JP6668316B2 - 窒化物半導体積層物および半導体装置 - Google Patents
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Description
基板と、
前記基板上に設けられ、III族窒化物半導体からなる電子走行層と、
前記電子走行層上に設けられ、III族窒化物半導体からなる電子供給層と、
を有し、
Crにより被覆された直径1mmのガラス球からなる測定子を用いて測定したときの、該測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aは、同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上である窒化物半導体積層物が提供される。
基板上にIII族窒化物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、
前記電子走行層上にIII族窒化物半導体からなる電子供給層を形成する工程と、
を有し、
前記電子供給層を形成する工程では、
Crにより被覆された直径1mmのガラス球からなる測定子を用いて測定したときの、該測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aが同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上となるような、前記電子供給層を形成する窒化物半導体積層物の製造方法が提供される。
基板上にIII族窒化物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、
前記電子走行層上にIII族窒化物半導体からなる電子供給層を形成する工程と、
前記電子供給層の表面を改質する工程と、
を有し、
前記電子供給層の表面を改質する工程では、
Crにより被覆された直径1mmのガラス球からなる測定子を用いて測定したときの、該測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aが同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上となるように、前記電子供給層の表面を改質する窒化物半導体積層物の製造方法が提供される。
基板上に電子走行層および電子供給層を順に形成することで、前記電子走行層および前記電子供給層を有する半導体積層物を形成する工程と、
所定の測定子を用い、該測定子と前記電子供給層の表面との間に作用する前記電子供給層の表面力を測定する工程と、
前記電子供給層の表面力に基づいて前記半導体積層物を選別する工程と、
を有する半導体積層物の製造方法が提供される。
基板上に電子走行層および電子供給層が順に設けられる半導体積層物を検査する半導体積層物の検査方法であって、
所定の測定子を用い、該測定子と前記電子供給層の表面との間に作用する前記電子供給層の表面力を測定する工程と、
前記電子供給層の表面力に基づいて、前記半導体積層物を選別する工程と、
を有する半導体積層物の検査方法が提供される。
III族窒化物半導体系の半導体装置として、例えば、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)が知られている。HEMTは、例えば、窒化ガリウム(GaN)からなる電子走行層と、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなる電子供給層と、を有する。HEMTでは、電子供給層の分極作用によって、電子走行層内のヘテロ接合界面付近に高濃度の2次元電子ガスが誘起される。2次元電子ガスは、散乱要因となる導電性不純物が添加されない電子走行層に誘起されることから、高い電子移動度を示す。これにより、HEMTを大電力で高速に駆動させることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、図1を用い、本実施形態に係る窒化物半導体積層物について説明する。図1は、本実施形態に係る窒化物半導体積層物を示す断面図である。本実施形態の窒化物半導体積層物10は、例えば、HEMTを製造する際の前駆体として構成され、基板100と、電子走行層(バッファ層、チャネル層)140と、電子供給層(バリア層)160と、を有している。
基板100は、電子走行層140および電子供給層160をエピタキシャル成長させる下地基板として構成され、本実施形態では、例えば、炭化シリコン(SiC)基板として構成されている。具体的には、基板100として、例えば、ポリタイプ4H又はポリタイプ6Hの半絶縁性SiC基板が用いられる。なお、基板100の表面は、(0001)面(c面)とする。また、4H、6Hの数字はc軸方向の繰返し周期を示し、Hは六方晶を示している。
電子走行層140は、基板100上に設けられ、例えば、電子走行層140のうちの核生成層の側に位置する領域が主に核生成層と電子供給層160との格子定数差を緩衝する緩衝層として機能するように構成され、電子走行層140のうちの電子供給層160側に位置する領域が後述する半導体装置20を駆動させたときに電子を走行させるよう構成されている。電子走行層140は、III族窒化物半導体からなり、本実施形態では、例えば、GaNを主成分として構成されている。また、電子走行層140の表面(上面)は、III族原子極性面(+c面)となっている。
