以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態に係る巻線部品について説明する。図1は、巻線部品を含んで構成されるインダクタに係る分解斜視図である。図2は、巻線部品を構成するコイル基板の斜視図であり、図3は、コイル基板内の導体のパターンを説明する斜視図である。図4は、巻線部品を構成するコイル巻線の斜視図であり、図5は、組み立て後の巻線部品の斜視図である。また、図6は、巻線部品を適用した電源装置の回路構成図である。なお、各図においては、構成の説明のため、必要に応じてXYZ軸を記載している。
図1に示すインダクタ1は、巻線部品10と、巻線部品を挟む一対の磁性体コア5A、5Bと、を備える。インダクタ1は、例えば、電子機器におけるトランス、チョークコイル等に適用することができる。巻線部品10は、コイル基板20と、コイル巻線30と、を備える。
巻線部品10は、XY平面に沿って広がるコイル基板20内の導体パターンとコイル巻線30とによって、Z軸方向に延びる軸線Aの周りを巻回するコイルが形成されている。一対の磁性体コア5A、5BはE型と称される中心脚部と2本の外脚を備える磁性体コアである。詳しくは、磁性体コア5A、5Bは、中心脚部を円筒形とし、外脚の内側をこの中心脚部の円筒形に沿ったRが設けられている所謂EER型の磁性体コアである。
コイル基板20は、絶縁材料からなる絶縁層と導体からなる導体パターンが形成された導体層とが交互に積層され、表面がレジスト層で覆われた多層プリント基板である。本実施形態に係るコイル基板20は、図3に示すように4層の導体層21A〜21Dが形成された4層プリント基板である。4層の導体層21A〜21Dの形状は層毎に変更して互いに異なる機能を持たせることができるが、コイル基板20では4層の導体層は同一の機能を有しているため、以下の説明では図2に示すように導体パターン21として説明する。
図2に示すように、コイル基板20には円形状の開口22が形成されている。また、コイル基板20の内部に形成される導体パターン21は、互いに離間して形成された第1パターン210、第2パターン220を含んで構成される。第1パターン210は、円形の開口22の中心を通る軸線Aの周囲を巻回するように形成された有端リング状のコイル部212と、コイル部212の一方側の端部であって、後述のコイル巻線30と接続する接続部214と、コイル部212の他方側の端部であって、外部の電子部品等と接続する端部216が連続して形成されている。接続部214は、最上の導体層21Aが外方に露出することで形成されている。また、端部216には、貫通孔218が設けられている。この貫通孔218は、4層の導体層21A〜21Dを接続するためのビアホールとして用いられる。同様に、接続部214側の貫通孔219についても4層の導体層21A〜21Dを接続するためのビアホールとして用いられる。なお、図2のコイル基板20では、端部216及び端部224において導体層21A〜21Dが途切れる構成について示しているが、コイル基板20に対して他の電子部品に係る回路のパターンを形成し、当該パターンと連続する構成としてもよい。
第2パターン220は、後述のコイル巻線30を接続する接続部222と、外部の電子部品等と接続される端部224とが連続して形成されている。接続部222は、最上の導体層21Aが外方に露出することで形成されている。また、必要に応じて、4層の導体層21A〜21Dを接続するための貫通孔を形成することもできる。
また、コイル基板20は、導体パターン21とは別に、導体により形成されたランド231〜233が形成される。図3に示すように、ランド231〜233は、第1パターン210及び第2パターン220と同時に形成される。すなわち、ランド231〜233は、最上部の導体層21Aの表面が露出して形成されたものであり、第1パターン210のコイル部212の外側に3か所形成されている。ランド231〜233は、略円形状のコイル部212の外周側に分散するように配置されている。なお、ランド部の数は特に限定されないが、ランド部は、後述のコイル巻線30を固定する領域になるため、安定性を考慮して適宜決定されることが好ましい。
ランド231〜233は、図3に示すように、コイル部212とは連続しない導体によって形成される。また、ランド231〜233とコイル部212との間には、図2に示すように、それぞれ貫通孔251〜253が形成される。また、コイル部212は、貫通孔251〜253に導体が露出しないように、貫通孔251〜253に対応した箇所に凹部213A〜213Cが設けられている。貫通孔251〜253は、コイル巻線30と接続するランド231〜233とコイル部212との間、特に両者が近接する領域がコイル基板20の絶縁材料のみで連続することを防止するために設けられる。そのため、貫通孔251〜253は、ランド231〜233にほぼ対応した大きさとされる。なお、コイル部212とランド231〜233との間に貫通孔251〜253により形成される空隙は、両者が近接する領域の全てに形成される方が好ましいが、少なくとも一部に空隙が形成されていればよい。
