[go: up one dir, main page]

JP6282036B2 - 物質の移動速度の制御方法および制御装置 - Google Patents

物質の移動速度の制御方法および制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6282036B2
JP6282036B2 JP2012286115A JP2012286115A JP6282036B2 JP 6282036 B2 JP6282036 B2 JP 6282036B2 JP 2012286115 A JP2012286115 A JP 2012286115A JP 2012286115 A JP2012286115 A JP 2012286115A JP 6282036 B2 JP6282036 B2 JP 6282036B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
electrode
surround
flow path
fluid flow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012286115A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014126554A (ja
Inventor
川合 知二
知二 川合
奏 龍▲崎▼
奏 龍▲崎▼
正輝 谷口
正輝 谷口
Original Assignee
クオンタムバイオシステムズ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by クオンタムバイオシステムズ株式会社 filed Critical クオンタムバイオシステムズ株式会社
Priority to JP2012286115A priority Critical patent/JP6282036B2/ja
Priority to US13/975,610 priority patent/US9506894B2/en
Publication of JP2014126554A publication Critical patent/JP2014126554A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6282036B2 publication Critical patent/JP6282036B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/416Systems
    • G01N27/447Systems using electrophoresis
    • G01N27/44756Apparatus specially adapted therefor
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/416Systems
    • G01N27/447Systems using electrophoresis
    • G01N27/44704Details; Accessories
    • G01N27/44752Controlling the zeta potential, e.g. by wall coatings
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/483Physical analysis of biological material
    • G01N33/487Physical analysis of biological material of liquid biological material
    • G01N33/48707Physical analysis of biological material of liquid biological material by electrical means
    • G01N33/48721Investigating individual macromolecules, e.g. by translocation through nanopores

