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JP6438347B2 - 成形面ファスナー - Google Patents

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Description

本発明は成形面ファスナーに関する。より詳細には、本発明は発泡体の成形時に同発泡体表面に一体化される成形面ファスナーに関する。
自動車や列車のシート、各種ソファー、事務用チェア等は、クッション体に表皮材を被せた構造からなるが、着座姿勢の維持、長時間の着座に対しても疲れない等の条件を人間工学的に満足する陥没形状を有する構造が採用されている。このような陥没形状を有するシート等にあっては、陥没形状部において表皮材がクッション体から浮き上がるのを防ぐために、図11に示すように陥没形状部に面ファスナー110を固着した発泡体をクッション体111として用い、クッション体111に一体化した一方の面ファスナー110と表皮材の裏面に取り付けた他方の面ファスナーとの係合によって、クッション体と表皮材を固定している。
面ファスナーが表面に一体化されたクッション体の製造例を、図12に示す。同図に示すように所望の成形金型121内に面ファスナー122の係合素子面を成形金型面に対接するように載置し、該成形金型121内に発泡樹脂原料を注入し、発泡樹脂原料を発泡させることにより面ファスナー122が一体化した発泡成形品であるクッション体が製造される。クッション体はポリウレタンフォームで構成されることが多い。面ファスナー122を成形金型面上に固定する方法としては、従来から面ファスナーを構成する樹脂組成物中に磁性材料を配合し、この磁性材料と成形金型121内に設置した磁石123の間の吸着力により面ファスナーを固定する方法が知られている。
このような用途に使用される面ファスナーは一般に、平板状の基材部と該基材部から突出した複数の係合素子(フック状又はループ状)を備えており、熱可塑性樹脂組成物を一体成形することにより製造可能であることが知られている。
特許文献1(国際公開2003/030672)では、基材部又は係合素子に磁性材料を配合することや、面ファスナーをポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリイソプレン、その他の熱可塑性重合体を含有する樹脂組成物などの合成樹脂を用いて一体成形することが提案されている。また、特許文献1では磁性粉末を配合した合成樹脂と、磁性粉末が配合されていない合成樹脂を押出機内のそれぞれ独立した経路から成形用キャビティ内に押し出す方法が開示されている。
特許文献2(米国特許第5,725,928号)では、基材部や係合素子を磁性材料及び非磁性材料の混合物で構成し、非磁性材料をポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アセタール、アクリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、ポリサルフォン及び熱可塑性エラストマーを材料として面ファスナーを製造することが開示されている。また、基材部と係合素子が共押出成形されることも開示されている。
特許文献3(実開平4−40808号公報)には、体積混合率で15〜40%の磁性体微粒子を含有した樹脂で、少なくとも係合素子又は基材部の一部を構成した成形面ファスナーを提案している。樹脂としてはポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂が開示されている。当該文献には成形面ファスナーの成形体に占める磁性材料の量が少ないと着磁力が弱く、正しい装着ができないことや、磁性材料の量が多いと面ファスナーの可撓性が低下し、耐屈曲性が悪くなることが開示されている。
国際公開2003/030672 米国特許第5,725,928号 実開平4−40808号公報
上述したような用途に使用されるフック状係合素子をもつ成形面ファスナーには、実用的な剛性が要求されるとともに、クッション体の成形型内に設置した磁石に対する吸着力とともに、ループ状係合素子との着脱操作時に容易に破損しないような高い靱性を有することが望ましい。
従来、面ファスナーを構成する樹脂材料として多様な熱可塑性ポリマーが提案されているが、このような特性を兼備する成形面ファスナーは未だ開発されていない。PBT等の熱可塑性ポリエステル組成物は優れた機械的特性を有するが、これに鉄粉等の磁性材料を配合すると、磁性材料表面にある水分の影響によりポリエステルが劣化して脆くなってしまう。このため、このような樹脂組成物でフック状の係合素子を形成するとループ状係合素子との着脱操作によってクラックが入るおそれが高い。
一方、熱可塑性エラストマーはフック状係合素子のクラックを抑制する効果がある点で有用であるが、剛性に不安が残る。更に、熱可塑性エラストマーをフック状の係合素子に使用し、熱可塑性ポリエステルを基材部に使用するというように部位によって樹脂の使い分けを試みても、両者の流動性の違いから、係合素子と基材部の共押出成形が困難である。
また、特許文献3で提案されているような体積混合率で磁性体微粒子を樹脂に配合すると、樹脂の溶融粘度が増大してしまうため、磁性体微粒子を配合しない樹脂との共押出成形が困難となる。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、実用的な剛性を確保する一方で、磁石に対する吸着力を有し、ループ状係合素子との着脱操作時に容易に破損しない一体成形可能な成形面ファスナーを提供することを課題の一つとする。好ましくは、本発明は更に共押出成形可能な成形面ファスナーを提供することを課題の一つとする。また、本発明はそのような成形面ファスナーの製造方法を提供することを別の課題の一つとする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、熱可塑性ポリエステル及び熱可塑性ポリエステルエラストマーを所定の割合で配合した樹脂組成物は磁性材料を混合しても成形性が高く、その上、当該樹脂組成物の成形品は靱性に優れていることから、成形面ファスナーの係合素子として好適であることを見出した。本発明は当該知見を基礎として完成したものである。
本発明は第一の側面において、第一樹脂組成物及び第二樹脂組成物を材料とする一体成形された成形面ファスナーであって、該成形面ファスナーは平板状の基材部と該基材部の一方の主表面から突出した複数の係合素子とを備え、基材部の少なくとも一部は第一樹脂組成物で構成されており、係合素子の少なくとも一部は第二樹脂組成物で構成されており、第一樹脂組成物は熱可塑性ポリエステルが80質量%以上を占め、磁性材料を含有しておらず、第二樹脂組成物は熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び磁性材料の合計含有量が90質量%以上を占め、磁性材料の含有量は20〜50質量%であり、熱可塑性ポリエステル及び熱可塑性ポリエステルエラストマーの質量含有比が熱可塑性ポリエステル/熱可塑性ポリエステルエラストマー=50/50〜90/10の範囲である成形面ファスナーである。
本発明に係る成形面ファスナーの一実施形態においては、第二樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点をTm1、熱可塑性ポリエステルの融点をTm2としたとき、Tm2−40℃≦Tm1≦Tm2の関係にある。
本発明に係る成形面ファスナーの別の一実施形態においては、第一樹脂組成物及び第二樹脂組成物の260℃におけるMVRがともに0.3cm3/10分以上20cm3/10分以下である。