また、コイル基板20の第1パターン210と第2パターン220との間にはコイル基板20の外縁から切り込まれたスリット29が形成されている。このスリット29は、第1パターン210と第2パターン220とが近接する領域において、両者の間に空隙を形成するために設けられる。スリット29は、両者が近接する領域の全てに形成される方が好ましいが、少なくとも一部に空隙が形成されていればよい。また、スリット29に代えて貫通孔を形成してもよい。
次に、XY平面に沿って延びる導体板から形成されたコイル巻線30について説明する。図4に示すように、有端リング状のコイル巻線30は、略C字状を呈していて、中央に円形状の開口31を有している。なお、コイル巻線の形状は、略C字状である必要はなく、例えば楕円形状や四角形状等の他の形状であってもよい。コイル巻線30は、例えば銅等の導電性を有する金属板を打ち抜き加工することで製造することができる。
コイル巻線30の一端部には、Z軸方向に沿って図示下方に折り曲げられた第1の端子部33が一体的に設けられていると共に、他端部にも同様の第2の端子部34が一体的に設けられている。第1の端子部33と第2の端子部34との間のC字状の領域がコイル部35として機能する。また、コイル巻線30には、軸線Aに対して外方に突出すると共にZ軸方向に沿って図示下方に折り曲げられた突出部41〜43が設けられている。突出部41〜43を設ける位置は、コイル基板20に形成されたランド231〜233に対応しているが、軸線Aに対して分散している(一方側に偏らない)ほうが、コイル巻線30を安定して支持することができる。なお、突出部41〜43のランド231〜233と接続する側の端部は、コイル巻線30の一方側の面である下面37(図4で見えている面36とは逆側の面)よりも下方である必要がある。また、突出部41〜43の端部は、第1の端子部33の下面37側及び第2の端子部34の下面37側と同様の高さであることが好ましい。これにより、コイル巻線30をコイル基板20に対して好適に固定することができる。
次に、上記のコイル基板20とコイル巻線30とを組み合わせた巻線部品について説明する。図5に示すように、巻線部品10は、コイル基板20の一方の面(接続部214、222が形成されている面)上に、コイル部35がコイル基板20から離間した状態でコイル巻線30が取り付けられる。具体的には、コイル巻線30の突出部41がコイル基板20のランド231に対して当接する。同様に、コイル巻線30の突出部42がコイル基板20のランド232に対して当接し、コイル巻線30の突出部43がコイル基板20のランド233に対して当接する。また、コイル巻線の第1の端子部33は、コイル基板20の接続部214に対して当接すると共に、第2の端子部34が接続部222に対して当接する。突出部41とランド231との間、突出部42とランド232との間、突出部43とランド233との間、第1の端子部33と接続部214との間、及び、第2の端子部34と接続部222との間は、それぞれはんだ付けにより固定される。これにより、コイル巻線30のコイル部35は、コイル基板20に対して離間した状態で、コイル巻線30がコイル基板20に対して固定された巻線部品10が得られる。なお、本実施例では、突出部41〜43は、軸線Aに対して外方に突出する構成としたが、これに限らず、例えば突出部41〜43をコイル部35の内周側に設け、軸線Aに対して内方に突出する態様としても良い。また、突出部42のみをコイル部35の内周側に設け、突出部41、43を外方に突出させた構成としても良いし、コイル部35の厚さや材質によっては、突出部をコイル部35の内周側および外周側双方に設けても良い。
また、上記の方法で巻線部品10を組み立てることで、コイル巻線30の開口31とコイル基板20の開口22とがZ軸方向に連通した状態となり、コイル基板20の導体パターンとコイル巻線30とによって軸線Aの周囲を巻回するコイルが得られる。すなわち、巻線部品10は、コイル基板20の第1パターン210の端部216を始点として、コイル基板20のコイル部212を1ターン目とし、第1パターン210の接続部214と接続するコイル巻線30の第1の端子部33からのコイル部35を2ターン目とし、第2の端子部34と接続するコイル基板20の第2パターン220における接続部222を経て、第2パターン220の端部224を終端とするコイルを形成する。
