以下に、本発明に係るコネクタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係るコネクタの実施形態の1つを図1から図11に基づいて説明する。
図1から図6の符号1は、本実施形態のコネクタを示す。このコネクタ1は、端子10(図3)と、この端子10を収容及び保持するハウジング20と、を備える。
端子10は、金属等の導電性材料によって所定形状に成形され、電線WH(図3)の端末の芯線が圧着や溶着等の所定の接続形態で物理的且つ電気的に接続される。端子10は、相手方コネクタC(図1)の相手方端子(図示略)が接続される端子接続部11と、電線WHの芯線が接続される電線接続部12と、を有する。本実施形態では、このコネクタ1の端子10を雌端子として成形し、相手方コネクタCの相手方端子を雄端子として成形している。但し、端子10と相手方端子は、互いに嵌合された上で物理的且つ電気的に接続されるものであるならば、その何れが雌端子であってもよく雄端子であってもよい。
ハウジング20は、合成樹脂等の絶縁性材料によって所定形状に成形される。このハウジング20には、筒状のフード21と、このフード21の内方に配置され、端子10を1つずつ収容及び保持する複数の端子収容室22と、が設けられている(図1から図3)。このハウジング20においては、フード21とそれぞれの端子収容室22の集合体との間に環状の空間部(以下、「環状空間部」という。)23が形成されている。その環状空間部23には、コネクタ1と相手方コネクタCとの間のコネクタ嵌合工程に際して、相手方コネクタCにおける相手方ハウジングChの筒状のフードChf(図1)が端子収容室22の集合体を内方に包み込むように収容される。そのフードChfの内方には、複数個の相手方端子が収容及び保持されている。尚、図3では、便宜上、端子10と電線WHの組み合わせを1組のみ図示している。
フード21は、その筒軸方向が、相手方コネクタCへの嵌合方向(以下、「コネクタ嵌合方向」という。)やその逆方向(以下、「コネクタ嵌合解除方向」という。)に沿うように配置する。以下においては、これらの双方向を一纏めに、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の挿抜方向(以下、「コネクタ挿抜方向」という。)と称する場合もある。フード21は、コネクタ嵌合方向側に開口部21aを有している。相手方コネクタCは、その開口部21aから挿入される。本実施形態のフード21は、角筒状に形成されている。
それぞれの端子収容室22は、コネクタ挿抜方向に沿って端子10が収容されるように形成する。端子収容室22は、コネクタ嵌合方向側に開口部22aを有しており、この開口部22aを介して内方の端子10の端子接続部11を外方に露出させる。相手方端子は、コネクタ嵌合工程において、その開口部22aから端子収容室22に挿入され、端子10の端子接続部11に嵌合される。この端子収容室22においては、コネクタ嵌合解除方向側にも開口部(図示略)を有しており、内方で端子10の電線接続部12に接続されている電線WHがコネクタ嵌合解除方向側の開口部から外方に引き出される。本実施形態のそれぞれの端子収容室22は、角筒状のフード21の内方に配置された方体状の端子収容体22Aの内方に格子状に並べて配置され、かつ、コネクタ嵌合解除方向側をフード21から突出させている。
コネクタ1と相手方コネクタCとの間には、これらの嵌合状態が完全嵌合状態のとき(図4)にハウジング20と相手方ハウジングChとを互いに係合させ、その完全嵌合状態を保持させる保持構造30が設けられている(図1及び図3から図6)。完全嵌合状態とは、設計通りにコネクタ1と相手方コネクタCとが互いに挿入し終えた状態であって、端子10と相手方端子との間の物理的且つ電気的な接続が成立している状態のことをいう。一方、コネクタ嵌合工程においては、その完全嵌合状態となる前までのコネクタ1と相手方コネクタCとの間(以下、「コネクタ間」ともいう。)の嵌合状態のことを半嵌合状態という。
保持構造30は、コネクタ間の所謂ロック構造である。ハウジング20は、相手方ハウジングChに係合することで完全嵌合状態を保持させる保持体(以下「第1保持体」という。)31を有している(図1から図3、図5及び図6)。一方、相手方ハウジングChは、その第1保持体31に係合させる保持体(以下「第2保持体」という。)32を有している(図1及び図6)。
第1保持体31は、所謂ロックアームと称されるものであり、角筒状のフード21における4つの壁体の内の1つに対して一体化させる。この例示のフード21は、その第1保持体31の設置対象となる壁体を周方向で分断し、周方向で互いに対向する2つの自由端の間に隙間21bを設ける(図1から図6)。第1保持体31は、その隙間21bに配置する。
第1保持体31は、コネクタ挿抜方向に延在させると共に、フード21の周方向に互いに間隔を空け且つ端子収容体22Aの外壁面に対して間隔を空けて配置した2本のアーム31aを有する(図1から図6)。それぞれのアーム31aは、フード21の開口部21a(つまり、ハウジング20のコネクタ嵌合方向側の端部)と端子収容体22Aのコネクタ嵌合解除方向側の端部(つまり、ハウジング20のコネクタ嵌合解除方向側の端部)との間に渡って延在させる。一方のアーム31aにおけるコネクタ嵌合方向側の端部は、フード21の周方向における一方の自由端に連結させる。他方のアーム31aにおけるコネクタ嵌合方向側の端部は、フード21の周方向における他方の自由端に連結させる。それぞれのアーム31aは、そのコネクタ嵌合方向側の端部が各々の第1アーム連結部31b(図1から図4)を介してフード21の自由端に連結されている。
この第1保持体31は、それぞれのアーム31aをコネクタ嵌合解除方向側で互いに連結させる第2アーム連結部31cを有する(図3、図5及び図6)。この例示の第2アーム連結部31cは、それぞれのアーム31aの間の隙間を埋めるように配置する。この例示の第1保持体31のコネクタ嵌合解除方向側は、それぞれのアーム31aのコネクタ嵌合解除方向側と第2アーム連結部31cとによって、主たる形状が片体形状を成す片部31dになっている。その片部31dは、端子収容体22Aの外壁面に対して間隔を空けた状態で配置する。フード21の自由端間の隙間21bには、それぞれのアーム31aと第2アーム連結部31cとが配置されているが、それぞれのアーム31aと第2アーム連結部31cとが成す切欠き状の空間(以下、「切欠き」という。)21b1が残っている(図1から図6)。
