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JP6676599B2 - 工具ホルダ - Google Patents

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JP6676599B2 JP2017200185A JP2017200185A JP6676599B2 JP 6676599 B2 JP6676599 B2 JP 6676599B2 JP 2017200185 A JP2017200185 A JP 2017200185A JP 2017200185 A JP2017200185 A JP 2017200185A JP 6676599 B2 JP6676599 B2 JP 6676599B2
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Description

本発明は、刃具をチャッキングする工具ホルダに関し、特に刃具の傾きを修正するための技術に関する。
工作機械加工において高精度の切削加工を実現するためには、切削工具の取り付け精度を高精度に維持する必要がある。一般に切削工具を工具ホルダでチャッキングする場合の精度は、切削工具のチャック部分から刃先方向へ所定距離離れた先端の振れ精度を指標としており、高精度の工具ホルダであっても、その振れ精度は3〜5[μm]である。すなわち、バニッシングリーマやドリル等の刃具を高精度の工具ホルダでチャックしても工具の刃先の振れを限りなくゼロに近づけることは困難である。そこで従来、特許第3704320号公報(特許文献1)および特許第4092221号公報(特許文献2)に記載されるように、工具の刃先の振れを修正できる工具ホルダが知られている。
特許文献記載の工具ホルダでは、ホルダ本体の外周にリング部材が回動可能に取り付けられる。このリング部材は刃先振れ修正用の偏心カムを内蔵する。この偏心カムは工具ホルダの周方向において1箇所のみに配置される。偏心カムは工具ホルダ先端側のローラ保持筒と後端側のホルダ本体の間に介在し、ローラ保持筒を先端側へ押圧することができる。ローラ保持筒は偏心カムによって周方向1箇所で押圧されることにより、ホルダ本体の軸線に対して僅かに傾斜する。これによりローラ保持筒にチャッキングされる刃具も僅かに傾斜して、刃先(刃具の先端)が修正されるというものである。
特許文献記載の工具ホルダはマシニングセンタの主軸に装着されて主軸とともに回転する。つまり特許文献記載の工具ホルダにチャッキングされる刃具ないし工具は、マシニングセンタ用の回転工具である。例えばリーマ等、回転工具でワークに仕上げ加工を施す場合、回転工具の刃先の振れを‘0’に調整すれば足りる。刃先の振れを‘0’にすれば、ワークの下孔の入口における刃先の振れが‘0’となり、当該下孔に沿ってワークに仕上げ孔が切削・形成される。
特許第3704320号公報 特許第4092221号公報
本発明者は、特許文献記載の回転ホルダを旋盤のタレットおよび工具間に介在させても、ワークを精度良く加工できないという問題に気づいた。この理由として、特許文献記載の工具ホルダにあっては、ローラ保持筒をホルダ本体の軸線に対して僅かに傾斜させることができるが、ローラ保持筒の中心をホルダ本体の軸線に一致するよう芯合わせできないから、ということに気付いた。
なぜなら、旋盤でワークを加工する場合、旋盤のタレットに装着される工具は、上述した回転工具ではなく、回転しない静止工具になる。このため旋盤において、刃先の傾きを修正するのみでは不十分であるということに気付いた。
本発明は、上述の実情に鑑み、旋盤用の静止工具のために、従来よりも精度良くワークを加工することができる工具ホルダを提供することを目的とする。
この目的のため本発明による工具ホルダは、旋盤のタレットに取り付けられる工具ホルダであって、後端部に設けられるホルダシャンク部、先端部に設けられる円筒部、円筒部の先端部に形成されて外径方向に広がる先端大径部、および先端大径部から後端側へ延びる中心丸穴を有するシャンク部材と、後端部に設けられて中心丸穴に嵌合する嵌合部、および先端部に設けられて工具のシャンク部をチャッキングする工具把握手段を有する先端部材と、先端大径部の異なる周方向位置にそれぞれ設けられて外径端が先端大径部の外周面と接続し内径端が中心丸穴に接続する複数の雌ねじ孔、およびこれら雌ねじ孔のそれぞれにねじ込まれて先端部材の中心を旋盤主軸の中心線に一致させる芯合わせ手段と、シャンク部材および先端部材の少なくとも一方に設けられて先端部材の姿勢を調整する傾き調整手段とを備える。
傾き調整手段は、シャンク部材の円筒部の外周に回動可能に取り付けられるリング部材と、円筒部の後端部外周に取り付けられてリング部材を固定するストッパ部材と、リング部材のいずれかの周方向位置に配置される1個もしくは複数個のカム機構を有し、該カム機構でシャンク部材の先端大径部の周方向所定箇所を先端側に押し出すことによって、先端部材の姿勢を調整する。
工具把握手段は、先端部材の先端部から後端側に延びる先端中心孔と、当該先端中心孔の内周に形成される雌ねじ部と、先端中心孔の穴底から後端側に向かって延びるテーパ穴と、内周に形成される工具挿通孔および外周に形成されるテーパ面を有しテーパ穴に差し込まれるテーパコレットと、スパナと係合するための被係合部および外周に形成される雄ねじ部を有し当該雄ねじ部が先端中心孔内で雌ねじ部に螺合してテーパコレットをテーパ穴に押し込むことにより工具挿通孔を縮径させる環状のロック部材と、ロック部材に設けられて後端側へ指向する環状の平坦な押圧面とテーパコレットの先端部に設けられて先端側へ指向する環状の平坦な受け面との間に介在して両端面が低摩擦となるよう表面処理を施された環状のプレーンベアリングを含む。
かかる本発明によれば、ローラ保持筒を備える工具把握手段や、あるいはテーパコレット式の工具把握手段や、あるいは別な方式の工具把握手段を備える工具ホルダにおいて、工具把握手段の姿勢を調整する傾き調整手段と、先端部材の中心を旋盤主軸の中心線に一致させる芯合わせ手段をさらに備える。工具把握手段を有する先端部材は、これら2種類の手段によって姿勢および中心の双方を調整される。本発明によれば、刃具の傾斜および刃具の中心を所望の状態に調整することが可能になり、静止工具において加工精度が向上する。
