JP5598038B2 - 熱間鍛造非調質鋼部品及びこれに用いる熱間鍛造用非調質鋼 - Google Patents
熱間鍛造非調質鋼部品及びこれに用いる熱間鍛造用非調質鋼 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5598038B2 JP5598038B2 JP2010061902A JP2010061902A JP5598038B2 JP 5598038 B2 JP5598038 B2 JP 5598038B2 JP 2010061902 A JP2010061902 A JP 2010061902A JP 2010061902 A JP2010061902 A JP 2010061902A JP 5598038 B2 JP5598038 B2 JP 5598038B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- content
- machinability
- hot
- heat treated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
- 229910000831 Steel Inorganic materials 0.000 title claims description 65
- 239000010959 steel Substances 0.000 title claims description 65
- 238000005242 forging Methods 0.000 title claims description 26
- 229910001563 bainite Inorganic materials 0.000 claims description 56
- 238000005336 cracking Methods 0.000 claims description 30
- 229910052748 manganese Inorganic materials 0.000 claims description 19
- 229910052804 chromium Inorganic materials 0.000 claims description 16
- 229910052799 carbon Inorganic materials 0.000 claims description 13
- 239000000126 substance Substances 0.000 claims description 11
- 229910052720 vanadium Inorganic materials 0.000 claims description 10
- 239000012535 impurity Substances 0.000 claims description 9
- 229910001562 pearlite Inorganic materials 0.000 claims description 9
- 229910052710 silicon Inorganic materials 0.000 claims description 9
- 229910000859 α-Fe Inorganic materials 0.000 claims description 9
- 229910052698 phosphorus Inorganic materials 0.000 claims description 8
- 229910052757 nitrogen Inorganic materials 0.000 claims description 7
- 238000005261 decarburization Methods 0.000 description 22
- 238000012360 testing method Methods 0.000 description 16
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 15
- 238000000926 separation method Methods 0.000 description 10
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 8
- 230000032683 aging Effects 0.000 description 6
- 238000001816 cooling Methods 0.000 description 6
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 description 6
- 239000000463 material Substances 0.000 description 6
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 5
- 230000035882 stress Effects 0.000 description 5
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 description 4
- 230000001105 regulatory effect Effects 0.000 description 4
