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JP6457837B2 - 車両の動力伝達制御装置 - Google Patents

車両の動力伝達制御装置 Download PDF

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JP6457837B2
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Description

本発明は、車両の動力伝達制御装置に関する。
近年、複数の変速段を有し且つトルクコンバータを備えていない変速機と、内燃機関の出力軸と変速機の入力軸との間に介装されてクラッチトルク(クラッチが伝達し得るトルクの最大値)を調整可能なクラッチと、車両の走行状態に応じてアクチュエータを用いてクラッチトルク及び変速機の変速段を制御する制御手段と、を備えた動力伝達制御装置が開発されてきている(例えば、特許文献1を参照)。係る動力伝達制御装置は、オートメイティッド・マニュアル・トランスミッション(AMT)とも呼ばれる。
近年、AMTであって、変速機としてシンクロナイザリングを含むシンクロメッシュ機構が設けられていないタイプのもの(ノンシンクロトランスミッションとも呼ばれる。)が用いられた構成が開発されてきている。ノンシンクロトランスミッションは、シンクロメッシュ機構が設けられた変速機と比べて、シンクロナイザリングの省略に起因して、変速機の全長が短い、シンクロナイザリングの回転に係る摩擦損失が発生しない、並びに、変速機の重量が軽い、などの利点を有する。
ノンシンクロトランスミッションの変速においては、変速ショック(変速に起因する車両の前後加速度の急激な変化)を抑制するため、変速前の変速段の遊転ギヤと係合しているスリーブを「中立位置」に移動することによって前記係合を解除してニュートラル段を実現した後、シンクロメッシュ機構に代わる何等かの手段を用いて、変速機の入力軸の回転速度を「同期回転速度」に近づくように調整し、変速機入力軸の回転速度が「同期回転速度」(或いは、その近傍)に維持された状態にて、変速後の変速段に対応するスリーブを「噛合位置」に移動することによって同スリーブを変速後の変速段の遊転ギヤと係合させる必要がある。ここで、「同期回転速度」とは、「変速後の変速段が実現された状態における車両の速度に対応する変速機の入力軸の回転速度」を指す。以下、変速機入力軸の回転速度を「同期回転速度」に一致することを「同期」と呼び、変速機入力軸の回転速度を「同期回転速度」に近づくように変更・調整することを、「同期を行う」、「同期する」、「同期中」などと呼ぶ(以下、本明細書において同じ)。
上記文献に記載されたAMTでは、変速機入力軸の回転速度の同期を行うため、「複数の変速段のうち減速比が最も大きい最低速段及び減速比が最も小さい最高速段のそれぞれが、シンクロメッシュ機構が設けられたシンクロ段であり、残りの変速段のそれぞれが、シンクロメッシュ機構が設けられていないノンシンクロ段である構成」が採用されている。即ち、変速機が有する1つ又は複数のノンシンクロ段の減速比は、最高速段の減速比より大きく且つ最低速段の減速比より小さい。
上記構成では、実現される変速段を、複数の変速段及びニュートラル段のうちの何れか一つからノンシンクロ段に変更する際、この変速が、変速機の入力軸の回転速度を「同期回転速度」に近づけるために、変速機の入力軸の回転速度を減少する必要があるか又は増大する必要があるかが判定される。典型的には、実現される変速段を、「複数の変速段のうちの何れか一つの変速段」から「ノンシンクロ段」に変更する際、この変速が、減速比が減少するシフトアップ及び減速比が増大するシフトダウンの何れに対応するかが判定される。
変速機の入力軸の回転速度を減少(増大)する必要があると判定された場合(典型的には、シフトアップ(シフトダウン)と判定された場合)、クラッチトルクをゼロまで低減し(且つ、内燃機関の駆動トルクをゼロ、或いは微小値まで低減し)、クラッチトルクがゼロに維持された状態において、変速前の変速段の遊転ギヤと係合しているスリーブを「中立位置」に移動することによって前記係合を解除してニュートラル段が実現される。次いで、ニュートラル段が実現され且つクラッチトルクがゼロに維持された状態において、最高速段(最低速段)に対応するスリーブを「中立位置と噛合位置との間であり且つスリーブと対応する遊転ギヤとが係合しない位置」に移動して最高速段(最低速段)のシンクロメッシュ機構が作動させられる。これにより、変速機の入力軸の回転速度が「同期回転速度」に近づくように減少(増大)させられる。
変速機の入力軸の回転速度が「同期回転速度」に基づく目標回転速度に達したと判定された後(同期完了判定がなされた後)、最高速段(最低速段)に対応するスリーブが「中立位置」に向けて移動させられる。同時に(或いは、その後)、変速後の変速段に対応するスリーブを「噛合位置」に移動することによって変速後の変速段の遊転ギヤと係合させ、次いで、クラッチトルク(及び、内燃機関の駆動トルク)がゼロから増大させられる。
一般に、シフトアップの場合、変速機の入力軸の回転速度を同期するために同回転速度を減少する必要があり、シフトダウンの場合、変速機の入力軸の回転速度を同期するために同回転速度を増大する必要がある。上記構成では、ノンシンクロ段へのシフトアップの場合、変速機の入力軸の回転速度を減少するために、「変速後のノンシンクロ段より減速比が小さいシンクロ段である最高速段」のシンクロメッシュ機構が活用され、ノンシンクロ段へのシフトダウンの場合、変速機の入力軸の回転速度を増大するために、「変速後のノンシンクロ段より減速比が大きいシンクロ段である最低速段」のシンクロメッシュ機構が活用される。換言すれば、シンクロ段である最高速段及び最低速段のシンクロメッシュ機構が、ノンシンクロ段への変速時において変速機の入力軸の回転速度を減少・増大させる手段として活用される。
特開2014−231865号公報
通常、最高速段及び最低速段の各シンクロメッシュ機構は、「対応するスリーブのドグ歯と係合可能なドグ歯を備えたシンクロナイザリング」と、「対応するスリーブが中立位置にあるときにそのスリーブに設けられたキー溝に係合するキー」と、「キーをキー溝に向けて押圧するスプリング」と、を備える。
加えて、各シンクロメッシュ機構は、対応するスリーブが「中立位置」から「噛合位置」まで移動する過程において、対応するスリーブが、「インデックス位置」を経由し、その後、「ボーク位置」を経由するように構成される。ここで、「インデックス位置」とは、「そのスリーブのドグ歯がシンクロナイザリングのドグ歯及び対応する遊転ギヤのドグ歯の両方に係合しないとともに、キーの側面がシンクロナイザリングを対応する遊転ギヤに向けて押圧することによってシンクロメッシュ機構が作動する位置」である。「ボーク位置」とは、「そのスリーブのドグ歯がシンクロナイザリングのドグ歯と係合し且つ対応する遊転ギヤのドグ歯と係合しないとともに、キーの側面がシンクロナイザリングを対応する遊転ギヤに向けて押圧することによってシンクロメッシュ機構が作動する位置」である。
上記文献に記載されたAMTでは、同期を行うために最高速段又は最低速段のシンクロメッシュ機構を作動させる際、上述のように、対応するスリーブが「中立位置と噛合位置との間であり且つスリーブと対応する遊転ギヤとが係合しない位置」に調整される。ここで、本発明者は、同期中にスリーブを具体的にどの位置に調整すればよいかに着目した。
本発明者は、同期中に調整されるスリーブの位置によって、上記「同期完了判定」がなされた後における変速機の入力軸の回転速度の推移が大きく異なることを見出した。変速ショックの抑制のためには、上記「同期完了判定」がなされた後にて変速機の入力軸の回転速度が「同期回転速度」から大きく乖離しないように、同期中にて調整されるスリーブの位置を決定することが望ましい。
本発明の目的は、車両の動力伝達制御装置であって、ノンシンクロ段への変速時において、上記「同期完了判定」がなされた後にて変速機の入力軸の回転速度が「同期回転速度」から大きく乖離しないものを提供することにある。
