JP6622328B2

JP6622328B2 - 中蓋付き密閉容器

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Publication number: JP6622328B2
Application number: JP2017557561A
Authority: JP
Inventors: 佐藤　達哉; 達哉佐藤; 雄三吉田
Original assignee: Yoshida Industries Co Ltd
Current assignee: Yoshida Industries Co Ltd
Priority date: 2015-12-22
Filing date: 2015-12-22
Publication date: 2019-12-18
Anticipated expiration: 2035-12-22
Also published as: EP3395714A4; KR20180098244A; US20190002167A1; JPWO2017109866A1; WO2017109866A1; EP3395714A1

Description

本発明は中蓋付き密閉容器に関する。具体的には、容器本体の開口に中蓋を装着することで容器本体内が気密状態で封止される中蓋付き密閉容器に関する。

本発明が対象とする中蓋付き密閉容器は、容器本体と、容器本体の開口を覆って容器の外装体としても機能する外蓋と、容器本体の開口を気密状態で封止するための着脱可能な中蓋とを備えたものである。このような中蓋付き密閉容器において、中蓋は上端にフランジが形成された枠体の内方に底面となる隔壁部が一体成形された皿状構造を有している。そして中蓋は容器本体の開口に嵌入状態で装着され、中蓋が当該開口に装着されている状態では、中蓋における枠体外周面が容器本体の開口側端部の内面に密着し、フランジの下面が容器本体の開口の周囲上端面に当接する。

ところでこの種の中蓋付き密閉容器では中蓋による容器本体の密閉度が高いため、容器本体が浅い場合、あるいは容器本体内に液体やゲル状の内容物が開口近辺まで充填されているような場合では、中蓋を容器本体の開口に装着すると中蓋を装着する前後の容器本体内の空気の圧縮比が大きくなる。すなわち中蓋の枠体を容器本体内に挿入していくのに伴って容器本体内の圧力が増加していき、中蓋がその内圧によって上方に付勢されて中蓋を容易に容器本体に装着することができなくなる。また装着できたとしても、内圧が係っている状態なので、衝撃や振動によって中蓋が外れる可能性もある。もちろん容器本体内の空気を逃がしながら中蓋を注意深く装着すれば中蓋を確実に装着することができるかもしれない。しかしこの場合は容器内が負圧になるため中蓋を容易に外すことができなくなる。

なお以下の特許文献１には、中皿と、球弧殻状に湾曲した肉薄の中央変形部を有する軟質弾性材製のシール部とを備えたコンパクト容器について記載されており、当該コンパクト容器では、中皿体の開口にこのシール体を装着すると、中央変形部が中皿体の内圧上昇に伴って変形し、その上昇した内圧を吸収するように構成されている。すなわち中央変形部がダイヤフラムとして機能している。

特開平９−２８５３３６号公報

本発明が対象とする中蓋付き密閉容器においても、特許文献１に記載のコンパクト容器のようにフランジを備えた皿状の中蓋にダイヤフラムとして機能する底面を設けることで、中蓋を容器本体の開口に装着した際の内圧の増加を吸収し、着脱が容易となると考えられる。しかしながら上記特許文献１に記載のコンパクト容器では、シール体が略円盤状で、中央変形部の外方の周縁領域の上下両面には複雑な凹凸構造が形成されている。また外蓋の下面や中皿の開口周縁の上端面にもその凹凸形状に係合する凹凸が形成されている。さらにシール体の周縁領域には側面を周回する溝（係合周溝）が形成されている。そしてコンパクト容器は本体とその本体にヒンジによって開閉する外蓋、および中皿とは異なる別体物の組み付けリング体を備え、その組み付けリング体がシール体の係合周溝に係合することで軟質弾性材製のシール体の形状を維持している。このように特許文献１に記載のコンパクト容器では、極めて複雑な構造によって中皿の開口をシール体で密閉しており、より安価に提供することが難しい。