その後、図1に戻り、一対の磁性体コア5A、5Bを巻線部品10に取り付けることで、インダクタ1を構成することができる。インダクタ1では、板状の平板部から伸びる3つの脚部を有する2つのE型コアである磁性体コア5A、5Bが対向した構成とされている。具体的には、巻線部品10が形成するコイルの軸線Aに沿って、磁性体コア5Aの3つの脚部51A〜53Aのうちの中心の脚部52Aと、磁性体コア5Bの3つの脚部51B〜53Bのうちの中心の脚部52Bと、対向した状態で巻線部品10の中央部分を挿通する共に、残りの脚部51A、53A、51B、53Bが巻線部品10の外側に沿って対向するように、磁性体コア5A、5Bとが配置される。
次に、上記の巻線部品10を含んで構成される電源装置の一例について説明する。図6は、図1に示すインダクタ1を、出力平滑回路内の平滑用チョークコイル81として使用した場合のスイッチング電源装置70の回路構成図の一例を示す図である。
スイッチング電源装置70は、4つのスイッチング素子71〜74を備えて構成され、直流入力電圧に基づいて入力交流電圧を生成するフルブリッジ型のブリッジ回路と、1次側巻線76および2次側巻線77、78を有し、上記入力交流電圧を変圧して出力交流電圧を生成するトランス75と、このトランスの2次側に設けられると共に複数の整流素子であるダイオード79、80を備えて構成され、これら複数の整流素子によって上記出力交流電圧を整流する全波整流回路と、全波整流されたパルス波形を直流化する平滑用チョークコイル81および容量素子であるコンデンサ82を有する平滑回路と、上記ブリッジ回路を駆動する駆動回路とを備え、出力端子間に接続されているものである。
図6に示す回路についての動作の概略を以下に説明する。まず、高電圧バッテリ86の電圧が入力端子83に印加され、その直流電圧をスイッチング素子71〜74を用いてPWM制御や位相シフトPWM制御等により動作させ、トランス75の1次側巻線76に交流として印加される。1次側巻線76に印加された交流電圧は2次側巻線77、78との比率に応じた電圧で伝達され、ダイオード79、80により全波整流され、平滑用チョークコイル81および容量素子であるコンデンサ82を有する平滑回路により、直流として出力端子84に導かれる。この出力端子84に接続される負荷としては、低圧バッテリ87や補機類85が接続される。制御回路88は、出力端子84間の電圧を制御するもので、上記の説明にあるような制御を行い、駆動回路89を通して駆動信号をスイッチング素子71〜74に送り上記動作を行わせるものである。
図1に示すインダクタ1は、図6の平滑用チョークコイル81とみなされ、図5に示す巻線部品10の端部216は、前段の回路である図6のダイオード79、80のカソード部と、導体パターンや端子等により接続される。また、端部224は、後段の回路である図6のコンデンサ82の一方の端子及び制御回路88の一方の入力端と、基板上に設けた導体パターンや端子等により接続される。
ここで、上記の巻線部品10においては、平面視においてコイル基板20の導体パターン21と重ならない位置でコイル巻線30から突出部41〜43がコイル基板20側に突出している。突出部41〜43は下方のコイル基板20側に折り曲げられて、突出部41〜43がそれぞれ第1パターン210及び第2パターン220とは離間して形成されたランド231〜233に対して固定されていることで、コイル巻線30がコイル基板20から離間して設けられている。このように、コイル巻線30がコイル基板20から離間して配置されることで、コイル基板20の導体パターン21(特に第1パターン210及び第2パターン220)とコイル巻線30との間に空隙が設けられる。空隙が設けられるということは、すなわち、コイル基板20を構成する絶縁材料と比較して誘電率が低い領域がコイル巻線30と導体パターン21との間に設けられることとなる。したがって、このような構成を有することにより、コイル巻線30がコイル基板20に対して当接している場合と比べて、導体パターン21とコイル巻線30との間に発生する寄生容量を低減することができ、コイルより前段のスイッチング回路を構成しているMOS−FETや整流ダイオード等の素子が発生する高周波ノイズ成分が当該領域を通過することを抑制することができる。
したがって、上記の巻線部品10を収容する電源装置においても、同様に、巻線部品10が構成する領域における寄生容量の発生を低減することができるため、前段のMOS−FETや整流ダイオードで発生する高周波ノイズ成分が当該領域を通過することを抑制することができる。