また本発明によれば、リング部材を回動させることによりカム機構を所望の周方向位置にセットすることができる。したがって傾き調整が容易になる。
また本発明によれば、1個のカム機構によって刃具の姿勢を簡便に調整することができる。あるいは複数のカム機構によって刃具の姿勢を好適に調整することができる。複数のカム機構は、上述したリング部材に設けられ、かかるリング部材は回動可能である。他の例としてリング部材は回動不能に円筒部に固定される。
また本発明によれば、コレットチャックをテーパ穴に押し込むロック部材が、コレットチャック本体の先端中心孔内に入り込む。したがって工具ホルダの先端からみて、工具ホルダにチャッキングされる工具の先端までの突出距離が、従来よりも短縮化され、加工精度の向上に資する。
また本発明によれば、ロック部材の締め込み時に、低摩擦となるように表面処理されるプレーンベアリングによって、テーパコレットがテーパ穴の軸線に倣うように押し込まれる。したがって工具の中心を工具ホルダの軸線に一致させることができる。
本発明の工具ホルダは、少なくとも一部が鋼製である。本発明の好ましい局面として先端部材の嵌合部は鋼製であり、焼き入れ処理によって外周面を硬くされる。かかる局面によれば、嵌合部外周面の押し込み硬さが大きくなるので、調整ボルトが繰り返し締め付けられたり緩められたりして嵌合部の外周面に当接を繰り返しても、嵌合部の外周面の摩擦係数が低いまま維持することができる。したがって作業者は先端部材の中心をシャンク部材の軸線に容易に芯合わせすることができる。
旋盤主軸の中心線に関し、芯合わせ手段の中心線方向位置は特に限定されない。本発明の好ましい局面として、芯合わせ手段は工具把握手段のゲージラインよりも後端側に配置される。
芯合わせ手段の雌ねじ孔の個数およびレイアウトは特に限定されないが、本発明の好ましい局面として芯合わせ手段の複数の雌ねじ孔は、先端大径部の周方向等間隔に配置される。かかる局面によれば静止工具(刃具)の刃先を好適に調整することができる。より好ましくは、雌ねじ孔が周方向90°間隔に配置されるとよい。
ロック部材の形状は特に限定されないが本発明の一局面として、ロック部材の外径寸法が先端中心孔の内径寸法に等しい。かかる局面によれば、ロック部材を先端中心孔に収納して、工具ホルダの短縮化を図ることができる。
押圧面およびプレーンベアリングの配置箇所は特に限定されないが本発明の好ましい局面としてロック部材のロック部材中心孔は、軸線方向中央部分の内径が後端部分の内径よりも小さくなるように形成され、これらの内径差によって構成される環状段差に押圧面が設けられ、プレーンベアリングはロック部材中心孔の後端部分に収納され、ロック部材中心孔の後端部分の内周に設けられてプレーンベアリングを抜け止めする抜け止め手段をさらに備える。かかる局面によれば、ロック部材をコレットチャック本体から分離する際、プレーンベアリングが不用意に脱落することが防止される。
ロック部材はテーパコレットを軸線方向後端側へ押し込むものであればよいが、本発明の好ましい局面としてテーパコレットは、受け面よりも内径側の環状部分から先端側へ突出する環状のノーズ部、およびノーズ部の先端部分から外径側に突出する鍔部をさらに有する。ロック部材は、ロック部材中心孔でノーズ部の根元部分を包囲して、テーパコレットの受け面と鍔部との間に係止される。かかる局面によれば、テーパコレットがロック部材に係合することから、ロック部材を緩め方向に回転させると、テーパコレットがテーパ穴から引き出されるので、工具を工具ホルダから分離する作業を効率良く行うことができる。
ロック部材の形状は特に限定されないが本発明の一局面としてロック部材中心孔は、軸線方向中央部分の内径が先端部分の内径よりも小さくなるよう形成される。テーパコレットの鍔部は、ロック部材中心孔の先端部分に収納される。かかる局面によれば、テーパコレットの先端部がロック部材中央孔に収納されることから、工具ホルダが長くなることを防止できる。
ロック部材は、締め付け方向あるいは緩め方向に回転されるため、スパナ等と係合するための被係合部を有する。被係合部の形状は特に限定されないが本発明の好ましい局面として、ロック部材中心孔は先端部分の内径が後端部分の内径よりも小さくなるよう形成され、ロック部材の被係合部はロック部材の周方向に間隔を空けて複数設けられて先端側へ指向する有底の丸穴であり、かかる丸穴はロック部材中心孔の先端部分よりも外径側かつロック部材の雄ねじ部よりも内径側に配置される。かかる局面によれば、被係合部がロック部材から先端側へ突出しないため、ロック部材の小型化に資する。
プレーンベアリングは、ロック部材とテーパコレットとの間の摩擦を低減して、ロック部材の回転を円滑にし、テーパコレットがコレットチャック本体のテーパ穴に倣うようにする。本発明の好ましい局面としてプレーンベアリングの表面処理は、コーティング処理あるいは磨き処理である。コーティング処理とはプレーンベアリングの表面に低摩擦層を形成することをいう。磨き処理とはプレーンベアリングの表面自体を円滑に形成することをいう。
コレットチャック本体は後端のホルダシャンク部で工作機械に装着される。ホルダシャンク部の形状は特に限定されない。例えばホルダシャンク部は、所定の外径で軸線方向に延びるストレートシャンクである。
このように本発明によれば、2種類の調整手段により刃具の軸線直角方向位置および姿勢を調整することができる。したがって従来よりも一層高精度に刃先の傾きを修正することができる。