電子供給層160は、電子走行層140上に設けられ、電子走行層140内に2次元電子ガスを生成させるとともに、電子走行層140内に2次元電子ガスを空間的に閉じ込めるよう構成されている。具体的には、電子供給層160は、電子走行層140を構成するIII族窒化物半導体よりも広いバンドギャップと、電子走行層140の格子定数よりも小さい格子定数とを有するIII族窒化物半導体からなり、本実施形態では、例えば、AlGaNを主成分として構成されている。また、電子供給層160の表面(上面)は、III族原子極性面(+c面)となっている。このような構成により、電子供給層160には、自発分極とピエゾ分極とが生じる。そして、その分極作用により、電子走行層140内のヘテロ接合界面付近に高濃度の2次元電子ガスが誘起されることとなる。
次に、図2を用い、本実施形態の半導体装置について説明する。図2は、本実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
ゲート電極210は、電子供給層160上に設けられている。ゲート電極210は、例えば、ニッケル(Ni)と金(Au)との複層構造(Ni/Au)からなっている。なお、本命最初においてX/Yの複層構造と記載した場合、X、Yの順で積層したことを示している。
保護膜300は、電子供給層160等の表面を保護し、電子供給層160等の劣化を抑制するよう構成されている。具体的には、保護膜300は、少なくとも、ゲート電極210およびソース電極220の間と、ゲート電極210およびドレイン電極230の間と、ソース電極220またはドレイン電極230の外側とにおける電子供給層160の表面を覆うように設けられている。保護膜300は、例えば、窒化シリコン(SiN)からなっている。
次に、図3を用い、本実施形態の窒化物半導体積層物の製造方法および半導体装置の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。なお、ステップをSと略している。
まず、基板100として、例えば、ポリタイプ4Hの半絶縁性SiC基板を用意する。そして、MOVPE装置の処理室内に、基板100を搬入する。そして、処理室内に水素(H2)ガス(または、H2ガスおよび窒素(N2)ガスの混合ガス)を供給し、基板100の温度を核生成層の所定の成長温度(例えば1150℃以上1250℃以下)まで上昇させる。基板100の温度が所定の成長温度となったら、例えば、III族原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(TMA)ガスと、V族原料ガスとしてアンモニア(NH3)ガスとを、基板100に対して供給する。これにより、基板100上にAlNからなる核生成層を成長させる。所定の厚さの核生成層の成長が完了したら、TMAガスの供給を停止する。なお、このとき、NH3ガスの供給を継続する。
次に、例えば、基板100の温度を電子供給層160の所定の成長温度(例えば1000℃以上1100℃以下)とする。そして、基板100の温度が所定の成長温度となったら、NH3ガスの供給を継続した状態で、例えば、III族原料ガスとしてTMGガスおよびTMAガスを供給する。これにより、電子走行層140上に単結晶のAlGaNからなる電子供給層160をエピタキシャル成長させる。所定の厚さの電子走行層140の成長が完了したら、TMGガスおよびTMAガスの供給を停止し、基板100の温度を電子供給層160の成長温度から低下させる。なお、このとき、通常は、H2ガスを停止し、N2ガスを供給するとともに、NH3ガスの供給を継続する(電子走行層140および電子供給層160の成長中にH2ガスとともにN2ガスが供給されていた場合は、H2ガスを停止し、N2ガスおよびNH3ガスの供給を継続する)。そして、窒化物半導体積層物10の温度が500℃以下となったら、NH3ガスの供給を停止し、MOVPE装置の処理室内の雰囲気をN2ガスのみへ置換して大気圧に復帰させる。
次に、電子供給層160の表面力に基づいて窒化物半導体積層物10を検査する検査工程S130を行う。本実施形態の検査工程S130は、例えば、表面力測定工程S132と、選別工程S134と、を有している。
まず、リファレンスとしてのPtの表面力と、上記のように製造された窒化物半導体積層物10の電子供給層160の表面力と、を測定する。表面力の測定には、例えば、エリオニクス社製の表面力測定装置(ESF−5000)を好適に用いることができる。