本発明に係る動力伝達制御装置では、上記文献に記載されたAMTと同様、複数の変速段のうち減速比が最も大きい最低速段及び減速比が最も小さい最高速段のそれぞれが、シンクロメッシュ機構が設けられたシンクロ段であり、残りの変速段のそれぞれが、シンクロメッシュ機構が設けられていないノンシンクロ段である構成が採用されている。
本発明に係る動力伝達制御装置の特徴は、同期中において、最高速段又は最低速段に対応するスリーブを上記「インデックス位置」に維持してシンクロメッシュ機構を作動させることにある。これによれば、例えば、スリーブを上記「ボーク位置」に維持する場合と比べて、上記「同期完了判定」がなされた後において、変速機の入力軸の回転速度が「同期回転速度」(或いは、その近傍)に維持され易いことが判明した(この点については後に詳述する)。
本発明に係る車両の動力伝達制御装置の実施形態を搭載した車両の概略構成図である。 図1に示した変速機の概略構成図である。 図2に示したスリーブS1の周りのドグ歯の位置関係を模式的に示した図である。 図2に示したスリーブS2の周りのドグ歯の位置関係を模式的に示した図である。 図2に示したスリーブS3の周りのドグ歯の位置関係を模式的に示した図である。 図1に示したクラッチについての「ストローク−トルク特性」を規定するマップを示したグラフである。 車速及びアクセル開度と、シフト位置との関係を規定したマップを示したグラフである。 スリーブS3が中立位置にある場合における5速のシンクロメッシュ機構の概略構成図である。 スリーブS3がインデックス位置にある場合における図8に対応する図である。 スリーブS3がボーク位置にある場合における図8に対応する図である。 スリーブS3が完全噛合位置にある場合における図8に対応する図である。 変速要求があった場合における変速作動に係る処理の流れを示すフローチャートである。 図12のステップ1230の処理の詳細を示すフローチャートである。 比較例について、ノンシンクロ段へのシフトアップ要求があった場合における変速作動の一例を示したタイムチャートである。 比較例について、ノンシンクロ段へのシフトダウン要求があった場合における変速作動の一例を示したタイムチャートである。 本実施形態についての図14に対応するタイムチャートである。 本実施形態についての図15に対応するタイムチャートである。 本実施形態の変形例を搭載した車両の図1に対応する図である。
以下、本発明による車両の動力伝達制御装置の実施形態(本実施形態)について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態を搭載した車両の概略構成を示している。この車両は、動力源として内燃機関を備え、且つ、トルクコンバータを備えない変速機とクラッチとを使用した所謂オートメイティッド・マニュアル・トランスミッション(AMT)を備えた車両である。
この車両は、エンジンE/Gと、変速機T/Mと、クラッチC/Dとを備えている。E/Gは、周知の内燃機関の1つであり、例えば、ガソリンを燃料として使用するガソリンエンジン、軽油を燃料として使用するディーゼルエンジンである。E/Gの出力軸A1は、フライホイールF/W、及び、クラッチC/Dを介して、変速機T/Mの入力軸A2と接続されている。
変速機T/Mは、前進用の複数(例えば、5つ)の変速段(シフト位置)、後進用の1つの変速段(シフト位置)、及びニュートラル段を有するトルクコンバータを備えない周知の有段変速機の1つである。T/Mの出力軸A3は、ディファレンシャルD/Fを介して車両の駆動輪と接続されている。
図2に示すように、T/Mは、複数の固定ギヤG1i、G2i、G3i、G4i、G5iと、複数の遊転ギヤG1o、G2o、G3o、G4o、G5oと、複数の円筒状のスリーブS1、S2、S3と、を備える。固定ギヤG1i、G2i、G3i、G4i、G5iのそれぞれは、入力軸A2に相対回転不能に設けられ、前進用の複数の走行用変速段のそれぞれに対応している。遊転ギヤG1o、G2o、G3o、G4o、G5oのそれぞれは、出力軸A3に相対回転可能に設けられ、前進用の複数の走行用変速段のそれぞれに対応している。遊転ギヤG1o、G2o、G3o、G4o、G5oのそれぞれは、対応する固定ギヤと常時歯合するとともに、側面のピースにドグ歯が設けられている。スリーブS1、S2、S3のそれぞれは、出力軸A3に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に設けられ、出力軸A3に対して対応する遊転ギヤを相対回転不能に固定するために対応する遊転ギヤのドグ歯と係合可能なドグ歯を備える。
図2に示すように、T/Mの複数の走行用変速段(1速〜5速)のうち、減速比が最も大きい最低速段(1速)及び減速比が最も小さい最高速段(5速)のそれぞれが、「シンクロナイザリングを含むシンクロメッシュ機構」が設けられたシンクロ段であり、残りの変速段(2速、3速、4速)のそれぞれが、シンクロメッシュ機構が設けられていないノンシンクロ段である。
図3、図4、及び図5は、それぞれ、スリーブS1、スリーブS2、及びスリーブS3の周りのドグ歯の位置関係を模式的に示す。図3〜図5から理解できるように、各スリーブには、周方向において等間隔で配置され且つそれぞれが軸方向に延びる複数のドグ歯(スプライン。典型的には、内歯)が出力軸A3と同軸的に形成されている。各遊転ギヤのピースには、周方向において対応するスリーブのドグ歯の間隔と同じ等間隔で配置され且つそれぞれが軸方向に延び且つ対応するスリーブのドグ歯と係合可能な複数のドグ歯(スプライン。典型的には、外歯)が出力軸A3と同軸的に形成されている。
各シンクロ段(1速、及び、5速)については、更に、対応するスリーブと対応する遊転ギヤとの間に、シンクロナイザリング(SNR1、及び、SNR5)が設けられている。各シンクロナイザリング(SNR1、SNR5)には、周方向において対応するスリーブのドグ歯の間隔と同じ等間隔で配置され且つそれぞれが軸方向に延び且つ対応するスリーブのドグ歯と係合可能な複数のドグ歯(スプライン。典型的には、外歯)が出力軸A3と同軸的に形成されている。
各スリーブ(S1、S3)の複数のドグ歯における「対応するシンクロ段側の軸方向先端部」の位置は、軸方向において同じであり、且つ、前記複数のドグ歯の軸方向先端部には、それぞれ、チャンファ面が形成されている。
これに伴い、各シンクロナイザリング(SNR1、SNR5)の複数のドグ歯における「対応するスリーブ側の軸方向先端部」の位置も、軸方向において同じであり、且つ、前記複数のドグ歯の軸方向先端部にも、それぞれ、チャンファ面が形成されている。また、各シンクロ段に対応する遊転ギヤ(G1o、G5o)の複数のドグ歯における「対応するスリーブ側の軸方向先端部」の位置も、軸方向において同じであり、且つ、前記複数のドグ歯の軸方向先端部にも、それぞれ、チャンファ面が形成されている。なお、シンクロ段におけるシンクロメッシュ機構の具体的な構成、及び作動については後述する。
各スリーブ(S1、S2)の複数のドグ歯における「対応するノンシンクロ段側の軸方向先端部」については、対応する遊転ギヤに向けて相対的に突出する歯(以下、「長歯」と呼ぶ)と、相対的に突出しない歯(以下、「短歯」と呼ぶ)とが、周方向において交互に形成されている。これに伴い、各ノンシンクロ段に対応する遊転ギヤ(G2o、G3o、G4o)の複数のドグ歯における「対応するスリーブ側の軸方向先端部」についても、対応するスリーブに向けて相対的に突出する歯(以下、「噛合歯」と呼ぶ)と、相対的に突出しない歯(以下、「トルク伝達歯」と呼ぶ)とが、周方向において交互に形成されている。
従って、スリーブが中立位置(図3、図4に示す位置)から、ノンシンクロ段の遊転ギヤに向けて軸方向に移動していく過程において、スリーブの長歯の軸方向先端部は、先ず、遊転ギヤの周方向に隣接する噛合歯同士の間の空間に入り込む。これにより、スリーブの長歯が遊転ギヤの噛合歯のみと係合する(これにより、スリーブが遊転ギヤと係合開始する)。その後、スリーブの長歯及び短歯の軸方向先端部が、遊転ギヤの周方向に隣接する噛合歯及びトルク伝達歯の間の空間にそれぞれ入り込む。これにより、スリーブの長歯及び短歯が遊転ギヤの噛合歯及びトルク伝達歯と係合する(これにより、スリーブが遊転ギヤと完全に係合する)。スリーブの「完全噛合位置」は、スリーブの長歯と遊転ギヤのトルク伝達歯との軸方向における噛合長さが所定値(>0)に達する位置に対応する。