- 238000007514 turning Methods 0.000 description 4
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 3
- 229920006395 saturated elastomer Polymers 0.000 description 3
- 238000009628 steelmaking Methods 0.000 description 3
- 238000009864 tensile test Methods 0.000 description 3
- 0 CC1(C*)C=CC(*CCC2CC2)CC1 Chemical compound CC1(C*)C=CC(*CCC2CC2)CC1 0.000 description 2
- OKTJSMMVPCPJKN-UHFFFAOYSA-N Carbon Chemical compound [C] OKTJSMMVPCPJKN-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 229910000975 Carbon steel Inorganic materials 0.000 description 2
- FPIPGXGPPPQFEQ-OVSJKPMPSA-N all-trans-retinol Chemical compound OC\C=C(/C)\C=C\C=C(/C)\C=C\C1=C(C)CCCC1(C)C FPIPGXGPPPQFEQ-OVSJKPMPSA-N 0.000 description 2
- 239000010962 carbon steel Substances 0.000 description 2
- 230000015556 catabolic process Effects 0.000 description 2
- 238000012790 confirmation Methods 0.000 description 2
- 238000005520 cutting process Methods 0.000 description 2
- 238000006731 degradation reaction Methods 0.000 description 2
- 230000006866 deterioration Effects 0.000 description 2
- 238000011156 evaluation Methods 0.000 description 2
- 238000002474 experimental method Methods 0.000 description 2
- 238000009661 fatigue test Methods 0.000 description 2
- 238000009863 impact test Methods 0.000 description 2
- 238000000034 method Methods 0.000 description 2
- 229910052750 molybdenum Inorganic materials 0.000 description 2
- 238000001556 precipitation Methods 0.000 description 2
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 2
- 229910000851 Alloy steel Inorganic materials 0.000 description 1
- UCKMPCXJQFINFW-UHFFFAOYSA-N Sulphide Chemical compound [S-2] UCKMPCXJQFINFW-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 238000003483 aging Methods 0.000 description 1
- 235000019169 all-trans-retinol Nutrition 0.000 description 1
- 239000011717 all-trans-retinol Substances 0.000 description 1
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000000956 alloy Substances 0.000 description 1
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 1
- 239000003245 coal Substances 0.000 description 1
- 230000000052 comparative effect Effects 0.000 description 1
- 238000013329 compounding Methods 0.000 description 1
- 230000006835 compression Effects 0.000 description 1
- 238000007906 compression Methods 0.000 description 1