この第1保持体31は、その片部31dにおいて端子収容体22Aに連結する。この例示では、それぞれのアーム31aのコネクタ嵌合解除方向側の途中に第3アーム連結部31eを設ける(図2、図5及び図6)。第3アーム連結部31eは、アーム31aと端子収容体22Aの外壁面との間で延在させたものであり、アーム31aのコネクタ嵌合解除方向側の途中と端子収容体22Aの外壁面とを繋ぐ。第1保持体31のコネクタ嵌合解除方向側は、その2つの第3アーム連結部31eを介して端子収容体22Aに連結させる。
この第1保持体31は、片部31dに、端子収容体22Aの外壁面に向けて突出させた突出部31fを有する(図2、図5及び図6)。その突出部31fは、環状空間部23に配置されるものであるが、完全嵌合状態のときの相手方コネクタCのフードChfの外壁面に対して間隔が設けられるように形成する(図6)。この例示の突出部31fは、その片部31dの一部である第2アーム連結部31cのコネクタ嵌合方向側の端部に設けられている。この例示の突出部31fは、方体状に形成している。
ここで、この第1保持体31は、第1アーム連結部31bと第3アーム連結部31eとの間に可撓性を持たせており、その間を撓みに応じて端子収容体22Aの外壁面に向けて近づけたり離したりさせることができる。以下においては、その間の撓み方向(便宜上、コネクタ挿抜方向に対する直交方向とする)のことを「可撓方向」と称する。その可撓方向については、コネクタ挿抜方向から見て「第1直交方向」と称する場合もある(図2)。また、ここでは、それぞれの第1アーム連結部31bとそれぞれの第3アーム連結部31eにも可撓性を持たせている。このため、第1保持体31は、環状空間部23の中から突出部31fが可撓方向(外側への可撓方向)に向けて押動されることによって、その方向へと第1アーム連結部31bと第3アーム連結部31eとの間を撓ませることができる。また、この第1保持体31は、それと同様の撓みを、片部31dの所定位置に力を加えることによって発生させることができる。この例示の第1保持体31においては、片部31dにおける第3アーム連結部31eよりもコネクタ嵌合解除方向側を端子収容体22Aの外壁面に向けて押し下げることによって、そのような撓みが発生する。このため、この第1保持体31においては、その押し下げ部分を作業者等の操作部として利用することができる。
本実施形態のハウジング20には、その片部31dに対する作業者等の押し下げ操作を行うための操作溝24が設けられている(図1及び図3から図6)。片部31dは、少なくとも押し下げ操作の操作部を外方に露出させた状態で操作溝24に配置される。その操作溝24においては、片部31dを外方に露出させている空間部分が、作業者等が押し下げ操作を行う際の操作空間24aとして利用される。また、この操作溝24においては、片部31dと端子収容体22Aの外壁面との間に空間が設けられており、その空間が押し下げ操作に伴い動く片部31dの可動空間24bとなる(図5及び図6)。その可動空間24bは、コネクタ嵌合方向側において環状空間部23と連通している。
第2保持体32は、フードChfの外壁面から突出させた突出体であり(図1)、コネクタ嵌合工程において、コネクタ挿抜方向で突出部31fと向き合うことができるように形成及び配置する。更に、この第2保持体32は、完全嵌合状態のときに突出部31fよりもコネクタ嵌合解除方向側に位置するようにフードChfの外壁面に配置する。突出部31fと第2保持体32は、完全嵌合状態のときに、コネクタ挿抜方向で互いに接触させてもよく、コネクタ挿抜方向で間隔が空いていてもよい。但し、間隔を空ける場合には、その間隔が詰まって突出部31fと第2保持体32とが接触した際に、完全嵌合状態が損なわれないような間隔を設定する。この例示の第2保持体32は、方体状に形成している。
この保持構造30においては、コネクタ嵌合工程に際して、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の嵌合が進むに連れて突出部31fと第2保持体32とが当接する。突出部31fと第2保持体32は、その当接後、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の嵌合が更に進むに連れて、第2保持体32が突出部31fを外側への可撓方向へと押動し、第1保持体31を撓ませながら第2保持体32が完全嵌合状態となる位置まで突出部31fを乗り越えるように形成してもよい。また、この保持構造30は、作業者等が片部31dにおける操作部を押し下げ、第1保持体31における第1アーム連結部31bと第3アーム連結部31eとの間を突出部31fと共に外側への可撓方向へと撓ませた後、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の嵌合を更に進めることによって、第2保持体32を完全嵌合状態となる位置まで移動させてもよい。完全嵌合状態となる位置では、撓ませられていた第1保持体31が元の位置に戻り、コネクタ挿抜方向で突出部31fと第2保持体32とが向かい合うことになる。その際、この保持構造30においては、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の抜去動作が抑制されるので、これらが完全嵌合状態で保持される。
尚、この保持構造30においては、完全嵌合状態のときに作業者等が片部31dにおける操作部を押し下げ、第1保持体31における第1アーム連結部31bと第3アーム連結部との間を突出部31fと共に外側への可撓方向へと撓ませることによって、コネクタ挿抜方向で突出部31fと第2保持体32とが向かい合わないようになる。このため、この保持構造30においては、そのような片部31dに対する押し下げ操作を行うことで、コネクタ1と相手方コネクタCの完全嵌合状態を解除することができる。