また、上記の巻線部品10では、コイル巻線30と一体的に形成された導体からなる突出部41〜43がコイル基板20に設けられたランド231〜233に対してはんだ付けにより固定される。すなわち、コイル巻線30とランド231〜233とは電気的に接続される。これに対して、ランド231〜233と、ランド231〜233に対して近接する導体パターンである第1パターン210のコイル部212との間にもそれぞれ貫通孔213A〜213Cが形成される。すなわち、ランド231〜233とコイル部212との間にそれぞれ空隙が設けられる。したがって、ランド231〜233とコイル部212との間で発生する寄生容量が抑制でき、且つ、高周波ノイズ成分の通過も抑制することができる。
また、上記実施形態におけるコイル基板20では、導体パターン21のうち、コイルにおいて互いに離間した位置に相当する導体の間に、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されている。具体的には、第1パターン210と第2パターン220との間にスリット29が形成されている。第1パターン210のうち、第2パターン220側の接続部214近傍は、巻線部品10によって形成されるコイルのうちの1ターン目の終端近傍となる。一方、第2パターン220の接続部222近傍は、巻線部品10によって形成されるコイルのうちの2ターン目の終端近傍となる。すなわち、スリット29を介して近接する第1パターン210の接続部214近傍と第2パターン220とは、どちらも同一のコイルを形成する導体であるが、互いに離間した位置に相当する。そこで、両者の間にコイル基板20の厚さ方向に貫通する貫通孔(スリット)を設けて空隙を形成することで、両者の間で発生する寄生容量が抑制でき、且つ、高周波ノイズ成分の通過も抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る巻線部品について図7〜図10を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る巻線部品を構成するコイル巻線の斜視図であり、図8は、コイル巻線の下面側(底面側)からの斜視図である。図9は、第2実施形態に係る巻線部品を構成するコイル基板の斜視図である。また、図10は、組み立て後の巻線部品の斜視図である。第2実施形態に係る巻線部品が第1実施形態の巻線部品と相違する点は以下の点である。すなわち、コイル巻線におけるターン数が増加している点と、ターン数の増加に対応させてコイル基板に対する固定箇所を増加させた点である。
まず、コイル巻線について説明する。図7及び図8に示すコイル巻線30Aは、XY平面に沿って延びる略渦巻状の導体板から形成されていて、中央に円形状の開口31を有している。
コイル巻線30Aの一端部には、Z軸方向に沿って図示下方に折り曲げられた第1の端子部33がコイル部35と一体的に設けられている。そして、コイル部35は、内周側の第1コイル部351と、外周側の第2コイル部352とが連続して形成されている。第1コイル部351のうち、第2コイル部352と接続する側とは逆側の端部に第1の端子部33が設けられている。そして、第2コイル部352のうち、第1コイル部351と接続する側とは逆側の端部に、Z軸方向に沿って図示下方に折り曲げられた第2の端子部34が一体的に設けられている。
また、コイル巻線30Aには、Z軸方向に沿って図示下方に折り曲げられた突出部44A〜44C及び突出部45A〜45Cが設けられている。突出部44A〜44C(内側突出部)は、第1コイル部351から軸線Aに対して内方に突出すると共に図示下方に折り曲げられている。また、突出部45A〜45C(外側突出部)は、第2コイル部352から軸線Aから外方に突出すると共に図示下方に折り曲げられている。突出部44A〜44C及び45A〜45Cを設ける位置は、コイル基板20Aに形成されたランド部(後述)に対応するが、軸線Aに対して分散している(一方側に偏らない)ほうが、コイル巻線30Aを安定して支持することができる。なお、第1実施形態のコイル巻線30と同様に、突出部44A〜44C及び45A〜45Cのランド231〜233及びランド241〜243と接続する側の端部は、コイル巻線30Aの一方側の面である下面37A(図8参照)よりも下方である必要がある。また、突出部44A〜44C及び45A〜45Cの端部は、第1の端子部33の下面37A側及び第2の端子部34の下面37A側と同様の高さであることが好ましい。これにより、コイル巻線30Aをコイル基板20Aに対して好適に固定することができる。
図9に示すコイル基板20Aは、第1実施形態に係るコイル基板20と比較して、コイル巻線30Aの突出部に対応したランドが新たに設けられている点が相違する。具体的には、コイル基板20Aの内部に形成される導体パターン21は、互いに離間して形成された第1パターン210及び第2パターン220を含んで構成される。また、第1パターン210は、円形の開口22の中心を通る軸線Aの周囲を巻回するように形成された有端リング状のコイル部212と、コイル部212の一方側の端部であって後述のコイル巻線30Aと接続する接続部214と、コイル部の他方側の端部であって外部の電子部品等と接続する端部216とが連続して形成されている。また、第2パターン220は、コイル巻線30Aを接続する接続部222と、外部の電子部品等と接続される端部224とが連続して形成されている。接続部222は、最上の導体層21Aが外方に露出することで形成されている。これらの構成は、コイル基板20と同様である。