- 229910052802 copper Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000010730 cutting oil Substances 0.000 description 1
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 1
- 239000000446 fuel Substances 0.000 description 1
- 238000003754 machining Methods 0.000 description 1
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 1
- 239000002184 metal Substances 0.000 description 1
- 229910052751 metal Inorganic materials 0.000 description 1
- 238000002156 mixing Methods 0.000 description 1
- 229910052759 nickel Inorganic materials 0.000 description 1
- 230000003287 optical effect Effects 0.000 description 1
- 230000002093 peripheral effect Effects 0.000 description 1
- 239000002244 precipitate Substances 0.000 description 1
- 230000001376 precipitating effect Effects 0.000 description 1
- 238000002360 preparation method Methods 0.000 description 1
- 239000000047 product Substances 0.000 description 1
- 238000005096 rolling process Methods 0.000 description 1
- 102220259718 rs34120878 Human genes 0.000 description 1
- 230000009466 transformation Effects 0.000 description 1
- 239000013585 weight reducing agent Substances 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)
Description
上記特許文献1の鋼を含め、多数の非調質鋼が開発されており、これらは大量生産可能な被削性を確保しているが、硬さがHV300未満であり、本発明で目的とする強度が得られない。そして、この鋼の強度を単純に高めても、被削性が低下してしまう。そのため、硬さを高めても優れた被削性を維持できる技術開発が必要であった。
特許文献2の鋼部品は、硬さがHV340以上で高強度を有しながら、被削性の優れる材料として提案されており、コストの問題、熱処理が必要であるという点を除けば、従来からの高強度、及び優れた被削性の要求を満足するものである。しかしながら、時効処理が必須であるため、コスト高になる共に、CO2発生量の点で問題がある。
特許文献3には、クラッキングコンロッドに関する記載がある。そして、熱間鍛造のままでは大部分がHRC28(およそHV270相当)以下となって強度不足となることを改善するために、鍛造後の冷間コイニングと時効処理を行うことが示されている。しかしながら、このような追加工程はコスト高を招いてしまう。
2Mn+5Mo+Cr≦3.1であり、
C+Si/5+Mn/10+10P+5V≧1.8であり、
Ceq=C+Si/7+Mn/5+Cr/9+Vが0.90〜1.10であり、
硬さがHV330以上であり、
降伏比が0.73以上であり、
組織が、ベイナイトが10%以下のフェライト・パーライト組織であることを特徴とする熱間鍛造非調質鋼部品にある(請求項1)。
化学成分が、質量%でC:0.35〜0.55%、Si:0.15〜0.40%、Mn:0.50〜1.00%、P:0.100%以下、S:0.040〜0.100%、Cr:1.00%以下、V:0.20〜0.50%、Ca:0.0005〜0.0100%、N:0.0150%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、
2Mn+5Mo+Cr≦3.1であり、
C+Si/5+Mn/10+10P+5V≧1.8であり、
Ceq=C+Si/7+Mn/5+Cr/9+Vが0.90〜1.10であることを特徴とする熱間鍛造用非調質鋼にある(請求項2)。
そこで、本発明の熱間鍛造非調質鋼部品及びこれに用いる熱間鍛造用非調質鋼は、コストを増大させることなく、高強度、優れたクラッキング性及び優れた被削性が得られるように、鋼を構成する各化学成分等の条件について鋭意検討を重ね、その条件を明確にしたものである。
そして、上記硬さ及び降伏比を満足し、かつ被削性を得ることができるように、成分元素の含有率、及びその配合比率を規定した。
Cは強度を確保するための基本元素である。そのため、Cの含有率を0.35質量%以上とすることにより、上述の高強度(引張強さ1100MPa以上、0.2%耐力800MPa以上)を確保することができる。しかし、含有率が0.55質量%を超えると、後述するCaが存在する場合でも被削性が低下するため、上限を0.55質量%とした。