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Description

本発明は、物質の移動速度の制御方法および制御装置に関する。
近年、個々の個性にかなったテーラーメイド医療に注目が集まっている。当該テーラーメイド医療を実現するためには、個人のゲノムの塩基配列を短時間で精度良く読解し、個人のゲノムの塩基配列における特徴点を正確に把握する必要がある。
従来から、脂質二重膜に膜タンパク質を担持させたデバイスにおいて、1対の電極間を通過するように核酸を電気泳動することによって、当該核酸の塩基配列を解読する技術が用いられている(例えば、非特許文献1参照)。具体的に、非特許文献1に記載の技術では、電解質溶液中において、α−ヘモリシン(α−haemolysin)によって形成された孔の中を通過するように核酸を電気泳動し、このときのイオン電流を計測することによって、孔を通過している核酸の塩基配列を決定している。
上述したような核酸の塩基配列を解読するためのシーケンサーでは、核酸を移動させながら、当該核酸の塩基配列を読解することになる。このとき、核酸の移動速度が速すぎると、核酸の塩基配列を精度良く決定することができない。一方、核酸の移動速度が遅すぎると、核酸の塩基配列を読解するために、非常に長い時間を要することになる。それ故に、シーケンサーの分野等において、物質の移動速度を精度良く所望の速度へ制御できる技術の開発が、求められている。
上述した状況を踏まえて、従来から、クーロン力によって核酸の移動速度を減速させる技術が開示されている(例えば、非特許文献2参照)。
Clarke, J., Wu, H.-C., Jayasinghe, L., Patel, A., Reid, S. & Bayley, H. Continuous base identification for single-molecule nanopore DNA sequencing. Nat. Nanotechnol. 4, 265-270(2009) Pei-chun Yen et al., Review of Scientific Instruments, 83, 034301, 2012
しかしながら、上述のような従来技術は、物質の移動速度を所望の速度に調節することが困難であるという問題を有している。
例えば、クーロン力に基づいて物質の移動速度を調節しようとすれば、基本的に物質の移動速度を減速することしかできず、物質の移動速度を加速することができないという問題がある。
また、クーロン力に基づいて物質の移動速度を調節しようとすれば、物質に対してクーロン力を働かせるための電極の周りに、物質が付着する。そして、電極の周りに付着した物質によって、物質の移動が妨げられるという問題がある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、物質の移動速度を所望の速度に調節することができる、物質の移動速度の制御方法および制御装置を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、電気浸透流によって物質の移動速度を制御すれば、物質の移動速度を所望の速度に制御できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の物質の移動速度の制御方法は、上記課題を解決するために、電極対によって形成された電界に沿って物質を移動させる工程と、上記物質を、上記物質の移動経路の一部を取り囲むように形成されているサラウンド電極の内部空間を通過させて、上記物質の移動速度を変化させる工程と、を有し、上記サラウンド電極は、正または負の何れか一方にのみ帯電しており、上記サラウンド電極の内部空間には、電解質が溶解した媒体が配置されていることを特徴としている。
上記構成によれば、サラウンド電極が正または負の何れか一方にのみ帯電しているので、内部空間の側のサラウンド電極の表面に、電解質に由来する陰イオンまたは陽イオンの一方が引き付けられる。更に具体的には、サラウンド電極が正に帯電している場合には、サラウンド電極の表面に陰イオンが引き付けられ、サラウンド電極が負に帯電している場合には、サラウンド電極の表面に陽イオンが引き付けられる。
サラウンド電極の表面に引き付けられた陰イオンまたは陽イオンは、各々、電極対を形成している正極または負極の側へ移動することになる。つまり、サラウンド電極の表面に引き付けられた陰イオンは、電極対によって形成された電界に沿って、電極対の正極の側へ移動する電気浸透流を発生させる。一方、サラウンド電極の表面に引き付けられた陽イオンは、電極対によって形成された電界に沿って、電極対の負極の側へ移動する電気浸透流を発生させる。
上記物質は、電極対によって形成された電界に沿って移動しているので、物質の移動方向と電気浸透流の方向とは、略同一方向になるか、あるいは、略逆方向になる。そして、両者が略同一方向の場合には、物質の移動速度は加速され、両者が略逆方向の場合には、物質の移動速度は減速される。
上記構成によれば、以上のようにして、物質の移動速度を加速することもできるし、減速することもできる。
本発明の制御方法では、上記物質は、電荷を有する物質であることが好ましい。
上記構成によれば、特別な構成を必要とすることなく、上記電極対によって物質を移動させることができる。例えば、上記物質がマイナスの電荷を有していれば、当該物質を、上記電極対の正極に向かって移動させることができる。一方、上記物質がプラスの電荷を有していれば、当該物質を、上記電極対の負極に向かって移動させることができる。
本発明の制御方法では、上記サラウンド電極には、−3V以上、3V以下のゲート電圧が印加されることが好ましい。
上記構成によれば、より強い電気浸透流を発生させることができるので、より確実に、かつより正確に物質の移動速度を制御することができる。
本発明の制御方法では、上記サラウンド電極の内部空間の、上記物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をYとし、上記サラウンド電極の内部空間を通過している上記物質の、当該物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をXとしたときに、上記XとYとの長さの比R=X/Y[無次元]は、0.5<X/Y<1の関係を満たすことが好ましい。
サラウンド電極の表面に近いほど、より強い電気浸透流が発生する。上記構成によれば、物質の少なくとも一部がサラウンド電極の表面の近くに配置されるので、より確実に、物質が電気浸透流の力を受けることができる。その結果、より確実に、かつより正確に物質の移動速度を制御することができる。また、上記構成によれば、サラウンド電極の内部空間へ複数個の物質(例えば、2分子のDNAなど)が侵入することを防ぐことができるので、1個(例えば、1分子のDNAなど)の物質の移動速度を制御することができる。
本発明の制御方法では、上記サラウンド電極の内部空間には電気浸透流が発生していることが好ましい。
上記構成によれば、より良く物質の移動速度を制御することができる。
本発明の制御方法では、上記サラウンド電極は、金属によって形成された電極であることが好ましい。
サラウンド電極として金属を用いれば、物質の移動速度を線形的に制御できる。従来のゲート電極(例えば、非特許文献2参照)は半導体(シリコン)で作製されているため、ゲート電圧に対する電気浸透流の変化は非線形であるのに対し、金属電極を用いたゲート電極では線形応答をするため、物質の移動速度の制御が容易である。
本発明の物質の移動速度の制御装置は、上記課題を解決するために、電極対の間に設けられている、物質が移動するための流路と、上記流路の一部を取り囲むように形成されているサラウンド電極であって、当該サラウンド電極の内部空間に配置されている上記流路内で上記物質の移動速度を変化させるサラウンド電極と、を備え、上記サラウンド電極は、正または負の何れか一方にのみ帯電されるものであり、上記サラウンド電極は、内部空間に電解質が溶解した媒体が配置されるものであることを特徴としている。
上記構成によれば、サラウンド電極が正または負の何れか一方にのみ帯電しているので、内部空間の側のサラウンド電極の表面に、電解質に由来する陰イオンまたは陽イオンの一方が引き付けられる。更に具体的には、サラウンド電極が正に帯電している場合には、サラウンド電極の表面に陰イオンが引き付けられ、サラウンド電極が負に帯電している場合には、サラウンド電極の表面に陽イオンが引き付けられる。
サラウンド電極の表面に引き付けられた陰イオンまたは陽イオンは、各々、電極対を形成している正極または負極の側へ移動することになる。つまり、サラウンド電極の表面に引き付けられた陰イオンは、電極対によって形成された電界に沿って、電極対の正極の側へ移動する電気浸透流を発生させる。一方、サラウンド電極の表面に引き付けられた陽イオンは、電極対によって形成された電界に沿って、電極対の負極の側へ移動する電気浸透流を発生させる。
上記物質は、電極対の間に設けられている流路に沿って(換言すれば、電極対によって形成された電界に沿って)移動しているので、物質の移動方向と電気浸透流の方向とは、略同一方向になるか、あるいは、略逆方向になる。そして、両者が略同一方向の場合には、物質の移動速度は加速され、両者が略逆方向の場合には、物質の移動速度は減速される。
上記構成によれば、以上のようにして、物質の移動速度を加速することもできるし、減速することもできる。
本発明の制御装置では、上記物質は、電荷を有する物質であることが好ましい。
上記構成によれば、特別な構成を必要とすることなく、上記電極対によって物質を移動させることができる。例えば、上記物質がマイナスの電荷を有していれば、当該物質を、上記電極対の正極に向かって移動させることができる。一方、上記物質がプラスの電荷を有していれば、当該物質を、上記電極対の負極に向かって移動させることができる。
本発明の制御装置では、上記サラウンド電極には、−3V以上、3V以下のゲート電圧が印加されることが好ましい。
上記構成によれば、より強い電気浸透流を発生させることができるので、より確実に、かつより正確に物質の移動速度を制御することができる。
本発明の制御装置では、上記サラウンド電極の内部空間の、上記物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をYとし、上記サラウンド電極の内部空間を通過している上記物質の、当該物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をXとしたときに、上記XとYとの長さの比R=X/Y[無次元]は、0.5<X/Y<1の関係を満たすことが好ましい。
サラウンド電極の表面に近いほど、より強い電気浸透流が発生する。上記構成によれば、物質の少なくとも一部がサラウンド電極の表面近くに配置されるので、より確実に、物質が電気浸透流の力を受けることができる。その結果、より確実に、かつより正確に物質の移動速度を制御することができる。また、上記構成によれば、サラウンド電極の内部空間へ複数個の物質(例えば、2分子のDNAなど)が侵入することを防ぐことができるので、1個(例えば、1分子のDNAなど)の物質の移動速度を制御することができる。
本発明の制御装置では、上記サラウンド電極は、当該サラウンド電極の内部空間に配置されている上記流路内に電気浸透流を発生させるものであることが好ましい。
上記構成によれば、より良く物質の移動速度を制御することができる。
本発明の制御装置では、上記サラウンド電極は、金属によって形成された電極であることが好ましい。
サラウンド電極として金属を用いれば、物質の移動速度を線形的に制御できる。従来のゲート電極(例えば、非特許文献2参照)は半導体(シリコン)で作製されているため、ゲート電圧に対する電気浸透流の変化は非線形であるのに対し、金属電極を用いたゲート電極では線形応答をするため、物質の移動速度の制御が容易である。
本発明のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する装置は、上記課題を解決するために、本発明の制御装置を備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、ポリヌクレオチドの移動速度を所望の速度に調節した後で、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することができるので、正確に、かつ、迅速にヌクレオチド配列を決定することができる。
本発明は、物質の移動速度を所望の速度に制御することができるという効果を奏する。更に具体的には、本発明は、物質の移動速度を減速することもでき、加速することもできるという効果を奏する。また、本発明であれば、物質を停止させることもできるという効果を奏する。
本発明は、物質の移動速度を所望の速度に制御することができるので、当該物質に関する様々な測定を、迅速かつ精度良く行うことができるという効果を奏する。例えば、核酸の塩基配列の読解を例に挙げれば、本発明によって核酸の移動速度を減速させれば、核酸を構成する塩基毎に検出されるシグナル(例えば、電流のシグナル、蛍光のシグナルなど)が重なることを防ぐことができるので、精度よく核酸の塩基配列を決定することができる。逆に、本発明によって核酸の移動速度を加速させれば、迅速に核酸の塩基配列を決定することができる。
本発明は、サラウンド電極に印加する電圧を変化させることによって、物質が移動している過程において、所望の期間だけ物質を減速させ、残りの期間は物質を加速させることができる。例えば、物質に対して何らかの計測を行う期間のみ物質を減速させ、その他の期間は物質を加速することができる。当該制御を行えば、正確な計測を行うことができるのみならず、計測にかかる全時間を短縮することができる。
本発明は、物質の大きさに応じてサラウンド電極の内部空間の大きさ(換言すれば、サラウンド電極の内部空間の幅)を所望の大きさに調節(形成)することができる。つまり、本発明は、1分子の物質のみが侵入可能なように、サラウンド電極の内部空間の大きさを調節(形成)することができるので、1分子の物質の移動速度を正確に調節することができる。
(a)および(b)は、本発明のサラウンド電極の一実施形態を示す図である。 本発明の原理を示す図である。 本発明の原理を示す図である。 (a)および(b)は、サラウンド電極の内部空間を通過している物質の様子を示す図である。 実施例における、制御装置の等価回路の一例を示す図である。 (a)および(b)は、実施例における制御装置の構成の一例を示す図である。 (a)〜(c)は、実施例における、サラウンド電流の内部空間を通過する物質の様子を示す図である。 実施例における、イオン電流の変化を示すグラフである。 実施例における、制御装置の作製方法の一例を示す図である。 実施例における、サラウンド電極に形成された貫通孔を示す写真である。 (a)および(b)は、実施例における、物質(ポリスチレン粒子)の移動速度の変化を示すグラフである。 (a)および(b)は、実施例における、物質(ポリスチレン粒子)の移動速度の変化を示すグラフである。 (a)および(b)は、実施例における、物質(DNA)の移動速度の変化を示すグラフである。 (a)および(b)は、実施例において、物質(ポリスチレン粒子)の移動速度が不変であることを示すグラフである。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔1.本発明の原理〕
まず、図1を用いて、サラウンド電極1について説明する。
サラウンド電極1は、物質の移動経路(換言すれば、流路)の一部を取り囲むように形成されている電極である。
サラウンド電極1は、1つの電極として形成されており、サラウンド電極1の全体に対して、略同一の電位が印加されることになる。例えば、サラウンド電極1の全体に、プラスの電位が印加されることもあれば、マイナスの電位が印加されることもある。
仮に、サラウンド電極1を、2つの電極からなる対向する電極対として形成すると、各電極の表面に、反対の方向へ向かう電気浸透流が発生することになる。つまり、サラウンド電極1の内部空間の中に、反対の方向へ向かう電気浸透流が発生することになる。この場合、電気浸透流同士が、互いの流れを打ち消し合って、物質を効果的に加速または減速することが難しくなる。
一方、本発明では、サラウンド電極1の全体に対して略同一の電位が印加されるので、サラウンド電極1の内部空間の中に発生する電気浸透流の方向を1つの方向へ揃えることができる。それ故に、本発明によれば、物質を効果的に加速または減速することが可能となる。
次いで、図2および3を用いて、本発明の原理を説明する。
図2に示す例では、負極2および正極3からなる電極対によって形成された電界に沿って物質10を移動させる。このとき、物質10は、負極2の側から正極3の側へ向かって移動してもよいし、正極3の側から負極2の側へ向かって移動してもよい。
