センサ1は、測定容器2を備えている。測定容器2は、隔壁3により上下に区画され、隔壁3の上部側の測定容器2内には第1のチャンバ4が,隔壁3の下部側の測定容器2内には第2のチャンバ5が、それぞれ形成されている。中央に貫通した円錐台形状の穴6が開口された支持板7は、隔壁3の下面に設けられ、当該隔壁3を支持している。隔壁3の、支持板7の穴6に重なる部分には、第1、第2のチャンバ4,5を連通する、当該穴6に比べて十分に小さい微細な貫通孔8が開口されている。第1のチャンバ4内には、第1の電解質溶液10が充填されている。第2のチャンバ5内には、測定対象粒子が存在しない第2の電解質溶液11が充填される。例えば四角柱状の第1の電極12は、第1のチャンバ4側の測定容器2の上壁部に一部、もしくは全部が第1の電解質溶液10に浸漬するように設けられている。例えば四角柱状の第2の電極13は、第2のチャンバ5側の測定容器2の下壁部に一部が第2の電解質溶液11に浸漬するように設けられている。第1、第2の電極12,13は、例えば隔壁3の貫通孔8の直上、直下の測定容器2の壁部にそれぞれ配置されている。
前記構成のセンサ1において、第1、第2の電極12,13は少なくとも表面層が互いに異なる金属もしくは合金を含んでいる。第1のチャンバ4内の第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9を分散したとき、第1の電極12に含まれる金属もしくは合金のイオン化傾向をIa、第2の電極13に含まれる金属もしくは合金のイオン化傾向をIbとすると、Ia<Ibの関係に満たす。
前記Ia<Ibの関係は、測定対象粒子を一方のチャンバから他方のチャンバに貫通孔を通過して移動させるために測定対象粒子が分散された電解質溶液を基準にして決定され、小さいイオン化傾向Iaを持つ電極を当該電解質溶液に浸漬し、大きいイオン化傾向Ibを持つ電極を測定対象粒子が存在しない電解質溶液に浸漬する。すなわち、第1、第2の電極12,13の金属もしくは合金のイオン化傾向を前記Ia<Ibの関係に満たすことによって、後述する電池反応が生じ、電流は大きいイオン化傾向Ibを持つ第2の電極13から第2の電解質溶液11−貫通孔8−第1の電解質溶液10を経由して小さいイオン化傾向Iaを持つ第1の電極12に流すことができ、同時に前記イオン化傾向の大小関係により、第1の電極12が浸漬された第1の電解質溶液10中の測定対象粒子9は貫通孔8を通過して第2の電極13が浸漬された第2の電解質溶液11に移動させることができる。このような測定対象粒子の移動において、図1に示すように測定対象粒子9を分散した第1の電解質溶液10が充填される第1のチャンバ4を測定容器2の上部側に配置することによって、測定対象粒子9にその移動を助長する重力を加えることが可能になる。
前記電流電圧変換回路21は、第1、第2の電極12,13が接続された入力端子を有する電流電圧変換アンプ22と、この電流電圧変換アンプ22の出力端子24と一方の入力端子との間に接続された電流電圧変換抵抗23で構成されている。この電流電圧変換回路21では、第1、第2の電極12,13間に流れる微小電流を電流電圧変換アンプ22で増幅し、電圧信号に変換し、電流電圧変換アンプ22の出力端子24から電圧信号として出力される。この電圧信号は、図示しない電圧記録装置に出力され、時間−電流変化として記録する。
前述した実施形態に係る粒子測定装置によれば、第1の電極12の少なくとも一部を第1のチャンバ4内に充填される第1の電解質溶液10に浸漬し、第2の電極13を第2のチャンバ5内に充填される第2の電解質溶液11に浸漬し、かつ第1,第2の電解質溶液10,11は隔壁3の貫通孔8で相互に連通する。このようなセンサ1において、第1、第2の電極12,13は少なくとも表面層が互いに異なる金属もしくは合金を含み、かつ第1のチャンバ4内の第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9を分散したとき、第1の電極12に含まれる金属もしくは合金のイオン化傾向をIa、第2の電極13に含まれる金属もしくは合金のイオン化傾向をIbとすると、Ia<Ibの関係を満たすことによって、電池反応が生じる。この電池反応において、電流はイオン化傾向の大きい第2の電極13からイオン化傾向の小さい第1の電極12に向け、第2のチャンバ5内の第2の電解質溶液11、隔壁3の貫通孔8および第1のチャンバ4内の測定対象粒子9を分散した第1の電解質溶液10を経由して流れる。従って、実施形態に係る粒子測定装置はセンサ1自体が電源装置を兼ねる。
一方、第1のチャンバ4内の第1の電解質溶液10に分散され、通常、マイナス(負)の電荷を持つ測定対象粒子9は、イオン化傾向の小さい第1の電極12が浸漬された第1のチャンバ4内の第1の電解質溶液10からイオン化傾向の大きい第2の電極13が浸漬された第2のチャンバ5内の第2の電解質溶液11に向け、隔壁3の貫通孔8を通過して移動する。すなわち、電流は第2のチャンバ5側から第1のチャンバ4側に流れ、測定対象粒子9はこれとは逆の第1のチャンバ4側から第2のチャンバ5側に移動する。
このような電流の流れおよび測定対象粒子9の移動において、測定対象粒子9が隔壁3の貫通孔8を通過する過程で貫通孔8内に存在すると、当該粒子9は第2の電極13から隔壁3の貫通孔8を通して第1の電極12に流れる電流に対して抵抗として働く。このような測定対象粒子9が隔壁3の貫通孔8を通過する前後において、電流電圧変換回路21の電流電圧変換アンプ22で第1、第2の電極12,13間に流れる微小電流を増幅し、電圧信号に変換して出力端子24から電圧信号として図示しない電圧記録装置に出力し、時間応答−電流変化として記録する。記録された時間応答−電流変化において、測定対象粒子9が隔壁3の貫通孔8を通過する時点で、電流(イオン電流)が定常時のベース電流から急激に低下し、測定対象粒子9が貫通孔8を通過した後に元のベース電流に戻る。測定対象粒子9が隔壁3の貫通孔8を通過するときの抵抗は、当該粒子9の大きさに比例する。従って、記録された時間応答−電流変化におけるベース電流からの低下度合によって、測定対象粒子9のサイズ(粒径)を測定することができる。
前記測定容器2は、全体または第1のチャンバ4内部、第2のチャンバ5内部、第1の電極12との接触部分、第2の電極13との接触部分が電気的および化学的に不活性なそれ自身公知の何れかの材質により構成されればよい。例えば、ガラス、シリカ、アルミナ、窒化珪素のような絶縁性セラミック;ポリエチレン、ポリプロピレンのような汎用プラスチック、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレートのようなエンジニアリング・プラスチックプラスチック;またはエラストマーなどのゴムから測定容器を作ることができる。
貫通孔8の径および隔壁の厚さの関係は、測定対象粒子の測定において十分に考慮すべきである。貫通孔の形状は、貫通孔内部に2個以上の測定対象粒子が同時に存在すると測定誤差になる。このような事象が生じないように貫通孔の厚さ(つまり隔壁の厚さ)はできる限り薄くすることが求められる。すなわち、測定対象粒子の大きさを分析する際の分解能を確保するには、貫通孔の厚さは最低限でも測定対象粒子と同程度かそれ以下の厚さにすることが望まれる。その他、貫通孔の径は測定対象粒子による閉塞を防止するために、当該粒子の径より大きくすることが求められる。貫通孔8の径は、例えば測定対象粒子が花粉の場合、最小で100μm、測定対象粒子が細菌の場合、最小で10μm、測定対象粒子がウイルスの場合、最小で800nmにすることが好ましい。