一方中蓋付き密閉容器の中蓋は、フランジを備えた枠体の内方に隔壁部を備えた簡素な構造であり、ダイヤフラムとして機能する隔壁部を設ければ容器本体の開口周縁を特殊な形状に形成する必要が無く、コストダウンも容易である。しかしながら簡素な構造の中蓋では、大気圧下で容器本体に中蓋を装着した後、その容器本体を高所や航空機の荷物室など減圧環境下に置くと内容物が漏出するという問題が懸念される。具体的には、密閉状態にある容器本体は周囲の気圧が低くなると内部の圧力が相対的に大きくなり、ダイヤフラムはさらに上方に撓もうとする。そしてダイヤフラムの周縁は枠体の内周に一体化されているため、枠体を縮径させる方向に力が加わる。中蓋は枠体の外周側面が容器本体の内周側面に密着することで密閉性を確保しているため、枠体に縮径方向の力が加わると枠体自体が縮径するように撓む。それによって枠体の外周面と容器本体の内面との密着性が低下し、容器本体内の相対的な内圧上昇に伴って内容物が容器本体外に漏出するのである。もちろん特許文献１に記載のコンパクト容器でも同様の理由により漏液が発生する可能性があるが、とくに平坦なフランジを備えた皿状の中蓋では、フランジが容器本体の開口周縁の端面や外蓋の内面形状と係合するように形成されていないため、特許文献１に記載のコンパクト容器よりも漏液が発生し易いと言える。

そこで本発明は、安価に製造できる単純な構造を備えつつ減圧環境下でも内容物の漏出を防止できる高い機能を備えた中蓋付き密閉容器を提供することを目的としている。

上記目的を達成するための本発明は、上方に開口を有する有底の容器本体と、当該開口を開閉自在に覆う外蓋と、前記容器本体を気密状態で封止するための中蓋とを備えた中蓋付き密閉容器であって、
前記中蓋は、上端にフランジ部を有する枠体の内方に当該枠体に対して容易に弾性変形する隔壁部が形成され、前記容器本体に装着されている状態では前記枠体の外周側面が前記容器本体の開口端側の内面に密着し、
前記隔壁部は、前記中蓋が前記容器本体に装着されていない初期状態では下方に突出するドーム状に形成されているとともに、上方へ突出するドーム状に変形可能に形成され、
前記外蓋は、天面の内方にドーム状の凹部からなる中央領域と当該凹部を環状に周回する周縁領域とを有し、前記容器本体に前記中蓋が装着されつつ前記外蓋が前記容器本体の開口を覆った閉状態では、前記中央領域が前記隔壁部と対面するとともに前記周縁領域が前記フランジ部の上面に当接し、
前記中央領域の内面は、前記隔壁部が上方に突出するように変形した際、当該変形状態にある前記隔壁部の表面積が前記初期状態における前記隔壁部の表面積以下に規制する形状に形成されている、
ことを特徴とする中蓋付き密閉容器としている。

そして前記閉状態における前記隔壁部の周縁位置と前記中央領域の上端との高低差が前記隔壁部の下端と前記周縁位置との高低差以下であり、前記隔壁部と対面する前記中央領域の表面積が前記初期状態における前記隔壁部の上面の表面積以下であることを特徴とする中蓋付き密閉容器とすることができる。

前記中蓋は、前記隔壁部の周縁が前記フランジ部の内周上端に接続した形状である中蓋付き密閉容器とすれば好適である。

前記中央領域の内面側と外気とを連絡する通気口を有している中蓋付き密閉容器としてもよい。そして前記通気口が前記周縁領域または前記フランジの上面の少なくと一方に形成された放射外方向に延長する溝であればより好ましい。

上記いずれかに記載の中蓋付き密閉容器は、前記外蓋が、内方に前記容器本体の上端側表面形状に係合する装着機構を有し、前記天面で前記容器本体の開口を閉鎖するように当該外蓋を前記容器本体に対して上方から下方に向けて押圧すると、前記装着機構により前記外蓋が前記容器本体に装着されるように構成することができる。

本発明に係る中蓋付き密閉容器によれば、単純な構造により安価に製造することができ、減圧環境下でも内容物の漏出を防止することができる。またその他の効果については、以下の記載で明らかにする。

