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JP6571955B2 - ポリビニルアルコールフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、延伸時に延伸切れが発生しにくくて偏光フィルム等の光学フィルムを製造するための原反フィルムなどとして有用なポリビニルアルコールフィルムおよび当該ポリビニルアルコールフィルムを用いて得られる偏光フィルム等の光学フィルムに関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光の偏光状態を変化させる液晶と共に液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。多くの偏光板は、偏光フィルムの表面に三酢酸セルロース(TAC)フィルムなどの保護膜が貼り合わされた構造を有しており、偏光板を構成する偏光フィルムとしてはポリビニルアルコールフィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸して配向させた延伸フィルムにヨウ素系色素(I やI 等)や二色性有機染料といった二色性色素が吸着しているものが主流となっている。このような偏光フィルムは、二色性色素を予め含有させたPVAフィルムを一軸延伸したり、PVAフィルムの一軸延伸と同時に二色性色素を吸着させたり、PVAフィルムを一軸延伸した後に二色性色素を吸着させたりするなどして製造される。
LCDは、電卓および腕時計などの小型機器、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器などの広範囲において用いられるようになっているが、近年、特に小型のノートパソコンや携帯電話などのモバイル用途へ用いられることが多くなっており、偏光板への薄型化の要求が強くなっている。
偏光板を薄型化する手法の1つとして偏光フィルムを薄型化することが挙げられ、このためには偏光フィルムの原料となるPVAフィルムを薄型化することが考えられる。しかしながら、薄いPVAフィルムは延伸時に延伸切れが発生しやすく、偏光フィルムの生産性や収率が低下し、コスト高につながりやすい。
延伸時に延伸切れを発生させずに薄い偏光フィルムを製造する技術として、熱可塑性樹脂フィルム上にコート法によって薄いPVA層を形成し、その積層体を延伸する方法が知られている(例えば、特許文献1および2などを参照)。
特許第4804588号明細書 特許第4815544号明細書 特開2003−268128号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載されている方法では、コート作業やその後の乾燥作業が煩雑で、PVA層の不溶化処理のための熱処理を積層体の状態で行う必要があるため、使用される熱可塑性樹脂フィルムが熱処理後も延伸可能なものに限定され、コスト高になる問題がある。
本発明は、薄いPVAフィルムを用いた場合であっても延伸時に延伸切れが発生しにくく、偏光フィルム等の光学フィルムを収率良く製造することのできるPVAフィルムおよび当該PVAフィルムを用いて得られる光学フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、薄いPVAフィルムを用いて偏光フィルム等の光学フィルムを製造する場合には、延伸加工中にPVAフィルムの幅方向の両端部にカールが発生しやすく、それが原因となって延伸切れが発生しやすくなること、および、PVAフィルムの幅方向の両端部の限られた範囲の膨潤度を特定のものとすることにより、延伸加工中にPVAフィルムの幅方向の両端部のカールの発生が抑制されて、延伸切れの発生を低減できることを見出し、これらの知見に基づいて更に検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
[1]厚みが40μm以下であるPVAフィルムの幅方向の任意の1直線上において、一方の端をa1、他方の端をb1、a1からb1に向かって2mm進んだ地点をa2、b1からa1に向かって2mm進んだ地点をb2、a1からb1に向かって100mm進んだ地点をc1、および、b1からa1に向かって100mm進んだ地点をc2とした際に、c1からc2までの範囲C全体におけるポリビニルアルコールフィルムの膨潤度Cが190〜230%であり、a1からa2までの範囲A全体におけるPVAフィルムの膨潤度Aおよびb1からb2までの範囲B全体におけるPVAフィルムの膨潤度Bがいずれも145〜175%である、PVAフィルム;
[2]上記[1]のPVAフィルムを用いて得られる光学フィルム;
[3]偏光フィルムである、上記[]の光学フィルム;
に関する。
本発明によれば、薄いPVAフィルムを用いた場合であっても延伸時に延伸切れが発生しにくく、偏光フィルム等の光学フィルムを収率良く製造することのできるPVAフィルムおよび当該PVAフィルムを用いて得られる光学フィルムが提供される。