例えば、測定対象粒子としてウイルスを想定すると、ウイルスの大きさは概ね50nmから100nm程度であるため、貫通孔の厚さは50nm以上100nm以下にすることが望ましく、サイズ分析精度の向上にはさらに薄くして測定分解能の向上を図ることが望ましい。後述するように測定対象粒子が貫通孔を通過した際の電流値の時間応答も正確に測定することが求められる。電流値の時間応答は、測定対象粒子の形状を正確に知るためには前記貫通孔の厚さを考慮すると、100KHz〜500KHz程度の応答速度で電流値の測定が望ましい。
このように、貫通孔8の厚さに相当する隔壁3の厚さを数十から数百nmオーダと極薄にすることが望まれていることから、図1に示すように支持板7を隔壁3の測定対象粒子の移動方向の下流側に設けて極薄の隔壁3を支持することが好ましい。支持板7は、例えばシリコンから作ることができる。
なお、隔壁により区画される測定容器の第1、第2のチャンバは、図1に示すように上下に配置する場合に限らず、例えば隔壁により測定容器を左右に区画して水平方向に隣接するように第1、第2のチャンバを形成してもよい。このような形態において、測定対象粒子に対する重力作用の影響は測定容器の左側のチャンバに測定対象粒子を位置させても、右側のチャンバに測定対象粒子を位置させても、変わらないため、測定対象粒子が分散される電解質溶液を充填する第1のチャンバは測定容器の左側に配置しても、右側に配置してもよい。
第1、第2のチャンバに充填される電解質溶液は、例えば塩化カリウム、塩化ナトリウムを含有する溶液、または酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス/エチレンジアミン四酢酸(EDTA)溶液のようなトリスを含む緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等を用いることができる。
第1のチャンバ4に充填される電解質溶液10に分散される測定対象粒子9は、例えば花粉、細菌、ウイルス、タンパク質、またはDNA等を挙げることができる。測定対象粒子は、例えば1μm以下の径を適用する。
花粉は球状粒子であり、その粒径は約50μm〜約100μmである。花粉の例は、例えば、ヒノキ花粉(粒径約30μm〜約45μm)、スギ花粉(粒径約30μm〜約40μm)、マツ花粉(粒径約45μm〜約55μm)を含む。
細菌の例は、例えば、炭疽菌、ペスト菌およびボツリヌス菌などを含む。炭疽菌は、約1.0μm〜約1.2μmの短径を有し、約5.0μm〜約2.0μmの粒子径を有する。ペスト菌は、約0.5μm〜約0.8μmの短径を有し、約1.5μm〜2.0μmの粒子径を有する。ボツリヌス菌は、約0.5μm〜約2.0μmの短径を有し、約2.0〜約10μmの粒子径を有する。
ウイルスの例は、例えば、天然痘ウイルス、鳥インフルエンザウイルス、SARSウイルス、口蹄疫ウイルスおよびエボラウイルスなどを含む。天然痘ウイルスは約200nmの粒子径を有する。鳥インフルエンザウイルスは約80nm〜約130nmの粒子径を有する。SARSウイルスは約60nm〜約220nmの粒子径を有する。口蹄疫ウイルスは約21〜約25nmの粒子径を有する。エボラウイルスは約80nm〜約800nmの粒子径を有する紐状のウイルスである。
第1、第2の電極12,13は、四角柱状の他に、円柱状、四角柱状以外の多角柱状、または針状の形状にしてもよい。第1、第2の電極12,13の位置は、測定対象粒子を分散した第1の電解質溶液が充填される第1のチャンバ4の測定容器2の壁部、第2の電解質溶液が充填される第2のチャンバ5の測定容器2の壁部であれば、いかなる箇所でもよい。
第1、第2の電極12,13は、前述したように少なくとも表面層が互いに異なる金属もしくは合金を含んでいる。第1の電極12に含まれる金属もしくは合金のイオン化傾向をIa、第2の電極13に含まれる金属もしくは合金のイオン化傾向をIbとすると、Ia<Ibの関係に満たす。このような関係を満たすことによって、前述したように電池反応が生じる。この電池反応での起電力の電流は、200nA以下にすることが好ましい。電池反応で発生する電圧に例えばバイアス電圧を加えることによって、電流を200nA以下に制御することができる。200nAを超える電流を隔壁3の貫通孔8を通して流すと、貫通孔8近傍の隔壁3が電気分解して測定誤差の原因になる虞がある。
代表的な金属材料におけるイオン化傾向の大小関係の序列は、Mg>Be>Al>Ti>Zr>Mn>Ta>Zn>Cr>Fe>Cd>Co>Ni>Sn>Pb>Cu>Ag>Pd>Pt>Au、になる。
第1の電極に用いられる合金(例えば2種の金属からなる合金)は、イオン化傾向の序列が小さい方の金属が合金に対して50重量%以上であればよく、電極の耐久性の点からは80重量%以上、より望ましくは90重量%以上とすることが好ましい。
第2の電極に用いられる合金(例えば2種の金属からなる合金)は、イオン化傾向の序列が大きい方の金属が合金に対して50重量%以上であればよく、電極の耐久性の点からは80重量%以上、より望ましくは90重量%とすることが好ましい。
前記Ia<Ibの関係に満たす第1、第2の電極の金属もしくは合金の組合せにおいて、第1、第2の電極間の電位差が約0.05V以上の起電力を生じるように金属もしくは合金を組み合せることが好ましい。
特に、前記Ia<Ibの関係に満たす第1、第2の電極の金属もしくは合金の組合せにおいて、第1、第2の電極間の電位差が約0.05V以上の起電力を生じ、かつV−I特性の良好な直線性(リニアリティー)を得る観点から、第1、第2の電極は次のような組合せが好ましい。(1)第1の電極:Al、第2の電極:Ag/AgCl(AgClはAg表面に皮膜として形成される)、(2)第1の電極:Au、第2の電極:Al、(3)第1の電極:Pt、第2の電極:Al、(4)第1の電極:Cu、第2の電極:Al、(5)第1の電極:Ti、第2の電極:Al、(6)第1の電極:Au、第2の電極:Cu、(7)第1の電極:Pt、第2の電極:Cu、(8)第1の電極:Ag、第2の電極:Cu、(9)第1の電極:Au、第2の電極:Ni、(10)第1の電極:Pt、第2の電極:Ni、(11)第1の電極:Ag、第2の電極:Ni、(12)第1の電極:Au、第2の電極:Co,(13)第1の電極:Au、第2の電極:W、(14)第1の電極:P、第2の電極:W、(15)第1の電極:Cu、第2の電極:W、(16)第1の電極:Au,第2の電極:Ti、(17)第1の電極:Pt、第2の電極:Ti、(18)第1の電極:Cu、第2の電極:Ti。
電極本体の表面に被膜を形成した電極において、イオン化傾向は被膜を構成する金属もしくは合金に依存するため、電極本体は被膜と異なる金属もしくは合金とすることができる。特に、前述したイオン化傾向の大小関係の序列から、第1の電極をイオン化傾向の小さい、例えばAu,Pt、Pdとし、一方、第1、第2の電極を比較的イオン化傾向の大きい、例えばCo,Niとすることができる。前者の金属は、高価格であり、後者の金属は希少金属である。このような金属を用いて第1の電極、または第2の電極とする場合において、電極を電極本体と被膜とから構成することによって、電極本体を例えば鉄、鉄合金のような安価な金属で作ることができるため、前記Auのような金属そのもので作られる電極に比べて低価格化を実現できる。
被膜の形成は、例えばめっき法、真空蒸着法、化学気相蒸着法、スパッタ蒸着法を採用することができる。被膜の厚さは、例えば0.1〜10μm程度にすることが好ましい。特に、イオン化傾向の大きい第2の電極は、前述した電池反応時に表面が電解質溶液に徐々に溶解するため、第2の電極の被膜は例えば1〜100μmと、厚くすることが好ましい。