コイル基板20Aでは、ランド231〜233に加えて、ランド241〜243が形成される。ランド231〜233は、最上部の導体層21Aの表面が露出して形成されたものであり、第1パターン210のコイル部212の外側に3か所形成されている。一方、ランド241〜243は、最上部の導体層21Aの表面が露出して形成されたものであり、第1パターン210のコイル部212の内側に3か所形成されている。
ランド241〜243は、ランド231〜233と同様に、コイル部212とは連続しない導体によって形成される。また、ランド231〜233とコイル部212との間にはそれぞれ貫通孔251〜253が形成されると共に、ランド241〜243とコイル部212との間にはそれぞれ貫通孔261〜263が形成される。また、コイル部212は、貫通孔251〜253、貫通孔261〜263に導体が露出しないように、凹部213A〜213Fが設けられている。貫通孔251〜253、貫通孔261〜263は、ランド231〜233、ランド241〜243のそれぞれにほぼ対応した大きさとされる。なお、コイル部212とランド231〜233との間に貫通孔251〜253により形成される空隙は、両者が近接する領域の全てに形成される方が好ましいが、少なくとも一部に空隙が形成されていればよい。
また、コイル基板20Aにおいて、第1パターン210と第2パターン220との間にはコイル基板20Aの外縁から切り込まれたスリット29が形成されている点もコイル基板20と同様である。両者の間に空隙を形成するために設けられる。スリット29は、両者が近接する領域の全てに形成される方が好ましいが、少なくとも一部に空隙が形成されていればよい。また、スリット29に代えて貫通孔を形成してもよい。
次に、上記のコイル基板20Aとコイル巻線30Aとを組み合わせた巻線部品について説明する。図10を参照して説明する。第2実施形態に係る巻線部品10Aは、コイル基板20Aの一方の面(接続部214、222が形成されている面)上に、コイル部35がコイル基板20Aから離間した状態でコイル巻線30Aが取り付けられる。具体的には、コイル巻線30Aの第1コイル部351から突出する突出部44Aがコイル基板20Aのランド241に対して当接する。同様に、コイル巻線30Aの突出部44Bがコイル基板20Aのランド242に対して当接し、コイル巻線30Aの突出部44Cがコイル基板20Aのランド243に対して当接する。さらに、コイル巻線30Aの第2コイル部352から突出する突出部45Aがコイル基板20Aのランド231に対して当接する。同様に、コイル巻線30Aの突出部45Bがコイル基板20Aのランド232に対して当接し、コイル巻線30Aの突出部45Cがコイル基板20Aのランド233に対して当接する。また、コイル巻線30Aの第1の端子部33は、コイル基板20Aの接続部214に対して当接すると共に、第2の端子部34が接続部222に対して当接する。各突出部44A〜44Cとランド241〜243との間、各突出部45A〜45Cとランド231〜233との間、第1の端子部33と接続部214との間、及び、第2の端子部34と接続部222との間は、それぞれはんだ付けにより固定される。これにより、コイル巻線30Aのコイル部35(第1コイル部351及び第2コイル部352)は、コイル基板20Aに対して離間した状態で、コイル巻線30Aがコイル基板20Aに対して固定された巻線部品10Aが得られる。
また、上記の方法で巻線部品10Aを組み立てることで、コイル巻線30Aの開口31とコイル基板20Aの開口22とがZ軸方向に連通した状態となり、コイル基板20Aの導体パターンとコイル巻線30Aとによって軸線Aの周囲を巻回するコイルが得られる。すなわち、巻線部品10Aは、コイル基板20Aの第1パターン210の端部216を始点として、コイル基板20Aのコイル部212を1ターン目とし、第1パターン210の接続部214と接続するコイル巻線30Aの第1の端子部33からの内周側の第1コイル部351を2ターン目とし、第1コイル部351と接続するコイル巻線30Aの外周側の第2コイル部352を3ターン目とし、第2の端子部34と接続するコイル基板20Aの第2パターン220における接続部222を経て、第2パターン220の端部224を終端とする3ターンのコイルを形成する。