Siは、製鋼時の脱酸剤として有効であると共に、強度及び破断分離性を向上させるため下限を0.15%とした。また、Siは鍛造後の冷却時に生じる脱炭量が増加し疲労強度を低下させるため、添加は脱酸に必要な最低限の量とすることが好ましい。そのため、Siの含有率の上限を0.40質量%とした。
Mnは、製鋼時の脱酸ならびに鋼の強度、靭性バランスを調整するために添加される元素であり、0.50%以上とする。しかし、本発明は、Cの上限を0.55%と高めに設定しており、Ca添加により被削性の向上を図っているものの、特にCが0.45%を超える場合では、ベイナイトが生じない場合であっても被削性が要求レベルを満足できないおそれがある。Mnは、増量すると、ベイナイトが生じない範囲に限定しても被削性低下の原因となるため、上限を1.00%とした。さらに、Mnを多量添加してベイナイト組織が生じた場合には、大きく耐力、被削性が低下するため、そうならないように添加量を調整する必要がある。
Pは破断分離性向上に有効であるために添加する。一方、熱間加工性の悪化を防ぐため上限を0.100%とする。
Sは、鋼中でCaS、MgS、MnS、(Ca,Mn)S、(Ca,Mg)S、(Ca,Mg,Mn)S等の硫化物系介在物を形成し、被削性向上に効果のある元素であり、HV330以上の硬さで必要な被削性を確保するためには不可欠な元素であるため、下限を0.040%とした。しかし、添加量を増加すると被削性に効果のある一方で、鍛造時に割れの発生が生じ易くなるため、S含有量の上限を0.100%とした。好ましくは0.080%以下とするのがよい。
Crは、鋼の強度、靭性バランスを調整するために有効な元素である。しかしながら、Mnの場合と同様に、Crの添加量を増加すると被削性低下の原因となり、ベイナイトが生じない場合であっても必要とする被削性を確保できない場合がある。そして、さらに、ベイナイトが生じた場合には、耐力、被削性が大きく低下する。したがって、Cr添加量の上限を1.00%とする必要がある。
Vは、鋼中で炭窒化物となって鍛造後の冷却中に金属組織において微細に析出することにより、フェライトを強化するという非調質鋼にとっては必須の元素である。そして、Vを0.20質量%以上含有させることにより、降伏比を0.73以上とすることができ、同一硬さで比較した場合の得られる耐力を高め、強度を改善することができる。しかしながら、0.50質量%を超えて含有させても、効果が飽和するため、上限を0.50質量%とした。
Caは被削性の改善に非常に有効であるため0.0005%以上添加する。一方、その効果は添加量が多すぎても飽和するため、Caの上限値を0.0100%とした。
Nの含有量が0.0150%を超えると、鋼中NのうちVと結合し炭窒化物を形成してγ域で析出する量が増加し、強度に貢献しないV炭窒化物の析出が増加し、強度に貢献できるフェライト中のV炭窒化物の微細な析出量が減少して強度が低下する。そのため、Nの含有量を0.0150%以下に制限する。
上記式における、Mn、Mo、Crは、それぞれ、上記化学成分における含有率(質量%)である。
上記成分元素の含有率がそれぞれ上記範囲を満たし、かつ、2Mn+5Mo+Cr≦3.1を満たすことにより、ベイナイトの発生を10%以下に抑制し、主な組織をフェライト・パーライトとすることができ、被削性、及び降伏比0.73以上を確保することができる。ここで、ベイナイトの発生率は、断面観察による面積率によって評価する。
上記式における、C、Si、Mn、Pは、それぞれ、上記化学成分における含有率(質量%)である。
上記式を満たすことにより、優れたクラッキング性を満たすことができる。
上記式における、C、Mn、Cr、Vは、それぞれ、上記化学成分における含有率(質量%)である。
上記成分元素の含有率がそれぞれ上記範囲を満たし、かつ、Ceqが上記範囲を満たすことにより、HV330以上の硬さを有しつつ、優れた被削性を得ることができる。
つまり、本発明によれば、時効処理や冷間コイニングに頼ることなく、高強度を確保しつつ、優れた被削性と破断分離性を確保できる熱間鍛造非調質鋼部品及びこれに用いる熱間鍛造用非調質鋼を提供することができる。
そして、上記各成分の条件は、後述する実施例に示すごとく、様々な成分組成を有す鋼を用いた多くの実験を重ねて検討することにより得た条件である。
本例は、本発明の実施例にかかる熱間鍛造非調質鋼部品及び熱間鍛造用非調質鋼について説明する。
本例では、本発明の実施例として、表1に示す組成を有する鋼(試料E1〜試料E16)、本発明の比較例として、表2、表3に示す組成を有する鋼(試料C1〜試料C40)を作製した。
すべての試料について、T断面のD/4部(丸棒の軸方向に直交する断面(T断面)における、外周面から中心に向かう深さが直径Dの1/4の部位)の硬さ及びミクロ組織を観察し、ベイナイト面積率を測定した。
硬さは、ビッカース硬さ(JIS Z 2244(2003)に準拠)を測定することにより測定した。
ミクロ組織は、ナイタールで腐食し、光学顕微鏡を用いて観察した。
表4〜表6に、硬さ及びベイナイト面積率(%)を示す。
試料E1〜試料E15、および試料C1〜試料C34について、切込速度200m/min、送り0.30mm/rev、仕込み2.0mm、水溶性切削油シンセティック♯770TG(20倍希釈)、刃具材質:超硬AC2000コートの条件で、旋削試験を実施(試験時間1000秒)した。試験後の刃具の横逃げ面摩耗幅を測定し、評価した。
