以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
(第1実施形態)
本発明における第1実施形態では、2つの中間金型を用いた樹脂モールド方法(2ステップ成形法)によって、本装置における最終工程までが行われたモールド成形品(以下、「最終成形品」ともいう)を成形する場合について説明する。すなわち、本発明における最終成形品とは、樹脂モールド装置から取り出された状態のワークをいい、例えば、半導体装置(半導体パッケージ)として成形(製造)されるものである。
まず、本実施形態における樹脂モールド方法に用いられる樹脂モールド金型を備えた樹脂モールド装置について図面を参照して説明する。図1は、樹脂モールド装置100の要部(主に樹脂モールド金型10)の模式的断面図である。図1中の一点鎖線は、境界線として示されている。また、図2は、樹脂モールド対象のワークWの模式的平面図である。図2中のA−A線は、図1に示すワークWの断面箇所として示されている。
樹脂モールド装置100は、量産用の場合、図示しない供給部と収納部との間に、少なくとも一つのプレス部を備えて構成される。樹脂モールド装置100は、このプレス部にて樹脂モールド金型10を備えている。供給部では、ワークWや樹脂R(例えば、タブレット状、顆粒状あるいは液状のモールド樹脂)をプレス部へ供給する準備、処理がされる。収納部では、樹脂モールド成形されたワークWを収納する準備、処理がされる。供給部、プレス部、収納部間のワークWや樹脂Rの搬送には、プレス部への搬入を行うローダ(図示せず)と、プレス部からの搬出を行うアンローダ(図示せず)が用いられ、これらは公知の機構で構成される。
ワークWは、基板101(例えば、配線基板)上にチップ部品102(例えば、CPUなどの半導体チップ)およびコンポーネント103(例えば、チップコンデンサなどの電子部品)が搭載されたものである。チップ部品102は、マトリクス状に配置されたバンプ104(図2中、透視した状態で示す。)を介して基板101とフリップチップ接続されている。このため、基板101とチップ部品102との間には、狭隘な箇所(バンプ高さ分や狭ピッチのバンプ間のギャップ)が形成されることとなる(図1参照)。後述するが、基板101上のチップ部品102に対して、樹脂モールド金型10を用いてアンダーフィル工程(モールドアンダーフィル:Mold Under Fill)を行う。
なお、ワークWとして、TSV(Through Silicon Via)のような技術を用いることで積層搭載可能に構成されたチップ部品102を複数積層して基板101に搭載してもよい。また、チップ部品102の上に放熱のための熱伝導体や透光のための透明部材のような他の部材を積層したものを用いてもよい。また、コンポーネント103に変えて、導電バンプやはんだボールのような導電部材をチップ部品102の周囲に配置し、これらもクランプした状態で後述する成形を行ってもよい。
図1に示すように、樹脂モールド金型10は、型開き・型締め(型閉じ)可能に対向して配置された上型11(第1金型)および下型12(第2金型)と、上型11と下型12との間でクランプされる(挟まれる)プレート状の中間金型20とを備えている。本実施形態では、樹脂モールド金型10は、中間金型20として交換可能な第1中間金型20A(図5参照)および第2中間金型20B(図8参照)を備える。
後述するが、第1中間金型20Aと第2中間金型20Bとは、特に、第1中間金型20Aのキャビティ孔22の大きさが、第2中間金型20Bのキャビティ孔22の大きさよりも小さいという点が相違する。以下では、第1中間金型20Aと第2中間金型20Bについて、共通事項の説明には中間金型20で説明し、相違する事項の説明にはそれぞれで説明する。
プレート状の中間金型20は、上型11、下型12と同じ材料から構成されるものを用いることが、熱膨張係数のミスマッチを防止する点で好ましい。例えば、中間金型20には、一般的なステンレス鋼(鋼材)、チタン、ニッケル、銅などの各種合金のような金属材料を用いることができる。なお、その他にも中間金型20には、耐熱性や耐摩耗性の高いポリイミド樹脂やエンジニアリングプラスチックのような樹脂材料やセラミック材を用いることもできる。
樹脂モールド金型10では、上型11を固定型とし、下型12を可動型(駆動型)とした場合、上型11および下型12は、それぞれ図示しない固定プラテンおよび可動プラテンに固定して組み付けられる。この場合、樹脂モールド金型10は、駆動源(電動モータ)により駆動する駆動伝達機構(トグルリンクなどのリンク機構若しくはねじ軸など)を介して可動プラテンを昇降させる公知の型締め機構によって、型開閉が行われる。このため、下型12の昇降動作について、移動速度や加圧力などを任意に設定することができる。
図1に示すように、樹脂モールド金型10では、上型11と下型12とで中間金型20をクランプした状態で型締めして、ポット13、カル14、ランナゲート15、成形キャビティ16、スルーゲート17、ダミーキャビティ18、エアベント19の順で連通(接続)される連通路が形成される。そして、樹脂モールド金型10では、ポット13から圧送されて成形キャビティ16に充填された樹脂Rが熱硬化される。なお、本実施形態では、樹脂モールド金型10は、ポット13を中心として左右対称の構成となっており、図1では、ポット13を中心として左側の構成を示しており、右側に同図構成を反転した構成が設けられている。なお、樹脂モールド金型10として、ポット13を中心として左右対称の構成とせずに、ポット13の一方側のみに同図に示す構成を備えていてもよい。
図1に示すように、上型11は、上型ベースブロック30と、上型クランパブロック31と、上型キャビティブロック32と、スプリング33とを備えている。上型ベースブロック30下面(下型12側の面)には、一枚板状の上型クランパブロック31がこの上面で固定して組み付けられている。この上型クランパブロック31の下面は、上型11のパーティング面(クランプ面)を構成する。
上型クランパブロック31には、厚さ方向に貫通して形成された貫通孔34が設けられている。上型クランパブロック31の貫通孔34内の上型ベースブロック30下面には、弾性体であるスプリング33の一端が固定して組み付けられている。スプリング33の他端には、上型キャビティブロック32がこの上面側で固定して組み付けられている。このため、上型キャビティブロック32は、上型クランパブロック31の貫通孔34内で上下動可能となるように、上型ベースブロック30にスプリング33によって吊り下げ支持されている。換言すれば、上型キャビティブロック32はスプリング33により上型ベースブロック30に弾性的に支持されることとなる。この上型キャビティブロック32の下面35(下型12側の面)は、上型11のパーティング面を構成し、また、成形キャビティ16の一面(底面または天面)を構成する。
なお、スプリング33に変えて、皿バネなどの各種バネを用いてもよい。また、上型キャビティブロック32を弾性的に支持する構成に替えて、一対のくさびの斜面を向い合わせに配置し一方のくさびを移動させることで全体の厚みを可変に構成されたくさび機構により上型キャビティブロック32を上下動可能な構成としてもよい。
また、上型クランパブロック31下面には、カル14を構成する凹部36およびダミーキャビティ18を構成する凹部37が設けられている。これら凹部36、37の内面は、上型11のパーティング面を構成する。なお、凹部36、37の壁面(側面)は、離型のためそれぞれ開口部から底部へ向かって縮径するようなテーパ状となっている。
上型キャビティブロック32の下面、凹部36、37を含む上型11のパーティング面には、リリースフィルム40が張設される。具体的には、例えば、長尺状のリリースフィルム40は、ロール状に巻き取られた繰出しロールから引き出されて上型11のパーティング面を通過して巻取りロールへ巻き取られるように設けられる。そして、リリースフィルム40は、上型11のパーティング面に上型キャビティブロック32と上型クランパブロック31の隙間や図示しない吸引路を利用した公知の吸引機構により吸着保持されるようになっている。
