JP6617852B2 - 熱間鍛造用棒鋼 - Google Patents
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Description
0.48≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.50 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
降伏強度と被削性とは、相反する機械特性である。しかしながら、鋼の化学組成を適正に調整できれば、これらの機械特性の両立が可能である。
本明細書において、「クラッキング性が高い」とは、熱間鍛造品の破断面に延性破面が生じにくいことを意味する。上述のとおり、熱間鍛造品のクラッキング性を高めるためには、熱間鍛造品の靭性は低いほうが好ましい。ここで、クラッキングコンロッドに用いられる熱間鍛造品は、通常、JIS Z 2242(2005)に規定されるシャルピー衝撃試験における吸収エネルギーE(2mmV)が20J/cm2未満程度である。また、ASTM E399−06に規定される破壊靭性値KQが40MPa√m未満程度である。
0.48≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.50 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本実施形態による熱間鍛造用棒鋼の化学組成は、次の元素を含有する。
炭素(C)は、鋼の降伏強度及び疲労強度を高める。C含有量が低すぎれば、この効果は得られない。一方、C含有量が高すぎれば、被削性が低下する。したがって、C含有量は0.05〜0.40%である。C含有量の好ましい下限は0.10%であり、より好ましくは0.20%であり、さらに好ましくは0.21%である。C含有量の好ましい上限は0.39%であり、より好ましくは0.38%であり、さらに好ましくは0.37%である。
シリコン(Si)は、鋼に固溶して鋼の疲労強度を高める。Si含有量が低すぎれば、この効果は得られない。一方、Si含有量が高すぎれば、上記効果は飽和する。Si含有量が高すぎればさらに、鋼の熱間加工性が低下し、棒鋼の製造コストも高くなる。したがって、Si含有量は0.05〜0.50%である。Si含有量の好ましい下限は0.06%であり、より好ましくは0.07%であり、さらに好ましくは0.08%である。Si含有量の好ましい上限は0.49%であり、より好ましくは0.48%であり、さらに好ましくは0.47%である。
マンガン(Mn)は鋼を脱酸する。Mnはさらに、鋼の降伏強度及び疲労強度を高める。Mn含有量が低すぎれば、これらの効果は得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、Mn含有量は1.51〜3.50%である。Mn含有量の好ましい下限は1.52%であり、より好ましくは1.53%であり、さらに好ましくは1.55%である。Mn含有量の好ましい上限は3.49%であり、より好ましくは3.48%であり、さらに好ましくは3.45%である。
リン(P)は、粒界に偏析して鋼を脆化する。そのため、破断分割後のクラッキングコンロッドの破面は脆性的になる。その結果、破断分割後のクラッキングコンロッドの大端内径変形量が小さくなる。すなわち、熱間鍛造後の鋼のクラッキング性が高まる。P含有量が低すぎれば、この効果は得られない。一方、P含有量が高すぎれば、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、P含有量は0.010〜0.100%である。P含有量の好ましい下限は0.011%であり、より好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.020%である。P含有量の好ましい上限は0.090%であり、より好ましくは0.080%であり、さらに好ましくは0.070%である。
硫黄(S)は、不純物である。すなわち、S含有量は0%超である。Sは鋼の熱間加工性を低下させる。したがって、S含有量は0.30%以下である。S含有量の好ましい上限は、0.20%であり、より好ましくは0.15%である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、Sを過剰に低減すれば、精錬コストが過剰に高くなる。したがって、工業生産を考慮した場合、S含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは、0.0005%である。
クロム(Cr)は鋼の降伏強度及び疲労強度を高める。Cr含有量が低すぎれば、この効果は得られない。一方、Cr含有量が高すぎれば、鋼が硬くなりすぎ、鋼の被削性が低下する。Cr含有量が高すぎればさらに、製造コストが高くなる。したがって、Cr含有量は0.05〜2.50%である。Cr含有量の好ましい下限は0.10%であり、より好ましくは0.12%であり、さらに好ましくは0.15%である。Cr含有量の好ましい上限は2.00%であり、より好ましくは1.80%であり、さらに好ましくは1.60%である。
