JP6428588B2 - 表面処理無機酸化物粒子、該粒子を含む分散液、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
従って、本発明は非極性溶媒に対して高い分散性を有する表面処理無機酸化物粒子、その分散液、及びその製造方法を提供することを目的とする。
〔1〕
表面にオルガノシリル残基を有し、更に下記一般式(I)で表されるハイドロジェンポリシロキサンが結合した表面処理無機酸化物粒子。
〔2〕
前記無機酸化物が、Al、B、In、Si、Ge、Sn、Ti、Mn、Zn、Y、Zr、Hf、Ta、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ybの群から選ばれる1種以上の元素の酸化物を含むことを特徴とする〔1〕に記載の表面処理無機酸化物粒子。
〔3〕
前記無機酸化物が、酸化チタン粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル粒子であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の表面処理無機酸化物粒子。
〔4〕
前記無機酸化物が、スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン固溶体粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン粒子であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の表面処理無機酸化物粒子。
〔5〕
前記一般式(I)で表されるハイドロジェンポリシロキサンと、前記表面にオルガノシリル残基を有する無機酸化物粒子との結合が、該ハイドロジェンポリシロキサン上のヒドロシリル基と、無機粒子表面上もしくは粒子表面のオルガノシリル残基上のヒドロキシル基との脱水素反応又はアルコキシ基との脱アルカン反応による結合であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の表面処理無機酸化物粒子。
〔6〕
更に、式(I)のハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基と、不飽和結合を有する化合物との付加反応、ヒドロキシ基を有する化合物との脱水素反応、又はアルコキシ基を有する化合物との脱アルカン反応による表面修飾部を有する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の表面処理無機酸化物粒子。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の表面処理無機酸化物粒子が、分散媒体に対して0.01〜50質量%含まれることを特徴とする分散液。
〔8〕
前記分散媒体が、炭素数5以上30以下の炭化水素化合物、アルコール化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物、シロキサン化合物、及びアミド化合物からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする〔7〕に記載の分散液。
〔9〕
前記分散媒体が、1種以上のシロキサン化合物であることを特徴とする〔8〕に記載の分散液。
〔10〕
(A)無機酸化物粒子を、シランカップリング剤及び/又はその(部分)加水分解縮合物によって表面処理した後、極性有機溶媒分散媒に分散する工程、
(B)蒸留及び/又は限外ろ過によって極性有機溶媒を除去しながら非プロトン性の有機溶媒で分散媒を置換し、非プロトン性有機溶媒に対する極性有機溶媒のモル分率が1〜15mol%になるまで前記極性有機溶媒を除去する工程、及び
(C)下記一般式(I)で示されるハイドロジェンポリシロキサンと反応させる工程を含む表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
〔11〕
前記無機酸化物が、Al、B、In、Si、Ge、Sn、Ti、Mn、Zn、Y、Zr、Hf、Ta、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ybの群から選ばれる1種以上の元素の酸化物を含むことを特徴とする〔10〕に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
〔12〕
前記無機酸化物が、酸化チタン粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル粒子であることを特徴とする〔10〕又は〔11〕に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
〔13〕
前記無機酸化物が、スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン固溶体粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン粒子であることを特徴とする〔10〕又は〔11〕に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
〔14〕
前記工程(A)における前記極性有機溶媒がメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコールからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする〔10〕〜〔13〕のいずれかに記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
〔15〕