リリースフィルム40を設けない構成とすることもできるが、リリースフィルム40を介すことで、上型11から容易に成形品(ワークW)を取り出すことができる。また、上型キャビティブロック32を上下動可能とした場合には、リリースフィルム40を用いることで、上型クランパブロック31と上型キャビティブロック32の隙間からの樹脂漏れをより確実に防止することができる。また、チップ部品102の端面の保護とフラッシュばりの防止も可能となる。このため、配線部や発光部を端面に有するチップ部品102を用いるときに確実に露出させるように成形することができる。
なお、リリースフィルム40を設けない構成とするときには、上型クランパブロック31と上型キャビティブロック32との隙間を塞ぐように、これらの間にシール機構を設けることができる。このシール機構として、例えば上型キャビティブロック32の外周に溝部を形成すると共に、この溝部に金型の材質よりも線膨張係数の大きい樹脂材などで構成されて加熱により拡大して隙間を塞ぐシール材を備える構成とすることができる。
リリースフィルム40は、樹脂モールド金型10の加熱温度に耐えられる耐熱性を有するもので、上型11のパーティング面から容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するフィルム材である。リリースフィルム40としては、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジンなどが好適に用いられる。
図1に示すように、下型12は、下型ベースブロック(図示せず)と、下型クランパブロック41と、ワーク支持ブロック42(ワーク支持部)と、板厚調整機構部43と、スプリング47とを備えている。下型ベースブロックの上面(上型11側の面)には、一枚板状の下型クランパブロック41がその下面で固定して組み付けられている。この下型クランパブロック41の上面は、下型12のパーティング面(クランプ面)を構成する。
下型クランパブロック41には、厚さ方向に貫通して形成された貫通孔44、45が設けられている。下型クランパブロック41の貫通孔44内には、樹脂Rが供給される筒状のポット13が固定して組み付けられている。ここで、ポット13の上端面と下型クランパブロック41のパーティング面とは面一となっている。ポット13内には公知のトランスファ駆動機構(図示せず)により上下動可能なプランジャ46が設けられている。
トランスファ駆動機構は、例えば、プランジャ46の軸にかかる圧力を検出する圧力センサを備えて構成される。この圧力センサの圧力値は、ポット13内のプランジャ46のヘッド部に樹脂Rから受けた圧力値に相当する。また、トランスファ駆動機構は、この圧力センサを介してプランジャ46の軸に連結されたボールネジ(図示せず)と、このボールネジを回転させるサーボモータ(図示せず)と、このサーボモータの回転数を検出するエンコーダと(図示せず)を備えて構成される。このエンコーダの回転数は、ポット13内のプランジャ46の駆動量(移動量)に相当する。このプランジャ46の駆動量により、樹脂モールド金型10内において流動していく樹脂の先端位置が推定可能であり、後述する制御に用いられる。
下型クランパブロック41の貫通孔45内の下型ベースブロック上面には、スプリング47の一端が固定して組み付けられている。スプリング47の他端には、ワーク支持ブロック42がその下面側で固定して組み付けられている。このため、ワーク支持ブロック42は、下型クランパブロック41の貫通孔45内で上下動可能となるように、フローティング支持されている。このワーク支持ブロック42の上面は、下型12のパーティング面を構成し、また、ワークWの載置面を構成する。なお、図1では樹脂モールド金型10は型締めした状態であってワーク支持ブロック42が板厚調整機構部43と接しているが、型開きした状態では、ワーク支持ブロック42が板厚調整機構部43から離隔(フローティング)していてもよい。
この場合、スプリング47は、上型11に設けられるスプリング33より弾性力が小さく設定される。具体的には、ワークWおよびワーク支持ブロック42に対して、スプリング33によって加えられる力が、スプリング47によって付勢される力よりも大きい。これにより、型締めの際に下型3を上昇させることでスプリング33を撓ませずにスプリング47を撓ませることができ、ワークW(基板101)の板厚に拘わらず均一な高さ位置でワークWをクランプすることができる。すなわち、チップ部品102の裏面(バンプ104形成面の反対面)に対して、上型キャビティブロック32のパーティング面がリリースフィルム40を介してクランプ力を作用し続けることができる。
スプリング47に支持されたワーク支持ブロック42と下型ベースブロックとの間には、界面が互いにテーパ面(傾斜面)に形成された板厚調整ブロック43a、43bが重ね合わせて設けられている。具体的には、板厚調整ブロック43a、43bは、断面視奥行き方向(紙面垂直方向)に厚みの異なるブロックを組み合わせることで、全体の厚みが断面視奥行き方向に均一になるようにウエッジ構成されている。この上下段に重ね合わせた板厚調整ブロック43a、43bのうち一方をエアシリンダ、モータなどの駆動源によりスライド可能として、板厚調整機構部43が設けられている。
これにより、下型12を上昇させることで上型キャビティブロック32(スプリング33)によってワーク支持ブロック42を押し下げる力が加わっても板厚調整機構部43のウエッジ構造で所定高さに支持固定することができる。すなわち、上型キャビティブロック32によってワーク支持ブロック42が過度に押し下げられないようにしている。
図1に示すように、中間金型20は、カル14を構成する、厚さ方向に貫通して形成されたカル孔21(貫通孔)を有している。カル孔21は、ポット13と凹部36との間でそれらと連通して設けられている。カル孔21の凹部36側の開口部は、平面視において凹部36の開口部領域内に存在している。そして、カル孔21の壁面(側面)は、ポット13側の開口部から凹部36側の開口部へ向かって拡径するようなテーパ状となっている。したがって、中間金型20のカル孔21は、ポット13から凹部36へ樹脂Rを拡げて圧送しやすくするものとなっている。また、カル孔21は、中間金型20から不要な成形樹脂Rx1を上方へ取り出しやすくするものとなっている(図5参照)。
また、中間金型20は、成形キャビティ16の側面を構成する、厚さ方向に貫通して形成されたキャビティ孔22(貫通孔)を有している。キャビティ孔22は、ワーク支持ブロック42と上型キャビティブロック32との間に配置されるように形成されている。キャビティ孔22の上型キャビティブロック32側の開口部は、平面視において上型キャビティブロック32のパーティング面内に存在している。そして、キャビティ孔22の側壁(側面)は、ワーク支持ブロック42側の開口部から上型キャビティブロック32側の開口部へ向かって縮径するようなテーパ状となっている。換言すれば、キャビティ孔22はワークWに向けて拡径するような形状に形成されている。
したがって、中間金型20のキャビティ孔22は、後述するように中間金型20とワークWとを重ね合わせる際にチップ部品102を挿入しやすく、かつ、チップ部品102の破損を防止するようになっている(図1参照)。また、中間金型20のキャビティ孔22は、中間金型20から第1成形品R1(第1樹脂モールド部)が形成されたワークWを下方へ取り出しやすくするものとなっている(図5参照)。
また、中間金型20は、ダミーキャビティ18を構成する、厚さ方向に貫通して形成されたダミーキャビティ孔23(貫通孔)を有している。ダミーキャビティ孔23は、下型クランパブロック41と凹部37との間に設けられている。ダミーキャビティ孔23の凹部37側の開口部は、平面視において凹部37の開口部領域内に存在している。そして、ダミーキャビティ孔23の壁面(側面)は、下型クランパブロック41側の開口部から凹部37側の開口部へ向かって拡径するようなテーパ状となっている。したがって、中間金型20のダミーキャビティ孔23は、中間金型20から不要な成形樹脂Rx2を上方へ取り出しやすくするものとなっている(図5参照)。なお、ダミーキャビティ孔23は、キャビティ孔22とは異なり必ずしも設ける必要は無い。