バナジウム(V)は、熱間鍛造後の冷却過程でフェライト中に炭化物として析出し、熱間鍛造後の鋼の降伏強度及び疲労強度を高める。V含有量が低すぎれば、この効果は得られない。一方、V含有量が高すぎれば、鋼の製造コストが極めて高くなる。V含有量が高すぎればさらに、被削性が低下する。したがって、V含有量は0.10〜0.75%である。V含有量の好ましい下限は0.11%であり、より好ましくは0.12%であり、さらに好ましくは0.15%である。V含有量の好ましい上限は0.70%であり、より好ましくは0.68%であり、さらに好ましくは0.66%である。
チタン(Ti)は、連続鋳造の凝固過程でTiNを形成し、熱間鍛造後の鋼のクラッキング性を高める。より具体的には、連続鋳造による溶鋼の凝固過程において、TiはTiN、Ti硫化物及びTi炭硫化物を生成する。このとき生成したTiNは、その後の熱間鍛造前の加熱工程においても固溶しにくく、後述のサイズ及び数密度を満たすことにより、クラッキング性を高める。
アルミニウム(Al)は、鋼を脱酸する。そのため、AlはTi酸化物の晶出を抑制し、TiNを晶出しやすくする。その結果、鋼のクラッキング性が高まる。Al含有量が低すぎれば、この効果は得られない。一方、Al含有量が高すぎれば、上記効果は飽和する。Al含有量が高すぎればさらに、鋼の熱間加工性が低下し、鋼の製造コストも高くなる。したがって、Al含有量は0.005〜0.060%である。Al含有量の好ましい下限は0.020%である。Al含有量の好ましい上限は0.040%である。本実施形態の熱間鍛造用棒鋼において、Al含有量とは酸可溶Al(いわゆる「sol.Al」)を意味する。
窒素(N)はTiと結合してTiNを形成し、クラッキング性を高める。N含有量が低すぎれば、この効果は得られない。一方、N含有量が高すぎれば、熱間加工性が低下する。したがって、N含有量は0.002〜0.020%である。N含有量の好ましい下限は0.003%であり、より好ましくは0.004%であり、さらに好ましくは0.005%であり、さらに好ましくは0.0051%である。N含有量の好ましい上限は0.019%であり、より好ましくは0.018%であり、さらに好ましくは0.017%である。
本実施形態による熱間鍛造用棒鋼はさらに、Feの一部に代えて、Cu、Ni、Mo、及び、Nbからなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも、鋼の強度を高める。
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Cu含有量は0%であってもよい。Cuが含有される場合、Cuは鋼に固溶して鋼の疲労強度を高める。Cuが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Cu含有量が高すぎれば、鋼の製造コストが高くなるだけでなく、被削性が低下する。したがって、Cu含有量は0〜0.60%である。Cu含有量の好ましい下限は0.01%であり、より好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。Cu含有量の好ましい上限は0.59%であり、より好ましくは0.55%であり、さらに好ましくは0.50%である。
ニッケル(Ni)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Ni含有量は0%であってもよい。Niが含有される場合、Niは鋼に固溶して鋼の疲労強度を高める。Niが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Ni含有量が高すぎれば、製造コストが高くなる。Ni含有量が高すぎればさらに、鋼の靭性が高くなりすぎる。その結果、破断分離後の破面に延性破面が生成し、クラッキング性が低下する。したがって、Ni含有量は0〜0.60%である。Ni含有量の好ましい下限は0.01%であり、より好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。Ni含有量の好ましい上限は0.59%であり、より好ましくは0.58%であり、さらに好ましくは0.55%である。
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Mo含有量は0%であってもよい。Moが含有される場合、Moは鋼中で炭化物を形成して鋼の降伏強度及び疲労強度を高める。Moが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Mo含有量が高すぎれば、鋼の硬さが高くなりすぎ、被削性が低下する。Mo含有量が高すぎればさらに、製造コストが高くなる。したがって、Mo含有量は0〜0.70%である。Mo含有量の好ましい下限は0.01%であり、より好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。Mo含有量の好ましい上限は0.69%であり、より好ましくは0.68%であり、さらに好ましくは0.65%である。