本発明における範囲A〜Cを示す概略図である。 図1の一部分の拡大図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のPVAフィルムは、図1および図2に概略図を示すように、PVAフィルムFの幅方向の任意の1直線上Lにおいて、一方の端をa1、他方の端をb1、a1からb1に向かって2mm進んだ地点をa2、b1からa1に向かって2mm進んだ地点をb2、a1からb1に向かって100mm進んだ地点をc1、および、b1からa1に向かって100mm進んだ地点をc2とした際に、c1からc2までの範囲CにおけるPVAフィルムの膨潤度Cが180〜230%の範囲内にあり、a1からa2までの範囲AにおけるPVAフィルムの膨潤度Aおよびb1からb2までの範囲BにおけるPVAフィルムの膨潤度Bがいずれも145〜175%の範囲内にある。
膨潤度Cは、180〜230%の範囲内にある必要がある。膨潤度Cが180%より低い場合には延伸加工中のフィルムにかかる張力が高くなりすぎて延伸切れが多発する。一方、膨潤度Cが230%より高い場合には延伸加工中にフィルムが溶断し延伸切れが多発する。上記のような観点から、膨潤度Cは、185%以上であることが好ましく、190%以上であることがより好ましく、また、220%以下であることが好ましく、210%以下であることがより好ましい。
また膨潤度Aおよび膨潤度Bはいずれも145〜175%の範囲内にある必要がある。膨潤度AおよびBの少なくとも一方が145%より低い場合には延伸加工中のフィルムの幅方向の端部にかかる張力が高くなりすぎて延伸切れが多発する。一方、膨潤度AおよびBの少なくとも一方が175%より高い場合には延伸加工中にフィルムの幅方向の端部がカールし、延伸切れが多発する。上記のような観点から、膨潤度AおよびBはいずれも、150%以上であることが好ましく、155%以上であることがより好ましく、また、170%以下であることが好ましく、165%以下であることがより好ましい。
ところで、得られる偏光フィルムの色斑の低減などを目的として原反として使用されるPVAフィルムの幅方向における膨潤度の分布を端部に行くに従い漸減させたPVAフィルムが知られているが(特許文献3参照)、本発明のPVAフィルムは、範囲C全体にわたりその部分におけるPVAフィルムの膨潤度Cが膨潤度AおよびBよりも高い特定数値範囲にある点で異なっており、また、特許文献3に記載されたPVAフィルムを用いた場合に比べて幅方向の均一性に優れた光学フィルムが得られやすい。
PVAフィルムの膨潤度は例えば熱処理の程度を調整することにより容易に調整することができ、所定範囲の部分における熱処理の条件を強くすることにより、通常、その部分の膨潤度を低くすることができる。
なお各範囲におけるPVAフィルムの膨潤度は、その部分から採取したPVAフィルムのサンプルを30℃の蒸留水中に15分間浸漬後、3,000rpmで5分間遠心脱水を行った際の質量を、浸漬後105℃で16時間乾燥した後の質量で除して得られる値の百分率として求めることができる。製造方法にもよるがPVAフィルムの膨潤度は、通常、長さ方向に一定であるので、各範囲におけるPVAフィルムの膨潤度は、当該範囲を含み、長さ方向に一定長さ分連続したサンプルを用いて測定することができる。また、膨潤度Cに係る要件を充足することを確認するためには、範囲Cにおける幅方向の各範囲(例えば幅方向に2mmの範囲)におけるPVAフィルムの膨潤度を全て測定し、それらの各値が膨潤度Cに係る数値範囲内であることを確かめることによって行うこともできるが、後述するように一旦幅方向に膨潤度が均一なPVAフィルムを製造した後に範囲AおよびBの部分に対して熱処理等の膨潤度を下げるための処理を施すことによって本発明のPVAフィルムを製造した場合などにおいては、範囲Cにおける幅方向の両端(c1およびc2)および幅方向中央部(c3)をそれぞれ含む幅方向の各範囲(例えば幅方向に2mmの範囲)におけるPVAフィルムの膨潤度(各1点ずつ合計3点)を測定し、当該3点の値が膨潤度Cに係る数値範囲内であることを確かめることにより、膨潤度Cに係る要件を充足することを推定することもできる。各範囲におけるPVAフィルムの膨潤度は、具体的には実施例において後述する方法により求めることができる。
本発明のPVAフィルムを構成するPVAとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステルの1種または2種以上を重合して得られるポリビニルエステルをけん化することにより得られるものを使用することができる。上記のビニルエステルの中でも、PVAの製造の容易性、入手の容易性、コスト等の点から、分子中にビニルオキシカルボニル基(HC=CH−O−CO−)を有する化合物が好ましく、酢酸ビニルがより好ましい。
上記のポリビニルエステルは、単量体として1種または2種以上のビニルエステルのみを用いて得られたものが好ましく、単量体として1種のビニルエステルのみを用いて得られたものがより好ましいが、本発明の効果を大きく損なわない範囲内であれば、1種または2種以上のビニルエステルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