後述するが、樹脂モールド金型10では、成形キャビティ16から樹脂Rをエアと共にダミーキャビティ18に圧送して、成形キャビティ16内充填された樹脂Rのエアが残らないようにさせる。そこで、本実施形態では、ダミーキャビティ18として、中間金型20にダミーキャビティ孔23を設けることで、成形キャビティ16内を通過させる樹脂Rの量を増加させて、エアをより確実に排出させている。
また、第1中間金型20Aは、型締めの際に、ワークWのコンポーネント103を収容する、下型12側のパーティング面に形成された凹部24を有している。図2に示すように、コンポーネント103は、チップ部品102の周囲(外周)に沿って複数設けられている。このため、凹部24は、各コンポーネント103をすべて収容するように、平面視リング状の長溝から構成されてもよいし、各コンポーネント103のそれぞれを収容するように、複数個から構成されてもよい。
また、中間金型20は、ランナゲート15を構成する、上型11側のパーティング面に沿って一定の深さで形成された第1溝25(ランナ溝)を有している。第1溝25は、一端が凹部36の開口部周縁と連通するように、また、他端がキャビティ孔22の側壁と連通するように形成されている。したがって、中間金型20の第1溝25は、側壁が拡径された凹部36(カル14)から圧送されてくる樹脂Rを成形キャビティ16(キャビティ孔22)へ送り出すもの(ランナゲート15)となっている。このため、ランナゲートを基板101上に設ける必要がないため、基板101端面からの樹脂漏れを防止すると共に、基板101上をランナゲート15の形状の樹脂Rを残すことなく成形することが可能となる。
また、中間金型20は、スルーゲート17を構成する、上型11側のパーティング面に沿って一定の深さで形成された第2溝26(ランナ溝)を有している。第2溝26は、一端がキャビティ孔22の側壁と連通するように、また、他端が凹部37の開口部周縁と対向して連通する(直接ダミーキャビティ孔23に連通しない)ように形成されている。したがって、中間金型20の第2溝26は、成形キャビティ16(キャビティ孔22)から圧送されてくる樹脂Rをダミーキャビティ18(凹部37)へ送り出すもの(スルーゲート17)となっている。このため、スルーゲートを基板101上に設ける必要がないため、基板101端面からの樹脂漏れを防止すると共に、基板101上にスルーゲート17の形状の樹脂Rを残すことなく成形することが可能となる。
また、中間金型20は、エアベント19を構成する、上型11側のパーティング面に沿って一定の深さで形成された第3溝27(エアベント溝)を有している。第3溝27は、一端が凹部37の開口部周縁と対向して連通するように、また、他端が中間金型20の側壁(外周側面)と連通するように形成されている。したがって、中間金型20の第3溝27は、成形キャビティ16、ダミーキャビティ18を含む連通路中のエアを排出するもの(エアベント19)となっている。
図1に示すように、樹脂モールド金型10は、連通路において成形キャビティ16に対して下流側からエアを吸引するエア吸引機構部50(例えば、真空ポンプ)と、シール部51と、吸引路52とを備えている。シール部51は、下型12のパーティング面の周縁部において型外形に沿って平面視リング状に設けられており、上型11と下型12とを型締めした際に、すなわち中間金型20の外側面側に連通路(気密領域)を形成する。この気密領域に一端が連通する吸引路52が、下型クランパブロック41に設けられている。そして、吸引路52の他端がエア吸引機構部50と連通して設けられている。したがって、エアベント19とエア吸引機構部50とは、気密領域および吸引路52を介して連通している。
図1に示すように、樹脂モールド金型10は、可動ピン53を含んで構成されている樹脂止め機構部を備えている。可動ピン53は、上型クランパブロック31に貫通状態であって一端が第3溝27に対面し、エアベント19の中途部に進退動(上下動)可能に設けられている。また、可動ピン53は、一端がエアベント19(第3溝27)に進入して開閉可能な寸法に形成することができる。可動ピン53は、例えば、上型ベースブロック30内に設けられた弾発材のコイルスプリング(図示せず)によりエアベント19から一端が離隔する方向に他端が付勢された状態で設けられている。そして、可動ピン53は、中継ピン(図示せず)を介して可動ピン作動用アクチュエータによりエアベント19への進退動作が制御可能に構成される。
このような構成からなる樹脂止め機構部は、可動ピン53を下方(下型12方向)に動かして、エアベント19(第3溝27)内に可動ピン53を進入させることによってエアベント19を閉塞し、連通路内を圧送されてきた樹脂Rを堰き止める。他方、樹脂止め機構部は、可動ピン53を上方に動かして(コイルスプリングの付勢力によって離隔される)、エアベント19(第3溝27)外に可動ピン53を退出させることによってエアベント19を開放させる。
ここで、樹脂モールド装置100は、樹脂モールド金型10の動作を制御する制御部60を備える。この制御部60は、トランスファ駆動機構から送信されたプランジャ46の駆動量情報および圧力情報のうちの少なくとも1つに基づいて、可動ピン53の可動ピン作動用アクチュエータの動作およびエア吸引機構部50の動作を制御する。なお、図1では、プランジャ46、可動ピン53、エア吸引機構部50に制御部60の符号を付している。
制御部60は、例えば、記憶部に処理プログラムが組み込まれた演算処理装置で構成することができる。記憶部には、プランジャ46の駆動量から、成形キャビティ16などの連通路内での樹脂Rの到達位置を特定可能な位置特定情報が記憶されている。制御部60は、この位置特定情報を用いることで、プランジャ46の位置に基づいて特定される樹脂Rの到達位置に応じた制御処理を実行することが可能となっている。
次に、本実施形態におけるワークWに対する樹脂モールド方法(2ステップ成形法)について図面を参照して説明する。図1、図3〜図8は、使用状態における樹脂モールド装置100の要部の模式的断面図であり、樹脂モールド工程中のワークWが示されている。2ステップ成形法では、例えば、第1中間金型20Aを用いた第1ステップとして、フィラー径の小さい低粘度で流動性の高い樹脂を狭隘な箇所へ樹脂充填(アンダーフィル)し、第2中間金型20Bを用いた第2ステップとして、フィラー径の大きい高粘度で強度の高い樹脂で最終成形品の保形性を確保することができる。
まず、樹脂モールド金型10が型開きした状態(図4に示すような上型11と下型12とが離隔した状態)では、ワーク支持ブロック42のパーティング面は、その周囲の下型クランパブロック41のパーティング面より若干下方の位置にある。このような状態において、基板101にフリップチップ接続されたチップ部品102をワークWとして樹脂モールド金型10に供給(搬入)し、ワーク支持ブロック42のパーティング面上にワークW(基板101)を載置する(図1参照)。このときのワークWの基板101上面が下型クランパブロック41のパーティング面より若干上方の位置にくるように、ワーク支持ブロック42が組み付けられている。また、ワーク支持ブロック42(下型12)では、チップ部品102を上型11側に向けてワークWを支持する。
また、型開きした状態では、可動ピン53をエアベント19内から待避させておき、上型11のパーティング面でリリースフィルム40が吸着保持される。また、型開きした状態では、プランジャ46のヘッド部が下方(後退)した位置(樹脂供給位置)で待機しているポット13内に、低粘度の樹脂Rが供給される(図1参照)。上型11および下型12が予め加熱されているので、ポット13内の樹脂Rはその熱によって溶融することとなる。
次いで、第1中間金型20Aのキャビティ孔22内にチップ部品102を収容してワークWを覆うように、下型12のパーティング面上に第1中間金型20AをワークWに重ねて配置する(図1参照)。本実施形態では、第1中間金型20Aのキャビティ孔22の大きさがチップ部品102の大きさと略等しくしているため、チップ部品102の周囲際(外周際)に第1中間金型20Aのキャビティ孔22の側壁からなる壁が形成されることとなる。