本発明に係る成形面ファスナーの更に別の一実施形態においては、第一樹脂組成物のMVR(MVR1)に対する第二樹脂組成物のMVR(MVR2)の比率(MVR2/MVR1)が、0.5〜40である。
本発明に係る成形面ファスナーの更に別の一実施形態においては、成形面ファスナーは、その長手方向に沿った境界線を有する中央部とその左右両側部の三つの領域で構成されており、三つの領域はそれぞれ基材部と係合素子を有し、中央部は基材部と係合素子が共に第二樹脂組成物で構成され、左右両側部は基材部と係合素子が共に第一樹脂組成物で構成されている。
本発明に係る成形面ファスナーの更に別の一実施形態においては、成形面ファスナーは、その長手方向に沿った境界線を有する中央部とその左右両側部の三つの領域で構成されており、三つの領域はそれぞれ基材部と係合素子を有し、中央部は基材部の少なくとも一部が第一樹脂組成物、係合素子の全てが第二樹脂組成物で構成され、左右両側部は基材部と係合素子が共に第一樹脂組成物のみで構成されている。
本発明に係る成形面ファスナーの更に別の一実施形態においては、基材部は体積割合で第二樹脂組成物よりも第一樹脂組成物が多く、係合素子は体積割合で第一樹脂組成物よりも第二樹脂組成物が多い。
本発明に係る成形面ファスナーの更に別の一実施形態においては、第一樹脂組成物に対する第二樹脂組成物の体積割合は、第二樹脂組成物/第一樹脂組成物=10/90〜90/10である。
本発明に係る成形面ファスナーの更に別の一実施形態においては、基材部の一方の主表面には、前記複数の係合素子よりも幅方向外側に長手方向に沿って配された左右一対の防壁部を更に備え、当該防壁部は第一樹脂組成物で構成されている。
本発明に係る成形面ファスナーの更に別の一実施形態においては、基材部の他方の主表面の少なくとも一部は第一樹脂組成物で構成されている。
本発明において提案する磁性材料を配合した樹脂組成物は優れた靱性を有することから、当該樹脂組成物を使用して成形面ファスナーのフック状係合素子を構成すれば、磁石との吸着力を有しつつ、ループ状係合素子との着脱操作に起因する破損が抑制された成形面ファスナーが提供される。そして、基材部は磁石を含有しないポリエステル樹脂組成物を使用することで、実用的な剛性が確保され、また、材料コストを下げることが可能となる。
更に、本発明に係る成形面ファスナーの好ましい実施態様では、磁性材料を含有しない樹脂組成物(第一樹脂組成物)と、磁性材料を含有する樹脂組成物(第二樹脂組成物)を共押出成形可能である。このため、一体成形性が容易で生産効率が高まり、更なる製造コストの低減も可能となる。
本発明の一実施形態に係る成形面ファスナーを示す部分斜視図である。 図1の実施形態に係る成形面ファスナーを示す平面図である。 図2のA−A線断面図である。 図2のB−B線断面図である。 図2のC−C線断面図である。 本発明の一実施形態に係る成形面ファスナーにおいて、第二樹脂組成物で構成された箇所を図3に対応する断面図を用いて示す。 本発明の一実施形態に係る成形面ファスナーにおいて、第二樹脂組成物で構成された箇所を図4に対応する断面図を用いて示す。 本発明の一実施形態に係る成形面ファスナーにおいて、第二樹脂組成物で構成された箇所を図5に対応する断面図を用いて示す。 本発明の別の一実施形態に係る成形面ファスナーにおいて、第二樹脂組成物で構成された箇所を図2に対応する平面図を用いて示す。 本発明の別の一実施形態に係る成形面ファスナーにおいて、第二樹脂組成物で構成された箇所を図4に対応する断面図を用いて示す。 本発明の別の一実施形態に係る成形面ファスナーにおいて、第二樹脂組成物で構成された箇所を図5に対応する断面図を用いて示す。 本発明の更に別の一実施形態に係る成形面ファスナーにおいて、第二樹脂組成物で構成された箇所を図2に対応する平面図を用いて示す。 本発明の更に別の一実施形態に係る成形面ファスナーにおいて、第二樹脂組成物で構成された箇所を図4に対応する断面図を用いて示す。 本発明の更に別の一実施形態に係る成形面ファスナーにおいて、第二樹脂組成物で構成された箇所を図5に対応する断面図を用いて示す。 ダブルモールド法により成形面ファスナーを製造する場合の第一成形品用の製造装置の模式図である。 ダブルモールド法により成形面ファスナーを製造する場合の第二成形品用の製造装置の模式図である。 共押出成形法により成形面ファスナーを製造する場合の製造装置の模式図である。 共押出成形法により成形面ファスナーを製造する場合の押出ダイの構造を示す図である。 成形面ファスナーを一体固定したクッション体の斜視図である。 成形面ファスナーが載置されたクッション体用の成形金型内の様子を示す断面図である。
(1.第一樹脂組成物)
本発明に係る成形面ファスナーは一実施形態において、第一樹脂組成物及び第二樹脂組成物を材料とする一体成形された成形面ファスナーであって、該成形面ファスナーは平板状の基材部と基材部の一方の主表面(「上面」ともいう。)から突出した複数の係合素子とを備え、基材部の少なくとも一部は第一樹脂組成物で構成されている。第一樹脂組成物は熱可塑性ポリエステルが主体であり、磁性材料を配合していないため、ポリウレタンフォームから構成されることの多いクッション体と面ファスナーを一体化させるときの密着性に優れている。このため、クッション体と接触面積が多くなる樹脂基材部の他方の主表面(「下面」ともいう。)を第一樹脂組成物で構成することにより、クッション体との密着性を確保することができる。基材部の残部は第二樹脂組成物で構成してもよい。
第一樹脂組成物は適度な剛性を安定して付与することが可能であるという利点もある。更に、組成がシンプルなため、材料コストが安くて済むという利点もある。このため、第一樹脂組成物を基材部の少なくとも一部に使用することで、成形面ファスナーの実用的な剛性の確保及び材料コストの低下が実現可能となる。第一樹脂組成物は、上記理由のため必ずしも樹脂基材部の下面に備える必要はない。より高い密着性を確保するための別の手段として例えば、樹脂基材部の下面を凹凸形状としたアンカー手段や、あるいは織製、編製、不織布などの部材を裏面に接着したりすることでも達成できる。
クッション体との密着性の確保のために基材の下面の一部に第一樹脂組成物を利用する場合は、具体的には、基材部の下面の20%以上の面積を第一樹脂組成物で占めることが好ましく、基材部の下面の40%以上の面積を第一樹脂組成物で占めることがより好ましく、基材部の下面の60%以上の面積を第一樹脂組成物で占めることが更により好ましく、基材部の下面の80%以上の面積を第一樹脂組成物で占めることが更により好ましく、基材部の下面の100%の面積を第一樹脂組成物で占めることが更により好ましい。
また、本発明に係る成形面ファスナーの一実施形態においては、基材部の体積の30%以上を第一樹脂組成物で構成することができ、基材部の体積の50%以上を第一樹脂組成物で構成することができ、基材部の体積の70%以上を第一樹脂組成物で構成することができ、基材部の体積の90%以上を第一樹脂組成物で構成することができ、基材部の体積の100%を第一樹脂組成物で構成することができる。第二樹脂組成物は成形面ファスナーの基材部側よりも係合素子側に多くなるようにする必要があるため基材部の体積は第二樹脂組成物よりも第一樹脂組成物のほうが多くなるように構成されることが好ましい。このような構成とすることで、磁石による吸着力を基材部の下面側よりも上面側(係合素子側)が強くなるようにすることができるため、好適に金型内に設置された磁石に成形面ファスナーを配置することができる。
