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JP7574486B1 - チタニア被覆銀を含有する組成物 - Google Patents

チタニア被覆銀を含有する組成物 Download PDF

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JP7574486B1
JP7574486B1 JP2024056417A JP2024056417A JP7574486B1 JP 7574486 B1 JP7574486 B1 JP 7574486B1 JP 2024056417 A JP2024056417 A JP 2024056417A JP 2024056417 A JP2024056417 A JP 2024056417A JP 7574486 B1 JP7574486 B1 JP 7574486B1
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久也 濱
浩規 阪本
博輝 山本
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Abstract

【課題】本発明は、透明性、基材に対する密着性、耐久性、抗菌抗ウイルス性、長期安定性を兼ね備えたチタニア被覆銀を含有する組成物を提供する事を目的とする。【解決手段】チタニア被覆銀を含有する組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、チタニア被覆銀を含有する組成物に関する。
特許文献1は、抗菌剤微粒子、バインダ及び溶媒を含有する抗菌液であって、前記抗菌剤微粒子が、銀担持無機酸化物を含み、前記バインダが、少なくとも1種のシロキサン結合を有する化合物を含み、前記溶媒が、アルコール及び水を含み、前記抗菌液の全質量に対する固形分濃度が5質量%未満であり、前記抗菌液の全固形分量に対する前記シロキサン結合を有する化合物の含有量が60質量%以上である抗菌液を開示する。
特開2017-043599
本発明は、透明性、基材に対する密着性、耐久性、抗菌抗ウイルス性、長期安定性等を兼ね備えたチタニア被覆銀を含有する組成物を提供する事を目的とする。
本発明は、次のチタニア被覆銀を含有する組成物を包含する。
項1.
チタニア被覆銀組成物であって、
(A)チタニア被覆銀と、
(B)Si化合物と、
(C)溶媒とを含有し、
前記(A)チタニア被覆銀は、銀(Ag)微粒子の表面の一部が、チタニアで被覆されており、
前記(B)Si化合物は、アルコキシシランの加水分解生成物である、
チタニア被覆銀組成物。
項2.
前記(A)チタニア被覆銀は、銀微粒子の表面の1表面%~99表面%が、チタニアで被覆されている、前記請求項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
項3.
前記(A)銀微粒子を被覆する前記(B)無機酸化物微粒子におけるランダム率が、50%以上である、前記項1に記載の酸化物複合体
項4.
前記(A)チタニア被覆銀に含まれるチタン(Ti)化合物は、Ti化合物を示唆熱熱重量同時測定装置に依って600℃迄昇温させた場合、200℃以上における質量減少が1質量%以上である、前記項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
項5.
前記(A)チタニア被覆銀に含まれるTi化合物は、平均一次粒径が1nm~20nmである、前記項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
項6.
前記(A)チタニア被覆銀に含まれるAg化合物は、平均一次粒径が1nm~2,000nmである、前記項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
項7.
前記(A)チタニア被覆銀に含まれるTi化合物の平均一次粒径に対するAg化合物の平均一次粒径の比率
(Ag化合物の平均一次粒子径/Ti化合物の平均一次粒子径)は、
2~100である、前記項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
項8.
チタニア被覆銀組成物中、
前記(A)チタニア被覆銀に含まれるTi化合物は、含有量が0.01質量%~5質量%である、前記項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
項9.
チタニア被覆銀組成物中、
前記(B)Si化合物は、含有量が0.01質量%~20質量%である、前記項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
項10.
前記(C)溶媒は、水、及びアルコールを含む、前記項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
項11.
前記(B)Si化合物は、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、テトラエトキシシラン)の加水分解生成物である、前記項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
項12.
前記項1~11の何れかに記載のチタニア被覆銀組成物を含む、抗菌抗ウイルスコーティング液。
項13.
チタニア被覆銀組成物の製造方法であって、
(1)溶媒中、Ti化合物を合成し、前記Ti化合物に有機鎖を付与する工程
(2)工程(1)の後、チタニア被覆銀を作製する工程、及び
(3)工程(2)の後、溶媒中で、有機鎖が結合しているチタニア被覆銀と、Si化合物とを混合し、Si化合物を加水分解させる工程
を含む、チタニア被覆銀組成物の製造方法。
本発明のチタニア被覆銀組成物の製造方法は、好ましくは、
(4)工程(3)の後、高圧分散処理を行い、チタニア被覆銀を含む分散液を分散処理を行う工程を含む。
チタニア被覆銀は、銀(Ag)微粒子の表面の一部が、チタニアで被覆されているものである。
本発明のチタニア被覆銀を含有する組成物は、チタニア被覆銀を、バインダーと混合する事に依り、基材に対する密着性を向上させる事を可能とする。本発明のチタニア被覆銀を含有する組成物は、チタニア被覆銀と共存化で、アルコキシシランの加水分解を行う事により、透明性、基材に対する密着性、耐久性、抗菌抗ウイルス性(抗菌剤)、長期安定性等を兼ね備える材料である。
本発明は、透明性、基材に対する密着性、耐久性、抗菌抗ウイルス性、長期安定性を兼ね備えたチタニア被覆銀を含有する組成物を提供する事を可能とする。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明を表す実施の形態は、発明の趣旨がより良く理解出来る説明であり、特に指定のない限り、発明内容を限定するものではない。
本明細書において、「含む」及び「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみから成る(consist essentially of)」、及び「のみから成る(consist of)」の何れも包含する概念である。
本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、「A以上、B以下」を意味する。
本明細書において、一般に、部、%等の表示を使用する。
本明細書において、特に断りがない限り、質量部又は質量%(wt%)を表す。
[1]チタニア被覆銀を含有する組成物