このキャビティ孔22の側壁とチップ部品102の側面とのクリアランスは、樹脂モールド前において第1中間金型20AにワークW(チップ部品102)がセットできる範囲、及び、樹脂モールド後において第1中間金型20AからワークW(チップ部品102)が取り出せる範囲(例えば、0.1mm以下)の両方の範囲内で、できるだけ小さいことが好ましい。なぜならば、成形キャビティ16に流し込まれてきた樹脂Rは、チップ部品102の周囲を通過し難くなり、基板101とチップ部品102との間を優先的に通過させやすくなるからである。
続いて、図1に示すように、可動型の下型12を固定型の上型11に近づけるように駆動させて(下型12を上昇させて)、上型11と下型12との間で第1中間金型20Aと共にワークWをクランプして型締めする。これにより、ポット13、カル14、ランナゲート15、成形キャビティ16、スルーゲート17、ダミーキャビティ18、エアベント19で連通される連通路が形成される。
具体的には、上型11の凹部36および第1中間金型20Aのカル孔21を含んで構成される空間領域としてカル14が形成される。また、第1中間金型20Aのキャビティ孔22Aの両端をそれぞれ上型11のパーティング面および基板101の上面で塞がれたキャビティ孔22A内を含んで形成される空間領域として成形キャビティ16が形成される。また、上型11の凹部37および第1中間金型20Aのダミーキャビティ孔23を含んで構成される空間領域としてダミーキャビティ18が形成される。
また、上型11のパーティング面および第1中間金型20Aの第1溝25を含んで構成される空間領域としてランナゲート15が形成される。また、上型11のパーティング面および第1中間金型20Aの第2溝26を含んで構成される空間領域としてスルーゲート17が形成される。また、上型11のパーティング面および第1中間金型20Aの第3溝27を含んで構成される空間領域としてエアベント19が形成される。
また、型締めされることによって、上型11および下型12の周縁部では、シール部51が上型11と下型12によりクランプされるので金型内部に気密された空間領域が形成される。ここで、型締め途中においてシール部51が上型11に接触した後にエア吸引機構部50を駆動して金型内に減圧環境下を形成することもできる。なお、型締め直前からエア吸引機構部50を駆動しておけば、型締めと同時に、連通路中のエア吸引が行われて減圧環境下を形成でき、サイクルタイムを短縮することができる。
ところで、型締めされる過程では、板厚調整機構部43によって板厚調整が行われている。具体的には、まず、上型11と下型12との間で第1中間金型20Aがクランプされる際に、基板101およびワーク支持ブロック42が押し下げられる。次いで、下段の板厚調整ブロック43bを所定量前進または進退させて上段の板厚調整ブロック43aがワーク支持ブロック42に下面に密着させて固定される。
これにより、基板101上面と下型クランパブロック41のパーティング面とが面一となるように板厚差が吸収されて、基板101が中間金型20Aと下型クランパブロック41との間でクランプされる。すなわち、ポット13を中心として左右対称に載置されたワークWの基板101の板厚に差があったとしても、各基板101上面が均一な高さとなってクランプされる。このため、基板101上面での樹脂Rのフラッシュばりを防止することができる(特に、低粘度の場合に有効である。)。また、できるだけ小さなキャビティ孔22Aを有する第1中間金型20Aを用いているため、キャビティ孔22Aの平面領域以外の領域(すなわち、第1中間金型20Aと基板101との接触領域)を大きく確保することができ、均一な力でワークW(基板101)をクランプすることができる。
続いて、成形キャビティ16を含む連通路内をエア吸引機構部50によってエア吸引(減圧)しながら、図3に示すように、プランジャ46を上昇させて、ポット13内で溶融した樹脂Rを圧送し、カル14およびランナゲート15を経て成形キャビティ16内へ充填する。ランナゲート15とスルーゲート17とは、成形品キャビティ16(チップ部品102)を中心に対称配置されている。このため、ランナゲート15から成形キャビティ16に圧送されてきた樹脂Rは、チップ部品102を通過する方向に設けられたスルーゲート17へとエア吸引機構50によって吸引され、基板101とチップ部品102との間のような狭隘な箇所にも充填される。また、成形キャビティ16に圧送されてきた樹脂Rは、チップ部品102の周囲際の壁(キャビティ孔22の側壁)によって逃げ道がなくなり、基板101とチップ部品102との間のような狭隘な箇所にも充填される。
次いで、更に、プランジャ46を上昇させて溶融した樹脂Rをエアと共に圧送し、成形キャビティ16から樹脂Rをオーバーフローさせ、スルーゲート17を経てダミーキャビティ18へ樹脂Rを流入させる。
また、スルーゲート17およびダミーキャビティ18を通過してエアベント19に樹脂Rの流頭が差し掛かかる前に、樹脂止め機構部を駆動して、エアベント19内に可動ピン53を進入させる。これによって、エアベント19が閉塞され、圧送されてくる樹脂Rを可動ピン53で堰き止めることができる。可動ピン53で樹脂Rを堰き止める構成とすることで、エアベント19を深く形成して、エアを排出し易くすることができ、充填性を向上することができる。また、樹脂モールド金型10外への樹脂汚れを防止することができる。また、樹脂汚れを防止することで、クリーニング工程を簡素化できサイクルタイムを短縮することもできる。
本実施形態では、成形キャビティ16から樹脂Rをオーバーフローさせるために、スルーゲート17およびダミーキャビティ18を設けている。
仮に、これらを設けない場合、樹脂Rをオーバーフローさせることができず、基板101とチップ部品102との間にエアが残っていたとしてもそれを押し流して成形キャビティ16の外に排出することが難しくなることがある。これでは、基板101とチップ部品102との間への樹脂充填性が低下してしまう。
そこで、スルーゲート17およびダミーキャビティ18を設けることで、成形キャビティ16から樹脂Rと共にエアをダミーキャビティ18に排出し、成形キャビティ16内に充填された樹脂Rからエアを確実に排出することができる。したがって、成形キャビティ16で充填された樹脂Rは、充分に脱気されたうえで樹脂R内のエアも確実に排出されるものとなり、成形キャビティ16内に配置された狭隘な箇所に対しても樹脂充填性を向上することができる。
次いで、可動ピン53によって樹脂Rが堰き止められた状態で、更に、プランジャ46を上昇させて、成形キャビティ16内の圧力を所定の成形圧力まで高めた後、保圧した状態で成形キャビティ16に充填された樹脂Rの熱硬化を完了させる。
続いて、図4に示すように、可動型の下型12を固定型の上型11から遠ざけるように駆動させて(下型12を下降させて)、上型11と下型12とを隔離して型開きする。これにより、熱硬化した樹脂Rによって第1中間金型20Aに食い付いた状態でワークWを取り出すことができる。
続いて、図5に示すように、ワークWを第1中間金型20Aから下方に押し出して取り出す。このワークWでは、少なくとも基板101とチップ部品102との間(狭隘な箇所)に樹脂充填されてなる第1成形品R1が形成され、チップ部品102の裏面が露出されている。また、成形キャビティ16以外で成形された不要な成形樹脂Rxを第1中間金型20Aから上方に押し出して取り出す。
以上により、第1中間金型20Aを用いた第1ステップが終了する。その後、樹脂モールド金型10のクリーニングなどを行い、第1中間金型20Aと第2中間金型20Bとを交換してから、第2中間金型20Bを用いた第2ステップが開始される。なお、第2ステップでは、動作タイミングなどは異なるものの第1ステップと同様の制御処理が行われる。
このように、第1中間金型20Aを第2中間金型20Bに替えるだけで異なる大きさの成形キャビティ16で成形を行うことができ、1個のワークWを複数の樹脂R層で封止するような工程を容易かつ安価に実現することができる。また、可般な中間型を切替えるだけでよいため金型の準備の時間を短縮することもできる。このため、高性能なパッケージを安価かつ短時間で製造することができる。本実施形態のように、チップ部品102のアンダーフィルのみを流動性の高い高価な樹脂で行って充填性を確保しながら、外周を安価な樹脂で封止するような構成も容易かつ安価に実施することができる。他にも、蛍光体層や透明層などを複数積層した発光パッケージ、外周に電磁シールド層が形成された高周波パッケージ、または、外周に放熱層が形成された高発熱パッケージなどの複数の封止層を積層するような高機能パッケージであっても効率的に製造することが可能となる。また、成形形状を容易に変更できるため、適切な成形形状の選定を行うための繰り返し成形するテスト工程を短時間で完了して適切な金型設計を素早く行うことができ、製品の生産を迅速に開始することができる。
まず、型開きした状態で、第1成形品R1が形成されたワークWを樹脂モールド金型10に供給(搬入)し、ワーク支持ブロック42のパーティング面上にワークWを載置する(図6参照)。また、可動ピン53をエアベント19内から待避させておき、上型11のパーティング面でリリースフィルム40が吸着保持される。また、プランジャ46のヘッド部が樹脂供給位置で待機しているポット13内に高粘度の樹脂Rが供給される(図6参照)。
次いで、第2中間金型20Bのキャビティ孔22B内に第1成形品R1およびその周囲にコンポーネント103を収容してワークWを覆うように下型12のパーティング面上に第2中間金型20Bを配置する(図6、図8参照)。
続いて、図6に示すように、可動型の下型12を固定型の上型11に近づけるように駆動させて(下型12を上昇させて)、上型11と下型12との間で第2中間金型20Bと共にワークWをクランプして型締めする。これにより、上型11の凹部36内および第2中間金型20Bのカル孔21内を含んで構成される空間領域としてカル14が形成される。また、第2中間金型20Bのキャビティ孔22Bの両端をそれぞれ上型11のパーティング面および基板101の上面で塞がれたキャビティ孔22B内を含んで形成される空間領域として成形キャビティ16が形成される。また、上型11の凹部37内および第2中間金型20Bのダミーキャビティ孔23内を含んで構成される空間領域としてダミーキャビティ18が形成される。
続いて、成形キャビティ16を含む連通路内をエア吸引(減圧)しながら、図7に示すように、プランジャ46を上昇させて、ポット13内で溶融した樹脂Rを圧送し、カル14およびランナゲート15を経て成形キャビティ16内へ充填する。これにより、チップ部品102の側面とコンポーネント103が封止される。
次いで、更に、プランジャ46を上昇させて溶融した樹脂Rを圧送し、成形キャビティ16から樹脂Rをオーバーフローさせ、スルーゲート17を経てダミーキャビティ18へ樹脂Rを流入させる。スルーゲート17およびダミーキャビティ18を通過してエアベント19に樹脂Rの流頭が差し掛かかる前に、樹脂止め機構部を駆動して、エアベント19内に可動ピン53を進入させる。
次いで、可動ピン53によって樹脂Rが堰き止められた状態で、更に、プランジャ46を上昇させて、成形キャビティ16内の圧力を所定の成形圧力まで高めた後、保圧した状態で成形キャビティ16に充填された樹脂Rの熱硬化を完了する。
次いで、上型11と下型12とを隔離して型開きする。これにより、熱硬化した樹脂Rによって第2中間金型20Bに食い付いた状態でワークWを取り出すことができる。
続いて、図8に示すように、ワークWを第2中間金型20Bから下方に押し出して取り出す。このワークWでは、第1成形品R1を覆う第2成形品R2(第2樹脂モールド部)が形成され、チップ部品102の裏面が露出されている。また、成形キャビティ16以外で成形された不要な成形樹脂Rxを第2中間金型20Bから上方に押し出して取り出す。以上により、第2中間金型20Bを用いた第2ステップが終了する。これにより、第1成形品R1および第2成形品R2が形成された最終成形品(例えば、半導体装置)が完成する。その後、2ステップ成形法を繰り返すために、樹脂モールド金型10のクリーニングなどを行われる。
以上の2ステップ成形法によれば、基板101とチップ部品102との間のような狭隘な箇所に樹脂充填された第1成形品R1を形成でき、第1成形品R1を覆って形状が保たれた第2成形品R2を形成することができる。したがって、第1成形品R1および第2成形品R2でチップ部品101などを樹脂モールドした半導体装置の信頼性を向上することができる。また、基板101とチップ部品102との間の第1成形品R1では、ボイドの発生が低減されているので、半導体装置の製造歩留まりを向上することができる。
(第2実施形態)
前記第1実施形態では、2つの中間金型を用いた樹脂モールド方法(2ステップ成形法)によって、最終成形品を成形する場合について説明した。本発明における第2実施形態では、1つの中間金型を用いた樹脂モールド方法(1ステップ成形法)によって、最終成形品を成形する場合について図面を参照して説明する。図9〜図11は、使用状態における樹脂モールド装置100の要部の模式的断面図であり、樹脂モールド工程中のワークWが示されている。
まず、本実施形態における樹脂モールド金型10Aが型開きした状態において、基板101にフリップチップ接続されたチップ部品102をワークWとして樹脂モールド金型10Aに供給(搬入)し、ワーク支持ブロック42のパーティング面上にワークW(基板101)を載置する(図9参照)。
また、型開きした状態では、可動ピン53をエアベント19内から待避させておき、上型11のパーティング面でリリースフィルム40が吸着保持される。また、型開きした状態では、プランジャ46のヘッド部が樹脂供給位置で待機しているポット13内に、樹脂Rが供給される(図9参照)。
次いで、中間金型20のキャビティ孔22内にチップ部品102を収容してワークWを覆うように下型12のパーティング面上に中間金型20を配置する(図9参照)。
続いて、図9に示すように、上型11と下型12との間で中間金型20と共にワークWをクランプして型締めする。これにより、ポット13、カル14、ランナゲート15、成形キャビティ16、スルーゲート17、ダミーキャビティ18、エアベント19で連通される連通路が形成される。また、上型11および下型12の周縁部では、シール部51が上型11と下型12によりクランプされるので金型内部に気密された空間領域が形成される。
続いて、成形キャビティ16を含む連通路内をエア吸引機構部50によってエア吸引(減圧)しながら、図10に示すように、プランジャ46を上昇させて、ポット13内で溶融した樹脂Rを圧送し、カル14およびランナゲート15を経て成形キャビティ16内へ充填する。このため、ランナゲート15から成形キャビティ16に圧送されてきた樹脂Rは、チップ部品102を通過する方向に設けられたスルーゲート17へとエア吸引機構50によって吸引される。この場合、可動ピン53によって樹脂Rを堰き止めるためエアベント19が深く形成されており、型閉じ後でエアベント19からしかエアを吸引できなくなったときも成形キャビティ16内のエアを強力に吸引し、本実施形態のように成形キャビティ16の容積が比較的大きい場合であっても確実に減圧できるため、基板101とチップ部品102との間のような狭隘な箇所にも充填される。
次いで、更に、プランジャ46を上昇させて溶融した樹脂Rをエアと共に圧送し、成形キャビティ16から樹脂Rをオーバーフローさせ、スルーゲート17を経てダミーキャビティ18へ樹脂Rを流入させる。また、スルーゲート17およびダミーキャビティ18を通過してエアベント19に樹脂Rの流頭が差し掛かかる前に、樹脂止め機構部を駆動して、エアベント19内に可動ピン53を進入させ、圧送されてくる樹脂Rを可動ピン53で堰き止めることができる。
次いで、可動ピン53によって樹脂Rが堰き止められた状態で、更に、プランジャ46を上昇させて、成形キャビティ16内の圧力を所定の成形圧力まで高めた後、保圧した状態で成形キャビティ16に充填された樹脂Rの熱硬化を完了させる。次いで、上型11と下型12とを隔離して型開きする。これにより、熱硬化した樹脂Rによって中間金型20に食い付いた状態でワークWを取り出すことができる。
続いて、図11に示すように、ワークWを中間金型20から下方に押し出して取り出す。このワークWでは、少なくとも基板101とチップ部品102との間が樹脂充填され、チップ部品102の裏面が露出された成形品R12が形成される。また、成形キャビティ16以外で成形された不要な成形樹脂Rxを中間金型20から上方に押し出して取り出す。以上により、1ステップ成形法が終了する。