本発明の一実施形態になる工具ホルダを示す全体図である。 同実施形態を示す正面図である。 同実施形態の先端部を拡大して示す縦断面図である。 同実施形態を主な構成要素に分解して示す図である。 同実施形態のロック部材を取り出して示す正面図である。 同実施形態のプレーンベアリングを示す正面図である。 同実施形態のプレーンベアリングおよびロック部材を示す分解図である。 カム機構を示す分解斜視図である。 カム機構を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態になる工具ホルダを示す全体図であり、図1の紙面左側が側面図、図1の紙面右側が縦断面図である。図2は同実施形態の工具ホルダを示す正面図である。図3は、同実施形態の工具ホルダの先端部を拡大して示す縦断面図である。本発明の理解を容易にするため図3では、後述する芯合わせ機構および傾き調整機構によって修正される先端部材の姿勢および軸線直角方向位置が誇張して描かれている。図4は、同実施形態の工具ホルダを主な構成要素に分解して示す図であり、テーパコレットの側面図を含む。
工具ホルダ10は、主な構成要素としてシャンク部材12と、先端部材31とを備える。先端部材31は、工具100のシャンク部101をチャッキングするための工具把握手段を有する。工具100は例えば、エンドミルやドリルといった、切削加工に使用される刃具等を含む。以下の説明では、シャンク部材12の軸線Oに関し、工具100をチャッキングする側(図1の紙面下方)を軸線O方向先端側(以下、単に先端側という)とし、図示しない工作機械に装着される側(図1の紙面上方)を軸線O方向後端側(以下、単に後端側という)とする。
シャンク部材12と先端部材31は軸線O方向に直列に連結される。原則として先端部材31の軸線はシャンク部材12の軸線Oに一致する。ただし後述する芯合わせ手段および傾き調整手段によって、先端部材31の中心および姿勢はシャンク部材12の軸線Oに対して調整される。
図1に示すように軸線O方向に関し、シャンク部材12は、工具ホルダ10の後端から中央領域を占める。先端部材31は工具ホルダ10の先端領域を占める。詳しくは後述するが、シャンク部材12と先端部材31は工具ホルダ10の先端から後端まで貫通するように軸線Oに沿って延びる中心孔を構成する。
シャンク部材12は、軸線O方向に関し後端領域に形成されるホルダシャンク部13と、先端領域に形成される円筒部14と、先端部に形成される先端大径部15を含む。ホルダシャンク部13は、工具ホルダ10の後端部から中央部まで一定の外径で延びるストレートシャンクである。ホルダシャンク部13の周方向1箇所には軸線Oと平行に細長く延びる平坦面13pが形成される。ホルダシャンク部13は図示しない工作機械、例えば回動可能なタレットヘッドに複数設けられる刃物台、に装着される。
ホルダシャンク部13の先端は、円筒部14の後端と結合する。円筒部14は先端側に開口する有底の円筒形状である。円筒部14の外径はホルダシャンク部13の外径よりも大きい。
円筒部14の先端には、外径側へ広がるフランジ状の先端大径部15が形成される。円筒部14と先端大径部15の境界には円周溝28が形成される。円周溝28は円筒部14の外周に沿って延びる。このため円筒部14と先端大径部15の接続箇所は薄肉にされ、僅かな弾性変形が可能になる。これは後述する傾き調整手段のためである。
シャンク部材12の先端面でもある先端大径部15の先端面には、後端に向かって延びる中心丸穴16が形成される。中心丸穴16は、軸線Oを中心として一定の内径を有し、先端大径部15および円筒部14の内周面を構成する。中心丸穴16には、先端側から先端部材31が嵌合する。中心丸穴16の穴底には貫通孔17がさらに形成される。貫通孔17はホルダシャンク部13を貫通し、シャンク部材12の後端まで延びる。
先端部材31の後端から中央部までの領域は、嵌合部33を構成する。嵌合部33はシャンク部材12の中心丸穴16内に挿通されて、シャンク部材12と嵌合する。嵌合部33の外径は、中心丸穴16の内径に対応して軸線O方向に関し一定に形成される。嵌合部33の先端には、外径側へ広がるフランジ部34が形成される。先端部材31のフランジ部34は、シャンク部材12の中心丸穴16に挿通されず、シャンク部材12の先端大径部15に隣接する。先端大径部15の外径とフランジ部34の外径は同じである。先端大径部15とフランジ部34は、軸線O方向に延びる結合ボルト66により、軸線O方向に直列に連結され、工具ホルダ10の外周面を構成する。
軸線Oを中心として外径側に広がるフランジ形状の先端大径部15は僅かに弾性変形可能である。先端大径部15の軸線O方向位置は通常、先端大径部15の全周に亘って全て一致するが、後述する傾き調整手段によって先端大径部15の周方向における一部分が他の部位よりも先端側に僅かに変位可能である。そうすると先端大径部15の先端面と接触する先端部材31のフランジ部34が、軸線Oに対して僅かに傾斜し、ひいては先端部材31の姿勢が工具100を伴って変化する。
ここでシャンク部材12と先端部材31の連結構造につき説明する。
図2に示すように先端部材31のフランジ部34には、凹部37が周方向に間隔を空けて複数形成される。各凹部37は、フランジ部34の外周面から内径側に切り欠かれ、かつ、フランジ部34の先端面から後退する段差に形成される。本実施形態では周方向90°の等間隔となるよう4箇所に凹部37が設けられる。図1に示すようにフランジ部34の先端面から後退する凹部37の底面には、貫通孔38が設けられる。各貫通孔38はフランジ部34の後端面と接続する。
シャンク部材12の先端大径部15には、有底の雌ねじ穴19が周方向に間隔を空けて複数形成される。各雌ねじ穴19は、先端大径部15の先端面から後端側へ延び、各貫通孔38の周方向位置に対応するよう配置されて各貫通孔38と接続する。各貫通孔38には先端側から結合ボルト66が通される。各結合ボルト66の軸部は、雌ねじ穴19と螺合し、各結合ボルト66の頭部はフランジ部34に係止したまま凹部37に収納される。各結合ボルト66を締め付け方向に回転させることにより先端部材31はシャンク部材12に連結固定される。
結合ボルト66は周方向に間隔を空けて複数配置される。具体的には90°間隔で配置される。本実施形態の結合ボルト66は等間隔に配置されるが、図示しない変形例として結合ボルト66は異なる間隔で配置されてもよい。
次に、先端部材31に設けられる工具把握手段について説明する。