前記工程(B)における前記非プロトン性有機溶媒がベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン及びp−キシレンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする〔10〕〜〔14〕のいずれかに記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
〔16〕
前記工程(C)において、前記一般式(I)で表されるハイドロジェンポリシロキサンと、前記表面にオルガノシリル残基を有する無機酸化物粒子との結合が、該ハイドロジェンポリシロキサン上のヒドロシリル基と、無機酸化物粒子表面上もしくは粒子表面のオルガノシリル残基上のヒドロキシル基との脱水素反応又はアルコキシ基との脱アルカン反応によって形成されることを特徴とする〔10〕〜〔15〕のいずれかに記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
〔17〕
前記脱水素反応又は前記脱アルカン反応が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒とすることを特徴とする〔16〕に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
〔18〕
更に、(D)前記無機酸化物粒子上に結合した前記一般式(I)で表されるハイドロジェンポリシロキサンに由来するヒドロシリル基と、不飽和結合を有する化合物との付加反応、ヒドロキシル基を有する化合物との脱水素反応、又はアルコキシ基を有する化合物との脱アルカン反応を行う工程を有することを特徴とする〔10〕〜〔17〕のいずれかに記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
本発明における表面処理無機酸化物粒子とは、オルガノシリル残基を表面に有する無機酸化物粒子に対してハイドロジェンポリシロキサンが結合した無機酸化物粒子である。
本発明で用いる無機酸化物粒子は、オルガノシリル残基を表面に有する無機酸化物である。無機酸化物の核を構成する元素としては、好ましくは13族元素、14族元素(炭素を除く)、第1系列遷移元素、第2系列遷移元素、第3系列遷移元素、ランタノイド等が挙げられる。13族元素では、特にアルミニウム、ホウ素、インジウム等から誘導される酸化物が好適であり、アルミナゾルが一般的に知られている。14族元素(炭素を除く)では、ケイ素、スズ等から誘導される酸化物が好適であり、シリカゾルが一般的である。第1系列遷移元素では、チタン、マンガン、亜鉛等から誘導される酸化物が好適である。これらの酸化物は、特定波長の光吸収材料として用いられることが多い。第2系列遷移元素では、イットリウム、ジルコニウム等から誘導される酸化物が好適である。これらの酸化物は、特定波長の光吸収及び蛍光材料として用いられることが多い。第3系列遷移元素では、ハフニウム、タンタル等から誘導される酸化物が好適である。ランタノイドでは、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、テルビウム、ジスプロジウム、イッテルビウム等から誘導される酸化物が好適である。これらの酸化物は、特定波長の光吸収及び蛍光材料として用いられることが多い。
(M1Ox)m(M2Oy)n (II)
一方、スズ成分としては、スズ化合物から誘導されるものであればよく、酸化スズ、硫化スズ等のスズカルコゲナイドが挙げられ、酸化スズであることが好ましい。スズ化合物としては、フッ化スズ、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ等のスズハロゲン化物、シアン化スズ、イソチオシアン化スズ等のスズ擬ハロゲン化物、又は硝酸スズ、硫酸スズ、燐酸スズ等のスズ鉱酸塩、酸化スズ等を用いることができるが、安定性と入手の容易さから塩化スズを用いることが好ましい。また、スズ塩におけるスズは2価から4価の原子価のものから選択できるが、4価のスズを用いることが特に好ましい。
粒子表面に存在しているオルガノシリル残基は、ケイ素原子上にアルキル基、アルコキシ基、ビニル基、フェニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基等の官能基が1種単独、又は2種以上の複合による置換基を有するものである。
該粒子表面を修飾するハイドロジェンポリシロキサンは下記一般式(I)で表される。表面処理剤として反応点を多数持つ高分子材料を用いることで効果的な粒子表面の修飾が可能であり、且つ高分子系分散剤の特徴である粒子表面と結合したユニットと結合していないユニットが形成するループ・トレイン構造の効果で、粒子表面の直接接触が強く抑制され、高い分散性を有する無機酸化物粒子が得られる。
触媒としては、プラチナ触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、パラジウム触媒等の遷移金属化合物やルイス酸性化合物が挙げられる。具体的にはウィルキンソン触媒、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムやビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)やトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられ、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが好適である。なお、触媒の使用量は触媒量であるが、無機酸化物コロイド分散液の固形分質量に対して、好ましくは0.01質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以上5質量%以下である。添加量が20質量%よりも多いと反応が急激に進行し制御が困難となることがあるため好ましくなく、添加量が0.01質量%よりも少ないと反応が進行しないことがある。
R10 pSi(OR11)4-p (III)