以上の1ステップ成形法によれば、基板101とチップ部品102との間のような狭隘な箇所に樹脂充填された成形品R12を形成することができる。したがって、成形品R12でチップ部品101などを樹脂モールドした半導体装置の信頼性を向上することができる。また、基板101とチップ部品102との間の成形品R12では、ボイドの発生が低減されているので、半導体装置の製造歩留まりを向上することができる。また、1つの中間金型20を用いれば済むので、半導体装置の生産性を向上することができる。
(第3実施形態)
前記第1実施形態では、1つの基板101上に1つのチップ部品102が搭載されたワークWに対して2ステップ成形法を用いた場合について説明した。本発明における第3実施形態では、1つの基板101上に複数のチップ部品102がマトリクス搭載されたワークWに対して、第1ステップでマトリクス状に第1成形品R1を形成し、第2ステップでマップ状に第2成形品R2を形成する2ステップ成形法について図面を参照して説明する。図12〜図17は、使用状態における樹脂モールド装置100の要部の模式的断面図であり、樹脂モールド工程中のワークWが示されている。
まず、本実施形態における樹脂モールド金型10Bが型開きした状態において、基板101にフリップチップ接続された複数のチップ部品102をワークWとして樹脂モールド金型10Bに供給(搬入)し、ワーク支持ブロック42のパーティング面上にワークW(基板101)を載置する(図12参照)。
また、型開きした状態では、可動ピン53をエアベント19内から待避させておき、上型11のパーティング面でリリースフィルム40が吸着保持される。また、型開きした状態では、プランジャ46のヘッド部が樹脂供給位置で待機しているポット13内に、樹脂Rが供給される(図12参照)。
次いで、第1中間金型20Aの各キャビティ孔22内に各チップ部品102を収容してワークWを覆うように下型12のパーティング面上に第1中間金型20Aを配置する(図12参照)。本実施形態では、キャビティ孔22は、ワークWに複数搭載されたチップ部品102と同数かつ同じ間隔で形成されている。また、第1中間金型20Aの各キャビティ孔22の大きさが各チップ部品102の大きさと略等しくしているため、各チップ部品102の周囲際(外周際)に第1中間金型20Aのキャビティ孔22の側壁からなる壁が形成されることとなる。また、第1中間金型20Aは、カル14から複数の成形キャビティ16に並列的に樹脂Rを供給するために図示しない断面において、カル14から複数のランナゲート15に分岐すると共に、複数の成形キャビティ16にそれぞれ接続されたスルーゲート17がダミーキャビティ18に向けて集結するような構成とすることができる。
続いて、図12に示すように、上型11と下型12との間で第1中間金型20Aと共にワークWをクランプして型締めする。
なお、図12に示す構成のほかに、ポット13、カル14、ランナゲート15、上流の成形キャビティ16、スルーゲート17、下流の成形キャビティ16、スルーゲート17、ダミーキャビティ18、エアベント19で連通される連通路が形成される直列的な構造としてもよい。また、これらの並列的な構造と直列的な構造とを組み合わせて用いてもよい。
続いて、図13に示すように、ポット13内で溶融した樹脂Rを圧送し、カル14およびランナゲート15を経て各々の成形キャビティ16内へ充填する。さらに、プランジャ46を上昇させて、スルーゲート17を経てダミーキャビティ18へ樹脂Rを流入させる。また、スルーゲート17およびダミーキャビティ18を通過してエアベント19に樹脂Rの流頭が差し掛かかる前に、樹脂止め機構部を駆動して、エアベント19内に可動ピン53を進入させ、圧送されてくる樹脂Rを可動ピン53で堰き止めることができる。
次いで、可動ピン53によって樹脂Rが堰き止められた状態で、更に、プランジャ46を上昇させて、各成形キャビティ16内の圧力を所定の成形圧力まで高めた後、保圧した状態で各成形キャビティ16に充填された樹脂Rの熱硬化を完了させる。次いで、上型11と下型12とを隔離して型開きする。これにより、熱硬化した樹脂Rによって第1中間金型20Aに食い付いた状態でワークWを取り出すことができる。
続いて、図14に示すように、ワークWを第1中間金型20Aから下方に押し出して取り出す。このワークWでは、少なくとも基板101とチップ部品102との間(狭隘な箇所)に樹脂充填されてなる複数の第1成形品R1が形成され、チップ部品102の裏面が露出されている。また、成形キャビティ16以外で成形された不要な成形樹脂Rxを第1中間金型20Aから上方に押し出して取り出す。
以上により、第1中間金型20Aを用いた第1ステップが終了する。これにより、基板101上にマトリクス状に複数の第1成形品R1が形成される。続いて、第1中間金型20Aと第2中間金型20Bとを交換してから、第2中間金型20Bを用いた第2ステップが開始される。なお、以下で説明する第2ステップでは、第1ステップと同様の制御処理が行われる。
まず、型開きした状態で、複数の第1成形品R1が形成されたワークWを樹脂モールド金型10に供給(搬入)し、ワーク支持ブロック42のパーティング面上にワークWを載置する(図15参照)。また、プランジャ46のヘッド部が樹脂供給位置で待機しているポット13内に高粘度の樹脂Rが供給される(図15参照)。
次いで、第2中間金型20Bの1個のキャビティ孔22B内に複数の第1成形品R1を全て収容しながらワークWを覆うように下型12のパーティング面上に第2中間金型20Bを配置する(図15参照)。続いて、図15に示すように、上型11と下型12との間で第2中間金型20Bと共にワークWをクランプして型締めする。
続いて、成形キャビティ16を含む連通路内をエア吸引(減圧)しながら、図16に示すように、プランジャ46を上昇させて、ポット13内で溶融した樹脂Rを圧送し、カル14およびランナゲート15を経て成形キャビティ16内へ充填する。
次いで、更に、プランジャ46を上昇させて溶融した樹脂Rを圧送し、成形キャビティ16から樹脂Rをオーバーフローさせ、スルーゲート17を経てダミーキャビティ18へ樹脂Rを流入させる。スルーゲート17およびダミーキャビティ18を通過してエアベント19に樹脂Rの流頭が差し掛かかる前に、樹脂止め機構部を駆動して、エアベント19内に可動ピン53を進入させる。
次いで、可動ピン53によって樹脂Rが堰き止められた状態で、更に、プランジャ46を上昇させて、成形キャビティ16内の圧力を所定の成形圧力まで高めた後、保圧した状態で成形キャビティ16に充填された樹脂Rを熱硬化させることで、複数の第1成形品R1が1個のキャビティ孔22B内においてマップ(MAP:Matrix Array Package)状に封止される。次いで、上型11と下型12とを隔離して型開きする。これにより、熱硬化した樹脂Rによって第2中間金型20Bに食い付いた状態でワークWを取り出すことができる。
続いて、図17に示すように、ワークWを第2中間金型20Bから下方に押し出して取り出す。このワークWでは、複数の第1成形品R1を覆う第2成形品R2が形成され、チップ部品102の裏面が露出されている。また、成形キャビティ16以外で成形された不要な成形樹脂Rxを第2中間金型20Bから上方に押し出して取り出す。以上により、第2中間金型20Bを用いた第2ステップが終了する。所定の領域(図17中、波線で示す。)を切断する個片化処理が行われ、第1成形品R1および第2成形品R2が形成された半導体装置が完成する。
(第4実施形態)
前記第1実施形態では、1つの基板101上に搭載された1つのチップ部品102に対応する上型キャビティブロック32を1つ設けた場合について説明した。本発明における第4実施形態では、1つの基板101上に搭載された複数のチップ部品102にそれぞれ対応する上型キャビティブロック32を複数設ける場合について図面を参照して説明する。
図18は、本実施形態における樹脂モールド金型10Cを説明するための図(模式的断面図)であって、2ステップ成形法において第1中間金型20Aを用いる第1ステップから第2中間金型20Bを用いる第2ステップへと移った(白抜きの矢印で示す)使用状態を示す。なお、樹脂モールド金型10Cも型締め状態では、ポット13、カル14、ランナゲート15、成形キャビティ16、スルーゲート17、ダミーキャビティ18、エアベント19で連通される連通路(図1参照)が形成されるが、図18の断面図からはポット13などのような本実施形態での効果の説明において省略可能な一部構成を省略しているが、前述の実施形態と同様に構成されている。