以上説明した実施形態に係る粒子測定装置は、隔壁の貫通孔で相互に連通し、測定対象粒子が分散される、第1の電解質溶液が充填される第1のチャンバおよび第2の電解質溶液が充填される第2のチャンバと、第1、第2のチャンバが位置する測定容器の壁部に第1の電解質溶液および第2の電解質溶液に浸漬するようにそれぞれ設けられる第1、第2の電極とを備え、第1、第2の電極に含まれる金属もしくは合金のイオン化傾向が互いに所定の大小関係を有する、センサ自体が電池反応を生じて電源装置を兼ねる構造になっている。その結果、センサと電流測定装置とを最短距離で接続することが可能になるため、配線の冗長化による浮遊容量を減少できる。また、従来のように電源装置を別途設けることに伴う当該電源装置による浮遊容量も削減できる。従って、測定対象粒子がセンサの貫通孔を通過する際のマイクロアンペアまたはナノアンペアオーダの電流時間変化を電源装置が組込まれた従来の粒子測定装置に比べて速い応答速度および高いSN比で測定できるため、ウイルス、タンパク質、DNAなどの微細物質の粒子寸法の測定精度を向上でき、同時に装置構造を簡素化できる。
以下、実施例を前述した図1の粒子測定装置を参照して説明する。
(実施例1)
センサ1は、ガラス製の測定容器2を備えている。ガラス製の隔壁3(縦10mm×横10mm×厚さ0.5mm)により測定容器2を上下に区画し、隔壁3の上部側の測定容器2内に第1のチャンバ4を、隔壁3の下部側の測定容器2内に第2のチャンバ5を、それぞれ形成した。中央に貫通した円錐台形状の穴6(上辺径がφ0.004mm、底辺の径が0.46mm)が開口されたシリコンからなる支持板7は、隔壁3の下面に設け、当該隔壁3を支持した。支持板7の穴6に対応する隔壁3部分には、第1、第2のチャンバ4,5を連通する、当該穴6に比べて十分に小さい2μm径の微細な貫通孔8が開口されている。測定対象粒子9を分散した室温のトリス/エチレンジアミン四酢酸(EDTA)緩衝液[TE緩衝液]からなる第1の電解質溶液10は、第1のチャンバ4内に充填した。同様なTE緩衝液からなる第2の電解質溶液11は、第2のチャンバ5内に充填した。TE緩衝液は、1M Tris−HCl緩衝液5mLと0.5M EDTA緩衝液1mLを混合したものを純水で500mLに希釈することにより調製される。
アルミニウム金属(ニラコ社製純度99.99%)から作られる四角柱状の第1の電極12は、第1のチャンバ4側の測定容器2の上壁部に高さ方向に1/2以上の深さで第1の電解質溶液10に浸漬するように設けた。Ag/AgClから作られる四角柱状の第2の電極13は、第2のチャンバ5側の測定容器2の下壁部に高さ方向に1/2以上の深さで第2の電解質溶液11に浸漬するように設けた。なお、第2の電極13のAg/AgClは、銀(ニラコ社製純度99.99%)から作られる四角柱状体を濃度0.1モルのKCl溶液中で0.3mA/cm2の条件で5分間定電流電解して四角柱状体の銀表面を塩化銀処理したものを使用した。すなわち、第2の電極13は第1の電極12よりイオン化傾向が大きくなるようにそれぞれの金属材料を選定した。
電流電圧変換回路21は、第1、第2の電極12,13が接続された入力端子を有する電流電圧変換アンプ(トランスインピーダンスアンプ)22と、この電流電圧変換アンプ22の出力端子24と一方の入力端子との間に接続された電流電圧変換抵抗23で構成した。この電流電圧変換回路21では、第1、第2の電極12,13間に流れる微小電流を電流電圧変換アンプ22で増幅し、電圧信号に変換し、電流電圧変換アンプ22の出力端子24から電圧信号として出力するもので、1nAの電流値を1Vの電圧に変換する感度特性を有し、応答速度は250KHzに設計した。
なお、第1、第2の電極12,13を電流電圧変換アンプ22に接続する入力端子の長さは、電流測定時の外来ノイズの影響をできる限り排除するため最短距離で接続した。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に室温のTE緩衝液からなる第1,第2の電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で第1の電極12と第2の電極13との間の電圧をHEWLETT PACKARD社製MULTI METERで測定した。その結果、前述した電池反応により第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.702Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のTE緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9を分散させた。測定対象粒子9は、直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類を用い、直径が510nm、直径が960nmのポリスチレンラテックス粒子を第1の電解質溶液10中に前者の濃度が5×107個/mL、後者の濃度が1×107個/mLになるように分散させた。
このように第1の電解質溶液10内に混合粒子を測定対象粒子9として分散させた状態で、第2の電極13から第1の電極12に向けて隔壁3の貫通孔を通して0.702V程度の電位差が生じると同時にこの電位差によっておよそ70nAのベース電流が流れた。測定対象粒子9は第1の電極12が浸漬された第1のチャンバ4内の第1の電解質溶液10から第2の電極13が浸漬された第2のチャンバ5内の第2の電解質溶液11に向け、隔壁3の貫通孔8を通過して移動した。経験的にベース電流が200nAを超える条件では緩衝液自体の電気分解や金属電極との接液部での電気分解反応が生じやすくなり、緩衝液の電気分解によって物性変化によるベース電流値が時間とともに変化する現象が発現し測定精度の低下や電極の短寿命化が確認されているためベース電流はできるだけ小さいことが望まれる。電流電圧変換回路21で第1、第2の電極12、13間に流れる微小電流を処理し、図示しない電圧記録装置で記録することにより、図2の時間(1.0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図2は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図2から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約100pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として約250pAの電流値低下、が観察された。従って、測定対象粒子であるラテックス粒子のうち、粒径の小さい直径510nmのラテックス粒子では電流値の低下割合(低下度合)が粒径の大きい直径960nmのラテックス粒子のそれに比べて小さく、ラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
実際のラテックス粒子の粒径測定は、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例1と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用い、時間応答−電流変化を参照データとして予め作成する。図2に示す時間応答−電流変化を、予め作成した参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例2)
第1の電極12をAuとし、第2の電極13を第1の電極12のAuに比べてイオン化傾向の大きいAlとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は