図4に示すように、表面力測定装置400は、例えば、真空チャンバ410と、真空ポンプ420と、固定フレーム430と、ステージ440と、測定子450と、支持棒452と、ばね機構460と、電磁力発生器470と、変位計480と、を有している。真空チャンバ410は、固定フレーム430等の各部材を収容しており、その内部の雰囲気を真空ポンプ420によって真空に排気可能に構成されている。固定フレーム430は、真空チャンバ410内に収容された各部材を固定し支持するよう構成されている。ステージ440は、固定フレーム430の底部に設けられ、その上に被測定物(例えば窒化物半導体積層物10)が載置されるようになっている。また、ステージ440は、被測定物を水平方向および鉛直方向に移動させる粗動ステージ(不図示)と、被測定物の鉛直方向の微細な位置決めを行う微動ステージ(不図示)と、を有している。測定子450は、表面力を測定するプローブとして機能するよう構成されている。支持棒452は、ステージ440の鉛直上側に測定子450を支持している。ばね機構460は、支持棒452と固定フレーム430の上部との間に介在し、支持棒452を弾性的に保持しつつ、支持棒452に鉛直方向のみの移動を許容するよう構成されている。電磁力発生器470は、電磁力により支持棒452に鉛直方向の荷重を加えるよう構成されている。変位計480は、支持棒452の鉛直方向の変位、すなわち測定子450の鉛直方向の変位を検出するよう構成されている。変位計480としては、非接触式(例えば光学式)の変位センサが好適に用いられる。
まず、ステージ440上に被測定物を載置し、真空チャンバ410内の雰囲気を真空に排気する。真空チャンバ410内が所定の圧力に到達したら、ステージ440を鉛直上方向に徐々に移動させ、被測定物を測定子450に近づける(t0→t1)。そして、被測定物が測定子450に近づくにつれて、被測定物と測定子450との間に表面力が作用する。これにより、測定子450は、被測定物の表面力によって被測定物に引き寄せられ、ばね機構460の弾性力に逆らって下降し、被測定物に接触する(t1→t2)。ここで、ばね機構460の弾性力が測定子450に作用した状態で、測定子450を被測定物から離して表面力を測定すると、誤差を生じる可能性があるため、ステージ440を上昇させ、測定子450を初期位置に戻し、ばね機構460に生じた弾性力をゼロにする(t2→t3)。そして、ばね機構460が静止状態となるまで所定時間待機する(t3→t4)。そして、電磁力発生器470による電磁力により、支持棒452を鉛直上方向に徐々に移動させることで、測定子450を被測定物から引き離す力を印加する(t4→t5)。そして、測定子450を被測定物から引き離す力が被測定物の表面力を超えたとき、測定子450は被測定物から離れる(t5)。このとき、測定子450が被測定物から離れた時点を、変位計480によって検知する。そして、測定子450が被測定物から離れた瞬間に電磁力発生器470に流れている電流値を取得し、該電流値に基づいて被測定物の表面力を決定する。
次に、表面力測定工程S132で測定された電子供給層160の表面力に基づいて、窒化物半導体積層物10を選別する。具体的には、電子供給層160の表面力AがPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上であるとする第1選別条件を満たさない窒化物半導体積層物10を不良品として排除し、一方で、該第1選別条件を満たす窒化物半導体積層物10を良品として選別する。これにより、半導体装置20を駆動したときのドレイン電流が経時的に低下してしまうような窒化物半導体積層物10を排除するとともに、ドレイン電流の経時的な低下を抑制可能な窒化物半導体積層物10を半導体装置20の製造前に非破壊で選別することができる。
次に、上記の良品または最良品として選別された窒化物半導体積層物10上にレジスト膜を形成し、平面視でソース電極220、ゲート電極210およびドレイン電極230が形成されることとなるデバイス領域の周囲を囲む領域が開口となるようにレジスト膜をパターニングする。そして、該レジスト膜をマスクとして用い、電子走行層140内に平面視でデバイス領域の周囲を囲む領域にNイオンをイオン注入する。これにより、デバイス領域の外側の二次元電子ガスを不活性化して、隣接するデバイス領域間の絶縁性を確保することができる。
次に、窒化物半導体積層物10上にレジスト膜を形成し、平面視でソース電極220およびドレイン電極230が形成されることとなる領域が開口となるようにレジスト膜をパターニングする。そして、該レジスト膜をマスクとして用い、電子走行層140および電子供給層160内に平面視でソース電極220およびドレイン電極230のそれぞれが形成されることとなる領域にSiイオンをイオン注入する。そして、例えばプラズマ化学気相成長(P−CVD)法により、窒化物半導体積層物10上にキャップ層としてSiN膜を形成する。これにより、窒化物半導体積層物10を構成するIII族窒化物半導体からの窒素抜けを抑制することができる。そして、SiN膜で覆われた窒化物半導体積層物10を、N2雰囲気中において所定の温度で所定時間アニール処理する(例えば、1200℃1分間)。これにより、電子走行層140および電子供給層160内に注入されたSiイオンを活性化し、後工程で形成されるソース電極220およびドレイン電極230のそれぞれのコンタクト抵抗を低減することができる。そして、所定の溶媒(例えばバッファードフッ酸)により、窒化物半導体積層物10上のSiN膜を除去する。
次に、電子供給層160上にレジスト膜を形成し、平面視でソース電極220およびドレイン電極230が形成されることとなる領域が開口となるようにレジスト膜をパターニングする。そして、例えば、電子ビーム蒸着法により、電子供給層160およびレジスト膜を覆うようにTi/Alの複層構造(またはTi/Al/Ni/Auの複層構造)を形成する。そして、所定の溶媒を用い、リフトオフによりレジスト膜を除去することで、上記所定領域にソース電極220およびドレイン電極230を形成する。そして、窒化物半導体積層物10を、N2雰囲気中において所定の温度で所定時間アニール処理する(例えば、650℃3分間)。これにより、ソース電極220およびドレイン電極230のそれぞれを電子供給層160に対してオーミック接合させることができる。