例えば、物質10として負に帯電した物質を用いれば、当該物質10は、負極2の側から正極3の側へ向かって移動することになる。一方、物質10として正に帯電した物質を用いれば、当該物質10は、正極3の側から負極2の側へ向かって移動することになる。
勿論、本発明では、帯電していない物質10も用いることも可能である。この場合には、負極2および正極3からなる電極対とは別の手段によって、物質10を移動させればよい。例えば、周知のポンプによって物質10(または、負極2と正極3との間に存在する媒体)に対して圧力を加えることによって物質10を移動させることも可能であるし、ブラウン運動によって物質10を移動させることも可能であるが、本発明は、これらに限定されない。
図2に示す例では、物質10の移動経路上にサラウンド電極1が設けられており、物質10が、サラウンド電極1の内部空間を通過することになる。
図2に示すサラウンド電極1は、図1に示すサラウンド電極1の縦断面に対応している。つまり、図2に示すサラウンド電極1の2つの部分は、1つのサラウンド電極1の中の略対向している異なる部分を示している。図2に示す例では、サラウンド電極1に対してゲート電圧Vgを印加することにより、サラウンド電極1を負に帯電させている。
サラウンド電極1の内部空間には、電解質が溶解した媒体(例えば、電解質が溶解した水溶液)が配置されている。上述したように、サラウンド電極1は負に帯電しているので、サラウンド電極1の表面に媒体中の陽イオン5が引き付けられることになる。
負極2および正極3の配置関係に応じて、サラウンド電極1に引き付けられた陽イオン5によって電気浸透流7が発生するとともに、電気浸透流7が流れる方向が決定される。つまり、正極3の側から負極2の側へ向かって、電気浸透流7が流れることになる。そして、電気浸透流が流れる方向に応じて、物質10の移動速度が加速または減速されることになる。
例えば、図2において、物質10が、負極2の側から正極3の側へ移動している場合、物質10の移動方向と電気浸透流7の方向とは逆であるので、物質10の移動速度は減速されることになる。一方、図2において、物質10が、正極3の側から負極2の側へ移動している場合、物質10の移動方向と電気浸透流7の方向とは同じであるので、物質10の移動速度は加速されることになる。
図3に示す例では、負極2および正極3からなる電極対によって形成された電界に沿って物質10を移動させる。このとき、物質10は、負極2の側から正極3の側へ向かって移動してもよいし、正極3の側から負極2の側へ向かって移動してもよい。
例えば、物質10として負に帯電した物質を用いれば、当該物質10は、負極2の側から正極3の側へ向かって移動することになる。一方、物質10として正に帯電した物質を用いれば、当該物質10は、正極3の側から負極2の側へ向かって移動することになる。
勿論、本発明では、帯電していない物質10も用いることも可能である。この場合には、負極2および正極3からなる電極対とは別の手段によって、物質10を移動させればよい。例えば、周知のポンプによって物質10(または、負極2と正極3との間に存在する媒体)に対して圧力を加えることによって物質10を移動させることも可能であるし、ブラウン運動によって物質10を移動させることも可能であるが、本発明は、これらに限定されない。
図3に示す例では、物質10の移動経路上にサラウンド電極1が設けられており、物質10が、サラウンド電極1の内部空間を通過することになる。
図3に示すサラウンド電極1は、図1に示すサラウンド電極1の縦断面に対応している。つまり、図3に示すサラウンド電極1の2つの部分は、1つのサラウンド電極1の中の略対向している異なる部分を示している。図3に示す例では、サラウンド電極1に対してゲート電圧Vgを印加することにより、サラウンド電極1を正に帯電させている。
サラウンド電極1の内部空間には、電解質が溶解した媒体(例えば、電解質が溶解した水溶液)が配置されている。上述したように、サラウンド電極1は正に帯電しているので、サラウンド電極1の表面に媒体中の陰イオン6が引き付けられることになる。
負極2および正極3の配置関係に応じて、サラウンド電極1に引き付けられた陰イオン6によって電気浸透流7が発生するとともに、電気浸透流7が流れる方向が決定される。つまり、負極2の側から正極3の側へ向かって、電気浸透流7が流れることになる。そして、電気浸透流が流れる方向に応じて、物質10の移動速度が加速または減速されることになる。
例えば、図3において、物質10が、負極2の側から正極3の側へ移動している場合、物質10の移動方向と電気浸透流7の方向とは同じであるので、物質10の移動速度は加速されることになる。一方、図3において、物質10が、正極3の側から負極2の側へ移動している場合、物質10の移動方向と電気浸透流7の方向とは逆であるので、物質10の移動速度は減速されることになる。
〔2.物質の移動速度の制御方法〕
本実施の形態の制御方法は、電極対によって形成された電界に沿って物質を移動させる移動工程を有している。電極対によって形成された電界に沿って物質を移動させれば、物質の移動方向と電気浸透流の方向とを、略同一方向、または、略逆方向にすることができる。そして、物質の移動方向と電気浸透流の方向とを略同一方向にすれば、物質の移動速度を加速することができ、物質の移動方向と電気浸透流の方向とを略逆方向にすれば、物質の移動速度を減速することができる。
電極対によって形成された電界の方向と、物質の移動方向とは、完全に平行である必要はない。つまり、電極対によって形成された電界の方向と、物質の移動方向とは、ずれていても良い。例えば、電極対によって形成された電界の方向と、物質の移動方向とのずれ(換言すれば、極対によって形成された電界に沿った線と、物質の移動方向に沿った線とが交わることによって形成される角度のうちの、小さい方の角度)は、0°以上90°未満であることが好ましく、0°以上80°以下であることが更に好ましく、0°以上70°以下であることが更に好ましく、0°以上60°以下であることが更に好ましく、0°以上50°以下であることが更に好ましく、0°以上45°以下であることが更に好ましく、0°以上40°以下であることが更に好ましく、0°以上30°以下であることが更に好ましく、0°以上20°以下であることが更に好ましく、0°以上10°以下であることが更に好ましく、0°以上5°以下であることが更に好ましく、0°であることが最も好ましい。
上記角度が0°以上45°以下であれば、電極対によって形成された電界の方向と、物質の移動方向とのずれが小さいので、より効果的に、物質の移動速度を制御することができる。
上記物質としては特に限定されず、適宜所望の物質を用いることが可能である。上記物質としては、大別して、電荷を有する物質と、電荷を有しない物質とを挙げることができる。
上記物質として電荷を有する物質を用いる場合、上記移動工程では、電極対との電気的な相互作用によって、当該物質を移動させることができる。例えば、上記物質としてマイナスの電荷を有する物質を用いる場合、当該物質は、上記電極対の負極側から正極側へ向かって移動することになる。一方、上記物質としてプラスの電荷を有する物質を用いる場合、当該物質は、上記電極対の正極側から負極側へ向かって移動することになる。
上記物質として電荷を有しない物質を用いる場合、上記移動工程では、電極対とは別の構成を用いて、当該物質を移動させればよい。例えば、周知のポンプを用いて物質を移動させることも可能であるし、ブラウン運動によって物質を移動させることも可能である。
電気的な相互作用によって物質を移動させた場合であっても、物理的な力によって物質を移動させた場合であっても、物質の移動方向と電気浸透流の方向とを略同一方向にすれば、物質の移動速度を加速することができ、物質の移動方向と電気浸透流の方向とを略逆方向にすれば、物質の移動速度を減速することができる。
上記物質としては特に限定されないが、例えば、原子、分子、ポリマー、または、これらの複合体であってもよい。更に具体的に、上記物質としては、核酸(DNAまたはRNA)、アミノ酸、タンパク質、花粉、ウイルス、菌類、細胞、有機粒子または無機粒子を挙げることができる。
上述したように、上記物質は、複合体であってもよい。例えば、上記物質が、物質Aと物質Bとの複合体である場合には、物質Aおよび物質Bの少なくとも一方が電荷を有していてもよいし、物質Aと物質Bとの両方が電荷を有していてもよいし、物質Aと物質Bとの両方が電荷を有していなくてもよい。
物質Aと物質Bとの両方が電荷を有している場合には、物質Aが有する電荷と物質Bが有する電荷とが、共に正または負の電荷であってもよいし、一方が正の電荷であり他方が負の電荷であってもよい。
物質Aが有する電荷と物質Bが有する電荷とが、一方が正の電荷であり他方が負の電荷である場合には、複合体を全体としてみたときに、当該複合体が電荷を有していてもよいし、互いの電荷が打ち消し合って当該複合体が電荷を有していなくてもよい。
上記物質が、物質Aと物質Bとの複合体である場合には、物質Aと物質Bとは、移動中に互いが遊離しない程度の力にて、互いに結合していればよい。例えば、物質Aと物質Bとは、共有結合、イオン結合、水素結合、疎水結合、または、これらから選択される複数の結合を介して互いに結合していればよい。
例えば、上記物質Aとしてイオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム塩)を用い、当該物質Aによって形成されたミセル中に物質Bを包含させれば、所望の物質Bに電荷を付与することができる。そして、当該複合体であれば、電極対との電気的な相互作用によって、容易に移動させることができる。
上記移動工程には、上述した物質を、当該物質の移動経路の一部を取り囲むように形成されているサラウンド電極の、電気浸透流が発生している内部空間を通過させる工程が包含されている。そして、当該サラウンド電極は、正または負の何れか一方にのみ帯電しており、かつ、その内部空間に電解質が溶解した媒体が配置されている。
サラウンド電極が正または負の何れか一方にのみ帯電することによって、サラウンド電極の内部空間に面した表面上に、上記電解質に由来する陰イオンまたは陽イオンの何れか一方のみを引き付けることができる。そして、陰イオンまたは陽イオンの何れか一方のみによって電気浸透流を発生させれば、電気浸透流が流れる方向を揃えることができる。そして、電気浸透流の流れる方向を揃えることができれば、当該電気浸透流によって、物質の移動速度を正確に制御することができる。
なお、サラウンド電極を正または負の何れか一方に帯電させるための方法としては特に限定されないが、例えば、周知の電圧印加手段を用いてサラウンド電極に所望のゲート電圧を印加すればよい。
サラウンド電極に印加する電圧は特に限定されないが、例えば、−5V以上5V以下であってもよく、−3V以上3V以下であってもよく、−1V以上1V以下であってもよい。
サラウンド電極に負のゲート電圧を印加する場合、印加するゲート電圧の値としては特に限定されないが、例えば、−0.1V以下であることが好ましく、−0.2V以下であることが更に好ましく、−0.3V以下であることが更に好ましく、−0.4V以下であることが更に好ましく、−0.5V以下であることが更に好ましく、−1.0V以下であることが最も好ましい。
サラウンド電極に−0.5V以下のゲート電圧を印加すれば、強い電気浸透流を発生させることができるので、確実に、かつ正確に物質の移動速度を制御することができる。また、サラウンド電極に−1.0V以下のゲート電圧を印加すれば、更に強い電気浸透流を発生させることができるので、−0.5Vのゲート電圧を印加する場合と比較して、物質を、より良く減速または加速することができる。
一方、サラウンド電極に正のゲート電圧を印加する場合、印加するゲート電圧の値としては特に限定されないが、例えば、0.1V以上であることが好ましく、0.2V以上であることが更に好ましく、0.25V以上であることが更に好ましく、0.5V以上であることが更に好ましく、1.0V以上であることが最も好ましい。
サラウンド電極に0.25V以上のゲート電圧を印加すれば、強い電気浸透流を発生させることができるので、確実に、かつ正確に物質の移動速度を制御することができる。また、サラウンド電極に0.5V以上または1.0V以上のゲート電圧を印加すれば、更に強い電気浸透流を発生させることができるので、0.25Vのゲート電圧を印加する場合と比較して、物質を、より良く減速または加速することができる。
サラウンド電極の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、貫通孔が形成された基板において、当該貫通孔の表面上に電極として機能する金属(例えば、金属膜)を環状または筒状にコーティングする。そして、当該環状または筒状の金属を、サラウンド電極として機能させることができる。
サラウンド電極として金属を用いれば、物質の移動速度を線形的に制御できるという利点がある。従来のゲート電極(例えば、非特許文献2参照)は半導体(シリコン)で作製されているため、ゲート電圧に対する電気浸透流の変化は非線形であるのに対し、金属電極を用いたゲート電極では線形応答をするため、物質の移動速度の制御が容易である。
上記金属としては特に限定されないが、例えば、Pt、Au、Cr、Ag、AlまたはCuなどを挙げることができる。また、複数の金属を用いてサラウンド電極を形成することも可能である。例えば、サラウンド電極として、「Pt/Au/Pt/Cr」を用いることも可能である。なお、複数の金属を用いてサラウンド電極を形成する場合、各金属層の厚さは、特に限定されない。
本実施の形態の制御方法では、電気浸透流が発生しているサラウンド電極の内部空間を物質が通過する。電気浸透流は、サラウンド電極の表面近傍で発生するので、サラウンド電極の表面に近いほど、より強い電気浸透流が発生している。それ故に、サラウンド電極の内部空間の形状を調節すれば、物質に対して、更に効果的に電気浸透流を作用させることが可能になる。
サラウンド電極の内部空間の形状としては特に限定されないが、例えば、筒状であることが好ましい。この場合、物質は、上記筒の一端側の開口から筒の内部へ入り、筒の内部空間を移動した後に、上記筒の他端側の開口から筒の外部へ出ることになる。
物質の移動方向に対して垂直な方向における、上記内部空間の断面の形状は特に限定されず、円形であってもよく、多角形(例えば、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形など)であってもよい。
より容易に内部空間を形成するとともに、より流れが安定した電気浸透流を発生させるという観点からは、物質の移動方向に対して垂直な方向における、上記内部空間の断面の形状は、円形であることが好ましいといえる。
本実施の形態の制御方法では、サラウンド電極の内部空間の、物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をYとし、サラウンド電極の内部空間を通過している物質の、当該物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をXとしたとき、上記XとYとの長さの比R=X/Y[無次元]は、0.50<X/Y<1の関係を満たすことが好ましく、0.60<X/Y<1の関係を満たすことが更に好ましく、0.65<X/Y<1の関係を満たすことが更に好ましく、0.70<X/Y<1の関係を満たすことが更に好ましく、0.80<X/Y<1の関係を満たすことが更に好ましく、0.90<X/Y<1の関係を満たすことが更に好ましく、0.95<X/Y<1の関係を満たすことが最も好ましい。
上記構成によれば、物質の少なくとも一部がサラウンド電極の表面近くに配置されるので、より確実に、物質が電気浸透流の力を受けることができる。その結果、より確実に、物質の移動速度を制御することができる。また、上記構成によれば、サラウンド電極の内部空間へ複数個の物質(例えば、2分子のDNAなど)が侵入することを防ぐことができるので、1個(例えば、1分子のDNAなど)の物質の移動速度を制御することができる。
例えば、図4(a)に示すように、サラウンド電極1の内部空間を、略球形の物質10(例えば、粒子、花粉、分子、または菌など)が通過する場合を考える。
このとき、図4(a)に示すように、サラウンド電極の内部空間の、物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をYとし、サラウンド電極の内部空間を通過している物質の、当該物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をXとしたとき、当該XおよびYが上述した関係を満たせば、物質10の少なくとも一部が、サラウンド電極1の表面の近傍を通過することになる。サラウンド電極1の表面の近傍ではより強い電気浸透流が発生しているので、物質10は、当該強い電気浸透流の影響を大きく受けることになる。その結果、物質10の移動速度をより良く制御することができる。