本発明の第１の実施例に係る中蓋付き密閉容器の外観を示す図である。上記第１の実施例に係る中蓋付き密閉容器の分解斜視図である。上記第１の実施例に係る中蓋付き密閉容器の中蓋の構造を示す図である。上記第１の実施例に係る中蓋付き密閉容器の動作を示す図である。本発明の第２の実施例に係る中蓋付き密閉容器の外蓋（キャップ）の構造を示す分解斜視図である。上記第１の実施例に係る中蓋付き密閉容器を構成する中蓋の変形例を示す図である。上記第１の実施例に係る中蓋付き密閉容器を構成する中蓋のその他の変形例を示す図である。上記その他の変形例に係る中蓋の問題点を説明するための図である。上記その他の変形例に係る中蓋の問題点の解決策を示す図である。

本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。ある図面において符号を付した部分について、不要であれば他の図面ではその部分に符号を付さない場合もある。
＝＝＝第１の実施例＝＝＝
＜中蓋付き密閉容器の構造＞
図１は本発明の第１の実施例に係る中蓋付き密閉容器（以下、密閉容器１ａ）の外観図であり、図１に示したように、密閉容器１ａは、円筒状の概略形状を有し、内容物を内部に収容する容器本体２と、容器本体２に上方から装着される有底筒状の外蓋（以下、キャップ３）とを備えている。ここで円筒状の密閉容器１ａの円筒軸１００を上下方向とし、容器本体２の上方にキャップ３が装着されるものとして上下の各方向を規定すると、キャップ３は、下端側が開口する有底円筒状で、中空円筒状の胴部３１の上端側に天蓋となる天面部１０が接着されて上端側の開口が閉鎖されている。またキャップ３の内部には当該キャップを容器本体２に装着するための機構（以下、装着機構）が内蔵されている。そして胴部３１には内外を連絡する矩形状の孔３２が形成されて、その孔を介して上記装着機構の一部であるプッシュボタン４１が外方に突出している。

図２は密閉容器１ａを部材ごとに分解した斜視図である。容器本体２は内容物の収納空間である拡径された有底筒状の収容部２１の上方に縮径された中空筒状の首部２２を連続させた２段筒状の外形を有し、首部２２の上端を開口２４としている。また容器本体２の内面２３は開口２４の形状を維持して底面２５に至る有底円筒状で、収容部２１は、中空、有底を問わず外周部を形成する拡径された円筒部分の内側に首部２２から下方に連続する縮径された有底円筒部分が形成された二重円筒状となっている。

また首部２２の外周にはキャップ３内の装着機構４と係合するための突起２６が周回して形成されており、この突起（以下、周回突起２６）は下面が平坦で上面がテーパー状に形成されている。キャップ３は胴部３１と円板状の天面部１０が別体で構成されて、天面部１０が胴部３１の上端側に接着されている。なおこの例では、天面部１０の下面に中空円筒状の周壁１４が当該天面部１０の外周と同心円状に形成されており、この天面壁部１４の一部には上下方向に延長する複数のスリット１８が形成されて、天面壁部１４において近接して隣接するスリット間が当該天面壁部１４の上端側を支点として放射外方向に撓む舌片部１７になっている。なお天面壁部１４の作用などについては後述する。

胴部３１に内蔵されている装着機構４は弾性を有する楕円環状の枠体（以下、装着枠４２）の外面の２箇所に上述したプッシュボタン４１が一体的に突出して形成された構造を有している。なおキャップ３の胴部３１には上述したプッシュボタン４１を導出させるための孔３２に加え、内面に装着枠４２を下支えする支持片３３が内方に突出するように形成されている。そして上記構造のキャップ３を組み立てる際には、胴部３１内に装着機構４を上方から挿入して当該装着機構４の装着枠４２下端を胴部３１内の支持片３３に当接させつつプッシュボタン４１を胴部３１の孔３２から外方に導出し、胴部３１の上端側に天面部１０を接着して当該胴部３１の上端側の開口を塞げばよい。