本実施形態のコネクタ1は、作業者等が相手方コネクタCとの嵌合状態を判断するための検知部材40を備える(図1から図7)。その検知部材40は、ハウジング20に組み付けられる。この検知部材40は、ハウジング20に対して仮係止位置と本係止位置との間で相対移動させることができる。仮係止位置とは、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の嵌合状態が半嵌合状態のときのハウジング20に対する検知部材40の位置のことである(図5)。この例示の仮係止位置は、ハウジング20に対して検知部材40が組み付けられたときの位置でもある。このため、仮係止位置とは、コネクタ1と相手方コネクタCとが互いに挿入される前の状態も含まれる。本係止位置は、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の嵌合状態が完全嵌合状態のときのハウジング20に対する検知部材40の位置のことである(図6)。この例示の検知部材40は、ハウジング20に対してコネクタ挿抜方向に相対移動し得るものであり、仮係止位置からコネクタ嵌合方向へと相対移動させることで本係止位置まで到達する。作業者等は、検知部材40を本係止位置まで相対移動させることができれば、コネクタ1と相手方コネクタCとが完全嵌合状態になっていることを検知し、検知部材40を本係止位置まで相対移動させることができなければ、コネクタ1と相手方コネクタCとが半嵌合状態になっていることを検知する。
この検知部材40は、第1保持体31よりもハウジング20の外方寄りに配置され、かつ、少なくともコネクタ嵌合解除方向側が操作溝24の操作空間24aに配置されるように、ハウジング20に対して組み付ける。従って、操作空間24aにおいては、この検知部材40の少なくともコネクタ嵌合解除方向側が外方に露出している。本実施形態のコネクタ1においては、この操作空間24aを検知部材40の相対移動操作のための空間としても利用する。このため、検知部材40においては、コネクタ嵌合解除方向側が相対移動操作のための操作部として利用される。
この例示の検知部材40は、基体41を有しており、この基体41を中心にして下記の様々な構成要素が設けられている(図1、図3及び図5から図7)。基体41は、検知部材40のハウジング20への組み付け後に、第1保持体31の片部31dに対して間隔を空けて配置される。この基体41は、例えば、一方の平面41a(図5から図7)を第1直交方向(上記の可撓方向)で片部31dに向かい合わせた矩形の片体形状の成形体であってもよく、その片体形状の成形体に様々な切欠きや溝等を形成したものであってもよい。この例示の検知部材40は、仮係止位置において、基体41を操作空間24aに配置させる。
この検知部材40とハウジング20との間には、ハウジング20に対する検知部材40のコネクタ挿抜方向への相対移動を仮係止位置と本係止位置との間で案内するガイド構造51が設けられている(図5及び図7)。この例示のガイド構造51は、その検知部材40の案内のみならず、検知部材40をハウジング20に係止し、組み付けた検知部材40のハウジング20からの離脱(相対移動方向とは異なる向きへの離脱)を抑えることができるようにも構成する。このガイド構造51は、検知部材40に設けた第1ガイド部と、ハウジング20に設けた第2ガイド部と、を備える。
例えば、検知部材40は、操作空間24aを成すハウジング20の空間構成要素(壁体等)に対して組み付け、その空間構成要素との間にガイド構造51を設けることによって、その空間構成要素に対するコネクタ挿抜方向への相対移動を実現させることができる。例えば、検知部材40は、その空間構成要素としての操作空間24aのそれぞれの側壁24a1(図1及び図3から図6)にガイド溝を形成し、そのガイド溝の中に配置される被ガイド部を検知部材40に設ける(図示略)。この場合には、その被ガイド溝がガイド構造51の第1ガイド部となり、そのガイド溝がガイド構造51の第2ガイド部となる。
本実施形態では、空間構成要素としての第1保持体31に検知部材40を組み付け、この検知部材40と第1保持体31との間にガイド構造51を設ける。このガイド構造51においては、検知部材40に第1ガイド部としての下記のガイド溝を設けると共に、第1保持体31に第2ガイド部としての下記の被ガイド部を設ける。
検知部材40は、基体41のそれぞれの側壁24a1側の端部から立設させた壁体42を有している(図2、図3、図5及び図7)。その壁体42は、検知部材40が第1保持体31に組み付けられた後で、基体41の端部から端子収容体22Aの外壁面に向けて突出されているように形成する。この例示の壁体42は、矩形の片体形状に形成されたものであり、基体41の端部から端子収容体22Aの外壁面に向けて垂設させる。ここで、この例示のハウジング20においては、第1保持体31とそれぞれの側壁24a1との間に各々隙間が形成されている。壁体42は、その隙間を通過させ、突出側の自由端を第1保持体31の片部31dよりも端子収容体22Aの外壁面側に突出させるように形成する。このため、それぞれの壁体42は、片部31dを間に介在させた状態で互いに対向している。組み付けられた検知部材40においては、それぞれの壁体42を第3アーム連結部31eよりもコネクタ嵌合方向側に配置する。
それぞれの壁体42には、自由端側から相手方の壁体42に向けて突出させた突出体43を設けている(図2、図5及び図7)。この検知部材40においては、それぞれの突出体43をコネクタ挿抜方向に延在させる。このため、検知部材40の側壁24a1側の端部には、基体41と壁体42と突出体43とによって囲まれたコネクタ挿抜方向に沿う溝が形成される。検知部材40においては、その溝がガイド構造51の第1ガイド部としてのガイド溝51Aとなる(図7)。検知部材40が第1保持体31に組み付けられた際には、その第1保持体31のそれぞれのアーム31aが検知部材40のガイド溝51Aに各々収容される。つまり、第1保持体31においては、アーム31aがガイド構造51の第2ガイド部としての被ガイド部となる。検知部材40は、第3アーム連結部31eよりもコネクタ嵌合方向側でそれぞれのアーム31aに保持されている。
ガイド構造51は、このように構成することによって、検知部材40の第1保持体31に対するコネクタ挿抜方向への相対移動に際して案内が可能になると共に、検知部材40の第1保持体31からの離脱(相対移動方向とは異なる向きへの離脱)を抑制することができる。
検知部材40には、その相対移動を作業者等が行う際に利用する操作体44が設けられている(図1から図7)。その操作体44は、操作空間24aにおいて、壁体42とは逆向きに基体41から突出させる。作業者等は、その操作体44をコネクタ挿抜方向に沿って押し引き等することで、検知部材40を第1保持体31に対して相対移動させる。操作体44は、ハウジング20の後述する壁部25aよりも外方に突出させる。
検知部材40とハウジング20との間には、ハウジング20に対する検知部材40の相対移動方向(コネクタ挿抜方向)への動きを仮係止位置で係止する仮係止構造52が設けられている(図5、図6及び図8)。仮係止構造52は、検知部材40のコネクタ嵌合解除方向側への動きを係止する第1仮係止構造52Aと、検知部材40のコネクタ嵌合方向側への動きを係止する第2仮係止構造52Bと、に大別される。