ニオブ(Nb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Nb含有量は0%であってもよい。Nbが含有される場合、Nbは鋼中で炭化物を形成して鋼の疲労強度を高める。Nbが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Nb含有量が高すぎれば、鋼の硬さが高くなりすぎ、被削性が低下する。Nb含有量が高すぎればさらに、結晶粒が微細化し、鋼の靭性が高くなりすぎる。その結果、破断分離後の破面に延性破面が生成し、クラッキング性が低下する。したがって、Nb含有量は0〜0.100%である。Nb含有量の好ましい下限は0.005%であり、より好ましくは0.010%であり、さらに好ましくは0.015%である。Nb含有量の好ましい上限は0.095%であり、より好ましくは0.090%であり、さらに好ましくは0.085%である。
鉛(Pb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Pb含有量は0%であってもよい。Pbが含有される場合、Pbは鋼の被削性を高める。Pbが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Pb含有量が高すぎれば、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、Pb含有量は0〜0.30%である。Pb含有量の好ましい下限は0.01%であり、より好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。Pb含有量の好ましい上限は0.29%であり、より好ましくは0.25%であり、さらに好ましくは0.20%である。
テルル(Te)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Te含有量は0%であってもよい。Teが含有される場合、Teは鋼の被削性を高める。Teが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Te含有量が高すぎれば、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、Te含有量は0〜0.3000%である。Te含有量の好ましい下限は0.0003%であり、より好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Te含有量の好ましい上限は0.2900%であり、より好ましくは0.2500%であり、さらに好ましくは0.2000%である。
カルシウム(Ca)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Ca含有量は0%であってもよい。Caが含有される場合、Caは鋼の被削性を高める。Caが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Ca含有量が高すぎれば、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、Ca含有量は0〜0.0100%である。Ca含有量の好ましい下限は0.0003%であり、より好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Ca含有量の好ましい上限は0.0090%であり、より好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0050%である。
ビスマス(Bi)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Bi含有量は0%であってもよい。Biが含有される場合、Biは鋼の被削性を高める。Biが少しでも含有されれば、上記効果はある程度得られる。しかしながら、Bi含有量が高すぎれば、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、Bi含有量は0〜0.4000%である。Bi含有量の好ましい下限は0.0003%であり、より好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Bi含有量の好ましい上限は0.3900%であり、より好ましくは0.3000%であり、さらに好ましくは0.2000%である。
本実施形態による熱間鍛造用棒鋼の化学組成はさらに、式(1)を満たす。
0.48≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.50 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本実施形態による熱間鍛造用棒鋼において、20μm以上の円相当径を有するTiN(粗大TiN)の数密度は0.3〜4.0個/mm2である。なお、本明細書において、TiNとは、介在物中のTi及びNの総含有量が質量%で80%以上の介在物を意味する。
上述の熱間鍛造用棒鋼の製造方法の一例を説明する。本実施形態による製造方法は、鋳造工程と、熱間加工工程とを含む。
上述の化学組成及び式(1)を満たす溶鋼を周知の方法で製造する。たとえば、溶鋼を用いて、連続鋳造法により鋳片(スラブ又はブルーム)を製造する。
連続鋳造機上に配置されたタンディッシュ中での溶鋼温度とTLL(液相線温度)との差を過熱度ΔT(℃)と定義する。ΔTが低すぎれば、TiNの晶出量が不十分となる場合がある。一方、ΔTが高すぎれば、粗大なTiNが過剰に析出する場合がある。したがって、本実施形態による過熱度ΔTは30〜50℃である。過熱度ΔTの好ましい下限は31℃である。
鋳込み速度Vc:0.2〜0.8m/分
鋳片の凝固過程での冷却速度が高すぎれば、TiNの晶出及び凝集が不十分となる場合がある。この場合、TiNの円相当径が小さくなる。一方、冷却速度が低すぎれば、TiNが過剰に凝集し、粗大TiNの数密度が高くなりすぎる場合がある。したがって、鋳片の横断面(矩形)の一辺が300mm以上であり、かつ、鋳込み速度Vcが0.2〜0.8m/分であれば、TiNが十分に晶出し、かつ、晶出したTiNが凝集しやすい。その結果、粗大TiNの数密度が0.3個/mm2以上となる。鋳込み速度Vcの好ましい上限は0.6m/分である。
熱間加工工程では、上記鋳造工程で製造された鋳片に対して、熱間加工を実施して、熱間鍛造用棒鋼を製造する。熱間加工工程はたとえば、粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とを含む。
鋳片又はインゴットを熱間圧延してビレットを製造する。熱間圧延はたとえば、分塊圧延機、及び、連続圧延機を利用して実施される。連続圧延機はたとえば、複数のスタンドが一列に並び、各スタンドが複数のロールを有する。
ビレットを用いて熱間鍛造用棒鋼を製造する。仕上げ圧延工程でははじめに、ビレットを加熱炉で加熱する(加熱工程)。加熱後、連続圧延機を用いてビレットを熱間圧延(仕上げ圧延)し、熱間鍛造用棒鋼を製造する(熱間圧延工程)。以下、各工程について説明する。
加熱工程では、周知の加熱温度でビレット加熱する。好ましくは、1000〜1300℃の加熱温度でビレットを30分以上加熱する。加熱温度が低すぎれば、ビレット中のTiNが凝集しにくい。そのため、ビレットに存在していた微細なTiNが凝集せずに熱間圧延後も引き継がれ、棒鋼中には微細なTi窒化物が多く存在する。この場合、鋼中の粗大TiNが少なくなる。一方、加熱温度が高過ぎれば、加熱中にTi窒化物が過度に凝集する。上述の鋳造条件を満たした場合、仕上げ圧延時の加熱温度が1000〜1300℃であれば、粗大TiNの数密度が安定して適切な範囲(0.3〜4.0個/mm2)となる。
仕上げ圧延機を用いて、加熱後のビレットを周知の方法で仕上げ圧延(熱間圧延)し、熱間鍛造用棒鋼を製造する。仕上げ圧延機は、一列に並んだ複数のスタンドを有し、各スタンドはパスライン周りに配置された複数のロール(ロール群)を有する。各スタンドのロール群が孔型を形成し、ビレットが孔型を通過するときに圧下され、棒鋼が製造される。
減面率=(仕上げ圧延前のビレットの横断面積−仕上げ圧延後の熱間鍛造用棒鋼の横断面積)/仕上げ圧延前のビレットの横断面積
上述の熱間鍛造用棒鋼を用いた熱間鍛造品の製造方法の一例として、クラッキングコンロッドの製造方法を説明する。
製造された熱間鍛造品(クラッキングコンロッド)は、ベイナイトを主体とするミクロ組織を有する。具体的には、クラッキングコンロッドのミクロ組織において、ベイナイトの面積率は80%以上である。ベイナイトの面積率が100%でない場合、マトリクス組織の残部はフェライト、又は、フェライト及びパーライトである。ベイナイトの面積率の好ましい下限は85%であり、より好ましくは90%であり、さらに好ましくは95%以上であり、最も好ましくは100%である。ベイナイト面積率の一例は95〜100%である。
棒鋼を長手方向と垂直な方向に切断し、直径40mm、長さ100mmの供試材を採取した。供試材を加熱して、1250℃で5分間保持した。加熱後速やかに、軸方向に90%の熱間圧縮を実施して、円盤形状に成形し熱間鍛造模擬品(熱鍛模擬品という)を製造した。成形後の熱鍛模擬品を大気中で放冷した。放冷後、試験片を再加熱して、600℃に30分保持した。なお、上述の方法で製造した各試験番号の熱鍛模擬品はいずれも、JIS Z 2242(2005)に規定されるシャルピー衝撃試験における吸収エネルギーE(2mmV)が20J/cm2未満であり、ASTM E399−06に規定される破壊靭性値KQが40MPa√m未満であった。
供試材及び熱鍛模擬品を用いて、次の評価試験を実施した。
各試験番号の供試材のR/2部からサンプルを採取した。サンプルの表面のうち、各試験番号の供試材の軸方向を含む断面(縦断面)に相当する表面を観察面とした。観察面を腐食させず、そのまま200倍の光学顕微鏡で観察し、任意の100視野で写真画像を生成した。100視野の総面積は11.9mm2であった。上述の方法によりTiNを特定し、粗大TiNの数密度(個/mm2)を求めた。求めた粗大TiNの数密度(個/mm2)を表3及び表4に示す。