フランジ部34の先端面には先端側へ突出する環状の先端環状部35が形成される。先端部材31の先端環状部35の内周は先端中心孔36を区画する。先端中心孔36は軸線Oに関し一定の内径を有する。先端中心孔36の孔底には、先端側から後端側に向かって細くなるテーパ穴32が延設される。先端中心孔36の内径はテーパ穴32よりも大きい。テーパ穴32および先端中心孔36の中心は先端部材31の軸線に一致する。テーパ穴32には先端中心孔36からテーパコレット41が差し込まれる。また先端中心孔36にはロック部材51が配置される。先端環状部35の内周には雌ねじ部36nが形成される。詳しくは後述するが、雌ねじ部36nはロック部材51の外周に形成される雄ねじ部52と螺合する。先端中心孔36の孔底は、工具100をチャッキングする工具把握手段のゲージラインに略一致する。ゲージラインとは、テーパコレット41がテーパ穴32に強固に把握される軸線方向領域の先端をいう。シャンク部材12と先端部材31を組み立てた状態で、貫通孔17と中心丸穴16とテーパ穴32はこの順序で直列に接続する。
工具把握手段の細部を示す図3を参照して、テーパコレット41は中心に工具挿通孔49を有する。工具挿通孔49はテーパコレット41の先端から後端まで貫通するように延びる。テーパコレット41の外周には、後端から先端に向かうほど大径になるテーパ面42が形成される。テーパ面42よりも先端側には、先端側に指向する平坦な環状の受け面43が設けられる。
テーパコレット41は、先端部に環状のノーズ部44および鍔部45をさらに有する。環状のノーズ部44は、受け面43よりも内径側の環状部分から先端側へ突出する。鍔部45はノーズ部44の先端部分から外径側に突出する。
テーパコレット41は、すり割り46,47をさらに有する。すり割り46,47は周方向に間隔を空けて複数本配置される。またすり割り46,47は、テーパコレット41の先端領域と後端領域にそれぞれ互い違いに配置される。すり割り46はテーパコレット41の先端から後端に向かって延びる。このためテーパ面42の先端側部分、ノーズ部44、および鍔部45は、周方向に不連続にされる。すり割り47はテーパコレット41の後端から先端に向かって延びる。このためテーパ面42の後端側部分は周方向に不連続にされる。テーパコレット41の軸線に関し、すり割り46,47の軸線方向位置は、テーパコレット41の中央部で重なる。
ロック部材51は環状の部材であり、外周に雄ねじ部52が形成される。ロック部材51の平坦な環状の先端面53には、図示しないスパナと係合するための被係合部54が設けられる。図5は本実施形態のロック部材51を示す正面図である。被係合部54は周方向に間隔を空けて配置される有底の丸穴である。本実施形態の被係合部54は、90°間隔の4箇所に設けられるが、被係合部54の個数およびレイアウトは特に限定されない。図示しないスパナは各被係合部54に対応するピン状の突起を複数有し、各被係合部54に係合して、ロック部材51に締め付け方向および緩め方向のトルクを付与する。この点については後で詳細に説明する。
図4に示すようにロック部材51の中心に形成されるロック部材中心孔は、先端部分55と中央部分56と後端部分57がこの順序で連続してなる。先端部分55の内径は中央部分56の内径よりも大きい。このため先端部分55と中央部分56の接続箇所には環状段差58が形成される。環状段差58は先端側へ指向する環状面である。ロック部材中心孔の先端部分55は、ロック部材51の先端面53と接続する。
有底の小穴である各被係合部54の軸線O方向長は、先端部分55の軸線O方向長以下にされるか、あるいは図示はしなかったが先端部分55よりも後端側に延びる。後者の場合、被係合部54の穴底の軸線O方向位置は、中央部分56と重なる。いずれにせよ各被係合部54は、後端部分57よりも先端側に配置される。
ロック部材中心孔の後端部分57の内径は先端部分55の内径よりも大きい。このため後端部分57と中央部分56の接続箇所にも環状段差が形成される。この環状段差は後端側へ指向する環状の平坦な押圧面59を構成する。詳しくは後述するが、押圧面59はテーパコレット41に押圧力を付与する。
ロック部材51の押圧面59と、テーパコレット41の受け面43との間には、プレーンベアリング61が介在する。図6は、本実施形態のプレーンベアリング61を示す正面図である。プレーンベアリング61は、厚み一定の環状の円板であり、焼入・研磨された鋼板等により環板状に成形される。プレーンベアリング61の両端面、すなわち後端側端面および先端側端面には、受け面43および押圧面59との摩擦抵抗を低減するための表面処理が施されている。そのような表面処理は例えば、イオン窒化処理、DLC(Diamond Like Carbon)コーティング処理、TiNコーティング処理、鏡面状ラッピング処理、および磨き処理等である。プレーンベアリング61の両端面は、上述した処理と併用して、あるいは別個に、油膜潤滑されていてもよい。
プレーンベアリング61の先端側端面と面接触するロック部材51の押圧面59も、プレーンベアリング61の両端面と同様に、摩擦係数を下げるよう表面処理された低摩擦平面であってもよい。プレーンベアリング61の後端側端面と面接触する受け面43も同様である。
図4に示すようにプレーンベアリング61の板厚は後端部分57の軸線O方向長よりも小さく、プレーンベアリング61はロック部材中心孔の後端部分57の中に収納される。後端部分57の内周面には、僅かに突出する突起57pが設けられる。プレーンベアリング61は後端部分57の中に収納可能とされるために弾性変形可能である。突起57pは、例えば周方向に間隔を空けて複数配置され、プレーンベアリング61の外縁と係合する。プレーンベアリング61は突起57pによってロック部材中心孔の後端部分57から抜け出さないように抜け止めされ、押圧面59と隣り合うように保持される。また図7に示すようにプレーンベアリング61はロック部材51から分離可能であり、適宜交換可能とされる。図7はロック部材およびプレーンベアリングを分解して示す断面図である。
次に、先端部材31の軸線O直角方向位置を調整する芯合わせ手段について説明する。
図3に示すように、シャンク部材12の先端大径部15には、雌ねじ孔18が形成される。雌ねじ孔18は、先端大径部15の外周面から中心丸穴16の内周面まで半径方向に延びて先端大径部15を貫通する。図2に破線で示すように雌ねじ孔18は、周方向に間隔を空けて複数形成される。本実施形態では周方向90°の等間隔となるよう4箇所に雌ねじ孔18が設けられる。