また、図4(b)に示すように、サラウンド電極1の内部空間を、略円筒状の物質10(例えば、核酸などの各種ポリマー、ナノロッド、または枯草菌など)が通過する場合を考える。
このとき、図4(b)に示すように、サラウンド電極の内部空間の、物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をYとし、サラウンド電極の内部空間を通過している物質の、当該物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をXとしたとき、当該XおよびYが上述した関係を満たせば、物質10の少なくとも一部が、サラウンド電極1の表面の近傍を通過することになる。サラウンド電極1の表面の近傍ではより強い電気浸透流が発生しているので、物質10は、当該強い電気浸透流の影響を大きく受けることになる。その結果、物質10の移動速度をより良く制御することができる。
本実施の形態の制御方法では、上記サラウンド電極の内部空間の、物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅は、1.2μmよりも短いことが好ましく、1.0μm以下であることが更に好ましく、0.85μm以下であることが更に好ましく、0.35μm以下であることが更に好ましく、0.20μm以下であることが更に好ましく、0.15μm以下であることが更に好ましく、0.04μm以下であることが更に好ましく、0.02μm以下であることが更に好ましい。
サラウンド電極の表面の近傍では、より強い電気浸透流が発生している。それ故に、サラウンド電極の内部空間の全体に強い電気浸透流を発生させようとすれば、サラウンド電極の内部空間の、物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅は、短いほど好ましいといえる。
サラウンド電極の内部空間の、物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅が上述した範囲であれば、サラウンド電極の内部空間の全体に強い電気浸透流を発生させることができ、これによって、より良く物質の移動速度を制御することができる。
上記サラウンド電極の内部空間には、電解質が溶解した媒体が配置されている。なお、当該媒体は、上述した電極対の正極と負極との間にも配置され得る。
上記媒体としては特に限定されないが、例えば、液体、ゲル、または、これらの混合物を用いることが可能である。
上記液体としては特に限定されないが、例えば、水、TEバッファー(Tris-HCl,EDTAバッファー)、または、塩化物(例えば、KCl、LiClまたはNaCl)を含有する水溶液を挙げることが可能である。より強い電気浸透流を発生させるという観点からは、これらの中では、イオンの移動度が高いKClを含有する水溶液が好ましいといえる。また、pHが7から外れるほど電気浸透流は強くなるため、Tris−HClとKCl等とを混ぜた電解質溶液も好ましいと言える。
上記ゲルとしては特に限定されないが、例えば、ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲル、デキストラン、またはポリエチレングレコールなどを挙げることが可能である。より強い電気浸透流を発生させるという観点からは、これらの中では、粘度の低いデキストランまたはポリエチレングレコールが好ましいといえる。
上記媒体中に溶解している電解質としては特に限定されないが、例えば、KCl、NaCl、LiClなどを用いることが好ましい。
電解質としてKClを用いる場合、媒体中における電解質の濃度は特に限定されないが、例えば、1mM以上1M以下であることが好ましく、100mM以上1M以下であることが更に好ましい。上記構成によれば、より強い電気浸透流を発生させることができる。
電解質としてNaClを用いる場合、媒体中における電解質の濃度は特に限定されないが、例えば、1mM以上1M以下であることが好ましく、100mM以上1M以下であることが更に好ましい。上記構成によれば、より強い電気浸透流を発生させることができる。
電解質としてLiClを用いる場合、媒体中における電解質の濃度は特に限定されないが、例えば、1mM以上1M以下であることが好ましく、100mM以上1M以下であることが更に好ましい。上記構成によれば、より強い電気浸透流を発生させることができる。
本発明の制御方法では、電解質溶液の濃度は1mM以上1M以下が好ましく、濃度を変えることで、電気浸透流の流域(デバイ長)を制御することが可能である。例えば、濃度を高くすることで流域流域(デバイ長)は狭くなり、濃度を下げることで流域流域(デバイ長)は広くなる。
〔3.物質の移動速度の制御装置〕
本実施の形態の制御装置は、電極対の間に設けられている、物質が移動するための流路と、流路の一部を取り囲むように形成されているサラウンド電極であって、当該サラウンド電極の内部空間に配置されている上記流路内に電気浸透流を発生させ、上記物質の移動速度を変化させるサラウンド電極と、を備えている。
上述した流路は、電極対によって形成された電界に沿って伸長するように設けられたものであることが好ましい。上記構成であれば、電極対によって形成された電界に沿って物質を移動させることができる。
電極対によって形成された電界に沿って物質を移動させれば、物質の移動方向と電気浸透流の方向とを、略同一方向、または、略逆方向にすることができる。そして、物質の移動方向と電気浸透流の方向とを略同一方向にすれば、物質の移動速度を加速することができ、物質の移動方向と電気浸透流の方向とを略逆方向にすれば、物質の移動速度を減速することができる。
電極対によって形成された電界の方向と、流路が伸長する方向とは、完全に平行である必要はない。つまり、電極対によって形成された電界の方向と、流路が伸長する方向とは、ずれていても良い。例えば、電極対によって形成された電界の方向と、流路が伸長する方向とのずれ(換言すれば、極対によって形成された電界に沿った線と、流路が伸長する方向に沿った線とが交わることによって形成される角度のうちの、小さい方の角度)は、0°以上90°未満であることが好ましく、0°以上80°以下であることが更に好ましく、0°以上70°以下であることが更に好ましく、0°以上60°以下であることが更に好ましく、0°以上50°以下であることが更に好ましく、0°以上45°以下であることが更に好ましく、0°以上40°以下であることが更に好ましく、0°以上30°以下であることが更に好ましく、0°以上20°以下であることが更に好ましく、0°以上10°以下であることが更に好ましく、0°以上5°以下であることが更に好ましく、0°であることが最も好ましい。
上記角度が0°以上45°以下であれば、電極対によって形成された電界の方向と、流路が伸長する方向とのずれが小さいので、より効果的に、物質の移動速度を制御することができる。
上記流路の幅(物質の移動方向に対して略垂直な方向への幅)の長さは特に限定されない。全体において同一の幅を有する流路であってもよいし、部分的に幅が異なる流路であってもよい。例えば、サラウンド電極に取り囲まれた部分が、他の部分と比べて狭くなっている流路であってもよい。本実施の形態の制御装置では、後述するサラウンド電極の内部空間の全体が、流路の一部として用いられ得る。つまり、本実施の形態の制御装置における流路は、電極対の負極からサラウンド電極までの領域と、サラウンド電極の内部空間と、電極対の正極からサラウンド電極までの領域と、によって形成されていてもよい。
上記サラウンド電極は、物質が移動するための流路の一部を取り囲むように形成されている。そして、当該サラウンド電極は、正または負の何れか一方にのみ帯電するものであり、かつ、その内部空間に電解質が溶解した媒体が配置されるものである。
サラウンド電極が正または負の何れか一方にのみ帯電することによって、サラウンド電極の内部空間に面した表面上に、上記電解質に由来する陰イオンまたは陽イオンの何れか一方のみを引き付けることができる。そして、陰イオンまたは陽イオンの何れか一方のみによって電気浸透流を発生させれば、電気浸透流が流れる方向を揃えることができる。そして、電気浸透流の流れる方向を揃えることができれば、当該電気浸透流によって、物質の移動速度を正確に制御することができる。
サラウンド電極を正または負の何れか一方に帯電させるための方法としては特に限定されないが、例えば、周知の電圧印加手段を用いてサラウンド電極に所望のゲート電圧を印加すればよい。
サラウンド電極に印加する電圧は特に限定されないが、例えば、−5V以上5V以下であってもよく、−3V以上3V以下であってもよく、−1V以上1V以下であってもよい。
サラウンド電極に負のゲート電圧を印加する場合、印加するゲート電圧の値としては特に限定されないが、例えば、−0.1V以下であることが好ましく、−0.2V以下であることが更に好ましく、−0.3V以下であることが更に好ましく、−0.4V以下であることが更に好ましく、−0.5V以下であることが更に好ましく、−1.0V以下であることが最も好ましい。
サラウンド電極に−0.5V以下のゲート電圧を印加すれば、強い電気浸透流を発生させることができるので、確実に、かつ正確に物質の移動速度を制御することができる。また、サラウンド電極に−1.0V以下のゲート電圧を印加すれば、更に強い電気浸透流を発生させることができるので、−0.5Vのゲート電圧を印加する場合と比較して、物質を、より良く減速または加速することができる。
一方、サラウンド電極に正のゲート電圧を印加する場合、印加するゲート電圧の値としては特に限定されないが、例えば、0.1V以上であることが好ましく、0.2V以上であることが更に好ましく、0.25V以上であることが更に好ましく、0.5V以上であることが更に好ましく、1.0V以上であることが最も好ましい。
サラウンド電極に0.25V以上のゲート電圧を印加すれば、強い電気浸透流を発生させることができるので、確実に、かつ正確に物質の移動速度を制御することができる。また、サラウンド電極に0.5V以上または1.0V以上のゲート電圧を印加すれば、更に強い電気浸透流を発生させることができるので、0.25Vのゲート電圧を印加する場合と比較して、物質を、より良く減速または加速することができる。
サラウンド電極の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、貫通孔が形成された基板において、当該貫通孔の表面上に電極として機能する金属(例えば、金属膜)を環状または筒状にコーティングする。そして、当該環状または筒状の金属を、サラウンド電極として機能させることができる。
サラウンド電極として金属を用いれば、物質の移動速度を線形的に制御できるという利点がある。従来のゲート電極(非特許文献2参照)は半導体(シリコン)で作製されているため、ゲート電圧に対する電気浸透流の変化は非線形であるのに対し、金属電極を用いたゲート電極では線形応答をするため、物質の移動速度の制御が容易である。
上記金属としては特に限定されないが、例えば、Pt、Au、Cr、Ag、AlまたはCuなどを挙げることができる。また、複数の金属を用いてサラウンド電極を形成することも可能である。例えば、サラウンド電極として、「Pt/Au/Pt/Cr」を用いることも可能である。なお、複数の金属を用いてサラウンド電極を形成する場合、各金属層の厚さは、特に限定されない。
本実施の形態の制御装置では、電気浸透流が発生しているサラウンド電極の内部空間を流路(換言すれば、物質)が通過する。電気浸透流は、サラウンド電極の表面近傍で発生するので、サラウンド電極の表面に近いほど、より強い電気浸透流が発生している。それ故に、サラウンド電極の内部空間の形状を調節すれば、物質に対して、更に効果的に電気浸透流を作用させることが可能になる。
サラウンド電極の内部空間の形状としては特に限定されないが、例えば、筒状であることが好ましい。この場合、物質は、上記筒の一端側の開口から筒の内部へ入り、筒の内部空間を移動した後に、上記筒の他端側の開口から筒の外部へ出ることになる。
物質の移動方向に対して垂直な方向における、上記内部空間の断面の形状は特に限定されず、円形であってもよく、多角形(例えば、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形など)であってもよい。
より容易に内部空間を形成するとともに、より流れが安定した電気浸透流を発生させるという観点からは、物質の移動方向に対して垂直な方向における、上記内部空間の断面の形状は、円形であることが好ましいといえる。
本実施の形態の制御装置では、サラウンド電極の内部空間の、物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をYとし、サラウンド電極の内部空間を通過している物質の、当該物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をXとしたとき、上記XとYとの長さの比R=X/Y[無次元]は、0.50<X/Y<1の関係を満たすことが好ましく、0.60<X/Y<1の関係を満たすことが更に好ましく、0.65<X/Y<1の関係を満たすことが更に好ましく、0.70<X/Y<1の関係を満たすことが更に好ましく、0.80<X/Y<1の関係を満たすことが更に好ましく、0.90<X/Y<1の関係を満たすことが更に好ましく、0.95<X/Y<1の関係を満たすことが最も好ましい。
上記構成によれば、物質の少なくとも一部がサラウンド電極の表面近くに配置されるので、より確実に、物質が電気浸透流の力を受けることができる。その結果、より確実に、物質の移動速度を制御することができる。また、上記構成によれば、サラウンド電極の内部空間へ複数個の物質(例えば、2分子のDNAなど)が侵入することを防ぐことができるので、1個(例えば、1分子のDNAなど)の物質の移動速度を制御することができる。
本実施の形態の制御装置では、上記サラウンド電極の内部空間の、物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅は、1.2μmよりも短いことが好ましく、1.0μmよりも短いことが更に好ましく、0.85μmよりも短いことが更に好ましく、0.35μmよりも短いことが更に好ましく、0.20μmよりも短いことが更に好ましく、0.15μmよりも短いことが更に好ましく、0.04μmよりも短いことが更に好ましく、0.02μmよりも短いことが更に好ましい。
サラウンド電極の表面の近傍では、より強い電気浸透流が発生している。それ故に、サラウンド電極の内部空間の全体に強い電気浸透流を発生させようとすれば、サラウンド電極の内部空間の、物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅は、短いほど好ましいといえる。
サラウンド電極の内部空間の、物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅が上述した範囲であれば、サラウンド電極の内部空間の全体に強い電気浸透流を発生させることができ、これによって、より良く物質の移動速度を制御することができる。
上記サラウンド電極の内部空間には、電解質が溶解した媒体が配置されている。当該媒体は、上述した電極対の正極と負極との間にも配置され得る。
上記媒体としては特に限定されないが、例えば、液体、ゲル、または、これらの混合物を用いることが可能である。
上記液体としては特に限定されないが、例えば、水、TEバッファー(Tris-HCl,EDTAバッファー)、または、塩化物(例えば、KCl、LiClまたはNaCl)を含有する水溶液を挙げることが可能である。より強い電気浸透流を発生させるという観点からは、これらの中では、イオンの移動度が高いKClを含有する水溶液が好ましいといえる。また、pHが7から外れるほど電気浸透流は強くなるため、Tris−HClとKCl等とを混ぜた電解質溶液も好ましいと言える。
上記ゲルとしては特に限定されないが、例えば、ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲル、デキストラン、またはポリエチレングレコールなどを挙げることが可能である。より強い電気浸透流を発生させるという観点からは、これらの中では、粘度の低いデキストランまたはポリエチレングレコールが好ましいといえる。
上記媒体中に溶解している電解質としては特に限定されないが、例えば、KCl、NaCl、LiClなどを用いることが好ましい。
電解質としてKClを用いる場合、媒体中における電解質の濃度は特に限定されないが、例えば、1mM以上1M以下であることが好ましいく、100mM以上1M以下であることが更に好ましい。上記構成によれば、より強い電気浸透流を発生させることができる。
電解質としてNaClを用いる場合、媒体中における電解質の濃度は特に限定されないが、例えば、1mM以上1M以下であることが好ましいく、100mM以上1M以下であることが更に好ましい。上記構成によれば、より強い電気浸透流を発生させることができる。