このように、第2実施形態の巻線部品10Aでは、コイル巻線30Aは同一平面上に渦巻状に2ターンの巻数を有し、そのうちの外側のターン部分である第2コイル部352においては、軸線Aに対して外方に突出して平面視において導体パターン(特にコイル部212)と重ならない位置でコイル基板側に突出する外側突出部(突出部45A〜45C)が設けられる。また、コイル巻線30Aのコイル部35のうち最内のターン部分である第1コイル部351においては、軸線Aに対して内方に突出して平面視において導体パターン(特にコイル部212)と重ならない位置でコイル基板側に突出する内側突出部(突出部44A〜44C)が設けられる。このように、コイル巻線30Aが複数ターンの巻数である場合に、最外側のターン部分からは外方に突出する外側突出部を形成すると共に、最内側のターン部分からは内方に突出する内側突出部を形成し、これらの突出部をコイル基板20Aに対して固定することで、コイル巻線30Aがコイル基板20Aから離間した状態であっても、コイル基板20Aに対して安定して支持された巻線部品10Aを得ることができる。また、内側突出部(突出部44A〜44C)及び外側突出部(突出部45A〜45C)をはんだ付けにて固定する場合、渦巻状のコイル巻線の間に突出部を設ける場合と比較して固定が容易となり、作業性も向上する。
なお、上記第2実施形態ではコイル巻線30Aにおける巻数が2ターンである場合について説明したが、3ターン以上であってもよい。この場合には、最内側のターン部分に内側突出部を設け、最外側のターン部分に外側突出部を設ければよく、最内側のターンと最外側のターンの間に位置するターンには、突出部を設けなくても良い。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る巻線部品について図11〜図17を参照しながら説明する。図11は、第3実施形態に係る巻線部品の構成を示す斜視図である。また、図12は、巻線部品を構成するコイル基板の斜視図であり、図13は、図12のコイル基板の下面図(底面図)である。図14は、巻線部品を構成するコイル巻線の構成を示す斜視図であり、図15は、第2コイル巻線の構成を示す斜視図である。また、図16は、巻線部品の組み立て方を説明する分解斜視図であり、図17は、図16を下面側から見た分解斜視図である。第3実施形態に係る巻線部品が第1実施形態の巻線部品と相違する点は以下の点である。すなわち、コイル巻線及び第2コイル巻線という2つのコイル巻線を用いている点と、巻線の増加に対応させてコイル基板に対する固定箇所を増加させた点と、コイル基板における導体パターンを変更した点である。
図11に示すように、第3実施形態に係る巻線部品10Bは、XY平面に沿って広がるコイル基板20B内の導体パターン、コイル巻線30B及び第2コイル巻線50Bによって、Z軸方向に延びる軸線Aの周りを巻回するコイルが形成されている。このうち、コイル基板20Bの上方(Z軸正方向)にコイル巻線30Bが取り付けられると共に、コイル基板20Bの下方(Z軸負方向)に第2コイル巻線50Bが取り付けられる。コイル基板20Bは、コイル巻線30B及び第2コイル巻線50Bによって挟み込まれるような構成となるため、第1実施形態のコイル基板20と比較してコイル巻線30B及び第2コイル巻線50Bを固定するためのランドの位置が変更されると共に、各導体を接続するための領域が新たに設けられる。
まず、コイル基板20Bについて説明する。図12及び図13に示すコイル基板20B内の導体パターン21は、円形状の開口22の周囲に形成された第1パターン210、開口22からは離間して設けられた第2パターン220及び第3パターン230を含んで構成される。第1パターン210ではコイル部212、接続部214及び端部216が連続して形成されている。接続部214は、最上の導体層21Aが外方に露出することで形成されている。また、端部216には、貫通孔218が設けられている。この貫通孔218は、4層の導体層21A〜21Dを接続するためのビアホールとして用いられる。同様に、接続部214側の貫通孔219についても4層の導体層21A〜21Dを接続するためのビアホールとして用いられる。
第2パターン220は、下面側(図13参照)に、後述の第2コイル巻線50Bを接続する接続部226と、外部の電子部品等と接続される端部224とが連続して形成されている。接続部226は、4層の導体層21A〜21D(図3参照)のうちの最下の導体層21Dが外方に露出することで形成されている。
