本発明の電気的接触子について図面を用いて説明する。まず初めに、第1の実施形態の電気的接触子1について説明する。図1に示すのが、電気的接触子1の断面図であり、図2に示すのが電気的接触子1の底面図であり、電気的接触子1はプローブとして使用され、第1の接続対象物であるウエハ10のICチップ端子11、および、第2の接続対象物であるプローブカードの基板12の電極14と接触し、互いに電気的に接続するものである。
図1,2に示すように、本発明の電気的接触子1は、本体部3、および、前記本体部3に固着された第2導電層6を有し、前記本体部3は、一端に前記ICチップ端子11を他端側へと案内する案内部を有し、前記他端に前記第2の接続対象物である前記電極14と接続される接続部を有し、前記案内部によって案内された前記ICチップ端子11が挿入される内部空間を有する。前記本体部3は、前記案内部と前記接続部との間に、第1の接続対象物であるICチップ端子11の側面を狭持する突出部4が設けられている。そして、前記接続部はベース部2を有し、前記案内部としてテーパ部9が設けられている。前記ベース部2および前記本体部3はポリマーを用いたMEMS技術によって形成されている。前記電気的接触子1は検査時には柱状体のICチップ端子11の外側面に接触し狭持することで電気的接続が行われる。
前記ベース部2は、円柱形状を有し、中央には上下に貫通する貫通電極5が形成されている。前記ベース部2の上面がプローブカードの基板12の電極14と接続され、その際に、前記貫通電極5によって前記電気的接触子1とプローブカードの前記基板12との電気的接続が行われる。さらに、前記ベース部2の下面には前記貫通電極5と接続される第1導電層7が形成されている。
前記本体部3は円筒状を有し、前記ベース部2の下面に配置され、上端が前記ベース部2によって閉塞され、下端は開口となっており、検査時には前記案内部である前記テーパー部9によって案内されて前記開口から検査対象物の端子が前記内部空間に挿入される。前記本体部3の内側面の下方には、前記本体部3の中心軸に向かって内側に突出した前記突出部4が環状に形成されている。
さらに、前記本体部3の内側面の4箇所には、等間隔でスリットによって離間された第2導電層6が形成されており、前記第2導電層6は、前記本体部3の内側面の下端から前記突出部4を通り上端へと延伸し、前記突出部4の表面に形成されている部分が、検査対象物の外側面と接触する接点8となる。前記本体部3の内側面は、前記スリットにより前記第2導電層6が形成されていない箇所が、4箇所、等間隔で存在しており、この部分に溝を形成し、前記本体部3の厚みを部分的に薄くすることで、前記本体部3を変形し易くすることもできる。
前記第2導電層6の上端は、前記第1導電層7と接続されており、これにより、前記貫通電極5、前記第1導電層7、および、前記第2導電層6は互いに電気的に接続され、その結果、前記接点8はプローブカードの基板と電気的に接続される。
前記本体部3の内側面の下端には、図1に示すように、前記案内部として、前記突出部4に向かって傾斜し、下方に向かって外側に広がるように前記テーパー部9が形成されている。前記テーパー部9によって検査対象物の端子は前記本体部3の内部空間へとスムーズに案内される。前記テーパー部9の一部分にも前記第2導電層6は形成されている。
前記ベース部2および前記本体部3は、上述のように、MEMS技術を用いてポリマーによって形成されている。ポリマー材料としては様々なものを使用可能であり、例えば、アクリル樹脂などを用いる。前記貫通電極5および前記第1導電層7は導電性部材によって形成され、前記第2導電層6は、前記ICチップ端子11との接触性を向上させるために、導電性部材の中でも特に接触性の良い金属、合金を用いる。例えば、Rh、Pt、Re、Ir、Os、Pd、あるいは、これらの合金を用いる。
本発明の電気的接触子1は、前記本体部3がポリマーによって形成されていることで、検査時には弾性変形が可能である。ポリマーのヤング率は従来のプローブの部材に用いられる金属と比較すると、約30分の1〜約120分の1であることから、本発明の電気的接触子1は従来の電気的接触子よりも変形量が大きくなる。さらに、前記第2導電層6を前記本体部3の内側面の全面ではなく一部に形成することで、前記本体部3を弾性変形し易くしている。
前記電気的接触子1の検査時の動作について、図3を用いて説明する。図3には、プローブカードの基板12の電極14にはんだ13を用いて電気的接触子1の接続部が接続されて固定された状態の断面図が示されている。そして、検査対象となるICチップ端子11がウエハ10上に配置されている状態の断面図を示している。