装着機構４におけるプッシュボタン４１は、楕円環状の装着枠４２の長軸方向に対面して形成されており、二つのプッシュボタン４１を互いに対面する方向に押圧すると楕円環状の装着枠４２の長軸が縮径方向に弾性変形するのに伴って短軸方向に拡径する。また装着枠４２の短軸側の内面には舌片状に突出する突起（以下、係合突起４３）が形成されており、この係合突起４３は上面が平坦で下面がテーパー状に形成されている。そして組み立てられた状態のキャップ３を容器本体２の上方から首部２２に挿入していくと、テーパー状の係合突起４３の下面と首部２２の周回突起２６の上面とが当接し、周回突起２６が係合突起４３を外方に付勢する。それによって装着機構４における楕円環状の装着枠４２は短軸側が拡径方向に弾性変形して係合突起４３が周回突起２６を乗り越える。そして装着枠４２が当初の楕円環状に復帰すると平坦な係合突起４３の上面と周回突起２６の下面とが対面した状態で係合する。このようにしてキャップ３が首部２２に装着される。またキャップ３が装着されている状態でプッシュボタン４１を押圧すると装着機構４の装着枠４２の短軸が拡径するように弾性変形して係合突起４３が外方に付勢される。それによって係合突起４３と周回突起２６との係合状態が解除されてキャップ３を取り外すことができる。なお上述したキャップ３と容器本体２との係合構造では容器本体２の開口２４を気密状態で封止することができない。そこで第１の実施例に係る密閉容器１ａでは当該開口２４に中蓋５ａが装着されることで当該容器本体２が密閉される。
＜中蓋の構造＞
図３に中蓋５ａの構造を示した。図３は図２に示した中蓋５ａにおけるａ−ａ矢視断面図であり、中蓋５ａを上下方向を含む面で切断したときの縦断面図である。中蓋５ａはポリプロピレン製の一体成形品であり、図３に示したように、上端にフランジ５２が形成された枠体の内方に底面となる隔壁部５１が形成された構造を有している。具体的には中蓋５ａは、扁平な中空筒状の枠状部分（以下、外周部５３）と、外周部５３の上端に形成されたフランジ５２と、外周部５３の内方に形成された隔壁部５１とを備えている。また隔壁部５１は、その周縁５４がフランジ５２の上端位置にて外周部５３に接続し、この例では当初の形状が球殻の一部となる下方に突出したドーム状となっている。隔壁部５１は外周部５３に対して薄肉に形成されて容易に弾性変形できるように形成されているとともに、その隔壁部５１の周縁５４は当該隔壁部５１の他の領域よりもさらに薄肉に構成されて、隔壁部５１はこの薄肉の周縁５４を支点にして上下方向に変形するように構成されている。なお中蓋５ａの素材としては、弾性変形可能な素材であればよく、例えばポリエチレン、シリコーン、ゴムなど適宜な素材を採用することができる。

そして図１、図２に示した第１の実施例に係る密閉容器１ａでは、上述した中蓋５ａの構造とキャップ３を構成する天面部１０の内面１１形状に特徴を有して、容器本体２に容易に中蓋５ａを着脱させることができ、容器本体２が中蓋５ａによって密閉された状態で密閉容器１ａを減圧環境下においても内容物が漏出し難くなっている。以下に密閉容器１ａにおけるキャップ３や中蓋５ａと容器本体２との装着構造、および中蓋５ａの動作について説明する。
＜キャップと中蓋の装着構造＞
図４にキャップ３と中蓋５ａの容器本体２への装着構造と、中蓋の動作とを示した。図４では密閉容器１ａの上方を拡大した縦断面図であり、図４（Ａ）は大気圧環境下における中蓋５ａの装着状態を示しており、図４（Ｂ）は減圧環境下など中蓋５ａによって密閉された容器本体２の内圧が周囲に対して相対的に極めて大きくなった際の隔壁部５１の変形状態を示している。そしてまず図４（Ａ）に基づいてキャップ３と中蓋５ａの容器本体２への装着構造図について説明する。中蓋５ａを容器本体２の開口２４に装着すると外周部５３の外側面５５が容器本体２の首部２２の内面２３と密着することで容器本体内が密閉される。また天面部１０の内面１１において、隔壁部５１と対面する領域１２が球殻の一部となる凹状のドーム形状で、その領域（以下、中央領域１２）の周囲を環状に取り囲む領域（以下、周縁領域１３）が中蓋５ａのフランジ５２の上面に当接する形状に形成されている。さらに天面壁部１４の一部に形成された舌片部１７の上端側の内面には、内方に突出する突起１９が形成されており、中蓋５ａのフランジ５２がこの突起１９に下支えされている。それによって中蓋５ａは天面壁部１４の内方に保持されて天面部１０に取り付けられた状態となっている。またフランジ５２の外径は天面壁部１４の内径よりも小さく、中蓋５ａは遊びを有して天面壁部１４の内方に保持されている。それによって外蓋１０と中蓋５ａとが正確に同軸上に配置されていなくても、フランジ５２の外周縁辺が天面壁部１４の内面に押圧されてフランジ５２およびそれに連続する外周部５３の平面形状が変形することがない。すなわち中蓋５ａによる容器本体２の密閉度が低下することがない。なお天面壁部１４の舌片１７の下端にも内方に突出する突起１５が形成されており、この突起１５は容器本体２の首部２２の凹凸形状に係合している。それによって中蓋５ａのフランジ部５２の上面が周縁領域１３に密着する。
＜中蓋の動作＞
つぎに中蓋５ａの動作について説明する。図４（Ａ）に示したように、キャップ３が容器本体２に装着された状態では、中蓋５ａは、フランジ５２が容器本体２の開口２４周縁の上端面２７と天面部１０の周縁領域１３の下面１６との間に挟持されるとともに、上述したように外周部５３の外側面５５も容器本体２の内面２３に密着する。それによって容器本体２の開口２４が気密状態で封止される。なおこの開口２４の封止に際し、内容物６の上面７と隔壁部５１の下面５６との間の空気が圧縮されて容器本体２の内圧が上昇すると隔壁部５１が自身の周縁５４を支点として弾性変形する。具体的には、当初の隔壁部５１の形状は図中鎖線で示したように底が深いドーム状であったものが、容器本体２の内圧上昇によって隔壁部５１の下面５６が上方に押し上げられて弾性変形する。この例では底が浅いドーム状となるように弾性変形している。すなわち容器本体２における内容物６の上面７と隔壁部５１の下面５６とによって形成される閉鎖空間８の体積を膨張させることで内圧の上昇分を吸収している。