上記のビニルエステルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数2〜30のα−オレフィン;(メタ)アクリル酸またはその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはその誘導体等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;イタコン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;不飽和スルホン酸またはその塩などを挙げることができる。上記のポリビニルエステルは、前記した他の単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を有することができる。
上記のポリビニルエステルに占める上記他の単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステルを構成する全構造単位のモル数に基づいて、15モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることが更に好ましい。
上記のPVAとしてはグラフト共重合がされていないものを好ましく使用することができるが、本発明の効果を大きく損なわない範囲内であれば、PVAは1種または2種以上のグラフト共重合可能な単量体によって変性されたものであってもよい。当該グラフト共重合は、ポリビニルエステルおよびそれをけん化することにより得られるPVAのうちの少なくとも一方に対して行うことができる。上記グラフト共重合可能な単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸またはその誘導体;不飽和スルホン酸またはその誘導体;炭素数2〜30のα−オレフィンなどが挙げられる。ポリビニルエステルまたはPVAにおけるグラフト共重合可能な単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステルまたはPVAを構成する全構造単位のモル数に基づいて、5モル%以下であることが好ましい。
上記のPVAはその水酸基の一部が架橋されていてもよいし、架橋されていなくてもよい。また上記のPVAはその水酸基の一部がアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド化合物などと反応してアセタール構造を形成していてもよいし、これらの化合物と反応せずアセタール構造を形成していなくてもよい。
上記のPVAの重合度は特に制限されないが、1,000以上であることが好ましい。PVAの重合度が1,000以上であることにより、得られる偏光フィルムの偏光性能をより一層向上させることができる。PVAの重合度はあまりに高すぎるとPVAの製造コストの上昇や製膜時における工程通過性の不良につながる傾向があるので、PVAの重合度は1,000〜10,000の範囲内であることがより好ましく、1,500〜8,000の範囲内であることが更に好ましく、2,000〜5,000の範囲内であることが特に好ましい。なお本明細書でいうPVAの重合度はJIS K6726−1994の記載に準じて測定した平均重合度を意味する。
PVAのけん化度は得られる偏光フィルムの耐湿熱性が良好になることから、95モル%以上であることが好ましく、98モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることが更に好ましく、99.3モル%以上であることが特に好ましい。なお本明細書におけるPVAのけん化度とはPVAが有するけん化によってビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。けん化度はJIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
PVAフィルムは上記したPVAと共に可塑剤を含んでいてもよい。PVAフィルムが可塑剤を含むことにより、PVAフィルムの取り扱い性や延伸性の向上等を図ることができる。可塑剤としては多価アルコールが好ましく用いられ、具体例としては、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、PVAフィルムはこれらの可塑剤の1種または2種以上を含むことができる。これらのうちでもPVAフィルムの延伸性がより良好になることからグリセリンが好ましい。
PVAフィルムにおける可塑剤の含有量は、PVA100質量部に対して2〜20質量部であることが好ましく、3〜17質量部であることがより好ましく、4〜14質量部であることが更に好ましい。PVAフィルムにおける可塑剤の含有量がPVA100質量部に対して2質量部以上であることによりPVAフィルムの延伸性が向上する。一方、PVAフィルムにおける可塑剤の含有量がPVA100質量部に対して20質量部以下であることにより、PVAフィルムの表面に可塑剤がブリードアウトしてPVAフィルムの取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