第3パターン230は、第1パターン210及び第2パターン220とは離間して形成される。第3パターン230は、4層の導体層21A〜21Dによって形成され、表面側(図12参照)でコイル巻線30Bと接続する接続部281と、下面側(図13参照)で第2コイル巻線50Bと接続する接続部282と、4層の導体層21A〜21Dのうち少なくとも導体層21Aと導体層21Dとの間を接続するビアホールとして機能する貫通孔283とが設けられる。接続部281は、4層の導体層21A〜21Dのうちの最上の導体層21Aが外方に露出することで形成されている。また、接続部282は、4層の導体層21A〜21Dのうちの最下の導体層21Dが外方に露出することで形成されている。これにより、第3パターン230は、コイル巻線30Bと第2コイル巻線50Bとを接続する接続部材として機能する。
また、コイル基板20Bには、導体パターン21とは別に、導体により形成されたランド231、233、271、272が形成される。このうち、ランド231、233は、コイル基板20Bの表面(コイル巻線30B側)において、最上部の導体層21Aの表面が露出して形成されたものであり、第1パターン210のコイル部212の外側に2か所形成されている。また、ランド271、272(第2ランド)は、コイル基板20Bの下面(第2コイル巻線50B側)において、最下部の導体層21Dの表面が露出して形成されたものであり、第1パターン210のコイル部212の外側に2か所形成されている。ランド231、233、271、272は、略円形状のコイル部212の外周側に分散するように、且つ、平面視において互いに異なる位置に配置されている。これにより、ランドが近接配置されることを防いでいる。なお、ランドの数は特に限定されないが、ランドは、後述のコイル巻線30B及び第2コイル巻線50Bを固定する領域になるため、安定性を考慮して適宜決定されることが好ましい。
図12に示すように、ランド231、233は、コイル部212とは連続しない導体によって形成される。また、ランド231、233とコイル部212との間にはそれぞれ貫通孔251、253が形成される。同様に、図13に示すように、ランド271、272は、コイル部212とは連続しない導体によって形成される。また、ランド271、272とコイル部212との間にはそれぞれ貫通孔255、256が形成される。また、コイル部212は、貫通孔251、253、255、256に導体が露出しないように、貫通孔251、253、255、256に対応した凹部213A、213C、213G、213Hが設けられている。なお、コイル部212とランド231、233、271、272との間に貫通孔251、253、255、256により形成される空隙は、両者が近接する領域の全てに形成される方が好ましいが、少なくとも一部に空隙が形成されていればよい。
また、コイル基板20Bの第1パターン210と第2パターン220との間にはコイル基板20Bの外縁から切り込まれたスリット291が形成されている。このスリット291は、第1パターン210と第2パターン220とが近接する領域において、両者の間に空隙を形成するために設けられる。また、第1パターン210と第3パターン230との間には、コイル基板20Bの厚さ方向に延びる貫通孔292が形成されている。スリット291及び貫通孔292は、両者が近接する領域の全てに形成される方が好ましいが、少なくとも一部に空隙が形成されていればよい。
次に、コイル巻線30Bについて説明する。図14に示すように、有端リング状のコイル巻線30Bは、第1実施形態に係るコイル巻線30とほぼ同様の構成を成している。相違する点は、コイル巻線30と比べて突出部42を備えない点と、第2の端子部38がコイル基板20Bの第3パターン230の接続部281に対応する位置に設けられている点である。コイル巻線30Bが突出部42を備えない理由としては、後述の第2コイル巻線50Bを固定するためのランドの配置を考慮したことが挙げられる。
次に、第2コイル巻線50Bについて説明する。図15に示すように、XY平面に沿って延びる導体板から形成された有端リング状の第2コイル巻線50Bは、略C字状を呈していて、中央に円形状の開口51を有している。なお、コイル巻線の形状は、略C字状である必要はなく、例えば楕円形状や四角形状等の他の形状であってもよい。
第2コイル巻線50Bの一端部には、Z軸方向に沿って図示上方に折り曲げられた第1の端子部53が一体的に設けられていると共に、他端部にも同様の第2の端子部54が一体的に設けられている。第1の端子部53と第2の端子部54との間のC字状の領域がコイル部55として機能する。また、第2コイル巻線50には、軸線Aに対して外方に突出すると共にZ軸方向に沿って図示上方に折り曲げられた突出部57、58(第2突出部)が設けられている。突出部57、58を設ける位置は、コイル基板20Bに形成されたランド271、272に対応しているが、軸線Aに対して分散している(一方側に偏らない)ほうが、コイル基板20Bによって第2コイル巻線50Bを安定して支持することができる。なお、突出部57、58のランド271、272と接続する側の端部は、第2コイル巻線50Bの一方側の面である表面56よりも上方である必要がある。また、突出部57、58のランド271、272と接続する側の端部は、第1の端子部53の表面56側及び第2の端子部54の下面59側と同様の高さであることが好ましい。これにより、第2コイル巻線50Bをコイル基板20Bに対して好適に固定することができる。