なお、「各スリーブ(S1、S2)の複数のドグ歯における「対応するノンシンクロ段側の軸方向先端部」の位置が軸方向において同じであり、且つ、各ノンシンクロ段に対応する遊転ギヤ(G2o、G3o、G4o)の複数のドグ歯における「対応するスリーブ側の軸方向先端部」の位置も軸方向において同じである」構成が採用されてもよい。また、「各スリーブ(S1、S2)の複数のドグ歯における「対応するノンシンクロ段側の軸方向先端部」にチャンファ面がそれぞれ形成され、且つ、各ノンシンクロ段に対応する遊転ギヤ(G2o、G3o、G4o)の複数のドグ歯における「対応するスリーブ側の軸方向先端部」にもチャンファ面がそれぞれ形成された」構成が採用されてもよい。
スリーブS1、S2、S3のドグ歯のそれぞれが対応する遊転ギヤのドグ歯と係合していない状態では、ニュートラル段が実現される。スリーブS1、S2、S3のうちの何れか一つのドグ歯が対応する1つの遊転ギヤのドグ歯と係合している状態では、その遊転ギヤに対応する変速段が実現される。
T/Mの変速段の変更・設定は、変速機アクチュエータACT2(図1を参照)によってスリーブS1、S2、S3を駆動し、スリーブS1、S2、S3の軸方向位置を制御することで実行される。「実現される変速段」を変更することで、減速比(出力軸A3の回転速度Noに対する入力軸A2の回転速度Niの割合)が調整される。具体的には、「N」速の「減速比」は、「GNoの歯数/GNiの歯数)(N:1,2,3,4,5)で表される。「1速」から「5速」に向けて、減速比は次第に小さくなっていく。
クラッチC/Dは、変速機T/Mの入力軸A2に一体回転するように設けられた周知の構成の1つを有する摩擦クラッチディスクである。より具体的には、エンジンE/Gの出力軸A1に一体回転するように設けられたフライホイールF/Wに対して、クラッチC/D(より正確には、クラッチディスク)が互いに向き合うように同軸的に配置されている。フライホイールF/Wに対するクラッチC/D(より正確には、クラッチディスク)の軸方向の位置が調整可能となっている。クラッチC/Dの軸方向位置は、クラッチアクチュエータACT1(図1を参照)により調整される。なお、このクラッチC/Dは、運転者によって操作されるクラッチペダルを備えていない。
以下、クラッチC/Dの原位置(クラッチディスクがフライホイールから最も離れた位置)からの接合方向(圧着方向)への軸方向の移動量をクラッチストロークと呼ぶ。クラッチC/Dが「原位置」にあるとき、クラッチストロークが「0」となる。図6に示すように、クラッチストロークを調整することにより、クラッチC/Dが伝達可能な最大トルク(クラッチトルクTc)が調整される。「Tc=0」の状態では、エンジンE/Gの出力軸A1と変速機T/Mの入力軸A2との間で動力が伝達されない。この状態を「分断状態」と呼ぶ。また、「Tc>0」の状態では、出力軸A1と入力軸A2との間で動力が伝達される。この状態を「接合状態」と呼ぶ。
本実施形態は、アクセルペダルAPの操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサS1と、シフトレバーSLの位置を検出するシフト位置センサS2と、ブレーキペダルBPの操作の有無を検出するブレーキセンサS3と、エンジンE/Gの出力軸A1の回転速度を検出する回転速度センサS4と、変速機T/Mの入力軸A2の回転速度を検出する回転速度センサS5と、クラッチC/Dのクラッチストロークを検出するストロークセンサS6と、車両の速度(車速)を検出する車速センサS7と、を備えている。
また、本実施形態は、電子制御ユニットECUを備えている。ECUは、上述のセンサS1〜S7、並びにその他のセンサ等からの情報等に基づいて、上述のアクチュエータACT1、ACT2を制御することで、C/Dのクラッチストローク(従って、クラッチトルクTc)、及び、T/Mの「実現される変速段」を制御する。また、ECUは、E/Gの燃料噴射量(スロットル弁の開度)を制御することでE/Gの出力軸A1の駆動トルクを制御する。
以下、説明の便宜上、E/Gの燃焼により出力軸A1に発生する駆動トルクを「エンジントルクTe」と呼ぶ。Teは、車両の加速方向について正の値を採り、減速方向について負の値を採るものとする。Teは、通常(後述する変速作動中を除く)、アクセル開度及び車速等の車両の走行状態に基づいて調整される。
本実施形態では、シフトレバーSLが「自動モード」に対応する位置(例えば、Dレンジ)にある場合、ECU内のROMに記憶された変速マップ(図7を参照)と、車速及びアクセル開度等の車両の走行状態とに基づいて要求される変速段(選択・実現すべき変速段、以下、「要求変速段」と呼ぶ)が選択される。例えば、現在の車速がαで現在のアクセル開度がβの場合、要求変速段として「3速」が選択される。一方、シフトレバーSLが「手動モード」に対応する位置(例えば、M(マニュアル)レンジ)にある場合、シフトレバーSLの位置に基づいて要求変速段が選択される。
変速機T/Mでは、通常、要求変速段と同じ変速段が実現される。要求変速段が変化したとき、「変速要求あり」と判定される。「変速要求あり」と判定された場合、T/Mの変速作動(変速段が変更される際の作動)が行われる。
(シンクロメッシュ機構の構成及び作動)
次に、シンクロ段(1速、5速)におけるシンクロメッシュ機構の具体的な構成及び作動について説明する。1速及び5速のシンクロメッシュ機構の構成及び作動は同じであるので、以下、図8〜図11を参照しながら、5速のシンクロメッシュ機構の構成及び作動についてのみ説明していく。
図8に示すように、5速のシンクロメッシュ機構は、上述したシンクロナイザリングSNR5と、キーと、スプリングと、を備える。キーは、出力軸A3に固定されたハブの外周部における周方向の複数箇所(例えば、3箇所)にて、ハブに対して、径方向及び軸方向に相対移動可能且つ周方向に相対回転不能に設けられている。また、キーは、シンクロナイザリングSNR5に対して、周方向にて、所定の角度(典型的には、周方向に隣接するドグ歯間のピッチに対応する角度より小さい角度)の範囲内でのみ相対回転可能に、SNR5と連結されている。キーの外周面には、凸部が設けられている。
スプリングは、ハブの外周部に設けられ、キーを径方向外側に向けて常時付勢している。この結果、図8に示すように、スリーブS3が「中立位置」(図8に示す位置)にあるとき、スプリングの付勢力によって、「キーの凸部がスリーブS3の内周面に設けられたキー溝に収容された状態」が維持される。スリーブS3が「中立位置」にあるとき、スリーブS3のドグ歯dsは、シンクロナイザリングSNR5のドグ歯dr及び遊転ギヤG5oのドグ歯dgの両方に係合せず、且つ、キーは、シンクロナイザリングSNR5と接触していない。
スリーブS3の軸方向位置は、「フォークを介してスリーブS3と連結されたフォークシャフト」の軸方向位置を制御するアクチュエータACT2を制御することによって調整される。アクチュエータACT2を制御することによって、スリーブS3が「中立位置」(図8を参照)から「完全噛合位置」(図11を参照)に向けて移動する過程において、スリーブS3は、「インデックス位置」(図9を参照)、及び、「ボーク位置」(図10を参照)を順に経由していく。
スリーブS3が「中立位置」から「完全噛合位置」に向けて移動開始すると、スリーブS3のキー溝がキーの凸部に対して軸方向に相対移動を開始する。この結果、キーの凸部がキー溝によって径方向内側及び軸方向に押圧されることによって、キーが、スプリングの付勢力に対抗しながら、シンクロナイザリングSNR5に向けて径方向内側及び軸方向に移動していく。
スリーブS3の更なる移動に伴い、キーがSNR5に接触して、キーがSNR5を遊転ギヤG5oに向けて軸方向に押圧すると、遊転ギヤG5o(ピース)とSNR5との間に形成された一対の摩擦係合面(本例では、SNR5側の雌型の円錐摩擦係合面と、G5o側の雄型の円錐摩擦係合面)が互いに押圧される。この結果、キーのSNR5に対する軸方向の押圧力(従って、一対の摩擦係合面間の軸方向の押圧力)に応じた「摩擦トルク」が発生する。この「摩擦トルク」は、SNR5(従って、スリーブS3)と、遊転ギヤG5oと、の間の回転速度差を小さくする方向のトルクである。換言すれば、この「摩擦トルク」の発生により、シンクロメッシュ機構が作動して「同期」が行われる。
