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JP6494770B2 - イオン選択電極、その作製方法及びカートリッジ - Google Patents

イオン選択電極、その作製方法及びカートリッジ Download PDF

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JP6494770B2 JP2017539817A JP2017539817A JP6494770B2 JP 6494770 B2 JP6494770 B2 JP 6494770B2 JP 2017539817 A JP2017539817 A JP 2017539817A JP 2017539817 A JP2017539817 A JP 2017539817A JP 6494770 B2 JP6494770 B2 JP 6494770B2
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Description

本発明は,固体接触型イオン選択電極、その作製方法及びカートリッジに関する。
イオン選択電極は,参照電極と共に試料液に接触させるだけで測定対象イオン濃度に応じた起電力を発生させるという手軽さから,生物,医用,環境といった幅広い分野で用いられている。例えば,血液中イオン濃度は医学的観点から重要であるため,血中のナトリウム,カリウム,塩素の測定が毎年何百万件も行われている。これらの測定は,病院や検査センタにおける大型検査装置だけでなく,診療所や診療現場において小型装置を用いて行われている。
医用のイオン選択電極の多くは,測定対象イオンに選択的に結合するイオノフォアを含有する高分子型イオン感応膜を用いている。イオン感応膜とそれに接触する水溶液の間にはネルンストの式に従う界面電位が発生する。イオン感応膜の片面を測定対象イオンを一定濃度含む液(内部液)に接触させ,もう片面を濃度未知の試料液に接触させることで,両溶液間には濃度比に応じた電位が発生する。この原理を用いたのが内部液型イオン選択電極(IF-ISE; Inner-filling type Ion-selective electrode)である。内部液型イオン選択電極は内部液のおかげで電位が安定しており,電位の電極間差も小さく,理論値に近い電位が得られる。非常に信頼性が高く,病院や検査センタにおける大型検査装置に広く用いられている。
一方,小型装置では体積の多くを占める内部液を無くすため,感応膜の内部液側の面を固体の内部電極と接触させる固体接触型イオン選択電極(SC-ISE; Solid-contact ion-selective electrode)がよく用いられる。内部電極としては,導電性高分子やカーボンやイオン吸蔵物質などが用いられている。イオン吸蔵物質を用いた例としては,US 2004/0163949 A1,US 4,859,306がある。
US 2004/0163949 A1 US 4,859,306
研究の結果,固体接触型イオン選択電極の課題として,電位の再現性が低かったり,電位の安定性が低かったり,得られる電位が予測できなかったりすることが分かった。固体接触型イオン選択電極を内部液型イオン選択電極に匹敵する性能とするには,これらを解決する必要がある。特に,イオン吸蔵物質を用いた固体接触型イオン選択電極では,イオン吸蔵物質に吸蔵させておくイオン,及びその量が解決において重要であることが分かった。
本発明のイオン選択電極は,測定対象イオンを吸蔵したイオン吸蔵物質を下地電極として用いる。すなわち,本発明のイオン選択電極は試料液中の測定対象イオンを選択的に検出する電極であって,電極は導電性配線と導電性電極とイオン吸蔵物質層とイオン感応膜からなる。
一例として,測定対象イオンは第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,第十七族元素のイオン,ヒドロニウムイオン,又はアンモニウムイオンである。
一例として,イオン吸蔵物質層は多孔配位高分子である。
一例として,多孔配位高分子を作製する工程は,遷移金属Mを含む溶液Aと遷移金属M’を含む溶液Bを混合する工程と,混合による生成物から多孔配位高分子を回収する工程とを含み,遷移金属Mと遷移金属M’は同一もしくは異なり,少なくとも溶液Aは異なる価数の遷移金属Mを含んでいて,溶液Aと溶液Bの少なくとも一方は有機配位子を含む。
一例として,イオン吸蔵物質層を作製する工程として,イオン吸蔵物質を溶液に分散させる工程,イオン吸蔵物質を分散させた溶液に酸化還元物質を添加する工程,酸化還元物質の添加によってイオン吸蔵率が調整されたイオン吸蔵物質を回収する工程を含む。
一例として,イオン吸蔵物質層を作製する工程は,対象イオンのイオン吸蔵率が第1の値である第1のイオン吸蔵物質を調製する工程と,対象イオンのイオン吸蔵率が第2の値である第2のイオン吸蔵物質を調製する工程と,第1のイオン吸蔵物質と第2のイオン吸蔵物質を混合する工程とを含む。
本発明によると,測定対象イオンを吸蔵したイオン吸蔵物質を下地電極として用いることで,下地電極とイオン感応膜の界面において測定対象イオンが電気化学的な支配因子となり,高い電位安定性が得られる。下地電極を形成する前にイオン吸蔵物質中のイオン吸蔵率を調節することで,高い電位再現性が得られ,かつ,イオン吸蔵物質とイオン吸蔵率から予測される電位が得られる。鉄以外の遷移金属であるニッケル,コバルト,銅,銀,カドミウムを含むプルシアンブルー類似体をイオン吸蔵層に用いることで,イオン吸蔵率の調節が容易となる。
上記した以外の,課題,構成及び効果は,以下の実施形態の説明により明らかにされる。
イオン選択電極の構造例を示す概略図。 イオン選択電極の製造工程の一例を示す流れ図。 導電性電極上にイオン吸蔵物質層を作製する工程の例を示す図。 導電性電極上にイオン吸蔵物質層を作製する工程の例を示す図。 導電性電極上にイオン吸蔵物質層を作製する工程の例を示す図。 イオン選択電極を用いた測定装置の一例を示す概略図。 リチウムイオン選択電極を用いたリチウムイオンの測定例を示す図。 リチウムイオン選択電極の長期的な電位変動の測定例を示す図。 イオン選択電極を用いたカリウムイオン,ナトリウムイオン,カルシウムイオンの測定結果を示す図。 イオン選択電極の電位安定性を示す図。 イオン吸蔵物質層のイオン吸蔵率と電位の関係を示す図。 イオン吸蔵物質層の電位と固体接触型イオン選択電極の電位の間の相関を示す図。 多孔配位高分子の合成方法の一例を示す図。 固体接触型イオン選択電極を用いたカートリッジの例を示す図。 カートリッジ作製工程の例を示す図。 カートリッジ作製工程の例を示す図。 多孔配位高分子のイオン吸蔵率調節方法の例を示す図。 固体接触型イオン選択電極を用いた流路付きカートリッジの例を示す図。 流路付きカートリッジを用いた電解質濃度測定装置の例を示す概略図。 ニッケルヘキサシアノ鉄カリウムにおいて吸蔵率0と1の場合の吸光スペクトルを比較して示した図。
以下,図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は,本発明のイオン選択電極の構造例を示す概略図である。このイオン選択電極は,イオン感応膜101,イオン吸蔵物質層102,導電性電極103,導電性配線104,端子105,カートリッジ106を備える。イオン感応膜101は,塩化ビニル樹脂,可塑剤,リガンド,疎水性アニオンを含み,カートリッジ106に接着されている。イオン吸蔵物質層102はイオン吸蔵物質,導電性粒子,接合剤を含み,イオン感応膜101と密着してカートリッジ106内に配置されている。導電性電極103はカートリッジ106内でイオン吸蔵物質層102に密着しており,イオン吸蔵物質層102を支持する役割を果たす。導電性配線104は導電性電極103に接触している。端子105は導電性配線104と接合されており,導電性配線104,導電性電極103を通じてイオン吸蔵物質層102の電位を取り出す役割を果たす。
本発明のイオン選択電極の測定対象イオンは,第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,第十七族元素のイオン,ヒドロニウムイオン又はアンモニウムイオンなどである。イオン吸蔵物質層102は,例えば後述するプルシアンブルー類似体などの多孔配位高分子によって構成され,測定対象となるイオンを吸蔵している。イオン感応膜101は,第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,ヒドロニウムイオン,アンモニウムイオンなどの陽イオンを測定対象イオンとする場合にはクラウンエーテルなどのイオノフォアを含むものを,第十七族元素のイオンを測定対象イオンとする場合には第四級アンモニウム塩などの陽イオンのリガンドを含むものを用いることができる。
図2は,イオン選択電極の製造工程の一例を示す流れ図である。イオン感応膜101を作製する工程(S201)と導電性電極103上にイオン吸蔵物質層102を作製する工程(S202)とを行った後に,イオン感応膜101とイオン吸蔵物質層102を接着する(S203)。その後,接着したものをカートリッジ106に接着し(S204),導電性配線104を挿入する(S205)。
一例として,リチウムイオン選択電極の製造工程の例を説明する。イオン感応膜の製造工程(S201)は以下のとおりである。リチウムイオノフォア(6,6-Dibenzyl-14-crown-4)3.0mg,疎水性アニオン potassium tetrakis(4-chlorophenyl)borate 2.0mg,ポリ塩化ビニル 100mg,可塑剤2-nitrophenyl octyl ether 200mgを3mlのテトラヒドロフランに溶かす。溶液を直径33mmのペトリ皿に入れ,一晩かけてテトラヒドロフランを蒸発させる。得られた膜から直径6mmの感応膜を切り出す。感応膜内のカチオンを交換するため,10mmol/lの塩化リチウム水溶液に一晩浸漬する。純水で洗浄し,乾燥させる。以上がイオン感応膜の製造工程(S201)である。
図3を用いて,導電性電極上にイオン吸蔵物質層を作製する工程(S202)の例をより詳細に説明する。リチウムイオン吸蔵物質である鉄リン酸リチウムをアセトニトリルに分散させる(S301)。必要に応じて溶液に還元剤とリチウムイオンを添加し,鉄リン酸リチウムのリチウム吸蔵率を約100%に調整する(S302)。今回は初期のリチウム吸蔵率がほぼ100%であったため,この工程(S302)と,次の分離,洗浄,乾燥し再びアセトニトリルに分散させる工程(S303)は省略した。リチウム吸蔵率がほぼ50%となるだけの酸化剤としてテトラフルオロほう酸ニトロニウムを溶液に添加した(S304)。これにより,鉄リン酸リチウムのリチウム吸蔵率が50%に調整される。化学式ではLi0.5FePO4に相当する。その後,分離,洗浄,乾燥させ(S305),リチウム吸蔵率50%の鉄リン酸リチウムの粉末を得た。この粉末(重量比85%)と,導電剤としてグラファイト(重量比10%)と,接合剤としてポリビニリデンフロライド(重量比5%)をN-メチルピロリドンに溶解し(S306),導電性電極であるグラファイトシートに約100μmの厚みで塗布し,60℃オーブンにて一晩乾燥させた(S307)。それを1×105N/m2の圧力で圧縮した後に,直径3mmに切り出した。以上が,導電性電極上にイオン吸蔵物質層を作製する工程(S202)である。
直径6mmのイオン感応膜に少量のテトラヒドロフランを滴下し,直径3mmのイオン吸蔵物質層を塗布した導電性電極を,イオン吸蔵物質層がイオン感応膜に接するようにして接着した(S203)。カートリッジとして外径6mm,内径4mmのポリ塩化ビニルパイプの一端に,工程S203で作製したものを図1の構成となるように接着した(S204)。銅線の先端にカーボンファイバを取り付けたものを導電性配線として工程S204で作製したものに挿入し(S205),図1の構成のように電気的な接続が得られるようにした。以上が,リチウムイオン選択電極の製造工程の一例である。
別の例として,カリウムイオン選択電極の製造工程の例を説明する。イオン感応膜の製造工程(S201)は以下のとおりである。カリウムイオノフォア(Valinomycin)4.0mg,疎水性アニオン potassium tetrakis(4-chlorophenyl)borate 1.0mg,ポリ塩化ビニル 133mg,可塑剤dioctyl sebacate 267mgを4mlのテトラヒドロフランに溶かす。溶液を直径33mmのペトリ皿に入れ,一晩かけてテトラヒドロフランを蒸発させる。得られた膜から直径6mmの感応膜を切り出す。以上が,イオン感応膜の製造工程(S201)である。
図4を用いて,導電性電極上にイオン吸蔵物質層を作製する工程(S202)の他の例を詳細に説明する。カリウムイオン吸蔵物質であるニッケルヘキサシアノ鉄カリウムを純水に分散させる(S401)。カリウムイオン吸蔵率が低いニッケルヘキサシアノ鉄カリウムを調製するには,十分量の酸化剤として過酸化水素などを溶液に添加し(S402),遠心分離,洗浄,乾燥させる(S403)。カリウムイオン吸蔵率が高いニッケルヘキサシアノ鉄カリウムを調製するには,十分量の還元剤としてアスコルビン酸などと吸蔵させるカリウムイオンを溶液に添加し(S404),遠心分離,洗浄,乾燥させる(S405)。これらを所望の比で混合する(S406)ことで,所望のカリウム吸蔵率のニッケルヘキサシアノ鉄カリウムが得られる。例えば,カリウム吸蔵率をxとすると,ニッケルヘキサシアノ鉄カリウムはK1+xNi[Fe(CN)6]で表され,S402とS403の工程でカリウム吸蔵率約0%のニッケルヘキサシアノ鉄カリウムが,S404とS405の工程でカリウム吸蔵率約100%のニッケルヘキサシアノ鉄カリウムが得られる。これらを等量混合すると,カリウム吸蔵率約50%のニッケルヘキサシアノ鉄カリウムが得られる。
このように,粒子を混合することで平均値のイオン吸蔵率が得られる理由としては,実際にイオン吸蔵物質間でイオンの交換が行われるか,もしくは,イオン選択電極の製造から使用までの時間が数日〜数ヶ月と,イオン吸蔵物質内及びイオン吸蔵物質間のイオンの拡散の時間スケール(およそ秒〜時)に比べて十分長いため平均化された値として振舞うことが考えられる。
得られたニッケルヘキサシアノ鉄カリウム(重量比85%)と,導電剤としてグラファイト(重量比10%)と,接合剤としてポリビニリデンフロライド(重量比5%)をN-メチルピロリドンに溶解し(S407),導電性電極であるグラファイトシートに約100μmの厚みで塗布し,60℃オーブンにて一晩乾燥させた(S408)。それを1×105N/m2の圧力で圧縮した後に直径3mmに切り出した。以上が,導電性電極上にイオン吸蔵物質層を作製する工程(S202)である。
直径6mmのイオン感応膜に少量のテトラヒドロフランを滴下し,直径3mmのイオン吸蔵物質層を塗布した導電性電極を,イオン吸蔵物質層がイオン感応膜に接するようにして接着した(S203)。カートリッジとして外径6mm,内径4mmのポリ塩化ビニルパイプの一端に,工程S203で作製したものを図1の構成となるように接着した(S204)。銅線の先端にカーボンファイバを取り付けたものを導電性配線として工程S204で作製したものに挿入し(S205),図1の構成のように電気的な接続が得られるようにした。以上が,カリウムイオン選択電極の製造工程の一例である。
イオン吸蔵物質のイオン吸蔵率を調整する工程は,図3,図4の他に,図5のように還元剤の量で調整する方法でもよい。図5の工程S501,S503,S505,S506,S507は,それぞれ図3の工程S301,S303,S305,S306,S307に対応する。また,工程S502は,溶液に十分量の酸化剤を添加し,イオン吸蔵物質の対象イオン吸蔵率を約0%に調整する工程である。工程S504は,溶液に必要量の還元剤と対象イオンを添加し,イオン吸蔵物質の対象イオン吸蔵率を所望の値に調整する工程である。
また,当初のイオン吸蔵物質のイオン吸蔵率が既知の場合,還元剤でイオン吸蔵率を増加させる工程(S302)を省いたり,酸化剤でイオン吸蔵率を減少させる工程(S402)もしくは還元剤でイオン吸蔵率を増加させる工程(S404)のどちらかを省いたり,酸化剤でイオン吸蔵率を減少させる工程(S502)を省いたりすることができる。
なお,イオン吸蔵物質層に含まれるイオン吸蔵物質のイオン吸蔵率は必ずしも50%でなくてもよく,典型的にはイオン吸蔵率が0.1〜0.9の範囲に入るように調整すればよい。
また,図3から図5に示したイオン吸蔵物質層の作製工程は,イオン吸蔵物質に吸蔵させるイオンが第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,ヒドロニウムイオン又はアンモニウムイオンである場合に適用可能である。
図6は,本発明のイオン選択電極を用いた測定装置の一例を示す概略図である。本発明のイオン選択電極601と参照電極602を電位差計603に接続し,試料液604に浸す。この測定装置を用いた測定結果の例を以下に示す。なお,参照電極602として,内部液に1M塩化カリウムを用いた銀塩化銀参照電極を用いた。他の参照電極,例えば飽和カロメル電極であってもよい。
図7は,本発明のリチウムイオン選択電極(LFP-ISE)を用いたリチウムイオンの測定結果の例を示す図である。試料液として塩化リチウムを用いたところ,図7に○でプロットしたように10-5〜1 mol/lにおいてネルンストの式に従う応答を得た。同様のイオン感応膜を用いて作製した内部液型イオン選択電極(内部液: 10 mmol/l 塩化リチウム,内部電極: 銀塩化銀)と同等の応答性である。また,ナトリウムとカリウムに対する選択性はどちらも10-2.1及び10-2.0であった。これらの結果から,本発明のリチウムイオン選択電極では,イオン感応膜とイオン吸蔵物質層の間の電位は一定で,イオン感応膜と試料液の界面の電位が試料液中のリチウムイオン濃度に応答していることが分かる。
図8は,リチウムイオン選択電極の長期的な電位変動の測定例を示す図である。図3に示した工程でイオン吸蔵率を50%に調整した鉄リン酸リチウムをイオン吸蔵物質層に用いた本発明の固体接触型リチウムイオン選択電極9個(図ではLFPで示す)と,従来の内部液型リチウムイオン選択電極4個(図では内部液型で示す)と,比較のためイオン吸蔵物質層を有さずグラファイトにイオン感応膜を接合した固体接触型リチウムイオン選択電極1個(図ではグラファイトで示す)を用いた100mmol/l塩化リチウムでの電位を示している。それぞれの電極は,100mmol/l塩化リチウム水溶液に浸して,常温で保管した。
41日間における電位変動は,固体接触型リチウムイオン選択電極で-1.7μV/hと内部液型イオン選択電極の-8.1μV/hよりも小さかった。一方,イオン吸蔵物質層を有さない固体接触型リチウムイオン選択電極は電位が大きくばらついているのが分かる。すなわち,この電位安定性は,図3の工程でイオン吸蔵率を50%に調整した鉄リン酸リチウムによるものである。電極個体差については,固体接触型リチウムイオン選択電極で1日目で98.7±1.4mVと再現性が高く,41日目においても93.5mV±1.3mVと高い再現性は維持された。この再現性は内部液型イオン選択電極の1日目の164.6±0.5mVに匹敵する。この高い電位再現性は,図3の工程でイオン吸蔵率を50%に調整した鉄リン酸リチウムによるものである。
イオン吸蔵率の調整はイオン吸蔵物質層を形成した後で電気化学的に行うこともできると思われるものの,再現性の高さ,簡便さ,大量生産の観点からは図3に示した工程が優れている。また,電気化学的にイオン吸蔵率の調整を行おうとすると,イオン吸蔵物質内でイオン吸蔵率のムラが生じやすく,所望のイオン吸蔵率に調整するのが容易でない。さらに,図3の工程でイオン吸蔵率を調整することで,イオン選択電極やイオン選択電極を有するカートリッジを複数作製する際に,同一ロットでの電位再現性を高めることができる。その結果,出荷前の検査が簡便になったり,使用時の校正が簡便もしくは不要となったりする。図3の工程の代わりに図4あるいは図5に示した工程でイオン吸蔵率を調整した場合にも同様の効果が得られる。
図9(a)〜(c)は,それぞれ,本発明のカリウムイオン選択電極,ナトリウムイオン選択電極,カルシウムイオン選択電極を用いたカリウムイオン,ナトリウムイオン,カルシウムイオンの測定結果を示す図である。試料液である塩化カリウム,塩化ナトリウム,塩化カルシウムの濃度に応じて,10-5〜1 mol/lにおいてネルンストの式に従う応答を得た。塩化カルシウムの測定において高濃度域で感度が低下しているように見えるのは,イオンの相互作用によりカルシウムの活量が塩化カルシウム濃度に対して線形でなくなっているためである。デバイヒュッケル近似などを用いて活量を算出すれば,高濃度域においてもネルンスト応答していることが分かる。
図9(a)では,固体接触型イオン選択電極としては,ニッケルヘキサシアノ鉄カリウム,銅ヘキサシアノ鉄カリウムをイオン吸蔵物質層に用いて,カリウム感応膜をイオン感応膜に用いた。それぞれ図中ではK-NiHCF-ISE ,K-CuHCF-ISEで示す。内部液型イオン選択電極としては,内部液に10 mmol/l 塩化カリウム,内部電極に銀塩化銀,イオン感応膜にカリウム感応膜を用いた。図9(b)では,固体接触型イオン選択電極としては,ニッケルヘキサシアノ鉄ナトリウムをイオン吸蔵物質層に用いて,ナトリウム感応膜をイオン感応膜に用いた。図中ではNa-NiHCF-ISEで示す。内部液型イオン選択電極としては,内部液に10 mmol/l 塩化ナトリウム,内部電極に銀塩化銀,イオン感応膜にナトリウム感応膜を用いた。図9(c)では,固体接触型イオン選択電極としては,ニッケルヘキサシアノ鉄カルシウムをイオン吸蔵物質層に用いて,カルシウム感応膜をイオン感応膜に用いた。図中ではCa-NiHCF-ISEで示す。内部液型イオン選択電極としては,内部液に10 mmol/l 塩化カルシウム,内部電極に銀塩化銀,イオン感応膜にカルシウム感応膜を用いた。
各イオン選択電極のイオン選択性は表1に示すようにイオン感応膜の選択性に応じた値であり,リチウムイオン選択電極の場合と同様にいずれの固体接触型イオン選択電極もイオン感応膜とイオン吸蔵物質層の間の電位は一定で,イオン感応膜と試料液の界面の電位が試料液中の測定対象イオン濃度に応答していることが分かる。
Figure 0006494770
図10は,本発明の固体接触型イオン選択電極であるナトリウムイオン選択電極,カリウムイオン選択電極,カルシウムイオン選択電極の電位安定性を示す図である。いずれも高い電位安定性を示していることがわかる。これらの高い電位安定性は,図3,図4,図5で説明したイオン吸蔵物質層のイオン吸蔵率を制御する方法によりイオン吸蔵率の均一性が高いイオン吸蔵物質層が得られたことが一因である。また,作製一ヵ月後の電位ばらつき(標準偏差)は,K-CuHCF-ISEで15.1mV,K-NiHCF-ISEで0.6mV,Na-NiHCF-ISEで8.6mV,Ca-NiHCF-ISEで8.7mVと小さかった。したがって,図3,図4,図5に示した工程でイオン吸蔵率を調整することで,イオン選択電極やイオン選択電極を有するカートリッジを複数作製する際に,同一ロットでの電位再現性を高めることができる。その結果,出荷前の検査が簡便になったり,使用時の校正が簡便もしくは不要となったりする。
図11は,イオン吸蔵物質層のイオン吸蔵率と電位の関係を示す図である。イオン吸蔵率xの定義は,ニッケルヘキサシアノ鉄カリウム(K-NiHCF)ではK1+xNi[Fe(CN)6],ニッケルヘキサシアノ鉄ナトリウム(Na-NiHCF)ではNa1+xNi[Fe(CN)6],ニッケルヘキサシアノ鉄カルシウム(Ca-NiHCF)ではCa1/2+x/2Ni[Fe(CN)6],銅ヘキサシアノ鉄カリウム(K-CuHCF)ではK1+xCu[Fe(CN)6],鉄ヘキサシアノ鉄カリウム(K-FeHCF)ではK1+xFe[Fe(CN)6],鉄リン酸リチウムではLixFePO4である。
3電極法により測定を行った。作用電極として,測定したいイオン吸蔵物質を塗布した電極を用いた。例えば,鉄リン酸リチウム(重量比85%)と,導電剤としてグラファイト(重量比10%)と,接合剤としてポリビニリデンフロライド(重量比5%)をN-メチルピロリドンに溶解し,グラッシーカーボン電極に約100μmの厚みで塗布し,60℃オーブンにて一晩乾燥させた。参照電極には銀塩化銀電極を,対向電極には白金電極を用いた。
図11(a)は,1M塩化リチウム水溶液中で鉄リン酸リチウムに一定電流を印加した際の電位応答を表す図である。イオン吸蔵率が0.1〜0.9程度の広い範囲でほぼ一定の電位を示している。これは,鉄リン酸リチウムがFePO4とLiFePO4の二相反応(two-phase reaction)により界面電位が定まっていることによる。
図11(b)は,それぞれ0.5M硫酸ナトリウム水溶液中でのニッケルヘキサシアノ鉄ナトリウム,0.5M硫酸カリウム水溶液中でのニッケルヘキサシアノ鉄カリウム,1M硝酸カルシウム水溶液中でのニッケルヘキサシアノ鉄カルシウムの一定電流印加に対する電位応答を表す図である。また,図11(c)は0.5M硫酸カリウム水溶液中での鉄ヘキサシアノ鉄カリウム,ニッケルヘキサシアノ鉄カリウム,銅ヘキサシアノ鉄カリウムの一定電流印加に対する電位応答を表す図である。イオン吸蔵率が0.1〜0.9の範囲であっても100〜200mV程度の電位の変化が見られる。これは,これらの多孔配位高分子を有する化合物が固溶体(solid solution)の性質を示すことによる。そのため,多孔配位高分子を用いた固体接触型イオン選択電極で電位再現性を向上させるには,電極ごとのイオン吸蔵率のばらつきを低減する必要がある。つまり,図3〜図5で説明したイオン吸蔵物質層のイオン吸蔵率を制御する方法は,電位がイオン吸蔵率に依存する例えば多孔配位高分子を有するイオン吸蔵物質を用いる場合に特に有効に働く。
また,図11から分かるように,イオン吸蔵率が0.5に近いほうがイオン吸蔵率の変化に対して電位の変動が小さい。そのため,本発明の固体接触型イオン選択電極のイオン吸蔵物質層としては,イオン吸蔵率は0.1〜0.9がよく,望ましくは0.2〜0.8がよく,さらに望ましくは0.3〜0.7がよく,もっとも望ましくは実質的にイオン吸蔵率が0.5となる0.4〜0.6のイオン吸蔵率が良い。
ニッケルヘキサシアノ鉄や銅ヘキサシアノ鉄は特に本発明のイオン選択電極のイオン吸蔵物質層として適している。US 4,859,306に記載のある鉄ヘキサシアノ鉄は酸化されやすい性質を有しており,過酸化水素を水に還元する働きを利用して過酸化水素を測定する電極としても用いられている。そのため,イオン吸蔵率の調整工程における酸化やイオン選択電極を形成してからの酸化により,イオン吸蔵率の変動が懸念される。実際,図3〜5に示した手順で鉄ヘキサシアノ鉄カリウムのイオン吸蔵率の調節を試みたものの,所望のイオン吸蔵率に調節することができなかった。図11の計測に当たり,初期のイオン吸蔵率がほぼ0の鉄ヘキサシアノ鉄カリウムを準備した。カリウム存在下での還元によりイオン吸蔵率を0.5程度に調節することを試みたものの,結果はイオン吸蔵率がほぼ0のままであった。なお,図11(c)では短時間(1時間程度)で電流印加に対する電位変化を計測しているため,K-FeHCFにおいてイオン吸蔵率の変化を計測できている。一方,上記の還元剤による方法では,調製から測定まで1日経過している。その間,イオン吸蔵率が変動したものと思われる。
ニッケルヘキサシアノ鉄や銅ヘキサシアノ鉄は,イオンの吸蔵放出に伴う電位が鉄ヘキサシアノ鉄よりも高いため比較的酸化されにくい。図11のイオン吸蔵率において,初期のイオン吸蔵率が0.1程度のニッケルヘキサシアノ鉄カリウムを,カリウム存在下での還元によりイオン吸蔵率を0.5程度に調節できた。銅ヘキサシアノ鉄でも同様にイオン吸蔵率の調節が可能である。しかし,銅ヘキサシアノ鉄はイオンの吸蔵放出に伴う電位がより高いため還元されやすく,例えば,図10に示したようにイオン選択電極の電位が低電位にドリフトすることがある。
図12は,イオン吸蔵物質層の電位と固体接触型イオン選択電極の電位の間に高い相関関係があることを示す図である。横軸がイオン感応膜を有さないイオン吸蔵物質層の電位であり,縦軸が固体接触型イオン選択電極の電位である。計測値は両電位の一致を示す直線に沿って分布しており,固体接触型イオン選択電極の電位がイオン吸蔵物質層の電位を反映したものであることが分かる。つまり,図3〜図5で説明したイオン吸蔵物質層のイオン吸蔵率を制御する方法によりイオン吸蔵物質層の電位再現性が向上し,その結果,固体接触型イオン選択電極の電位再現性が向上する。また,吸蔵率の異なるニッケルヘキサシアノ鉄カリウムを用いた場合,吸蔵量0.5のもの(K-NiHCF(0.5))は吸蔵量0.1のもの(K-NiHCF(0.1))よりも電位が低くなっていることが分かる。このように,吸蔵量と電位の間には関連性が見られる。
図13は,多孔配位高分子の合成方法の一例を示す図である。ニッケルヘキサシアノ鉄カリウムを例に詳細を説明する。金属イオンMとしてニッケルイオンを含む溶液,例えば硝酸ニッケル水溶液を準備する(S1301)。便宜上,準備した溶液を溶液Aとする。続いて有機配位子としてシアンを,金属イオンM’として鉄イオンを,対象イオンとしてカリウムを含む溶液,例えばフェリシアン化カリウム水溶液を準備する(S1302)。便宜上,準備した溶液を溶液Bとする。S1301とS1302の順序の前後は問わない。溶液Aと溶液Bを混合し,生成物として目的の化合物であるニッケルヘキサシアノ鉄カリウムの沈殿を得る(S1303)。この際,より微細かつ均一な結晶を得るためは,マグネチックスターラーによる撹拌,超音波印加による撹拌,ペリスタリックポンプなどを用いた両溶液の滴下混合,ヒーターによる温度制御を行うことが望ましい。得られた沈殿生成物は遠心分離と純水による洗浄を繰り返した後に乾燥させる(S1304)。対象イオンとしてリチウム,ナトリウム,ルビジウム,セシウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,アンモニウムを用いる場合,カリウムの代わりにそれぞれのイオンを含む溶液Bを準備すればよい。
溶液Bに含まれない対象イオンを含む多孔配位高分子を有するイオン吸蔵物質を合成することもできる。例えば,図13の方法でニッケルヘキサシアノ鉄カリウムを合成する。続いて,図5の方法を用いる。S502で生じる酸化反応により,ニッケルヘキサシアノ鉄カリウムのカリウムが放出される。実際には,結晶構造を維持するのに必要なカリウムイオンが結晶中に残存するといわれている。構造式ではKNi[Fe(CN)6]である。ここではイオン吸蔵率をK1+xNi[Fe(CN)6]で定義しているため,イオン吸蔵率xは0に近くなると考えられる。S504において,還元剤と対象イオンとしてナトリウムイオンを含む溶液を用いる。一例として,アスコルビン酸ナトリウム水溶液を用いる。イオン吸蔵率が0.5となるようにした場合,得られる化合物の構造式はKNa0.5Ni[Fe(CN)6]となる。このようにして,対象イオンであるナトリウムを含んだ多孔配位高分子を有するイオン吸蔵物質を得ることもできる。
多孔配位高分子には様々なイオンを吸蔵させることができる。例えば,測定対象として魅力的な対象イオンである第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,第十七族元素のイオン,ヒドロニウムイオン,アンモニウムイオンを吸蔵させることができる。また,対応するイオン感応膜は,第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,ヒドロニウムイオン,アンモニウムイオンなどの陽イオンにはクラウンエーテルなどのイオノフォアを含むものを,第十七族元素のイオンには第四級アンモニウム塩などの陽イオンのリガンドを含むものを用いることができる。
プルシアンブルー類似体の場合,対象イオンを吸蔵した状態の構造式は
AaMx[M’(CN)6]yz・kH20
で表される。Aは一種類又は複数種類の第一族元素,第二族元素,ヒドロニウム又はアンモニウムであり,M及びM’は一種類又は複数種類の遷移金属であり,M又はM’はニッケル,コバルト,銅,銀,カドミウムの少なくとも一つを含み,□は多孔配位高分子の空位であり,x,yは0より大きく,a,z,kは0以上の数である。
一例を挙げると,ニッケルヘキサシアノ鉄カリウムはKNi[Fe(CN)6],ニッケルヘキサシアノ鉄ナトリウムはNaNi[Fe(CN)6],ニッケルヘキサシアノ鉄カルシウムはCaNi[Fe(CN)6],銅ヘキサシアノ鉄カリウムはKCu[Fe(CN)6],鉄ヘキサシアノ鉄カリウムはKFe[Fe(CN)6],コバルトヘキサシアノ鉄カリウムはKCo[Fe(CN)6],銀ヘキサシアノ鉄カリウムはKAg3[Fe(CN)6],カドミウムヘキサシアノ鉄カリウムはK2Cd[Fe(CN)6]・6H2Oである。
図14は,本発明の固体接触型イオン選択電極を用いたカートリッジの一例を示す図である。カートリッジは,一例として,短辺がおよそ15mm,長辺がおよそ20mm,厚みがおよそ1mmである。図14(a)は固体接触型イオン選択電極を形成する前のカートリッジの状態を,図14(b)はその断面図を表す。PET(ポリエチレンテレフタレート),PS(ポリスチレン),PC(ポリカーボネート)などの絶縁性材料でできた基板1401上にカーボン,金,白金などの導電性材料でできた端子1402,配線1403,導電性電極1404が形成されている。さらに主に配線1403を覆うように絶縁膜1405が形成されている。これらは,印刷,スパッタリング,蒸着などで作製される。図14(c)は図14(a)のカートリッジに固体接触型イオン選択電極を形成した状態を,図14(d)はその断面図を表す。導電性電極1404上にイオン吸蔵物質層1406が形成され,さらにそれを覆うようにイオン感応膜1407が形成されている。すなわち,図14のカートリッジは図1のイオン選択電極が複数並んだ場合と同様の役割を果たす。イオン吸蔵物質層1406及びイオン感応膜1407を形成する方法は問わない。一例として,ディスペンサによる塗布が挙げられる。
図15は,図14のようなカートリッジの作製工程の例を示す図である。S1501〜S1504は多孔配位高分子を有するイオン吸蔵物質を合成する工程である。例えば,金属イオンMとしてニッケルイオンを含む溶液として硝酸ニッケル水溶液を準備する(S1501)。便宜上これを溶液Aとする。次に,有機配位子としてシアンを,金属イオンM’として鉄イオンを含む溶液として,フェリシアン化カリウム水溶液を準備する(S1502)。便宜上これを溶液Bとする。溶液Aと溶液Bを混合し,化合物であるニッケルヘキサシアノ鉄カリウムの沈殿を得る(S1503)。遠心分離と純水による洗浄を繰り返し,乾燥させ,イオン吸蔵物質を得る(S1504)。
S1505〜S1507はイオン吸蔵率を0に近づける工程である。イオン吸蔵物質,この場合はニッケルヘキサシアノ鉄カリウムを水溶液に分散させ(S1505),十分量の酸化剤例えば過酸化水素水を加え(S1506),遠心分離と純水による洗浄を繰り返し,乾燥させ,イオン吸蔵率を0に近づけたイオン吸蔵物質を得る(S1507)。再び水溶液に分散させ(S1508),その後のS1509〜S1510及びS1514〜S1515はイオン吸蔵物質に所望量の各対象イオンを吸蔵させる工程である。S1509では還元剤としてアスコルビン酸を,対象イオンIとしてナトリウムを含む水溶液であるアスコルビン酸ナトリウム水溶液を添加し,ニッケルヘキサシアノ鉄カリウムに所望量のナトリウムイオンを吸蔵させる。S1510で遠心分離と洗浄を繰り返し乾燥させてナトリウムを吸蔵したイオン吸蔵物質を得る。S1514では還元剤としてアスコルビン酸を,対象イオンJとしてカリウムを含む水溶液であるアスコルビン酸カリウム水溶液を添加し,ニッケルヘキサシアノ鉄カリウムに所望量のカリウムイオンを吸蔵させる。S1515で遠心分離と洗浄を繰り返し乾燥させてカリウムを吸蔵したイオン吸蔵物質を得る。
得られたイオン吸蔵物質(重量比85%)と,導電剤としてグラファイト(重量比10%)と,接合剤としてポリビニリデンフロライド(重量比5%)をN-メチルピロリドンに溶解し(S1511及びS1516),導電性電極1404上に塗布乾燥させ,イオン吸蔵物質層1406を形成する(S1512及びS1517)。イオン吸蔵物質層1406上にさらに対象イオン向けのイオン感応膜を塗布乾燥させ(S1513及びS1518),カートリッジを得る。
本カートリッジは,それぞれ異なる対象イオンを吸蔵したイオン吸蔵物質層を有するものの,多孔配位高分子を有するイオン吸蔵物質,一例としてニッケルヘキサシアノ鉄や銅ヘキサシアノ鉄が複数種類のイオンを吸蔵できるため,その製造工程の一部を共通化できる。その結果,製造工程の簡素化によるコスト低減だけでなく,合成した物質の性能確認にかかる手間や,製造工程の最適化にかかる手間を低減することができる。本実施例ではナトリウムとカリウムについて例示したものの,多孔配位高分子を有するイオン吸蔵物質が吸蔵できるイオン,例えばリチウム,ナトリウム,アンモニウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウムにも同様に適用できる。本実施例では同一のカートリッジ上に異なる測定対象イオンのイオン選択電極が混載された場合を例示したものの,必ずしも同一のカートリッジ上に混載されている必要は無い。例えば,カリウムイオン選択電極のみを有するカートリッジとナトリウムイオン選択電極のみを有するカートリッジを別々に作製したとしても,図15に示したように一部の工程を共通化できることに変わりは無く,合成した物質の性能確認にかかる手間や,製造工程の最適化にかかる手間を低減することができることも同様である。
図16は,図14のようなカートリッジの作製工程の別の例を示す図である。S1601,S1602〜S1604,S1609〜S1611は多孔配位高分子を有するイオン吸蔵物質を合成する工程である。例えば,金属イオンMとしてニッケルイオンを含む溶液として硝酸ニッケル水溶液を準備する(S1601)。便宜上これを溶液Aとする。次に,有機配位子としてシアンを,金属イオンM’として鉄イオンを,対象イオンとしてナトリウムを含む溶液として,フェロシアン化ナトリウム水溶液を準備する(S1602)。便宜上これを溶液Bとする。溶液Aと溶液Bを混合し,化合物であるニッケルヘキサシアノ鉄ナトリウムの沈殿を得る(S1603)。遠心分離と純水による洗浄を繰り返し,乾燥させ,イオン吸蔵物質を得る(S1604)。
並行して,有機配位子としてシアンを,金属イオンM”として鉄イオンを,対象イオンとしてカリウムを含む溶液として,フェリシアン化カリウム水溶液を準備する(S1609)。便宜上これを溶液Cとする。溶液Aと溶液Cを混合し,化合物であるニッケルヘキサシアノ鉄カリウムの沈殿を得る(S1610)。遠心分離と純水による洗浄を繰り返し,乾燥させ,イオン吸蔵物質を得る(S1611)。
S1605及びS1612はイオン吸蔵率を調整する工程であり,図3にS301〜S305で示す工程,図4にS401〜S406で示す工程,図5にS501〜S505で示す工程を用いることができる。得られたイオン吸蔵物質(重量比85%)と,導電剤としてグラファイト(重量比10%)と,接合剤としてポリビニリデンフロライド(重量比5%)をN-メチルピロリドンに溶解し(S1606及びS1613),導電性電極1404上に塗布乾燥させ,イオン吸蔵物質層1406を形成する(S1607及びS1614)。イオン吸蔵物質層1406上にさらに対象イオン向けのイオン感応膜を塗布乾燥させ(S1608及びS1615),カートリッジを得る。
図17は,多孔配位高分子のイオン吸蔵率調節方法の別の例を示す図である。例えば,ニッケルイオンを含む溶液として硝酸ニッケル水溶液を準備する(S1701)。便宜上これを溶液Aとする。次に,有機配位子と鉄イオンとカリウムイオンを有する水溶液として,フェロシアン化カリウム水溶液とフェリシアン化カリウム水溶液の混合液を準備する(S1702)。便宜上これを溶液Bとする。このとき,溶液Bには遷移金属である鉄が二価のものと三価のものが混在している。溶液Aと溶液Bを混合すると,ニッケルヘキサシアノ鉄カリウムが得られる(S1703)。このときにカリウムイオン吸蔵率は混合後溶液の化学的平衡によって決まる。遠心分離と純水による洗浄を繰り返し,乾燥させ,多孔配位高分子を得る(S1704)。
得られた多孔配位高分子のカリウムイオン吸蔵率を測定し(S1705),所望のイオン吸蔵率であるか否か判定する(S1706)。所望のイオン吸蔵率であれば得られた多孔配位高分子をイオン選択電極の材料として用いる。所望の吸蔵率と異なる場合,例えば溶液Bのフェロシアン化カリウム水溶液とフェリシアン化カリウム水溶液の混合比を調節することで溶液B中の二価鉄と三価鉄の混合量比を調節し,もう一度合成を行う。もしくは,溶液Aと溶液Bの混合量比を調節してもよい。一度合成条件を決定すれば,次回からはイオン吸蔵率の測定を行わなくても良い。イオン吸蔵率の判定基準としては,例えばイオン吸蔵率が0.1〜0.9の範囲にあれば合格とする判定基準を採用することができる。より厳しい判定基準として,イオン吸蔵率0.2〜0.8を合格とする判定基準,イオン吸蔵率0.3〜0.7を合格とする判定基準,イオン吸蔵率0.4〜0.6を合格とする判定基準などを採用してもよい。
イオン吸蔵率の測定は,例えば,J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 6648-6652に記載されているような元素分析を用いることができる。また,図11のような一定電流印加に対する電位応答を用いることもできる。また,場合によっては吸光スペクトルを測定して判定することもできる。図20は,ニッケルヘキサシアノ鉄カリウムにおいて吸蔵率0と1の場合の吸光スペクトルを比較して示した図である。吸蔵率0では440nm付近に見られるピークが吸蔵率1では消失している。このピークの強度を用いて吸蔵率を測定することができる。
図18は,固体接触型イオン選択電極を用いた流路付きカートリッジの例を示す図である。図18(a)は側面から,図18(b)は上面から見た図を示す。流路付きカートリッジ1801は流路1804を有しており,流路1804には流入口1802と流出口1803が接続されている。流路付きカートリッジ1801には流路の無い図14に例示したようなカートリッジ1805が埋め込まれており,流路1804中に塩素イオン選択電極1806,カリウムイオン選択電極1807,ナトリウムイオン選択電極1808が配置されている。それぞれの電極に対応した端子1809〜1811が流路付きカートリッジ1801の外部に露出している。
図19は,流路付きカートリッジを用いた電解質濃度測定装置の例を示す概略図である。この電解質濃度測定装置は,測定ユニット1901,制御部1902,演算記録部1903,出力部1904を備える。測定ユニット1901には,制御部1902と,演算記録部1903と,出力部1904とが接続されている。
制御部1902は,以下で説明する測定ユニット1901の各構成要素を制御するものである。演算記録部1903は,測定ユニット1901において測定された電位などから測定対象のイオン濃度を算出するものである。出力部1904は,ディスプレイあるいはプリンタなどである。
制御部1902及び演算記録部1903は,汎用のコンピュータを用いて実現してもよく,コンピュータ上で実行されるプログラムの機能として実現してもよい。すなわち,以下で説明する制御部1902及び演算記録部1903の処理は,プログラムコードとしてメモリなどの記憶部に格納し,CPUなどのプロセッサが各プログラムコードを実行することによって実現してもよい。なお,制御部1902及び演算記録部1903は,専用の回路基板などのハードウェアによって構成されてもよい。
測定ユニット1901は,希釈槽1911,検体分注ノズル1912,希釈液分注ノズル1913,基準液分注ノズル1914,試料液吸引ノズル1915,配管1916,図18に例示したような流路付きカートリッジ1917,配管1918,参照電極1919,配管1920,ポンプ1921,配管1922,廃液溜1923,電位計測部1924を有する。測定ユニット1901では,電解質を含む試料液を導入する試料導入部として,試料液吸引ノズル1915と,配管1916と,配管1921と,ポンプ1922とが用いられる。
測定ユニット1901では,この試料導入部を用いて,カートリッジ1917及び参照電極1919に試料液が導入される。そして,試料液が導入された状態で電極間の電位差が計測される。以下で詳しい構成を説明する。
検体分注ノズル1912は,血液や尿などの検体を希釈槽1911に分注吐出し,希釈液分注ノズル1913は,希釈液を希釈槽1911に分注吐出する。また,基準液分注ノズル1914は,濃度既知の基準液を希釈槽1911に分注吐出する。試料液吸引ノズル1915は,上下動でき,希釈槽1911内の溶液をポンプ1921の駆動力により吸引する。吸引された溶液は,配管1916,1918を通じてカートリッジ1917,参照電極1919に導入され,さらに,配管1920,1922を通じて排液される。カートリッジ1917の端子及び参照電極1919は電位計測部1924に接続されている。
希釈液には測定対象イオンを含まないもの,例えば,トリスほう酸バッファー,ビストリスほう酸バッファー等を用いる。基準液は,血中濃度基準値程度の測定対象イオン,例えば,ナトリウム140mM,カリウム4mM,塩素100mM程度の溶液を検体に見立て,希釈液によってある希釈倍率で希釈したものを用いることができる。
なお,本発明は上記した実施例に限定されるものではなく,様々な変形例が含まれる。例えば,上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり,必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また,ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり,また,ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また,各実施例の構成の一部について,他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
101 イオン感応膜
102 イオン吸蔵物質層
103 導電性電極
104 導電性配線
105 端子
106 カートリッジ
601 イオン選択電極
602 参照電極
603 電位差計
604 試料液
1401 基板
1402 端子
1403 配線
1404 導電性電極
1405 絶縁膜
1406 イオン吸蔵物質層
1407 イオン感応膜
1801 流路付きカートリッジ
1804 流路
1805 カートリッジ
1806 塩素イオン選択電極
1807 カリウムイオン選択電極
1808 ナトリウムイオン選択電極
1901 測定ユニット
1917 流路付きカートリッジ
1919 参照電極

Claims (12)

  1. 第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,ヒドロニウムイオン又はアンモニウムイオンを対象イオンとするイオン感応膜と,
    イオン吸蔵物質層と,
    導電性電極と,を有し,
    前記イオン吸蔵物質層に含まれるイオン吸蔵物質は前記対象イオンを吸蔵しており,
    前記イオン吸蔵物質は構造式AaMx[M’(CN)6]yz・kH20で表されるプルシアンブルー類似体であり,
    Aは一種類又は複数種類の第一族元素,第二族元素,ヒドロニウム又はアンモニウムであり,
    M及びM’は一種類又は複数種類の遷移金属であり,
    M又はM’はニッケル,コバルト,銅,銀,カドミウムの少なくとも一つを含み,
    □は多孔配位高分子の空位であり,
    x,yは0より大きく,a,z,kは0以上の数である,イオン選択電極。
  2. イオン選択電極を複数有するカートリッジであって,
    前記イオン選択電極の一つをイオン選択電極Aとし,前記イオン選択電極の別の一つをイオン選択電極Bとするとき,
    前記イオン選択電極A及び前記イオン選択電極Bは,
    第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,第十七族元素のイオン,ヒドロニウムイオン又はアンモニウムイオンを対象イオンとするイオン感応膜と,
    イオン吸蔵物質層と,
    導電性電極と,を有し,
    前記イオン吸蔵物質層に含まれるイオン吸蔵物質は前記対象イオンを吸蔵しており,
    前記イオン吸蔵物質は多孔配位高分子であり,
    前記イオン選択電極Aの前記対象イオンと前記イオン選択電極Bの前記対象イオンが異なる,カートリッジ。
  3. イオン選択電極を作製する方法であって,
    前記イオン選択電極は,第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,第十七族元素のイオン,ヒドロニウムイオン又はアンモニウムイオンを対象イオンとするイオン感応膜と,イオン吸蔵物質層と,導電性電極と,を有し,
    前記イオン吸蔵物質は多孔配位高分子であり,
    前記多孔配位高分子を作製する工程は,
    遷移金属Mを含む溶液Aと遷移金属M’を含む溶液Bを混合する工程と,
    前記混合による生成物から前記多孔配位高分子を回収する工程とを含み,
    前記遷移金属Mと前記遷移金属M’は同一もしくは異なり,
    少なくとも前記溶液Aは異なる価数の遷移金属Mを含んでいて,
    前記溶液Aと前記溶液Bの少なくとも一方は有機配位子を含む,
    イオン選択電極を作製する方法。
  4. 請求項3に記載のイオン選択電極を作製する方法であって,
    回収した多孔配位高分子の状態を調べる工程と,
    前記状態に基づいて前記溶液Aに含まれる前記遷移金属Mの異なる価数の混合量比もしくは前記溶液Aと前記溶液Bの混合量比を調整する工程とを含む,
    イオン選択電極を作製する方法。
  5. 請求項4に記載のイオン選択電極を作製する方法であって,
    前記回収した多孔配位高分子の状態を調べる工程において元素分析を行う,
    イオン選択電極を作製する方法。
  6. 請求項4に記載のイオン選択電極を作製する方法であって,
    前記回収した多孔配位高分子の状態を調べる工程において電位計測を行う,
    イオン選択電極を作製する方法。
  7. 請求項4に記載のイオン選択電極を作製する方法であって,
    前記回収した多孔配位高分子の状態を調べる工程において吸光度計測を行う,
    イオン選択電極を作製する方法。
  8. 請求項4に記載のイオン選択電極を作製する方法であって,
    前記混合量比を調整する工程,前記イオン吸蔵物質層のイオン吸蔵率が0.1〜0.9の範囲内となるように前記混合量比を調整する工程である,
    イオン選択電極を作製する方法。
  9. イオン選択電極を作製する方法であって,
    前記イオン選択電極は,第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,第十七族元素のイオン,ヒドロニウムイオン又はアンモニウムイオンを対象イオンとするイオン感応膜と,イオン吸蔵物質層と,導電性電極と,を有し,
    前記イオン吸蔵物質層を作製する工程として,
    イオン吸蔵物質を溶液に分散させる工程,
    前記イオン吸蔵物質を分散させた溶液に酸化還元物質を添加する工程,
    前記酸化還元物質の添加によってイオン吸蔵率が調整されたイオン吸蔵物質を回収する工程を含む,
    イオン選択電極を作製する方法。
  10. 請求項9に記載のイオン選択電極を作製する方法であって,
    前記イオン吸蔵物質層のイオン吸蔵率を0.1〜0.9の範囲に調整する,
    イオン選択電極を作製する方法。
  11. イオン選択電極を作製する方法であって,
    前記イオン選択電極は,第一族元素のイオン,第二族元素のイオン,第十七族元素のイオン,ヒドロニウムイオン又はアンモニウムイオンを対象イオンとするイオン感応膜と,イオン吸蔵物質層と,導電性電極と,を有し,
    前記イオン吸蔵物質層を作製する工程として,
    前記対象イオンのイオン吸蔵率が第1の値である第1のイオン吸蔵物質を調製する工程と,
    前記対象イオンのイオン吸蔵率が第2の値である第2のイオン吸蔵物質を調製する工程と,
    前記第1のイオン吸蔵物質と前記第2のイオン吸蔵物質を混合する工程とを含む,
    イオン選択電極を作製する方法。
  12. 請求項11に記載のイオン選択電極を作製する方法であって,
    前記イオン吸蔵物質層のイオン吸蔵率を0.1〜0.9の範囲に調整する,
    イオン選択電極を作製する方法。
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