各試験番号において、熱鍛模擬品を試験番号ごとに50個製造した。製造後の各試験番号の熱鍛模擬品の表面の割れの有無を目視で確認した。割れの発生が50個中0個であった場合を評価「A」とし、1個であった場合を評価「B」、2〜3個であった場合を評価「C」とし、4個以上であった場合を評価「NA」とした。評価「A」〜「C」の場合、優れた熱間加工性が得られたと判断し、評価「NA」の場合、優れた熱間加工性が得られなかったと判断した。評価結果を表3及び表4に示す。
各試験番号の熱鍛模擬品を用いて、ミクロ組織観察試験を実施した。具体的には、各試験番号の熱鍛模擬品の縦断面のうち、R/2部を含むサンプルを採取した。熱間鍛造用棒鋼の中心軸と垂直な表面を観察面とした。観察面を研磨した後、3%硝酸アルコール(ナイタル腐食液)にてエッチングした。エッチングされた観察面を200倍の光学顕微鏡にて観察して、上述の方法により、ベイナイト面積率(%)を求めた。求めたベイナイト面積率(%)を表3及び表4に示す。
各試験番号の熱鍛模擬品のR/2部から、JIS Z 2241(2011)に規定されるJIS 14A号試験片を2本採取した。採取された試験片を用いて、大気中の室温(25℃)で引張試験を実施して、2本平均の降伏強度(MPa)を求めた。
各試験番号の熱鍛模擬品のR/2部から、JIS Z 2241(2011)に規定されるJIS 14A号試験片を採取した。採取された試験片を用いて、大気中の室温(25℃)において、正弦波で位相0(MPa)の両振り疲労試験を実施した。繰り返し数107回で破断しない最大の応力を疲労強度(MPa)とした。周波数は15Hzとした。
試験番号ごとに5つの熱鍛模擬品を準備した。準備した5つの熱鍛模擬品に対して任意の位置にドリル穴あけ加工を行い、計50穴のドリル穴あけ加工した際の工具摩耗量を測定した。ドリル径を10mm、主軸の回転速度を1000回/minとした。
各試験番号の熱鍛模擬品から、図2Aに示すコンロッドの大端部を模擬した試験片10を、機械加工により製造した。試験片10の一辺の長さは80mmであり、厚さは10mmであった。試験片10の中央には孔(貫通孔)11を形成した。孔11の直径は60mmであり、その中心は、試験片10の中心と同軸であった。図2Aに示すとおり、孔11の周縁のうち、直径の各端点に相当する2箇所に、V字形状の切欠きMを加工した。切欠きMの深さは1mm、先端Rは0.1mm、開き角は60°であった。
表3及び表4を参照して、試験番号1〜44の化学組成は適切であり、fn1も式(1)を満たした。さらに、過熱度ΔT及び鋳込み速度Vcも適切であった。そのため、粗大TiNの数密度は0.3〜4.0個/mm2の範囲内であった。さらに、熱間鍛造品は、ミクロ組織中のベイナイトの面積率が80〜100%であった。その結果、供試材は優れた熱間加工性を示した。さらに、熱間鍛造品は高い降伏強度、高い疲労強度、優れた被削性、及び、優れたクラッキング性を示した。
Claims (3)
- 質量%で、
C:0.05〜0.40%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:1.51〜3.50%、
P:0.010〜0.100%、
S:0.30%以下、
Cr:0.05〜2.50%、
V:0.10〜0.75%、
Ti:0.005%〜0.250%、
Al:0.005〜0.060%、
N:0.002〜0.020%、
Cu:0〜0.60%、
Ni:0〜0.60%、
Mo:0〜0.70%、
Nb:0〜0.100%、
Pb:0〜0.30%、
Te:0〜0.3000%、
Ca:0〜0.0100%、及び、
Bi:0〜0.4000%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、式(1)を満たす化学組成を有し、
鋼中の20μm以上の円相当径を有するTiNの数密度は0.3〜4.0個/mm2である、熱間鍛造用棒鋼。
0.48≦C+0.11Mn+0.08Cr+0.75V+0.20Mo≦1.50 (1)
ここで、式(1)中の元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。 - 請求項1に記載の熱間鍛造用棒鋼であって、
前記化学組成は、
Cu:0.01〜0.60%、
Ni:0.01〜0.60%、
Mo:0.01〜0.70%、及び、
Nb:0.005〜0.100%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、熱間鍛造用棒鋼。 - 請求項1又は請求項2に記載の熱間鍛造用棒鋼であって、
前記化学組成は、
Pb:0.01〜0.30%、
Te:0.0003〜0.3000%、
Ca:0.0003〜0.0100%、及び、
Bi:0.0003〜0.4000%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、熱間鍛造用棒鋼。
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