約0.611Vであった。なお、リン酸緩衝液は、和光純薬工業(株)製遺伝子工学研究用Code No. 314-90185 10×PBS Buffer(pH7.4)を純水で10倍希釈して調製した。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図3の時間(1.0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図3は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図3から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約250pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として約490pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図3に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例2と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例3)
第1の電極12をPtとし、第2の電極13を第1の電極12のPtに比べてイオン化傾向の大きいAlとする以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.884Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図4の時間(1.0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図4は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図4から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約50pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約250pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として約450pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図4に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例3と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例4)
第1の電極12をCuとし、第2の電極13を第1の電極12のCuに比べてイオン化傾向の大きいAlとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.74Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図5の時間(1.0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図5は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図5から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で3箇所に現れ、それぞれ約280pA、約255pA、約280pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として約450pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図5に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例4と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例5)
第1の電極12をTiとし、第2の電極13を第1の電極12のTiに比べてイオン化傾向の大きいAlとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.72Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図6の時間(1.0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図6は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図6から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約50pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約180pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として約275pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図6に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例5と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例6)
第1の電極12をAuとし、第2の電極13を第1の電極12のAuに比べてイオン化傾向の大きいCuとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.766Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図7の時間(1.0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図7は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図7から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約100pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で8箇所に現れ、代表的な3箇所でそれぞれ約245pA、約240pA、約270pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図7に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例6と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例7)
第1の電極12をPtとし、第2の電極13を第1の電極12のPtに比べてイオン化傾向の大きいCuとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.714Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図8の時間(1.0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図8は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図8から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約50pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約175pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で2箇所に現れ、それぞれ約270pA、約280pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図8に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例7と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例8)