各雌ねじ孔18には外径側から調整ボルト64がねじ込まれる。図3に示すように調整ボルト64の先端面65は、内径側を指向し、先端部材31の嵌合部33外周面と当接する。本実施形態では、各調整ボルト64を適宜回転させることにより、先端部材31をシャンク部材12に対して軸線O直角方向に相対移動させることができる。
嵌合部33の外周面は、先端部材31の他の部位よりも硬くされる。具体的にはHRC(ロックウェル硬さ)55以上、より好ましくはHRC60以上とされる。例えば、鋼製の先端部材31が焼き入れ処理されることにより、先端部材31の表面部分が内部よりも硬い組織にされる。嵌合部33外周面の押し込み硬さを大きくすることにより、調整ボルト64による芯合わせがし易くなる。
ここで附言すると図2に示すように、各凹部37は、周方向に隣り合う2箇所の雌ねじ孔18,18間に配置される。つまり凹部37と雌ねじ孔18はフランジ部34の周方向に間隔を空けて交互に配置される。本実施形態では、雌ねじ孔18と凹部37が周方向45°の等間隔に配置される。
芯合わせ手段としての雌ねじ孔18は、工具把握手段のゲージライン(先端中心孔36の孔底)よりも後端側に配置される。
芯合わせ手段を用いて先端部材31の軸線O直角方向位置を調整する手順につき説明する。
以下の説明において先端部材31の中心とは、先端部材を軸線方向任意の位置における中心点をいうと理解されたい。先端部材31の中心を軸線方向に連続して表すと、図3に一点鎖線の直線で表される。かかる中心Xは、複数の調整ボルト64のねじ込み位置によって、シャンク部材12の軸線Oに対し若干の相対変位が可能である。例えば図3の紙面左側に配置される調整ボルト64を締め付け方向に回転させて軸線Oに近づくように変位させるとともに、図3の紙面右側に配置される調整ボルト64を緩め方向に回転させて軸線Oから遠さかるように変位させると、調整ボルト64の平坦な先端面65が嵌合部33を紙面右側へ押圧し、図3に誇張して示すように先端部材31の中心Xは、シャンク部材12の軸線Oよりも紙面右側へ変位する。図2に示すように複数の調整ボルト64は、異なる周方向位置に配置されるので、作業者は1または複数の調整ボルト64を適宜緩めたり締め付けたりすることにより、先端部材31は軸線Oに直角な所望の方向に調整される。なお芯合わせ手段による変位量は、数[μm]〜十数[μm]である。
次に、軸線Oに対する先端部材31の傾きを調整する傾き調整手段について説明する。
図3に示すように円筒部14の外周には、リング形状のストッパ部材21が取り付けられる。具体的には、円筒部14の後端部外周には雄ねじ14mが形成され、ストッパ部材21の内周には雌ねじ21nが形成され、雄ねじ14mと雌ねじ21nが互いに螺合する。ストッパ部材21の外径は、先端大径部15の外径と等しい。ストッパ部材21は、先端大径部15よりも後端側に間隔を空けて配置される。
ストッパ部材21にはサイドロックボルト孔21sが設けられる。サイドロックボルト孔21sはストッパ部材21の外周面から内周面まで延びる雌ねじ孔である。サイドロックボルト孔21sには、ストッパ部材21の外径側からサイドロックボルトがねじ込まれる。かかるサイドロックボルトが円筒部14の外周面に当接して、ストッパ部材21はシャンク部材12に取付固定される。
ストッパ部材21と先端大径部15の間にはリング部材22が介在する。リング部材22は円筒部14の外周を包囲する。ストッパ部材21を締め付け方向(先端側)に回転させることで、リング部材22はストッパ部材21と先端大径部15に挟まれて、軸線O方向に移動不能とされる。またリング部材22は、ストッパ部材21と先端大径部15に挟圧されない状態で、回動可能である。
リング部材22にはカム機構23が設けられる。カム機構23は、円筒部14の外周面に沿うよう配置される。本実施形態は、カム機構23を1個のみ有する。
リング部材22を回動させることにより、カム機構23の周方向位置は任意の位置に変更可能である。
本実施形態のカム機構23は、円柱状の操作部材24と、球状のボール25と有し、後端側のストッパ部材21と先端側の先端大径部15の間に介在する。カム機構23は、リング部材22とともに、ストッパ部材21の先端面に支持されて、後端側への変位を抑制され、先端側へ押圧力を付与する。カム機構23は、図3の紙面左側に誇張して示すようにボール25を先端大径部15の周方向特定箇所の後端面に押し当てて、先端大径部15の周方向特定箇所を軸線O方向先端側へ押し出す。周方向特定箇所は、作業者が工具100を傾斜させたい方向からみて、軸線Oを挟み反対側の周方向位置である。ボール25は鋼球等である。
図8はカム機構23を示す分解斜視図である。図9はカム機構23を示す断面図である。操作部材24の外周面には、偏心カム溝24cが形成される。偏心カム溝24cは、操作部材24の周方向に延びる。偏心カム溝24cの溝断面は、ボール25の外径に対応する円弧形状である。ただし偏心カム溝24cの溝断面は、操作部材24の全周に亘って一定の形状ではなく、操作部材24の周方向位置に応じて異なる溝深さにされる。偏心カム溝24cの溝幅も同様である。具体的には図9に示すように、偏心カム溝24cの溝底を構成する円が、操作部材24の外周円に対して偏心する。
リング部材22には、半径方向に貫通する丸孔22hと、軸線と平行に延びる小孔22jおよび穴22kが形成される。小孔22jは丸孔22hの半径方向に延び、丸孔22hの内周面とリング部材22の先端面を接続する。小孔22jの内径は、ボール25の外径に対応する。穴22kはリング部材22の端面から真っ直ぐに延び、丸孔22hの内周面に接する接線に沿う有底の穴である。
丸孔22hに操作部材24を挿通した状態で、小孔22jの一端は偏心カム溝24cと対面する。小孔22jにはボール25が挿通される。ボール25は偏心カム溝24cに嵌り込む。