試料E1〜試料E16、及び試料C1〜試料C28のD/4部から試験片を切り出し、試験片加工後、引張試験の実施を行った。
表4〜表6に、引張強さTS(MPa)、0.2%耐力PS(MPa)、及び降伏比を示す。
試料E1〜試料E16、試料C7、試料C8、試料C20、及び試料C21について、応力比=−1、周波数30Hzの条件で、両振り引張圧縮疲労試験を行った。
表4〜表6に107回疲労限度σw(MPa)、及び耐久比(=107回疲労限度/引張強さ)を示す。
試料E1、試料E8、試料E9、試料E10、試料C7、試料C8、及び試料C19〜試料C23について、JIS G 0058(2007)に規定された「鋼の脱炭層深さ測定方法」を行い、脱炭層深さを比較することにより脱炭性を評価した。
なお、表4〜表6に示した脱炭性指数は、機械構造用炭素鋼S55Cの脱炭層深さを1とし、比率で示したものである。
試料E16、及び試料C35〜試料C40について、日立ツール株式会社製強力型ロングドリルφ5(材質 ハイス)を使用してドリル試験を行った。回転数1127rpm、送り0.13mm/rev、加工深さ40mm、穴数150(未貫通穴)の条件で行った。150穴加工後の逃げ面コーナー磨耗量を測定し、比較、評価を行った。
試料E10、試料E11、試料E15、試料E16及び試料C19〜試料C24、試料C27、試料28について、熱間鍛造した際の割れ発生が起きるおそれがないかどうかについて評価した。
評価は、直径φ35mm×長さ200mmの鋼材を準備し、これを1200℃に加熱した後熱間鍛造し、コンロッド部品を100個製造することにより行った。製造されたコンロッド部品について割れの発生の有無を調査し、1件でも割れが発生した場合を不合格(×)、全く割れなかった場合を合格(○)とした。
全ての試料について、JIS Z2242に準拠したVノッチシャルピー衝撃試験片を作製して室温で試験を行い、試験後の破面の脆性破面率を測定して判定した。脆性破面率が100%のものを合格(○)、それ以外を不合格(×)とした。
図1に、試料E1〜E15、試料C4〜C6、試料C9〜C13及び試料C25〜C30について、上記旋削試験により得られた第1被削性指数、C含有率、及びCeqの関係を示す。同図は、横軸にCeqをとり、縦軸に第1被削性指数とった。
同図においてプロットしたデータは、ベイナイト面積率10%超のものは除き、Mn:1.00%以下、Cr:1.00%以下のものである。これは、Ceqの変化以外に被削性指数に大きな影響を及ぼす要因を除いて被削性の影響を判断したいためである。
図2は、硬さを測定したすべての試料についてのCeqと硬度HVとの関係を示す。同図は、横軸をCeq、縦軸を硬さHVをとした。同図中、◇はベイナイト組織の存在が面積率10%を超えて確認された試料の結果であり、△はベイナイト組織の存在が面積率0%超え10%以下の範囲で確認された試料の結果である。その他のベイナイト組織が確認できなかった試料の結果は◆を用いて示した。
図3は、C:0.45〜0.55%、かつCr:1.00%以下のデータ及びC:0.45%未満であってMn量が多いことによりベイナイト組織の確認ができたデータ、具体的には、上記試料E2〜E4、E7、E9、E10、E13、E14、C1、C5、C6、C11、C14〜C19、C21、C24、C25、C27、C31、C32についての、Mn含有率、第1被削性指数、及びCeqの関係を示す。同図は、横軸をCeq、縦軸を第1被削性指数とした。
また、◆は、Mn:1%以下、ベイナイト無し、Ca有りのデータである。△は、Mn:1%以下、ベイナイト組織の存在が面積率0%超え10%以下、Ca有りのデータである。
そして、Ca有り、Mn含有率が1.0質量%以下であり、ベイナイト組織が10%以下となる範囲については、Ceq0.90〜1.10の範囲において、第1被削性指数1以下を満足できることがわかる。この結果より、Mnの含有率の上限を1.00質量%とした。
また、◆は、Cr:1.00%以下、ベイナイト無し、Ca有りのデータである。△は、Cr:1.00%以下、ベイナイト組織の存在が面積率0%超え10%以下、Ca有りのデータである。
そして、Cr含有率が1.00質量%以下の場合には、Ceq0.90〜1.10の範囲において第1被削性指数1以下を満足できることが分かる。この結果より、Crの含有率の上限を1.00質量%とした。
また、同図より、Vの含有率が増加するにしたがって降伏比は向上することがわかる。そして、Vの含有率が0.20質量%以上であり、かつ、ベイナイト組織が10%以下である場合には、降伏比0.73以上を満足できることがわかる。以上の結果より、主となる組織をフェライト・パーライト組織に限定し、許容するベイナイト組織の上限を面積率で10%以下にすると共に、Vの含有率の下限を0.20質量%とした。
特にMoは、Mn、Crに比べ少量の添加でベイナイト組織が生じると共に、Mn、Crに比べ高価な元素であるため、本発明では不純物としての含有のみ許容しているので、その含有率は0.020質量%以下であることが好ましい。
上記熱間鍛造非調質鋼部品が、フェライト・パーライト以外の組織であるベイナイト組織を有している場合には、上述したように、被削性が低下するだけでなく、降伏比も低下し、強度、被削性で共に劣る結果となる。