図3(a)に示すように、前記電気的接触子1が前記ICチップ端子11の上方に位置するようにプローブカードの位置合わせを行う。その後、前記ウエハ10を上方に移動させてオーバードライブを行い、前記ICチップ端子11を前記電気的接触子1の前記本体部3の開口から挿入する。この時、前記ICチップ端子11の外周が、前記電気的接触子1の前記接点8の内周よりも大きいことから、前記接点8が前記ICチップ端子11と接触すると、図3(b)に示すように、前記ICチップ端子11によって前記本体部3は外側へと押される力が作用し弾性変形する。
そして、前記図3(b)に示すように、前記電気的接触子1は前記突出部4によって前記ICチップ端子11の外側面を狭持し、前記接点8によって接触するため、上方から力を加える構造ではないことから、低針圧を実現している。さらに、前記ICチップ端子11の上端と、前記電気的接触子1のベース部2との間には空間が存在し、オーバードライブ時のマージンも十分に確保することができる。また、前記電気的接触子1は前記接点8で前記ICチップ端子11の外側面と接触しており、スクラブも十分に機能する。
以上のように、本発明の電気的接触子1は、前記ベース部2および前記本体部3をMEMS技術を用いてポリマーで形成し、前記突出部4によって前記ICチップ端子11の外側面に接触させる構造を用いることで、狭ピッチ化が可能であり、低針圧でオーバードライブマージンが大きく、安定的な接触を実現する。前記電気的接触子1は、従来よりも狭ピッチの端子ピッチ50μm以下に対応することも可能となる。
前記電気的接触子1の前記本体部3は円筒形状を用いて説明したが、前記本体部3の形状は前記ICチップ端子11を狭持できる形状であればよく、多角形の筒状とすることも可能であり、その個数も変更可能である。また、前記突出部4の形状も適宜変更可能である。前記突出部4は、10〜50μmの直径を有する前記ICチップ端子11を狭持することができる大きさに形成することができる。
次に、第2の実施形態の電気的接触子21について説明する。前記電気的接触子21は、図4〜6に示すように、第1の実施形態の電気的接触子1が円筒状の前記本体部3を有するのに対して、所定の間隔をあけて配置される2つの柱状体によって構成される本体部23を有している。
前記電気的接触子21は、MEMS技術によってポリマーから形成された接続部となるベース部22および柱状体の2つの前記本体部23を有する。2つの前記本体部23は前記ベース部22の下面に互いに対向するように配置されている。
前記ベース部22は、2つの前記本体部23を所定の間隔をあけて端部を互いに連結する板状体であり、中央には上下に貫通する貫通電極25が形成され、さらに、前記本体部22の下面には前記貫通電極25と接続される第1導電層27が形成されている。
前記本体部23は、前記ベース部22から下方に延伸し、外側面および内側面が曲面から構成される形状を有しており、2つの前記本体部23が所定の間隔をあけて対向して配置されている。前記本体部23の内側面の下端には、案内部として外側へと傾斜するテーパー部29が形成されている。さらに、前記本体部23の内側面の前記テーパー部29の上方には、前記本体部23の中心軸に向かって内側に突出した突出部24が形成されている。
前記本体部23の内側面には、下端の前記テーパー部29から前記突出部24を通り上端へと延伸しする第2導電層26が形成されており、前記第2導電層26は、前記突出部24の表面に形成されている部分が、検査対象物の外側面と接触する接点28となる。
前記第2導電層26の上端は、前記第1導電層27と接続されており、これにより、前記貫通電極25、前記第1導電層27、および、前記第2導電層26は互いに電気的に接続され、その結果、前記接点28はプローブカードの基板と電気的に接続される。前記貫通電極25、前記第1導電層27、および、前記第2導電層26の材質については第1の実施形態の電気的接触子1と同じ材質を用いる。
第2の実施形態の電気的接触子21は、図4〜6に示すように、2つの前記本体部23が互いに分離されていることから、ICチップ端子11の外側面と前記接点28が接触した際には、前記本体部23は弾性変形がし易く、より低針圧となり、また、オーバードライブマージンが大きく、安定的な接触を実現することができる。