図18に示すように、ワークWは、基板101にバンプ104を介してフリップチップ接続された複数のチップ部品102がマトリクス搭載されたものである。下型12には、ワークW(基板101)が載置されるように凹部が設けられている。上型11には、マトリクス搭載された複数のチップ部品102に対応して複数の上型キャビティブロック32がマトリクス状に上下動可能に設けられている。
第1ステップで用いられる第1中間金型20A及び第2ステップで用いられる第2中間金型20Bは、第3の実施形態と同様にマトリックス状に封止した後に、全体を一括封止できるように構成されている。このような樹脂モールド金型10Cを用いた2ステップ成形法によっても、基板101とチップ部品102との間のような狭隘な箇所への樹脂充填性を向上することができるほか、1個のワークWにおいて搭載されているチップ部品102の高さにばらつきがあっても、チップ部品102の端面を個々に適切な力でクランプすることができるため、チップ部品102のクランプ力の偏りを防止し、フラッシュばりやチップ部品102の破損の発生を防止することができる。例えば、チップ部品102自体が均一な高さであっても実装の都合で高さが異なったり、複数のチップ部品102を混載したりするようなモールド成形品のように元からチップ部品102自体の大きさが異なる場合もある。これらの場合においても、適正な封止を行うことができる。
(第5実施形態)
前記第1実施形態では、最終成形品においてチップ部品102の裏面(上面)を露出させる場合について説明した。本発明における第5実施形態では、チップ部品102の裏面も樹脂Rで覆うオーバーモールドの形態の場合について図面を参照して説明する。
図19は、本実施形態における樹脂モールド金型10Dを説明するための図(模式的断面図)であって、2ステップ成形法において第1中間金型20Aを用いる第1ステップから第2中間金型20Bを用いる第2ステップへと移った(白抜きの矢印で示す)使用状態を示す。樹脂モールド金型10Dの第1中間金型20Aは、前記実施形態1に示したものと同様のものである。
第2ステップで用いられる第2中間金型20Bには、第1ステップで用いられた第1中間金型20Aより厚いものが用いられ、第1成形品R1を収容するキャビティ孔22Bが設けられている。このため、第2ステップの終了後には、チップ部品102の裏面が覆われる(オーバーモールドされる)こととなる。すなわち、キャビティ孔22Bは、その深さが最終成形品の厚さに対応するものであり、チップ部品102全体を覆うものである。
このような樹脂モールド金型10Dを用いた2ステップ成形法によっても、基板101とチップ部品102との間のような狭隘な箇所への樹脂充填性を向上した成形を行ったうえで、中間金型20の厚みを異ならせるだけでチップ部品102を覆ってシールド機能を持たせたりすることもできる。また、第1ステップにおいて充填性の高い樹脂を用い、第2ステップの成形において熱伝導性の高い樹脂を用いるといった成形を用いることでこれらの樹脂の機能を両立させたパッケージの成形も可能である。
(第6実施形態)
前記第1実施形態では、ワークWとして、基板101にフリップチップ接続されたチップ部品102の場合について説明した。本発明における第6実施形態では、ワークWとして、基板101にダイボンド搭載、ワイヤボンディング接続されたチップ部品102の場合について図面を参照して説明する。
図20、図21は、本実施形態における樹脂モールド金型10E、10Fを説明するための図(模式的断面図)であって、2ステップ成形法において第1中間金型20Aを用いる第1ステップから第2中間金型20Bを用いる第2ステップへと移った(白抜きの矢印で示す)使用状態を示す。
図20に示すワークWは、基板101に裏面側でダイボンド搭載されたチップ部品102が表面側のボンディングワイヤ105を介して基板101と電気的に接続されたものである。このため、樹脂モールド金型10Eでは、上型11には、上型キャビティブロック32(図1参照)を設けていない構成となっている。
第1ステップで用いられる第1中間金型20Aには、チップ部品102およびボンディングワイヤ105を収容する大きさのキャビティ孔22Aが設けられている。このため、第1ステップの終了後には、チップ部品102およびボンディングワイヤ105が樹脂で覆われた(オーバーモールドされた)第1成形品R1が形成される。そして、第2ステップで用いられる第2中間金型20Bには、第1ステップで用いられる第1中間金型20Aより厚いものが用いられ、第1成形品R1を収容するキャビティ孔22Bが設けられている。
このような樹脂モールド金型10Eを用いた2ステップ成形法によっては、ボンディングワイヤ105のワイヤフローを防止することができる。また、このような2ステップ成形法によれば、第1ステップでワイヤフローを防止するために低粘度、低応力の樹脂を用い、第2ステップで電磁シールド性、耐湿性、線膨張調整、高応力の樹脂を用いることもできる。
また、図21に示すワークWは、基板101に裏面側でダイボンド搭載された複数のチップ部品102が表面側のボンディングワイヤ105を介して基板101と電気的に接続されたものである。第1ステップで用いられる第1中間金型20Aには、複数のチップ部品102の配置に対応して、成形キャビティ16を構成する複数のキャビティ孔22Aが設けられている。第2ステップで用いられる第2中間金型20Bには、複数の第1成形品R1に対応して、成形キャビティ16を構成するキャビティ孔22Bが共通して設けられている。このキャビティ孔22Bは、各第1成形品R1を一纏めに収容する貫通孔である。
このような樹脂モールド金型10Fを用いた2ステップ成形法によっても、ボンディングワイヤ105のワイヤフローを防止することができる。すなわち、2ステップ成形法によれば、第1ステップでワイヤフローを防止するために低粘度の樹脂を用い、第2ステップで耐湿性に優れた樹脂を用いることができる。また、先にチップ部品102の封止を完了してしまうので、チップ部品を確実に封止して信頼性を確保することができる。また、チップ配置が複雑であっても第1中間金型20A、第2中間金型20Bを交換するだけでよく簡易な変更で対応することができる。なお、上述の実施形態において、複数のチップ部品102を個別に封止した後に全体を一括封止する例について説明したが、これらでは、一括封止した後に1個以上のチップ部品102を含む形状に個片化して用いるようなパッケージ形態であってもよいし、全ての複数のチップ部品102が含まれた形状で用いるパッケージ形態であってもよい。
(第7実施形態)
本発明における第7実施形態では、最終成形品として樹脂封止部分を貫通する導電部を含むTMV(Through Mold Via)構造のパッケージを製造する場合について図面を参照して説明する。図22は、本実施形態における樹脂モールド金型10Gを説明するための図(模式的断面図)であって、2ステップ成形法において第1中間金型20Aを用いる第1ステップから第2中間金型20Bを用いる第2ステップへと移った(白抜きの矢印で示す)使用状態を示す。
図22に示すように、ワークWは、基板101にダイボンド搭載、ワイヤボンディング接続されたチップ部品102およびその周囲に搭載された導電部材106(ビア)である。この導電部材106は、基板101と電気的に接続されている。また、上型11には、導電部材106が設けられた平面視領域に対応するパーティング面を有する上型キャビティブロック32が上下動可能に設けられている。
第1ステップで用いられる第1中間金型20Aには、チップ部品102および導電部材106に対応して、成形キャビティ16を構成する複数のキャビティ孔22Aが設けられている。第1ステップの終了後には、上型キャビティブロック32で導電部材106がクランプされるため、導電部材106の一部が露出した第1成形品R1が成形されることとなる。この場合、チップ部品102と導電部材106とによって成形キャビティ16内の樹脂の流動は極めて複雑になるため、充填性のよい樹脂Rが用いられる。次いで、第2中間金型20Bが用いられる第2ステップの終了後には、上型キャビティブロック32で導電部材106がクランプされるため、導電部材106の一部が露出した最終成形品が成形されることとなる。
このような樹脂モールド金型10Eを用いた2ステップ成形法によっても、ボンディングワイヤ105と導電部材106により複雑かつ狭隘な箇所への樹脂充填性を向上できる成形を行いながら外周に強度の高い封止を行って強度を確保した高性能なパッケージを成形することができる。
(第8実施形態)
前記実施形態1では、ワークWに対する2ステップ成形法を適用した場合について説明した。本成形法においてワークWはこれに限らず、図23および図24に示すようなダミーワークDWを用いても2ステップ成形法による成形の評価を行ってもよい。なお、このダミーワークDWを用いた評価は上述した成形法以外の成形方法でも利用可能であるが、2ステップ成形法の評価を安価かつ効率的に実施できるため好ましい。
図23および図24に示すチップ部品102は、本発明におけるダミーチップに相当し、実際のパッケージに用いるチップ部品102の形状を模して形成される。また、このチップ部品102は、例えば、銅板からなり、バンプ104に相当する凹凸をエッチング、プレス加工や機械加工により形成したものである。また、ダミーワークDW用の基板101としては、例えば、プリント配線基板(FR−4)、銅板、ウェハやガラスなどであってもよい。
図23に示すダミーワークDWのように、基板101上に、1つのチップ部品102をフリップチップ接続の形態で配置し、チップ部品102の外周にコンポーネント103(任意構成)を貼り付けられてもよい。また、コンポーネント103は、基板101が銅板からなる場合、エッチングによって形成されてもよい。また、基板101上に、1つのチップ部品102を搭載するのではなく、ダミーワークDWは、複数のチップ部品102をマトリクス配置で搭載されてもよい。
また、図24に示すダミーワークDWのように、基板101上に、複数のチップ部品102が積層されてもよい。
本発明によれば、基板101とチップ部品102との間のギャップや、下段のチップ部品102とその上段のチップ部品102との間のギャップのような狭隘な箇所であっても樹脂充填性の実際のチップ部品102を用いることなく確認を行うことができる。
これらの構造において、例えば上述したような樹脂モールド金型10を用いて成形を行うことで、採用した金型構造や制御により十分にチップ部品102の下部の充填(アンダーフィル)が行われたかを確認することができる。例えば、モールド成形品から基板101を引き剥がすことで、バンプ104に相当する凹凸間の樹脂Rの充填状態を確認することができる。このため、実際のチップ部品102が搭載された基板101のように高価かつ準備に時間がかかる被成形品を用いることなく、成形品質を確認することができるため、安価かつ効率的に金型構造や制御の評価を行うことができる。
また、図25に示すダミーワークDWのように、基板101上に、1つのチップ部品102をフリップチップ接続し、チップ部品102の外周に柱状の導電部材106を配置する構成でもよい。この場合、導電部材106は、連結部107を介してチップ部品102に接続されることで取り扱いが容易となり簡易に評価することができる。また、導電部材106が外周に配置されたチップ部品102は積層して用いることもできる。
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
前記実施形態では、上型のパーティング面に設けられた凹部と、中間金型に設けられたダミーキャビティ孔とで、ダミーキャビティを構成する場合について説明したが、ダミーキャビティを上型の凹部のみで構成したり、または中間金型のダミーキャビティ孔のみから構成したりする場合でもよい。
前記実施形態では、一つの中間金型を用いて成形品を形成(1ステップ成形法)する場合や、二つの中間金型を交換して用いて成形品を形成(2ステップ成形法)する場合について説明したが、三つ以上の中間金型を交換して用いて三層以上の封止層を有する成形品を形成する場合でもよい。
前記実施形態では、第1、第2ステップ(2ステップ成形法)では、それぞれ材質が異なる(低粘度、高粘度)の樹脂を用いた場合について説明したが、第1、第2ステップにおいて同じ材質の樹脂を用いることもできる。また、樹脂形状においても、第1、第2ステップでは、それぞれが異なる形状(例えば、タブレット状、液状、粉状など)であったり、同じ形状であったりする場合でもよい。なお、最終成形品の成形品質を確保できるように、第1および第2ステップで用いられる樹脂の互いの特性(特に、密着性)が考慮される。
前記実施形態では、量産用として供給部と収納部とを備えた樹脂モールド装置に適用した場合について説明したが、試験用として供給部および収納部を備えないマニュアル式の樹脂モールド装置に適用する場合でもよい。
前記実施形態では、ランナゲートを構成する中間金型の第1溝の深さが一定の場合について説明したが、例えば、カル側から成形キャビティ側に向かって徐々に深くする場合であってもよい。すなわち、中間金型を用いることで、基板とこれにフリップチップ接続されたチップ部品との間のような狭隘な箇所(所望の箇所)に向かってランナゲート(第1溝)を設けることができ、狭隘な箇所であっても、より樹脂充填性を向上することができる。
前記実施形態では、ランナゲート、スルーゲートおよびエアベントを中間金型に設ける場合について説明したが、例えば、上型のパーティング面にそれぞれを構成する溝を形成する場合であってもよい。
前記実施形態では、可動ピンをアクチュエータによりエアベントへの進退動作を制御する場合について説明したが、図26または図27に示すような他の金型構造によって進退させてもよい。なお、図26、図27に示す金型構造では、他の図面において記載した構成でも省略したものもある。
一例としての金型構造は、図26に示す樹脂モールド金型10Hのように、上型クランパブロック31および可動ピン53もそれぞれスプリング33A、33Bで上型ベースブロック30に弾性的に支持する。これにより、樹脂モールド金型10を型締めすることで中間金型20に当接し移動が制限された上型クランパブロック31に対し、可動ピン53が突出しエアベント溝27に侵入して閉塞するようにしてもよい。このような構成によれば、樹脂モールド金型10Hを型締め制御のみで可動ピン53を進退させることができるため、可動ピン53を駆動するアクチュエータを不要とすることができ、装置の簡素化が可能である。
また、他の方法で可動ピン53を進退動作させてもよい。例えば、図27に示す樹脂モールド金型10Iのように、可動ピン53の上流に配置された押上げピン531を樹脂Rの樹脂圧によって押し上げさせた昇降動作を利用することができる。具体的には、シーソー状に構成されて一方の昇降により他方が反対側に昇降するロッキング機構532に可動ピン53と押上げピン531とを組み付けることで、押上げピン531の押し上げに対応して可動ピン53を押し下げてエアベント溝を閉塞するようにしてもよい。このような構成によれば、樹脂Rの樹脂圧により可動ピン53を可動することができ、アクチュエータを不要とすることができると共に、樹脂モールド金型10Iを型締め制御も不要であり、装置をさらに簡素化することができる。
前記実施形態では、ベースブロックに対してキャビティブロックおよびワーク支持ブロックを可動させる場合について説明したが、これらを固定させる場合でもよい。
前記実施形態では、上型を固定型、下型を可動型とした場合について説明したが、上型を可動型、下型を固定型としたり、上型および下型を可動型としたりする場合でもよい。
前記実施形態では、基板上にランナゲートを走らせないためにカル孔を有し、ポットを覆うように配置される中間金型を用いる場合について説明したが、ポットから左右に分割されて、カル孔を有さない中間金型を用いることもできる。
前記実施形態では、チップ部品102が基板101に電気的に接続されている場合について説明したが、チップ部品102は基板101とは電気的に接続せず、封止後に成形品から基板101を剥離し、配線構造を基板101の面に成形することでモールド成形品を成形することもできる。