(式中において、R10は、それぞれ同一又は異なっていてもよく、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラニル基、フッ素原子、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基等の官能基で置換されていてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基と、炭素数2以上20以下のアルケニル基と、炭素数6以上20以下のアリール基と、及びケイ素数50以下の(ポリ)ジメチルシロキシ基とからなる群から選ばれる置換基であって、R11は水素原子又は炭素数6以下のアルキル基である。pは1、2又は3である。)
無機酸化物コロイド溶液は、分散質の種類によって多様な機能性を有する。多様な機能性とは、例えば、コーティング組成物に添加した際に耐擦傷性や可撓性の付与を行える機械的特性、光の屈折率制御、紫外線遮蔽性、放射線遮蔽、蛍光性等の付与を行える光学特性、電気伝導性や誘電率の付与を行える電気的特性等である。このように、無機酸化物コロイド溶液は、それを構成する元素の種類も多様であれば、発現する機能も多様である。しかしながら、コロイド溶液としての化学工学上の様態は類似したものであり、従って、無機酸化物コロイド溶液の溶媒置換を考える場合には、ここに挙げた金属酸化物等の無機酸化物を1種単独又は2種以上を複合したものについて、一群として取り扱うことが可能である。化学工学上の様態とは、粉体工学や移動現象論の範疇において取り扱われる物理的性質のことであり、例えば、分散質の粒子径や、ゼータ電位等である。これらの物理量を用いて観察している限りにおいて、無機酸化物コロイド溶液は分散質を構成する元素の種類が異なっていても、互いに比較考量可能で並列な集合として認識できる。従って、本明細書や実施例において全ての種類及び/又は組合せの無機酸化物(金属酸化物)コロイド溶液について詳細に言及されていないからといって、記述されていないコロイド溶液についても本発明の範囲に含まれることを妨げない。
コロイド溶液中の分散質は前記表面処理無機酸化物粒子であり、ハイドロジェンポリシロキサンで表面処理された酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化インジウム等が挙げられる。これらのコロイド溶液を、例えばコーティング塗料に添加する場合には、目的に応じて1種類以上の金属酸化物が用いられることが普通であるので、本発明におけるコロイド溶液が複数種の金属酸化物を含有していることを妨げない。コーティング塗料にコロイド溶液を添加する目的には、機械的特性の付与、紫外線遮蔽特性の付与、電気伝導性の付与等が挙げられる。機械的特性の付与のためには、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化ホウ素及びこれらを構成する金属元素を1種類以上含有する複合酸化物が用いられることが多い。紫外線遮蔽特性の付与のためには、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等を用いることが多く、更に機械的特性付与のための酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化スズ等と複合及び混合して用いることもできる。電気伝導性の付与のためには、酸化インジウム−酸化スズ複合体が用いられることが多い。何れにせよ、これらの金属酸化物は多様な機能を付与することができるものであるが、コロイド溶液としての化学工学上の様態は類似したものであり、従って、無機酸化物分散液の溶媒置換を考える場合には、ここに挙げた金属酸化物を1種単独又は2種以上を複合したものについて、一群として取り扱うことが可能である。
コロイド溶液中の分散媒は様々な液体が使用可能であり、具体例としては、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、エイコサン、ドコサン、トリイコサン、テトライコサン、ペンタイコサン、ヘキサイコサン、ヘプタイコサン、オクタイコサン、ノナイコサン、トリアコンタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、及びこれらを含む混合物である石油エーテル、ケロシン、リグロイン、ヌジョール等の炭素数5以上30以下の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、シクロペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、β−チアジグリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の単価及び多価アルコール類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノプロピルエーテル、ブチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジプロピル、蓚酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、エチレングリコールジフォルメート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールジブチレート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールジブチレート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、ダイアセトンアルコール、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルノルマルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラアセチルエチレンジアミド、テトラアセチルヘキサメチレンテトラミド、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミンジアセテート等のアミド類;ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン等のシロキサン類を1種単独、又は2種以上混合した液体を挙げることができる。上記の中でも、本発明の表面処理無機酸化物粒子はポリシロキサン又は環状シロキサンに対して好適に使用できる。