さらに、第2の実施形態の電気的接触子21は断面が略長方形であり、図7(a)に示すように、ICチップ端子11が直交配置されている場合に、前記ICチップ端子11の間隔の最も広い方向に断面の長辺を添わせて配置することでサイズを大きくすることができ、より安定的な接触を確保することが可能となる。図7(a)に示すような前記ICチップ端子11の配置に対応するためには、前記電気的接触子21は、図7(b)に示すように配置する。この時、隣接する前記電気的接触子21の間の空間は、1点鎖線で示すような対角方向の空間が広くなっている。そのため、前記電気的接触子21は、図7(b)に示すように、2つの前記本体部23が対角方向に位置するように配置することで、前記本体部23が変形する空間を確保することができるので、隣接する前記電気的接触子21の直交方向の空間を狭くすることができ、その分、前記電気的接触子21のサイズを大きくする、あるいは、ピッチを狭くすることが可能となる。
次に、第3の実施形態の電気的接触子31について説明する。前記電気的接触子31は、図8〜10に示すように、MEMS技術によってポリマーから形成された、接続部となるベース部32および3つの柱状体の本体部33を有する。3つの前記本体部33は前記ベース部32の下面に等間隔で配置されている。
前記ベース部32は、円柱形状を有しており、中央には上下に貫通する貫通電極35が形成され、さらに、前記ベース部32の下面には前記貫通電極35と接続される円形の第1導電層37が形成されている。
前記本体部33は、前記ベース部32から下方に延伸し、外側面および内側面が曲面から構成される形状を有している。前記本体部33の内側面の下端には、案内部として外側へと傾斜するテーパー部39が形成されている。さらに、前記本体部33の内側面の前記テーパー部39の上方には、前記本体部33の中心軸に向かって内側に突出した突出部34が形成されている。
前記本体部33の内側面には、下端の前記テーパー部39から前記突出部34を通り上端へと延伸する第2導電層36が形成されており、前記第2導電層36は、前記突出部34の表面に形成されている部分が、検査対象物の外側面と接触する接点38となる。
前記第2導電層36の上端は、前記第1導電層37と接続されており、これにより、前記貫通電極35、前記第1導電層37、および、前記第2導電層36は互いに電気的に接続され、その結果、前記接点38はプローブカードの基板と電気的に接続される。前記貫通電極35、前記第1導電層37、および、前記第2導電層36の材質については第1の実施形態の電気的接触子1と同じ材質を用いる。
第3の実施形態の電気的接触子31は、図10に示すように、3つの前記本体部33が互いに分離して配置されていることから、ICチップ端子の外側面と前記接点38が接触した際には、前記本体部33は弾性変形が容易であり、より低針圧となり、また、オーバードライブマージンが大きくなる。また、第2の実施形態の電気的接触子21と比べると、前記接点38が3箇所に分けて設けられていることから、安定的な接触を実現することができる。
さらに、第3の実施形態の電気的接触子31は、図11(a)に示すように、ICチップ端子11が六方配置されている場合に、隣接する前記ICチップ端子11の間隔の最も広い箇所に前記本体部33を配置することでサイズを大きくすることができ、より安定的な接触を確保するための配置を選択することが可能となる。図11(a)に示すような前記ICチップ端子11の配置に対応するためには、前記電気的接触子31は、図11(b)に示すように配置する。この時、隣接する前記電気的接触子31の間の空間は、六方向の空間(一点鎖線の円で示された空間)が広くなっている。そのため、前記電気的接触子31は、3つの前記本体部33が前記六方向の空間のうちの3つに位置するように配置することで、前記本体部33が変形する空間を確保することができるので、隣接する前記電気的接触子31の横方向の空間を狭くすることができ、その分、前記電気的接触子31の横方向のピッチを狭くすることが可能となる。
次に、第4の実施形態の電気的接触子41について説明する。前記電気的接触子41は、図12〜14に示すように、本体部43は、第2導電層46が形成されていないスリットとなっている部分において分割された、4つの柱状体によって構成されている。
前記電気的接触子41は、図12〜14に示すように、MEMS技術によってポリマーから形成された、接続部となるベース部42および4つの前記本体部43を有する。4つの前記本体部43は前記ベース部42の下面に等間隔で配置されている。
前記ベース部42は、円柱形状を有しており、中央には上下に貫通する貫通電極45が形成され、さらに、前記ベース部42の下面には前記貫通電極45と接続される円形の第1導電層47が形成されている。
前記本体部43は、前記ベース部42から下方に延伸し、外側面および内側面が曲面から構成される形状を有しており、上述のように、4つの柱状体が等間隔で配置された形状となっている。前記本体部43の内側面の下端には、案内部として外側へと傾斜するテーパー部49が形成されている。さらに、前記本体部43の内側面の前記テーパー部49の上方には、前記本体部43の中心軸に向かって内側に突出した突出部44が形成されている。
前記本体部43の内側面には、下端の前記テーパー部49から前記突出部44を通り上端へと延伸しする第2導電層46が形成されており、前記第2導電層46は、前記突出部44の表面に形成されている部分が、検査対象物の外側面と接触する接点48となる。
前記第2導電層46の上端は、前記第1導電層47と接続されており、これにより、前記貫通電極45、前記第1導電層47、および、前記第2導電層46は互いに電気的に接続され、その結果、前記接点48はプローブカードの基板と電気的に接続される。前記貫通電極45、前記第1導電層47、および、前記第2導電層46の材質については他の実施形態と同じ材質を用いる。
第4の実施形態の電気的接触子41は、図14に示すように、4つの前記本体部43は互いに分離されていることから、ICチップ端子の外側面と前記接点48が接触した際には、前記本体部43は弾性変形がし易く、より低針圧となり、また、オーバードライブマージンが大きくなる。また、第1の実施形態と同様に、前記接点48が4箇所にあることから、安定的な接触を実現することができる。
さらに、第4の実施形態の電気的接触子41は、図15(a)に示すように、ICチップ端子11が直交配置されている場合に、前記ICチップ端子11の間隔の最も広い箇所に前記本体部43を配置することでサイズを大きくすることができ、より安定的な接触を確保することが可能となる。図15(a)に示すような前記ICチップ端子11の配置に対応するためには、前記電気的接触子41は、図15(b)に示すように配置する。この時、隣接する前記電気的接触子41の間の空間は、一点鎖線の円で示す対角方向の空間が広くなっている。そのため、前記電気的接触子41は、4つの前記本体部43が対角方向に位置するように配置することで、前記本体部43が変形する空間を確保することができるので、隣接する前記電気的接触子41の直交方向の空間を狭くすることができ、その分、前記電気的接触子41のサイズを大きくする、あるいは、ピッチを狭くすることが可能となる。
次に、第5の実施形態の電気的接触子51について説明する。前記電気的接触子51は、図16〜18に示すように、複数の第1の実施形態の電気的接触子1がポリマーからなる基板50の貫通孔に所定の間隔で埋め込まれた状態で形成されている。
前記電気的接触子51は、接続部となるベース部52、本体部53を有し、前記本体部53に検査対象物を狭持する突出部54が設けられている。図16に示すように、前記ベース部52は中央に上下に貫通する貫通電極55が形成されており、上面が前記基板50の上面と同一平面にあり、前記貫通電極55の上端は前記基板50の上面に露出した状態となっている。さらに、前記ベース部52の下面には前記貫通電極55と接続される第1導電層57が形成されている。
前記本体部53は円筒状を有し、前記ベース部52の下面に配置され、下端は開口となっており、前記本体部53の内側面の下方には、内側に突出した前記突出部54が環状に形成されている。さらに、前記本体部53の内側面の4箇所には、等間隔で、下端から前記突出部54を通り上端へと延伸しする第2導電層56が形成されており、前記第2導電層56は、前記突出部54の表面に形成されている部分が、検査対象物の外側面と接触する接点58となる。
前記第2導電層56の上端は、前記第1導電層57と接続されており、これにより、前記貫通電極55、前記第1導電層57、および、前記第2導電層56は互いに電気的に接続され、その結果、前記接点58はプローブカードの基板と電気的に接続される。
前記本体部53の内側面の下端には、案内部として下方に向かって外側に広がるテーパー部59が形成されている。前記テーパー部59の一部分にも前記第2導電層56は形成されている。
本実施形態の電気的接触子51は、図16〜18に示すように、ポリマーからなる前記基板50に所定の間隔で、複数の前記電気的接触子51が、前記テーパ部59の端部および前記ベース部52の上面がそれぞれ同一平面上に位置するように配置されており、隣接する前記電気的接触子51はポリマーによって連結される。前記基板50を構成するポリマーと、ポリマーからなる前記ベース部52および前記本体部53は一体となっており、前記電気的接触子51にICチップの円柱状の端子が接触した時に、隣接する前記電気的接触子51の前記本体部53を互いに確実に接触させないことが可能となる。
前記電気的接触子51の検査時の動作について、図19を用いて説明する。図19には、検査時の前記電気的接触子51の断面図が記載されており、前記電気的接触子51が形成された基板50が、プローブカードの基板12にはんだ13を用いて固定され、検査対象となるICチップ端子11がウエハ10上に配置されている。
前記電気的接触子51が前記ICチップ端子11の上方に位置するようにプローブカードの位置合わせを行う。その後、前記ウエハ10を上方に移動させてオーバードライブを行い、前記ICチップ端子11を前記電気的接触子51の本体部53の開口から挿入する。この時、前記ICチップ端子11の外周が、前記電気的接触子1の接点58の内周よりも大きいことから、前記接点58が前記ICチップ端子11と接触すると、図19に示すように、前記ICチップ端子11によって前記接点58を介して前記突出部54に力が作用し前記電気的接触子51は弾性変形する。
この時、隣接する前記電気的接触子51の間には空間が存在しないことから、前記電気的接触子51の変形は、図19に示すように、前記電気的接触子51は前記本体部53がポリマーによって形成されていることにより、主に前記突出部54の上方に位置する空間部に吸収される。このように、前記電気的接触子51は、ポリマーからなる前記基板50内に配置されていることから、より狭ピッチに対応可能であり、かつ、他の実施形態と同様に、低針圧を実現し、オーバードライブ時のマージンも十分に確保することができる。また、前記電気的接触子51は前記接点58で前記ICチップ端子11の外側面と接触しており、スクラブも十分に機能する。
次に、第6の実施形態の電気的接触子61について説明する。前記電気的接触子61は、図20〜22に示すように、複数の第4の実施形態の電気的接触子41が、ポリマーからなる基板60の貫通孔に所定の間隔で埋め込まれた状態で形成されており、また、第5の実施形態の電気的接触子51の本体部53の第2導電層56が形成されていない部分を切り欠いた形状を有している。
前記電気的接触子61は、接続部となるベース部62および4つの本体部63を有する。4つの前記本体部63は、前記貫通孔内において前記ベース部62の下面に等間隔で配置されている。図20に示すように、前記ベース部62は中央には上下に貫通する貫通電極65が形成されており、上面が前記基板60の上面と同一平面にあり、前記貫通電極65の上端は前記基板60の上面に露出している。さらに、前記ベース部62の下面には前記貫通電極65と接続される第1導電層67が形成されている。
前記本体部63は、前記ベース部62から下方に延伸し、内側面が曲面から構成される形状を有している。前記本体部63の内側面の下端には、案内部として外側へと傾斜するテーパー部69が形成されている。さらに、前記本体部63の内側面の前記テーパー部69の上方には、前記本体部63の中心軸に向かって内側に突出した突出部64が形成されている。
前記本体部63の内側面には、下端の前記テーパー部69から前記突出部64を通り上端へと延伸しする第2導電層66が形成されており、前記第2導電層66は、前記突出部64の表面に形成されている部分が、検査対象物の外側面と接触する接点68となる。
前記第2導電層66の上端は、前記第1導電層67と接続されており、これにより、前記貫通電極65、前記第1導電層67、および、前記第2導電層66は互いに電気的に接続され、その結果、前記接点68はプローブカードの基板と電気的に接続される。前記貫通電極65、前記第1導電層67、および、前記第2導電層66の材質については他の実施形態と同じ材質を用いる。
このような構造の前記電気的接触子61は、図20に示すように、隣接する前記電気的接触子61がポリマーによって互いに連結されていることから、検査時に、隣接する前記電気的接触子61の前記本体部63は、その間にポリマーが存在することで互いに確実に接触させないことが可能となる。
前記電気的接触子61の検査時の動作について説明する。前記ICチップ端子11を前記電気的接触子61の開口から挿入すると、前記接点68が前記ICチップ端子11と接触し、前記電気的接触子61は弾性変形する。この時、前記電気的接触子61の変形は、第5の実施形態の電気的接触子51と同様に、前記突出部64の上方に位置する空間部に吸収される。また、前記本体部63に切り欠いた部分が存在することから、さらに、前記突出部64は、図23(a)の状態から図23(b)の状態へと横方向にも弾性変形する。これにより、より狭ピッチに対応可能であり、かつ、低針圧を実現し、オーバードライブ時のマージンも十分に確保することができる。
次に、第7の実施形態の電気的接触子71について説明する。前記電気的接触子71は、図24,25に示すように、複数の第3の実施形態の電気的接触子31がポリマーからなる基板70の貫通孔に所定の間隔で埋め込まれた状態で形成されている。
前記電気的接触子71は、接続部となるベース部72および3つの本体部73を有する。3つの前記本体部73は、前記貫通孔内において前記ベース部72の下面に等間隔で配置されている。図24に示すように、前記ベース部72は中央には上下に貫通する貫通電極75が形成されており、上面が前記基板70の上面と同一平面であり、前記貫通電極75の上端は前記基板70の上面に露出している。さらに、前記ベース部72の下面には前記貫通電極75と接続される第1導電層77が形成されている。
前記本体部73は、前記ベース部72から下方に延伸し、内側面が曲面から構成される形状を有している。前記本体部73の内側面の下端には、案内部として外側へと傾斜するテーパー部79が形成されている。さらに、前記本体部73の内側面の前記テーパー部79の上方には、内側に突出した突出部74が形成されている。
前記本体部73の内側面には、下端の前記テーパー部79から前記突出部74を通り上端へと延伸しする第2導電層76が形成されており、前記第2導電層76は、前記突出部74の表面に形成されている部分が、検査対象物の外側面と接触する接点78となる。
前記第2導電層76の上端は、前記第1導電層77と接続されており、これにより、前記貫通電極75、前記第1導電層77、および、前記第2導電層76は互いに電気的に接続され、その結果、前記接点78はプローブカードの基板と電気的に接続される。前記貫通電極75、前記第1導電層77、および、前記第2導電層76の材質については他の実施形態と同じ材質を用いる。
このような構造の前記電気的接触子71は、隣接する前記電気的接触子71がポリマーによって互いに連結されていることから、検査時に、隣接する前記電気的接触子71の本体部73は、その間にポリマーが存在することで互いに確実に接触させないことが可能となる。
前記電気的接触子71は検査時に、前記突出部74の上方に位置する空間部に吸収されるように変形し、同時に、前記突出部74が横方向にも弾性変形する。これにより、より狭ピッチに対応可能であり、かつ、低針圧を実現し、オーバードライブ時のマージンも十分に確保することができる。
次に、本発明の電気的接触子を、2つの基板の間に配置し、2つの基板を互いに電気的に接続するインターポーザとして用いる場合について説明する。第8の実施形態の電気的接触子81は、ポリマーからなる基板60に複数の電気的接触子61を形成した第6の実施形態の電気的接触子61をベースにした構造を有するインターポーザであり、2つの前記電気的接触子61の前記本体部63同士を互いに接続し、両端にそれぞれ突出部を設けた構造である。
図26,27に示すように、第8の実施形態の電気的接触子81は、ポリマー基板180の貫通孔82内に互いに分離された柱状体の4つの本体部83が等間隔で配置されており、前記本体部83の上部および下部にそれぞれ第1突出部88および第2突出部89が設けられている。前記第1突出部88および前記第2突出部89が、前記第6の実施形態の電気的接触子61の前記突出部64に相当する。
図27に示すように、前記本体部83は円筒の一部分を切り取った形状を有しており、背面は前記ポリマー基板180と一体となっており、正面には上端および下端にそれぞれ、案内部となる前記貫通孔82内に向かって傾斜した第1テーパー部86および第2テーパー部87が形成され、さらに、前記第1テーパー部86および前記第2テーパー部87とそれぞれつながり、前記貫通孔82の中心軸に向かって突出するように前記第1突出部88および前記第2突出部89が形成されている。
前記本体部83の正面には、上端の前記第1テーパー部86から前記第1突出部88を通り下方へと延伸し、前記第2突出部89を通り下端の前記第2テーパー部87に達する導電層80が形成されており、前記導電層80は、前記第1突出部88の表面に形成されている部分が、第1の接続対象物である基板の柱状体の電極と接触する第1接点84となり、前記第2突出部89の表面に形成されている部分が、第2の接続対象物である基板の電極と接触する第2接点85となる。前記導電層80によって前記本体部83は、前記第1接点84と前記第2接点85とが互いに電気的に接続されており、これにより、前記電気的接触子81は、上方に配置された第1の接続対象物である基板の電極と下方に配置された第2の接続対象物である基板の電極とを電気的に接続することができる。