本実施形態では、図9に示すように、スリーブS3が「インデックス位置」にあるとき、ドグ歯dsがドグ歯dr(及び、ドグ歯dg)と未だ係合しない一方で、上述のように、キーがSNR5を軸方向に押圧することによって「摩擦トルク」が発生している(シンクロメッシュ機構が作動している)。この「インデックス位置」では、ドグ歯dsがドグ歯drと係合していないので、キーのSNR5に対する軸方向の押圧力のみに基づいて「摩擦トルク」が発生している。従って、「摩擦トルク」は比較的小さい。
スリーブS3が「インデックス位置」から「完全噛合位置」に向けて更に移動すると、図10に示すように、スリーブS3は「ボーク位置」に達する。「ボーク位置」では、ドグ歯dsのチャンファ面がドグ歯drのチャンファ面と係合している(ドグ歯dgとは未だ係合していない)。従って、ドグ歯dsのチャンファ面がドグ歯drのチャンファ面を押圧することによって、スリーブS3がSNR5を遊転ギヤG5oに向けて軸方向に押圧している。即ち、この「ボーク位置」では、キーのみならずスリーブS3も、SNR5を軸方向に押圧している。従って、「インデックス位置」と比べて、「ボーク位置」では、SNR5のG5oに対する軸方向の押圧力が大きいことによって「摩擦トルク」も大きくなる。
スリーブS3が「ボーク位置」から「完全噛合位置」に向けて更に移動すると、ドグ歯dsのチャンファ面がドグ歯drのチャンファ面と接触しながら同チャンファ面に対して相対的に移動していく。これにより、スリーブS3とシンクロナイザリングSNR5とが僅かに相対回転する。この結果、各ドグ歯dsが、周方向に隣接するドグ歯drの間の空間に入り込める状態になる。その後、各ドグ歯dsが、周方向に隣接するドグ歯drの間の空間に入り込んでいく。なお、遅くとも、この時点までには、上述した「摩擦トルク」によって、遊転ギヤG5oの回転速度がスリーブS3の回転速度に既に一致している(スリーブS3と遊転ギヤG5oとの間の回転速度差が既にゼロになっている)。即ち、「同期」が既に完了している。
各ドグ歯dsが周方向に隣接するドグ歯drの間の空間に入り込んだ後、スリーブS3が「完全噛合位置」に向けて更に移動すると、スリーブS3が「ドグ歯dsとドグ歯dgとが係合し得る位置」に到達する。ここで、ドグ歯dsとドグ歯dgとの周方向の相対位相が「各ドグ歯dsが周方向に隣接するドグ歯dgの間の空間に入り込める状態」に対応しない場合、ドグ歯dsのチャンファ面がドグ歯dgのチャンファ面と接触しながら同チャンファ面に対して相対的に移動していく。これにより、スリーブS3と遊転ギヤG5oとが僅かに相対回転する。この結果、各ドグ歯dsが周方向に隣接するドグ歯dgの間の空間に入り込める状態になる。その後、各ドグ歯dsが、周方向に隣接するドグ歯dgの間の空間に入り込んでいく。そして、図11に示すように、スリーブS3が「完全噛合位置」に到達する。
なお、スリーブS3の位置の制御は、スリーブS3と連結された上記フォークシャフトの軸方向位置を検出するセンサ(図示せず)からの信号に基づいて行われる。具体的には、「中立位置」、「インデックス位置」、「ボーク位置」、及び、「完全噛合位置」に対応する上記フォークシャフトの軸方向位置がそれぞれ既知となっている。前記センサからの信号に基づいて、スリーブS3が各位置に到達したか否かが判定される。
(変速作動)
上述したように、本実施形態に使用されるT/Mでは、最低速段(1速)及び最高速段(5速)のそれぞれがシンクロ段であり、残りの変速段(2速、3速、4速)のそれぞれがノンシンクロ段である。1速〜5速のうちの何れか一つの変速段からシンクロ段(1速又は5速)への変速作動では、変速ショック(変速に起因する車両の前後加速度の急激な変化)を抑制するため、変速後の変速段であるシンクロ段が有する上述したシンクロメッシュ機構によって、T/Mの入力軸A2の回転速度Niが前記「同期回転速度」に近づく(より好ましくは、一致する)ように調整される(即ち、Niの同期が行われる)。
一方、1速〜5速のうちの何れか一つの変速段から(シンクロメッシュ機構を備えない)ノンシンクロ段(2速又は3速又は4速)への変速作動では、変速ショックを抑制するため、何等かの手段を用いてNiの同期を行う必要がある。
本実施形態では、ノンシンクロ段(2速又は3速又は4速)への変速時、シンクロ段(1速又は5速)が備えるシンクロメッシュ機構を利用してNiの同期が行われる。換言すれば、シンクロ段である最低速段(1速)及び最高速段(5速)のシンクロメッシュ機構が、ノンシンクロ段への変速時においてNiを減少・増大させる手段として活用される。
本実施形態では、ノンシンクロ段への変速時において最低速段(1速)及び最高速段(5速)のシンクロメッシュ機構を作動させる間に亘って、対応するスリーブ(S1又はS3)を上述した「インデックス位置」に維持する点、に特徴がある。この特徴による作用・効果を説明する準備として、先ず、ノンシンクロ段への変速時において最低速段(1速)及び最高速段(5速)のシンクロメッシュ機構を作動させる間に亘って、対応するスリーブ(S1又はS3)を上述した「ボーク位置」に維持する場合(以下、「比較例」と呼ぶ)について、図12及び図13に示すフローチャート、並びに、図14及び図15に示すタイムチャートを参照しながら詳細に説明する。
図12及び図13は、「変速要求あり」(即ち、要求変速段が変化した)と判定された場合において、ECU(具体的には、ECUの内部のCPU)からの指令によって実行される変速作動に係る処理の流れを示す。図14は、比較例において、ノンシンクロ段(2速又は3速又は4速)へのシフトアップ(減速比が減少する変速)に関して「変速要求あり」と判定された場合における変速作動の一例を示す。図15は、比較例において、ノンシンクロ段(2速又は3速又は4速)へのシフトダウン(減速比が増大する変速)に関して「変速要求あり」と判定された場合における変速作動の一例を示す。以下、先ず、図14に示す例について、図12及び図13に示すフローチャートを参照しながら説明していく。
図14に示す例(シフトアップ)では、シフトレバーSLによって「自動モード」(Dレンジ)が選択・維持され、且つ、時刻t1以前にて3速で走行中(加速中)に、時刻t1にて「3速から4速への変速要求」が発生した場合の一例が示されている。時刻t1以前では、エンジントルクTeが大きい正の値(大きい加速方向の値)に維持され、クラッチトルクTcがTeよりも十分に大きい値(例えば、最大値Tmax)に維持され、入力軸A2の回転速度Niが「3速の同期回転速度」に維持され、スリーブS1及びスリーブS3が中立位置に位置し、スリーブS2が3速の噛合完了位置に位置している。
時刻t1にて「3速から4速への変速要求」が発生すると、図12に示す処理が開始され、Tc及びTeがゼロまで低減される(ステップ1210)。ここで、「Te=0」とは、エンジンE/Gがアイドリング状態にあることを意味する。この結果、図14に示す例では、時刻t1以降、Tc及びTeがゼロに向けて減少していく。
時刻t2にてTc及びTeがゼロに達すると、Tc,Teがゼロに維持された状態(クラッチC/Dの分断状態)で、変速前噛合スリーブが中立位置まで移動される(図12のステップ1220)。ここで、「変速前噛合スリーブ」とは、変速前の段階で実現されている変速段の遊転ギヤと係合しているスリーブを指す。この結果、図14に示す例では、時刻t2以降、スリーブS2が、3速の噛合完了位置から中立位置に向けて移動していく。Tc,Teは、なおもゼロに維持されている。スリーブS2が中立位置に移動することにより、ニュートラル段が実現される。
時刻t3にてスリーブS2が中立位置に達すると、シンクロ段のシンクロメッシュ機構を利用して、Niの同期が行われる(図12のステップ1230)。具体的には、図13に示すように、変速後の変速段がシンクロ段である場合(ステップ1310にてNo)、変速後の変速段のシンクロメッシュ機構を利用してNiの同期が行われる(ステップ1320)。この点について詳細な作動については、従来と同様であるので詳細な説明を省略する。一方、変速後の変速段がノンシンクロ段である場合(ステップ1310にてYes)において、シフトアップのとき(ステップ1330でYes)は、最高速段(5速)のシンクロメッシュ機構(具体的には、シンクロナイザリングSNR5、図2を参照)を利用してNiの同期が行われ(ステップ1340)、シフトダウンのとき(ステップ1330でNo)は、最低速段(1速)のシンクロメッシュ機構(具体的には、シンクロナイザリングSNR1、図2を参照)を利用してNiの同期が行われる(ステップ1350)。この結果、図14に示す例(シフトアップ)では、時刻t3以降、スリーブS3が、中立位置から5速の「ボーク位置」(図10を参照)に向けて移動していく。Tc,Teは、なおもゼロに維持されている。
