3本の試験を行い、3本の平均値が150J以上を合格とした。実施例1〜30に示すように、本発明に規定した成分および製造方法で鋼板を製造することにより、優れた靭性の鋼板が得られた。
Figure 0006693185
Figure 0006693185
以上の実施例から、本発明により製造された鋼材である実施例1〜30の鋼板は、靭性に優れた鋼材であることは明白である。

Claims (2)

  1. 鋼が、質量%で、
    C :0.03%以上かつ0.10%以下、
    Si:0.02%以上かつ0.40%以下、
    Mn:0.3%以上かつ1.2%以下、
    Ni:5.0%以上かつ8.0%未満、
    Cr:0.4%以上かつ1.5%以下、
    Mo:0.02%以上かつ0.40%以下、
    Al:0.010%以上かつ0.080%以下、
    T−O:0.0001%以上かつ0.0030%以下を含有し、
    P:0.0010%以上0.0100%以下、
    S:0.0001%以上0.0035%以下、
    N:0.0005%以上0.0070%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを900℃以上1270℃以下に加熱したのちに熱間圧延を行い、当該の熱間圧延の全圧下率を0.65以上、熱間圧延のうち圧延幅方向に行うクロス圧延の圧下率を0.1以上0.6以下、クロス圧延の温度範囲を800℃以上1000℃以下、仕上1パス前温度を600℃以上850℃以下として、圧延後すみやかに水冷を行い、鋼板を600℃以上かつ750℃以下に加熱した後冷却を行う中間熱処理を行い、さらに鋼板を500℃以上かつ650℃以下に加熱した後冷却する焼戻しを行い、SEMの二次電子線像、倍率10倍でシャルピー衝撃試験片の破面写真を撮影し、セパレーション状の縦割れ破面の総長さを(単位:mm)測定し、これを、破面面積(80mm )で除した値として定義されるアルミナクラスター指数が0.030以下であり、有効結晶粒径が7.0μm以下の組織とすることを特徴とする低温用ニッケル鋼板の製造方法。
  2. さらに、
    Cu:0.1%以上かつ3%以下、
    Nb:0.005%以上0.100%以下、
    V:0.010%以上0.500%以下、
    Ti:0.005%以上0.500%以下、
    Ca:0.0001%以上0.0050%以下、
    Mg:0.0001%以上0.0050%以下、
    REM:0.0001%以上0.0100%以下、
    Zr:0.0001%以上0.0100%以下、
    B:0.0002%以上0.0030%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の低温用ニッケル鋼板の製造方法。
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