電解質としてLiClを用いる場合、媒体中における電解質の濃度は特に限定されないが、例えば、1mM以上1M以下であることが好ましいく、100mM以上1M以下であることが更に好ましい。上記構成によれば、より強い電気浸透流を発生させることができる。
本発明の制御装置では、電解質溶液の濃度は1mM以上1M以下が好ましく、濃度を変えることで、電気浸透流の流域(デバイ長)を制御することが可能である。例えば、濃度を高くすることで流域流域(デバイ長)は狭くなり、濃度を下げることで流域流域(デバイ長)は広くなる。
〔4.ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する装置〕
本実施の形態のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する装置は、本発明の制御装置を備えている。本発明の制御装置については既に説明したので、ここでは、その他の構成について説明する。
本実施の形態のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する装置は、周知のあらゆるシーケンサーと、本発明の制御装置とを組み合わせることによって構成することが可能である。なお、上記ポリヌクレオチドの構成成分は、DNAであってもRNAであってもよい。また、当該DNAおよびRNAは、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。
例えば、周知のシーケンサーには、蛍光色素が付加されたDNA断片群をゲル(例えば、板状のゲル、キャピラリー状のゲル)よって分離しながら、各DNA断片に付加されている蛍光色素の種類を検知することによって塩基配列を読解するタイプのものがある。
この場合には、ゲルによって形成されるDNA断片の移動経路の一部として本発明の制御装置を配置し当該制御装置の下流側に蛍光を検知するための構成を配置すればよい。上記構成によれば、蛍光色素が付加されたDNA断片が本発明の制御装置のサラウンド電極を通過するときに当該DNA断片の移動速度が減速し、その後で、蛍光が検出されることになる。その結果、精度良く塩基配列を決定することができる。
または、PCT/JP2011/054631に開示されている「ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する装置」と本発明の制御装置とを組み合わせることによって、本発明のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する装置を構成することが可能である。
この場合にも、上述した場合と同様に、DNA断片の移動経路において、本発明の制御装置のサラウンド電極の下流側に塩基配列を読解するための構成を配置すればよい。
なお、PCT/JP2011/054631は、本明細書中に参考として援用される。
<1.物質の移動速度の評価方法>
物質の移動速度の評価方法について説明する。
図5および5に、サラウンド電極1の内部空間を流れるイオン電流(負極2と正極3との間に流れるイオン電流)に着目して、本実施例における制御装置の等価回路を示す。
図5に示すように、本実施例の制御装置では、サラウンド電極1の内部空間の抵抗値をRporeとし、それ以外の領域における抵抗値をRaceとすると、全抵抗値を。Rpore+Raceと記載することができる。なお、Raceは、サラウンド電極1よりも負極2側の領域の抵抗値であるRace/2と、サラウンド電極1よりも正極3側の領域の抵抗値であるRace/2との和となる。
図6(a)に示すように、サラウンド電極1の内部空間の抵抗値(R)は、以下の式にて示すことができる。つまり、
R=ρL/πr+ρ/2r ・・・・・・(1)
上記式中、ρは、電解質溶液の抵抗率であり、Lは、物質の移動方向におけるサラウンド電極1の長さであり、rは、サラウンド電極1の内部空間を略円柱形と考えたときの当該円柱の断面における円の半径である。
図6(b)に示すように、サラウンド電極1の内部空間に物質10が存在すれば、上述した(1)の式において「πr」の値が変化することになる。具体的には、サラウンド電極1の内部空間に物質10が存在すれば、「πr」の値が小さくなり、その結果「R」の値が大きくなる。そして、「R」の値が大きくなれば、サラウンド電極1の内部空間を流れるイオン電流の電流値が小さくなる。そして、各時間におけるイオン電流の電流値の変化を観測すれば、サラウンド電極1の内部空間における物質10の移動状況を把握することが可能になる。
図7および7を用いて、各時間におけるイオン電流の電流値の変化を具体的に説明する。
図7(a)〜図7(c)に、サラウンド電極1の内部空間を通過する物質10の状態を示している。なお、図7(a)〜図7(c)において、矢印は、物質10の移動方向を示している。
図7(a)は、サラウンド電極1の内部空間へ侵入する途中の物質10を示しており、物質10の一部が、サラウンド電極1の内部空間の中に配置されている。図7(b)は、サラウンド電極1の内部空間へ侵入した後の物質10を示しており、物質10の全体が、サラウンド電極1の内部空間の中に配置されている。図7(c)は、サラウンド電極1の内部空間から出る途中の物質10を示しており、物質10の一部が、サラウンド電極1の内部空間の中に配置されている。
図8は、図7(a)〜図7(c)の各状態において、サラウンド電極1の内部空間を流れるイオン電流の電流値の概略を示している。
物質10がサラウンド電極1の内部空間へ侵入する以前は、上述した(1)の式にて示される抵抗値に変化はないので、一定のイオン電流が流れている。
図8の「A」は、図7(a)の状態において、サラウンド電極1の内部空間を流れるイオン電流の電流値の概略を示している。図8の「A」では、サラウンド電極1の内部空間へ物質10が侵入し始めるために、上述した(1)の式にて示される抵抗値の値が上昇し始め、その結果、イオン電流の電流値が低下し始める。
図8の「B」は、図7(c)の状態において、サラウンド電極1の内部空間を流れるイオン電流の電流値の概略を示している。図8の「B」では、サラウンド電極1の内部空間から物質10が出始めるために、上述した(1)の式にて示される抵抗値の値が低下し始め、その結果、イオン電流の電流値が上昇し始める。
図8の「A」から「B」の間は、図7(b)の状態において、サラウンド電極1の内部空間を流れるイオン電流の電流値の概略を示している。図8の「A」から「B」の間では、サラウンド電極1の内部空間の中に物質10の全体が含まれているために、イオン電流の電流値が低いままで維持される。
図8に示す「t」は、「A」と「B」との間の時間を示している。換言すれば、当該「t」は、物質10がサラウンド電極1の内部空間の中に存在している時間である。そして、当該「t」は、物質10の移動速度が増加すれば短くなり、物質10の移動速度が減少すれば長くなる。それ故に、当該「t」を測定することによって、物質10の移動速度の増減を評価することができる。
<2.制御装置の作製>
図9を用いて、本実施例の制御装置の作製方法を説明する。
基板の両面が窒化されたシリコン基板51(シリコン基板51は、両面として、窒化シリコンメンブレン50、窒化シリコンメンブレン52を有している)に対して、微細加工(具体的には、電子線描画することによって)によって貫通孔を形成した。
次いで、窒化シリコンメンブレン50の上に、スパッタ法によってゲート電極53を形成した。なお、ゲート電極53の具体的な構成は、「Pt(例えば、2nm)/Au(例えば、70nm)/Pt(例えば、2nm)/Cr(例えば、2nm)」であった。
次いで、CVD法によってSiO膜54を形成し、当該SiO膜54によって、ゲート電極53を覆った。
このようにして形成したSiO膜54で被覆したゲート電極53がサラウンド電極として機能し、物質は、SiO膜54で被覆したゲート電極53に形成された隙間(孔)を通過することになる。
なお、実際に試験を行う場合には、以上のように作製した基板の上下に、流路が掘られたPDMSを張り合わせ、上記流路の一端から貫通孔に向かって、各種試料を流し込んだ。
以上のようにして作製されたサラウンド電極に形成された貫通孔の写真を図10に示す。
図10に示すように、貫通孔の直径は、各々、850nm、350nm、200nm、150nm、40nm、20nmであった。このことは、所望の直径を有する貫通孔を作製可能であることを示している。
<3.物質(ポリスチレン粒子)の移動速度の制御に関する検討>
<2.制御装置の作製>にしたがって、貫通孔の直径が1000nmであり、厚さが35nm、または、50nmの窒化シリコンメンブレン50にサラウンド電極を形成した。そして、更に、当該サラウンド電極を用いて、図3に示す制御装置を作製した。
移動させる物質としてポリスチレン粒子(直径780nm)を、SiO膜54で被覆したサラウンド電極の内部空間に配置する媒体としてTEバッファー(pH8.0)を、負極2と正極3との間に印加する電圧として0.2Vを用いた。
そして、サラウンド電極に印加する電圧を変化させたときの(Vg=0V、または、Vg=−0.5V)、ポリスチレン粒子の移動速度の変化(具体的には、上述したtの変化)を観察した。
図11は、窒化シリコンメンブレン50の厚さが35nmである場合に、サラウンド電極に印加する電圧を変化させたときの(Vg=0V、または、Vg=−0.5V)、ポリスチレン粒子の移動速度の変化(具体的には、上述したtの変化)の観察結果である。
図11においては、「Vg=0V」の場合、「t」は、1.03msであった。一方、「Vg=−0.5V」の場合、「t」は、1.64msであった。このことは、ゲート電極53へ電圧を印加することによって、ポリスチレン粒子の移動速度が減速したことを示している。
図12は、窒化シリコンメンブレン50の厚さが50nmである場合に、サラウンド電極に印加する電圧を変化させたときの(Vg=0V、または、Vg=−0.5V)、ポリスチレン粒子の移動速度の変化(具体的には、上述したtの変化)の観察結果である。
図12においては、「Vg=0V」の場合、「t」は、1.75msであった。一方、「Vg=−0.5V」の場合、「t」は、2.4msであった。このことは、SiO膜54で被覆したゲート電極53へ電圧を印加することによって、ポリスチレン粒子の移動速度が減速したことを示している。
<4.物質(DNA)の移動速度の制御に関する検討>
<2.制御装置の作製>にしたがって、貫通孔の直径が20nmであり、厚さが35nmの窒化シリコンメンブレン50にサラウンド電極を形成した。そして、更に、当該サラウンド電極を用いて、図3に示す制御装置を作製した。
移動させる物質としてDNA(DNAの形状を略円柱とみなした場合、当該円柱の長さは略150nmであり、当該円柱の断面である円の直径は略2nmである)を、SiO膜54で被覆したサラウンド電極の内部空間に配置する媒体としてKClを含有する水溶液(KClの濃度:10mM)を、負極2と正極3との間に印加する電圧として0.2Vを用いた。
そして、サラウンド電極に印加する電圧を変化させたときの(Vg=0V、または、Vg=−0.5V)、DNAの移動速度の変化(具体的には、上述したtの変化)を観察した。
図13に示すように、「Vg=0V」の場合、「t」は、35msであった。一方、「Vg=−0.5V」の場合、「t」は、350msであった。このことは、SiO膜54で被覆したゲート電極53へ電圧を印加することによって、DNAの移動速度が約1/10にまで減速したことを示している。
<5.サラウンド電極に印加する電圧の、物質の移動速度に対する影響−1>
上述した<3>および<4>と同様の手法にて、サラウンド電極に印加する電圧の、物質の移動速度に対する影響を検討した。
まず、<2.制御装置の作製>にしたがって、貫通孔の直径が1000nmであり、厚さが35nmの窒化シリコンメンブレン50にサラウンド電極を形成した。更に、当該サラウンド電極を用いて、図3に示す制御装置を作製した。
移動させる物質としてポリスチレン粒子(直径780nm)を、SiO膜54で被覆したサラウンド電極の内部空間に配置する媒体としてTEバッファー(pH8.0)を、負極2と正極3との間に印加する電圧として0.2Vを用いた。
そして、サラウンド電極に印加する電圧を変化させたときの(Vg=0V、Vg=−0.25、Vg=−0.5V、Vg=−1.0、または、Vg=0.25)、ポリスチレン粒子の移動速度の変化(具体的には、上述したtの変化)を観察した。
その結果、「Vg=0V」の場合、「t」は1.03msであり、「Vg=−0.25」の場合、「t」は0.99msであり、「Vg=−0.5V」の場合、「t」は1.64msであり、「Vg=−1.0」の場合、「t」は35msであり、「Vg=0.25」の場合、「t」は0.90msであった。
つまり、物質を減速させる場合には、SiO膜54で被覆したサラウンド電極に対して−0.5V以下の電圧を印加することが好ましいことが明らかになった。また、SiO膜54で被覆したサラウンド電極に対して−1.0Vの電圧を印加した場合には、電圧を印加しなかった場合(Vg=0V)の移動速度の1/35にまで減速することができた。
一方、物質を加速させる場合には、SiO膜54で被覆したサラウンド電極に対して0.25V以上の電圧を印加することが好ましいことが明らかになった。
なお、貫通孔の直径が1.2μm以上のときには、サラウンド電極に印加する電圧を変化させても、ポリスチレン粒子の移動速度が変化しなかった。
<6.サラウンド電極に印加する電圧の、物質の移動速度に対する影響−2>
上述した<3>および<4>と同様の手法にて、SiO膜54で被覆したサラウンド電極に印加する電圧の、物質の移動速度に対する影響を検討した。
まず、<2.制御装置の作製>にしたがって、貫通孔の直径が1000nmであり、厚さが50nmの窒化シリコンメンブレン50にSiO膜54で被覆したサラウンド電極を形成した。そして、更に、当該サラウンド電極を用いて、図3に示す制御装置を作製した。つまり、<6>に記載の制御装置と、<5>に記載の制御装置とでは、窒化シリコンメンブレン50の厚さが異なっている。
移動させる物質としてポリスチレン粒子(直径780nm)を、サラウンド電極の内部空間に配置する媒体としてTEバッファー(pH8.0)を、負極2と正極3との間に印加する電圧として0.2Vを用いた。
そして、サラウンド電極に印加する電圧を変化させたときの(Vg=0V、Vg=−0.5V、または、Vg=0.25)、ポリスチレン粒子の移動速度の変化(具体的には、上述したtの変化)を観察した。
その結果、「Vg=0V」の場合、「t」は1.75msであり、「Vg=−0.5V」の場合、「t」は2.4msであり、「Vg=0.25」の場合、「t」は1.4msであった。
つまり、物質を減速させる場合には、サラウンド電極に対して−0.5V以下の電圧を印加することが好ましいことが明らかになった。一方、物質を加速させる場合には、サラウンド電極に対して0.25V以上の電圧を印加することが好ましいことが明らかになった。
なお、貫通孔の直径が1.2μm以上のときには、サラウンド電極に印加する電圧を変化させても、ポリスチレン粒子の移動速度が変化しなかった。
<7.サラウンド電極に印加する電圧および貫通孔の大きさの、物質の移動速度に対する影響>
<2.制御装置の作製>にしたがって、貫通孔の直径が1200nmであり、厚さが50nmの窒化シリコンメンブレン50にサラウンド電極を形成した。更に、当該サラウンド電極を用いて、図3に示す制御装置を作製した。
移動させる物質としてポリスチレン粒子(直径780nm)を、サラウンド電極の内部空間に配置する媒体としてTEバッファー(pH8.0)を、負極2と正極3との間に印加する電圧として0.2Vを用いた。
そして、サラウンド電極に印加する電圧を変化させたときの(Vg=0V、Vg=−0.5V)、ポリスチレン粒子の移動速度の変化(具体的には、上述したtの変化)を観察した。
その結果を図14に示す。図14に示すように、「Vg=0V」の場合、「t」は2.37msであり、「Vg=−0.5」の場合、「t」は2.26msであった。つまり、貫通孔の直径が1.2μm以上のときには、サラウンド電極に印加する電圧を変化させても、ポリスチレン粒子の移動速度を減速させる効果は低かった。
本発明は、物質の移動速度を制御する必要がある分野に利用することができる。
例えば、本発明は、米国立衛生研究所(NIH)が進める次々世代シーケンサーに利用することが可能であって、PCRによるDNAの増幅およびDNAの化学修飾が不要な次々世代シーケンサーに応用することができる。また、本発明は、インフルエンザウイルスやアレルゲンなどの生体分子を1分子にて検出する高感度センサーへ応用することができる。
1 サラウンド電極
2 負極
3 正極
5 陽イオン
6 陰イオン
7 電気浸透流
10 物質
50 窒化シリコンメンブレン
51 シリコン基板
52 窒化シリコンメンブレン
53 ゲート電極
54 SiO