時刻t4にて、スリーブS3が「ボーク位置」に達すると、以降、スリーブS3が「ボーク位置」に維持される。この状態では、SNR5による摩擦トルクが発生する(5速のシンクロメッシュ機構が作動する)ことによって、Niが、「3速の同期回転速度」から「4速の同期回転速度」(より正確には、「5速の同期回転速度」)に向けて減少していく。Niが、目標回転速度に達すると、Niの同期が達成される。この例では、目標回転速度が、「4速の同期回転速度」よりΔNt(一定の正の値)だけ大きい回転速度に設定されている。これは、同期完了判定がなされた後もSNR5による摩擦トルクが残存する状態が或る期間に亘って維持されることによって、Niが「5速の同期回転速度」に向けて更に減少していく傾向が不可避的に発生することに基づく。なお、目標回転速度が、「4速の同期回転速度」と同じ回転速度に設定されてもよい。
時刻t5にて、Niが「目標回転速度」に達すると(同期完了判定がなされると)、スリーブS3が「ボーク位置」から「中立位置」まで移動される。同時に、変速後噛合スリーブが、変速後の変速段の噛合完了位置に向けて移動される(図12のステップ1240)。ここで、「変速後噛合スリーブ」とは、変速後の段階で実現される変速段の遊転ギヤと係合するスリーブを指す。この結果、図14に示す例では、時刻t5以降、スリーブS2が、「中立位置」から4速の噛合完了位置に向けて移動していく。その後、スリーブS2が4速の噛合完了位置に移動することにより、4速が実現される。
図14に示すように、時刻t5以降、Niが「4速同期回転速度」から更に減少していき、「4速同期回転速度」から減少側に大きく乖離している。これは、スリーブS3が「ボーク位置」から「中立位置」まで移動される過程の初期段階において、SNR5による摩擦トルクが比較的長い間に亘って残存することに起因する。即ち、SNR5による摩擦トルクは、スリーブS3が「キーがSNR5を遊転ギヤG5oに向けて押圧する状態が解除される位置」(以下、「押圧解除位置」と呼ぶ)に達するまで残存する。スリーブS3が「ボーク位置」から「インデックス位置」を経由して「押圧解除位置」に達するまでには、比較的長い時間が必要となる。加えて、上述のように、「ボーク位置」では、「摩擦トルク」が比較的大きくなることにも起因する。即ち、同期中(時刻t4〜t5)、並びに、同期完了判定後における「摩擦トルク」の残存期間中、において、Niの減少勾配が比較的大きくなる。このように、時刻t5以降の比較的長い「摩擦トルク」の残存期間中において、比較的大きい減少勾配でNiが減少していくことによって、時刻t5以降、Niが「4速同期回転速度」から減少側に大きく乖離している。
この結果、時刻t6の直前にて、スリーブS2のドグ歯が遊転ギヤG4oのドグ歯と係合開始する時点以降、Niが「4速の同期回転速度」に向けて急激に増加している。このとき、比較的大きい変速ショックが発生する。
時刻t6にて、スリーブS2が4速の噛合完了位置に達すると、Te、Tcが増大・復帰される(図12のステップ1250)。図14に示す例では、時刻t6以降、Teがゼロから「アクセル開度に応じた値」まで増大していき、Tcがゼロから「時刻t1以前での値」に向けて増大していく。そして、時刻t7にて、Te、Tcの増大・復帰が完了すると、今回の変速作動に係る処理が全て終了する。
次に、図15に示す例(シフトダウン)について説明する。図15に示す例では、シフトレバーSLによって「自動モード」(Dレンジ)が選択・維持され、且つ、時刻t1以前にて3速で走行中(加速中)に、時刻t1にて「3速から2速への変速要求」が発生した場合の一例が示されている。図15の時刻t1〜t7はそれぞれ、図14の時刻t1〜t7に対応している。図15の時刻t1以前の状態は、図14に示す例と同様である。
時刻t1にて「3速から2速への変速要求」が発生すると、Tc及びTeがゼロに向けて減少していく。
時刻t2にてTc及びTeがゼロに達すると、スリーブS2が、3速の噛合完了位置から中立位置に向けて移動していく。Tc,Teは、なおもゼロに維持されている。スリーブS2が中立位置に移動することにより、ニュートラル段が実現される。
時刻t3にてスリーブS2が中立位置に達すると、スリーブS1が、中立位置から1速の「ボーク位置」(図10を参照)に向けて移動していく。Tc,Teは、なおもゼロに維持されている。
時刻t4にて、スリーブS1が「ボーク位置」に達すると、以降、スリーブS1が「ボーク位置」に維持される。この状態では、SNR1による摩擦トルクが発生する(1速のシンクロメッシュ機構が作動する)ことによって、Niが「3速の同期回転速度」から「2速の同期回転速度」(より正確には、「1速の同期回転速度」)に向けて増大していく。Niが目標回転速度に達すると、Niの同期が達成される。この例では、目標回転速度が、「2速の同期回転速度」よりΔNt(一定の正の値)だけ小さい回転速度に設定されている。これは、同期完了判定がなされた後もSNR1による摩擦トルクが残存する状態が或る期間に亘って維持されることによって、Niが「1速の同期回転速度」に向けて更に増大していく傾向が不可避的に発生することに基づく。なお、目標回転速度が、「2速の同期回転速度」と同じ回転速度に設定されてもよい。
時刻t5にて、Niが「目標回転速度」に達すると(同期完了判定がなされると)、スリーブS1が「ボーク位置」から「中立位置」まで移動される。次いで、スリーブS1が「中立位置」から2速の噛合完了位置に向けて移動していく。その後、スリーブS1が2速の噛合完了位置に移動することにより、2速が実現される。
図15に示すように、時刻t5以降、Niが「2速同期回転速度」から更に増大していき、「2速同期回転速度」から増大側に大きく乖離している。これは、スリーブS1が「ボーク位置」から「中立位置」まで移動される過程の初期段階において、SNR1による摩擦トルクが比較的長い間に亘って残存することに起因する。即ち、スリーブS1が「ボーク位置」から「インデックス位置」を経由して上記「押圧解除位置」に達するまでには、比較的長い時間が必要となる。加えて、上述のように、「ボーク位置」では、「摩擦トルク」が比較的大きくなることにも起因する。即ち、同期中(時刻t4〜t5)、並びに、同期完了判定後における「摩擦トルク」の残存期間中、において、Niの増加勾配が比較的大きくなる。このように、時刻t5以降の比較的長い「摩擦トルク」の残存期間中において、比較的大きい増加勾配でNiが増大していくことによって、時刻t5以降、Niが「2速同期回転速度」から増大側に大きく乖離している。
この結果、時刻t6の直前にて、スリーブS1のドグ歯が遊転ギヤG2oのドグ歯と係合開始する時点以降、Niが「2速の同期回転速度」に向けて急激に減少している。このとき、比較的大きい変速ショックが発生する。
時刻t6にて、スリーブS1が2速の噛合完了位置に達すると、Teがゼロから「アクセル開度に応じた値」まで増大していき、Tcがゼロから「時刻t1以前での値」に向けて増大していく。そして、時刻t7にて、Te、Tcの増大・復帰が完了すると、今回の変速作動に係る処理が全て終了する。
以上、図14及び図15に示すように、同期中において、スリーブを「ボーク位置」に維持すると、同期完了判定がなされた後(時刻t5以降)において、Niが「同期回転速度」から大きく乖離し易い。この結果、比較的大きい変速ショックが発生する。
これに対し、図14及び図15にそれぞれ対応する図16及び図17に示すように、本実施形態では、同期中において、スリーブが、「ボーク位置」に代えて「インデックス位置」に維持される。なお、図16及び図17の時刻t1〜t4、t5’〜t7’はそれぞれ、図14及び図15の時刻t1〜t4、t5〜t7に対応している。
この結果、図14の時刻t5以降と異なり、図16の時刻t5’以降、Niが「4速同期回転速度」(或いは、その近傍)に維持されている。これは、スリーブS3が「インデックス位置」から「中立位置」まで移動される過程の初期段階において、SNR5による摩擦トルクが極短期間にのみ残存することに起因する。即ち、スリーブS3が「インデックス位置」から「押圧解除位置」に達するまでには、極短時間しか要しない。加えて、上述のように、「インデックス位置」では、「摩擦トルク」が比較的小さいなることにも起因する。即ち、同期中(時刻t4〜t5’)、並びに、同期完了判定後における「摩擦トルク」の残存期間中、において、Niの減少勾配が比較的小さくなる。このように、時刻t5’以降の極短期間の「摩擦トルク」の残存期間中においてのみ、比較的小さい減少勾配でNiが減少することによって、時刻t5’以降、Niが「4速同期回転速度」(或いは、その近傍)に維持され易い。
同様に、図15の時刻t5以降と異なり、図17の時刻t5’以降、Niが「2速同期回転速度」(或いは、その近傍)に維持されている。これは、スリーブS1が「インデックス位置」から「中立位置」まで移動される過程の初期段階において、SNR1による摩擦トルクが極短期間にのみ残存することに起因する。即ち、スリーブS1が「インデックス位置」から「押圧解除位置」に達するまでには、極短時間しか要しない。加えて、上述のように、「インデックス位置」では、「摩擦トルク」が比較的小さいなることにも起因する。即ち、同期中(時刻t4〜t5’)、並びに、同期完了判定後における「摩擦トルク」の残存期間中、において、Niの増加勾配が比較的小さくなる。このように、時刻t5’以降の極短期間の「摩擦トルク」の残存期間中においてのみ、比較的小さい増加勾配でNiが増大することによって、時刻t5’以降、Niが「2速同期回転速度」(或いは、その近傍)に維持され易い。
以上、上記本実施形態によれば、ノンシンクロ段(2速又は3速又は4速)への変速時にて、シンクロ段(1速又は5速)が備えるシンクロメッシュ機構を利用してNiの同期が行われる際、同期中において、シンクロ段に対応するスリーブが「インデックス位置」に維持される。これにより、シンクロ段に対応するスリーブが「ボーク位置」に維持される場合と比べて、上記「同期完了判定」がなされた後において、変速機の入力軸の回転速度Niが「同期回転速度」(或いは、その近傍)に維持され易い。この結果、比較的大きい変速ショックが発生し難くなる。
本発明は上記本実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、同期中において、シンクロ段に対応するスリーブが「インデックス位置」に維持されているが、同期中では、シンクロ段に対応するスリーブが、一時的に、「インデックス位置」に代えて「ボーク位置」に調整されてもよい。即ち、「同期完了判定」がなされる時点にて、シンクロ段に対応するスリーブが「インデックス位置」に維持されていればよい。これによれば、同期中において、「インデックス位置」に代えて「ボーク位置」に調整されている期間において、上記「摩擦トルク」が大きくなり、Niの変化勾配が大きくなる。この結果、同期に要する時間がより一層短縮され得る。
また、上記実施形態では、前記「シンクロメッシュ機構」として、「シンクロナイザリング」と、「キー」と、「スプリング」と、を備える構成(図8を参照)が採用されているが、前記「シンクロメッシュ機構」として、「シンクロナイザリング」と、「中間部材」と、を備える構成が採用されてもよい。ここで、「中間部材」とは、「スリーブが中立位置にあるときにはシンクロナイザリングを遊転ギヤに向けて押圧せず、スリーブが中立位置から噛合位置に向けて移動する過程においてシンクロナイザリングを遊転ギヤに向けて押圧可能な部材」である。このような構成として、例えば、特開昭59−9339号公報の図4に記載の構成(シンクロナイザースプリング25が「中間部材」に相当)、特開昭63−83437号公報の図1に記載の構成(キー18が「中間部材」に相当)等が挙げられる。
また、上記実施形態では、遊転ギヤG1o、G2o、G3o、G4o、G5oの全て、及び、スリーブS1、S2、S3の全てが出力軸A3に設けられているが(図2を参照)、遊転ギヤG1o、G2o、G3o、G4o、G5oの一部又は全部、及び、スリーブS1、S2、S3の一部又は全部が、入力軸A2に設けられていてもよい。
また、上記本実施形態における「走行用の変速段(ニュートラル段を除く)からノンシンクロ段へのシフトアップ又はシフトダウンの場合の制御」は、「ニュートラル段からノンシンクロ段へ変速の場合」にも適用され得る。即ち、この場合、ニュートラル段の状態における回転速度Niが「同期回転速度」よりも大きい場合、「走行用の変速段からノンシンクロ段へのシフトアップの場合の制御」が適用され得る。同様に、ニュートラル段の状態における回転速度Niが「同期回転速度」よりも小さい場合、「走行用の変速段からノンシンクロ段へのシフトダウンの場合の制御」が適用され得る。
また、上記実施形態では、T/Mが有する複数の変速段(1速〜5速)の全てが、車両の走行時に実際に選択され得る変速段である。換言すれば、最低速段(1速)は、車両の走行時に実際に選択され得る複数の変速段のうちで減速比が最も大きい変速段であり、最高速段(5速)は、車両の走行時に実際に選択され得る複数の変速段のうちで減速比が最も小さい変速段である。
これに対し、変速機が有する複数の変速段のうち最低速段及び最高速段を除く全ての変速段が、車両の走行時に実際に選択され得る変速段であり、最低速段及び最高速段が車両の走行時に実際には選択され得ない変速段であってもよい。換言すれば、最低速段は、車両の走行時に選択され得る複数の変速段のうちで減速比が最も大きい変速段(上記実施形態では、1速に相当)より減速比が大きい変速段であり、最高速段は、車両の走行時に実際に選択され得る複数の変速段のうちで減速比が最も小さい変速段(上記実施形態では、5速に相当)より減速比が小さい変速段であってもよい。
加えて、上記実施形態では、車両の動力源としてエンジンE/Gが使用されているが(図1を参照)、車両の動力源としてエンジンE/Gに代えて電気モータM/Gが使用されてもよい。また、図18に示すように、車両の動力源として、エンジンE/Gと電気モータM/Gが共に使用されてもよい。図18に示す例では、M/Gの出力軸がT/Mの入力軸A2に接続される構成(IN接続)と、M/Gの出力軸がT/Mの出力軸A3に接続される構成(OUT接続)と、を選択的に実現する「IN−OUT切替機構」が設けられている。
T/M…変速機、E/G…エンジン、C/D…クラッチ、A1…エンジンの出力軸、A2…変速機の入力軸、A3…変速機の出力軸、ACT1…クラッチアクチュエータ、ACT2…変速機アクチュエータ、S1〜S3…スリーブ、G1o〜G5o…遊転ギヤ、SNR1、SNR5…シンクロナイザリング、ECU…電子制御ユニット

Claims (6)

  1. 車両の動力源の出力軸から動力が入力される入力軸と、前記車両の駆動輪へ動力を出力する出力軸とを備え、前記入力軸と前記出力軸との間で動力伝達系統が形成され且つ前記出力軸の回転速度に対する前記入力軸の回転速度の割合である減速比が異なる予め定められた複数の変速段と、前記入力軸と前記出力軸との間で動力伝達系統が形成されないニュートラル段とを有する、トルクコンバータを備えていない変速機と、
    前記動力源の出力軸と前記変速機の入力軸との間に介装されたクラッチであってクラッチが伝達し得るトルクの最大値であるクラッチトルクを調整可能なクラッチと、
    前記クラッチを制御して前記クラッチトルクを調整する第1アクチュエータと、
    前記変速機を制御して前記複数の変速段及び前記ニュートラル段のうちから実現される変速段を変更する第2アクチュエータと、
    前記車両の走行状態に基づいて、前記動力源の出力軸の駆動トルクである動力源駆動トルク、前記クラッチトルク、前記第1アクチュエータ、及び前記第2アクチュエータを制御する制御手段と、
    を備えた車両の動力伝達制御装置であって、
    前記変速機は、
    それぞれが前記変速機の入力軸又は出力軸に相対回転不能に設けられるとともに、それぞれが前記複数の変速段のそれぞれに対応する複数の固定ギヤと、
    それぞれが前記変速機の入力軸又は出力軸に相対回転可能に設けられるとともに、それぞれが前記複数の変速段のそれぞれに対応し且つ対応する変速段の固定ギヤと常時歯合し、それぞれの側面にドグ歯が設けられた複数の遊転ギヤと、
    それぞれが前記変速機の入力軸及び出力軸のうち対応する1つ又は複数の前記遊転ギヤが設けられた対応する軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に設けられるとともに、それぞれが前記対応する軸に対して前記対応する遊転ギヤを相対回転不能に固定するために前記対応する遊転ギヤのドグ歯と係合可能なドグ歯を備えた複数のスリーブと、
    を備え、
    前記複数の変速段のうち前記減速比が最も大きい最低速段及び前記減速比が最も小さい最高速段のそれぞれは、対応する前記遊転ギヤと対応する前記スリーブとの間にシンクロメッシュ機構が設けられたシンクロ段であり、前記複数の変速段のうち前記最低速段及び前記最高速段以外の変速段のそれぞれは、前記シンクロメッシュ機構が設けられていないノンシンクロ段であり、
    前記複数のスリーブのそれぞれがそのスリーブのドグ歯が対応する前記遊転ギヤのドグ歯と係合しない中立位置にある状態において前記ニュートラル段が実現され、前記複数のスリーブのうちの何れか一つがそのスリーブのドグ歯が対応する1つの前記遊転ギヤのドグ歯と係合する噛合位置にある状態において、前記複数の変速段のうち前記対応する一つの遊転ギヤに対応する変速段が実現され、
    前記第2アクチュエータが前記複数のスリーブのそれぞれの軸方向の位置を制御することによって、前記実現される変速段が変更されるように構成され、
    前記各シンクロメッシュ機構は、
    対応する前記スリーブのドグ歯と係合可能なドグ歯を備えたシンクロナイザリングと、
    対応する前記スリーブが前記中立位置にあるときには前記シンクロナイザリングを対応する前記遊転ギヤに向けて押圧せず、対応する前記スリーブが前記中立位置から前記噛合位置に向けて移動する過程において前記シンクロナイザリングを対応する前記遊転ギヤに向けて押圧可能な中間部材と、を備え、
    前記各シンクロメッシュ機構は、
    対応する前記スリーブが前記中立位置から前記噛合位置まで移動する過程において、対応する前記スリーブが、
    そのスリーブのドグ歯が前記シンクロナイザリングのドグ歯及び対応する前記遊転ギヤのドグ歯の両方に係合しないとともに、前記中間部材が前記シンクロナイザリングを対応する前記遊転ギヤに向けて押圧することによって前記シンクロメッシュ機構が作動するインデックス位置を経由し、その後、
    そのスリーブのドグ歯が前記シンクロナイザリングのドグ歯と係合し且つ対応する前記遊転ギヤのドグ歯と係合しないとともに、前記中間部材が前記シンクロナイザリングを対応する前記遊転ギヤに向けて押圧することによって前記シンクロメッシュ機構が作動するボーク位置を経由するように構成され、
    前記制御手段は、
    前記車両の走行状態に基づいて変速要求が発生した場合に、前記実現される変速段を前記変速要求に基づいて変更するように構成され、
    前記制御手段は、
    前記実現される変速段を、前記複数の変速段及び前記ニュートラル段のうちの何れか一つから前記ノンシンクロ段に変更する際、この変速が、前記変速機の入力軸の回転速度を、変速後の変速段が実現された状態における前記車両の速度に対応する同期回転速度に近づけるために、前記変速機の入力軸の回転速度を減少する必要があるか又は増大する必要があるかを判定し、
    前記変速機の入力軸の回転速度を減少する必要があると判定された場合、前記ニュートラル段が実現され且つ前記クラッチトルクがゼロに維持された状態において、前記最高速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置及び/又は前記ボーク位置に制御して前記最高速段の前記シンクロメッシュ機構を作動させることによって前記変速機の入力軸の回転速度を減少し、前記最高速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置に維持した状態で前記変速機の入力軸の回転速度が前記同期回転速度に基づく目標回転速度に達したと判定した後、前記最高速段に対応する前記スリーブを前記中立位置に向けて移動し、変速後の変速段に対応する前記スリーブを前記噛合位置に移動することによって変速後の変速段の前記遊転ギヤと係合させ、次いで、前記クラッチトルクをゼロから増大するように構成され、
    前記変速機の入力軸の回転速度を増大する必要があると判定された場合、前記ニュートラル段が実現され且つ前記クラッチトルクがゼロに維持された状態において、前記最低速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置及び/又は前記ボーク位置に制御して前記最低速段の前記シンクロメッシュ機構を作動させることによって前記変速機の入力軸の回転速度を増大し、前記最低速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置に維持した状態で前記変速機の入力軸の回転速度が前記同期回転速度に基づく目標回転速度に達したと判定した後、前記最低速段に対応する前記スリーブを前記中立位置に向けて移動し、変速後の変速段に対応する前記スリーブを前記噛合位置に移動することによって変速後の変速段の前記遊転ギヤと係合させ、次いで、前記クラッチトルクをゼロから増大するように構成された、車両の動力伝達制御装置。
  2. 車両の動力源の出力軸から動力が入力される入力軸と、前記車両の駆動輪へ動力を出力する出力軸とを備え、前記入力軸と前記出力軸との間で動力伝達系統が形成され且つ前記出力軸の回転速度に対する前記入力軸の回転速度の割合である減速比が異なる予め定められた複数の変速段と、前記入力軸と前記出力軸との間で動力伝達系統が形成されないニュートラル段とを有する、トルクコンバータを備えていない変速機と、
    前記動力源の出力軸と前記変速機の入力軸との間に介装されたクラッチであってクラッチが伝達し得るトルクの最大値であるクラッチトルクを調整可能なクラッチと、
    前記クラッチを制御して前記クラッチトルクを調整する第1アクチュエータと、
    前記変速機を制御して前記複数の変速段及び前記ニュートラル段のうちから実現される変速段を変更する第2アクチュエータと、
    前記車両の走行状態に基づいて、前記動力源の出力軸の駆動トルクである動力源駆動トルク、前記クラッチトルク、前記第1アクチュエータ、及び前記第2アクチュエータを制御する制御手段と、
    を備えた車両の動力伝達制御装置であって、
    前記変速機は、
    それぞれが前記変速機の入力軸又は出力軸に相対回転不能に設けられるとともに、それぞれが前記複数の変速段のそれぞれに対応する複数の固定ギヤと、
    それぞれが前記変速機の入力軸又は出力軸に相対回転可能に設けられるとともに、それぞれが前記複数の変速段のそれぞれに対応し且つ対応する変速段の固定ギヤと常時歯合し、それぞれの側面にドグ歯が設けられた複数の遊転ギヤと、
    それぞれが前記変速機の入力軸及び出力軸のうち対応する1つ又は複数の前記遊転ギヤが設けられた対応する軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に設けられるとともに、それぞれが前記対応する軸に対して前記対応する遊転ギヤを相対回転不能に固定するために前記対応する遊転ギヤのドグ歯と係合可能なドグ歯を備えた複数のスリーブと、
    を備え、
    前記複数の変速段のうち前記減速比が最も大きい最低速段及び前記減速比が最も小さい最高速段のそれぞれは、対応する前記遊転ギヤと対応する前記スリーブとの間にシンクロメッシュ機構が設けられたシンクロ段であり、前記複数の変速段のうち前記最低速段及び前記最高速段以外の変速段のそれぞれは、前記シンクロメッシュ機構が設けられていないノンシンクロ段であり、
    前記複数のスリーブのそれぞれがそのスリーブのドグ歯が対応する前記遊転ギヤのドグ歯と係合しない中立位置にある状態において前記ニュートラル段が実現され、前記複数のスリーブのうちの何れか一つがそのスリーブのドグ歯が対応する1つの前記遊転ギヤのドグ歯と係合する噛合位置にある状態において、前記複数の変速段のうち前記対応する一つの遊転ギヤに対応する変速段が実現され、
    前記第2アクチュエータが前記複数のスリーブのそれぞれの軸方向の位置を制御することによって、前記実現される変速段が変更されるように構成され、
    前記各シンクロメッシュ機構は、
    対応する前記スリーブのドグ歯と係合可能なドグ歯を備えたシンクロナイザリングと、
    対応する前記スリーブが前記中立位置にあるときにそのスリーブに設けられたキー溝に係合するキーと、
    前記キーを前記キー溝に向けて押圧するスプリングと、を備え、
    前記各シンクロメッシュ機構は、
    対応する前記スリーブが前記中立位置から前記噛合位置まで移動する過程において、対応する前記スリーブが、
    そのスリーブのドグ歯が前記シンクロナイザリングのドグ歯及び対応する前記遊転ギヤのドグ歯の両方に係合しないとともに、前記キーの側面が前記シンクロナイザリングを対応する前記遊転ギヤに向けて押圧することによって前記シンクロメッシュ機構が作動するインデックス位置を経由し、その後、
    そのスリーブのドグ歯が前記シンクロナイザリングのドグ歯と係合し且つ対応する前記遊転ギヤのドグ歯と係合しないとともに、前記キーの側面が前記シンクロナイザリングを対応する前記遊転ギヤに向けて押圧することによって前記シンクロメッシュ機構が作動するボーク位置を経由するように構成され、
    前記制御手段は、
    前記車両の走行状態に基づいて変速要求が発生した場合に、前記実現される変速段を前記変速要求に基づいて変更するように構成され、
    前記制御手段は、
    前記実現される変速段を、前記複数の変速段及び前記ニュートラル段のうちの何れか一つから前記ノンシンクロ段に変更する際、この変速が、前記変速機の入力軸の回転速度を、変速後の変速段が実現された状態における前記車両の速度に対応する同期回転速度に近づけるために、前記変速機の入力軸の回転速度を減少する必要があるか又は増大する必要があるかを判定し、
    前記変速機の入力軸の回転速度を減少する必要があると判定された場合、前記ニュートラル段が実現され且つ前記クラッチトルクがゼロに維持された状態において、前記最高速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置及び/又は前記ボーク位置に制御して前記最高速段の前記シンクロメッシュ機構を作動させることによって前記変速機の入力軸の回転速度を減少し、前記最高速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置に維持した状態で前記変速機の入力軸の回転速度が前記同期回転速度に基づく目標回転速度に達したと判定した後、前記最高速段に対応する前記スリーブを前記中立位置に向けて移動し、変速後の変速段に対応する前記スリーブを前記噛合位置に移動することによって変速後の変速段の前記遊転ギヤと係合させ、次いで、前記クラッチトルクをゼロから増大するように構成され、
    前記変速機の入力軸の回転速度を増大する必要があると判定された場合、前記ニュートラル段が実現され且つ前記クラッチトルクがゼロに維持された状態において、前記最低速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置及び/又は前記ボーク位置に制御して前記最低速段の前記シンクロメッシュ機構を作動させることによって前記変速機の入力軸の回転速度を増大し、前記最低速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置に維持した状態で前記変速機の入力軸の回転速度が前記同期回転速度に基づく目標回転速度に達したと判定した後、前記最低速段に対応する前記スリーブを前記中立位置に向けて移動し、変速後の変速段に対応する前記スリーブを前記噛合位置に移動することによって変速後の変速段の前記遊転ギヤと係合させ、次いで、前記クラッチトルクをゼロから増大するように構成された、車両の動力伝達制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両の動力伝達制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記実現される変速段を、前記複数の変速段のうちの何れか一つの変速段から前記ノンシンクロ段に変更する際、この変速が、前記減速比が減少するシフトアップ及び前記減速比が増大するシフトダウンの何れに対応するかを判定し、
    前記シフトアップと判定された場合、前記クラッチトルクをゼロまで低減し、前記クラッチトルクがゼロに維持された状態において、変速前の変速段の前記遊転ギヤと係合している前記スリーブを前記中立位置に移動することによって前記係合を解除して前記ニュートラル段を実現し、前記ニュートラル段が実現され且つ前記クラッチトルクがゼロに維持された状態において、前記最高速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置及び/又は前記ボーク位置に制御して前記最高速段の前記シンクロメッシュ機構を作動させることによって前記変速機の入力軸の回転速度を減少し、前記最高速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置に維持した状態で前記変速機の入力軸の回転速度が前記同期回転速度に基づく目標回転速度に達したと判定した後、前記最高速段に対応する前記スリーブを前記中立位置に向けて移動し、変速後の変速段に対応する前記スリーブを前記噛合位置に移動することによって変速後の変速段の前記遊転ギヤと係合させ、次いで、前記クラッチトルクをゼロから増大するように構成され、
    前記シフトダウンと判定された場合、前記クラッチトルクをゼロまで低減し、前記クラッチトルクがゼロに維持された状態において、変速前の変速段の前記遊転ギヤと係合している前記スリーブを前記中立位置に移動することによって前記係合を解除して前記ニュートラル段を実現し、前記ニュートラル段が実現され且つ前記クラッチトルクがゼロに維持された状態において、前記最低速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置及び/又は前記ボーク位置に制御して前記最低速段の前記シンクロメッシュ機構を作動させることによって前記変速機の入力軸の回転速度を増大し、前記最低速段に対応する前記スリーブを前記インデックス位置に維持した状態で前記変速機の入力軸の回転速度が前記同期回転速度に基づく目標回転速度に達したと判定した後、前記最低速段に対応する前記スリーブを前記中立位置に向けて移動し、変速後の変速段に対応する前記スリーブを前記噛合位置に移動することによって変速後の変速段の前記遊転ギヤと係合させ、次いで、前記クラッチトルクをゼロから増大するように構成された、車両の動力伝達制御装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の車両の動力伝達制御装置において、
    前記同期回転速度に基づく目標回転速度は、前記同期回転速度に所定回転速度を加えた回転速度、又は、前記同期回転速度から所定回転速度を減じた回転速度である、車両の動力伝達制御装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両の動力伝達制御装置において、
    前記複数の変速段の全てが、前記車両の走行時に選択され得る変速段であり、
    前記最低速段は、前記車両の走行時に選択され得る複数の変速段のうちで前記減速比が最も大きい変速段であり、前記最高速段は、前記車両の走行時に選択され得る複数の変速段のうちで前記減速比が最も小さい変速段である、車両の動力伝達制御装置。
  6. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両の動力伝達制御装置において、
    前記複数の変速段のうち前記最低速段及び最高速段を除く全ての変速段が、前記車両の走行時に選択され得る変速段であり、前記最低速段及び最高速段が前記車両の走行時に選択され得ない変速段であり、
    前記最低速段は、前記車両の走行時に選択され得る複数の変速段のうちで前記減速比が最も大きい変速段より前記減速比が大きい変速段であり、前記最高速段は、前記車両の走行時に選択され得る複数の変速段のうちで前記減速比が最も小さい変速段より前記減速比が小さい変速段である、車両の動力伝達制御装置。
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