第1の電極12をAgとし、第2の電極13を第1の電極12のAgに比べてイオン化傾向の大きいCuとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.682Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図9の時間(1.0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図9は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図9から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約30pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約250pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として約450pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図9に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例8と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例9)
第1の電極12をAuとし、第2の電極13を第1の電極12のAuに比べてイオン化傾向の大きいNiとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.644Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図10の時間(1.0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図10は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図10から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約50pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約175pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として約275pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図10に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例9と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例10)
第1の電極12をPtとし、第2の電極13を第1の電極12のPtに比べてイオン化傾向の大きいNiとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.628Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図11の時間(1.0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図11は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図11から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で3箇所に現れ、それぞれ約220pA、約270pA、約210pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として約45pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図11に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例10と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例11)
第1の電極12をAgとし、第2の電極13を第1の電極12のAgに比べてイオン化傾向の大きいNiとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.593Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図12の時間約(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図12は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図12から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約50pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約175pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で4箇所に現れ、それぞれ約260pA,約295pA、約275pA,約225pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図12に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例11と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例12)
第1の電極12をAuとし、第2の電極13を第1の電極12のAuに比べてイオン化傾向の大きいCoとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.6Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図13の時間(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図13は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図13から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約180pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で2箇所に現れ、それぞれ約260pA、270pAの電流値低下、が観察された。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図12に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例12と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例13)