図8に、試料E1、E8〜E10、試料C7、C8、C19〜C23について、脱炭性に影響を与えるSiの含有率と脱炭性指数との関係を示す。同図は、横軸にSi含有率(質量%)、縦軸に脱炭性指数をとった。
同図より、Si含有率0.40質量%以下で脱炭性指数0.2以下を満足でき、疲労強度の低下を抑制できることが分かる。そのため、Siの含有率の上限値を0.40質量%とした。
同図より、Sは、含有率が多くなるほど、被削性が向上することが分かる。そして、S以外の成分、Ceq、及び2Mn+5Mo+Crが上記範囲を満たす場合には、Sの含有率が0.040質量%以上であれば、第2被削性指数1以下を満足できることが分かる。これにより、Sの含有率の下限を0.040質量%とした。
図10は、試料E10、E11、E15、E16、試料C19〜C24について、S含有率と、割れ発生の有無の関係を示す図である。割れ発生のデータを収集した試料のうちPの上限が範囲外のデータを除いて記載することにより、Pの上限超えによる影響を排除した。○は割れ発生無し、×は割れ発生有りを示す。
そして、大量生産した場合に確実に割れを防止するためには、S含有率の上限を低めとするのが望ましく、Sの含有率は、0.040〜0.080質量%であることが好ましい。
図11は、試料E10、E11、E15、E16、試料C19、C27、C28について、P含有率と、割れ発生の有無の関係を示す図である。そして、図11は、割れ発生のデータを収集したデータのうち、Sの上限範囲外のデータを除いて記載することにより、Sの上限超えによる影響を排除したものである。○は割れ発生無し、×は割れ発生有りを示す。
同図より、P含有率が0.100質量%を超えると割れが発生することがわかる。このことから、P含有率は0.100質量%以下であることがが好ましい。
同図より、C+Si/5+Mn/10+10P+5Vの値が1.8未満の場合にはクラッキング性が良くないことが分かる。
Claims (3)
- 化学成分が、質量%でC:0.35〜0.55%、Si:0.15〜0.40%、Mn:0.50〜1.00%、P:0.100%以下、S:0.040〜0.100%、Cr:1.00%以下、V:0.20〜0.50%、Ca:0.0005〜0.0100%、N:0.0150%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、
2Mn+5Mo+Cr≦3.1であり、
C+Si/5+Mn/10+10P+5V≧1.8であり、
Ceq=C+Si/7+Mn/5+Cr/9+Vが0.90〜1.10であり、
硬さがHV330以上であり、
降伏比が0.73以上であり、
組織が、ベイナイトが10%以下のフェライト・パーライト組織であることを特徴とする熱間鍛造非調質鋼部品。 - 請求項1の記載において、上記熱間鍛造非調質鋼部品は、軸部の一端に設けられた大端部と該大端部から分離されるキャップ部とを一体的に備えており、熱間鍛造後に上記大端部と上記キャップ部とを破断分離させるクラッキングコンロッドであることを特徴とする熱間鍛造非調質鋼部品。
- 請求項1又は2に記載の熱間鍛造非調質鋼部品を製造するための熱間鍛造非調質鋼であって、
化学成分が、質量%でC:0.35〜0.55%、Si:0.15〜0.40%、Mn:0.50〜1.00%、P:0.100%以下、S:0.040〜0.100%、Cr:1.00%以下、V:0.20〜0.50%、Ca:0.0005〜0.0100%、N:0.0150%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、
2Mn+5Mo+Cr≦3.1であり、
C+Si/5+Mn/10+10P+5V≧1.8であり、
Ceq=C+Si/7+Mn/5+Cr/9+Vが0.90〜1.10であることを特徴とする熱間鍛造用非調質鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010061902A JP5598038B2 (ja) | 2010-03-18 | 2010-03-18 | 熱間鍛造非調質鋼部品及びこれに用いる熱間鍛造用非調質鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010061902A JP5598038B2 (ja) | 2010-03-18 | 2010-03-18 | 熱間鍛造非調質鋼部品及びこれに用いる熱間鍛造用非調質鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011195862A JP2011195862A (ja) | 2011-10-06 |
JP5598038B2 true JP5598038B2 (ja) | 2014-10-01 |
Family
ID=44874452
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010061902A Active JP5598038B2 (ja) | 2010-03-18 | 2010-03-18 | 熱間鍛造非調質鋼部品及びこれに用いる熱間鍛造用非調質鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5598038B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101691970B1 (ko) | 2013-03-20 | 2017-01-02 | 아이치 세이코우 가부시키가이샤 | 단조 부품 및 그 제조 방법과 콘 로드 |