先ず、第1仮係止構造52Aについて説明する。本実施形態の検知部材40は、基体41のコネクタ嵌合解除方向側の端部からコネクタ嵌合解除方向に向けて突出させた第1被係止体45を有している(図1及び図3から図7)。この例示の第1被係止体45は、片体形状に形成し、一方の平面45aを第1直交方向(上記の可撓方向)で第1保持体31の片部31dに対して間隔を空けて対向させる。この例示の第1保持体31には、その片部31dから操作空間24a側に突出させた係止部31gを設けている(図1、図3から図6)。その係止部31gは、第1被係止体45よりもコネクタ嵌合解除方向側に配置し、第1被係止体45のコネクタ嵌合解除方向側の端部に対してコネクタ挿抜方向で対向させる。ここでは、その第1被係止体45のコネクタ嵌合解除方向側の端部を被係止部45bとして利用し、この被係止部45bのコネクタ嵌合解除方向側への動きを係止部31gで係止することができる(図6)。第1仮係止構造52Aにおいては、その係止部31gと被係止部45bとによって、仮係止位置での第1保持体31(ハウジング20)に対する検知部材40のコネクタ嵌合解除方向側への動きを係止する。係止部31gと被係止部45bは、検知部材40が仮係止位置のときに、コネクタ挿抜方向で互いに接触させてもよく、コネクタ挿抜方向で間隔が空いていてもよい。
次に、第2仮係止構造52Bについて説明する。本実施形態の検知部材40は、基体41のコネクタ嵌合方向側の端部からコネクタ嵌合方向に向けて突出させた第2被係止体46を有している(図2、図3、図5から図7)。この例示の第2被係止体46は、平板状に形成されたものであり、コネクタ嵌合方向で且つ端子収容体22Aの外壁面に向けて基体41から斜めに突出させる。
ここで、この例示のハウジング20には、その第2被係止体46を収容する収容空間25が設けられている(図1から図6)。その収容空間25は、操作空間24aよりもコネクタ嵌合方向側に配置し、この操作空間24aのコネクタ嵌合方向側に連通させる。この例示の収容空間25は、第1保持体31のそれぞれのアーム31aを4つの壁部の内の1つとした方体状に形成する。この収容空間25は、その壁部の他に、それぞれのアーム31aに対して環状空間部23とは逆側で対向させた矩形の壁部25aと、第1アーム連結部31bが連結されたフード21の自由端を壁部25aにおける側壁24a1側の端部に繋ぐ2つの側壁部25bと、を有する。壁部25aは、ハウジング20の外壁の一部を成している。それぞれの側壁部25bは、コネクタ挿抜方向と第1直交方向(上記の可撓方向)とに対する直交方向で対向させている。その直交方向については、コネクタ挿抜方向から見て「第2直交方向」と称する(図2)。
この例示の第2被係止体46は、相手方コネクタCが挿入される前の仮係止位置において、その収容空間25の中でコネクタ嵌合方向側への動きを係止させる。この第2被係止体46においては、コネクタ嵌合方向側の端部における第2直交方向の両端を被係止部46aとして利用する(図2、図3、図7及び図8)。一方、収容空間25においては、それぞれの側壁部25bから係止体26を個別に立設させている(図2、図5、図6及び図8)。それぞれの係止体26は、相手方コネクタCが挿入される前で且つ検知部材40が仮係止位置のときに、それぞれの被係止部46aに対してコネクタ挿抜方向で対向させるように配置する。このため、ここでは、それぞれの係止体26のコネクタ嵌合解除方向側の端部を係止部26aとして利用し、それぞれの係止部26aで被係止部46aのコネクタ嵌合方向側への動きを係止することができる(図8)。第2仮係止構造52Bにおいては、その係止部26aと被係止部46aとによって、相手方コネクタCが挿入される前で且つ検知部材40が仮係止位置のときに、第1保持体31(ハウジング20)に対する検知部材40のコネクタ嵌合方向側への動きを係止する。係止部26aと被係止部46aは、そのときに、コネクタ挿抜方向で互いに接触させてもよく、コネクタ挿抜方向で間隔が空いていてもよい。
このコネクタ1には、その仮係止位置での検知部材40の仮係止状態を解除する仮係止解除構造53を設けている(図6及び図9)。仮係止解除構造53は、仮係止状態の解除と共に検知部材40のハウジング20に対する相対移動を可能にするものであり、被係止部46aがコネクタ嵌合方向に向けて係止体26を乗り越えることができるように第2被係止体46を撓ませることによって、仮係止状態の解除を行う。
検知部材40においては、第2被係止体46に仮係止解除部46bを設ける(図3、図5から図7及び図9)。その仮係止解除部46bは、仮係止解除操作時の力の作用点となる部位である。この例示の第2被係止体46は、仮係止位置のときにフード21の切欠き21b1と第1直交方向(上記の可撓方向)で対向している部分に、その切欠き21b1に向けて突出させた方体状の突出体を設けており、この突出体を仮係止解除部46bとして利用する。この例示では、その切欠き21b1との対向部分で、かつ、第2被係止体46のコネクタ嵌合方向側の端部におけるそれぞれの被係止部46aの間に仮係止解除部46bを設けている。
この検知部材40は、その仮係止解除部46bに対して切欠き21b1側から第1直交方向に向けた力が作用した際に、その力の作用方向に向けて仮係止解除部46bが押し動かされることによって、被係止部46aが係止体26を乗り越えることが可能な位置まで基体41側の根元を支点にした第2被係止体46の撓みを発生させるように形成する。
この例示では、相手方コネクタCに仮係止解除操作の操作部(以下、「解除操作部」という。)Ch1を設け(図1、図6及び図9)、その解除操作部Ch1から仮係止解除操作時の力を作用させる。解除操作部Ch1は、コネクタ嵌合工程でフード21の切欠き21b1に挿入されるように、相手方コネクタCのフードChfの外壁面から突出させる。この解除操作部Ch1は、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の嵌合が進むに連れて、仮係止解除部46bに接触し、この仮係止解除部46bに対して第1直交方向(仮係止状態の解除操作方向)に向けた力を作用させるように形成及び配置する。また、この解除操作部Ch1は、そこから更に嵌合が進むことによって、その力で仮係止解除部46bを第1直交方向へと押し動かすことができるように形成及び配置する。また、この解除操作部Ch1は、完全嵌合状態となったときに、被係止部46aが係止体26を乗り越えることができる位置まで第2被係止体46を押し動かし終えているように形成及び配置する(図9)。例えば、仮係止解除部46bと解除操作部Ch1は、係止体26と被係止部46aとをコネクタ挿抜方向で対向させないように形成してもよい。また、この例示のように係止体26と被係止部46aとがコネクタ挿抜方向で対向する場合(図10)、係止体26と被係止部46aは、コネクタ挿抜方向で接触する部分を互いに面取り等で傾斜させたりして、被係止部46aが係止体26を乗り越えることができるように形成すればよい。