穴22kは、偏心カム溝24cから離れた位置で、操作部材24の外周面に隣接する。穴22kには、合成樹脂や硬質ゴム等からなる円柱状の回転抑制部材26が挿通される。さらに穴22kの開口端には、抑えねじ27が着脱可能に螺合する。抑えねじ27は穴22kを塞ぐ栓であり回転抑制部材26の抜け出しを防止する。
傾き調整手段を用いて先端部材31の姿勢を調整する手順につき説明する。
作業者が操作部材24の一端に形成されるレンチ係合穴24bにレンチを差し込み、図8に矢印で示すように操作部材24を回動操作すると、ボール25が偏心カム溝24cに溝深さに応じ、小孔22jに沿って移動する。そうすると図9に示すようにボール25が偏心カム溝24cの浅い箇所に支持される場合、ボール25は操作部材24に押し出されて小孔22jから突出する。反対にボール25が偏心カム溝24cの深い箇所に支持される場合、ボール25は偏心カム溝24cに入り込み、小孔22j内に収納される。
1個のカム機構23は、いずれかの周方向位置に配置され、リング状のストッパ部材21に支持される。作業者がカム機構23を適宜緩めたり締め付けたりすることにより、先端大径部15の周方向所定箇所が周方向残りの部位よりも先端側へ押し出される。そうするとシャンク部材の軸線Oに関し、先端大径部15の姿勢が僅かに変化する。そして結合ボルト66で先端大径部15に取付固定される先端部材31の姿勢も変化する。
本実施形態の傾き調整手段によれば、先端部材31の姿勢は軸線Oに対し所望の角度で所望の周方向へ傾くように調整される。例えば図3の紙面左側に表される先端大径部15の周方向所定箇所は、図3の紙面右側に表される周方向180°異なる箇所よりも先端側へ押し出される。かくして図3に誇張して示すように先端部材31は、シャンク部材12の軸線Oに対して紙面右側へ傾斜する。
ここで附言すると、図9に示す回転抑制部材26は操作部材24の外周面に接触しており、作業者の操作がないときに操作部材24が回動することを防止する。
次に、刃具等の工具を工具ホルダ10にチャッキングする手順について説明する。
まず作業者は、ロック部材51を緩め方向に予め回転させておく。ロック部材51が先端部材31の先端面35fから先端側へ突出する程度に緩められている場合、テーパコレット41の工具挿通孔49は十分に拡径される。次に作業者は、工具100のシャンク部101をロック部材51の先端側からロック部材中心孔およびプレーンベアリング61の中心孔を経て工具挿通孔49に差し込む。
次に作業者は、スパナをロック部材51に係合させて、ロック部材51を締め付け方向に回転させる。そうするとロック部材51は軸線方向に徐々に後退し、ロック部材51の押圧面59がプレーンベアリング61を介してテーパコレット41の受け面43を押圧する。そうするとテーパコレット41は先端部材31のテーパ穴32に押し込まれ、すり割り46,47が狭くなることによって工具挿通孔49が徐々に縮径する。これによりシャンク部101は全周に亘ってテーパコレット41に締め付けられ、工具100は工具ホルダ10にチャッキングされる。
なおロック部材51がテーパコレット41を押し込む際、摩擦係数の少ないプレーンベアリング61が両者に介在することから、両者間の摩擦が低減される。このためテーパコレット41が非回転であってもロック部材51は回転し易くなる。またテーパコレット41とロック部材51との間で、軸線直角方向の相対移動が可能になる。したがって何らかの理由によってロック部材51が先端部材31の中心から僅かに芯ずれする場合であっても、テーパコレット41はテーパ穴32に倣って押し込まれ、テーパコレット41の軸線が先端部材31の中心Xに一致する。したがって本実施形態によれば、工具100が先端部材31の中心Xに一致するようチャッキングされ、工具100の芯ずれが防止される。
工具100を工具ホルダ10から分離(アンチャッキング)する場合、上述した手順と逆の手順を実行すればよい。
ところで本実施形態の工具ホルダ10は、後端部に設けられるホルダシャンク部13、先端部に設けられる円筒部14、円筒部14の先端部に形成されて外径方向に広がる先端大径部15、および先端大径部15から後端側へ延びる中心丸穴16を有するシャンク部材12と、後端部に設けられて中心丸穴16に嵌合する嵌合部33、および先端部に設けられて工具100のシャンク部101をチャッキングする工具把握手段を有する先端部材31と、先端大径部15の異なる周方向位置にそれぞれ設けられて外径端が先端大径部15の外周面と接続し内径端が中心丸穴16に接続する複数の雌ねじ孔18,18・・・、および雌ねじ孔18のそれぞれにねじ込まれて先端部材31の嵌合部33と当接する調整ボルト64を有し、複数の調整ボルト64のねじ込み位置によって先端部材31の軸線O直角方向位置を調整する芯合わせ手段と、円筒部14の後端部外周に取付固定されるストッパ部材21、および円筒部14の外周面に沿って配置されるカム機構23を有し、ストッパ部材21に支持されるカム機構23で先端大径部15の周方向所定箇所を先端側へ押し出すことによって先端部材31の姿勢を調整する傾き調整手段とを備える。
かかる本実施形態によれば、工具100をチャッキングする工具把握手段を備える工具ホルダ10において、工具把握手段の姿勢を調整する傾き調整手段と、工具把握手段の軸線O直角方向位置を調整する芯合わせ手段をさらに備える。工具把握手段を有する先端部材は、これら2種類の調整手段によって姿勢および軸線直角方向位置の双方を調整される。本発明によれば、刃具の傾斜および刃具の軸線直角方向位置を所望の状態に調整することが可能になり、刃具で切削加工する際の加工精度が格段に向上する。また芯合わせを目的として、これら2種類の調整手段を使用することにより、先端部材31の中心Xをシャンク部材12の軸線Oに一致させることができる。
また本実施形態の嵌合部33は鋼製であり、焼き入れ処理によって外周面を硬くされる。嵌合部33の外周面が先端部材31の他の部位よりも硬くされることから、当該外周面の摩擦係数を低くし得て、調整ボルト64が繰り返し締め付けられたり緩められたりして嵌合部33の外周面に当接を繰り返しても、嵌合部33の外周面の摩擦係数を低いまま維持することができる。したがって作業者は中心Xを軸線Oに容易に芯合わせすることができる。また先端部材31はシャンク部材12先端の中心丸穴16に容易に着脱される。また先端部材31はシャンク部材12の中心丸穴16に嵌合したまま円滑に回動可能とされる。