Claims (21)

  1. 流体流路を通して物質の流速を管理する方法であって、
    (a)電極対によって設けられた電界を用いて、長さを有する上記流体流路に沿って物質を移動させる工程であって、上記流体流路は上記長さに沿って略対向している対向電極部分を有する内部空間を有し、上記対向電極部分のそれぞれは、導電性物質に隣接する非導電性膜を有し、上記非導電性膜は前記物質を含む溶液に接触する、工程と、
    (b)上記対向電極部分に正または負の何れかの電圧を印加することによって上記流体流路を通して上記物質の上記流速を変化させる工程と、
    を有し、
    上記流体流路の上記内部空間の、上記物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をYとし、上記流体流路の上記内部空間を通過している上記物質の、当該物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をXとしたとき、
    上記XとYとの長さの比R=X/Y[無次元]は、0.5<X/Y<1の関係を満たすことを特徴とする方法。
  2. 上記物質は、帯電していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 上記(b)は、略−3V以上、3V以下のゲート電圧を印加することを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記対向電極部分への正または負の何れかの電圧の印加は上記内部空間に電気浸透流を発生させることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の方法。
  5. 上記対向電極部分のそれぞれは、金属材料によって形成されたものであることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の方法。
  6. 流体流路を通して物質の流速を管理する装置であって、
    流体流路を含む流路であって、上記流体流路は、(i)長さ、及び、上記物質が流れるのに足りる断面と、(ii)上記長さに沿って略対向している対向電極部分を有する内部空間とを含み、上記対向電極部分のそれぞれは、導電性物質に隣接する非導電性膜を有し、上記非導電性膜は前記物質を含む溶液に接触する、流路と、
    上記流体流路を通して上記物質を流す電界を提供する、上記流体流路の対向端部にある一対の電極と、
    を備え
    上記流体流路の上記内部空間の、上記物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をYとし、上記流体流路の上記内部空間を通過している上記物質の、当該物質の移動方向に対して垂直な方向における断面の最大幅をXとしたとき、
    上記XとYとの長さの比R=X/Y[無次元]は、0.5<X/Y<1の関係を満たすことを特徴とする装置。
  7. 上記物質は、電荷を有する物質であることを特徴とする請求項に記載の装置。
  8. 上記対向電極部分に正または負の何れかの電圧を印加して、上記流体流路を通して上記物質の上記流速を変化させる電圧印加部を備えていることを特徴とする請求項またはに記載の装置。
  9. 上記対向電極部分への正または負の何れかの電圧の印加は上記内部空間に電気浸透流を発生させるものであることを特徴とする請求項に記載の装置。
  10. 上記対向電極部分のそれぞれは、金属材料によって形成されたものであることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の装置。
  11. 請求項10の何れか1項に記載の装置を備えていることを特徴とするポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する装置。
  12. (c)前記流体流路を通して前記物質の前記流速を変化させるとき前記物質または前記物質の位置を検出することを特徴とする請求項1記載の方法。
  13. 前記導電性物質は前記非導電性膜によって覆われていることを特徴とする請求項1記載の方法。
  14. 前記非導電性膜は半導体酸化膜であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  15. 前記物質は生体分子であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  16. 前記生体分子は核酸分子であることを特徴とする請求項15記載の方法。
  17. 前記生体分子はタンパク質であることを特徴とする請求項15記載の方法。
  18. 前記流体流路を通して前記物質の前記流速を変化させるとき前記物質または前記物質の位置を検出する検出器をさらに備えることを特徴とする請求項記載の装置。
  19. 前記流体流路は、デバイ長を有する前記対向電極部分に隣接する電荷層を含むことを特徴とする請求項記載の装置。
  20. 前記電圧印加部は前記対向電極部分に略−3V以上、3V以下のゲート電圧を印加することを特徴とする請求項記載の装置。
  21. 前記一対の電極は第1電極および第2電極を含み、前記電圧印加部は前記第1電極に正または負の何れかの電圧を印加することを特徴とする請求項記載の装置。
JP2012286115A 2012-12-27 2012-12-27 物質の移動速度の制御方法および制御装置 Expired - Fee Related JP6282036B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012286115A JP6282036B2 (ja) 2012-12-27 2012-12-27 物質の移動速度の制御方法および制御装置
US13/975,610 US9506894B2 (en) 2012-12-27 2013-08-26 Method for controlling substance moving speed and apparatus for controlling the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012286115A JP6282036B2 (ja) 2012-12-27 2012-12-27 物質の移動速度の制御方法および制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014126554A JP2014126554A (ja) 2014-07-07
JP6282036B2 true JP6282036B2 (ja) 2018-02-21