仮係止解除構造53は、その仮係止解除部46bと解除操作部Ch1とで構成する。この仮係止解除構造53においては、検知部材40が組み付けられたコネクタ1(図5)と相手方コネクタCとの間の嵌合が開始した後、解除操作部Ch1がフード21の切欠き21b1に挿入され、その嵌合の進行と共に解除操作部Ch1が仮係止解除部46bに接触する。そして、この仮係止解除構造53においては、その嵌合が進むに連れて、解除操作部Ch1が仮係止解除部46bに対して第1直交方向に向けた力を作用させる。その際、検知部材40においては、第2被係止体46が基体41側の根元を支点にして撓み始める。この検知部材40においては、更に嵌合が進み、コネクタ1と相手方コネクタCとが完全嵌合状態となったときに、被係止部46aが係止体26を乗り越えることができる位置まで、第2被係止体46が基体41に対して撓む(図9及び図10)。このため、被係止部46aは、係止部26aを越えてコネクタ嵌合方向側に動くことができる。従って、検知部材40は、仮係止位置から本係止位置へとハウジング20に対して相対移動することができる。
検知部材40とハウジング20との間には、ハウジング20に対する検知部材40の相対移動方向(コネクタ挿抜方向)への動きを本係止位置で係止する本係止構造54が設けられている(図11)。本係止構造54は、検知部材40のコネクタ嵌合解除方向側への動きを係止する第1本係止構造54Aと、検知部材40のコネクタ嵌合方向側への動きを係止する第2本係止構造54Bと、に大別される。
先ず、第1本係止構造54Aについて説明する。検知部材40は、仮係止状態が解除されてから本係止位置へと移動するまでの間に、解除操作部Ch1から第2被係止体46が離れていくので、この第2被係止体46の撓みが徐々に解消されていく(図6)。ここで、検知部材40が本係止位置まで移動し終えたときには、被係止部46aが係止体26よりもコネクタ嵌合方向側に位置しており、その係止体26と被係止部46aとがコネクタ挿抜方向で互いに対向状態にある(図11)。ここでは、それぞれの係止体26のコネクタ嵌合方向側の端部を係止部26bとして利用し、それぞれの係止部26bで被係止部46aのコネクタ嵌合解除方向側への動きを係止する。第1本係止構造54Aにおいては、その係止部26bと被係止部46aとによって、本係止位置のときに、第1保持体31(ハウジング20)に対する検知部材40のコネクタ嵌合解除方向側への動きを係止する。係止部26bと被係止部46aは、そのときに、コネクタ挿抜方向で互いに接触させてもよく、コネクタ挿抜方向で間隔が空いていてもよい。
次に、第2本係止構造54Bについて説明する。検知部材40においては、仮係止位置から本係止位置まで相対移動することによって、操作体44がハウジング20の壁部25aに近づいていく(図11)。検知部材40は、その相対移動に際して操作体44が壁部25aに接触してしまうと、各部品や各部位の公差ばらつきや組付けばらつきによって、本係止位置まで相対移動できなくなる可能性がある。このため、操作体44は、本係止位置において壁部25aのコネクタ嵌合解除方向側の端部25a1との間にコネクタ挿抜方向で間隔が設けられるように配置する。一方、操作体44と壁部25aとの間においては、その本係止位置での間隔を詰めることによって、操作体44のコネクタ嵌合方向側への動きを壁部25aの端部25a1で係止することができる。従って、ここでは、その本係止位置での操作体44と壁部25aの端部25a1との間隔について、その間隔が詰まって0になったとしても、検知部材40が本係止位置に位置しているとの判断を阻害しない範囲内に設定する。操作体44と壁部25aは、その設定した間隔に基づいて形成及び配置する。これにより、ここでは、その操作体44と壁部25aの端部25a1とを利用して第2本係止構造54Bを構成し、本係止位置での検知部材40のコネクタ嵌合方向側への動きを係止させる。
ところで、このコネクタ1においては、ガイド構造51で検知部材40とハウジング20との間(つまり、基体41と壁体42と突出体43とによって囲まれた検知部材40のガイド溝とハウジング20のアーム31aとの間)に第1直交方向(上記の可撓方向であって、解除操作部Ch1による仮係止状態の解除操作方向及びその逆方向に相当する方向)のガタが存在している場合、検知部材40がハウジング20に対して正規姿勢からずれて傾倒してしまう可能性がある。正規姿勢とは、検知部材40が仮係止状態のときに、仮係止構造52によるコネクタ挿抜方向への相対移動を規制することのできる組付け後のハウジング20に対する検知部材40の姿勢のことである。また、正規姿勢とは、検知部材40の仮係止状態が解除されたときに、本係止位置へとハウジング20に対して検知部材40を相対移動させることができる姿勢のことでもある。また、検知部材40が本係止状態のときに、本係止構造54によるコネクタ挿抜方向への相対移動を規制することのできる組付け後のハウジング20に対する検知部材40の姿勢のことでもある。
例えば、検知部材40がハウジング20に対して正規姿勢からずれた場合には、これが仮係止位置で生じたならば、コネクタ1と相手方コネクタCとが完全嵌合状態になっていないにも拘わらず、仮係止状態が解除されたに相当する状態となり、検知部材40を本係止位置まで相対移動できてしまう可能性がある。また、その検知部材40のずれは、仮係止位置で生じた場合、相手方コネクタCの解除操作部Ch1がコネクタ挿抜方向で仮係止解除部46bにぶつかり、相手方コネクタCを完全嵌合状態となる位置まで挿入することができなくなる可能性がある。また、検知部材40のずれは、本係止位置で生じた場合、本係止状態が解除されたに相当する状態となって検知部材40が仮係止位置側へとずれてしまい、コネクタ1と相手方コネクタCとが完全嵌合状態になっているにも拘わらず、完全嵌合状態になっていないと判断してしまう可能性がある。このように、検知部材40とハウジング20との間の第1直交方向のガタは、コネクタ1と相手方コネクタCとの間の嵌合状態の検知精度を低下させる要因となってしまう虞がある。