係合素子においても、その一部を第一樹脂組成物で構成することもできるが、磁石との吸着力を確保する必要があることから全体を第一樹脂組成物で構成することはできない。例示的には成形面ファスナーに存在する係合素子の全体積の60%以下を第一樹脂組成物で構成することができ、係合素子の全体積の40%以下を第一樹脂組成物で構成することができ、係合素子の全体積の20%以下を第一樹脂組成物で構成することもできる。磁力による吸着力を確保するためには係合素子の全体積に占める第一樹脂組成物と第二樹脂組成物の割合は、第二樹脂組成物のほうが多くなるように構成されるほうが好ましい。
第一樹脂組成物の組成について詳しく説明する。第一樹脂組成物は熱可塑性ポリエステルが80質量%以上を占める一方で、磁性材料を含有しない。第一樹脂組成物は、好ましくは熱可塑性ポリエステルが85質量%以上を占め、より好ましくは90質量%以上を占め、更により好ましくは95質量%以上を占め、例示的には100質量%を占めることもできる。第一樹脂組成物にはその他のポリマー及び/又は添加剤(例:顔料、染料、熱安定剤、耐候剤、耐加水分解剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤、紫外線吸収剤など)を本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、これらの合計含有量が20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更により好ましくは5質量%以下となるように適宜添加することが可能である。例えば、第一樹脂組成物中にはその他のポリマーを合計で20質量%以下、典型的には15質量%以下、より典型的には10質量%以下、更には5質量%以下の含有量、更には0質量%の含有量となるように添加してもよく、添加剤を合計で20質量%以下、典型的には15質量%以下、より典型的には10質量%以下、更には5質量%以下、更には0質量%の含有量となるように添加してもよい。ポリマー及び添加剤はそれぞれ一種類を使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
熱可塑性ポリエステルは一般に、ジカルボン酸(又はそのエステル形成誘導体)とジオール(又はそのエステル形成誘導体)とを主成分とする重縮合反応によって得られる重合体又は共重合体であって加熱により軟化する性質を有するものである。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸及びこれらのエステル形成誘導体などが挙げられる。これらは単独で用いることもでき、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールなどの炭素数2〜20の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの炭素数2〜20の脂環式グリコール及びこれらのエステル形成誘導体などが挙げられる。これらを二種以上用いてもよい。
熱可塑性ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリエチレン(テレフタレート/5−ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ビフェニル−4,4′−ジカルボキシレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリトリメチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリトリメチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリトリメチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが挙げられる。これらを二種以上含有してもよい。これらのうち、成形性の観点から、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが好ましい。また、強度、耐熱性及び形状保持性能の観点から、ポリブチレンテレフタレートがより好ましい。
(2.第二樹脂組成物)
本発明に係る成形面ファスナーの一実施形態においては、複数の係合素子の少なくとも一部を第二樹脂組成物で構成する。先述したように係合素子の残部は第一樹脂組成物で構成してもよい。第二樹脂組成物を少なくとも一部に用いて係合素子を構成することで、磁石に対する吸着力を高め、しかも優れた靱性を有する係合素子が得られる。そして、第二樹脂組成物はポリエステル系の樹脂成分を使用することから第一樹脂組成物との親和性(接着力)が高く、第一樹脂組成物との一体成形性に優れている。成形面ファスナーを構成する複数の係合素子の全体積の30%以上を第二樹脂組成物で構成することができ、その全体積の50%以上を第二樹脂組成物で構成することができ、その全体積の70%以上を第二樹脂組成物で構成することができ、その全体積の90%以上を第二樹脂組成物で構成することができ、その全体積の100%を第二樹脂組成物で構成することもできる。
成形面ファスナーを構成する基材部においては、その一部を第二樹脂組成物で構成することもできる。例えば、基材部の体積の60%以下を第二樹脂組成物で構成することができ、基材部の体積の40%以下を第二樹脂組成物で構成することができ、基材部の体積の20%以下を第二樹脂組成物で構成することもでき、典型的には基材部の体積の0%以上50%以下を第二樹脂組成物で構成することもできる。
第一樹脂組成物と第二樹脂組成物の構成を成形面ファスナー全体からみた場合、実質的に二つの樹脂組成物は一定の境界を持って別々の部分を構成する。すなわち、第一樹脂組成物と第二樹脂組成物は互いに完全に混ざりあっているわけではない(但し、第一樹脂組成物と第二樹脂組成物の境界では一部混ざることは許容される。)。このような構成とすることで、別に記載したような第一樹脂組成物の特徴と第二樹脂組成物の特徴を最大限に発揮できるようになる。
第一樹脂組成物と第二樹脂組成物の配合比を成形面ファスナー全体からみた場合、第二樹脂組成物の比率を高めることで成形面ファスナーの磁石への吸着力を高めることができる。従って、成形面ファスナー全体における第一樹脂組成物に対する第二樹脂組成物の体積割合(第二樹脂組成物/第一樹脂組成物)は10/90以上であることが好ましく、20/80以上であることがより好ましく、30/70以上であることが更により好ましく、40/60以上であることが更により好ましい。一方で、第二樹脂組成物の比率を高めると第一樹脂組成物の比率が低下するが、第一樹脂組成物は成形面ファスナーとクッション体の密着性を高めるという役割を果たす。また、第一樹脂組成物は第二樹脂組成物に比べて材料費が安価であることからコストダウンにも寄与する。このため、成形面ファスナー全体における第一樹脂組成物に対する第二樹脂組成物の体積割合(第二樹脂組成物/第一樹脂組成物)は90/10以下であることが好ましく、80/20以下であることがより好ましく、70/30以下であることが更により好ましく、60/40以下であることが更により好ましい。