Family

ID=51015921

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012286115A Expired - Fee Related JP6282036B2 (ja) 2012-12-27 2012-12-27 物質の移動速度の制御方法および制御装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9506894B2 (ja)
JP (1) JP6282036B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9194838B2 (en) 2010-03-03 2015-11-24 Osaka University Method and device for identifying nucleotide, and method and device for determining nucleotide sequence of polynucleotide
EP4109094A1 (en) 2011-04-04 2022-12-28 President and Fellows of Harvard College Nanopore sensing by local electrical potential measurement
JP6276182B2 (ja) 2012-08-17 2018-02-07 クオンタムバイオシステムズ株式会社 試料の分析方法
EP3047282B1 (en) 2013-09-18 2019-05-15 Quantum Biosystems Inc. Biomolecule sequencing devices, systems and methods
JP2015077652A (ja) 2013-10-16 2015-04-23 クオンタムバイオシステムズ株式会社 ナノギャップ電極およびその製造方法
US10438811B1 (en) 2014-04-15 2019-10-08 Quantum Biosystems Inc. Methods for forming nano-gap electrodes for use in nanosensors
CN112816679B (zh) 2015-02-05 2024-05-28 哈佛大学校长及研究员协会 一种用于感测分子穿过纳米孔的移位的方法
ES2877193T3 (es) 2016-04-27 2021-11-16 Quantum Biosystems Inc Sistemas y métodos para la medición y secuenciación de biomoléculas
US11740226B2 (en) 2017-10-13 2023-08-29 Analog Devices International Unlimited Company Designs and fabrication of nanogap sensors
EP3731959A4 (en) 2017-12-29 2021-10-13 Clear Labs Inc. AUTOMATED PRIMING AND LIBRARY LOADER
US11307161B2 (en) 2018-07-11 2022-04-19 Aipore Inc. Flow passage
US11460437B2 (en) * 2019-03-12 2022-10-04 Tohoku University Endotoxin detection device and endotoxin detection method
US11994484B2 (en) * 2021-03-25 2024-05-28 The Regents Of The University Of California Apparatus and method for single cell discrimination