しかし図４（Ｂ）に示したように、減圧環境下では容器本体２の内圧が周囲の圧力よりも極めて高くなるため、隔壁部５１は外周部５３の上端位置を越えて上方に突出するドーム状に大きく変形し、隔壁部５１の上面５７が天面部１０の内面１１に当接する。ここで隔壁部５１の周縁５４の上下位置から隔壁部５１の当初の下端までの高低差（以下、初期深さＤ）が隔壁部５１の周縁５４の上端位置から天面部１０のドーム状の中央領域１２の最高点までの高低差（以下、天面部高Ｈ）より小さい場合、容器本体２内外の圧力差が極めて大きいと隔壁部５１の周縁５４の上端位置から変形後の隔壁部５１の上面５７の最高点までの高低差（以下、変形高さｈ）が初期深さＤと同じ距離分の高さを越えて変形する可能性がある。そして変形高さｈが初期深さＤと同じ距離を越えて変形すると隔壁部５１は当初の表面積よりも大きくなる。しかし隔壁部５１の周縁５４は外周部５３に接続されているため、扁平円筒状の外周部５３には縮径方向の力が加わり、外周部５３の外側面５５と容器本体２の内面２３との密着度が低下し、容器本体２内外の大きな圧力差によって内容物６が漏出してしまう可能性がある。

そこで第１の実施例に係る密閉容器１ａでは、上記の天面部高さＨが初期深さＤ以下（Ｄ≧Ｈ）となっており、必ず変形高さｈがＤ以下となるようにしている。そのため下方に突出するドーム状の当初の隔壁部５１が上方に突出するドーム状に変形して隔壁部５１の上面５７が天面部１０の内面１１に当接して中央領域１２の内面形状に沿う形状に変形しても、外周部５３には縮径方向の応力が加わることがない。すなわち隔壁部５１の上面５７あるいは下面５６の表面積が変形の前後で小さいのであれば、外周部５３は拡径方向にのみ力が加わる。そのため隔壁部５１の変形に伴って外周部５３の外側面５５が容器本体２の内面２３により密着しようとする。したがって第１の実施例に係る密閉容器１ａでは、中蓋５ａやその中蓋５ａを容器本体２に装着させるための構造が簡素でありながら、減圧環境下でも内容物６の漏出を確実に防止することができる。もちろん上下方向に変形する隔壁部５１を備えて、中蓋５ａによって容器本体２の開口２４を容易に気密状態で封止したり、装着済みの中蓋５ａを容易に取り外したりすることができる。
＝＝＝第２の実施例＝＝＝
図４に示したように第１の実施例に係る密閉容器１ａでは、キャップ３が容器本体２に装着されている閉状態にあるときは、キャップ３の天面部１０の周縁領域１３が中蓋５ａのフランジ５２の上面に接しているため、ドーム状の中央領域１２は密閉された状態となる。そして第１の実施例におけるキャップ３は、閉状態では容器本体２との上下方向の位置関係が一定であり、周縁領域１３の下面１６とフランジ５２との接触状態が一定状態に保持されている。そして隔壁部５１が急激に上方に変形して中央領域１２の空気が圧縮された際には、その中央領域１２の空気がフランジ５２と周縁領域１３との接触領域から外方に逃げ、隔壁部５１の変形が阻害されることは少ない。隔壁部５１が上方に変形している状態から気圧が急激に大きくなった場合についてもフランジ５２と周縁領域１３との接触領域から中央領域１２に密閉容器１ａの外方の空気（外気）が流入して隔壁の下方への変形が阻害されることも少ない。言い換えれば、中央領域１２と隔壁部５１との間の空間と容器本体２の外気とはフランジ５２の上面を介して連絡できるようになっている。