また、PVAフィルムを後述するPVAフィルムを製造するための製膜原液を用いて製造する場合には、製膜性が向上してフィルムの厚み斑の発生が抑制されると共に、製膜に金属ロールやベルトを使用した際、これらの金属ロールやベルトからのPVAフィルムの剥離が容易になることから、当該製膜原液中に界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤が配合された製膜原液からPVAフィルムを製造した場合には、当該PVAフィルム中には界面活性剤が含有され得る。PVAフィルムを製造するための製膜原液に配合される界面活性剤、ひいてはPVAフィルム中に含有される界面活性剤の種類は特に限定されないが、金属ロールやベルトからの剥離性の観点から、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤が好ましく、ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム等のカルボン酸型;オクチルサルフェート等の硫酸エステル型;ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型などが好適である。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル型;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル型;ポリオキシエチレンラウレート等のアルキルエステル型;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等のアルキルアミン型;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド等のアルキルアミド型;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のポリプロピレングリコールエーテル型;ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型;ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等のアリルフェニルエーテル型などが好適である。
これらの界面活性剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
PVAフィルムを製造するための製膜原液中に界面活性剤を配合する場合、製膜原液中における界面活性剤の含有量、ひいてはPVAフィルム中における界面活性剤の含有量は製膜原液またはPVAフィルムに含まれるPVA100質量部に対して0.01〜0.5質量部の範囲内であることが好ましく、0.02〜0.3質量部の範囲内であることがより好ましい。界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.01質量部以上であることにより製膜性および剥離性を向上させることができる。一方、界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.5質量部以下であることにより、PVAフィルムの表面に界面活性剤がブリードアウトしてブロッキングが生じて取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
PVAフィルムはPVAのみからなっていても、あるいはPVAと上記した可塑剤および/または界面活性剤のみからなっていてもよいが、必要に応じて、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色防止剤、油剤など、上記したPVA、可塑剤および界面活性剤以外の他の成分を含有していてもよい。
PVAフィルムにおける、PVAの含有率は、50〜100質量%の範囲内であることが好ましく、80〜100質量%の範囲内であることがより好ましく、85〜100質量%の範囲内であることが更に好ましい。
PVAフィルムの厚みに特に制限はないが、薄いPVAフィルムで上記のカールが発生しやすく、薄いPVAフィルムにおいて本発明の効果がより顕著に奏されることから、当該厚みは40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましく、15μm以下、さらには10μm以下であってもよい。PVAフィルムの厚みの下限に特に制限はないが、偏光フィルムをより円滑に製造することができることから、当該厚みは1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