また本実施形態の傾き調整手段は円筒部14の外周を包囲するリング部材22をさらに有し、リング部材22はストッパ部材21と先端大径部15の間に介在し、カム機構23はリング部材22に設けられる。これによりリング部材22を回動させてカム機構23を所望の周方向位置にセットすることが可能になり、先端部材31の傾き方向を調整することができる。
また本実施形態の芯合わせ手段の構成要素である雌ねじ孔18は、先端中心孔36の孔底に略一致するゲージラインよりも後端側に配置される。
また雌ねじ孔18は、先端大径部15の周方向等間隔に配置される。これにより軸線直角方向の調整が容易になる。
また本実施形態の傾き調整手段の構成要素であるカム機構23は、円筒部14のいずれかの周方向位置に配置される。これにより先端部材31の姿勢を作業者の所望の方向に調整することができ、調整作業が容易になる。
なおカム機構23は本実施形態に限られず、図示しない変形例として、特許第4092221号公報の図5に示される構造であってもよい。また図示しない変形例として、傾き調整手段は複数のカム機構を有してもよい。複数のカム機構は、周方向に間隔を空けて、具体的には例えば周方向等間隔、に配置される。一例としてストッパ部材21と先端大径部15の間の環状領域に、90°間隔の周方向4箇所にカム機構23が設けられる。かかる変形例によれば、リング部材22を廃止可能であり、複数のカム機構23のうち1または2個のカム機構を操作すれば、先端部材31の姿勢を調整することができる。
また本実施形態の工具把握手段は、先端部材31の先端部から後端側に延びる先端中心孔36と、先端中心孔36の内周に形成される雌ねじ部36nと、先端中心孔36の穴底から後端側に向かって延びるテーパ穴32と、内周に形成される工具挿通孔49および外周に形成されるテーパ面42を有しテーパ穴32に差し込まれるテーパコレット41と、スパナと係合するための被係合部54および外周に形成される雄ねじ部52を有し雄ねじ部52が先端中心孔36内で雌ねじ部36nに螺合してテーパコレット41をテーパ穴32に押し込むことにより工具挿通孔49を縮径させる環状のロック部材51とを含む。
かかる本実施形態によればロック部材51は先端部材31の先端中心孔36内に配置されることから、例えば特許第3899324号公報に記載される袋状のロックナットを備える従来の工具ホルダと比較して、工具ホルダ10から工具100の先端までの突出距離を短くすることができ、刃物の傾き修正が少なくて済む。ロック部材51の軸線方向寸法は、従来の袋状のロックナットの軸線方向寸法よりも充分小さい。従来の袋状のロックナットは内径ねじであるのに対してロック部材51は外径ねじであるから、ロック部材51の軸線方向寸法を従来の袋状のロックナットの軸線方向寸法の半分以下にすることができる。
また本実施形態の工具把握手段は、ロック部材51に設けられて後端側へ指向する環状の平坦な押圧面59と、テーパコレット41の先端部に設けられて先端側へ指向する環状の平坦な受け面43との間に介在し、両端面が低摩擦となるよう表面処理を施された環状のプレーンベアリング61をさらに含む。少なくとも一方の端面が低摩擦となるよう表面処理されたプレーンベアリング61を含むことによって、工具100の軸線を先端部材31の中心Xに一致させることができ、工具100でワークを切削加工する際の加工精度が向上する。
また本実施形態では、ロック部材51の外径寸法が先端中心孔の内径寸法に等しいことから、図3に示すように先端部材31はロック部材51を収納可能である。したがってロック部材51の軸線方向長は、先端部材31の軸線方向長に完全に重なり、先端面35fから工具100の先端までの突出距離を従来よりも短くすることができる。
また本実施形態では、ロック部材51のロック部材中心孔において、軸線方向における中央部分56の内径が後端部分57の内径よりも小さくなるように形成され、押圧面59は、中央部分56と後端部分57の内径差によって構成される環状段差に設けられる。プレーンベアリング61は、後端部分57に収納される。ロック部材中心孔の後端部分57の内周には、プレーンベアリング61を抜け止めする抜け止め手段としての突起57pがさらに設けられる。
また本実施形態のテーパコレット41は、受け面43よりも内径側の環状部分から先端側へ突出する環状のノーズ部44、およびノーズ部44の先端部分から外径側に突出する鍔部45をさらに有する。つまりテーパコレット41は、受け面43と鍔部45の間に位置するノーズ部44の根元部分でくびれている。かかるくびれ部にはロック部材51が係合する。具体的にはロック部材51は、ロック部材中心孔でノーズ部44の根元部分を包囲して、テーパコレット41の受け面43と鍔部45との間に係止される。これにより工具100を工具ホルダ10から分離する際、ロック部材51を緩め方向に回転させると、テーパコレット41がロック部材51とともに前進し、工具挿通孔49を拡径させることができる。
また本実施形態では、ロック部材中心孔のうち軸線方向の中央部分56の内径が先端部分55の内径よりも小さくなるよう形成され、テーパコレット41の鍔部45はロック部材中心孔の先端部分55に収納されるので、工具ホルダ10から工具100の先端までの突出距離を一層短くすることができる。
また本実施形態では、ロック部材中心孔のうち先端部分55の内径が後端部分の内径よりも小さくなるよう形成され、被係合部54はロック部材51の周方向に間隔を空けて複数設けられて先端側へ指向する有底の丸穴であり、これらの丸穴はロック部材中心孔の先端部分55よりも外径側、かつロック部材51の雄ねじ部52よりも内径側に配置されることから、ロック部材51の小型化に資する。
また本実施形態のプレーンベアリング61に施される表面処理は、コーティング処理あるいは磨き処理である。
また本実施形態のシャンク部材12のホルダシャンク部13は、所定の外径で軸線方向に延びるストレートシャンクであり、シャンク部材12は、NCタレット旋盤のタレッドヘッドに設けられて旋回する刃物台、あるいは他の旋盤の刃物台に装着され得る。これにより工具ホルダ10は旋盤用の静止工具に利用可能である。
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
本発明になる工具ホルダは、工作機械において有利に利用される。
10 工具ホルダ、 12 シャンク部材、
13 ホルダシャンク部、 13p 平坦面、 14 円筒部、
14m 雄ねじ、 15 先端大径部、 16 中心丸穴、
18 雌ねじ孔、 19 雌ねじ穴、 21 ストッパ部材、
21n 雌ねじ、 21s サイドロックボルト孔、
22 リング部材、 22h 丸孔、 22j 小孔、
22k 穴、 23 カム機構、 24 操作部材、
24b レンチ係合穴、 24c 偏心カム溝、 25 ボール、
26 回転抑制部材、 27 抑えねじ、 28 円周溝、
31 先端部材、 32 テーパ穴、 33 嵌合部、
34 フランジ部、 35 先端環状部、 53 先端面、
36 先端中心孔、 36n 雌ねじ部、 37 凹部、
41 テーパコレット、 42 テーパ面、 43 受け面、
44 ノーズ部、 45 鍔部、 49 工具挿通孔、
51 ロック部材、 52 雄ねじ部、 54 被係合部、
55 先端部分、 56 中央部分、 57 後端部分、
57p 突起、 58 環状段差、 59 押圧面、
61 プレーンベアリング、 64 調整ボルト、
66 結合ボルト、 100 工具、 101 シャンク部、
O シャンク部材の軸線、 X 先端部材の中心。

Claims (9)

  1. 旋盤のタレットに取り付けられる工具ホルダであって、
    後端部に設けられるホルダシャンク部、先端部に設けられる円筒部、前記円筒部の先端部に形成されて外径方向に広がる先端大径部、および前記先端大径部から後端側へ延びる中心丸穴を有するシャンク部材と、
    後端部に設けられて前記中心丸穴に嵌合する嵌合部、および先端部に設けられて工具のシャンク部をチャッキングする工具把握手段を有する先端部材と、
    前記先端大径部の異なる周方向位置にそれぞれ設けられて外径端が前記先端大径部の外周面と接続し内径端が前記中心丸穴に接続する複数の雌ねじ孔、および前記雌ねじ孔のそれぞれにねじ込まれて前記先端部材の前記嵌合部と当接する調整ボルトを有し、複数の前記調整ボルトのねじ込み位置によって前記先端部材の中心を前記旋盤主軸の中心線に一致させる芯合わせ手段と、
    前記シャンク部材に設けられて前記先端部材の姿勢を調整する傾き調整手段とを備え
    前記傾き調整手段は、
    前記円筒部の外周に回動可能に取り付けられるリング部材と、
    前記円筒部の後端部外周に取り付けられて前記リング部材を固定するストッパ部材と、
    前記リング部材のいずれかの周方向位置に配置される1個もしくは複数個のカム機構を有し、
    前記カム機構で前記先端大径部の周方向所定箇所を先端側に押し出すことによって、前記先端部材の姿勢を調整し、
    前記工具把握手段は、
    前記先端部材の先端部から後端側に延びる先端中心孔と、
    前記先端中心孔の内周に形成される雌ねじ部と、
    前記先端中心孔の穴底から後端側に向かって延びるテーパ穴と、
    内周に形成される工具挿通孔、および外周に形成されるテーパ面を有し前記テーパ穴に差し込まれるテーパコレットと、
    スパナと係合するための被係合部、および外周に形成される雄ねじ部を有し、前記雄ねじ部が前記先端中心孔内で前記雌ねじ部に螺合して前記テーパコレットを前記テーパ穴に押し込むことにより前記工具挿通孔を縮径させる環状のロック部材と、
    前記ロック部材に設けられて後端側へ指向する環状の平坦な押圧面と、
    前記テーパコレットの前記先端部に設けられて先端側へ指向する環状の平坦な受け面との間に介在し、両端面が低摩擦となるよう表面処理を施された環状のプレーンベアリングを含む、工具ホルダ。
  2. 前記嵌合部は鋼製であり、焼き入れ処理によって外周面を硬くされた、請求項1に記載の工具ホルダ。
  3. 前記芯合わせ手段は前記工具把握手段のゲージラインよりも後端側に配置される、請求項1または2に記載の工具ホルダ。
  4. 前記芯合わせ手段の複数の前記雌ねじ孔は、前記先端大径部の周方向等間隔に配置される、請求項1〜3のいずれかに記載の工具ホルダ。
  5. 前記ロック部材のロック部材中心孔は、軸線方向中央部分の内径が後端部分の内径よりも小さくなるように形成され、これらの内径差によって構成される環状段差に前記押圧面が設けられ、
    前記プレーンベアリングは、前記後端部分に収納され、
    前記ロック部材中心孔の前記後端部分の内周に設けられて前記プレーンベアリングを抜け止めする抜け止め手段をさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載の工具ホルダ。
  6. 前記テーパコレットは、前記受け面よりも内径側の環状部分から先端側へ突出する環状のノーズ部、および前記ノーズ部の先端部分から外径側に突出する鍔部をさらに有し、
    前記ロック部材は、前記ロック部材中心孔で前記ノーズ部の根元部分を包囲して、前記テーパコレットの前記受け面と前記鍔部との間に係止される、請求項に記載の工具ホルダ。
  7. 前記ロック部材中心孔は、軸線方向中央部分の内径が先端部分の内径よりも小さくなるよう形成され、
    前記テーパコレットの前記鍔部は、前記ロック部材中心孔の前記先端部分に収納される、請求項に記載の工具ホルダ。
  8. 前記ロック部材中心孔は、前記先端部分の内径が前記後端部分の内径よりも小さくなるよう形成され、
    前記被係合部は、前記ロック部材の周方向に間隔を空けて複数設けられて先端側へ指向する有底の丸穴であり、
    前記丸穴は、前記ロック部材中心孔の前記先端部分よりも外径側、かつ前記ロック部材の前記雄ねじ部よりも内径側に配置される、請求項に記載の工具ホルダ。
  9. 前記表面処理は、コーティング処理あるいは磨き処理である、請求項1〜8のいずれかに記載の工具ホルダ。
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