しかしキャップ３が下方に向かって押圧されるなどして、周縁領域１３とフランジ５２とが強く密着した状態になると中央領域１２の空気が外方に逃げ難くなる可能性がある。キャップがスクリューキャップである場合でも同様である。スクリューキャップではねじ込む深さによって密着状態が変わり、キャップを強く締めると強く密着し、中央領域１２と外気との連絡経路が遮断される。そして中央領域１２と外気との連絡経路が遮断されると隔壁部５１が変形し難くなる。例えば、隔壁部５１が変形したのちに密閉容器１ａが減圧環境下に置かれ、かつキャップ３が下方に強く押圧されていると、中央領域１２と隔壁部５１とによって形成される空間が負圧を維持した状態となる。そしてそのまま密閉容器１ａが大気圧環境下に戻ったとしても、中央領域に外気が導入されず、隔壁部５１が下方にドーム状となる状態に復帰できなくなる。そこで本発明の第２の実施例として周縁領域とフランジとが強く密着している場合、あるいはスクリューキャップなど、キャップが容器本体に強固に装着される構造を有していても、容器本体内の圧力変動に伴って隔壁部が円滑に変形できる密閉容器を挙げる。

図５に第２の実施例に係る密閉容器のキャップ１０３の構造を示した。図５ではキャップ１０３を下方から見たときの分解斜視図を示した。なお第２の実施例に係る密閉容器は天面部１１０における一部の構造以外は第１の実施例の密閉容器と同様である。以下に第２の実施例における天面部１１０の構造と動作について説明する。

図５に示したように、キャップ１０３は、第１の実施例と同様に、天面部１１０と胴部３１と装着機構４とによって構成されているが、キャップ１０３にドーム状の中央領域１２と外気とを連絡する通気口１１１が形成されている。この例では中央領域１２の外周側から放射外方向に延長して周縁領域１３を横断しつつ天面壁部１４の外方に至る溝１１１が通気口として形成されている。キャップ１０３において、天面壁部１４の外方は胴部３１の内面であり、胴部３１の下端開口や装着機構４のプッシュボタン４１を導出させる孔３２などによって外方に連絡している。このように第２の実施例に係る密閉容器では、通気口１１１を介して中央領域１２内に空気が出入りすることができ、隔壁部５１を円滑に変形させることができる。
＝＝＝その他の実施例＝＝＝
容器本体は、開口から中蓋の外周部が挿入される領域にて内面が当該外周部の外側面に密着するのであれば、外形や内部構造はどのようなものであってもよい。

中蓋の隔壁部と天面部の中央領域はドーム形状であればよく、球殻の一部である必要はない。例えば図６に示した中蓋５ｂのように、隔壁部５１の中央近傍が上方に突出する形状など、隔壁部５１の断面形状を波形にしてもよい。また図７に示した中蓋５ｃのように、隔壁部５１の周縁５４がフランジ部よりも下方にて外周部５３の内面に接続していてもよい。この例では隔壁部５１の周縁５４が外周部５３の下端に接続している。なおこのような中蓋５ｃでは、天面部１０の高さＨを当初の隔壁部５１の深さＤ以下にしても、容器本体内の圧力が急激かつ大きく上昇するような極めて過酷な環境下に密閉容器が置かれた場合、隔壁が弾性変形して速度が内圧の上昇速度に追いつかず、中蓋の外周部の外側面と容器本体の内面との密着度が低下し、結果として内容物が漏出する可能性がある。

図８は図７に示した中蓋５ｃの形状に起因して容器本体内の内容物が漏出するメカニズムを示す図である。なおここに示した密閉容器１ｂでは天面部２１０以外のキャップの構成部材を省略している。図８（Ａ）に示したように隔壁部５１が下方に突出した状態に対し、図８（Ｂ）に示したように容器本体２内の圧力が上昇して隔壁部５１が上方に突出するように変形して天面部２１０の内面１１に当接したとき、Ｄ≧Ｈであっても、隔壁部５１の周縁５４に図中白抜き矢印１０１で示した圧力によって外周部５３の下端側には図中矢印１０２で示したように縮径方向に力が加わる。そして容器本体２の内圧上昇が過激であった場合、隔壁部５１の変形速度が圧力上昇に追いつかず、この縮径方向への力が無視できなくなる。そして図８（Ｃ）に図８（Ｂ）における円２００内を拡大して示したように、外周部５３の下端側が内方に撓み外周部５３の外側面５５と容器本体２の内面２３との密着度が低下する。そこで図９に示したキャップの一部構成を省略した密閉容器１ｃのように、天面部３１０におけるドーム状の中央領域１２の周縁部が隔壁部５１の周縁５４の上面に当接すように形成されていれば、隔壁部５１が上方に凸状となる形状に変形した際に隔壁部５１の上面５７の全領域が天面部３１０の内面１１に当接するため、外周部５３を縮径させる原因となる力（図８、符号１０１）が発生しない。なおここに示した中蓋５ｃのように、隔壁部５１の周縁５４がフランジ５２よりも下方にて外周部５３の周面に接続している場合では、天面部３１０は中央領域１２の周縁部を外周部５３内に挿入する必要があるため、天面部３１０は、中央領域１２とフランジ５２の上面に当接する周縁領域１３とで肉厚が大きく異なることになる。そのため天面部３１０を射出成形による一体成形品として作製する場合、成形条件を厳密に管理しないと、厚さが変化する部位の肉厚が薄くなる所謂「ヒケ」が発生し、美観が損なわれる可能性がある。したがって理想的には隔壁部５１の周縁５４はフランジ５２の上端位置にて外周部５３と接続されていることが望ましい。

中央領域の内面形状としては、単純な球殻状のドーム形状に限らず、下方に開放する扁平な円筒状のドーム形状なども考えられる。また球殻の内面に梁を渡した形状など、内面に凹凸があるドーム形状としてもよい。そして隔壁部がその凹凸形状に追従するように変形したとしても、原理的には、変形後の隔壁部の表面積が初期状態の隔壁部の上面あるいは下面の表面積以下であれば、外周部を縮径させる力が加わらない。もちろん隔壁部は極めて柔らかい素材で形成されていない限り、上方に最大限に変形しても上面の表面形状はその凹凸形状に追従できず、概してドーム状となる。したがって隔壁部と対面する中央領域の表面積が当該隔壁部の当初の表面積以下であれば、図８に示した作用による中蓋における外周部の縮径を防止することができる。中央領域の内面が球殻の内面に梁を渡した形状であれば、隔壁部に対面する中央領域の表面積は、梁の下端面の面積と、隣接する梁と梁との間に露出した球殻の内面の面積との合計であり、この合計した表面積が当初の隔壁部の表面積以下であれば、外周部の縮径を防止することができる。

中央領域の内面を隔壁部の変形前後での表面積比が１以下となるような形状にすれば、原理的には中蓋の外周部を縮径させる力は発生し難い。しかし例えば中央領域が下方に開口する扁平な円筒状のドーム形状である場合、隔壁部の周縁と中央領域の周縁との間に高低差が生じ、図８に示した作用と同様にして外周部を縮径させる方向への力が無視できなくなる可能性もある。したがって隔壁部は周縁から滑らかに中央領域の内面形状に連続するように変形させた方がよい。すなわち隔壁部や中央領域は平面中央から滑らかに周縁に向かうドーム形状であることが望ましい。

第２の実施例において、通気口として天面部に中央領域と連絡する孔を形成してもよい。なお通気口を孔にした場合、キャップを装着するときにその孔を手で塞ぐ可能性もあることから、中央領域から放射外方向に形成された溝を通気口とする方がより好ましいと言える。なお通気口は外蓋に限らず、内蓋に形成することもできる。例えば、フランジ部の上面に放射外方向に延長する溝を形成し、その溝を通気口とすることができる。もちろん外蓋とフランジ部の上面の双方に通気口を形成することもできる。

キャップを容器本体に係合させる構造としては上記実施例に限らず、例えば、スクリューキャップ方式なども考えられる。もちろん外蓋は円筒状のキャップや着脱自在に構成されている必要はなく、例えばコンパクト容器のようなヒンジ付きの外蓋であってもよい。いずれにしても、キャップを閉じたときの隔壁部の周縁位置と中央領域の上端との高低差が初期状態における中蓋の隔壁部の下端と当該隔壁部の周縁位置との高低差以下で、中央領域の表面積が初期状態における隔壁部の上面の表面積以下であればよい。

１ａ〜１ｃ中蓋付き密閉容器、２容器本体、３外蓋（キャップ）、４装着機構、５ａ〜５ｃ中蓋、１０，１１０，２１０，３１０天面部、１１天面部の内面、
１２天面部の中央領域、１３天面部の周縁部、２１容器本体の収納部、
２２容器本体の首部、２３容器本体の内面、５１中蓋の隔壁部、
５２中蓋のフランジ、５３中蓋の外周部、５４隔壁部の周縁、
５５外周部の外側面、５６隔壁部の下面、５７隔壁部の上面、
１１１通気口（溝）

Claims

上方に開口を有する有底の容器本体と、当該開口を開閉自在に覆う外蓋と、前記容器本体を気密状態で封止するための中蓋とを備えた中蓋付き密閉容器であって、
前記中蓋は、上端にフランジ部を有する枠体の内方に当該枠体に対して容易に弾性変形する隔壁部が形成され、前記容器本体に装着されている状態では前記枠体の外周側面が前記容器本体の開口端側の内面に密着し、
前記隔壁部は、前記中蓋が前記容器本体に装着されていない初期状態では下方に突出するドーム状に形成されているとともに、上方へ突出するドーム状に変形可能に形成され、
前記外蓋は、天面の内方にドーム状の凹部からなる中央領域と当該凹部を環状に周回する周縁領域とを有し、前記容器本体に前記中蓋が装着されつつ前記外蓋が前記容器本体の開口を覆った閉状態では、前記中央領域が前記隔壁部と対面するとともに前記周縁領域が前記フランジ部の上面に当接し、
前記中央領域の内面は、前記隔壁部が上方に突出するように変形した際、当該変形状態にある前記隔壁部の表面積が前記初期状態における前記隔壁部の表面積以下に規制する形状に形成されている、
ことを特徴とする中蓋付き密閉容器。
請求項１において、前記閉状態における前記隔壁部の周縁位置と前記中央領域の上端との高低差が前記隔壁部の下端と前記周縁位置との高低差以下であり、前記隔壁部と対面する前記中央領域の表面積が前記初期状態における前記隔壁部の上面の表面積以下であることを特徴とする中蓋付き密閉容器。
請求項１または２において、前記中蓋は、前記隔壁部の周縁が前記フランジ部の内周上端に接続した形状であることを特徴とする中蓋付き密閉容器。
請求項１〜３のいずれかにおいて、前記中央領域と外気とを連絡させる通気口を有していることを特徴とする中蓋付き密閉容器。
請求項４において、前記通気口は、前記周縁領域または前記フランジ部の上面の少なくとも一方に形成された放射外方向に延長する溝であることを特徴とする中蓋付き密閉容器。
請求項１〜５のいずれかにおいて、前記外蓋は、内方に前記容器本体の上端側表面形状に係合する装着機構を有し、前記天面で前記容器本体の開口を閉鎖するように当該外蓋を前記容器本体に対して上方から下方に向けて押圧すると、前記装着機構により前記外蓋が前記容器本体に装着されることを特徴とする中蓋付き密閉容器。