次に、例えば、P−CVD法により、電子供給層160および各電極を覆うように、SiNからなる保護膜300を形成する。そして、各電極の上面の一部のみが露出するように、保護膜300をパターニングする。これにより、ゲート電極210およびソース電極220の間と、ゲート電極210およびドレイン電極230の間と、ソース電極220またはドレイン電極230の外側とにおける電子供給層160の表面を覆うように保護膜300が形成される。
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
ここで、図8は、本実施形態の変形例に係る窒化物半導体積層物を示す断面図である。
図8に示す窒化物半導体積層物12では、基板102は、導電性を有している。基板102は、例えば、n型のGaN自立基板として構成されている。基板102の上には、半絶縁層122が設けられている。半絶縁層122の比抵抗は、例えば、105Ω・cm以上である。半絶縁層122は、例えば、半絶縁性を有するIII族窒化物半導体を主成分として構成され、鉄(Fe)等の遷移金属を含んでいる。これにより、半絶縁層122において、上記した所定の比抵抗を実現することができる。半絶縁層122の上には、上述の実施形態と同様の電子走行層140および電子供給層160が順に設けられている。
変形例によれば、基板102が導電性を有していても、基板102と電子走行層140との間に半絶縁層122を設けることで、電子走行層140から基板102への自由電子の拡散を抑制し、リーク電流を抑制することができる。
以下のように、比較例1〜2、実施例1〜2の半導体装置を製造した。
(表面力測定)
比較例1〜2、実施例1〜2のそれぞれの電子供給層形成工程後に、エリオニクス社製の表面力測定装置(ESF−5000)を用いて、比較例1〜2、実施例1〜2のそれぞれにおける電子供給層の表面力Aを測定した。具体的には、比較例1〜2、実施例1〜2のそれぞれにおいて、Crにより被覆されたガラス球(ガラス球材質BK7、直径1mm、表面粗さRa2nm、Rz11nm)からなる測定子を用いて、電子供給層の表面と測定子とを引き寄せる引力として働く電子供給層の表面力Aを真空中で測定した。なお、同じ条件で、予めPtの表面力Bを測定しておき、比較例1〜2、実施例1〜2のそれぞれにおける電子供給層の表面力AとPtの表面力Bとの差の絶対値|A−B|を求めた。
温度を200℃とし、ソース電極とドレイン電極との間の電圧Vdsを50Vとし、ゲート電極とソース電極との間の電圧Vgsを−2Vとした条件下で、比較例1〜2、実施例1〜2のぞれぞれの半導体装置を駆動させ、ドレイン電流Idsの経時的な変化を測定した。そして、比較例1〜2、実施例1〜2のぞれぞれの半導体装置において、初期のドレイン電流Ids0に対する所定時間経過後のドレイン電流Idsの比率Ids/Ids0を比較した。
図6(a)は、表面力測定結果を示す図である。図6(a)では、比較例1〜2、実施例1〜2のそれぞれにおける電子供給層の表面力Aの実測値を示している。なお、電子供給層の表面力Aの実測値は、上述したように引力であるため、マイナスの値となっている。そのため、表面力Aの値が小さいほど、表面力Aが強いことを示している。また、図6(a)中の破線は、Ptの表面力Bを示している。
図6(a)に示すように、比較例1〜2、実施例1〜2のそれぞれにおける電子供給層の表面力Aは、Ptの表面力Bよりも強かった(小さかった)。実施例1〜2のそれぞれにおける電子供給層の表面力Aは、比較例1〜2のそれぞれにおける電子供給層の表面力Aよりも強かった(小さかった)。このことから、実施例1〜2のように電子供給層形成工程において基板の温度を電子供給層の成長温度から低下させるときの冷却条件を調整することで、電子供給層の表面力Aを向上させることができることを確認した。
図6(b)に示すように、比較例1〜2のそれぞれの半導体装置では、ドレイン電流Idsが経時的に大きく低下していた。これに対して、実施例1〜2のそれぞれの半導体装置では、ドレイン電流Idsの経時的な低下が抑制されることを確認した。これは、実施例1〜2では、電子供給層の表面力Aを向上させることにより、電子供給層の表面付近における負電荷の経時的な蓄積を抑制することができ、電子走行層内の二次元電子ガスの濃度を所定濃度に維持することができたためと考えられる。
図7に示すように、電子供給層の表面力AとPtの表面力Bとの差の絶対値|A−B|が大きくなるにつれて(電子供給層の表面力Aが強くなるにつれて)、ドレイン電流比率Ids/Ids0が単調増加することを確認した。また、表面力の差の絶対値|A−B|を30μN以上とすることにより、ドレイン電流比率Ids/Ids0を0.70以上とすることができることを確認した。
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
基板と、