このように本発明の電気的接触子81は、1つの電極に対して、柱状体の電極の側面に4つの前記第1接点84または前記第2接点85が接触することで電気的に接続する構造である。前記第1突出部88および前記第2突出部89は柱状体の電極を狭持する際に変形するが、変形状態については本発明のポリマー基板に複数設ける形態の電気的接触子の突出部と同じであることから詳細な説明は省略するが、前記第1突出部88および前記第2突出部89は上下に変形すると同時に、隣接する本体部83の間に空間が存在することから水平方向にも変形し、安定した接触状態を確保する。これにより、本発明の電気的接触子81をインターポーザとして用いるとコンタクト抵抗が安定する。
前記電気的接触子81を用いて基板同士を接続する方法について説明する。まずは、前記電気的接触子81を第1基板181の上方から接続させる。すると、図28(a)に示すように、前記貫通孔82内に前記第1基板181の円柱形状の第1電極182が挿入され、前記電気的接触子81の第2突出部89が前記第1電極182の側面を狭持し、前記第2接点85が前記側面に接触することで、電気的接続が確保される。
次に、第2基板183を前記電気的接触子81の上方から接続させる。すると、図28(b)に示すように、前記貫通孔82内に前記第2基板183の円柱形状の第2電極184が挿入され、前記電気的接触子81の第1突出部88が前記第2電極184の側面を狭持し、前記第1接点84が前記側面に接触することで、電気的接続が確保される。図28(b)の状態では、前記第1電極182と前記第2電極184とは、前記第1接点84、前記第2接点85、および、前記導電層80によって互いに電気的接続が行われた状態となり、これにより、前記第1基板181と前記第2基板183とは前記電気的接触子81を介して電気的接続が行われる。
本発明の電気的接触子81をインターポーザとして用いて基板同士を互いに接続する方法について説明したが、本発明の電気的接触子81は、様々な電気的接続に使用することができる。例えば、図33(a)に示すように、複数のメモリ110の間に配置し前記メモリ110同士を接続することも可能である。また、図33(b)に示すように、メモリ110同士を接続し、同時に前記メモリ110とCPU120との接続にも使用することができる。さらに、図33(c)に示すように、1枚のインターポーザ基板130上に、CPU120、メモリ110をそれぞれ配置する際に、前記メモリ110同士を接続すると同時に、前記インターポーザ基板130と前記CPU120、そして、前記インターポーザ基板130と前記メモリ120との接続にそれぞれ使用することもできる。また、図33(d)に示すように、1枚のプリント基板140に対して、CPU120、メモリ110をそれぞれ配置する際に使用することも可能である。
このように本発明の電気的接触子81はインターポーザとして様々な部材の電気的接続に使用することができるが、この際にはんだを用いないで複数の柱状体の電極を同時に接続することができることから、多数の電極を安定して確実に接続することが可能となり、また、接続後に不良が生じた場合には、簡単に取り換えることができるので容易に対応することができる。
そして、図33に示すように、本発明の電気的接触子81をインターポーザとして積層化された部材に使用することで、従来生じていた積層化による歩留まり品質の低下を大幅に改善することが可能となり、さらに、通常行われている積層実装前のウエハ状態での電気特性検査(ウエハ検査)を省略することも可能となる。
次に、本発明の電気的接触子をインターポーザとして使用する第9の実施形態の電気的接触子91について説明する。図29,30に示すように、第9の電気的接触子91は、ポリマー基板190の貫通孔92内に互いに分離された柱状体の2つの本体部93が対向するように配置されており、前記本体部93の上部および下部にそれぞれ第1突出部98および第2突出部99が設けられている。
前記本体部93は円筒の一部分を切り取った形状を有しており、背面は前記ポリマー基板190と一体となっており、正面には上端および下端にそれぞれ、案内部となる、前記貫通孔92内に向かって傾斜した第1テーパー部96および第2テーパー部97が形成され、さらに、前記第1テーパー部96および前記第2テーパー部97とそれぞれつながり、前記貫通孔92の中心軸に向かって突出するように前記第1突出部98および前記第2突出部99が形成されている。
前記本体部93の正面には、上端の前記第1テーパー部96から前記第1突出部98を通り下方へと延伸し、前記第2突出部99を通り下端の前記第2テーパー部97に達する導電層90が形成されており、前記導電層90は、前記第1突出部98の表面に形成されている部分が、第1の接続対象物である基板の柱状体の電極と接触する第1接点94となり、前記第2突出部99の表面に形成されている部分が、第2の接続対象物である基板の柱状体の電極と接触する第2接点95となる。前記導電層90によって前記本体部93は、前記第1接点94と前記第2接点95とが互いに電気的に接続されており、これにより、前記電気的接触子91は、基板同士を電気的に接続することができる。
このように本発明の電気的接触子91は、柱状体の電極の側面を前記第1突出部98または前記第2突出部99が狭持し、2つの前記第1接点94または前記第2接点95が前記側面に接触することで電気的に接続する構造であり、これにより、安定した接触状態を確保することができ、コンタクト抵抗が安定する。また、前記電気的接触子91は、はんだを用いないで複数の電極を同時に接続することができることから、多数の電極を安定して確実に接続することが可能となり、また、接続後に不良が生じた場合には、簡単に取り換えることができるので容易に対応することができる。
そして、前記電気的接触子91をインターポーザとして積層化された部材に使用することで、従来生じていた積層化による歩留まり品質の低下を大幅に改善することが可能となり、積層実装前のウエハ状態での電気特性検査を省略することも可能となる。
本実施形態の電気的接触子91は、図30に示すように、2つの前記本体部93が隣接する貫通孔92において横方向に整列するように配置されているが、配置は適宜変更することが可能であり、例えば、図30の状態から60度傾けた状態に前記本体部93を配置することも可能である。
次に、本発明の電気的接触子をインターポーザとして使用する第10の実施形態の電気的接触子101について説明する。図31,32に示すように、第10の電気的接触子101は、ポリマー基板200の貫通孔102内に互いに分離された柱状体の3つの本体部103が等間隔で配置されており、前記本体部103の上部および下部にそれぞれ第1突出部108および第2突出部109が設けられている。
前記本体部103は、背面が前記ポリマー基板200と一体となっており、正面には上端および下端にそれぞれ、案内部となる、前記貫通孔102内に向かって傾斜した第1テーパー部106および第2テーパー部107が形成され、さらに、前記第1テーパー部106および前記第2テーパー部107とそれぞれつながり、前記貫通孔102の中心軸に向かって突出するように前記第1突出部108および前記第2突出部109が形成されている。
前記本体部103の正面には、上端の前記第1テーパー部106から前記第1突出部108を通り下方へと延伸し、前記第2突出部109を通り下端の前記第2テーパー部107に達する導電層100が形成されており、前記導電層100は、前記第1突出部108の表面に形成されている部分が第1接点104となり、前記第2突出部109の表面に形成されている部分が第2接点105となる。前記導電層100によって前記本体部103は、前記第1接点104と前記第2接点105とが互いに電気的に接続されることで、前記電気的接触子101は、基板同士を電気的に接続する。
このように本発明の電気的接触子101は、柱状体の電極の側面を前記第1突出部108または前記第2突出部109が狭持し、3つの前記第1接点104または前記第2接点105が前記側面に接触することで電気的に接続する構造であり、これにより、安定した接触状態を確保することができ、コンタクト抵抗が安定する。また、前記電気的接触子101は、インターポーザとして、はんだを用いないで複数の柱状体の電極を同時に接続することができることから、多数の電極を安定して確実に接続することが可能となり、また、接続後に不良が生じた場合には、簡単に取り換えることができるので容易に対応することができる。
そして、前記電気的接触子101をインターポーザとして積層化された部材に使用することで、従来生じていた積層化による歩留まり品質の低下を大幅に改善することが可能となり、積層実装前のウエハ状態での電気特性検査を省略することも可能となる。
本発明の電気的接触子をインターポーザとして用いる場合、ポリマー基板に複数の貫通孔を設け、前記貫通孔内に柱状体の電極の側面を狭持する第1突出部および第2突出部を有する本体部を形成することで、はんだ接続の際に生じていた接続不良による積層品の歩留まりの低下を解消し、品質を向上することが可能となり、さらに、接続不良が生じた場合でも簡単に交換することができるので対応を容易にする効果を生じる。