従来、有機系の抗菌剤は、即効性が高いものの、効果は長期に持続しないという点、無機系の抗菌剤は、効果は長期に持続するものの、着色しており透明性が低く、性能が低いと言う点が有り、更なる検討が必要で有る。
従来、銀ナノ粒子は高い抗菌抗ウイルス性を有する反面、安定性が低く容易に凝集したり、ケーキングを起こしたりすると言う点が有り、更なる検討が必要で有る。
従来技術(特許文献1)は、無機酸化物に銀を担持させて、更にシロキサン結合を有するバインダーと複合化する事に依って、抗菌液のケーキングを防ぐ技術を開示する。無機酸化物に銀を担持させる手法は、銀に比べて大きいサイズの担持体(無機酸化物)に銀を担持させ安定化させる必要が有る。従来、担持体の粒径が大きいと、抗菌液の透明性が低下する。この様に、抗菌液中で銀を担持体に安定に担持させ事と、抗菌液の透明性とはトレードオフに成っており、これら両立することが出来る材料が必要で有る。
本発明者は、従来の担持体に銀を担持する手法から発想を転換し、銀に比べて十分に小さいサイズのチタニア粒子を用いて、銀を部分被覆する事に依り、組成物(抗菌液等)中で、銀の凝集を最小限に留める事に成功した。
本発明は、銀粒子の周囲にチタニアが担持された構造であり、つまり、銀粒子の周囲をチタニアが被覆する構造である。本発明のチタニア被覆銀を含有する組成物は、微細なチタニア被覆銀の粒子の複合体を含み、透明度が高く、且つ銀の凝集が少なく、安定して、抗ウイルス性を発揮する事が出来る材料である。
本発明のチタニア被覆銀を含有する組成物は、チタニア被覆銀を、バインダーと混合する事に依り、基材に対する密着性を向上させる事を可能とする。本発明のチタニア被覆銀を含有する組成物は、チタニア被覆銀と共存化で、アルコキシシランの加水分解を行う事により、透明性、基材に対する密着性、耐久性、抗菌抗ウイルス性(抗菌剤)、長期安定性等を兼ね備える材料である。
本発明は、表面に有機鎖を有する酸化チタンを用いてSiバインダーとゾルゲル反応する事に依り、透明性、基材に対する密着性、溶媒安定性等に優れる撥水性塗料である。コーティングとして、本発明の撥水性塗料を用いて、基材に、良好に光触媒酸化チタンを固定する事を可能とし、物品にコーティング層を形成する事を可能とする。
本発明のチタニア被覆銀を含有する組成物は、
(A)チタニア被覆銀と、
(B)Si化合物と、
(C)溶媒とを含有し、
前記(A)チタニア被覆銀は、銀(Ag)微粒子の表面の一部が、チタニアで被覆されており、
前記(B)Si化合物は、アルコキシシランの加水分解生成物である。
(1-1)(A)チタニア被覆銀
本発明のチタニア被覆銀組成物は、(A)チタニア被覆銀と、(B)Si化合物と、(C)溶媒とを含有し、(A)チタニア被覆銀は、銀(Ag)微粒子の表面の一部が、チタニアで被覆されている。(A)チタニア被覆銀は、銀微粒子(担体)の周囲に、チタニア化合物が担持された構造、或は、銀微粒子(担体)の周囲をチタニアが被覆する構造である。
水、無機酸、遊離した有機酸等は、一般に、200℃以下で、殆ど揮発する。
(A)チタニア被覆銀のチタニア化合物(チタニアナノ粒子)は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアセチル基(CH3-C(=O)-、Ac)、アセトキシ基(アセチルオキシ基、CH3-C(=O)-O-、AcO)等が結合しており、200℃~600℃の範囲で、徐々に脱離する。例えば、アセトキシ基の場合、約260℃をピークとして、200℃~600℃の範囲で、徐々に脱離する。
チタニア化合物は、微細なチタニア表面に有機物を付与する事で、チタニア粒子の分散性を向上させる事が出来る。
チタニア化合物は、好ましくは、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子に、アセチル基、アセトキシ基等の有機鎖が結合しており、乾燥、又は焼成時に、チタニアナノ粒子同士の凝集を抑制出来る為、クラック、剥がれ等が起こり難く、塗布性、及び透明性に特に優れる。チタニア化合物は、クラック、剥がれ等を抑制する事が出来、金属を強固に担持させ易い結果、可視光触媒活性にも優れる。
チタニア化合物は、乾燥、又は焼成時に、チタニアナノ粒子同士の凝集を抑制出来る為、クラック、剥がれ等の抑制効果が特に優れている。
チタニア化合物は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアセチル基、アセトキシ基等の有機鎖が存在している場合、200℃~600℃の範囲で、徐々に離脱する事から、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)に依って、昇温させた場合に200℃以上での質量減少が大きい。
チタニア化合物は、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)に依って、昇温させた場合に200℃以上での質量減少は、表面に存在するチタン原子にアセチル基、アセトキシ基等の有機鎖が結合している数の指標を意味する。
本発明のチタニア被覆銀組成物では、(A)チタニア被覆銀に含まれるチタン(Ti)化合物は、好ましくは、Ti化合物を示唆熱熱重量同時測定装置に依って600℃迄昇温させた場合、200℃以上における質量減少が1質量%以上である。Ti化合物は、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)に依って、600℃迄昇温させた場合の200℃以上における質量減少は、0.1質量%以上であり、好ましくは、1質量%以上であり、より好ましくは、5質量%以上である。Ti化合物の質量減少の上限値は、好ましくは、20質量%である。
示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)の詳細な条件は、雰囲気:空気、昇温速度:3℃/分である。
Ti化合物の表面に存在する有機鎖(アセチル基、アセトキシ基等)は、水溶性、臭気、揮発性、有害性、分解性等の観点から、好ましくは、アセチル基(CH3-C(=O)-)、アセトキシ基(CH3-C(=O)-O-)等である。
有機鎖は、前記有機鎖から成る群から選ばれる少なくとも1種の有機鎖が結合していて良く、これらの有機鎖を1種単独で結合しても良く、或は目的に応じて2種以上の有機鎖が結合して良い。
本発明のチタニア被覆銀組成物では、(A)チタニア被覆銀に含まれるTi化合物は、好ましくは、平均一次粒径が1nm~20nmである。Ti化合物の平均一次粒子径は、好ましくは、1nm~50nmであり、より好ましくは、1nm~20nmであり、更に好ましくは、1nm~10nmである。Ti化合物の平均粒子径を、この範囲に調整する事に依り、銀の周りにTiを部分的に被覆する事が可能になる。チタニアナノ粒子は、可視光触媒活性がより高く、且つ透明性のより高い膜を形成する事が出来る。Ti化合物は、塗布性に優れる。
Ti化合物(チタニアナノ粒子)の平均粒子径は、電子顕微鏡(TEM)観察に依り、測定する。
Ti化合物の比表面積は、好ましくは、150m2/g~500m2/gであり、より好ましくは、200m2/g~400m2/gである。Ti化合物の比表面積を、この範囲に調整する事に依り、Ti化合物に、金属(銀及び銅)を、適度、銀の周りにTiを部分的に被覆する事が出来る。Ti化合物は、可視光触媒活性が高い。
Ti化合物の比表面積は、BET法に依り、測定する。
Ti化合物は、N、Cl、及びS元素の濃度を、何れも、好ましくは、0~5,000ppm、より好ましくは、0~1,000ppmとする事が出来る。Ti化合物のN、Cl、及びS元素の濃度を、この範囲に調整する事に依り、基材の腐食等を抑える事が出来る。Ti化合物のN、Cl、及びS元素の濃度は、TiCl4、TiOSO4等の酸性Ti化合物前駆体由来の不純物が存在しないか、又はごく少量である事を意味している。
Ti化合物のN、Cl、及びS元素の濃度は、WDX(蛍光X線)に依り、測定する。
Ti化合物の結晶形は、好ましくは、アナターゼ型が好ましく、チタニアナノ粒子は、好ましくは、アナターゼ型以外の結晶形を含まず、アナターゼ型100%である。Ti化合物は、アナターゼ型を採用する事に依り、Ti化合物は、可視光触媒活性が向上する。
本発明のチタニア被覆銀組成物は、(A)チタニア被覆銀に含まれるAg化合物は、好ましくは、平均一次粒径が1nm~2,000nmである。
部分被覆の定義
チタニア被覆銀を電子顕微鏡(走査電子顕微鏡(SEM)、或は透過電子顕微鏡(TEM))で画像を取り、元素分析(エネルギー分散型X線分析(EDS)、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)、電子エネルギー損失分光(EELS)等)に依って、Ag粒子とTi粒子との存在位置を明らかにする。その後、任意のAg粒子を10粒子抽出し、Ag粒子の粒径順に並べた後、小さい方から5番目と6番目の粒子径のAgナノ粒子に着目し、画像解析ソフトウェアWinROOF(三谷商事株式会社)等の画像処理ソフトで、二値化処理を行う。
(A)粒子径比α(Ag)/β(Ti)
Ag粒子の粒径子をα(nm)とし、Ti粒子の粒子径をβ(nm)とする。此れ依り、α/βを算出する。α/βは、好ましくは、1/2以上である。
α(Ag粒子)/β(Ti粒子)は、1/2以上に調整する事(銀ナノ粒子が或る程度大きい事)に依り、良好にチタニア被覆銀を含む分散体の透明性を保持する事が出来る。α(Ag)/β(Ti)は、より好ましくは、1~1,000に調整し、更に好ましくは、1~100に調整する。
(B)Ag粒子の被覆率
この二値化処理の結果、Ag粒子のドメインの面積をA、Agナノ粒子中と重なるTi粒子のドメインの面積をBとする。この結果に依り、B(Ti粒子)/A(Ag粒子)×100(%)を被覆率と定義する。
Ag粒子が、完全に、Ti粒子に覆われている場合、被覆率は100%と成る。
Ag粒子が、単独で存在する場合、被覆率は0%と成り、Ag粒子はTi粒子に覆われていない。
本発明のチタニア被覆銀組成物では、(A)チタニア被覆銀は、好ましくは、銀微粒子の表面の1表面%~99表面%が、チタニアで被覆されている。チタニア被覆銀は、被覆率の値は、好ましくは、1表面%~99表面%であり、より好ましくは、10表面%~80表面%であり、更に好ましくは、20表面%~70表面%である。チタニア被覆銀は、被覆率の値を、前記範囲のチタニアの被覆率を調整する事に依り、チタニア被覆銀は、良好に、抗菌抗ウイルス活性を発揮し、チタニア被覆銀を含む分散体は、分散安定性が良好である。
チタニア被覆銀は、被覆率の値が、被覆率が99%を超えると、Ag粒子の露出率が低下し、抗ウイルス性能が低下する可能性が有る。チタニア被覆銀は、被覆率が1%未満であると、チタニア被覆銀中、或は分散対中でのAg粒子の安定性が低下する可能性が有る。チタニア被覆銀は、被覆率被覆率(B(Ti粒子)/A(Ag粒子)×100(%))を、1表面%~99表面%に調整する事に依り、Ag粒子の表面を部分的に被覆する事が可能に成り、抗ウイルス性能は向上し、チタニア被覆銀を含む分散体の安定性は良好である。
(C)Ag粒子のランダム率
Ag粒子のランダム率を以下の様に定義する。
画像処理ソフト(WinROOF)での二値化処理の結果、Ag粒子の座標位置を下記の様に定義する。
AgXmax (Ag粒子のX座標の最大値)
AgXmin (Ag粒子のX座標の最小値)
AgYmax (Ag粒子のY座標の最大値)
AgYmin (Ag粒子のY座標の最小値)
続いて、無機酸化物粒子について、WinROOFの形状特徴測定によって、N個の無機酸化物粒子が抽出される。夫々の無機酸化物粒子に対し、任意に、1,2,3と順に番号を割り振った際のn番目の無機酸化物粒子をOnと定義する。
Onに対し、座標位置を下記の通り定義する。
Onx (n番目の無機酸化物粒子の重心のX座標)
Ony (n番目の無機酸化物粒子の重心のY座標)
続いて、Ag粒子の領域を下記の通り分割する。
AgX1=AgXmin (1番目のX座標)
AgXm+1=AgXm+(AgXmax-AgXmin)/N (m+1番目のX座標)
AgY1=AgYmin (1番目のY座標)
AgYm+1=AgYm+(AgYmax-AgYmin)/N (m+1番目のY座標)
上記で分割した各領域における無機酸化物粒子の個数、及びその最大値を下記の通り定義する。
AgXmとAgXm+1との座標内に含まれるOnxの数を、NOmxと定義する。
更に、NOmxの最大値をNOxmax定義する。
AgYmとAgYm+1との座標内に含まれるOnyの数を、NOmyと定義する。
更に、NOmxの最大値をNOymaxと定義する。
X軸方向のランダム率(Ranx)、Y軸方向のランダム率(Rany)は、下記の通りである。
Ranx=(1-NOxmax/N)×100
Rany=(1-NOymax/N)×100
此れに依り、ランダム率(Ranx,Rany)が測定される。夫々のランダム率Ranx,Ranyは、好ましくは、50%以上であり、より好ましくは、70%以上であり、更に好ましくは、90%以上である。本発明のチタニア被覆銀組成物では、ランダム率が高い事は、即ち、Ag粒子に被覆されているTi粒子の個数が多く、且つ分散良く配置されている事を意味する。
本発明のチタニア被覆銀組成物は、ランダム率Ranx,Ranyを調整する事に依り、Ag粒子の分散性を高めつつ、Ag粒子を効率良く露出させる事が可能になり、Ag粒子の分散安定性と抗ウイルス活性とが向上し、無機酸化物微粒子からのAgの溶出を防ぐ事が可能となる。
(1-2)(B)Si化合物(Siバインダー)
本発明のチタニア被覆銀組成物は、(A)チタニア被覆銀と、(B)Si化合物と、(C)溶媒とを含有し、(B)Si化合物は、アルコキシシランの加水分解生成物である。
本発明のチタニア被覆銀組成物は、Ti化合物(チタニア粒子)を含み、微細なチタニア表面に有機物を付与する事で、チタニア粒子の分散性を向上させる事が出来る。
Ti化合物(チタニア粒子)とバインダーの原料となるアルコキシシラン(Si化合物)とを混合し、両者の共存化で、高分散性を維持したまま、加水分解反応を行い、チタニア粒子複合バインダーを作製する事が出来る。
本発明のチタニア被覆銀組成物は、チタニアの凝集を改善する事が出来、溶媒安定性、及び密着性を大きく改善する事が出来る。
(B)Si化合物は、アルコキシシラン(アルキルシラン)の加水分解生成物である。
アルコキシシラン(アルキルシラン)は、好ましくは、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラエトキシシラン等を用いる。
モノアルコキシシランは、好ましくは、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等を用いる。
ジアルコキシシランは、好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジメトキシメチル-n-オクチルシラン等を用い、より好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等を用いる。
トリアルコキシシランは、好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリプロポキシシラン、n-プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン等を用い、より好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン等を用いる。
テトラアルコキシシランは、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等であり、より好ましくは、テトラエトキシシラン(オルトケイ酸テトラエチル、Si(OC2H5)4、TEOS)、テトラメトキシシラン等を用いる。
アルキルシランは、前記アルキルシランから成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて良く、これらのアルキルシランを1種単独で用いても良く、或は目的に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
本発明のチタニア被覆銀組成物では、Si化合物は、特に好ましくは、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル、テトラエトキシシラン)の加水分解生成物である。
(1-3)(C)溶媒
本発明のチタニア被覆銀組成物は、(A)チタニア被覆銀と、(B)Si化合物と、(C)溶媒とを含有する。
本発明のチタニア被覆銀組成物は、(C)溶媒は、好ましくは、水、及びアルコールを含む。
アルコールは、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1~6の脂肪族アルコール、α-テルピネオール等の非脂肪族アルコール;ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ヘキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、エチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール系溶媒;1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール等である。
アルコールは、前記アルコールから成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて良く、これらのアルコールを1種単独で用いても良く、或は目的に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
本発明のチタニア被覆銀を含有する組成物では、溶媒を変更する事も可能である。チタニア被覆銀を含有する組成物を遠心分離、ろ過膜等を行う事に依り、反応液から水分を除去し、有機溶媒に置換しても良い。
(1-4)チタニア被覆銀組成物
本発明のチタニア被覆銀組成物では、(A)チタニア被覆銀に含まれるTi化合物の平均一次粒径に対するAg化合物の平均一次粒径の比率(Ag化合物の平均一次粒子径/Ti化合物の平均一次粒子径)は、好ましくは、2~100である。
チタニア被覆銀組成物中、(A)チタニア被覆銀に含まれるTi化合物は、好ましくは、含有量が0.01質量%~5質量%である。
チタニア被覆銀組成物中、(B)Si化合物は、好ましくは、含有量が0.01質量%~20質量%である。
(1-5)抗菌抗ウイルスコーティング液(分散液)、塗料、及び塗膜
本発明のチタニア被覆銀組成物では、Ti化合物(チタニア粒子)は、微細なチタニア表面に有機物を付与する事で、チタニア粒子の分散性を向上させる事が出来る。Ti化合物(チタニア粒子)とバインダーの原料となるアルコキシシラン(Si化合物)とを混合し、両者の共存化で、高分散性を維持したまま、加水分解反応を行い、チタニア粒子複合バインダーを作製する事が出来る。
本発明のチタニア被覆銀組成物は、チタニアの凝集を改善する事が出来、塗料の溶媒安定性、及び塗膜の密着性を大きく改善する事が出来る。本発明のチタニア被覆銀組成物は、分散性が良い結果、コーティングの耐クラック性に優れる。本発明のチタニア被覆銀組成物は、緻密なチタニアのコーティングも可能に成り、塗布性、及び透明性にも優れる上に、可視光触媒活性にも優れる。
本発明のチタニア被覆銀組成物では、Ti化合物の含有量は、コーティングの容易さ、コーティングの膜性等の観点から、組成物中、好ましくは、0.01質量%~5質量%である。
本発明のチタニア被覆銀組成物では、Si化合物の含有量は、コーティングの容易さ、コーティングの膜性等の観点から、組成物中、好ましくは、0.01質量%~20質量%である。
本発明のチタニア被覆銀組成物では、Ti化合物とSi化合物との組成物中の含有比率は、コーティングの容易さ、コーティングの膜性等の観点から、好ましくは、Si化合物(1質量部)に対して、質量比で、Ti化合物が0.02~20(0.02質量部~20質量部)の割合で含まれ、より好ましくは、Ti化合物が0.1~1(0.1質量部~1質量部)の割合で含まれる。
本発明のチタニア被覆銀組成物(分散液)のpHは、添加する金属種や金属種の添加量に因って異なり、塗布性の観点から、好ましくは、1~5であり、より好ましくは、2~4である。
本発明は、本発明のチタニア被覆銀組成物を含む抗菌抗ウイルスコーティング液、本発明の抗菌抗ウイルスコーティング液を含む塗料を包含する。
本発明のチタニア被覆銀組成物から成る分散液は、用途に応じて、好ましくは、粘度を調整し、塗料とする。塗料の塗工に、スピンコート、ディップコート、スプレー等に用いる場合、好ましくは、低粘度に調整する。塗料の塗工に、刷毛塗り、スキージ法等に用いる場合、好ましくは、それより粘度を高く調整する。塗料の塗工に、スクリーン印刷に用いる場合、好ましくは、更に粘度を高く調整し、流動性を抑制する。
本発明の抗菌抗ウイルスコーティング液を含む塗料に依り形成された塗膜は、緻密なコーティングを可能とする。
本発明は、本発明の抗菌抗ウイルスコーティング液を含む塗料に依り形成された抗菌抗ウイルスコーティング膜(塗膜)を包含する。
塗膜を備える塗装製品は、特に制限されず、例えば、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、各種レンズ、構造部材、住宅等建築設備、調理器具、繊維製品、家具、ディスプレイ、ディスプレイ保護フィルム、水回り部材、車両用照明灯のカバー及び窓ガラス、機械装置、又は物品の外装、防塵カバー及び塗装、表示機器、そのカバー、交通標識、各種表示装置、広告塔等の表示物、道路用及び鉄道用等の遮音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー等外部で用いられる電子、電気機器の外装部、特に透明部材、ビニールハウス、温室等の外装等である。
[2]チタニア被覆銀組成物の製造方法
本発明のチタニア被覆銀組成物の製造方法は、
(1)溶媒中、Ti化合物を合成し、前記Ti化合物に有機鎖を付与する工程、
(2)工程(1)の後、チタニア被覆銀を作製する工程、及び
(3)工程(2)の後、溶媒中で、有機鎖が結合しているチタニア被覆銀と、Si化合物とを混合し、Si化合物を加水分解させる工程を含む。
本発明のチタニア被覆銀組成物の製造方法は、好ましくは、
(4)工程(3)の後、高圧分散処理を行い、チタニア被覆銀を含む分散液を分散処理を行う工程を含む。
チタニア被覆銀は、銀(Ag)微粒子の表面の一部が、チタニアで被覆されているものである。
(2-1)(1)溶媒中、Ti化合物を合成し、前記Ti化合物に有機鎖を付与する工程
本発明の製造方法では、先ず、微細なチタニア表面に有機物を付与する事で、チタニア粒子の分散性を向上させる。
工程(1)では、溶媒中で、Ti化合物の表面に有機鎖を結合させる。
Ti化合物(チタンを含む物質)は、好ましくは、加熱に依り酸化チタンと成る物質である。チタンを含む物質は、好ましくは、酸化チタン、及び/又は酸化チタン前駆体でありより好ましくは、酸化チタン;水酸化チタン;チタンアルコキシド;三塩化チタン、四塩化チタン等のハロゲン化チタン(特に、塩基で中和したもの);金属チタン等を用いる。
チタンを含む物質は、得られるチタニアの分散性、塗布性、及び可視光触媒性の観点から、好ましくは、チタンアルコキシド、水酸化チタン、ハロゲン化チタン(特に、塩基で中和したもの)である。チタンを含む物質は、純度、分散性、塗布性、透明性、及び可視光触媒性の観点から、より好ましくは、チタンアルコキシドである。
チタンアルコキシドは、好ましくは、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn-ブトキシド、チタンテトラn-プロポキシド、チタンテトラエトキシド等である。チタンアルコキシドは、コスト、副生成物の水溶性、塗布性及び可視光触媒性の観点から、より好ましくは、チタンテトライソプロポキシドである。
Ti化合物は、前記Ti化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて良く、これらのTi化合物を1種単独で用いても良く、或は目的に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
Ti化合物の平均粒子径は、好ましくは、100nm以下であり、より好ましくは、50nm以下せある。チタンを含む物質の平均粒子径の下限値は、特に設定されず、好ましくは、1nm程度である。粒径が大きい場合は、好ましくは、遊星ボールミル、ペイントシェーカー等を用いて乾式、又は湿式で、粉砕して用いる。
Ti化合物(酸化チタン、金属チタン等の固体)の平均粒子径は、電子顕微鏡(TEM)観察に依り、測定する。
分散液中のTi化合物の濃度は、生産性、反応液の粘度、塗布性、透明性及び可視光触媒性の観点から、好ましくは、0.01mol/L~5mol/Lであり、より好ましくは、0.05mol/L~3mol/Lである。
反応に使用する酸は、有機酸であり、揮発性のある酸が好ましい事から、好ましくは、化学式CnH2n+1COOH(n=0~3)で示されるモノカルボン酸(炭素数1~4のモノカルボン酸)、炭素数2~3のヒドロキシカルボン酸等を用いる。
モノカルボン酸は、揮発性、有害性及び分解性の観点から、好ましくは、n=0のギ酸、及びn=1の酢酸である。
ヒドロキシカルボン酸は、好ましくは、グリコール酸、乳酸等であり、水溶性、及び臭気の観点から、より好ましくは、酢酸、グリコール酸、乳酸等である。
有機酸は、前記有機酸から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて良く、これらの有機酸を1種単独で用いても良く、或は目的に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
有機酸の使用量は、分散性、塗布性、透明性、可視光触媒性及びコストの観点から、Ti化合物中のチタン1モルに対して、好ましくは、アシルオキシ基のモル数が1.5モル以上、特に好ましくは、2モル以上と成る様に調整する。有機酸の使用量は、有機酸を多く用いる程経時安定性、塗布性、透明性等を向上させる事が出来る。有機酸の使用量の上限値は、特に制限されず、Ti化合物中のチタン1モルに対して、好ましくは、アシルオキシ基のモル数が10モル以下と成る様に調整する。
分散液中の有機酸の濃度は、分散性、塗布性、透明性、可視光触媒性及びコストの観点から、好ましくは、0.02mol/L~10mol/Lであり、より好ましくは、0.1mol/L~7mol/Lである。
反応溶媒は、好ましくは、水等の水性溶媒を主成分(好ましくは、50質量%以上)として用いる。反応溶媒は、反応時にアルコール、又はエステルを含んでいても良い。
反応溶媒は、チタンテトライソプロポキシドを原料として用いた場合、有機酸との反応に依り、イソプロピルアルコールが生じる。加熱に依り、有機酸のイソプロピルエステルが生じる事が有る。分散液中には、アルコール、又はエステルを投入しても良いし、系中で発生していても良い。アルコール、又はエステルは、100℃以下の開放系における加熱に依り除去しても良いし、減圧に依り除去しても良いし、反応液中に残留していても良い。
分散液中にアルコールが含まれる場合、得られるTi化合物(チタニアナノ粒子)の平均粒子径が小さくなる傾向に有り、平均粒子径を制御する為に、意図的にアルコールを添加しても良い。
分散液のpHは、装置の腐食や取扱いの安全性、分散性等の観点から、好ましくは、2以上、6未満であり、より好ましくは、2.1~5である。
分散液の作製方法は、特に制限されず、Ti化合物、有機酸及び水(溶媒)を同時に混合しても良いし、逐次混合しても良い。量産スケールにおいては、凝集して大きな塊を形成し難く、攪拌を継続し易い観点から、好ましくは、有機酸、及び水(溶媒)を混合した後に、攪拌しながらチタンを含む物質を投入する。ラボスケールにおいては、好ましくは、チタンを含む物質、及び有機酸を混合した後に、攪拌しながら水を投入する。
(2-2)(2)工程(1)の後、チタニア被覆銀を作製する工程
チタニア被覆銀を作製する為に、Ti化合物と銀化合物とを複合化した状態で、紫外光を照射する事で達成される。
高圧分散法(加圧処理)
Ti化合物(チタニア化合物)は、粒子同士の衝突によって高圧を生じ分散させる分散装置を用いて分散処理を行うことが望ましい。例えば、ジェットミル等で可能であり、此れに依り、チタニア粒子を液中で高分散させる事が出来るため、チタニアを部分被覆する事が可能に成る。
Ti化合物(好ましくは、チタニア微粒子)を含む分散液に対して、30MPa以上の加圧処理を行う(高圧分散法)。
加圧処理を施す事に依り、Ti化合物の微粒化が起こる。
加圧処理を施す際の加圧レベルは、Ti化合物の微粒化を十分に行う事が出来るものであれば、特に制限されない。加圧レベルは、好ましくは、30MPa以上に調整し、より好ましくは、50MPa~400MPaに調整し、更に好ましくは、100MPa~300MPaに調整する。加圧処理は、好ましくは、高圧分散装置を用いて行う。高圧分散装置は、力学的な圧力を掛ける事に依り、Ti化合物を分散する事が出来る。
加圧に依り、例えば、
(i)2個以上のTi化合物の分散体同士を衝突させる事、
(ii)Ti化合物の料分散体と金属又はセラミックス材料(炭化ケイ素、アルミナ等高硬度の材料)とを衝突させる事、
(iii)Ti化合物の分散体を断面積1cm2以下の空間を通過させる事
等の処理を行う。
加圧に依り、加圧条件をより強くする事が可能であり、Ti化合物の微粒化をより効率良く行う事が出来、処理時間をより低減する事が出来る。
加圧操作は、好ましくは、1回以上行い、より好ましくは、10回以上行う。
加圧温度は、特に制限されない。加圧温度は、層状構造を有する炭素質材料の薄片化を十分に行う事が出来る温度に調整する。(i)、及び(ii)の加圧温度は、好ましくは、0℃~100℃に調整し、より好ましくは、20℃~95℃に調整する。(iii)の加圧温度は、力学的に圧力を掛ける場合、好ましくは、0℃~100℃に調整する。(iii)の加圧温度は、水の超臨界状態に依り圧力を生み出す場合、好ましくは、373℃~700℃に調整し、より好ましくは、380℃~450℃に調整する。
加圧処理を行う際、好ましくは、予備処理(前処理)として、Ti化合物を含む分散液に対して、超音波分散処理を行い、Ti化合物の微粒化を行っておく。此れに依り、高圧分散装置、超臨界水作製装置等において、目詰まり防止等の効果を有し得る。
超音波分散処理を施す際の出力は、特に制限されない。超音波分散処理を施す際の出力は、Ti化合物の微粒化の観点から、好ましくは、通常行われる超音波分散処理(40W~50W程度)よりも、強力なものに調整する。超音波分散処理の出力は、好ましくは、100W以上に調整し、より好ましくは、300W~20,000Wに調整し、更に好ましくは、400W~18,000Wに調整する。
超音波分散温度は、特に制限されない。超音波分散温度は、好ましくは、Ti化合物の微粒化を十分に行う事が出来る温度に調整する。超音波分散温度は、好ましくは、0℃~80℃に調整し、より好ましくは、10℃~70℃に調整する。
超音波分散時間は、特に制限されない。超音波分散時間は、好ましくは、Ti化合物の微粒化を十分に行う事が出来る時間に調整する。超音波分散時間は、好ましくは、1分~600分に調整し、より好ましくは、3分~120分に調整する。
これらの処理の前処理、又は後処理として、通常の機械的撹拌、乳化装置に依る分散処理、ビーズミルに依る分散処理等の他の分散装置による分散処理を併用しても良い。
紫外光照射
紫外光照射は、銀のTi化合物(チタニアナノ粒子)への担持させ易さ、可視光触媒活性、反応速度、生産性、アスペクト比の制御性、低強度紫外線照射時の耐変色性、高強度紫外線照射時の視認性、及び紫外線停止環境での再透明化等の観点から、好ましくは、室温(20℃)未満で行い、より好ましくは、15℃以下で行う。紫外光照射の温度の下限値は、特に制限されず、常圧で反応する場合、好ましくは、0℃である。紫外光照射の際には、分散液と、銀塩とを十分に反応させる観点から、好ましくは、撹拌する。攪拌の方法は、特に制限されず、常法に従う事が出来る。
紫外光照射の反応時間は、好ましくは、1.5時間以上であり、より好ましくは、1.5時間~36時間の範囲とする。反応時間を、1.5時間以上に調整する事に依り、良好に、銀ナノ粒子の周りに、無機酸化物微粒子が担持され、銀ナノ粒子のゲル化が発生しない。反応時間を、36時間以内に調整する事に依り、銀ナノ粒子の粒子径が調整されて、銀ナノ粒子の沈殿が発生しない。
紫外光の波長は、担持させ易さ、反応速度、反応の制御性生産性の観点から、好ましくは、280nm~500nmの波長を含む紫外線照射装置を用いる。紫外光の波長を、波長範囲を280nm以上に調整する事に依り、チタニア被覆銀の分散安定性は良好である。紫外光の波長を、波長範囲を500nm以下に調整する事に依り、良好に、銀が還元され、良好に、銀ナノ粒子が生成される。
本発明の組成物では、好ましくは、更に、銀、銅、及び白金から成る群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する。
銀化合物として銀塩を使用する場合、銀塩は、好ましくは、水溶液が酸性、又は中性の銀塩である。銀塩は、好ましくは、塩化銀(I)、硝酸銀(I)、有機酸銀(乳酸銀(I)、酢酸銀(I)、クエン酸銀(I)、ミリスチン酸銀(I)等)、硫化銀(I)、酸化銀(I)、リン酸銀(I)、炭酸銀(I)、臭化銀(I)、ヨウ化銀(I)等を用いる。銀塩は、前記銀塩から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて良く、これらの銀塩を1種単独で用いても良く、或は目的に応じて2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
銀塩の使用量は、分散性、透明性、抗微生物活性(抗菌活性、及び抗ウイルス活性)、Ti化合物(チタニアナノ粒子)の安定性等の観点から、銀塩中の銀元素の質量に換算して、好ましくは、Ti化合物(チタニアナノ粒子)中の酸化チタンに対して、50質量%以下であり、より好ましくは、0.01質量%~40質量%であり、更に好ましくは、0.01質量%~25質量%である。銀塩の使用量を、この範囲に調整する事に依り、塗布性、及び透明性を維持し易く、暗所での抗菌活性、及び抗ウイルス活性、並びに光触媒活性を、特に向上させる事が出来る。
常法に依り、チタニア被覆銀を、沈殿、及び遠心分離する事等に依り、チタニア被覆銀を回収する事が出来る。有機鎖が表面に存在するチタン原子に結合し、(A)チタニア被覆銀は、銀微粒子(担体)の周囲に、チタニア化合物が担持された構造、或は、銀微粒子(担体)の周囲をチタニアが被覆する構造である。
(2-3)(3)工程(2)の後、溶媒中で、有機鎖が結合しているチタニア被覆銀と、Si化合物とを混合し、Si化合物を加水分解させる工程
工程(3)では、溶媒中で、有機鎖が結合しているチタニア被覆銀と、Si化合物とを混合し、Si化合物を加水分解させる(コーティング液の作製)。
本発明の製造方法では、次に、チタニア粒子とバインダーの原料となるアルコキシシランとを混合し、両者の共存化で、高分散性を維持したまま、加水分解反応を行い、チタニア粒子複合バインダーを作製する。
加水分解は、好ましくは、溶媒が揮発しない様に、蓋をして、分散液を、65℃程度の温度で、15時間程度保持する。
加水分解は、好ましくは、常圧下に行い、或は、密閉容器内で加圧下に行う。
分散液のpHは、装置の腐食や取扱いの安全性、分散性等の観点から、好ましくは、2以上、6未満であり、より好ましくは、2.1~5である。
チタニア被覆銀中のTi化合物(チタニア)表面に結合している有機物(アセチル基、アセトキシ基等)とSi化合物(TEOS等のアルキルシラン)とが反応し、Si化合物の加水分解が進行する事で(アルキルシランの加水分解物)、透明なコーティング液が得られる。
(2-4)(4)工程(3)の後、高圧分散処理を行い、チタニア被覆銀を含む分散液を分散処理を行う工程
コーティング液は、好ましくは、高圧分散処理を行い(高圧分散法)、透明な分散液を得る事が出来る。
本発明の製造方法は、新しいプロセスに依って、チタニア粒子を含む組成物を作製する事に依り、従来、課題であったチタニアの凝集を改善する事が出来、溶媒安定性、及び密着性を大きく改善する事が出来る。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。
本発明は、以下の具体的な実施例に限定されない。
[1]チタニア被覆銀を含有する組成物の製造
[実施例1]
(工程1)光触媒酸化チタンの調整方法
チタンテトライソプロポキシド70gに、酢酸30gを加え攪拌し、次いで、水を全量が400gに成る様に加え、次いで、90分間、攪拌した。次いで、その後、95℃に加熱し、ホットスターラーにて、9時間、攪拌後、均一なチタニアゾルを得た。得られたゾルに、超音波分散を、30分間、行う事で、透明なチタニアゾルを得た。
得られたチタニアゾルのTG-DTAを、空気雰囲気下3℃/分の昇温条件で、600℃迄昇温させて測定した処、200℃以上での質量減少率は10質量%であった。この200℃以上での質量減少率は、チタニア表面に結合している酢酸由来の有機物である。得られたチタニアゾルの濃度を調整する為、チタニアゾルを水で希釈し、TiO2濃度換算で2質量%(wt%)のチタニアゾルを得た。
(工程2)分散処理(高圧分散法(加圧処理))
粒子同士の衝突に依って高圧を生じ分散させる分散装置を用いて、得られたチタニアゾルの分散処理を行った。例えば、ジェットミル等を用いる事で、分散処理を行う事が可能である。分散処理を行う事で、良好に分散しているチタニアゾルを得た。
(工程3)金属イオンとの複合化
前記作製したTiO2濃度換算で2質量%のチタニアゾルに、重量比換算でAg/TiO2=0.01に成る様に硝酸銀を添加し、全体が均一に成る迄、よく攪拌を行った。次いで、チタニアゾルに、紫外光ランプを、24時間、照射し、硝酸銀を還元し、銀複合チタニアゾルを得た。
(工程4)コーティング液の作製
前記作製した2質量%の銀複合チタニアゾル75gに、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)6g、及び1-プロパノール669gを添加した。その後、反応液の溶媒が揮発しない様、反応器に蓋をして、60℃で12時間保持した。チタニア表面に結合している有機物と、オルトケイ酸テトラエチルとが反応し、オルトケイ酸テトラエチルの加水分解が進行する事で、透明なコーティング液を得た。
得られた液を、高圧分散処理を行い(高圧分散法)、透明な分散液を得た。
[実施例2]
実施例2は、実施例1の工程1において、ホットースターラーの加熱時間を16時間に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例3]
実施例3は、実施例1の工程1において、ホットースターラーの加熱時間を24時間に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例4]
実施例4は、実施例1の工程1において、ホットースターラーの加熱時間を24時間に変更し、次いで、チタニアゾルに対して、紫外光ランプで48時間、照射した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例5]
実施例5は、実施例1の工程1において、チタニアゾルに対して、紫外光ランプで60時間、照射した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例6]
実施例6は、実施例1の工程1において、ホットースターラーの加熱時間を24時間に変更し、次いで、チタニアゾルに対して、紫外光ランプ120時間、照射した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例7]
実施例7は、実施例1の工程4において、Si化合物としてトリメトキシシランを使用した事に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例8]
実施例8は、実施例1の工程3において、TiO2濃度換算で2質量%のチタニアゾルに、重量比換算でAg/TiO2=0.005に成る様に硝酸銀を添加し、全体が均一に成る迄、よく攪拌を行った事に変更した事以外、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例9]
実施例9は、実施例1の工程3において、TiO2濃度換算で2質量%のチタニアゾルに、重量比換算でAg/TiO2=0.001に成る様に硝酸銀を添加し、全体が均一に成る迄、よく攪拌を行った事に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例10]
実施例10は、実施例1の工程3において、TiO2濃度換算で2質量%のチタニアゾルに、重量比換算でAg/TiO2=0.1に成る様に硝酸銀を添加し、全体が均一に成る迄、よく攪拌を行った事に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例11]
実施例11は、実施例1の工程3において、TiO2濃度換算で2質量%のチタニアゾルに、重量比換算でAg/TiO2=0.0001に成る様に硝酸銀を添加し、全体が均一に成る迄、よく攪拌を行った事に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例12]
実施例12は、実施例1の工程4において、2質量%の銀複合チタニアゾル3.75gに、オルトケイ酸テトラエチル6g、及び1-プロパノール740.25gを添加した事に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例13]
実施例13は、実施例1の工程4において、2質量%の銀複合チタニアゾル562.5gに、オルトケイ酸テトラエチル6g、及び1-プロパノール181.5gを添加した事に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例14]
実施例14は、実施例1の工程4において、2質量%の銀複合チタニアゾルに75.0g、オルトケイ酸テトラエチル0.075g、及び1-プロパノール674.93gを添加した事に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[実施例15]
実施例15は、実施例1の工程4において、2質量%の銀複合チタニアゾル75gに、オルトケイ酸テトラエチル150g、及び1-プロパノール525gを添加した事に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[比較例1]
比較例1は、実施例1において、富士ケミカル株式会社製抗菌剤バクテキラー粉体を、蒸留水で2.0質量%に調整し、銀担持の酸化物スラリーを得て、次いで、前記作製した2質量%の銀担持の酸化物スラリー75gに、オルトケイ酸テトラエチル6g、及び1-プロパノール669gを添加した事に変更した事以外は、実施例1と同様のプロセスで、コーティング液を作製した。
[比較例2]
比較例2は、容器中で、エタノール51g、純水30g、三菱化学社製MKCシリケートMS51: 1.1g、アルミキレートD(エタノール希釈:固形分濃度1wt%)45g、日本エマルジョン社製エマレックス715: 18g、及びジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム3gを加えて、混合した。
その後、平均粒径を1,000nmに制御した富士ケミカル製銀担持ガラスバグテライト(固形分濃度50wt%)0.66gを加えて、60分間攪拌し、抗菌液を得た。
[比較例3]
比較例3は、容器中で、エタノール51g、純水30g、三菱化学社製MKCシリケートMS51: 1.1g、アルミキレートD(エタノール希釈:固形分濃度1wt%)4.5g、日本エマルジョン社製エマレックス715: 18g、及びジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム3gを加えて、混合した。
その後、平均粒径を50nmに制御した富士ケミカル製銀担持ガラスバグテライト(固形分濃度50wt%)1.3gを加えて、60分間攪拌し、抗菌液を得た。
[2]チタニア被覆銀を含有する組成物の評価
得られた実施例及び比較例のコーティング組成物に関して、下記評価を行った。
(1)分散液の透明性
コーティング組成物(分散液)の透明性を、透過率を紫外・可視分光測定装置(島津製作所UV3400)により測定した。透過率、は400nm~800nmの波長領域の中で、最も高い透過率の値、をその組成物の透過率とする。
分散液の判定基準は、以下の通りである。
◎:分散液は、最も高い透過率が80%以上である。
〇:分散液は、最も高い透過率が50%以上である。
△:分散液は、最も高い透過率が20%以上である。
×:分散液は、最も高い透過率が20%未満である。
(2)分散液の分散性(安定性)
コーティング組成物(分散液)を、60℃で、480時間、静置した。静置後の分散液を、目視で確認し、分散安定性を評価した。
分散液の判定基準は、下記の通りである。
◎:分散液に、沈殿、ゲル化等が見られない。
〇:分散液に、分離が見られるが、手で攪拌する事で、容易に分散する。
△:分散液に、分離が見られるが、超音波等の外力を加える事で、再分散する。
×:分散液に、沈殿、ゲル化が生じており、再分散しない。
(3)塗膜(分散液)の密着性
コーティング組成物(分散液)を用いて、スピンコート法に依り、基材に塗膜を作製した。スピンコートの条件は、2,000rpm、60秒で実施した。その後、指触で、密着性を確認後、JIS K 5600_5_6クロスカット試験の試験方法に則り、塗膜の密着性を評価した。
塗膜の判定基準は、下記の通りである。
◎:塗膜は、基材に対する剥がれが5%以下である。
〇:塗膜は、基材に対する剥がれが20%以下である。
△:塗膜は、基材に対する剥がれが50%以下である。
×:塗膜は、基材に対する剥がれが、50%より大きい、或は指触の際に剥がれ落ちる。
(4)抗ウイルス性試験
コーティング組成物(分散液)を、乾燥後、Qβファージ(ノンエンベロープウイルス)を用いて、ISO 21702に準じて、暗所下での抗ウイルス性試験を行った。
分散液の抗ウイルス性の判定基準は、下記の通りである。
◎:分散液は、抗ウイルス活性値が2以上である。
×:分散液は、抗ウイルス活性値が2未満である。
実施例、及び比較例の結果を下記表をに記す。
Figure 0007574486000001
Figure 0007574486000002
Figure 0007574486000003
実施例1~15では、分散液の透明性、分散液の分散安定性、塗膜の密着性、分散液の光触媒活性、分散液の抗ウイルス性等に優れたコーティング組成物(撥水性塗料)を得る事が出来た。
比較例1では、コーティング組成物(分散液)は、沈殿が生じ、静置後、赤褐色に変色し、ゲル化していた。
[産業上の利用可能性]
本発明は、銀粒子の周囲にチタニアが担持された構造であり、つまり、銀粒子の周囲をチタニアが被覆する構造である。本発明のチタニア被覆銀を含有する組成物は、微細なチタニア被覆銀の粒子の複合体を含み、透明度が高く、且つ銀の凝集が少なく、安定して、抗ウイルス性を発揮する事が出来る材料である。
本発明のチタニア被覆銀を含有する組成物は、チタニア被覆銀を、バインダーと混合する事に依り、基材に対する密着性を向上させる事を可能とする。本発明のチタニア被覆銀を含有する組成物は、チタニア被覆銀と共存化で、アルコキシシランの加水分解を行う事により、透明性、基材に対する密着性、耐久性、抗菌抗ウイルス性(抗菌剤)、長期安定性等を兼ね備える材料である。

Claims (12)

  1. チタニア被覆銀組成物であって、
    (A)チタニア被覆銀と、
    (B)Si化合物と、
    (C)溶媒と
    を含有し、
    前記チタニア被覆銀組成物中に含まれる銀は、銀がチタニア化合物中の酸化チタンに対して、0.01質量%~25質量%であり、
    前記(A)チタニア被覆銀に含まれるチタニア化合物の平均一次粒径に対する銀(Ag)微粒子の平均一次粒径の比率(銀(Ag)微粒子の平均一次粒子径/チタニア化合物の平均一次粒子径)は、2~100であり、
    前記(A)チタニア被覆銀は、銀(Ag)微粒子の表面の1表面%~99表面%が、チタニア化合物で被覆されており、
    前記(B)Si化合物は、アルコキシシランの加水分解生成物である、
    チタニア被覆銀組成物。
  2. 前記チタニア化合物は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子に、アセチル基、及びアセトキシ基から成る群から選ばれる少なくとも1種の有機物が結合している、請求項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
  3. 前記(A)チタニア被覆銀に含まれるチタニア化合物は、チタニア化合物を示唆熱熱重量同時測定装置に依って600℃迄昇温させた場合、200℃以上における質量減少が1質量%以上である、請求項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
  4. 前記(A)チタニア被覆銀に含まれるチタニア化合物は、平均一次粒径が1nm~20nmである、請求項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
  5. 前記(A)チタニア被覆銀に含まれる銀(Ag)微粒子は、平均一次粒径が1nm~2,000nmである、請求項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
  6. チタニア被覆銀組成物中、前記(A)チタニア被覆銀に含まれるチタニア化合物は、含有量が0.01質量%~5質量%である、請求項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
  7. チタニア被覆銀組成物中、前記(B)Si化合物は、含有量が0.01質量%~20質量%である、請求項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
  8. 前記(C)溶媒は、水、及びアルコールを含む、請求項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
  9. 前記(B)Si化合物は、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の加水分解生成物である、請求項1に記載のチタニア被覆銀組成物。
  10. 請求項1~9の何れかに記載のチタニア被覆銀組成物を含む、抗菌抗ウイルスコーティング液。
  11. チタニア被覆銀組成物の製造方法であって、
    (1)溶媒中、チタニア化合物の表面に、有機鎖を結合させる工程、
    (2)工程(1)の後、チタニア化合物と銀化合物とを複合化して、銀(Ag)微粒子の周囲をチタニア化合物が被覆するチタニア被覆銀を作製する工程、及び
    (3)工程(2)の後、溶媒中で、前記有機鎖が結合しているチタニア被覆銀と、Si化合物とを混合し、前記チタニア化合物の表面に結合している有機物と前記Si化合物とを反応させて、Si化合物を加水分解させる工程
    を含み、
    前記工程(1)において、前記有機鎖は、アセチル基、及びアセトキシ基から成る群から選ばれる少なくとも1種の有機鎖であり、
    前記工程(2)において、銀化合物として銀塩を使用し、前記銀塩の使用量は、当該銀塩中の銀元素の質量に換算して、チタニア化合物中の酸化チタンに対して、0.01質量%~25質量%であり、
    前記工程(3)において、前記Si化合物は、アルコキシシランであり、
    前記チタニア被覆銀に含まれるチタニア化合物の平均一次粒径に対する銀(Ag)微粒子の平均一次粒径の比率(銀(Ag)微粒子の平均一次粒子径/チタニア化合物の平均一次粒子径)は、2~100であり、
    前記チタニア被覆銀は、銀(Ag)微粒子の表面の1表面%~99表面%が、チタニア化合物で被覆されている、
    チタニア被覆銀組成物の製造方法。
  12. 更に、
    (4)工程(3)の後、高圧分散処理を行い、チタニア被覆銀を含む分散液を分散処理を行う工程を含む、請求項11に記載のチタニア被覆銀組成物の製造方法。
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