前記基板上に設けられ、III族窒化物半導体からなる電子走行層と、
前記電子走行層上に設けられ、III族窒化物半導体からなる電子供給層と、
を有し、
Crにより被覆された直径1mmのガラス球からなる測定子を用いて測定したときの、該測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aは、同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上である窒化物半導体積層物。
前記電子供給層の表面力と前記Ptの表面力との差の絶対値|A−B|は、45μN以上である付記1に記載の窒化物半導体積層物。
基板上にIII族窒化物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、
前記電子走行層上にIII族窒化物半導体からなる電子供給層を形成する工程と、
を有し、
前記電子供給層を形成する工程では、
Crにより被覆された直径1mmのガラス球からなる測定子を用いて測定したときの、該測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aが同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上となるような、前記電子供給層を形成する窒化物半導体積層物の製造方法。
前記電子供給層を形成する工程では、
前記基板の温度を前記電子供給層の成長温度から低下させるときの冷却速度を1.0℃/s以上とする付記3に記載の窒化物半導体積層物の製造方法。
前記電子供給層を形成する工程では、
前記冷却速度を1.5℃/s以上とする付記4に記載の窒化物半導体積層物の製造方法。
前記電子供給層を形成する工程では、
前記基板の温度を前記電子供給層の成長温度から低下させるときに、前記電子供給層の表面に対して水素ガス又はヘリウムガスを供給する付記3〜5のいずれかに記載の窒化物半導体積層物の製造方法。
基板上にIII族窒化物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、
前記電子走行層上にIII族窒化物半導体からなる電子供給層を形成する工程と、
前記電子供給層の表面を改質する工程と、
を有し、
前記電子供給層の表面を改質する工程では、
Crにより被覆された直径1mmのガラス球からなる測定子を用いて測定したときの、該測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aが同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上となるように、前記電子供給層の表面を改質する窒化物半導体積層物の製造方法。
前記電子供給層の表面を改質する工程では、
前記電子供給層の表面に対して所定のプラズマ処理、UVオゾン処理、または水素イオンのイオン注入を施す付記7に記載の窒化物半導体積層物の製造方法。
基板上にIII族窒化物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、
前記電子走行層上にIII族窒化物半導体からなる電子供給層を形成する工程と、
を有し、
前記電子供給層を形成する工程では、
前記基板の温度を前記電子供給層の成長温度から低下させるときの冷却速度を1.0℃/s以上とする窒化物半導体積層物の製造方法。
基板上にIII族窒化物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、
前記電子走行層上にIII族窒化物半導体からなる電子供給層を形成する工程と、
を有し、
前記電子供給層を形成する工程では、
前記基板の温度を前記電子供給層の成長温度から低下させるときに、前記電子供給層の表面に対して水素ガス又はヘリウムガスを供給する窒化物半導体積層物の製造方法。
基板上にIII族窒化物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、
前記電子走行層上にIII族窒化物半導体からなる電子供給層を形成する工程と、
前記電子供給層の表面を改質する工程と、
を有し、
前記電子供給層の表面を改質する工程では、
前記電子供給層の表面に対して所定のプラズマ処理、UVオゾン処理、または水素イオンのイオン注入を施す窒化物半導体積層物の製造方法。
基板上に電子走行層および電子供給層を順に形成することで、前記電子走行層および前記電子供給層を有する半導体積層物を形成する工程と、
所定の測定子を用い、該測定子と前記電子供給層の表面との間に作用する前記電子供給層の表面力を測定する工程と、
前記電子供給層の表面力に基づいて前記半導体積層物を選別する工程と、
を有する半導体積層物の製造方法。
前記半導体積層物を形成する工程では、
前記電子走行層および前記電子供給層をそれぞれIII族窒化物半導体により構成し、
前記電子供給層の表面力を測定する工程では、
前記測定子としてCrにより被覆された直径1mmのガラス球を用い、前記測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aを測定し、
前記半導体積層物を選別する工程では、