第二樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び磁性材料の合計含有量が90質量%以上を占めることができる。第二樹脂組成物中で、これら3種類の成分の合計含有量は好ましくは94質量%以上を占め、更により好ましくは96質量%以上を占め、更により好ましくは98質量%以上を占め、例示的には100質量%を占めることもできる。第二樹脂組成物にはその他のポリマー及び/又は添加剤(例:顔料、染料、熱安定剤、耐候剤、耐加水分解剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤、紫外線吸収剤など)を本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、これらの合計含有量が10質量%以下、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更により好ましくは2質量%以下となるように適宜添加することが可能である。例えば、第二樹脂組成物中にはその他のポリマーを合計で10質量%以下、典型的には6質量%以下、より典型的には4質量%以下、更には2質量%以下、更には0質量%の含有量となるように添加してもよく、添加剤を合計で10質量%以下、典型的には6質量%以下、より典型的には4質量%以下、更には2質量%以下、更には0質量%の含有量となるように添加してもよい。ポリマー及び添加剤はそれぞれ一種類を使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第二樹脂組成物中で、磁性材料の含有量は、磁石に対する吸着力を確保するという観点から20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更により好ましい。一方で、磁性材料の含有量は高くなるにつれて第二樹脂組成物の粘性が増加して成形性を阻害することから、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましい。第二樹脂組成物中の磁性材料の含有量を体積割合で議論すると、磁石に対する吸着力を確保するという観点から5体積%以上が好ましく、7体積%以上がより好ましく、9体積%以上がより好ましい。また、成形性の観点からは20質量%以下とすることが好ましく、15質量%以下とすることがより好ましく、14質量%以下とすることもでき、13質量%以下とすることもでき、更には12質量%以下とすることもできる。特許文献3には、体積混合率で15%以上であることが必要であると記載されているが、本発明者の検討結果によれば、15体積%未満であっても十分に磁石との吸着力を確保できることが分かっている。
磁性材料としては、例えば、鉄粉の他、フェライト、コバルト、ニッケル、鉄アルミニウム合金、鉄コバルト合金、鉄コバルトクロム合金、鉄ニッケル合金、鉄ニッケルクロム合金、コバルトニッケル合金、コバルトニッケルマンガン合金、ニッケルマンガン合金などの粒子が挙げられる。例示的には磁性材料は平均粒径(質量基準としたD50)が15〜250μmのものを使用することができる。
第二樹脂組成物中における熱可塑性ポリエステル及び熱可塑性ポリエステルエラストマーの質量含有比も係合素子の破損防止及び共押出成形性の観点から重要である。具体的には、係合素子の破損防止を効果的に防止するという理由により、熱可塑性ポリエステルエラストマーに対する熱可塑性ポリエステルの配合比率(熱可塑性ポリエステル/熱可塑性ポリエステルエラストマー)は50/50以上であることが好ましく、60/40以上であることがより好ましく、70/30以上であることがより好ましい。また、共押出成形性を高めるという理由により、熱可塑性ポリエステル/熱可塑性ポリエステルエラストマーは90/10以下であることが好ましく、85/15以下であることがより好ましい。
第二樹脂組成物で使用する熱可塑性ポリエステルは第一樹脂組成物において述べたのと同様であり、好ましい態様も同様である。
一方、第二樹脂組成物では熱可塑性ポリエステルエラストマーを使用する。本発明において熱可塑性ポリエステルエラストマーとは、結晶性のハードセグメントと、非結晶性のソフトセグメントから構成される共重合体であり、ハードセグメントがポリエステル構造単位を有し、加熱により軟化する性質を有するものを指す。
ハードセグメントを構成するポリエステル構造単位としては、限定的ではないが、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレートが挙げられる。ポリエステル構造単位は一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ソフトセグメントは、限定的ではないが、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリエーテル構造単位、芳香族ポリエステル及び脂肪族ポリエステル等のポリエステル構造単位、ポリカーボネート構造単位を構成要素とすることができる。これらの構造単位は一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
第二樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点をTm1、熱可塑性ポリエステルの融点をTm2としたとき、一般にTm1≦Tm2以下であるが、Tm1がTm2よりも過度に低いと流動性が高くなり過ぎて成形性に悪影響が出る。特に、熱可塑性ポリエステルを主体とする第一樹脂組成物との共押出成形を難しくするという弊害がある。そのため、Tm2−40℃≦Tm1≦Tm2の関係にあることが好ましく、Tm2−20℃≦Tm1≦Tm2の関係にあることがより好ましい。
(3.共押出成形性)
本発明に係る成形面ファスナーは、第一樹脂組成物と第二樹脂組成物を共押出成形することで製造してもよい。共押出成形により製造可能であると、生産効率が高まり、製造コストが低下するという利点が得られる。優れた共押出成形性を得るためには、第一樹脂組成物のメルトボリュームレート(MVR1)に対する第二樹脂組成物のメルトボリュームレート(MVR2)の比率(MVR2/MVR1)が、近いほうが望ましい。具体的には、MVR2/MVR1は0.5以上40以下であることが好ましく、1以上30以下であることがより好ましく、1以上20以下であることが更により好ましく、典型的には10以上30以下とすることができる。本発明において、メルトボリュームレート(MVR)はISO1133に準拠して測定したときに、260℃で10分間に流れ出たポリマーメルトの体積を指す。
また、共押出成形性を高める上では、第一樹脂組成物及び第二樹脂組成物の260℃におけるMVRがともに0.3cm3/10分以上20cm3/10分以下であることが好ましく、0.4cm3/10分以上15cm3/10分以下であることがより好ましく、0.5cm3/10分以上13cm3/10分以下であることが更により好ましい。
(4.成形面ファスナーの具体例)
以下、図面を参照しながら、本発明に係る成形面ファスナーの具体例について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る成形面ファスナーを示す部分斜視図であり、図2はその平面図である。図3は図2のA−A線断面図である。図4は図2のB−B線断面図である。図5は図2のC−C線断面図である。以下の説明においては、成形面ファスナーの基材部における長手方向を前後方向と規定し、基材部における幅方向を左右方向と規定する。また、基材部における表裏方向を上下方向と規定し、特に、基材部に対して係合素子が突設されている側の方向を上方とし、その反対側の方向を下方とする。
本発明の一実施形態に係る成形面ファスナー1は、平板状の基材部10と、基材部10の左右の側縁寄りの上面(第一面)に設けられた防壁部20と、左右の防壁部20間に配された複数の係合素子30(フック状係合素子)と、幅方向に沿って配された横壁部50と、基材部10の左右側縁から外側に向けて幅方向に延設されたヒレ片部60とを有する。
基材部10は、成形面ファスナー1を上下方向に屈曲可能なように板厚を薄くして形成されている。また、基材部10の上面側には、長手方向に所定の取付ピッチで配された係合素子30の間に平坦面が形成されている。一方、基材部10の下面側には、成形面ファスナー1をクッション体に一体成形したときに成形面ファスナー1と発泡体との接合面積を大きくして固着強度を高めるために、長手方向に平行な複数の凹溝部11(又は突条部)が形成されている。そして、基材部10の下面の少なくとも一部は第一樹脂組成物で構成されており、これによりクッション体との密着性が確保可能である。
左右の防壁部20の存在により、クッション体の発泡成形時に発泡樹脂材料が係合素子形成領域に侵入することを防ぐことができる。左右の防壁部20は、基材部10の左右側縁から僅かに内側に入った側縁寄りの位置に配されている。左右の防壁部20は、長手方向に沿って配された3列の縦壁部21と、隣接する列に配された縦壁部21間を連結する連結部22と、最も外側に配された縦壁部21の外壁面側に配された補強部23とをそれぞれ有している。各列の縦壁部21は、長手方向に所定の取付ピッチをもって間欠的に配された複数の縦壁24を有しており、長手方向に隣接する2つの縦壁24の間には間隙28が設けられている。
本実施形態においては、係合素子30側に最も近い列の縦壁部21を第一列の縦壁部21aとし、その第一列の縦壁部21aの外側に配された列の縦壁部21を第二列の縦壁部21bとし、最も外側に配された列の縦壁部21を第三列の縦壁部21cとする。
左右の防壁部20において、各列の縦壁部21に配される各縦壁24の長手方向の取付ピッチは、後述する係合素子30の長手方向における取付ピッチの1/2の大きさに設定されている。また、第一列〜第三列の縦壁部21a〜21cにおける縦壁24は、各列間にて互い違いの位置関係となるように千鳥状に配置されており、特に、第一列の縦壁部21aと第二列の縦壁部21bの間、及び第二列の縦壁部21bと第三列の縦壁部21cの間では、互いに取付ピッチの1/2の大きさで長手方向にずらされて配されている。
なお、本発明において、各列の縦壁部に配される縦壁の長手方向の取付ピッチは、係合素子の長手方向の取付ピッチの1/2以下の大きさに設定されていてもよい。このように縦壁の取付ピッチが設定されることにより、各縦壁の長手方向における寸法を短くできるとともに、係合素子の取付ピッチごとに、各列の縦壁部において縦壁間に成される間隙を2つ以上設けることができるため、成形面ファスナーの柔軟性を更に向上させることができる。
一方、縦壁の取付ピッチが小さくなり過ぎると、隣接する列の縦壁部間を連結する連結部の配設密度が却って大きくなり過ぎて成形面ファスナーの柔軟性を損なう虞があるため、各列に配される縦壁部の取付ピッチは、係合素子の取付ピッチの1/4以上の大きさに設定されることが好ましい。
各縦壁24は、基材部10から起立する柱部25と、柱部25の上端に配された上面部26とを有しており、各縦壁24の基材部10からの高さ寸法(上下方向の寸法)は、係合素子30の基材部10からの高さ寸法と同じ大きさに設定されている。
各縦壁24の柱部25は、長手方向に細長い四角錘台状に形成されており、柱部25の内壁面と外壁面(左右の側壁面)は互いに平行な位置関係に配されている。また、柱部25の前壁面と後壁面とは、柱部25の長手方向の寸法が上方に向けて漸減するように上下方向に対して傾斜して配されており、柱部25を左右の側壁面側から見た場合に柱部25は略台形状を呈している。
各縦壁24の上面部26は、柱部25の上端よりも長手方向及び幅方向に張り出して形成されており、また、上面部26の上面は平坦に形成されている。各列の縦壁部21に配される縦壁24がこのような上面部26を有していることにより、成形面ファスナー1をクッション体用の成形金型内に成形面ファスナー1の係合素子30が配された上面を成形金型面に対接するように載置するときに、成形面ファスナー1の縦壁部21(縦壁24)と成形金型との密着面積を増大させて、成形面ファスナー1の成形金型との密着性を向上させることができる。
ヒレ片部60は、基材部10の左右側縁から外側に向けて舌片状に延設されており、左側のヒレ片部60と右側のヒレ片部60とは、長手方向に所定の取付ピッチをもって互い違いに配されている。また、左右のヒレ片部60の上面は、基材部10の上面と同一平面上に配されており、ヒレ片部60の下面側には、基材部10の下面側と同様に、長手方向に平行な複数の凹溝部11(又は突条部)が形成されている。これらの左右のヒレ片部60は、クッション体の発泡成形時に同クッション体の内部に埋設される部分であり、成形面ファスナー1をクッション体に強固に固定する役割を担う。
連結部22は、各列の縦壁部21に配された縦壁24の前端部と、その列に隣接する列の縦壁部21に配された縦壁24の後端部とを相互に連結するように配されている。即ち、連結部22は、第一列の縦壁部21a及び第三列の縦壁部21cに配された縦壁24の前端部と第二列の縦壁部21bに配された縦壁24の後端部とを連結し、また、第二列の縦壁部21bに配された縦壁24の前端部と第一列の縦壁部21a及び第三列の縦壁部21cに配された縦壁24の後端部とを連結している。この場合、各連結部22は、各列に配された縦壁24の前壁面側の角部(前端縁)と、その列に隣接する列に配された縦壁24の後壁面側の角部(後端縁)とを相互に連結している。
このような連結部22を有することにより、一つの縦壁24に対して、隣接する列の縦壁部21において隣り合って配された2つの縦壁24が連結された状態となる(第二列の縦壁部21bに配された縦壁24は、第一列の縦壁部21aに配された2つの縦壁24と、第三列の縦壁部21cに配された2つの縦壁24とに連結部22を介して連結されるため、合計で4つの縦壁24と連結された状態となる)。
防壁部20に連結部22が上述のように配されていることにより、防壁部20が立設されている高さ寸法の範囲において、防壁部20の外部側(即ち、クッション体が成形される領域側)と係合素子30が配されている内部側(即ち、係合素子形成領域側)とを、縦壁部21と連結部22とにより完全に分断することができる。このため、クッション体を発泡成形するときに、発泡性樹脂材料が防壁部20を超えて防壁部20の外部側から内部側に侵入することを確実に防止することができる。
複数の前記係合素子30は、クッション体に被せられる表皮材に配されたループ状係合素子との間で所望の結合力(係着力)が得られるように、長手方向及び幅方向に所定の取付ピッチをもって立設されている。本実施形態における係合素子30は、長手方向に所定の取付ピッチで列状に配されるとともに、その係合素子30の列が幅方向に5列に並べられることにより、係合素子形成領域が形成されている。各係合素子30は、基材部10の上面から垂直に立ち上がるステム部31と、そのステム部31の上端から前方又は後方に湾曲しながら延出するフック状の係合頭部32とを有している。係合素子30の形状、寸法、取付ピッチ等は特に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
複数の前記係合素子30の少なくとも一部は第二樹脂組成物で構成されている。第二樹脂組成物から成形された係合素子30は、面ファスナーの脱着操作に起因して係合素子30が破損しにくくなる。また、第二樹脂組成物中に含まれる磁性材料によって成形面ファスナー1を磁石へ吸着させることが可能となる。
前記横壁部50は、防壁部20における第二列の縦壁部21bと左端又は右端の係合素子30との間に、及び、幅方向に互いに隣接する係合素子30の間に、幅方向に沿って配されている。また、各横壁部50は、隣り合って配される係合素子30と概ね下半部分同士が連結されており、これにより、横壁部50と係合素子30とは互いに補強されている。
本実施形態に係る成形面ファスナー1では、縦壁24、連結部22、横壁部50、及び係合素子30の基材部10からの高さ寸法が何れも同じ大きさに設定され、これらの上面又は上端が同一平面上に配されている。このため、クッション体の発泡成形を行う際に成形面ファスナー1をクッション体用の成形金型内に係合素子30が配された上面を成形金型面に対接するように載置するときに、成形面ファスナー1と成形金型との密着面積が増大する。これにより、発泡性樹脂材料が、縦壁部21を越えて幅方向から係合素子形成領域に侵入することを防止できるとともに、横壁部50及び係合素子30を越えて長手方向から侵入することも防止できる。
以上のような構造をもつ成形面ファスナー1は、第一樹脂組成物及び第二樹脂組成物の一体成形品として製造することが可能である。成形面ファスナー1において第一樹脂組成物及び第二樹脂組成物をどの箇所に配置するかは先述した指針に従って適宜設定すればよいが、幾つかの実施形態を図6〜8を参照しながら例示する。図6〜8においては、第二樹脂組成物で構成されている箇所を塗りつぶしている。
まず、図6の実施形態について説明する。図6(a)は図3に対応する断面であり、図6(b)は図4に対応する断面であり、図6(c)は図5に対応する断面を表す。図6の実施形態においては、基材部10はすべて第一樹脂組成物で構成されている。このため、成形面ファスナー1とクッション体との高い密着性を確保することができる。また、図6の実施形態においては、防壁部20もすべて第一樹脂組成物で構成されている。防壁部20は基材部10と同様にクッション体と接触する箇所であるから、防壁部20が第一樹脂組成物で構成されていることで、成形面ファスナー1とクッション体との密着性が向上する。
図6の実施形態においては、係合素子30はすべて第二樹脂組成物で構成されている。このため、クッション体に被せられる表皮材に配されたループ状係合素子との着脱時にクラック防止性能が高く、しかも、磁石との高い吸着力が確保できる。そして、係合素子30はすべて第二樹脂組成物で構成されていることから、磁性材料は長手方向に沿って成形面ファスナー1の全長に配されることになる。そのため、成形面ファスナー1をクッション体用の成形型面上に載置すると、成形面ファスナー1は成形型内に設置した磁石からの磁力を受けて、成形面ファスナー1の前後方向が磁石の磁極方向に合致するように自動的に方向付けされて固定されることができる。
本発明では、このように成形面ファスナーが磁力によって自動的に方向付けされる機能をセルフアライメント性と呼ぶ。セルフアライメント性を高めることで成形面ファスナーをクッション体用の成形型面上に載置するときの作業効率が上昇するという利点が得られる。図6の実施形態においては、横壁部50もすべて第二樹脂組成物で構成されている。横壁部50も第二樹脂組成物で構成することで磁石との吸着力及びセルフアライメント性が高まるという利点が得られ、成形も容易となる。
次に、図7の実施形態について説明する。図7(a)は図2に対応する平面図であり、図7(b)は図4に対応する断面を表し、図7(c)は図5に対応する断面を表す。図7の実施形態においては、成形面ファスナー1は、その長手方向に沿った境界線を有する中央部Xとその左右両側部Y、Zの三つの領域で構成されており、三つの領域はそれぞれ基材部10と係合素子30を有し、中央部Xは基材部10と係合素子30が共に第二樹脂組成物で構成され、左右両側部Y、Zは基材部10と係合素子30が共に第一樹脂組成物で構成されている。このように、長手方向の中央部Xのみを第二樹脂組成物で構成することにより、成形面ファスナー1内で磁性材料を長手方向に細幅で延在させると、成形面ファスナー1を磁石に近づけたときに成形面ファスナー1の前後方向が磁石の磁極方向に合致しやすくなる、すなわちセルフアライメント性が高まるという利点が得られる。
中央部の幅方向の範囲は成形面ファスナー1に配置された磁性材料と磁石との間の磁力を考慮して適宜設定すればよく、特に制限はない。しかしながら、セルフアライメント性を高めるという観点からは、図示しない磁石の幅寸法よりも狭い幅となるように第二樹脂組成物を構成すればよく、中央部Xの幅方向の範囲は成形面ファスナー1の基材部10上に幅方向に配列された係合素子30のうち、80%以下の数が包含される範囲とすることが好ましく、70%以下の数が包含される範囲とすることがより好ましい。一方で、中央部Xの幅方向の範囲は広いほうが磁石との吸着力が増加し、また、係合素子30に使用する第二樹脂組成物の割合が増加することによってファスナーの着脱操作に起因する係合素子30の破損防止効果が高くなるため、中央部Xの幅方向の範囲は成形面ファスナー1の基材部10上に幅方向に配列された係合素子30のうち、30%以上の数が包含される範囲とすることが好ましく、40%以上の数が包含される範囲とすることがより好ましく、50%以上の数が包含される範囲とすることが更により好ましい。
最後に図8の実施形態について説明する。図8(a)は図2に対応する平面図であり、図8(b)は図4に対応する断面を表し、図8(c)は図5に対応する断面を表す。図8の実施形態は、中央部Xは基材部10が第一樹脂組成物で構成されており、係合素子30が第二樹脂組成物で構成されている以外は、図7の実施形態と同様であり、中央部Xの幅方向の好ましい範囲も同様である。本実施形態によれば、基材部10の下面は全体が第一樹脂組成物で構成されるようになることから、クッション体との密着性が図7の実施形態に比べて向上するという利点が得られる。また、成形面ファスナー1における第二樹脂組成物の使用割合が減少することから、製造コストの低減にも寄与する。
(5.製造方法)
本発明に係る成形面ファスナーは、異種の樹脂組成物を一体成形可能な任意の公知の手法によって製造すればよいが、第一モールドを成形し、次いで第二モールドを成形する二段階の工程により一体化するダブルモールド法、及び、二つの押出口を使って二種類の溶融樹脂組成物を同時に押し出す共押出成形法が代表例として挙げられる。
ダブルモールド法により本発明に係る成形面ファスナーを製造する場合、例えば図9(A)及び図9(B)に示した製造装置100、200を用いることができる。ダブルモールド法は、第一樹脂組成物と第二樹脂組成物の流動性に大きな違いがあり、共押出成形に向かない場合であっても一体成形可能であるという利点がある。
まず、図9(A)に示すように、第一の押出ダイ101の押出口101aに対峙させて第一のダイホイール102を配置する。第一のダイホイール102は図9(A)において紙面に垂直方向の回転軸周りに矢印の方向に回転する。第一のダイホイール102の回転周面には一部の係合素子30の成形用キャビティ102aが形成されている。図示してはいないが、防壁部20、横壁部50等の他の部位を形成するためのキャビティも適宜ダイホイール102に設けることもできる。第一の押出ダイ101と第一のダイホイール102の間にはクリアランスが形成されており、溶融した合成樹脂103(例えば第二樹脂組成物)が押出口101aから第一のダイホイール102の回転周面に向けて連続的に押し出される。このとき、第一のダイホイール102の周面に押し出された溶融樹脂は第一の押出ダイ101の押出口101aと第一のダイホイール102との間のクリアランスにて成形面ファスナーの一部の基材部10を連続して成形すると同時に、上述した成形用キャビティ102aにて、一部の係合素子30を成形する。その後、第一のダイホイール102から一部の基材部10及び一部の係合素子30を有する長尺の第一成形品105をピックアップロール(図示せず)を用いて第一のダイホイール102から引き剥がす。
次いで、図9(B)に示すように、第二の押出ダイ201の押出口201aに対峙させて第二のダイホイール202を配置する。第二のダイホイール202は、図9(B)において、紙面に垂直方向の回転軸周りに矢印の方向に回転する。第二のダイホイール202の回転周面には残りの係合素子30の成形用キャビティ202aが形成されている。また、第二のダイホイール202の回転周面には先ほど成形した第一成形品105を収容するための収容凹部(図示せず)が設けられており、第一成形品105は案内部207を介してこの収容凹部に連続的に供給される。このようにして第二のダイホイール202の回転周面にある収容凹部に第一成形品105が収容された後、溶融した合成樹脂203(例えば第一樹脂組成物)が押出口201aから第二のダイホイール202の回転周面に向けて連続的に押し出される。回転周面に押し出された溶融樹脂は第二の押出ダイ201の押出口201aと第二のダイホイール202との間のクリアランスにて成形面ファスナー1の残りの基材部10を連続して成形すると同時に、上述した成形用キャビティ202aにて、残りの係合素子30を成形する。図示してはいないが、防壁部20、横壁部50等の他の部位を形成するためのキャビティも適宜ダイホイールに設けることもできる。次いで、第二のダイホイール202から第一成形品105と第二成形品205が一体化された成形品305をピックアップロール(図示せず)を用いて引き剥がし、その後、必要に応じてヒレ片部60や凹溝部11等を形状加工し、長尺の成形面ファスナーを製造可能である。長尺の成形面ファスナーは所望の長さに切断して使用することができる。
共押出成形法により本発明に係る成形面ファスナー1を製造する場合、例えば図10(A)及び図10(B)に示した二つの押出口401a、401bを有する製造装置400を用いることができる。共押出成形法は一度の成形プロセスで異種の樹脂組成物を一体成形できるので、生産効率が高いという利点がある。
製造装置400には、押出ダイ401の上下位置に押出口401a、401bが設けられており、2つの押出口401a、401bは、それぞれ別の合成樹脂材を押し出すことができる。図10(A)に示すように、押出ダイ401の押出口401a、401bに対峙させてダイホイール402を配置する。ダイホイール402は図10(A)において紙面に垂直方向の回転軸周りに矢印の方向に回転する。ダイホイール402の回転周面には先述した第一成形品用のキャビティが形成されていると共に、先述した第二成形品用のキャビティが形成されている。簡単のため、図中では、第一成形品用のキャビティと第二成形品用のキャビティは区別せずに、共に402aの符号を付与している。
図10(B)に示すように、上位置にある押出口401aの先端部には、ノズル部401a−1と凹部401a−2とが形成されている。この凹部401a−2が形成されていることにより、ノズル部401a−1から押し出された合成樹脂403a(例えば第二樹脂組成物)は凹部401a−2に広がるのでダイホイール402の第一成形品用のキャビティ全面に合成樹脂403aを容易に充填することができる。また、下位置にある押出口401bの先端部にはノズル部401b−1とその周りの凹部401b−2とが押出口401bの先端部に形成されている。ノズル部401b−1から押し出された合成樹脂材403b(例えば第一樹脂組成物)は凹部401b−2に広がるので、第二成形品用のキャビティの全面に合成樹脂材403bを容易に充填することができる。
ダイホイール402を矢印の方向に回転させながら、溶融状態にある合成樹脂403aを押出口401aから押し出し、第一成形品用のキャビティ内に連続的に充填する。このとき、押出ダイ401の上位置にある押出口401aとダイホイール402との間のクリアランスにて成形面ファスナーの一部の基材部10も連続して成形される。これにより第一成形品を製造する。また、押出口401bからは、同時に溶融状態にある合成樹脂材403bを押し出し、既に製造された第一成形品の上から第二成形品用のキャビティ内に連続的に充填する。このとき、押出ダイ401の下位置にある押出口401bとダイホイール402との間のクリアランスにて成形面ファスナーの残りの基材部10も連続して成形される。次いで、ダイホイール402から第一成形品と第二成形品が一体化された成形品405をピックアップロール(図示せず)を用いて引き剥がす。その後、必要に応じてヒレ片部60や凹溝部11等を形状加工し、長尺の成形面ファスナーを製造可能である。長尺の成形面ファスナーは所望の長さに切断して使用することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明及びその利点をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図しない。
(1.材料)
以下の試験例では下記の材料を用いた。
<第一樹脂組成物>
・熱可塑性ポリエステル(PBT樹脂、融点=224℃、東レ株式会社製、商品名:トレコン5201X11)
<第二樹脂組成物>
・熱可塑性ポリエステル(PBT樹脂、融点=224℃、東レ株式会社製、商品名:トレコン1401X04)
・熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー(PBT(ハードセグメント)とポリエーテル(ソフトセグメント)のブロック共重合体、融点=208℃、東レ・デュポン株式会社製、商品名:ハイトレル5557)
・熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー(PBT(ハードセグメント)とポリエーテル(ソフトセグメント)のブロック共重合体、融点=164℃、東レ・デュポン株式会社製、商品名:ハイトレル2551)
・熱可塑性ポリエステルエラストマー(PBT(ハードセグメント)と脂肪族ポリエステル(ソフトセグメント)のブロック共重合体、融点=206℃、東洋紡株式会社製、商品名:ペルプレンS2001)
・熱可塑性ポリウレタンエラストマー(ポリウレタン(ハードセグメント)とポリエステル(ソフトセグメント)のブロック共重合体、軟化点=120〜150℃、BASFジャパン株式会社製、商品名:エラストランET690)
・磁性材料(鉄粉、平均粒度40μm)
(2.流動性試験)
第二樹脂組成物を構成する材料を試験番号に応じて表1に記載の質量割合で配合し、池貝鉄工製二軸押出機PCM45を使用してシリンダ温度260℃、回転数100rpmの条件で溶融混合し、東洋精機製メルトインデックサF−F01を使用して、ISO1133に準拠し、260℃でのMVR(Melt Volume Rate)を測定した。結果を表1に示す。表中、「OVER」とあるのは高流動のため、サンプル流出が多く、測定不能であったことを示す。なお、第一樹脂組成物のMVRも参考例として掲載した。
(3.面ファスナーの連続押出成形)
実施例1〜4及び比較例2については、第二樹脂組成物に使用する材料を試験番号に応じて表1に記載の質量割合で配合した後、共押出成形装置を使用することで、第一樹脂組成物と第二樹脂組成物を260℃の温度条件で共押出成形することによって図1に示す形状の面ファスナーを連続的に一体成形した。この際、基材部全体を第一樹脂組成物で構成し、係合素子全体を第二樹脂組成物で構成した。面ファスナーに占める第一樹脂組成物と第二樹脂組成物の体積比は、第一樹脂組成物:第二樹脂組成物=3:2とした。
また、比較例1及び3、並びに参考例については、一種類の樹脂組成物しか使用しないため、押出ノズルが一つの押出装置を使用して260℃の温度条件で押出成形することで、図1に示す形状の面ファスナーを連続的に一体成形した。この場合、製造される面ファスナーは基材部及び係合素子が共に同じ樹脂組成物で構成される。
各試験例に係る面ファスナーの押出成形時のステータスとして、第二樹脂組成物の流動性が高すぎることで金型からの離型不良が発生する(結果的に係合素子のフック形状がばらつく)場合、及び、第二樹脂組成物の流動性が低すぎることで不連続な成形品になる(係合素子への未充填が発生する)場合を不良とし、それ以外を良あるいは可とした。結果を表1に示す。
(4.フック一本掛け試験)
連続押出成形により得られた各試験例に係る面ファスナーに対して、フック一本掛け試験を行い、係合素子の強度及びクラックの有無を評価した。フック一本掛け試験は面ファスナー(長さ50mm×幅15mm)を係合素子が形成された面が上になるように水平に載置して治具に固定した上で、任意の一本の係合素子を選び、当該係合素子にループを引っ掛けてINSTRON社製の引張試験機により直上に300mm/分の速度で、フックからループが離れるまで引っ張ったときの最大強度を測定した。結果を表1に示す。試験後のクラックの有無は光学顕微鏡により係合素子を観察し、クラックが無かった場合を「無」とし、クラックが発生した場合を「有」と評価した。
なお、ダイホイールの回転方向と係合素子がキャビティから離型するときの係合頭部のフックの向きが反対である場合を「正抜き」と呼び、ダイホイールの回転方向と係合素子がキャビティから離型するときの係合頭部のフックの向きが一致する場合を「逆抜き」と呼ぶ。一般に、「正抜き」よりも「逆抜き」のほうが離型時の係合素子に掛かる応力が強いため、係合素子がダメージを受けやすい。このため、フック一本掛け試験の値は逆抜き側強度のほうが小さくなる傾向にある。
(5.磁石との吸着試験)
連続押出成形により得られた各試験例に係る面ファスナーに対して、磁石との吸着試験を行った。磁石との吸着試験は面ファスナー(長さ50mm×幅15mm)を係合素子が形成された面が露出するように治具に両面テープで固定した。次いで、磁石が埋め込まれた治具に近づけて吸着させた後、その剥離強度をINSTRON社製の引張試験機により10mm/分の速度で、面ファスナーから磁石が離れるまで引っ張ったときの最大強度を測定した。この試験において、吸着力が1.0N以上あれば実用上の問題はないと考えられる。
(6.考察)
比較例1は係合素子を構成する第二樹脂組成物中に熱可塑性ポリエステルエラストマーが配合されていなかったため、フック一本掛け試験によってクラックが入ってしまった。また、基材部も第二樹脂組成物で構成していることからクッション体との密着性が不十分であり、材料コストも高いという不都合がある。比較例2は第二樹脂組成物中に熱可塑性エラストマーを配合したが、ポリウレタンエラストマーであり、軟化点温度が低すぎて共押出成形ができなかった。
比較例3は鉄粉の配合量が多すぎたため粘性が過剰に高くなり、成形ができなかった。
参考例は熱可塑性ポリエステルのみで面ファスナーを構成したときの結果であるが、磁性材料を含まないため、磁石との吸着力を面ファスナーに付与するという目的を達成しない。
1 成形面ファスナー
10 基材部
20 防壁部
30 係合素子
50 横壁部
60 ヒレ片部
11 凹溝部
21 縦壁部
22 連結部
23 補強部
24 縦壁
28 間隙
21a 第一列の縦壁部
21b 第二列の縦壁部
21c 第三列の縦壁部
25 柱部
26 上面部
30 係合素子
31 ステム部
32 係合頭部
100 成形面ファスナーの製造装置(第一成形品用)
101 第一の押出ダイ
101a 押出口
102 第一のダイホイール
102a キャビティ
103 合成樹脂
105 第一成形品
110 面ファスナー
111 クッション体
121 成形金型
122 面ファスナー
123 磁石
200 成形面ファスナーの製造装置(第二成形品用)
201 第二の押出ダイ
201a 押出口
202 第二のダイホイール
202a キャビティ
207 案内部
203 合成樹脂
205 第二成形品
305 一体成形品
400 成形面ファスナーの製造装置(共押出成形用)
401 押出ダイ
401a 上側の押出口
401b 下側の押出口
402 ダイホイール
402a キャビティ
401a−1 ノズル部
401a−2 凹部
403a 合成樹脂
401b−1 ノズル部
401b−2 凹部
403b 合成樹脂材
405 一体成形品

Claims (10)

  1. 第一樹脂組成物及び第二樹脂組成物を材料とする一体成形された成形面ファスナー1であって、該成形面ファスナー1は平板状の基材部10と該基材部10の一方の主表面から突出した複数の係合素子30とを備え、基材部10の少なくとも一部は第一樹脂組成物で構成されており、係合素子30の少なくとも一部は第二樹脂組成物で構成されており、
    第一樹脂組成物は熱可塑性ポリエステルが80質量%以上を占め、磁性材料を含有しておらず、
    第二樹脂組成物は熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び磁性材料の合計含有量が90質量%以上を占め、磁性材料の含有量は20〜50質量%であり、熱可塑性ポリエステル及び熱可塑性ポリエステルエラストマーの質量含有比が熱可塑性ポリエステル/熱可塑性ポリエステルエラストマー=50/50〜90/10の範囲である成形面ファスナー。
  2. 第二樹脂組成物において、熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点をTm1、熱可塑性ポリエステルの融点をTm2としたとき、Tm2−40℃≦Tm1≦Tm2の関係にある請求項1に記載の成形面ファスナー。
  3. 第一樹脂組成物及び第二樹脂組成物の260℃におけるMVRがともに0.3cm3/10分以上20cm3/10分以下である請求項1又は2に記載の成形面ファスナー。
  4. 第一樹脂組成物のMVR(MVR1)に対する第二樹脂組成物のMVR(MVR2)の比率(MVR2/MVR1)が、0.5〜40である請求項1〜3の何れか一項に記載の成形面ファスナー。
  5. 成形面ファスナー1は、その長手方向に沿った境界線を有する中央部とその左右両側部の三つの領域で構成されており、三つの領域はそれぞれ基材部10と係合素子30を有し、中央部は基材部10と係合素子30が共に第二樹脂組成物で構成され、左右両側部は基材部10と係合素子30が共に第一樹脂組成物で構成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の成形面ファスナー。
  6. 成形面ファスナー1は、その長手方向に沿った境界線を有する中央部とその左右両側部の三つの領域で構成されており、三つの領域はそれぞれ基材部10と係合素子30を有し、中央部は基材部10の少なくとも一部が第一樹脂組成物、係合素子30の全てが第二樹脂組成物で構成され、左右両側部は基材部10と係合素子30が共に第一樹脂組成物のみで構成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の成形面ファスナー。
  7. 基材部10は体積割合で第二樹脂組成物よりも第一樹脂組成物が多く、係合素子30は体積割合で第一樹脂組成物よりも第二樹脂組成物が多い請求項1〜4の何れか一項に記載
    の成形面ファスナー。
  8. 第一樹脂組成物に対する第二樹脂組成物の体積割合は、第二樹脂組成物/第一樹脂組成物=10/90〜90/10である請求項1〜7の何れか一項に記載の成形面ファスナー。
  9. 基材部10の一方の主表面には、前記複数の係合素子30よりも幅方向外側に長手方向に沿って配された左右一対の防壁部20を更に備え、当該防壁部20は第一樹脂組成物で構成されている請求項1〜8の何れか一項に記載の成形面ファスナー。
  10. 基材部10の他方の主表面の少なくとも一部は第一樹脂組成物で構成されている請求項1〜9の何れか一項に記載の成形面ファスナー。
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