分散液は、0.01質量%以上50質量%以下、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の分散質を含有し、より好ましくは1質量%以上20質量%以下である。分散質の含有量が0.01質量%未満である場合は、樹脂に混合した際の効果が殆ど得られない。分散質の含有量が50質量%を超える場合は、分散液の保存安定性が不十分であることがある。
本発明における表面処理無機酸化物粒子の製造方法は、(A)無機酸化物粒子をシランカップリング剤及び/又はその(部分)加水分解縮合物によって表面処理した後、極性有機溶媒分散媒に分散する工程、(B)蒸留及び/又は限外ろ過によって極性有機溶媒を除去しながら非プロトン性の有機溶媒で分散媒を置換する工程、及び(C)ハイドロジェンポリシロキサンと反応させる工程によって製造されることを特徴とする。
本発明における表面処理無機酸化物粒子の製造には、無機酸化物粒子のコロイド分散液を用いて行うことが好ましい。用いる原料コロイド分散質は、好ましくは、無機酸化物の核を構成する元素として、13族元素、14族元素(炭素を除く)、第1系列遷移元素、第2系列遷移元素、第3系列遷移元素、ランタノイド等の金属酸化物の群から選ばれる、1種単独、又は2種以上を複合したものである。とりわけ、上述した金属元素の酸化物の1種単独又は2種以上を複合したものを核とし、この核の外側に上述した金属元素の酸化物の1種単独又は2種以上を複合した物の殻を有するコアシェル粒子を用いるのが好ましい。このようなコアシェル粒子としては、酸化チタン−酸化スズ−酸化マンガン複合酸化物(スズ及びマンガンを固溶した酸化チタン粒子)を核とし、この核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル粒子が挙げられる。
工程(A)は、シラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物で無機酸化物粒子表面を処理する工程(A−1)、極性有機溶媒で溶媒置換する工程(A−2)からなる。以下に詳細を説明する。
工程(A−1)では下記一般式(IV)で表されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物を添加して粒子表面を修飾する工程である。これにより粒子表面のOH基等と反応し、上記シラン化合物又はその(部分)加水分解物乃至(部分)加水分解縮合物の残基が酸素原子を介して粒子表面と結合する。なお、下記式(IV)において、qが1又は2のときは、粒子表面上の3又は2個の酸素原子と結合し得るが、XやXが加水分解したOHが粒子表面と縮合せず残存する場合があるため、その限りではない。
R12 qSi(X)4-q (IV)
(式中において、R12は、それぞれ同一又は異なっていてもよく、(メタ)アクリル基、オキシラニル基、フッ素原子、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基等の官能基で置換されていてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基と、炭素数2以上20以下のアルケニル基と、炭素数6以上20以下のアリール基と、及びケイ素数50以下の(ポリ)ジメチルシロキシ基とからなる群から選ばれる置換基又は水素原子であり、Xはアルコキシ基、アリル基、アセトキシ基、エノール基、塩素原子からなる群から選ばれる置換基である。qは1、2又は3である。)
工程(A−2)は極性有機溶媒で反応液中の分散媒を置換する工程であって、限外ろ過によって分散液の分散媒を滲出せしめることによって、必要に応じて濃縮を行うことができる。分散媒には、工程(A−1)で製造した水分散液に含まれる水、添加したケイ素化合物及び/又はケイ素化合物の加水分解縮合物及び/又は加水分解縮合で生成した珪酸エステルに由来するアルコール類、有機溶剤類を含むことができる。このような複合系の分散液を滲出することによって、ろ過室内の分散液の固形分濃度を、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%まで濃縮する。本系で滲出する分散媒は、複雑な混合物をなしているが、多孔性セラミックフィルターを好適に用いることができる。従来の手法では水中の塩類の除去には中空糸膜が好適に用いられていたが、粒子分散系では閉塞のおそれがあった。粒子の除去・濃縮・固液分離といった領域には有機系高分子性限外ろ過膜が用いられることが多いが、有機溶剤が含有するとろ過膜が膨潤して使用できなくなるおそれがあった。有機溶剤を含有する試料の固液分離・濃縮には無機セラミックフィルターが有用である。
τ=(η・π・φ・ω)/L [Pa] …… 数式(1)
例えば、直径φ=0.15[m]、ろ板の回転速度ω=16.7[rps](≒1,000[rpm])、円周率π=3.14、分散液の粘度η=0.001[Pa・s]、壁間距離L=0.003[m]とした場合のτ=(0.001×3.14×0.15×16.7)/0.003≒2.6[Pa]である。剪断応力は、上記好ましい範囲になるように、φ・ω・Lのそれぞれのパラメーターを変化させることで与えることができる。
Re=ρ・ω・φ2/η …… 数式(2)
また、撹拌には、バッフルを設置した反応器を用いることによる撹拌効率の向上方法を実施してもよい。
溶媒置換工程では連続した限外ろ過によって、必要に応じて未反応化合物や副生成物を除去することも可能である。
工程(B)は、工程(A)で調整した無機酸化物粒子分散液の分散媒に由来する極性有機溶媒を除去し、無極性(非プロトン性)有機溶媒で置換を行う工程である。溶媒置換は、蒸留及び/又は限外ろ過で実施することが好ましい。
この場合、工程(B)における前記非プロトン性有機溶媒はベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン及びp−キシレンからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
工程(C)は、下記一般式(I)で示されるハイドロジェンポリシロキサンを添加する工程である。
R10 pSi(OR11)4-p (III)
(式中において、R10は、それぞれ同一又は異なっていてもよく、(メタ)アクリル基、オキシラニル基、フッ素原子、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基等の官能基で置換されていてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基と、炭素数2以上20以下のアルケニル基と、炭素数6以上20以下のアリール基と、ケイ素数50以下のポリジメチルシロキシ基とからなる群から選ばれる置換基であって、R11は水素原子又は炭素数6以下のアルキル基である。pは1、2又は3である。)
なお、上記工程(C)の後、或いは工程(D)の後、上記無極性(非プロトン性)有機溶媒に更に別の溶媒を加えてもよく、又は無極性(非プロトン性)有機溶媒を除去して別の溶媒に置換したものを分散液の分散媒とすることもできる。
[オルガノゾル(OT−1)の合成]
[工程(A)]
ジムロート冷却管、窒素導入管、温度計、機械撹拌羽を備えた4つ口2Lセパラブルフラスコに、金属酸化物粒子水分散液として、特許第5704133号公報の実施例1に記載の方法によって得られた、スズ並びにマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン固溶体粒子を核とし外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン粒子の水分散液(W−1、固形分濃度1.9質量%に調整したもの)300g、固形分濃度1.9質量%)と、触媒としてスルホン酸系カチオン性イオン交換樹脂を3g入れた。ここにメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM−13」、225g)を入れて激しく撹拌(250rpm)した。撹拌によって分散液とメチルトリメトキシシランが反応し、均一になる様子が観測された。その際、分散液の温度が25℃から52℃まで上昇する様子が観測された。分散液の温度が50℃になるように2時間加熱撹拌した後、分散液にエタノール(750g)を撹拌(250rpm)しながら添加して希釈した。希釈分散液をダイナフィルター(三菱化工機株式会社製、製品名「DyF152/S」、平均細孔径7nmのMgAl2O製ディスク[ANDRITZ KMPT GmbH製、品番2065181、型φ152/7nm])に導入した。0.2MPaの静圧を圧縮空気によって与えながら、フィルターと連結した回転軸を回転(1,000rpm)させた。セラミックフィルターを経て分散液が滲出する様子が観測された。フィルター排出口には受器(5,000mL)を設け、滲出液を800g分取した。濃縮された分散液に対して、継続して有機溶剤(エタノール)を加圧供給(0.2MPa)した。0.2MPaの静圧を圧縮空気によって与えながら、フィルターと連結した回転軸を回転(1,000rpm)させた。セラミックフィルターを経て分散液が滲出する様子が観測された。フィルター排出口には受器(5,000mL)を設け、滲出液が800gに達するまでエタノールの加圧供給を行った。ろ過室から分散液を取り出し、コアシェル粒子のエタノール分散液(E−1)を得た。E−1の固形分濃度は5.5質量%、水分濃度1.1質量%であった。E−1について、動的光散乱法(日機装株式会社製、装置名「ナノトラック」)によって体積平均の50%累計分布径を求めたところ、10nmであった。また、IRスペクトルにおいてアルキルシランに特徴的な振動ピークを確認し、シランカップリング剤による表面処理が効果的に行われていることを確認した(図1)。
ディーンスターク装置、還流管と撹拌子を備えた300mLナスフラスコに先の工程(A)で作製したコアシェル粒子のエタノール分散液(E−1、固形分濃度5.5質量%)を200g入れ、常圧蒸留によってエタノールを20g留去した後、トルエンを20g加えた。この操作を、NMR測定より求められるエタノールのトルエンに対するモル分率が8mol%になるまで繰り返し行い、コアシェル粒子の分散液(T−1、固形分濃度:5.0質量%、水分:449ppm)を得た。その後、得られた分散液200gをモレキュラーシーブ4A(関東化学株式会社製、「25958−08」、5g)で処理した。T−1中のトルエンに対するエタノールのモル分率は8mol%、固形分濃度は5.0質量%、水分濃度は316ppmであった。この際に凝集は見られなかったことから、水分の低減にモレキュラーシーブ処理が有用であることが明らかとなった。
先の工程で得たコアシェル粒子の分散液(T−1)10gを100mLナスフラスコに移し、触媒としてトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを10mg加えた。磁気撹拌子で撹拌(350rpm)し、溶液を80℃に加熱した状態でハイドロジェンポリシロキサン(式(I)において、R1〜R9はメチル基、k=30〜40、m=0、粘度=20mm2/s、信越化学工業株式会社製、製品名「KF−99」、0.5g)をT−1に対して100質量%分滴下し、15分間加熱撹拌することで、オルガノゾル(OT−1)を得た。またKF−99添加後、水素やメタンに由来するガスが発生したことから反応が進行していることが確認された。OT−1について、動的光散乱法(日機装株式会社製、装置名「ナノトラック」)によって体積平均の50%累計分布径を求めたところ、33.2nmであった。また、IRスペクトルにおいてヒドロシリル基に特徴的な振動ピークが観測されたことから粒子表面にはKF−99が被覆されており、且つKF−99由来のヒドロシリル基が存在していることが明らかになった(図2)。
実施例1で行った工程(C)において、KF−99をT−1に対して80質量%用いて実施した他は実施例1と同様の操作を行い、オルガノゾル(OT−2)を得た。結果を表1にまとめて示した。
実施例1で行った工程(C)において、KF−99をT−1に対して120質量%用いて実施した他は実施例1と同様の操作を行い、オルガノゾル(OT−3)を得た。結果を表1にまとめて示した。
実施例1で行った工程(C)において、トルエン中のエタノール濃度を3mol%に調整したコアシェル粒子の分散液(T−4、固形分濃度:5.0質量%)を用い、KF−99をT−4に対して50質量%用いて実施した他は実施例1と同様の操作を行い、オルガノゾル(OT−4)を得た。結果を表1にまとめて示した。
実施例1の工程(B)に変えて、工程(B')を実施した以外は実施例1と同様の操作を行い、オルガノゾル(OT−5)を得た。結果を表1にまとめて示した。
[工程(B')]
コアシェル粒子のエタノール分散液(E−1、200g、固形分濃度:5.5質量%)をジムロート冷却管、ディーンスターク装置、撹拌子を備えた300mLナスフラスコに加え、そこに下記一般式(V)中において、平均構造がr=30の化合物(信越化学工業株式会社製、製品名「X−24−9822」、6g)とスルホン酸系カチオン性イオン交換樹脂(2g)を入れて激しく撹拌(350rpm)した。そこにイオン交換水(20g)を加え、3時間還流を行った。溶液を放冷後、トルエンを20g入れ、ディーンスターク装置を利用して、常圧蒸留によってエタノールを20g留去した。この操作を、NMR測定より求められるエタノールのトルエンに対するモル分率が10mol%になるまで繰り返し行い、コアシェル粒子の分散液(T−5、固形分濃度:5.4質量%、水分:334ppm)を得た。
実施例1の工程(C)に変えて、工程(C')を実施した以外は実施例1と同様の操作を行い、オルガノゾル(OT−6)を得た。結果を表1にまとめて示した。
[工程(C')]
コアシェル粒子の分散液(T−1、固形分濃度:5.0質量%)10gを100mLナスフラスコに移し、触媒としてトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを10mg加えた。磁気撹拌子で撹拌(350rpm)し、溶液を80℃に加熱した状態でKF−99をT−1に対して100質量%分滴下し、15分間加熱撹拌した。続いて1−ヘキサノールを2g滴下し、1時間加熱撹拌した後、室温で12時間撹拌することでオルガノゾル(OT−6)を得た。IRスペクトルにおいてヒドロシリル基に特徴的な振動ピークが減少したことを確認した(図3)。またTg測定の結果、ヘキサノールを添加していないオルガノゾル(OT−1)に比べ、添加後の粒子(OT−6)では重量減少が増加した。これは、添加したヘキサノールが粒子表面に被覆されたことで、へキシルオキシ基の分解による重量減少がOT−6の重量減少に加算されたためであると考えられる。以上の結果より、粒子上のヒドロシリル基がヘキサノールとの脱水素反応によってヘキシルオキシ基へと変換されたことを確認した(図4)。
実施例1の工程(C)に変えて、工程(C'')を実施した以外は実施例1と同様の操作を行い、オルガノゾル(OT−7)を得た。結果を表1にまとめて示した。
[工程(C'')]
コアシェル粒子の(T−1、固形分濃度:5.0質量%)10gを100mLナスフラスコに移し、触媒としてトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを10mg加えた。磁気撹拌子で撹拌(350rpm)し、溶液を80℃に加熱した状態でKF−99をT−1に対して100質量%分滴下し、15分加熱撹拌した。続いて室温で白金触媒(信越化学工業株式会社製、製品名「CAT−PL−50T」、10mg)と1−ヘキセンを2g滴下し、室温で12時間撹拌することでオルガノゾル(OT−7)を得た。IRスペクトルにおいてヒドロシリル基に特徴的な振動ピークが減少したことを確認した(図5)。またTg測定の結果、ヘキセンを添加していないオルガノゾル(OT−1)に比べ、添加後の粒子(OT−7)では重量減少が増加した。これは、添加したヘキセンが粒子表面に被覆されたことで、ヘキシル基の分解による重量減少がOT−7の重量減少に加算されたためであると考えられる。以上の結果より、粒子上のヒドロシリル基がヘキセンとのヒドロシリル化反応によってヘキシル基へと変換されたことを確認した(図6)。
実施例1で行った工程(C)において、トルエン中のエタノール濃度を10mol%に調整したコアシェル粒子の分散液(T−8、固形分濃度:5.0質量%)を用い、KF−99をT−8に対して50質量%用いて実施した他は実施例1と同様の操作を行い、オルガノゾル(OT−8)を得た。
実施例1で行った工程(C)において、KF−99の代わりに下記一般式(VI)で表されるハイドロジェンポリシロキサンをT−1に対して100質量%用いて実施した他は実施例1と同様の操作を行い、オルガノゾル(OT−9)を得た。結果を表1にまとめて示した。
実施例1で行った工程(A)に用いた原料コアシェル粒子の水分散液(W−1)について、KBM−13による処理を行わず直接エタノール置換を試みた結果、粒子の凝集が見られた。
実施例1で行った工程(B)での溶媒置換工程において、NMR測定より求められるエタノールのトルエンに対するモル分率が60mol%になるまで溶媒置換を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、工程(C)においてKF−99による被覆を試みたが、反応の開始は確認されず、粒子の凝集が見られた。
実施例1で行った工程(C)において、KF−99の代わりに両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンをT−1に対して100質量%用いて実施した他は実施例1と同様の操作を行った。その結果、反応の進行は確認されず分散性の向上も見られなかった。
実施例1で行った工程(C)において、KF−99の代わりに下記一般式(VII)で記述されるハイドロジェンポリシロキサンをT−1に対して100質量%用いて実施した他は実施例1と同様の操作を行った。その結果、反応の進行は確認されず、分散性の向上も見られなかった。
実施例5ではシランカップリング剤としてメチルトリメトキシシランに加え、ポリジメチルシロキサン置換型のシランカップリング剤(X−24−9822)による表面処理を追加して行い、KF−99による被覆を達成している。このことから、ハイドロジェンポリシロキサンの被覆は様々なシランカップリング剤で処理された粒子に対して適応可能であることが示されている。
分散性:酸化チタン粒子をトルエン又はD4中に混合した際、「○」=凝集が発生せずに安定なオルガノゾルが得られたもの、「×」=凝集が発生し、粒子が沈降したもの。
粒径:動的光散乱法によって測定した体積平均の50%累計分布径。
実施例1で作製したオルガノゾル(OT−1)を環状シロキサン(D4)中に加え、トルエンを減圧留去することでD4分散液を調整した。その結果、粒子の凝集は見られなかった。結果を表1にまとめて示した。
実施例2で作製したオルガノゾル(OT−2)について、実施例1と同様の操作を用いてD4中における分散性を評価した。その結果、粒子の凝集は見られなかった。結果を表1にまとめて示した。
実施例3で作製したオルガノゾル(OT−3)について、実施例1と同様の操作を用いてD4中における分散性を評価した。その結果、粒子の凝集は見られなかった。結果を表1にまとめて示した。
実施例4で作製したオルガノゾル(OT−4)について、実施例1と同様の操作を用いてD4中における分散性を評価した。その結果、粒子の凝集は見られなかった。結果を表1にまとめて示した。
実施例5で作製したオルガノゾル(OT−5)について、実施例1と同様の操作を用いてD4中における分散性を評価した。その結果、粒子の凝集は見られなかった。結果を表1にまとめて示した。
実施例6で作製したオルガノゾル(OT−6)について、実施例1と同様の操作を用いてトルエン及びD4中における分散性を評価した。その結果、粒子の凝集は見られなかった。結果を表1にまとめて示した。
実施例7で作製したオルガノゾル(OT−7)について、実施例1と同様の操作を用いてトルエン及びD4中における分散性を評価した。その結果、D4中において粒子の凝集が見られた。結果を表1にまとめて示した。
実施例8で作製したオルガノゾル(OT−8)について、実施例1と同様の操作を用いてトルエン及びD4中における分散性を評価した。その結果、D4中において粒子の凝集が見られた。結果を表1にまとめて示した。
実施例9で作製したオルガノゾル(OT−9)について、実施例1と同様の操作を用いてトルエン及びD4中における分散性を評価した。その結果、D4中において粒子の凝集が見られた。結果を表1にまとめて示した。
市販されている酸化チタンのブタノール分散液(CIKナノテック社製、製品名「RTTDNB 15wt%−E88」、15質量%)について、実施例1と同様の操作を用いてトルエン及びD4中における分散性を評価した。その結果、いずれの分散液を調整した場合についても、酸化チタン粒子の凝集が見られた。結果を表2にまとめて示した。
実施例1で行った工程(A)によって得られたコアシェル粒子のエタノール分散液(E−1)をトルエン中に加えた結果、粒子の凝集が見られた。また、E−1をD4中に加え、エタノールを減圧留去した場合についても、同様に粒子の凝集が見られた。結果を表2にまとめて示した。
実施例5で行った工程(B')によって得られたコアシェル粒子のトルエン分散液(T−5)をトルエン中に加え、微量のエタノールを完全に留去した結果、粒子の凝集が見られた。また、T−5をD4中に加え、トルエンを減圧留去した場合についても、同様に粒子の凝集が見られた。結果を表2にまとめて示した。
トルエン中における各粒子の粒径に注目すると、KF−99のみで被覆された粒子を用いた場合(実施例10〜14、17)では、粒径がいずれも50nm以下であり、粒子間架橋や凝集が生じていないことが確認された。D4中においてはいずれの粒子も、粒径が200nm程度に増加し、僅かな二次凝集の挙動が見受けられたが、沈降することなく安定な分散状態を維持していた。
更にKF−99被覆後にヘキサノールで表面処理した粒子を用いた場合(実施例15)では、処理前の粒子(実施例10)と比較してD4中においてより小さな粒径を示した。この結果は、粒子表面上のヒドロシリル基がヘキシルオキシ基に変換されたことでD4中での二次凝集がより抑制されていることを示している。一方で、ヘキセンで処理した粒子の場合(実施例16)では、被覆前の粒子(実施例10)と比較してトルエン中において粒径の増大を示し、D4中においては凝集・沈降した。この結果は、粒子表面上のヒドロシリル基がヘキシル基に変換されたことで非極性溶媒中への分散性が低下したことを示している。以上のように本発明で作成される粒子は、粒子表面に様々な置換基を導入することで分散性・物性の制御や機能性の付与が可能であり、多くの分野へ応用が期待できる。
これら実施例及び比較例は本発明の有用性を示すための典型的な例であり、発明の範囲を制限するものではない。
Claims (16)
- 表面にオルガノシリル残基を有し、更に下記一般式(I)で表されるハイドロジェンポリシロキサンが結合した表面処理無機酸化物粒子であって、
前記一般式(I)で表されるハイドロジェンポリシロキサンと、前記表面にオルガノシリル残基を有する無機酸化物粒子との結合が、該ハイドロジェンポリシロキサン上のヒドロシリル基と、無機粒子表面上もしくは粒子表面のオルガノシリル残基上のヒドロキシル基との脱水素反応又はアルコキシ基との脱アルカン反応による結合であることを特徴とする表面処理無機酸化物粒子。
- 前記無機酸化物が、Al、B、In、Si、Ge、Sn、Ti、Mn、Zn、Y、Zr、Hf、Ta、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ybの群から選ばれる1種以上の元素の酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の表面処理無機酸化物粒子。
- 前記無機酸化物が、酸化チタン粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理無機酸化物粒子。
- 前記無機酸化物が、スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン固溶体粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理無機酸化物粒子。
- 更に、式(I)のハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基と、不飽和結合を有する化合物との付加反応、ヒドロキシ基を有する化合物との脱水素反応、又はアルコキシ基を有する化合物との脱アルカン反応による表面修飾部を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理無機酸化物粒子。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理無機酸化物粒子が、分散媒体に対して0.01〜50質量%含まれることを特徴とする分散液。
- 前記分散媒体が、炭素数5以上30以下の炭化水素化合物、アルコール化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物、シロキサン化合物、及びアミド化合物からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6に記載の分散液。
- 前記分散媒体が、1種以上のシロキサン化合物であることを特徴とする請求項7に記載の分散液。
- (A)無機酸化物粒子を、シランカップリング剤及び/又はその(部分)加水分解縮合物によって表面処理した後、極性有機溶媒分散媒に分散する工程、
(B)蒸留及び/又は限外ろ過によって極性有機溶媒を除去しながら非プロトン性の有機溶媒で分散媒を置換し、非プロトン性有機溶媒に対する極性有機溶媒のモル分率が1〜15mol%になるまで前記極性有機溶媒を除去する工程、及び
(C)下記一般式(I)で示されるハイドロジェンポリシロキサンと反応させる工程を含む表面処理無機酸化物粒子の製造方法であって、
前記工程(C)において、前記一般式(I)で表されるハイドロジェンポリシロキサンと、前記表面処理された無機酸化物粒子との結合が、該ハイドロジェンポリシロキサン上のヒドロシリル基と、無機酸化物粒子表面上もしくは粒子表面のオルガノシリル残基上のヒドロキシル基との脱水素反応又はアルコキシ基との脱アルカン反応によって形成されることを特徴とする表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
- 前記無機酸化物が、Al、B、In、Si、Ge、Sn、Ti、Mn、Zn、Y、Zr、Hf、Ta、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ybの群から選ばれる1種以上の元素の酸化物を含むことを特徴とする請求項9に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
- 前記無機酸化物が、酸化チタン粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル粒子であることを特徴とする請求項9又は10に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
- 前記無機酸化物が、スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン固溶体粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項9又は10に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
- 前記工程(A)における前記極性有機溶媒がメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコールからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
- 前記工程(B)における前記非プロトン性有機溶媒がベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン及びp−キシレンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
- 前記脱水素反応又は前記脱アルカン反応が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒とすることを特徴とする請求項9に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
- 更に、(D)前記無機酸化物粒子上に結合した前記一般式(I)で表されるハイドロジェンポリシロキサンに由来するヒドロシリル基と、不飽和結合を有する化合物との付加反応、ヒドロキシル基を有する化合物との脱水素反応、又はアルコキシ基を有する化合物との脱アルカン反応を行う工程を有することを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の表面処理無機酸化物粒子の製造方法。
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