前記電子供給層の表面力Aが同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上である前記半導体積層物を選別する付記12に記載の半導体積層物の製造方法。
基板上に電子走行層および電子供給層が順に設けられる半導体積層物を検査する半導体積層物の検査方法であって、
所定の測定子を用い、該測定子と前記電子供給層の表面との間に作用する前記電子供給層の表面力を測定する工程と、
前記電子供給層の表面力に基づいて、前記半導体積層物を選別する工程と、
を有する半導体積層物の検査方法。
基板と、
前記基板上に設けられ、III族窒化物半導体からなる電子走行層と、
前記電子走行層上に設けられ、III族窒化物半導体からなる電子供給層と、
前記電子供給層上に設けられるゲート電極、ソース電極およびドレイン電極と、
を有し
温度を200℃とし、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の電圧を50Vとし、前記ゲート電極と前記ソース電極との間の電圧を−2Vとした条件下で駆動させたときの、初期のドレイン電流に対する1000時間後のドレイン電流の比率は、0.70以上である半導体装置。
Crにより被覆された直径1mmのガラス球からなる測定子を用いて測定したときの、該測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aは、同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上である付記15に記載の半導体装置。
前記ドレイン電流の比率は、0.90以上である付記15に記載の半導体装置。
Crにより被覆された直径1mmのガラス球からなる測定子を用いて測定したときの、該測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aは、同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が45μN以上である付記17に記載の半導体装置。
20 半導体装置
100 基板
140 電子走行層
160 電子供給層
210 ゲート電極
220 ソース電極
230 ドレイン電極
300 保護膜
Claims (4)
- 基板と、
前記基板上に設けられ、III族窒化物半導体からなる電子走行層と、
前記電子走行層上に設けられ、前記電子走行層よりも広いバンドギャップを有し、AlxInyGa1−x−yN(0<x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)の組成式で表されるIII族窒化物半導体からなる電子供給層と、
を有し、
前記電子供給層を形成する工程において、前記電子供給層を形成した後に、前記基板の温度を前記電子供給層の成長温度から低下させるときの冷却速度を1.0℃/s以上とすることで、
Crにより被覆された直径1mmのガラス球からなる測定子を用いて測定したときの、該測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aは、同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上である
窒化物半導体積層物。 - 前記電子供給層上にゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を形成した半導体装置を作製し、該半導体装置を駆動したときに、前記電子供給層の表面側における負電荷の経時的な蓄積が、前記電子供給層の表面力と前記Ptの表面力との差の絶対値|A−B|が30μN未満である半導体装置と比較して抑制される
請求項1に記載の窒化物半導体積層物。 - 前記電子供給層上にゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を形成した半導体装置を作製し、該半導体装置を駆動したときに、前記電子走行層内の2次元電子ガスの濃度が、前記電子供給層の表面力と前記Ptの表面力との差の絶対値|A−B|が30μN未満である半導体装置と比較して、経時的に維持される
請求項1又は2に記載の窒化物半導体積層物。 - 基板と、
前記基板上に設けられ、III族窒化物半導体からなる電子走行層と、
前記電子走行層上に設けられ、前記電子走行層よりも広いバンドギャップを有し、AlxInyGa1−x−yN(0<x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)の組成式で表されるIII族窒化物半導体からなる電子供給層と、
前記電子供給層上に設けられるゲート電極、ソース電極およびドレイン電極と、
を有し、
前記電子供給層を形成する工程において、前記電子供給層を形成した後に、前記基板の温度を前記電子供給層の成長温度から低下させるときの冷却速度を1.0℃/s以上とすることで、
Crにより被覆された直径1mmのガラス球からなる測定子を用いて測定したときの、該測定子と前記電子供給層の表面とを引き寄せる引力として働く前記電子供給層の表面力Aは、同じ条件で測定したときのPtの表面力Bよりも強く、それらの差の絶対値|A−B|が30μN以上である
半導体装置。
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