第1の電極12をPtとし、第2の電極13を第1の電極12のPtに比べてイオン化傾向の大きいCoとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.622Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径510nmのポリスチレンラテックス粒子と直径960nmのポリスチレンラテックス粒子の2種類をそれぞれ実施例1と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図14の時間(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図14は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図14から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約50pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径510nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として約170pAの電流値の低下、および直径960nmのラテックス粒子は同貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で3箇所に現れ、それぞれ約270pA、約225pA、235pAの電流値低下、が観察された。なお、直径960nmのラテックス粒子に関しては、1.0秒間で3箇所に電流変化が現れた。従って、実施例1で説明したのと同様にラテックス粒子の粒径と電流値の低下度合とが相関することがわかる。
また、図14に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例13と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径を求めることができる。
(実施例14)
第1の電極12をAuとし、第2の電極13を第1の電極12のAuに比べてイオン化傾向の大きいWとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.68Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径960nmのポリスチレンラテックス粒子を濃度が1×107個/mLになるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図15の時間(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図15は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図15から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径960nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で2箇所に現れ、それぞれ約285pA、約270pAの電流値の低下が観察された。
測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径は、図15に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例14と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより求めることができる。
(実施例15)
第1の電極12をAgとし、第2の電極13を第1の電極12のAgに比べてイオン化傾向の大きいWとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.678Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径960nmのポリスチレンラテックス粒子を実施例14と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図16の時間(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図16は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図16から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約50pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径960nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で2箇所に現れ、それぞれ約255pA,約275pAの電流値の低下が観察された。
測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径は、図16に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例15と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより求めることができる。
(実施例16)
第1の電極12をPtとし、第2の電極13を第1の電極12のPtに比べてイオン化傾向の大きいWとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.58Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径960nmのポリスチレンラテックス粒子を実施例14と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図17の時間(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図17は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図17から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径960nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で3箇所に現れ、それぞれ約240pA,約270pA,約265pAの電流値の低下が観察された。
測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径は、図17に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例16と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより求めることができる。
(実施例17)
第1の電極12をCuとし、第2の電極13を第1の電極12のCuに比べてイオン化傾向の大きいWとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.603Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径960nmのポリスチレンラテックス粒子を実施例14と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図18の時間(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図18は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図18から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径960nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で4箇所に現れ、それぞれ約200pA,約255pA,約280pA,約240pAの電流値の低下が観察された。