PVAフィルムの形状に特に制限はないが、偏光フィルムを生産性良く連続的に製造することができることから、長尺のフィルムであることが好ましい。当該長尺のフィルムの長さは特に制限されず、製造される偏光フィルムの用途などに応じて適宜設定することができ、例えば、5〜20,000mの範囲内にすることができる。当該長尺のフィルムの幅に特に制限はなく、例えば50cm以上とすることができるが、近年幅広の偏光フィルムが求められていることから1m以上であることが好ましく、2m以上であることがより好ましく、4m以上であることが更に好ましい。当該長尺のフィルムの幅の上限に特に制限はないが、当該幅があまりに広すぎると、実用化されている装置で偏光フィルムを製造する場合に、均一に延伸することが困難になる傾向があることから、PVAフィルムの幅は7m以下であることが好ましい。
PVAフィルムの形状に特に制限はなく、単層の形態であっても、あるいは、例えば熱可塑性樹脂フィルム上にコート法などによって形成されたPVAフィルムのように積層体の形態であっても、どちらでもよいが、本発明の効果がより一層顕著に奏される点、積層(コート等)作業の煩雑さ・熱可塑性樹脂フィルムのコストなどの観点から単層の形態が好ましい。
PVAフィルムの製造方法は特に限定されず、製膜後のフィルムの厚みおよび幅がより均一になる製造方法を好ましく採用することができ、例えば、PVAフィルムを構成する上記したPVA、ならびに必要に応じて更に可塑剤、界面活性剤および他の成分のうちの1種または2種以上が液体媒体中に溶解した製膜原液や、PVA、ならびに必要に応じて更に可塑剤、界面活性剤、他の成分および液体媒体のうちの1種または2種以上を含み、PVAが溶融している製膜原液を用いて製造することができる。当該製膜原液が可塑剤、界面活性剤および他の成分のうちの少なくとも1種を含有する場合には、それらの成分が均一に混合されていることが好ましい。
製膜原液の調製に使用される上記液体媒体としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。そのうちでも、環境に与える負荷が小さいことや回収性の点から水が好ましい。
製膜原液の揮発分率(製膜時に揮発や蒸発によって除去される液体媒体などの揮発性成分の製膜原液中における含有割合)は製膜方法、製膜条件等によっても異なるが、50〜95質量%の範囲内であることが好ましく、55〜90質量%の範囲内であることがより好ましく、60〜85質量%の範囲内であることが更に好ましい。製膜原液の揮発分率が50質量%以上であることにより、製膜原液の粘度が高くなり過ぎず、製膜原液調製時の濾過や脱泡が円滑に行われ、異物や欠点の少ないPVAフィルムの製造が容易になる。一方、製膜原液の揮発分率が95質量%以下であることにより、製膜原液の濃度が低くなり過ぎず、工業的なPVAフィルムの製造が容易になる。
上記した製膜原液を用いてPVAフィルムを製膜する際の製膜方法としては、例えば、キャスト製膜法、押出製膜法、湿式製膜法、ゲル製膜法などが挙げられ、キャスト製膜法、押出製膜法が好ましい。これらの製膜方法は1種のみを採用しても2種以上を組み合わせて採用してもよい。これらの製膜方法の中でも押出製膜法が、厚みおよび幅が均一で物性の良好なPVAフィルムが得られることからより好ましい。PVAフィルムには必要に応じて乾燥や熱処理を行うことができる。
上記のようにして製膜された幅方向に膨潤度が均一なPVAフィルムについて、その範囲AおよびBの部分に更に膨潤度を下げるための処理を施すことにより、本発明のPVAフィルムを容易に製造することができる。
膨潤度を下げるための処理の方法に特に制限はないが、熱処理を施す方法が簡易で効率よく本発明のPVAフィルムを製造することができることから好ましい。範囲AおよびBの部分に熱処理を施すための具体的な方法としては、例えば、PVAフィルムの範囲AおよびBの部分のみを加熱ロールと接触させる方法;範囲AおよびBの部分のみに熱風を直接当てる方法;PVAフィルムを巻き取ったフィルムロールの両端面のみを直接加熱板と接触させる方法;などが挙げられ、範囲AおよびBの部分のみを加熱ロールと接触させる方法、および、範囲AおよびBの部分のみに熱風を直接当てる方法が好ましい。
熱処理温度に特に制限はなく、各範囲におけるPVAフィルムの膨潤度に応じて適宜調整すればよい。熱処理温度としては、あまりに高いとPVAフィルムの変色や劣化がみられることから、210℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、190℃以下であることが更に好ましい。
熱処理時間に特に制限はなく、各範囲におけるPVAフィルムの膨潤度に応じて適宜調整すればよいが、本発明のPVAフィルムを効率よく製造する観点から、1〜60秒の範囲内であることが好ましく、2〜40秒の範囲内であることがより好ましく、3〜30秒の範囲内であることが更に好ましい。
本発明のPVAフィルムの用途に特に制限はなく、例えば、薬剤包装用フィルム、液圧転写用ベースフィルム、刺しゅう用基材フィルム、人工大理石成形用離型フィルム、種子包装用フィルム、汚物収容袋用フィルムなどの各種水溶性フィルムの用途に用いることができるが、本発明のPVAフィルムは、延伸時に延伸切れが発生しにくく安定して高倍率まで延伸することができることから、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムを製造するための原反フィルムとして用いることが好ましく、高い偏光性能を有する偏光フィルムを容易に製造することができることから、特に偏光フィルムを製造するための原反フィルムとして用いることが好ましい。