Family Cites Families (87)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA1339779C (en) * 1987-06-17 1998-03-24 Xiao-Hua Huang On-column conductivity detector for microcolumn electrokinetic separations
US5151164A (en) 1990-02-09 1992-09-29 The University Of Maryland Enhanced capillary zone electrophoresis and apparatus for performance thereof
US5122248A (en) 1990-05-18 1992-06-16 Northeastern University Pulsed field capillary electrophoresis
US5092972A (en) 1990-07-12 1992-03-03 Board Of Supervisors Of Louisiana State University And Agricultural And Mechanical College Field-effect electroosmosis
US5262031A (en) 1991-06-21 1993-11-16 Hewlett-Packard Company Electroosmotic flow control apparatus for capillary electrophoresis
JP3560990B2 (ja) 1993-06-30 2004-09-02 株式会社東芝 固体撮像装置
US5585069A (en) 1994-11-10 1996-12-17 David Sarnoff Research Center, Inc. Partitioned microelectronic and fluidic device array for clinical diagnostics and chemical synthesis
US5885470A (en) 1997-04-14 1999-03-23 Caliper Technologies Corporation Controlled fluid transport in microfabricated polymeric substrates
US5906723A (en) 1996-08-26 1999-05-25 The Regents Of The University Of California Electrochemical detector integrated on microfabricated capillary electrophoresis chips
US6159353A (en) 1997-04-30 2000-12-12 Orion Research, Inc. Capillary electrophoretic separation system
EP1163369B1 (en) 1999-02-23 2011-05-04 Caliper Life Sciences, Inc. Sequencing by incorporation
US6521428B1 (en) 1999-04-21 2003-02-18 Genome Technologies, Llc Shot-gun sequencing and amplification without cloning
US6635163B1 (en) 1999-06-01 2003-10-21 Cornell Research Foundation, Inc. Entropic trapping and sieving of molecules
US6491805B1 (en) 2000-05-23 2002-12-10 Agilent Technologies, Inc. Sample-analysis system with antisynchronously driven contactless conductivity detector
JP2001272374A (ja) * 2000-03-27 2001-10-05 Kikuchi Jun 免疫分析方法ならびに装置
US6413792B1 (en) 2000-04-24 2002-07-02 Eagle Research Development, Llc Ultra-fast nucleic acid sequencing device and a method for making and using the same
WO2001081896A1 (en) 2000-04-24 2001-11-01 Eagle Research & Development, Llc An ultra-fast nucleic acid sequencing device and a method for making and using the same
US8232582B2 (en) 2000-04-24 2012-07-31 Life Technologies Corporation Ultra-fast nucleic acid sequencing device and a method for making and using the same
US6890409B2 (en) 2001-08-24 2005-05-10 Applera Corporation Bubble-free and pressure-generating electrodes for electrophoretic and electroosmotic devices
JP2003090815A (ja) 2001-09-18 2003-03-28 Japan Science & Technology Corp 遺伝子の電気化学的検出方法と核酸チップ
KR100438828B1 (ko) 2001-11-08 2004-07-05 삼성전자주식회사 칩 상의 전기적 미세 검출기
US6905586B2 (en) 2002-01-28 2005-06-14 Ut-Battelle, Llc DNA and RNA sequencing by nanoscale reading through programmable electrophoresis and nanoelectrode-gated tunneling and dielectric detection
US7217562B2 (en) 2002-04-16 2007-05-15 Princeton University Gradient structures interfacing microfluidics and nanofluidics, methods for fabrication and uses thereof
JP2003332555A (ja) 2002-05-09 2003-11-21 Fuji Film Microdevices Co Ltd 固体撮像素子およびその製造方法
JP4203548B2 (ja) * 2002-09-23 2009-01-07 禅 高村 細胞分離方法、細胞分離装置および細胞分離装置の製造方法
US7033476B2 (en) 2002-12-31 2006-04-25 Ut-Battelle, Llc Separation and counting of single molecules through nanofluidics, programmable electrophoresis, and nanoelectrode-gated tunneling and dielectric detection
US7410564B2 (en) 2003-01-27 2008-08-12 Agilent Technologies, Inc. Apparatus and method for biopolymer identification during translocation through a nanopore
US20040202994A1 (en) * 2003-02-21 2004-10-14 West Virginia University Research Corporation Apparatus and method for on-chip concentration using a microfluidic device with an integrated ultrafiltration membrane structure
CA2517216A1 (en) 2003-02-28 2004-10-07 Brown University Nanopores, methods for using same, methods for making same and methods for characterizing biomolecules using same
US20050136419A1 (en) 2003-03-28 2005-06-23 The Regents Of The University Of California Method and apparatus for nanogap device and array
US20120254715A1 (en) 2003-07-10 2012-10-04 David Charles Schwartz Visualizer and editor for single molecule analysis
US20050048513A1 (en) 2003-08-28 2005-03-03 Alex Harwit Rapid hybridization based on cyclical electric fields
US7279337B2 (en) 2004-03-10 2007-10-09 Agilent Technologies, Inc. Method and apparatus for sequencing polymers through tunneling conductance variation detection
US20050202446A1 (en) 2004-03-11 2005-09-15 Yang Dan-Hui D. Methods for biopolymer sequencing using metal inclusions
US20060057585A1 (en) 2004-09-10 2006-03-16 Mcallister William H Nanostepper/sensor systems and methods of use thereof
US7892414B1 (en) 2004-11-19 2011-02-22 The United States Of America As Represented By The Secretary Of Army Electrochemical biosensors, applications and methods of making biosensors
EP1841883A4 (en) 2004-12-28 2009-02-25 Japan Science & Tech Agency METHOD FOR THE ANALYSIS OF NUCLEOBASES TO SINGLE MOLECULAR BASIS
US20060210995A1 (en) 2005-03-15 2006-09-21 Joyce Timothy H Nanopore analysis systems and methods of using nanopore devices
US7468271B2 (en) 2005-04-06 2008-12-23 President And Fellows Of Harvard College Molecular characterization with carbon nanotube control
US7326328B2 (en) 2005-07-19 2008-02-05 General Electric Company Gated nanorod field emitter structures and associated methods of fabrication
US20080215252A1 (en) 2005-07-25 2008-09-04 Tomoji Kawai Method of Determining Base Sequence of Nucleic Acid and Apparatus Therefor
KR100849384B1 (ko) 2005-10-21 2008-07-31 한국생명공학연구원 나노갭 및 나노갭 센서의 제조방법
CA2637617C (en) 2006-02-16 2018-09-18 454 Life Sciences Corporation System and method for correcting primer extension errors in nucleic acid sequence data
JP4869985B2 (ja) 2006-03-06 2012-02-08 株式会社Jvcケンウッド 液晶表示装置及びその製造方法
JP4765813B2 (ja) 2006-07-28 2011-09-07 三菱瓦斯化学株式会社 二重鎖dna量の電気化学的測定方法
GB0625070D0 (en) 2006-12-15 2007-01-24 Imp Innovations Ltd Characterization of molecules
JP2008186975A (ja) 2007-01-30 2008-08-14 Renesas Technology Corp 半導体装置の製造方法
US8003319B2 (en) 2007-02-02 2011-08-23 International Business Machines Corporation Systems and methods for controlling position of charged polymer inside nanopore
WO2008124706A2 (en) 2007-04-06 2008-10-16 Arizona Board Of Regents Acting For And On Behalf Of Arizona State University Devices and methods for target molecule characterization
US9034637B2 (en) 2007-04-25 2015-05-19 Nxp, B.V. Apparatus and method for molecule detection using nanopores
AT505495A1 (de) 2007-07-04 2009-01-15 Arc Austrian Res Centers Gmbh Verfahren zur identifizierung und quantifizierung von organischen und biochemischen substanzen
KR20100085911A (ko) 2007-10-09 2010-07-29 유니버시티 오브 노트르 담 디락 다중 타겟 검출을 위한 미소유체 플랫폼
US20090136948A1 (en) * 2007-10-31 2009-05-28 Jongyoon Han Nanoconfinement- based devices and methods of use thereof
WO2009097174A2 (en) 2008-01-07 2009-08-06 Stc.Unm Electrochemical biosensor
GB0801142D0 (en) 2008-01-22 2008-02-27 Imp Innovations Ltd Label-free molecule detection and measurement
US8304273B2 (en) 2008-01-24 2012-11-06 Massachusetts Institute Of Technology Insulated nanogap devices and methods of use thereof
WO2009120642A1 (en) 2008-03-26 2009-10-01 Massachusetts Institute Of Technology Methods for fabricating electrokinetic concentration devices
US20090246788A1 (en) 2008-04-01 2009-10-01 Roche Nimblegen, Inc. Methods and Assays for Capture of Nucleic Acids
US10839940B2 (en) 2008-12-24 2020-11-17 New York University Method, computer-accessible medium and systems for score-driven whole-genome shotgun sequence assemble
US20100243449A1 (en) 2009-03-27 2010-09-30 Oliver John S Devices and methods for analyzing biomolecules and probes bound thereto
JP5372570B2 (ja) 2009-03-30 2013-12-18 株式会社日立ハイテクノロジーズ ナノポアを用いたバイオポリマー決定方法、システム、及びキット
WO2010117470A2 (en) 2009-04-10 2010-10-14 Pacific Biosciences Of California, Inc. Nanopore sequencing devices and methods
US8926904B2 (en) 2009-05-12 2015-01-06 Daniel Wai-Cheong So Method and apparatus for the analysis and identification of molecules
US8110410B2 (en) 2009-06-29 2012-02-07 International Business Machines Corporation Nanofludic field effect transistor based on surface charge modulated nanochannel
US8313633B2 (en) 2009-07-28 2012-11-20 Polestar Technologies, Inc. Molecular imprinted nanosensors and process for producing same
JP5413892B2 (ja) 2009-08-31 2014-02-12 オリヱント化学工業株式会社 有機・ナノ炭素複合系薄膜太陽電池
EP2521796B1 (en) 2010-01-04 2015-07-29 Life Technologies Corporation Dna sequencing methods and detectors and systems for carrying out the same
JP5336402B2 (ja) 2010-02-10 2013-11-06 有限会社バイオデバイステクノロジー サンプル採取量の補正方法とそれを用いた測定方法
US9194838B2 (en) 2010-03-03 2015-11-24 Osaka University Method and device for identifying nucleotide, and method and device for determining nucleotide sequence of polynucleotide
US8940663B2 (en) 2010-04-07 2015-01-27 Board Of Regents, The University Of Texas System Nano-scale biosensors
US8568878B2 (en) 2010-04-08 2013-10-29 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Directly fabricated nanoparticles for raman scattering
JP5728778B2 (ja) * 2010-06-01 2015-06-03 国立大学法人九州工業大学 解析装置及び解析装置の製造方法
US8518227B2 (en) * 2010-09-16 2013-08-27 Old Dominion University Research Foundation Nanopore-based nanoparticle translocation devices
US20120193231A1 (en) 2011-01-28 2012-08-02 International Business Machines Corporation Dna sequencing using multiple metal layer structure with organic coatings forming transient bonding to dna bases
US8986524B2 (en) 2011-01-28 2015-03-24 International Business Machines Corporation DNA sequence using multiple metal layer structure with different organic coatings forming different transient bondings to DNA
US8546080B2 (en) 2011-06-17 2013-10-01 International Business Machines Corporation Molecular dispensers
JP5670278B2 (ja) 2011-08-09 2015-02-18 株式会社日立ハイテクノロジーズ ナノポア式分析装置
JP5985654B2 (ja) 2011-12-28 2016-09-06 インテル コーポレイション 選択的表面固定化部位を有するナノギャップ・トランスデューサ
JP2013156167A (ja) 2012-01-30 2013-08-15 Osaka Univ 物質の移動速度の制御方法および制御装置、並びに、これらの利用
US10139417B2 (en) 2012-02-01 2018-11-27 Arizona Board Of Regents On Behalf Of Arizona State University Systems, apparatuses and methods for reading an amino acid sequence
CA2833368A1 (en) 2012-03-29 2013-10-03 Osaka University Polynucleotide base sequence determination method and polynucleotide base sequence determination device
US9551682B2 (en) 2012-06-29 2017-01-24 Intel Corporation High throughput biochemical detection using single molecule fingerprinting arrays
JP6276182B2 (ja) 2012-08-17 2018-02-07 クオンタムバイオシステムズ株式会社 試料の分析方法
US9188578B2 (en) 2013-06-19 2015-11-17 Globalfoundries Inc. Nanogap device with capped nanowire structures
CA2922600A1 (en) 2013-08-27 2015-03-05 Quantum Biosystems Inc. Nano-gap electrode and methods for manufacturing same
JP2018027018A (ja) 2013-08-27 2018-02-22 クオンタムバイオシステムズ株式会社 生体分子熱変性装置及びその製造方法
US9362162B2 (en) 2014-08-14 2016-06-07 Globalfoundries Inc. Methods of fabricating BEOL interlayer structures

Also Published As

Publication number Publication date
US9506894B2 (en) 2016-11-29
JP2014126554A (ja) 2014-07-07
US20140183040A1 (en) 2014-07-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6282036B2 (ja) 物質の移動速度の制御方法および制御装置
Lan et al. Pressure-driven nanoparticle transport across glass membranes containing a conical-shaped nanopore
ES2659343T3 (es) Dispositivo de poro dual
Lan et al. Nanoparticle transport in conical-shaped nanopores
Ali et al. A pH-tunable nanofluidic diode with a broad range of rectifying properties
Liu et al. Surface charge density determination of single conical nanopores based on normalized ion current rectification
US8581605B2 (en) Nanopore platforms for ion channel recordings and single molecule detection and analysis
Paik et al. Control of DNA capture by nanofluidic transistors
Hattori et al. Micro-and nanopillar chips for continuous separation of extracellular vesicles
Kim et al. Asymmetric nanochannel network-based bipolar ionic diode for enhanced heavy metal ion detection
JP6063693B2 (ja) 分析装置及び分析方法
US20060210995A1 (en) Nanopore analysis systems and methods of using nanopore devices
Vaclavek et al. Resistive pulse sensing as particle counting and sizing method in microfluidic systems: Designs and applications review
WO2013115185A1 (ja) 物質の移動速度の制御方法および制御装置、並びに、これらの利用
US20190178838A1 (en) High contrast signal to noise ratio device components
Xu et al. Controllable shrinking of glass capillary nanopores down to sub-10 nm by wet-chemical silanization for signal-enhanced DNA translocation
WO2010082860A1 (en) Method and device for nanopore based single-molecule protein/ protein interaction detection
Liu et al. Improving particle detection sensitivity of a microfluidic resistive pulse sensor by a novel electrokinetic flow focusing method
Khatri et al. Nanoconfinement and Crowding Enhanced Single-Molecule Detection of Small Molecules with Nanopipettes
Mir et al. Electrokinetic techniques applied to electrochemical DNA biosensors
JP5186675B2 (ja) 誘電泳動による微粒子の状態の測定方法
WO2007105784A1 (ja) 誘電泳動装置
JP6772195B2 (ja) 迅速かつ高感度なバクテリア検出
Chung et al. Electrodiffusioosmosis in a solid-state nanopore connecting two large reservoirs: Optimum pore size
US9658206B2 (en) Faster resistive-pulse sensing together with physical and mechanical characterization of particles and cells

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151225

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20160129

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20160226

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160415

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161018

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161219

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20161219

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170627

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20170825

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180123

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6282036

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees