JP6471912B2 - 高純度硫酸コバルト水溶液の製造方法 - Google Patents
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より詳しくは、塩化ニッケルと塩化コバルトの混合水溶液から高純度硫酸コバルト水溶液を製造する方法に関する。
さらには、コバルトは、リチウムイオン二次電池の正極材の原料として使用されているが、近年、自動車用、電力貯蔵用、小型パーソナルコンピューターやスマートフォン等の移動式情報処理端末用として、リチウムイオン二次電池の需要は増加の一途をたどっている。
得られた酸性水溶液中に含まれるニッケルとコバルトは、各種の有機抽出剤を用いた溶媒抽出法によって分離回収されるのが一般的である。
さらには、硫酸コバルト水溶液であることが、より望ましい。
さらには、電気コバルトを硫酸水溶液に溶解することによって得られた硫酸コバルト水溶液を、濃縮、結晶、脱水、乾燥させることによって硫酸コバルトの結晶を製造することも行われていた。
しかしながら、コストの掛かる電解採取工程を経ずに、直接、硫酸コバルト水溶液を製造するプロセスの方が、より効率的である。
そこで、電解採取法によれば、電解還元による金属化の過程で、カルシウムを全く含有しないコバルトを得ることができる。言い換えれば、電解採取工程によって、カルシウムを分離、除去することができることになり、その電解採取法に適した供試液を提供するための塩化コバルト水溶液の浄液方法が特許文献2に提案されている。
この特許文献3に開示された方法を用いれば、アミン系抽出剤を用いた溶媒抽出により得られた塩化コバルト水溶液を、硫酸コバルト水溶液に転換することができる。
さらに、その洗浄工程で得られた洗浄後の硫酸コバルト水溶液にも不純物が残留するため、その不純物の除去工程も必要になってくる。
よって、コバルトの繰返し量、すなわち製品化されないコバルト量が増え、多大なコストが掛かることになる。
さらに、カルシウムのコバルトとの分離効率が高くは無く、ある程度のカルシウムがコバルト溶液に分配してしまう。
先ず、ニッケル製錬においては、例えば、ニッケル硫化鉱石を溶鉱炉で溶解して得られるニッケル硫化物や、ニッケル酸化鉱石に硫黄を添加して電気炉で溶解して得られるニッケル硫化物等、いわゆる乾式製錬法で得られたNi3S2等のニッケル硫化物を主成分とするニッケルマットが生産されている。
この方法は、混合硫化物を、塩化物水溶液にレパルプした後、そのスラリーに塩素ガスを吹込むことによりニッケル及びコバルトを塩化物水溶液中に塩素浸出して塩素浸出液を形成するもので、その得られた酸化剤としての2価の銅クロロ錯イオンを含んだ塩素浸出液に、粉砕したニッケルマットを接触させて、銅とニッケルの置換反応を行うことによりニッケルマット中のニッケルを、塩素浸出液に置換浸出して置換浸出液を生成するものである。
先ず、脱鉄工程では、置換浸出終液に、酸化剤として塩素ガスを、中和剤として炭酸ニッケルスラリーを添加して、水酸化第二鉄を主成分とする沈殿物を生成させることにより、置換浸出終液中の鉄を除去する処理が行われた脱鉄終液を得る。
この脱鉄工程の反応中の終液のpHは、2.0〜2.5程度であるので、この工程では鉄のみが選択的に置換浸出終液から除去される。
次のアミン系溶媒抽出工程では、この脱鉄終液に、アミン系抽出剤であるトリ−ノルマル−オクチルアミン(TNOA)を混合、接触させることによって、コバルト、銅、亜鉛、鉄を水相から有機相に移行させ、コバルト、銅、亜鉛、鉄が除去されたニッケルを含む抽出残液(水相)を得る処理を行う。
上記に示すような浄液工程を経て、不純物が除去された塩化ニッケル水溶液は、pH調整の後、電解工程に送られ、電解採取法によって電気ニッケルが製造される。
また、アミン系溶媒抽出工程で分離されたコバルトについては、ニッケルとは別の処理ルートにより、さらなる不純物の除去が行われ、電解採取により電気コバルトとして製品化される。
抽出に用いる有機抽出剤としては、トリ−ノルマル−オクチルアミン(TNOA)等のアミン系抽出剤や、ジ−(2−エチルヘキシル)ホスホン酸(D2EHPA)等の酸性リン酸エステル系抽出剤を用いる。
また、クロロ錯イオンを生成しない他の不純物との分離特性も高い。
さらに、コバルトよりもクロロ錯イオンを形成しやすい亜鉛、鉄、銅に対しても、コバルトを逆抽出するときの水相の塩化物イオン濃度を適切な範囲に制御すれば、亜鉛、鉄、銅を有機溶媒中に残留させたまま、コバルトを選択的に逆抽出することができる。
よって、ニッケルとコバルトの混合水溶液からニッケルを選択的に分離する場合には酸性リン酸エステル系抽出剤を、コバルトを選択的に分離する場合にはアミン系抽出剤を採用することが有利な方法となる。
また、錯イオンとしてCl−等のアニオンも一緒に抽出されるため、錯化アニオンがOH−であるときを除いて、場合によっては望ましくない物質がコバルトに随伴してしまうという問題がある。
つまり、ニッケルとコバルトの混合水溶液からコバルトを選択的に分離する場合にはアミン系抽出剤による溶媒抽出が適切であるが、そこで得られるコバルト水溶液は塩化コバルト水溶液であるため、硫酸コバルト水溶液を得ようとした場合は、塩化コバルト水溶液中の塩化物イオンはコバルトに随伴する望ましくない物質となってしまう。
図2は、従来の高純度硫酸コバルト水溶液の製造プロセスの概略フロー図である。
従来は、電気コバルトを硫酸水溶液に溶解することによって、硫酸コバルト水溶液を製造していた。
本発明は、コストの掛かる電解採取工程を経ずに、直接、硫酸コバルト水溶液を製造するプロセスであるが、電解採取工程を経ない場合には除去することが難しい元素であるカルシウムを含まない、高純度硫酸コバルト水溶液を製造するプロセスである。
ここで、(1)アミン系抽出工程と(2)アミン系逆抽出工程をアミン系溶媒抽出工程、(5)酸性リン酸系抽出工程と(6)酸性リン酸系逆抽出工程を酸性リン酸系溶媒抽出工程と称して、一括して説明することとする。
アミン系溶媒抽出工程は、少なくともアミン系抽出工程、アミン系逆抽出工程から構成される。
例えば、アミン系抽出工程とアミン系逆抽出工程の間に、アミン系洗浄工程を設けても構わない。
抽出剤の希釈剤としては、芳香族炭化水素を用いる。
また、有機相の粘度を調整するため、有機相(抽出剤と希釈剤の混合物)中の抽出剤濃度は、20〜40体積%とする。
なお、式(1)、式(2)、式(2’)中の「:」は、窒素原子の非共有電子対を表す。
なお、ニッケルはクロロ錯イオンを形成しないので、抽出残液に残留して分離される。また、カルシウムもクロロ錯イオンを形成しないので、コバルトから分離することができる。さらに、マンガンはクロロ錯イオンを形成するが、その安定度はコバルトよりも低いので、一部が有機相中に抽出される。
したがって、塩化ニッケル水溶液中に、コバルトよりもクロロ錯イオンを形成し易い、すなわちクロロ錯イオンの安定度が高い金属、例えば銅、亜鉛、鉄のクロロ錯イオンが含まれている場合には、これらの金属も抽出される。
そのために、その70〜100g/Lの塩化物イオン濃度では、有機相中のコバルトクロロ錯イオンが不安定となり、コバルトは水相中に逆抽出される。
さらに、鉄、銅、亜鉛は、その70〜100g/Lの塩化物イオン濃度でも、クロロ錯イオンが安定であるため、有機相中に残留する。
アミン系抽出工程で抽出されたマンガンの一部は、アミン系逆抽出工程で、水相中に溶離する。
さらには、コバルトとクロロ錯イオンを形成しないカルシウムとの分離、コバルトよりもクロロ錯イオンを形成し易い鉄、銅、亜鉛との分離も行うことができる。
この処理は、一旦、カルシウムが分離された逆抽出液、すなわち塩化コバルト水溶液へのカルシウムの再混入を回避するためである。
アミン系溶媒抽出工程にて得られた逆抽出液、すなわち粗塩化コバルト水溶液には、なお微量のマンガン、銅が含有されている。
脱マンガン工程は、マンガン、銅を含有する塩化コバルト水溶液に酸化剤を添加し、酸化還元電位(ORP:Ag/AgCl電極基準、以降、酸化還元電位の値は全てAg/AgCl電極基準とする)を、800mV以上、1050mV未満、及びpHを2.0〜3.0に調整することにより、マンガンの酸化物沈澱を生成させて分離し、マンガン濃度が0.001g/L以下に除去された塩化コバルト水溶液を得る工程である。
ここで、アミン系溶媒抽出工程において分離回収された塩化コバルト水溶液のpHは2.0未満であり、pH調整剤としてアルカリまたはアルカリ水溶液が使用される。
非カルシウム系アルカリスラリーまたは水溶液とは、例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が挙げられるが、消石灰スラリー、炭酸カルシウムスラリー等のカルシウムを含有したものは使用できない。
炭酸コバルト中の炭酸根は、式(4)に示した通り反応によって炭酸ガスとなって気中に散逸するため、脱マンガン工程で得られる塩化コバルト水溶液にコバルトと塩化物イオン以外の不純物が混入する恐れが無いためである。
脱銅工程は、前記脱マンガン工程で得られたマンガンが除去された塩化コバルト水溶液に硫化剤を添加し、塩化コバルト水溶液の酸化還元電位(ORP)を−100〜−50mVおよびpHを1.3〜1.5に調整することにより、塩化コバルト水溶液から銅の硫化物沈澱を生成させて分離し、マンガン濃度が0.001g/L以下、銅濃度が0.0005g/L以下に除去された塩化コバルト水溶液を得る工程である。
また、上記式(5)に示した通り、反応に伴って酸が生成するので、脱銅工程でも、pH調整剤としてアルカリまたはアルカリ水溶液が使用される。
また、好ましくは、前記非カルシウム系アルカリスラリーまたは水溶液の溶媒として、カルシウム濃度が2mg/L以下の純水または軟水を使用する。さらに、アルカリとしては、前記した炭酸コバルトスラリーを用いることが望ましい。
酸性リン酸系溶媒抽出工程は、少なくとも酸性リン酸系抽出工程、酸性リン酸系逆抽出工程から構成される。
具体的に、溶媒抽出は多段向流方式を用いて行う。例えばミキサーセトラー方式の抽出装置を使用し、本発明の説明に用いた実施例においては、酸性リン酸系抽出工程は2段、酸性リン酸系逆抽出工程も2段の多段向流方式を採用している。
抽出剤の希釈剤としては、芳香族炭化水素を用いる。
有機相の粘度を調整するため、有機相(抽出剤と希釈剤)中の抽出剤濃度は、20〜40体積%とする。
ここで上記式(6)中のRは、官能基を含む有機化合物全体を表す。
本発明では、pH調整剤として、非カルシウム系アルカリ水溶液を使用する。その非カルシウム系アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。
また、好ましくは、この非カルシウム系アルカリ水溶液の溶媒として、カルシウム濃度が2mg/L以下の純水または軟水を使用する。
pHが4.0未満では、コバルトの抽出率が低下するため、酸性リン酸系抽出工程における抽出残液からコバルトを回収するための処理コストが増加する。またpHが5.0を超えると、コバルトが水酸化物沈澱を形成し、上記と同様にコバルトの抽出率低下を引き起こし、さらには生成した固形物(沈殿物)は、ミキサーセトラー内の油水分離不良を引き起こす。
言い方を替えれば、酸性リン酸系溶媒抽出工程では、塩化コバルト水溶液から硫酸コバルト水溶液への浴転換を行う。同時に、有機溶媒の抽出剤が再生されるので、その再生された有機溶媒は、酸性リン酸系抽出工程での利用に繰り返される。
pHが1.5未満では、不純物が水相へ逆抽出される可能性がある。一方、pHが1.8を超えると、コバルトの水相への逆抽出量が減少する。さらに、酸性リン酸エステルを用いた溶媒抽出では、抽出反応に水素イオンが関与するため、pHの値により抽出率が変化する。
即ち、pHを高くすれば、上記Ni側寄りの、より抽出されにくい金属を抽出することができるし、pHを低くすれば、上記Fe側寄りの、より抽出されやすい金属も抽出されないようにすることができる。
したがって、本発明では、(1)アミン系抽出工程、(2)アミン系逆抽出工程、(3)脱マンガン工程、(4)脱銅工程、(5)酸性リン酸系抽出工程、(6)酸性リン酸系逆抽出工程で構成されるプロセス全体において、pH調整剤として非カルシウム系アルカリスラリーまたは水溶液を使用する。
ここで、有機相(抽出剤と希釈剤)中のコバルト濃度は10g/L以下で管理することが好ましい。10g/Lを超えると、有機相の粘性が上昇し、油水分離性能が低下する。
そこで、抽出剤の抽出能力の上限までコバルトを抽出すれば効率的ではあるが、有機相中のコバルト濃度を10g/L以下とするために、O/Aは7以上とすることが好ましい。
そこで、必要以上にO/Aを上昇させると、設備コスト、運転コスト上不利となるため、O/Aは9以下とすることが好ましい。
脱鉄終液の組成は、Ni濃度が180g/L、Co濃度が7.5g/L、Ca濃度が0.6g/L、Cu濃度が0.03g/L、Fe濃度が0.02g/L、Mn濃度が0.005g/Lであった。
抽出剤としてトリ−ノルマル−オクチルアミン(TNOA)を、希釈剤としてJX日鉱日石エネルギー株式会社製テクリーンN−20を用い、有機溶媒(抽出剤と希釈剤の混合物)中の抽出剤濃度が20体積%となるように希釈された有機溶媒を使用した。
逆抽出液の組成は、Co濃度が70g/L、Ca濃度が0.002g/L、Cu濃度が0.2g/L、Fe濃度が0.001g/L、Mn濃度が0.01g/Lであった。
脱マンガン工程では、酸化還元電位を800〜1050mV未満、pHを2.0〜3.0に調整した。
酸化剤として塩素ガスを吹込み、pH調整剤としてソーダ灰を軟水で溶解したソーダ灰水溶液を添加した。その後、脱マンガン処理液をフィルタープレスで固液分離することにより、脱マンガン終液を得、脱銅工程に供給した。
硫化剤として硫化水素ガスを吹込み、pH調整剤としてソーダ灰を軟水で溶解したソーダ灰水溶液を添加した。その後、脱銅処理液をフィルタープレスで固液分離することにより、脱銅終液を得た。
酸性リン酸系溶媒抽出工程では、ミキサーセトラー方式の抽出装置を使用し、酸性リン酸系抽出工程(抽出段)、酸性リン酸系洗浄工程(洗浄段)、酸性リン酸系逆抽出工程(逆抽出段)の段数は、表1に示した各運転条件によって条件を変え、抽出段1〜2段、洗浄段0または3段、逆抽出段2段とした。
pH調整剤としては、200g/Lの苛性ソーダ水溶液を使用した。
また、苛性ソーダ水溶液と硫酸水溶液の希釈水は、RUN1からRUN4では軟水、RUN5およびRUN6では工業用水とした。
各運転条件の評価項目として、実収率ではコバルト抽出率、コスト指標では薬液使用量、品質指標では硫酸コバルト水溶液のCo/Ca濃度比を選定した。
液中のCo、Ca濃度は、ICP発光分光分析法により測定した。
RUN2では、コバルトロスを低減するために抽出段数を1段から2段に増加させ、かつ低pH運転を行った。
結果、pHを4以下としたことで、コバルト抽出率が95.00%に低下した。
結果、コバルト抽出率は99.93%と99.9%以上であったが、硫酸コバルト水溶液Co/Ca濃度比は2646と、RUN1〜4と比較して低かった。
洗浄始液としては、逆抽出段水相のうち32%の量を抜き取り、コバルト濃度を50g/Lに調整した硫酸コバルト水溶液を用いた。
結果、コバルト抽出率は99.9%以上であったが、硫酸コバルト水溶液Co/Ca濃度比は8333と、RUN1〜4と比較して低かった。
図2に示した、従来の高純度硫酸コバルト水溶液の製造プロセスの概略フローに従って、電気コバルトを硫酸水溶液に溶解することにより、高純度硫酸コバルト水溶液を製造した。
アミン系抽出工程、アミン系逆抽出工程、脱マンガン工程、脱銅工程の運転条件は、pH調整剤に水酸化カルシウムスラリーを用いたこと、アミン系逆抽出工程で使用する弱酸性塩酸水溶液、脱マンガン工程で使用する水酸化カルシウムスラリー、脱銅工程で使用する水酸化カルシウムスラリーの希釈水にカルシウム濃度0.012g/Lの工業用水を用いたこと以外は、実施例1と同様であった。
また、比較例1では、約8日間の通電時間を考慮すると、ニッケルの原料から高純度硫酸コバルト水溶液になるまでに要する日数が、実施例1のRUN3の約3倍となった。
脱マンガン工程、脱銅工程でのpH調整剤に水酸化カルシウムスラリーを用いたこと、アミン系逆抽出工程で使用する弱酸性塩酸水溶液、脱マンガン工程で使用する水酸化カルシウムスラリー、脱銅工程で使用する水酸化カルシウムスラリー、酸性リン酸系抽出工程で使用する水酸化ナトリウム水溶液、硫酸水溶液の希釈水としてカルシウム濃度0.012g/Lの工業用水を用いたこと以外は、実施例1のRUN3と同様の条件にて、高純度硫酸コバルト水溶液の製造を行った。
その結果、得られた硫酸コバルト水溶液のCo/Ca濃度比は152であった。
Claims (5)
- 少なくともカルシウム、マンガン、鉄、銅を含む塩化ニッケルと塩化コバルトの混合水溶液から高純度硫酸コバルト水溶液を製造する方法において、
(1)前記少なくともカルシウム、マンガン、鉄、銅を含む塩化ニッケルと塩化コバルトの混合水溶液を、アミン系抽出剤を用いた溶媒抽出に供することによって、コバルト、マンガン、鉄、銅が抽出されたアミン系有機溶媒を得るアミン系抽出工程、
(2)前記コバルト、マンガン、鉄、銅が抽出されたアミン系有機溶媒に弱酸性塩酸水溶液を接触させることによって、前記アミン系有機溶媒中のコバルトを前記アミン系有機溶媒から前記弱酸性塩酸水溶液に逆抽出し、微量のマンガン、銅を含んだ塩化コバルト水溶液を得るアミン系逆抽出工程、
(3)前記微量のマンガン、銅を含んだ塩化コバルト水溶液に酸化剤と、非カルシウム系アルカリスラリー又は水溶液を添加し、800以上、1050mV未満(Ag/AgCl電極基準)の酸化還元電位およびpHを2.0〜3.0に調整することにより、マンガンの酸化物沈澱を生成させて分離し、マンガン濃度が0.001g/L以下に除去された塩化コバルト水溶液を得る脱マンガン工程、
(4)前記マンガンが除去された塩化コバルト水溶液に硫化剤と、非カルシウム系アルカリスラリー又は水溶液を添加し、−100以上、−50mV以下(Ag/AgCl電極基準)の酸化還元電位およびpHを1.3以上、1.5以下に調整することにより、銅の硫化物沈澱を生成させて分離し、マンガン濃度が0.001g/L以下、銅濃度が0.0005g/L以下に除去された塩化コバルト水溶液を得る脱銅工程、
(5)前記(4)の工程で得られた塩化コバルト水溶液を水相として用い、非カルシウム系アルカリ水溶液で前記水相のpHを調整しつつ酸性リン酸系抽出剤を用いた溶媒抽出に供することによって、コバルトが抽出された有機相であるコバルト濃度10g/L以下の酸性リン酸系有機溶媒を得る酸性リン酸系抽出工程、
(6)前記コバルトが抽出された酸性リン酸系有機溶媒に硫酸水溶液を接触させることによって、前記酸性リン酸系有機溶媒中のコバルトを前記酸性リン酸系有機溶媒から水相である前記硫酸水溶液に逆抽出し、コバルト/カルシウムの重量比が2500以上の高純度硫酸コバルト水溶液を得る酸性リン酸系逆抽出工程、
を含むことを特徴とする高純度硫酸コバルト水溶液の製造方法。 - 前記アミン系逆抽出工程で使用する弱酸性塩酸水溶液、
前記脱マンガン工程で使用する非カルシウム系アルカリスラリーまたは水溶液、
前記脱銅工程で使用する非カルシウム系アルカリスラリーまたは水溶液、
前記酸性リン酸系抽出工程で使用する非カルシウム系アルカリ水溶液、
および前記酸性リン酸系逆抽出工程で使用する硫酸水溶液の溶媒として、
カルシウム濃度が、2mg/L以下の純水または軟水を使用し、前記酸性リン酸系逆抽出工程においてコバルト/カルシウムの重量比が15000以上の高純度硫酸コバルト水溶液を得ることを特徴とする請求項1に記載の高純度硫酸コバルト水溶液の製造方法。 - 前記酸性リン酸系抽出工程における前記水相pHが4.0〜5.0、有機相の流量を水相の流量で除した流量比(O/A)を7〜9、
前記酸性リン酸系逆抽出工程における前記水相pHが、1.5〜1.8であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高純度硫酸コバルト水溶液の製造方法。 - 前記アミン系抽出剤が3級アミンで、前記酸性リン酸系抽出剤が酸性リン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度硫酸コバルト水溶液の製造方法。
- 前記酸性リン酸系抽出工程では、2段からなる多段向流型溶媒抽出装置を用い、
前記酸性リン酸系逆抽出工程では、2段からなる多段向流型溶媒抽出装置を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高純度硫酸コバルト水溶液の製造方法。
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