測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径は、図18に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例17と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより求めることができる。
(実施例18)
第1の電極12をAuとし、第2の電極13を第1の電極12のAuに比べてイオン化傾向の大きいTiとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.599Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径960nmのポリスチレンラテックス粒子を実施例14と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図19の時間(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図19は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図19から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径960nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で3箇所に現れ、それぞれ約260pA,約275pA,約210pAの電流値の低下が観察された。
測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径は、図19に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例18と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより求めることができる。
(実施例19)
第1の電極12をPtとし、第2の電極13を第1の電極12のPtに比べてイオン化傾向の大きいTiとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.611Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径960nmのポリスチレンラテックス粒子を実施例14と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図20の時間(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図20は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図20から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約50pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径960nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で2箇所に現れ、それぞれ約260pAの電流値の低下が観察された。
測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径は、図20に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例19と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより求めることができる。
(実施例20)
第1の電極12をAgとし、第2の電極13を第1の電極12のAgに比べてイオン化傾向の大きいTiとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.617Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径960nmのポリスチレンラテックス粒子を実施例14と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図21の時間(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図21は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図21から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径960nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で2箇所に現れ、それぞれ約260pA、約255pAの電流値の低下が観察された。
測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径は、図21に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例20と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより求めることができる。
(実施例21)
第1の電極12をCuとし、第2の電極13を第1の電極12のCuに比べてイオン化傾向の大きいTiとした以外、実施例1と同様な図1に示す構造を有する粒子測定装置を組み立てた。
最初に、第1、第2のチャンバ4,5内に実施例2と同様に調製した室温のリン酸緩衝液からなる電解質溶液10,11をそれぞれ充填した状態で、第1の電極12と第2の電極13との間の電圧を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、第1、第2の電極12、13間の電位差は、約0.572Vであった。
次に、第1のチャンバ4内のリン酸緩衝液からなる第1の電解質溶液10中に測定対象粒子9である直径960nmのポリスチレンラテックス粒子を実施例14と同様な濃度になるように分散させた。その後、実施例1と同様な処理を行うことにより、図22の時間(1,0秒間)に対する電流(イオン電流)の変化を示す時間応答−電流変化を得た。図22は、電流の絶対値としては固有の値を有するベース電流値を0pAにシフトして表示した。
図22から明らかなように、ベースライン電流のノイズは約40pA(P−P)で推移し、測定対象粒子としての直径960nmのラテックス粒子は2μm径の貫通孔を通過する際の電流変化として1.0秒間で2箇所に現れ、それぞれ約295pA、約275pAの電流値の低下が観察された。
測定対象粒子であるラテックス粒子の粒径は、図22に示す時間応答−電流変化を、既知の粒径の異なる数種類のラテックス粒子を実施例21と同様な構成のセンサ1および電流電圧変換回路21を備える粒子測定装置を用いて作成した時間応答−電流変化の参照データに照合することにより求めることができる。
本発明のいつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の種々の形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。