本発明のPVAフィルムを原反フィルムとして用いて偏光フィルムを製造する際の方法は特に制限されず、従来から採用されているいずれの方法を採用してもよく、例えば、本発明のPVAフィルムに対して、膨潤処理、染色処理、一軸延伸、および必要に応じてさらに、架橋処理、固定処理、乾燥処理、熱処理などを施すことにより偏光フィルムを製造することができる。この場合、膨潤処理、染色処理、一軸延伸、固定処理などの各処理の順序は特に制限されず、1つまたは2つ以上の処理を同時に行うこともできる。また、各処理の1つまたは2つ以上を2回またはそれ以上行うこともできる。
膨潤処理は、PVAフィルムを水中に浸漬することにより行うことができる。水中に浸漬する際の水の温度としては、20〜40℃の範囲内であることが好ましく、22〜38℃の範囲内であることがより好ましく、25〜35℃の範囲内であることが更に好ましい。また、水中に浸漬する時間としては、例えば、0.1〜5分間の範囲内であることが好ましく、0.5〜3分間の範囲内であることがより好ましい。なお、水中に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
染色処理は、ヨウ素系色素を用いて行うのがよく、染色の時期としては、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延伸後のいずれの段階であってもよい。染色はPVAフィルムを染色浴としてヨウ素−ヨウ化カリウムを含有する溶液(特に水溶液)中に浸漬させることにより行うのが一般的であり、本発明においてもこのような染色方法が好適に採用される。染色浴におけるヨウ素の濃度は0.01〜0.5質量%の範囲内であることが好ましく、ヨウ化カリウムの濃度は0.01〜10質量%の範囲内であることが好ましい。また、染色浴の温度は20〜50℃、特に25〜40℃とすることが好ましい。
架橋処理は、PVAフィルムを架橋剤を含む水溶液中に浸漬することにより行うことができる。架橋工程を行うと、PVAフィルムに架橋が導入され、比較的高い温度かつ湿式で一軸延伸を行う際にPVAが水へ溶出するのを効果的に防止することができる。このような観点などから、架橋処理は染色処理の後に行うのが好ましい。使用される架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を使用することができる。架橋剤を含む水溶液における架橋剤の濃度は1〜15質量%の範囲内であることが好ましく、2〜7質量%の範囲内であることがより好ましい。架橋剤を含む水溶液はヨウ化カリウム等の助剤を含有してもよい。架橋剤を含む水溶液の温度は、20〜50℃の範囲内であることが好ましく、25〜40℃の範囲内であることがより好ましい。
一軸延伸は、湿式延伸法または乾式延伸法のいずれで行ってもよい。湿式延伸法の場合は、ホウ酸を含む水溶液中で行うこともできるし、上記した染色浴中や後述する固定処理浴中で行うこともできる。また乾式延伸法の場合は、吸水後のPVAフィルムを用いて空気中で行うことができる。これらの中でも、湿式延伸法が好ましく、ホウ酸を含む水溶液中で一軸延伸するのがより好ましい。ホウ酸水溶液中におけるホウ酸の濃度は0.5〜6.0質量%の範囲内であることが好ましく、1.0〜5.0質量%の範囲内であることがより好ましく、1.5〜4.0質量%の範囲内であることが特に好ましい。また、ホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよく、その濃度は0.01〜10質量%の範囲内にすることが好ましい。
一軸延伸における延伸温度は、30〜90℃の範囲内であることが好ましく、40〜80℃の範囲内であることがより好ましく、50〜70℃の範囲内であることが特に好ましい。
また、一軸延伸における延伸倍率は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から5倍以上であることが好ましく、5.5倍以上であることがより好ましく、6倍以上であることが特に好ましい。延伸倍率の上限は特に制限されないが、延伸倍率は8倍以下であることが好ましい。
偏光フィルムの製造に当たっては、PVAフィルムへの染料(ヨウ素等)の吸着を強固にするために固定処理を行うことが好ましい。固定処理に使用する固定処理浴としては、ホウ酸、硼砂等のホウ素化合物の1種または2種以上を含む水溶液を使用することができる。また、必要に応じて、固定処理浴中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。固定処理浴におけるホウ素化合物の濃度は、一般に2〜15質量%、特に3〜10質量%程度であることが好ましい。固定処理浴の温度は、15〜60℃、特に25〜40℃であることが好ましい。
乾燥処理は、30〜150℃で行うことが好ましく、特に50〜130℃で行うことがより好ましい。上記範囲内の温度で乾燥することで寸法安定性に優れる偏光フィルムが得られやすい。
以上のようにして得られた偏光フィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明で且つ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板にして使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、貼り合わせのための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などを挙げることができるが、中でもPVA系接着剤が好適である。
上記のようにして得られた偏光板は、アクリル系等の粘着剤をコートした後、ガラス基板に貼り合わせてLCDの部品として使用することができる。同時に位相差フィルムや視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等と貼り合わせてもよい。
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において採用された各評価方法を以下に示す。
測定対象となる範囲の部分から、幅方向に2mmで長さ方向に連続したテープ状のPVAフィルムのサンプル(約0.5g)を採取した。これを約2mm角に裁断した後、メッシュに包み、30℃の蒸留水中に15分間浸漬後、3,000rpmで5分間遠心脱水を行い、質量(W1)を求めた。続いて、その裁断されたPVAフィルムを105℃の乾燥機で16時間乾燥した後、質量(W2)を求めた。そして、下記式によりその範囲におけるPVAフィルムの膨潤度を算出した。
膨潤度(%) = (W1)/(W2)×100
[実施例1]
(1)PVAフィルムの製造
厚みが30μmで幅が1mの長尺のPVAフィルム(PVAとグリセリンと界面活性剤を含み、グリセリンの含有量がPVA100質量部に対して12質量部で、界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.03質量部であるPVAフィルム。PVAは酢酸ビニルの単独重合体のけん化物であり、PVAの重合度は2,400で、PVAのけん化度は99.9モル%。PVAフィルムの全体の膨潤度は200%。)をそのフィルムロールから連続的に巻き出しながら、両端部よりそれぞれ幅2mmの範囲に135℃の熱風を5秒間当てて熱処理を施した。熱処理されたPVAフィルムは、ロール状に巻き取った。
上記のようにして熱処理されたPVAフィルムについて、その範囲A、範囲Bおよび範囲Cにおける膨潤度を上記した方法により求めた。なお、膨潤度Cについては、c1よりc2に向かって幅方向に2mmまでの範囲におけるPVAフィルムの膨潤度C1、c2よりc1に向かって幅方向に2mmまでの範囲におけるPVAフィルムの膨潤度C2および幅方向中央部(c3)を中心とする幅方向に2mmの範囲におけるPVAフィルムの膨潤度C3を測定した。これらの結果を表1に示した。
(2)偏光フィルムの製造
(1)で熱処理されたPVAフィルムに対して、膨潤処理、染色処理、架橋処理、一軸延伸、固定処理、乾燥処理を施して偏光フィルムを連続的に製造した。なお、膨潤処理として、(1)で熱処理されたPVAフィルムを蒸留水(温度:30℃)中に1分間浸漬し、その間に延伸倍率2倍で延伸した。また染色処理として、ヨウ素系色素を含有する水溶液(使用されるヨウ素の濃度:0.05質量%、使用されるヨウ化カリウムの濃度:1.2質量%、温度:30℃)中に2分間浸漬し、その間に延伸倍率1.2倍で延伸した。更に架橋処理として、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.6質量%、温度:30℃)中に2分間浸漬し、その間に延伸倍率1.1倍で延伸した。続いて、一軸延伸として、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.8質量%、ヨウ化カリウム濃度:5質量%、温度:57℃)中で延伸倍率2.4倍に延伸した(水接触工程での前延伸の延伸倍率をも含めた全延伸倍率は6.3倍)。更に固定処理として、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:1.5%、ヨウ化カリウム濃度:5%、温度:22℃)中に10秒間浸漬した。最後に乾燥処理として、延伸されたPVAフィルムを60℃で1分間乾燥して偏光フィルムを得た。
上記の偏光フィルムの製造において、PVAフィルムの幅方向の両端部にカールの発生はみられず、8時間連続で偏光フィルムを製造した際の延伸切れ回数は0回であった。以上の結果を表1にまとめた。
[実施例2]
実施例1の(1)において、厚みが20μmで全体の膨潤度が195%のPVAフィルムを用い、両端部よりそれぞれ幅2mmの範囲に190℃の熱風を5秒間当てて熱処理を施したこと以外は実施例1の(1)と同様にして、熱処理されたPVAフィルム(ロール状)を得た。
上記のようにして熱処理されたPVAフィルムについて、実施例1の(2)と同様にしてその範囲A、範囲Bおよび範囲Cにおける膨潤度を求めた。これらの結果を表1に示した。また、当該熱処理されたPVAフィルムを用いて、実施例1の(2)と同様にして偏光フィルムを連続的に製造した。当該偏光フィルムの製造において、PVAフィルムの幅方向の両端部にカールの発生はみられず、8時間連続で偏光フィルムを製造した際の延伸切れ回数は0回であった。以上の結果を表1にまとめた。
[比較例1]
実施例2の(1)において、両端部よりそれぞれ幅2mmの範囲への熱処理を施さなかったこと以外は実施例2の(1)と同様にして、PVAフィルム(ロール状)を得た。
当該PVAフィルムについて、実施例1の(2)と同様にしてその範囲A、範囲Bおよび範囲Cにおける膨潤度を求めた。これらの結果を表1に示した。また、当該PVAフィルムを用いて、実施例1の(2)と同様にして偏光フィルムを連続的に製造した。当該偏光フィルムの製造において、PVAフィルムの幅方向の両端部にカールの発生がみられ、8時間連続で偏光フィルムを製造した際の延伸切れ回数は12回であった。以上の結果を表1にまとめた。
[比較例2]
実施例2の(1)において、両端部よりそれぞれ幅2mmの範囲に135℃の熱風を5秒間当てて熱処理を施したこと以外は実施例2の(1)と同様にして、熱処理されたPVAフィルム(ロール状)を得た。
上記のようにして熱処理されたPVAフィルムについて、実施例1の(2)と同様にしてその範囲A、範囲Bおよび範囲Cにおける膨潤度を求めた。これらの結果を表1に示した。また、当該熱処理されたPVAフィルムを用いて、実施例1の(2)と同様にして偏光フィルムを連続的に製造した。当該偏光フィルムの製造において、PVAフィルムの幅方向の両端部にカールの発生がみられ、8時間連続で偏光フィルムを製造した際の延伸切れ回数は10回であった。以上の結果を表1にまとめた。
[比較例3]
実施例2の(1)において、両端部よりそれぞれ幅2mmの範囲に210℃の熱風を5秒間当てて熱処理を施したこと以外は実施例2の(1)と同様にして、熱処理されたPVAフィルム(ロール状)を得た。
上記のようにして熱処理されたPVAフィルムについて、実施例1の(2)と同様にしてその範囲A、範囲Bおよび範囲Cにおける膨潤度を求めた。これらの結果を表1に示した。また、当該熱処理されたPVAフィルムを用いて、実施例1の(2)と同様にして偏光フィルムを連続的に製造した。当該偏光フィルムの製造において、PVAフィルムの幅方向の両端部にカールの発生はみられなかったが、膨潤度AおよびBが低すぎたためか8時間連続で偏光フィルムを製造した際の延伸切れ回数は8回であった。以上の結果を表1にまとめた。
[比較例4]
実施例2の(1)において、全体の膨潤度が250%のPVAフィルムを用いたこと以外は実施例2の(1)と同様にして、熱処理されたPVAフィルム(ロール状)を得た。
上記のようにして熱処理されたPVAフィルムについて、実施例1の(2)と同様にしてその範囲A、範囲Bおよび範囲Cにおける膨潤度を求めた。これらの結果を表1に示した。また、当該熱処理されたPVAフィルムを用いて、実施例1の(2)と同様にして偏光フィルムを連続的に製造した。当該偏光フィルムの製造において、PVAフィルムの幅方向の両端部にカールの発生はみられなかったが、膨潤度Cが高すぎたためか8時間連続で偏光フィルムを製造した際の延伸切れ回数は5回であった。以上の結果を表1にまとめた。
[比較例5]
実施例2の(1)において、全体の膨潤度が170%のPVAフィルムを用いたこと以外は実施例2の(1)と同様にして、熱処理されたPVAフィルム(ロール状)を得た。
上記のようにして熱処理されたPVAフィルムについて、実施例1の(2)と同様にしてその範囲A、範囲Bおよび範囲Cにおける膨潤度を求めた。これらの結果を表1に示した。また、当該熱処理されたPVAフィルムを用いて、実施例1の(2)と同様にして偏光フィルムを連続的に製造した。当該偏光フィルムの製造において、PVAフィルムの幅方向の両端部にカールの発生はみられなかったが、膨潤度Cが低すぎて延伸張力が高くなったためか8時間連続で偏光フィルムを製造した際の延伸切れ回数は7回であった。以上の結果を表1にまとめた。

Claims (3)

  1. 厚みが40μm以下であるポリビニルアルコールフィルムの幅方向の任意の1直線上において、一方の端をa1、他方の端をb1、a1からb1に向かって2mm進んだ地点をa2、b1からa1に向かって2mm進んだ地点をb2、a1からb1に向かって100mm進んだ地点をc1、および、b1からa1に向かって100mm進んだ地点をc2とした際に、c1からc2までの範囲C全体におけるポリビニルアルコールフィルムの膨潤度Cが190〜230%であり、a1からa2までの範囲A全体におけるポリビニルアルコールフィルムの膨潤度Aおよびb1からb2までの範囲B全体におけるポリビニルアルコールフィルムの膨潤度Bがいずれも145〜175%である、ポリビニルアルコールフィルム。
  2. 請求項1に記載のポリビニルアルコールフィルムを用いて得られる光学フィルム。
  3. 偏光フィルムである、請求項に記載の光学フィルム。
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