JP6614393B2 (ja) | 2017-02-24 | 2019-12-04 | 日本製鉄株式会社 | 非調質棒鋼 |
MX2019009970A (es) | 2017-02-24 | 2019-10-14 | Nippon Steel Corp | Barra de acero para forja en caliente. |
JP7141944B2 (ja) * | 2018-02-15 | 2022-09-26 | 株式会社神戸製鋼所 | 非調質鍛造部品および非調質鍛造用鋼 |
WO2024181151A1 (ja) * | 2023-02-28 | 2024-09-06 | 株式会社神戸製鋼所 | 非調質鍛造用鋼、非調質鍛造鋼および非調質鍛造部品 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11131134A (ja) * | 1997-10-30 | 1999-05-18 | Kobe Steel Ltd | 非調質鋼製高強度成形品の製法 |
JP4086734B2 (ja) * | 2003-08-04 | 2008-05-14 | 愛知製鋼株式会社 | 破断分離が容易なコンロッド用超高温熱間鍛造非調質部品及びその製造方法 |
JP5206056B2 (ja) * | 2008-03-21 | 2013-06-12 | Jfeスチール株式会社 | 非調質鋼材の製造方法 |
-
2010
- 2010-03-18 JP JP2010061902A patent/JP5598038B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011195862A (ja) | 2011-10-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN104508166B (zh) | 耐磨钢板及其制造方法 | |
JP6210155B2 (ja) | 鉄道車両用車輪および鉄道車両用車輪の製造方法 | |
JP4775506B1 (ja) | 軸受鋼 | |
KR101671133B1 (ko) | 표면 경화강 및 침탄재 | |
KR101333307B1 (ko) | 가공성 및 담금질 후의 피로 특성이 우수한 전봉 강관 | |
JP4775505B1 (ja) | 転動疲労寿命に優れる軸受用造塊材および軸受用鋼の製造方法 | |
JP5598038B2 (ja) | 熱間鍛造非調質鋼部品及びこれに用いる熱間鍛造用非調質鋼 | |
JP5871085B2 (ja) | 冷間鍛造性および結晶粒粗大化抑制能に優れた肌焼鋼 | |
JP2011236452A (ja) | ベイナイト鋼 | |
WO2012164710A1 (ja) | 非調質コネクティングロッド用棒鋼 | |
EP3272896B1 (en) | Age-hardenable steel, and method for manufacturing components using age-hardenable steel | |
JP6620490B2 (ja) | 時効硬化性鋼 | |
JP5482003B2 (ja) | 熱間鍛造非調質鋼 | |
JP4752800B2 (ja) | 非調質鋼材 | |
JP5556191B2 (ja) | 熱間鍛造非調質鋼部品及びこれに用いる熱間鍛造用非調質鋼 | |
JP4044460B2 (ja) | 冷間成形ばね用鋼 | |
JP6455128B2 (ja) | パーライトレール及びその製造方法 | |
JP5681333B1 (ja) | 鍛造部品及びその製造方法、並びにコンロッド | |
JP5323369B2 (ja) | 被削性と結晶粒粗大化防止特性に優れた肌焼鋼 | |
JP6265048B2 (ja) | 肌焼鋼 | |
JP4665953B2 (ja) | 高靱性を有する鋼材 | |
JP2009120954A (ja) | マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法 | |
JP6620822B2 (ja) | 鋼 | |
KR101388409B1 (ko) | 비조질강 및 그 제조 방법 | |
JP2020143306A (ja) | 熱間鍛造用非調質鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20121109 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140124 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140128 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140715 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140728 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5598038 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |