以下、添付図面を参照して、本願の開示する異物除去装置、異物除去方法および剥離装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
<異物除去装置の全体構成>
まず、第1の実施形態に係る異物除去装置の全体構成について図1および図2を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る異物除去装置の構成を示す模式側面図である。また、図2は、第1の実施形態に係る異物除去装置の構成を示す模式平面図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示す異物除去装置70は、半導体基板(以下、単に「基板」と記載する)を吸着保持する吸着保持部80の保持面に付着した異物を検出して除去する。
吸着保持部80は、例えばポーラスチャックであり、本体部81と、支柱部材82と、回転機構83とを備える。
本体部81は、吸着パッド81aを備える。吸着パッド81aは、基板と同一または僅かに大きい径を有し、基板の下面の略全面に接触する。吸着パッド81aは、例えば炭化ケイ素や多孔質セラミック、多孔質テフロン(登録商標)等の多孔質体で形成される。
本体部81の内部には、吸着パッド81aを介して外部と連通する吸引空間81bが形成される。吸引空間81bは、吸気管84を介して真空ポンプなどの吸気装置85と接続される。かかる吸着保持部80は、吸気装置85の吸気によって発生する負圧を利用し、基板を吸着パッド81aに吸着させる。
支柱部材82は、鉛直方向に延在する部材であり、先端部において本体部81を支持する。回転機構83は、支柱部材82を鉛直軸回りに回転させる。これにより、支柱部材82に支持された本体部81が一体的に回転する。
異物除去装置70は、吸着パッド81a上の異物を検出する検出部71と、吸着パッド81a上の異物を除去する除去部72とを備える。
図2に示すように、除去部72は、噴出部721と、吸引部722とを備える。噴出部721は、吸着保持部80の吸着パッド81aに対して噴出口723から流体を噴出する。また、吸引部722は、噴出部721に隣接して配置され、噴出部721から噴出された流体を吸引口724から吸引する。これら検出部71および除去部72の具体的な構成については、後述する。
また、異物除去装置70は、支持部材74と、移動機構75と、支柱部材76と、回転昇降機構77とを備える。支持部材74は、水平方向に沿って延在し、検出部71および除去部72を上方から支持する。
移動機構75は、例えば支持部材74の基端部に設けられ、支持部材74に設けられた図示しないレールに沿って検出部71および除去部72を直線移動させる。
支柱部材76は、鉛直方向に沿って延在し、先端部において移動機構75を支持する。回転昇降機構77は、支柱部材76を鉛直軸まわりに回転させる。また、回転昇降機構77は、支柱部材76を鉛直方向に沿って昇降させる。
異物除去装置70および吸着保持部80は、制御装置60に接続される。制御装置60は、例えばコンピュータであり、制御部61と記憶部62とを備える。記憶部62には、異物除去装置70や吸着保持部80において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部61は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部62に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって異物除去装置70および吸着保持部80の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置60の記憶部62にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、例えばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。なお、制御部61は、プログラムを用いずにハードウェアのみで構成されてもよい。
<検出部の構成>
次に、異物除去装置70が備える検出部71の構成について図3および図4を参照して説明する。図3は、検出部71の構成を示す模式側面図である。また、図4は、図3に示すH部の模式拡大図である。
図3に示すように、検出部71は、投光部711と、受光部712とを備える。検出部71は、投光部711および受光部712を吸着パッド81aの表面に対して所定の角度で傾斜させた状態で支持部材74(図1参照)に支持される。
投光部711は、吸着パッド81aの表面に対して斜め方向から光を照射する。投光部711としては、例えば、リング照明を用いることができる。リング照明としての投光部711は、受光部712が備えるレンズ712aの周囲に環状に配置された複数の発光素子を備える。このような投光部711を用いることにより、検出対象領域を均等に照明することができる。
また、受光部712は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラである。かかる受光部712は、レンズ712aの光軸が吸着パッド81aに対して所定の角度で傾斜した状態で支持されており、吸着パッド81aへ照射された光の反射光を吸着パッド81aに対して斜め方向から受光することによって、吸着パッド81a上の対象領域を撮像する。受光部712によって撮像された画像は、制御部61へ出力される。そして、制御部61は、受光部712から取得した撮像画像に基づいて吸着パッド81a上に存在する異物を検出する。
ここで、図4に示すように、吸着パッド81aは、多孔質体であるため、多数の空隙Vを有する。したがって、吸着パッド81aに対して垂直な方向から光を照射すると、空隙Vによって光が乱反射してしまい、画像解析時のノイズとなりやすい。また、吸着パッド81aに対して垂直な方向から撮像した場合、異物Pが平面的に撮像されるため、異物Pであるのか吸着パッド81aの多孔質構造であるのかの判別が難しい。このように、吸着パッド81aに対して垂直な方向からの照影および撮像では、多孔質体である吸着パッド81a上に存在する異物Pを精度良く検出することが困難である。
これに対し、第1の実施形態に係る検出部71は、吸着パッド81aに対して斜め方向から光を照射することとしたため、空隙Vによる乱反射を低減することができる。また、第1の実施形態に係る検出部71は、吸着パッド81aに対して斜め方向から撮像することとしたため、吸着パッド81a上に所定の高さ寸法をもって存在する異物Pを吸着パッド81aの多孔質構造と判別しやすくなる。
したがって、第1の実施形態に係る検出部71によれば、多孔質体である吸着パッド81a上に存在する異物Pを精度良く検出することができる。なお、投光部711および受光部712の吸着パッド81aに対する傾斜角度は、45度以下であることが好ましい。
<除去部の構成>
次に、除去部72の構成について図5を参照して説明する。図5は、除去部72の構成を示す模式断面図である。図5に示すように、除去部72は、吸着パッド81aに対して流体を噴出する噴出部721と、噴出部721から噴出された流体を吸引する吸引部722とを備える。
ここで、吸着パッド81aから異物Pを除去する方法としては、吸引力を用いて異物Pを吸い取る方法が考えられるが、異物Pの付着力が強い場合に除去が困難である。また、気体を噴射して異物Pを吹き飛ばす方法も考えられるが、異物Pを周囲に吹き飛ばすことで周囲が汚染されたり、吸着パッド81aに再付着したりするおそれがあり、いずれも除去効率が高いとは言えなかった。
そこで、第1の実施形態に係る除去部72は、噴出部721から噴出される流体の力と、吸引部722による吸引力との相乗効果によって、吸着パッド81a上の異物Pを除去することとした。
具体的には、第1の実施形態に係る除去部72は、噴出部721と吸引部722とを隣接して配置することとした。これにより、噴出部721から吸引部722へ至る流れを形成することができる。かかる流れにより、異物Pに対して側方から押す力と上方へ吸い上げる力とを同時に加えることができる。したがって、異物Pを吸着パッド81aから強力に引きはがすことができる。また、噴出部721のみでは、異物Pを周囲に吹き飛ばしてしまうおそれがあるが、吸引部722が異物Pを吸引することで、吸着パッド81aから除去された異物Pが周囲へ吹き飛ぶことを防止することもできる。
また、吸着パッド81aは多孔質であるため、噴出部721から噴出される流体が空隙Vに入り込み、異物Pの下側から吸引部722に向かう流れが形成される場合がある。この場合、異物Pをより強力に吸着パッド81aから除去することができる。
噴出部721の噴出口723および吸引部722の吸引口724は、除去部72の移動方向に沿って延在するスリット形状を有する(図2参照)。また、吸引口724の開口面積(スリット幅L1)は、噴出口723の開口面積(スリット幅L2)よりも大きく形成される。かかる構成とすることにより、噴出口723から噴出される流体の流速を上げつつ、吸引口724に異物Pが詰まることを抑えることができる。なお、噴出部721が噴出する流体の流量と吸引部722が吸引する流体の流量とは同一とする。
なお、異物Pの最大高さ寸法を300μmと想定した場合、吸引口724のスリット幅L1は例えば2mm程度に設定され、噴出口723のスリット幅L2は例えば0.5〜1mm程度に設定される。また、噴出口723と吸引口724との間隔L3は、例えば1mm程度に設定される。
また、噴出口723および吸引口724と吸着パッド81aとのギャップG1は、想定される異物Pの最大高さ寸法よりも大きいことが好ましい。異物Pの最大高さ寸法を300μmと想定した場合、ギャップG1は、例えば300μm〜2mm程度に設定される。なお、吸着パッド81aと検出部71とのギャップは、上記ギャップG1よりも大きく設定される。
なお、ここでは、噴出口723および吸引口724がスリット形状を有する場合の例を示したが、噴出口723および吸引口724は、必ずしもスリット形状であることを要しない。例えば、噴出口723および吸引口724は、連続する複数の穴で構成されてもよい。この場合、吸引口724として形成される穴の径は、異物Pの最大寸法よりも大きいことが好ましい。
次に、除去部72に接続される機器の構成について図6を参照して説明する。図6は、除去部72に接続される機器の構成を示す模式図である。
図6に示すように、噴出部721には流体供給管41が接続され、流体供給管41には、ドライエアやN2ガス等の気体を供給する気体供給源42と、気体供給源42から供給される気体をイオン化させるイオナイザー等の除電部43とが接続される。また、流体供給管41には開閉バルブ44や図示しない流量調整部が設けられる。
また、流体供給管41の中途部には分岐管45が接続され、分岐管45には、純水、アルコール、有機溶剤(例えばP−メンタン等の基板貼り合せ用の接着剤類)等の液体を供給する液体供給源46が接続される。また、分岐管45には開閉バルブ47や図示しない流量調整部が設けられる。
このように、噴出部721には、気体供給源42と液体供給源46とが接続されている。そして、噴出部721は、制御部61が開閉バルブ44,47や図示しない流量調整部を制御することにより、吸着パッド81aに対して気体または液体を選択的に噴出することができる。
固形で且つ付着力が弱い異物Pの場合、気体を用いて十分に除去が可能である。また、除電部43によって気体をイオン化されることにより、帯電した異物Pの除去効率を向上させることができる。
一方、付着力が強い異物Pの場合には、液体を用いることが好ましい。液体は気体より比重が高いため、異物Pへの横方向の流れに伴う除去力を大幅に増加させることができる。特に、多孔質体である吸着パッド81aの場合、吸着パッド81aに染み込む液体が異物Pの下面を覆うことで、吸引部722による吸引力を液体を介して異物Pに直接加えることができるため、異物Pの除去力を向上させることができる。また、アルコールやIPA等の揮発性の高い液体を用いれば、吸着パッド81aの即時の乾燥が可能となる。
吸引部722には吸引管51が接続され、吸引管51には、トラップタンク52が接続される。トラップタンク52には、排出管53が接続されており、排出管53には、開閉バルブ54が設けられる。また、トラップタンク52には吸引管55が接続され、吸引管55には、真空ポンプ等の吸引機構56が接続される。吸引部722は、上記のように構成されており、吸引部722によって吸引された異物Pや液体は、トラップタンク52に捕集され、排出管53から排出される。
<異物除去装置の具体的動作>
次に、異物除去装置70の具体的動作について図7を参照して説明する。図7は、異物除去装置70が実行する異物除去処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図7に示す各処理手順は、制御部61が異物除去装置70および吸着保持部80を制御することにより実行される。
図7に示すように、制御部61は、吸着保持部80の回転機構83を制御して、吸着保持部80の本体部81を回転させる(ステップS101)。つづいて、制御部61は、異物除去装置70の回転昇降機構77を制御して、検出部71および除去部72を吸着パッド81aの外周部に位置させる。また、制御部61は、吸着パッド81aから除去部72までの距離がギャップG1(図5参照)となるように、回転昇降機構77を制御して支持部材74の高さを調整する。そして、制御部61は、移動機構75を制御して、吸着パッド81aの外周部から中央部への検出部71および除去部72の移動(スキャン)を開始させる(ステップS102)。なお、検出部71は、ステップS102におけるスキャン方向において除去部72の前方側に配置される。
このように、吸着保持部80の本体部81を回転させつつ、検出部71および除去部72を吸着パッド81aの外周部から中央部へ向けて移動させることにより、異物Pの検出および除去を吸着パッド81aの全面で行うことができる。また、異物Pの検出と除去とを並行して行うことで、異物Pの検出および除去に要する処理時間を短縮することができる。
図2に示すように、除去部72は、噴出部721および吸引部722が、移動機構75による移動方向と直交する方向に並べて配置される。そして、除去部72は、吸着パッド81aの回転方向に対して吸引部722が噴出部721よりも前方側に配置される。かかる配置とすることにより、噴出部721から吸引部722へ向かう流れ(図2では、上方から下方へ向かう流れ)の力に、吸着パッド81aの回転力が加わるため、これらの力の相乗効果によって吸着パッド81a上の異物Pをより効果的に除去することができる。なお、ステップS101およびS102の処理は、同時に開始されてもよい。
つづいて、制御部61は、検出部71によってギャップG1(図5参照)以上の寸法を有する異物Pを検出したか否かを判定する(ステップS103)。そして、ギャップG1以上の寸法を有する異物Pを検出したと判定した場合(ステップS103,Yes)、制御部61は、移動機構75を制御して、検出部71および除去部72のスキャンを停止する(ステップS104)。これにより、除去部72が異物Pと衝突することを防止することができる。
なお、制御部61は、ギャップG1以上の寸法を有する異物Pを検出したと判定した場合に、除去部72を上昇させてもよい。これにより、除去部72と異物Pとの衝突を防止しつつ、かかる異物Pを除去部72で除去することができる。また、制御部61は、アラームを発生させてもよい。
一方、ギャップG1以上の寸法を有する異物Pを検出していない場合(ステップS103,No)、制御部61は、検出部71および除去部72が吸着パッド81aの中央部に到達したか否かを判定する(ステップS105)。この判定において、検出部71および除去部72が吸着パッド81aの中央部に到達していない場合(ステップS105,No)、制御部61は、検出部71および除去部72が吸着パッド81aの中央部に到達するまで、ステップS103〜S105の処理を繰り返す。
そして、制御部61は、検出部71および除去部72が吸着パッド81aの中央部に到達したと判定すると(ステップS105,Yes)、検出部71によって検出された吸着パッド81a全面における異物Pの検出結果を「初期異物情報」として取得し(ステップS106)、取得した初期異物情報を記憶部62に記憶する。
つづいて、制御部61は、移動機構75を制御して、検出部71および除去部72を吸着パッド81aの中央部から外周部へ向けて移動(バックスキャン)させる(ステップS107)。このように、異物除去装置70は、検出部71および除去部72を吸着パッド81aの外周部および中央部間を往復移動させることによって、往路および復路の両方において、異物Pの検出および除去を行う。
ここで、制御部61は、検出部71および除去部72を移動(スキャンおよびバックスキャン)させる場合に、吸着パッド81a上の位置に応じて検出部71および除去部72の移動速度を変更してもよい。具体的には、制御部61は、移動機構75を制御して、吸着保持部80の中央部における検出部71および除去部72の移動速度を吸着保持部80の外周部における移動速度よりも速くしてもよい。これにより、検出部71および除去部72が単位時間当たりに異物Pを検出および除去する範囲を均一にすることができ、異物除去処理に要する時間を短縮させることができる。
また、制御部61は、ステップS106において取得した初期異物情報に基づいて検出部71および除去部72の移動速度を変更してもよい。例えば、制御部61は、初期異物情報に基づき、吸着パッド81a上において異物Pが多く存在する領域ほど検出部71および除去部72の移動速度を遅くしてもよい。
なお、ここでは、検出部71および除去部72を往復移動させる場合の例を示したが、制御部61は、検出部71および除去部72を吸着パッド81aの中央部に配置させた後、吸着パッド81aの中央部から外周部への移動のみを行わせてもよい。また、制御部61は、検出部71および除去部72を吸着パッド81aの外周部の一端から他端へ向けて移動させるようにしてもよい。
上述したように、噴出部721の噴出口723および吸引部722の吸引口724は、除去部72の移動方向に沿って延在するスリット形状を有する(図2参照)。このため、ステップS102〜S107の処理に要する時間を短縮することができる。
つづいて、制御部61は、検出部71および除去部72が吸着パッド81aの外周部に到達すると、バックスキャン時における異物Pの検出結果を「除去後異物情報」として取得する(ステップS108)。そして、制御部61は、除去後異物情報に基づき、異物残渣が存在するか否かを判定する(ステップS109)。例えば、所定寸法以上の異物Pが吸着パッド81a上に残存している場合には、異物残渣が存在すると判定する。
そして、制御部61は、異物残渣が存在すると判定した場合(ステップS109,Yes)、処理をステップS102へ戻し、ステップS102〜S109の処理を繰り返す。
ここで、制御部61は、噴出部721から「気体」を噴出させながら初回の往復移動を行わせるとともに、ステップS109において異物残渣が存在すると判定された場合には、噴出部721から「液体」を噴出させながら2回目の往復移動を行わせてもよい。これにより、初回の往復移動において除去しきれなかった異物Pを気体よりも除去力の強い液体によって強力に除去することができる。
なお、検出部71および除去部72を往復移動させるに際し、制御部61は、噴出部721から吸着パッド81aに対し、往路においては気体を噴出させ、復路においては液体を噴出させてもよい。これにより、往路において除去しきれなかった異物Pを復路において気体よりも除去力の強い液体によって強力に除去することができる。
また、制御部61は、噴出部721から吸着パッド81aに対し、往路においては液体を噴出させ、復路においては気体を噴出させてもよい。このように、復路において気体を供給することで、往路において吸着パッド81a上に供給した液体を早期に乾燥させることができる。
ステップS109の判定において異物残渣が存在しない場合(ステップS109,No)またはステップS104の処理を終えた場合、制御部61は、回転機構83を制御して吸着保持部80の本体部81の回転を停止させ(ステップS110)、一連の異物除去処理を終了する。
上述してきたように、第1の実施形態に係る異物除去装置70は、検出部71と、除去部72と、移動機構75と備える。検出部71は、吸着保持部80が備える吸着パッド81aの表面に付着した異物Pを検出する。除去部72は、吸着パッド81aの表面に付着した異物Pを流体を用いて除去する。移動機構75は、検出部71および除去部72を移動させる。
また、第1の実施形態に係る除去部72(「異物除去装置」の一例に相当)は、噴出部721と、吸引部722とを備える。噴出部721は、吸着保持部80が備える吸着パッド81aの表面に対して流体を噴出する。吸引部722は、噴出部721に隣接して配置され、流体を吸引する。
また、第1の実施形態に係る検出部71(「異物検出装置」の一例に相当)は、投光部711と、受光部712とを備える。投光部711は、吸着保持部80が備える吸着パッド81aの表面に対して斜め方向から光を照射する。受光部712は、吸着パッド81aの表面へ照射された光の反射光を吸着パッド81aの表面に対して斜め方向から受光する。
したがって、第1の実施形態に係る異物検出装置70によれば、吸着パッド81aの表面に付着した異物Pを検出および除去することができ、これにより、異物Pの存在による基板の破損を未然に防止することができる。
また、第1の実施形態に係る異物検出装置70によれば、吸着保持部80の本体部81を回転させつつ、検出部71および除去部72を移動させることで、吸着パッド81a全面における異物Pの検出および除去を短時間で行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る異物検出方法について図8を参照して説明する。図8は、第2の実施形態に係る異物検出方法の説明図である。
図8に示すように、異物検出装置70は、吸着パッド81a上にフィルムFLを載置し、かかるフィルムFLを吸着パッド81aで吸着させた後、図7に示す異物除去処理を行ってもよい。
多孔質体である吸着パッド81aをフィルムFLで覆うことで、空隙Vによる光の乱反射を抑制することができる。
また、不定形である異物に対し、フィルムFLの上面は緩やかな曲面を呈する。これにより、投光部711によって斜めから照射される光に対する高反射領域が増大するため、撮像画像のコントラストを向上させることができ、異物Pの検出精度を高めることができる。
フィルムFLは、検出したい異物Pの大きさに応じて厚さや弾性率を選択することができる。例えば、吸着パッド81aの空隙Vよりも小さく、空隙Vに埋まり、基板に影響しない程度の大きさの異物Pの場合、フィルムFLの厚さを所定以上の厚さとしたり、フィルムFLの弾性率を所定以上としたりすることにより、異物PによるフィルムFLの盛り上がりをほぼゼロとすることができる。これにより、基板に影響しない程度の大きさの異物Pを検出部71による検出対象から除外することができる。
このようなフィルムFLとしては、例えば樹脂フィルムを用いることが好ましい。樹脂フィルムの材料は、金属汚染、低発塵、膜厚均一性が得られる材料であることが好ましい。例えば、ダイシングテープやバックグラインドテープ等の素材を選択可能である。
また、フィルムFLは、高反射コーティングが施されたものであることが好ましい。高反射コーティングが施されたフィルムFLを用いることで、撮像画像のコントラストをさらに向上させることができる。なお、かかるフィルムFLとしては、例えば、Si,Al,W等の金属被膜が表面に施されたものを用いることができる。金属被膜は、フィルムFLの変形に対して割れない程度の伸びを持ち、かつ、密着性が高いものを用いることが好ましい。
また、フィルムFLとしては、Al箔等の金属箔膜やSi単結晶膜等を用いることもできる。これらは、微細(例えば、10μm以下)の異物Pを検出したい場合に有効である。
フィルムFLは、ダイシングフレームに貼り付けることが好ましい。これにより、基板搬送装置を用いてフィルムFLを容易に搬送することができる。この場合、フィルムFLは、例えば吸着保持部80が収容される装置内に保管しておくことが好ましい。
なお、フィルムFLを用いる場合には、吸着パッド81aに対して垂直に光を当てた場合でも、異物Pの無い表面と、異物Pの有る表面では、その境界に強いコントラストが出るため、異物Pの検出精度を向上させることができる。
次に、上述したフィルムFLを用いた異物検出処理の変形例について図9および図10を参照して説明する。図9および図10は、第2の実施形態に係る異物検出処理の変形例の説明図である。
図9に示すように、検出部71Aは、投光部714と、受光部715とを備える。投光部714は、吸着パッド81a上のフィルムFLに対して斜め方向から光を照射する。受光部715は、フィルムFLへ照射された光の反射光をフィルムFLに対して斜め方向から受光する。
また、受光部715は、フィルムFLにおける光の照射範囲内に異物Pが存在しないと仮定した場合にフィルムFLから反射される反射光を受光し(図9参照)、フィルムFLにおける光の照射範囲内に所定形状の異物Pが存在すると仮定した場合にフィルムFLから反射される反射光を受光しない位置に配置される(図10参照)。かかる位置に受光部715を配置することで、異物Pを検出することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る異物検出方法について図11および図12を参照して説明する。図11は、初期画像取得処理の処理手順を示すフローチャートである。図12は、変形例に係る異物検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
図11に示すように、制御部61は、まず、異物Pが存在しない吸着パッド81aの全面に対して検出部71をスキャンさせ、吸着パッド81aの多孔質構造や表面粗さの情報を初期画像として取得する処理を行う。
具体的には、図11に示すように、制御部61は、吸着パッド81aの全面に対して検出部71をスキャンさせて(ステップS201)、撮像画像を取得する(ステップS202)。つづいて、制御部61は、取得した撮像画像に基づき、吸着パッド81a上に異物Pが存在するか否かを判定する(ステップS203)。そして、異物Pが存在しない場合(ステップS203,No)、制御部61は、ステップS202において取得した撮像画像を初期画像として記憶部62に記憶する(ステップS204)。
なお、制御部61は、ステップS203において異物Pが存在すると判定した場合には(ステップS203,Yes)、撮像画像を記憶しない。この場合、制御部61は、例えば、除去部72を用いて吸着パッド81a上の異物Pを除去した後、ステップS201〜S204の処理を再度実行してもよい。
つづいて、制御部61は、初期画像取得処理により取得した初期画像を用いて異物検出処理を行う。具体的には、制御部61は、吸着パッド81aの全面に対して検出部71をスキャンさせて(ステップS301)、撮像画像を取得する(ステップS302)。つづいて、制御部61は、ステップS302において取得した撮像画像と、初期画像取得処理において取得した初期画像との差分に基づいて、ステップS302において取得した撮像画像に初期画像からの変化があるか否かを判定する(ステップS303)。
そして、初期画像から変化したと判定した場合(ステップS303,Yes)、制御部61は、吸着パッド81a上に異物Pが存在すると判定する(ステップS304)。一方、初期画像からの変化がない場合(ステップS303,No)、制御部61は、吸着パッド81a上に異物Pが存在しないと判定する(ステップS305)。
このように、ステップS302において取得した撮像画像を初期画像と比較することにより、吸着パッド81aの多孔質構造や表面粗さによるノイズが除去されるため、異物Pを精度良く検出することができる。
なお、図11に示す初期画像取得処理は、定期的に行われることが好ましい。これは、吸着パッド81aの表面形状が経時変化するためであり、初期画像取得処理を定期的に行って初期画像を更新することにより、異物検出処理の安定化を図ることが可能である。
また、初期画像取得処理に際し、フィルムFLを用いることとしてもよい。例えば、吸着パッド81aにフィルムFLを吸着させた後、検出部71をスキャンさせ、取得した撮像画像に基づいて異物Pが存在するか否かを判定する。そして、異物Pが存在しないと判定した場合に、フィルムFLを取り外して、再度検出部71をスキャンさせ、取得した撮像画像を初期画像として記憶部62に記憶してもよい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る除去部の構成について図13を参照して説明する。図13は、第4の実施形態に係る除去部の構成を示す模式断面図である。
図13に示すように、第4の実施形態に係る除去部72Aは、噴出部721Aと、吸引部722とを備える。吸引部722の構成は、上述した第1の実施形態に係る吸引部722と同様である。
第4の実施形態に係る噴出部721Aは、吸着パッド81aに対して吸引部722寄りの斜め方向に流体を噴出する。
このように、噴出部721Aの噴出口723Aを吸引部722の吸引口724へ向けて傾斜させることにより、噴出部721Aおよび吸引部722間の流速を上げることができるため、異物Pの除去効率を向上させることができる。また、噴出部721Aから吸引部722の反対側へ漏れ出る流体を減らすことができるため、異物Pの巻き上げを抑制することができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る異物除去装置70Bについて図14および図15を参照して説明する。図14は、第5の実施形態に係る異物除去装置の構成を示す模式側面図である。図15は、プレ吸引部の構成を示す模式断面図である。
図14に示すように、第5の実施形態に係る異物除去装置70Bは、プレ吸引部73をさらに備える。プレ吸引部73は、除去部72が備える吸引部722と同様に、流体を吸引する。かかるプレ吸引部73は、移動機構75による検出部71、除去部72およびプレ吸引部73の往復移動のうちの往路における、検出部71および除去部72よりも進行方向手前側に配置される。
図15に示すように、プレ吸引部73には吸引管731が接続され、吸引管731には、真空ポンプ等の吸引機構732が接続される。また、吸引管731には開閉バルブ733や図示しない流量調整部が設けられる。
プレ吸引部73が有する吸引口734は、除去部72の噴出部721が有する噴出口723および吸引部722が有する吸引口724よりも吸着パッド81aから離れた位置に設けられる。すなわち、吸着パッド81aとプレ吸引部73とのギャップG2は、吸着パッド81aと除去部72とのギャップG1よりも大きく設定される。また、プレ吸引部73の吸引口734の開口径L4は、吸引部722の吸引口724のスリット幅L1よりも大きく形成される。
これにより、第5の実施形態に係る異物除去装置70Bは、仮に、ギャップG1を超えるサイズの異物Pが存在した場合であっても、かかる想定外の寸法の異物Pをプレ吸引部73により事前に除去することで、除去部72が異物Pと衝突することを防止することができる。
(第6の実施形態)
次に、上述した異物除去装置を備える剥離装置の構成について図16および図17を参照して説明する。図16は、第6の実施形態に係る剥離装置の構成を示す模式平面図である。また、図17は、ダイシングフレームに保持された重合基板の模式側面図である。なお、ここでは、一例として、剥離装置が第1の実施形態に係る異物除去装置70を備える場合の例を示す。
図16に示すように、異物除去装置70は剥離装置5に設けられる。剥離装置5は、被処理基板Wと支持基板Sとが接着剤Gで接合された重合基板T(図17参照)を、被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する。
以下では、図17に示すように、被処理基板Wの板面のうち、接着剤Gを介して支持基板Sと接合される側の板面を「接合面Wj」といい、接合面Wjとは反対側の板面を「非接合面Wn」という。また、支持基板Sの板面のうち、接着剤Gを介して被処理基板Wと接合される側の板面を「接合面Sj」といい、接合面Sjとは反対側の板面を「非接合面Sn」という。
被処理基板Wは、例えば、シリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体基板に複数の電子回路が形成された基板であり、電子回路が形成される側の板面を接合面Wjとしている。また、被処理基板Wは、例えば非接合面Wnが研磨処理されることによって薄型化されている。具体的には、被処理基板Wの厚さは、約20〜200μmである。
一方、支持基板Sは、被処理基板Wと略同径の基板であり、被処理基板Wを支持する。支持基板Sの厚みは、約650〜750μmである。かかる支持基板Sとしては、シリコンウェハの他、ガラス基板などを用いることができる。また、これら被処理基板Wおよび支持基板Sを接合する接着剤Gの厚みは、約40〜150μmである。
上記のように被処理基板Wは非常に薄く、破損し易いため、ダイシングフレームFによってさらに保護される。ダイシングフレームFは、重合基板Tよりも大径の開口部を中央に有する略矩形状の部材である。図17に示すように、重合基板Tは、被処理基板Wが下面に位置し、支持基板Sが上面に位置した状態で、ダイシングフレームFに保持される。
図16に示すように、剥離装置5は処理部100を備える。処理部100の側面には、搬入出口(図示せず)が形成され、この搬入出口を介して、重合基板Tの処理部100への搬入や、剥離後の被処理基板Wおよび支持基板Sの処理部100からの搬出が行われる。
剥離装置5は、第1保持部110と、フレーム保持部120と、下側ベース部130と、回転昇降機構140と、第2保持部150と、上側ベース部160とを備える。これらは処理部100の内部に配置される。
第1保持部110は、上述してきた吸着保持部80と同様、ポーラスチャック等の吸着保持部であり、重合基板Tを構成する被処理基板WをダイシングフレームFの開口部に設けられたダイシングテープを介して吸着保持する。
第1保持部110は、円盤状の本体部111と、本体部111を支持する支柱部材112とを備える。支柱部材112は、下側ベース部130に支持される。
本体部111は、例えばアルミニウムなどの金属部材で構成される。かかる本体部111の上面には、吸着パッド111aが設けられる。吸着パッド111aは、重合基板Tと同一または僅かに大きい径を有し、重合基板Tの下面、すなわち、被処理基板Wの非接合面Wnの略全面に接触する。
本体部111の内部には、吸着パッド111aを介して外部と連通する吸引空間111bが形成される。吸引空間111bは、吸気管113を介して真空ポンプなどの吸気装置114と接続される。
かかる第1保持部110は、吸気装置114の吸気によって発生する負圧を利用し、被処理基板Wの非接合面Wnをダイシングテープを介して吸着パッド111aに吸着させる。これにより、第1保持部110は被処理基板Wを保持する。なお、ここでは、第1保持部110がポーラスチャックである場合の例を示したが、第1保持部は、例えば静電チャック等であってもよい。
第1保持部110の外方には、ダイシングフレームFを下方から保持するフレーム保持部120が配置される。かかるフレーム保持部120は、ダイシングフレームFを吸着保持する複数の吸着パッド121と、吸着パッド121を支持する支持部材122と、下側ベース部130に固定され、支持部材122を鉛直方向に沿って移動させる移動機構123とを備える。
下側ベース部130は、第1保持部110およびフレーム保持部120の下方に配置され、第1保持部110およびフレーム保持部120を支持する。下側ベース部130は、処理部100の床面に固定された回転昇降機構140によって支持される。
回転昇降機構140は、下側ベース部130を鉛直軸回りに回転させる。これにより、下側ベース部130に支持された第1保持部110およびフレーム保持部120が一体的に回転する。また、回転昇降機構140は、下側ベース部130を鉛直方向に移動させる。これにより、下側ベース部130に支持された第1保持部110およびフレーム保持部120が一体的に昇降する。
第1保持部110の上方には、第2保持部150が対向配置される。第2保持部150は、第1吸着移動部190と、第2吸着移動部200とを備える。第1吸着移動部190および第2吸着移動部200は、上側ベース部160に支持される。上側ベース部160は、処理部100の天井部に取り付けられた固定部材101に支柱102を介して支持される。
第1吸着移動部190は、支持基板Sの周縁部を吸着保持する。また、第2吸着移動部200は、支持基板Sの周縁部よりも支持基板Sの中央部寄りの領域を吸着保持する。そして、第1吸着移動部190および第2吸着移動部200は、吸着保持した領域をそれぞれ独立に被処理基板Wの板面から離す方向へ移動させる。
第1吸着移動部190は、第1吸着パッド191と、支柱部材192と、移動機構193とを備える。また、第2吸着移動部200は、第2吸着パッド201と、支柱部材202と、移動機構203とを備える。
第1吸着パッド191および第2吸着パッド201には、吸気口(図示せず)が形成されており、それぞれの吸気口には、吸気管194,204を介して真空ポンプなどの吸気装置195,205が接続される。
支柱部材192,202は、先端部において第1吸着パッド191および第2吸着パッド201を支持する。支柱部材192,202の基端部は、移動機構193,203によって支持される。移動機構193,203は、上側ベース部160の上部に固定されており、支柱部材192,202を鉛直方向に移動させる。
第1吸着移動部190および第2吸着移動部200は、吸気装置195,205の吸気によって発生する負圧を利用して支持基板Sを吸着する。これにより、第1吸着移動部190および第2吸着移動部200は、支持基板Sを保持する。なお、第1吸着移動部190が備える第1吸着パッド191は、支持基板Sの周縁部を吸着し、第2吸着移動部200が備える第2吸着パッド201は、支持基板Sの中央部を吸着する。
また、第1吸着移動部190および第2吸着移動部200は、支持基板Sを保持した状態で、それぞれ移動機構193,203によって支柱部材192,202ならびに第1吸着パッド191および第2吸着パッド201を鉛直方向に沿って移動させる。これにより、支持基板Sを鉛直方向に沿って移動させる。
また、剥離装置5は、制御装置90を備える。制御装置90は、剥離装置5の動作を制御する装置である。かかる制御装置90は、例えばPCであり、制御部91と記憶部92とを備える。記憶部92は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子等によって実現される。記憶部92には、剥離処理等の各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部91は、例えば、CPUであり、記憶部92に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって剥離装置5の動作を制御する。
剥離装置5は、第1保持部110で被処理基板Wを吸着保持し、フレーム保持部120でダイシングフレームFを吸着保持し、第2保持部150で支持基板Sを保持した状態で、第2保持部150の第1吸着移動部190および第2吸着移動部200を上方へ順次移動させることにより、被処理基板Wから離れる方向に支持基板Sを引っ張る。これにより、支持基板Sが、その周縁部から中心部へ向けて被処理基板Wから連続的に剥離する。
なお、剥離装置5は、第1吸着移動部190および第2吸着移動部200を移動させる前に、図示しない鋭利部材で支持基板Sが被処理基板Wから剥がれるきっかけとなる部位を重合基板Tの側面に形成してもよい。
かかる剥離装置5は、異物除去装置70を備える。異物除去装置70は、処理部100内において第1保持部110の側方に配置される。そして、異物除去装置70は、第1保持部110の吸着パッド111a上に存在する異物Pを検出および除去する。剥離装置5の第1保持部110に保持される被処理基板Wは薄型化されているため、第1保持部110に異物Pが存在している場合、被処理基板Wに割れ等の欠陥が生じるおそれがある。これに対し、剥離装置5は、第1保持部110の吸着パッド111a上に存在する異物Pを異物除去装置70を用いて検出および除去することで、被処理基板Wに欠陥が生じることを未然に防止することができる。
なお、上述してきた第1〜第6の実施形態では、吸着保持部80または第1保持部110の保持面が上方を向いており、かかる保持面の上方に検出部71や除去部72を配置する場合の例について示したが、吸着保持部80または第1保持部110の保持面が下方に向いており、かかる保持面の下方に検出部71や除去部72を配置するようにしてもよい。
(第7の実施形態)
次に、異物除去装置を備える剥離装置の他の構成例について図18および図19を参照して説明する。図18および図19は、第7の実施形態に係る剥離装置の構成を示す模式側面図である。
図18に示すように、第7の実施形態に係る剥離装置3は、その内部に複数の機器を収容する筐体300を有する。筐体300は、搬入出口(図示せず)を有し、各搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられる。
筐体300の底面には、内部の雰囲気を排気する排気口301が形成される。排気口301には、例えば真空ポンプなどの排気装置302に連通する排気管303が接続される。そして、排気口301から筐体300内部の雰囲気を排気することにより、筐体300内部にダウンフローと呼ばれる鉛直下方向に向かう気流が発生する。
筐体300の内部には、被処理基板Wを下面で吸着保持する第1保持部310と、支持基板Sを上面で載置して保持する第2保持部311とが設けられる。第1保持部310は、第2保持部311の上方に設けられ、第2保持部311と対向するように配置される。すなわち、筐体300の内部では、被処理基板Wを上側に配置し、且つ支持基板Sを下側に配置した状態で、重合基板Tに剥離処理が行われる。
第1保持部310は、上述してきた吸着保持部80と同様、ポーラスチャック等の吸着保持部である。第1保持部310は、平板状の本体部320を有する。本体部320の下面側には、吸着パッド321が設けられる。吸着パッド321は、例えば被処理基板Wとほぼ同じ径を有し、当該被処理基板Wの非接合面Wnと当接する。
また、本体部320の内部であって吸着パッド321の上方には吸引空間322が形成される。吸引空間322は、例えば吸着パッド321を覆うように形成される。吸引空間322には、吸引管323が接続される。吸引管323は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続される。そして、吸引管323から吸引空間322と吸着パッド321を介して被処理基板Wの非接合面Wnが吸引され、当該被処理基板Wが第1保持部310に吸着保持される。
また、本体部320の内部であって吸引空間322の上方には、被処理基板Wを加熱する加熱機構324が設けられる。加熱機構324には、例えばヒータが用いられる。
第1保持部310の上面には、当該第1保持部310を支持する支持板330が設けられる。支持板330は、筐体300の天井面に支持される。なお、第1保持部310は、筐体300の天井面に当接して支持されてもよい。
第2保持部311の内部には、支持基板Sを吸着保持するための吸引管340が設けられる。吸引管340は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続される。
また、第2保持部311の内部には、支持基板Sを加熱する加熱機構341が設けられる。加熱機構341には、例えばヒータが用いられる。
第2保持部311の下方には、第2保持部311及び支持基板Sを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構350が設けられる。移動機構350は、第2保持部311を鉛直方向に移動させる鉛直移動部351と、第2保持部311を水平方向に移動させる水平移動部352とを有する。
鉛直移動部351は、第2保持部311の下面を支持する支持板360と、支持板360を昇降させる駆動部361と、支持板360を支持する支持部材362とを有する。駆動部361は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有する。また、支持部材362は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板360と後述する支持体371との間に例えば3箇所に設けられる。
水平移動部352は、水平方向に延在するレール370と、レール370に取り付けられる支持体371と、支持体371をレール370に沿って移動させる駆動部372とを有する。駆動部372は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有する。
なお、第2保持部311の下方には、重合基板T又は支持基板Sを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられる。昇降ピンは第2保持部311に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第2保持部311の上面から突出可能になっている。
剥離装置3は上記のように構成されており、重合基板Tを、重合基板Tを加熱しながら被処理基板Wと支持基板Sとの接合面に沿ってずらすことによって、被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する。
具体的には、剥離装置3に搬入された重合基板Tは、第2保持部311に吸着保持される。その後、移動機構350により第2保持部311を上昇させて、第1保持部310と第2保持部311で重合基板Tを挟み込んで保持する。このとき、第1保持部310に被処理基板Wの非接合面Wnが吸着保持され、第2保持部311に支持基板Sの非接合面Snが吸着保持される。
その後、加熱機構324、341によって重合基板Tが所定の温度、例えば200℃に加熱される。そうすると、重合基板T中の接着剤Gが軟化する。
つづいて、加熱機構324、341によって重合基板Tを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、移動機構350によって第2保持部311と支持基板Sを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。そして、第1保持部310に保持された被処理基板Wと、第2保持部311に保持された支持基板Sとが剥離される。
また、剥離装置3は、制御装置95を備える。制御装置95は、剥離装置3の動作を制御する装置である。かかる制御装置95は、例えばPCであり、制御部96と記憶部97とを備える。記憶部97は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子等によって実現される。記憶部97には、剥離処理等の各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部96は、例えば、CPUであり、記憶部97に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって剥離装置3の動作を制御する。
第7の実施形態に係る異物除去装置70Cは、例えば支持板360の上部に設けられる。異物除去装置70Cは、図19に示すように、検出部71と、除去部72と、支持部材74と、移動機構75とを備える。移動機構75は、支持板360上に設けられる。また、支持部材74は、水平移動部352による移動方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に延在する。そして、検出部71および除去部72は、支持部材74によって下方から支持される。
次に、第7の実施形態に係る異物除去装置70Cを用いた異物検出処理について図20〜図22を参照して説明する。図20〜図22は、第7の実施形態に係る異物検出処理の動作例を示す図である。なお、図20〜図22には、第1保持部310を下方から見た場合の模式図を示している。
図20〜図22に示すように、制御部96は、水平移動部352および移動機構75を利用して、吸着パッド321の全面に対して検出部71および除去部72をスキャンさせる。
まず、制御部96は、吸着パッド321から除去部72までの距離が所定のギャップとなるように、鉛直移動部351を制御して支持板360の高さを調整する。つづいて、制御部96は、図20に示すように、検出部71および除去部72を吸着パッド321の外周部に位置させた後、移動機構75を制御して、検出部71および除去部72を水平移動部352による移動方向と直交する方向に移動させる。これにより、吸着パッド321の一部について異物Pの検出および除去が行われる。
つづいて、制御部96は、図21に示すように、水平移動部352を制御して、吸着パッド321をY軸正方向に所定距離だけ移動させる。そして、図22に示すように、制御部96は、移動機構75を制御して、検出部71および除去部72を水平移動部352による移動方向と直交する方向に再度移動させる。制御部96は、これらの処理を繰り返すことにより、吸着パッド321の全面に対して異物Pの検出および除去を行うことができる。
このように、被処理基板Wと支持基板Sとが接合された重合基板Tを被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する剥離装置3,5に対して異物検出装置を設けてもよい。
(その他の実施形態)
上述した各実施形態では、移動機構75を用いて検出部71および除去部72を移動させる場合の例について説明した。しかし、これに限ったものではなく、検出部71および除去部72を吸着パッド81a,111aの径以上の長さとすれば、検出部71および除去部72を移動させなくても、回転機構83あるいは回転昇降機構140を用いて吸着パッド81a,111aを回転させることで、吸着パッド81a,111aの全面に対して異物Pの検出および除去を行うことができる。
また、上述した第6および第7の実施形態では、異物除去装置が剥離装置に設けられる場合の例を示したが、異物除去装置は、剥離装置に限らず、ポーラスチャックや静電チャック等の吸着保持部を備える各種の半導体装置に設けられてもよい。例えば、異物除去装置は、半導体基板を洗浄する洗浄装置、半導体基板にダイシングフレームを取り付けるマウンタ、半導体基板の表面を検査する検査装置、半導体基板をチップ単位に切断するダイシング装置等に設けられてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。