そこで、本実施形態のコネクタ1には、その検知部材40とハウジング20との間の第1直交方向のガタ量を0にするガタ詰め構造60を設ける(図2、図5、図6及び図9)。
ガタ詰め構造60は、ハウジング20に設けた第1及び第2の被摺動部61,62と、検知部材40に設けた第1及び第2の接触点63,64と、を備える。ハウジング20においては、第1被摺動部61よりも仮係止状態の解除操作方向側に第2被摺動部62を配置する。このガタ詰め構造60においては、第1被摺動部61に対して仮係止状態の解除操作方向とは逆側に第1接触点63を配置し、この第1接触点63を第1被摺動部61に対して解除操作方向に向けて接触させる。これらの接触形態は、点接触、線接触、面接触等、如何様な形態のものであってもよい。また、このガタ詰め構造60においては、第2被摺動部62に対して仮係止状態の解除操作方向側に第2接触点64を配置し、この第2接触点64を第2被摺動部62に対して解除操作方向とは逆向きに接触させる。これらの接触形態は、点接触、線接触、面接触等、如何様な形態のものであってもよい。このガタ詰め構造60においては、ハウジング20に対して検知部材40を仮係止位置と本係止位置との間で相対移動させる際に、第1接触点63を第1被摺動部61に沿って摺動させ、かつ、第2接触点64を第2被摺動部62に沿って摺動させる。従って、第1及び第2の被摺動部61,62は、コネクタ挿抜方向に沿うようハウジング20に形成する。また、第1接触点63と第2接触点64は、コネクタ挿抜方向で互いにずらして配置する。一方、検知部材40は、少なくとも仮係止位置と本係止位置との間で第1接触点63を第1被摺動部61に接触させ続けることが可能であるが、第1接触点63に対して仮係止状態の解除操作方向とは逆向きに力が加えられた際に、その方向へと第1接触点63がハウジング20に対して相対移動し、第1接触点63を第1被摺動部61から離すことができるように形成する。これにより、検知部材40は、仮係止位置と本係止位置との間において、第1接触点63と第2接触点64とでハウジング20の第1被摺動部61と第2被摺動部62とを挟持し続けることができ、ハウジング20との間の第1直交方向のガタ量が0になるので、ハウジング20に対しての正規姿勢を保ち続けることができる。
この例示では、第1保持体31に第1被摺動部61を設けると共に、突出体43に第1接触点63を設ける(図2及び図5)。
例えば、第1被摺動部61は、第1保持体31の片部31dにおける仮係止状態の解除操作方向とは逆側の壁部(第1壁部)に設ける。ここでは、アーム31aにおける仮係止状態の解除操作方向とは逆側の端部31a1の少なくとも一部を第1被摺動部61として利用する。この第1被摺動部61は、それぞれのアーム31aに設ける。そのアーム31aの端部31a1は、少なくとも第1被摺動部61として利用する部分が第1直交方向(仮係止状態の解除操作方向及びその逆方向に相当する方向)に対する直交平面となるように形成する。この例示の第1被摺動部61は、少なくとも仮係止位置と本係止位置との間で第1接触点63が接触し続けられるように、その直交平面をコネクタ挿抜方向に延在させる。
そのアーム31aの端部31a1には、検知部材40の突出体43が第1直交方向で向かい合っている。このため、第1接触点63は、突出体43に設ける。具体的に、この例示では、この突出体43における仮係止状態の解除操作方向側の端部を第1接触点63として利用する。この第1接触点63は、それぞれの突出体43に設ける。従って、アーム31aの端部31a1においては、少なくとも第1接触点63の仮係止位置と本係止位置との間における相対移動の範囲内に第1被摺動部61を設定する。つまり、この例示のハウジング20と検知部材40において、アーム31aの第1被摺動部61と突出体43の第1接触点63は、少なくとも仮係止位置と本係止位置との間で第1接触点63を第1被摺動部61に接触させ続けることができるように形成及び配置する。
また、この例示では、第1保持体31に第2被摺動部62を設けると共に、第1被係止体45に第2接触点64を設ける(図5、図6及び図9)。
第2被摺動部62は、第1保持体31の片部31dにおける仮係止状態の解除操作方向側の壁部(第2壁部)31d1(図3)に設ける。この例示では、その壁部31d1に、解除操作方向に向けて突出させた被摺動体31hを設ける(図3)。第2被摺動部62は、その被摺動体31hの解除操作方向側の端部に設ける。そして、被摺動体31hは、解除操作方向側の端部における少なくとも第2被摺動部62として利用する部分を第1直交方向に対する直交平面となるように形成する。この例示の第2被摺動部62は、少なくとも仮係止位置と本係止位置との間で第2接触点64が接触し続けられるように、その直交平面をコネクタ挿抜方向に延在させる。
その被摺動体31hの解除操作方向側の端部には、検知部材40における仮係止状態の解除操作方向とは逆側の端部(つまり、第1被係止体45の一方の平面45a)が第1直交方向で向かい合っている。このため、第2接触点64は、この第1被係止体45の平面45a側に設ける。具体的に、この例示では、その平面45aで第1被係止体45に連なる当接体45cを設け(図5から図7及び図9)、この当接体45cに第2接触点64を設ける。この例示の当接体45cは、平面45aから解除操作方向とは逆向きに突出させた突出体であり、その解除操作方向とは逆側の端部を第2接触点64として利用する。この例示の当接体45cは、その平面45aのコネクタ嵌合解除方向側の端部に配置する。また、この例示の当接体45cは、第2直交方向に延在させた柱状のものであり、解除操作方向とは逆側の端部が弧状面となるように膨出させている。被摺動体31hの解除操作方向側の端部においては、少なくとも第2接触点64の仮係止位置と本係止位置との間における相対移動の範囲内に第2被摺動部62を設定する。つまり、この例示のハウジング20と検知部材40において、被摺動体31hの第2被摺動部62と第1被係止体45側の第2接触点64は、少なくとも仮係止位置と本係止位置との間で第2接触点64を第2被摺動部62に接触させ続けることができるように形成及び配置する。
尚、第2接触点64は、第1被係止体45におけるコネクタ嵌合解除方向側の端部そのものを利用してもよい。この場合、第1被係止体45は、基体41のコネクタ嵌合解除方向側の端部からコネクタ嵌合解除方向に向け且つ被摺動体31hの解除操作方向側の端部(第2被摺動部62)に向けて斜めに突出させ、仮係止位置と本係止位置との間で、その突出側の端部(つまり、コネクタ嵌合解除方向側の端部)を第2被摺動部62に接触させるように形成する。このように構成しても、被摺動体31hの第2被摺動部62と第1被係止体45の第2接触点64は、仮係止位置と本係止位置との間で第2接触点64を第2被摺動部62に接触させ続けることができる。
この例示の検知部材40は、仮係止位置と本係止位置との間において、2箇所の第1接触点63を2箇所の第1被摺動部61に各々接触させ続けることができると共に、第2接触点64を第2被摺動部62に接触させ続けることができるので、その第1接触点63と第2接触点64とで第1保持体31における第2直交方向側のそれぞれの端部を挟持し続けることができる。従って、この検知部材40は、仮係止位置と本係止位置との間において、ハウジング20との間の第1直交方向のガタ量が0になるので、ハウジング20に対しての正規姿勢を保ち続けることができる。よって、このコネクタ1は、相手方コネクタCとの嵌合状態の検知精度を高めることができる。
ここで、この検知部材40において、基体41は、第1接触点63に対して仮係止状態の解除操作方向側に配置されたものであり、かつ、片部31dの解除操作方向側の壁部31d1(ハウジング20における第1被摺動部61よりも解除操作方向側に位置する壁部)に対して解除操作方向に間隔を空けて配置されたものである。また、この検知部材40において、壁体42は、基体41と第1接触点63とを繋ぐ連結体(第1連結体)であるといえる。この壁体42(第1連結体)は、先に示したように、基体41における第2直交方向で互いに間隔を空けて複数配置しており、各々が第1接触点63を有している。また、この検知部材40において、第1被係止体45は、片部31dの解除操作方向側の壁部31d1に対して解除操作方向に間隔を空けて配置されたものであり、基体41と第2接触点64とを繋ぐ連結体(第2連結体)であるといえる。
本実施形態のコネクタ1においては、そのような検知部材40に、基体41を解除操作方向とは逆向きに動かして片部31dの壁部31d1に近づけることができるように可撓性を持たせる。例えば、作業者等は、その方向に操作体44を介して基体41を押し動かすことができる。検知部材40においては、その基体41の片部31d(ハウジング20)に対する相対移動に応じて、それぞれの壁体42と共に突出体43も片部31d(ハウジング20)に対して同じ向きに相対移動する。この例示の検知部材40では、その基体41及び操作体44に対する押し込み操作によって、基体41の平面41aと片部31dの壁部31d1との間隔が詰まると共に、第1被係止体45の平面45aと片部31dの壁部31d1との間隔も詰まりながら、突出体43が片部31d(ハウジング20)に対して相対移動することができる。一方、この検知部材40は、その押し込み操作を止めることによって、その操作前の元の形状に戻ろうとする。従って、この検知部材40と第1保持体31は、各部品や各部位の公差ばらつきや組付けばらつきの積み上げが最大となり、設計上の最大のばらつきになったとしても、その押し込み操作を止めた後で、突出体43の第1接触点63が片部31dにおけるアーム31aの第1被摺動部61に接触するように形成する。
例えば、この例示の検知部材40は、第2被係止体46側からハウジング20に近づけながら第2被係止体46を収容空間25に挿入し始め、この第2被係止体46が収容空間25に概ね入り込んだ時点で、基体41及び操作体44を片部31dの壁部31d1側に押し込む。その基体41及び操作体44については、それぞれの突出体43が片部31dを乗り越えて操作溝24の操作空間24a側から可動空間24b側へと移るように押し込んでいく。
ここで、検知部材40は、ガタ詰め構造60によって、それぞれの突出体43の第1接触点63と第1被係止体45側の第2接触点64とで片部31d(アーム31a)を挟持させるように設定している。このため、検知部材40は、各部品や各部位の公差ばらつきや組付けばらつきによって、例えば、双方の突出体43が片部31dを乗り越えることができずに、ハウジング20に組み付けることができなかったり、第1被摺動部61と第1接触点63との間に隙間が生じて、片部31d(アーム31a)に対する挟持状態を作り出すことができなかったりする可能性がある。
しかしながら、本実施形態の検知部材40は、上記の如き撓みの発生が許容されている。このため、この検知部材40においては、基体41及び操作体44を押し込んだときに、第2接触点64が第2被摺動部62に接触したままで、基体41の平面41a及び第1被係止体45の平面45aと片部31dの壁部31d1との間隔が詰まるように撓み、可動空間24bに入り込んだ突出体43の第1接触点63が片部31dにおけるアーム31aの第1被摺動部61から離れていく。そして、この検知部材40においては、その基体41及び操作体44に対する押し込み操作を止めた際に、その操作前の元の形状に戻りながら、第1接触点63を第1被摺動部61に接触させることができる。これにより、この検知部材40は、それぞれの突出体43の第1接触点63と第1被係止体45側の第2接触点64とで片部31d(アーム31a)が挟持されるように第1保持体31に組み付けることができる。
このように、本実施形態のコネクタ1は、検知部材40のハウジング20に対する組付け作業性を低下させることなく、検知部材40とハウジング20との間の第1直交方向のガタ量を0にすることができる。従って、このコネクタ1は、検知部材40の簡便な組付け作業性を確保しつつも、検知部材40によるコネクタ1と相手方コネクタCとの間の嵌合状態の検知精度を高めることができる。
[変形例]
本変形例のコネクタ2は、実施形態のコネクタ1に対して以下の点を変えたものである。尚、本変形例では、説明の便宜上、実施形態のコネクタ1と同等の機能を有するものについて、多少の形状の相違があるものも含め、同じ符号を付して、その説明を適宜省略する。
本変形例のコネクタ2は、実施形態のコネクタ1と同じように、端子10とハウジング20と検知部材140とを備える(図12から図19)。端子10は、実施形態のコネクタ1と同じものを用いる。一方、ハウジング20と検知部材140は、実施形態のコネクタ1と比較して、次のように変えている。
ハウジング20は、実施形態のハウジング20と同じように、間に環状空間部23が形成されたフード21と端子収容体22A(複数の端子収容室22)とを備え、相手方コネクタCとの嵌合状態が保持構造30を介して保持される。但し、本変形例のハウジング20は、その検知部材140の形状に合わせて、実施形態のハウジング20に対して形状を適宜変えている。
検知部材140は、実施形態のコネクタ1と同じように、ハウジング20の操作溝124と収容空間25とに配置される。この検知部材140は、その操作溝124において、下記の操作体44を介したコネクタ挿抜方向への相対移動操作が行われる。また、収容空間25には、実施形態のハウジング20と同じように、それぞれの側壁部25bに係止体26が設けられている。
この検知部材140は、実施形態の検知部材40と同じように配置された基体41と壁体42と突出体43と第1被係止体45と第2被係止体46とを備えたものであり、実施形態の検知部材40と同じようにしてハウジング20に組み付けられる。但し、この検知部材140は、第1被係止体45の突出側の端部に操作体44を配置している。
本変形例のコネクタ2においても、この検知部材140とハウジング20との間には、実施形態のコネクタ1と同じように、基体41と壁体42と突出体43とによって囲まれたガイド溝51A(図18)及び第1保持体31のそれぞれのアーム31aを利用したガイド構造51が設けられている。従って、検知部材140は、実施形態のコネクタ1と同じように、ハウジング20に対するコネクタ挿抜方向への相対移動が仮係止位置と本係止位置との間で案内される。
また、本変形例のコネクタ2においては、実施形態のコネクタ1と同じように、検知部材140とハウジング20との間に、第2被係止体46の被係止部46a(図18)と係止体26の係止部26a(図16)とを利用した第2仮係止構造52Bが設けられている。従って、検知部材140は、仮係止位置において、コネクタ嵌合方向側への動きが係止される。
また、本変形例のコネクタ2においては、実施形態のコネクタ1と同じように、第2被係止体46の仮係止解除部46b(図16及び図17)と相手方コネクタCの解除操作部Ch1(図17)とを利用した仮係止解除構造53が設けられている。従って、検知部材140は、コネクタ1と相手方コネクタCとが完全嵌合状態となったときに、仮係止状態が解除されるので、仮係止位置から本係止位置へとハウジング20に対して相対移動することができる。
また、本変形例のコネクタ2においては、実施形態のコネクタ1と同じように、第2被係止体46の被係止部46a(図18)と係止体26の係止部26b(図16)とを利用した第1本係止構造54Aが設けられている。従って、検知部材140は、本係止位置において、コネクタ嵌合解除方向側への動きが係止される。
尚、本変形例のコネクタ2においても、検知部材140とハウジング20との間には、仮係止位置で検知部材140のコネクタ嵌合解除方向側への動きを係止する第1仮係止構造や、本係止位置で検知部材140のコネクタ嵌合方向側への動きを係止する第2本係止構造を設けることが望ましい。
また、本変形例のコネクタ2においては、実施形態のコネクタ1と同じように、仮係止位置と本係止位置との間において、2箇所の第1接触点63を2箇所の第1被摺動部61に各々接触させ続けることができると共に、第2接触点64を第2被摺動部62に接触させ続けることができるガタ詰め構造60が設けられている。従って、検知部材140は、仮係止位置と本係止位置との間において、ハウジング20との間の第1直交方向のガタ量が0になるので、ハウジング20に対しての正規姿勢を保ち続けることができる。よって、このコネクタ2は、相手方コネクタCとの嵌合状態の検知精度を高めることができる。
また、本変形例のコネクタ2においては、本係止位置で第1被係止体45のコネクタ嵌合解除方向側の端面がハウジング20のコネクタ嵌合解除方向側の端面と面一になるように、その第1被係止体45を基体41から突出させている(図17)。このため、本変形例のコネクタ2においては、その面一状態に基づいて、コネクタ間が完全嵌合状態になったと作業者等が判断することができる。
ここで、検知部材140においては、その第1被係止体45の第2直交方向における両端に、コネクタ挿抜方向に延在させた溝147が各々形成されている(図12、図14、図15、図18及び図19)。一方、ハウジング20においては、操作溝124を成す空間構成要素としてのそれぞれの側壁124a(図12及び図14)に突出体127が設けられている。一方の突出体127は、他方の突出体127に向けて突出させたものである。この例示の突出体127は、方体状に形成している。それぞれの溝147とそれぞれの突出体127は、検知部材140がハウジング20に組み付けられた際(つまり仮係止位置のとき)に溝147の中に突出体127が収容され、検知部材140が仮係止位置から本係止位置へと相対移動するまでの間、突出体127が溝147の中に収容されたままお互いがコネクタ挿抜方向で相対移動することができるように、お互いを形成及び配置する。
そのそれぞれの溝147とそれぞれの突出体127は、コネクタ挿抜方向と第2直交方向とに対する交差方向(第1直交方向を含む)において、溝147の壁部を突出体127で係止することができる。従って、それぞれの溝147とそれぞれの突出体127は、仮係止位置から本係止位置までの間で、その交差方向に向けた検知部材140のハウジング20に対する動きを係止する係止構造170を成している。このため、本変形例のコネクタ2においては、検知部材140の第1被係止体45が仮係止位置のときにハウジング20から突出しているが、このときに、ハウジング20から引き出されている電線WHが検知部材140に接触したりするなどの外部からの力が加わったとしても、それぞれの突出体127でそれぞれの溝147の壁部が係止されるので、検知部材140のハウジング20からの離脱等を抑制することができる。
ここで、それぞれの溝147とそれぞれの突出体127は、検知部材140に対して上記の外部からの力が加わった際に、検知部材140からハウジング20の第1保持体31に対して過大な負荷が加わる前に互いを接触させるように形成及び配置することが望ましい。これにより、このコネクタ2においては、検知部材140やハウジング20の耐久性を向上させることができるので、検知部材140によるコネクタ間の嵌合状態の検知性能や第1保持体31による保持構造30の動作を確保することができる。
また、それぞれの溝147とそれぞれの突出体127においては、溝147のコネクタ嵌合方向側の壁部と突出体127のコネクタ嵌合方向側の壁部とがコネクタ挿抜方向で互いに向かい合っている。このため、ここでは、その壁部同士の本係止位置での間隔を詰めることによって、それぞれの溝147とそれぞれの突出体127とを第2本係止構造として利用し、本係止位置で検知部材140のコネクタ嵌合方向側への動きを係止させてもよい。