次に、上記のコイル基板20B、コイル巻線30B、及び第2コイル巻線50Bを組み合わせた巻線部品について説明する。図16、図17に示すように、巻線部品10Bは、コイル基板20Bの一方の面(接続部214、281が形成されている面)上に、コイル部35がコイル基板20Bから離間した状態でコイル巻線30Bが取り付けられると共に、他方の面上に、コイル部55がコイル基板20Bから離間した状態で、第2コイル巻線50Bが取り付けられる。まずコイル巻線30Bについて、コイル巻線30Bの突出部41がコイル基板20Bのランド231に対して当接する。同様に、コイル巻線30Bの突出部43がコイル基板20Bのランド233に対して当接する。また、コイル巻線30Bの第1の端子部33は、コイル基板20Bの接続部214に対して当接すると共に、第2の端子部34が接続部281に対して当接する。突出部41とランド231との間、突出部43とランド233との間、第1の端子部33と接続部214との間、及び、第2の端子部34と接続部281との間は、それぞれはんだ付けにより固定される。これにより、コイル巻線30Bのコイル部35がコイル基板20Bに対して離間した状態で、コイル巻線30Bがコイル基板20Bに対して固定される。
さらに、第2コイル巻線50Bの突出部57がコイル基板20Bのランド271に対して当接する。同様に、第2コイル巻線50Bの突出部43がコイル基板20Bのランド233に対して当接する。また、第2コイル巻線50Bの第1の端子部53は、コイル基板20Bの接続部282に対して当接すると共に、第2の端子部34が接続部226に対して当接する。突出部57とランド271との間、突出部58とランド272との間、第1の端子部53と接続部282との間、及び、第2の端子部54と接続部226との間は、それぞれはんだ付けにより固定される。これにより、第2コイル巻線50Bのコイル部55がコイル基板20Bに対して離間した状態で、第2コイル巻線50Bがコイル基板20Bに対して固定される。これにより、巻線部品10Bが得られる。
上記の方法で巻線部品10Bを組み立てることで、コイル巻線30Bの開口31、コイル基板20Bの開口22、及び第2コイル巻線50Bの開口51がZ軸方向に連通した状態となり、コイル基板20Bの導体パターン、コイル巻線30B、及び第2コイル巻線50Bによって軸線Aの周囲を巻回するコイルが得られる。すなわち、巻線部品10Bは、3ターンのコイルを形成する。このコイルでは、コイル基板20の第1パターン210の端部216を始点として、コイル基板20Bのコイル部212が1ターン目を形成する。また、第1パターン210の接続部214と接続するコイル巻線30Bの第1の端子部33からのコイル部35が2ターン目を形成する。そして、第2の端子部34と接続部281とが接続し、コイル基板20Bの第3パターン230の接続部282と接続する第2コイル巻線50Bの第1の端子部53からのコイル部55が3ターン目を形成し、第2の端子部54と接続するコイル基板20Bの第2パターン220における接続部226を経て、第2パターン220の端部224を終端とするコイルを形成する。
上記の巻線部品10Bにおいては、平面視においてコイル基板20Bの導体パターン21と重ならない位置で、コイル巻線30Bから突出部41、43がコイル基板20B側に突出している。また、平面視においてコイル基板20Bの導体パターン21と重ならない位置で突出部57、58が第2コイル巻線50Bからコイル基板20B側に突出している。これらの突出部41、43、57、58は、それぞれランド231、233、271、272に対して固定されていることで、コイル巻線30B及び第2コイル巻線50Bがそれぞれコイル基板20Bから離間して設けられている。このように、コイル巻線がコイル基板の両面に設けられている場合であっても、コイル巻線30Bをコイル基板20Bから離間して配置することで、コイル基板20Bの導体パターン21とコイル巻線30Bとの間に空隙が設けられる。また、第2コイル巻線50Bについても、第2コイル巻線50Bをコイル基板20Bから離間して配置することで、コイル基板20Bの導体パターン21と第2コイル巻線50Bとの間に空隙が設けられる。ここで、導体パターン21と各コイル巻線との間に空隙が設けられるということは、すなわち、コイル基板20Bを構成する絶縁材料と比較して誘電率が低い領域がコイル巻線30Bと導体パターン21との間及び第2コイル巻線50Bと導体パターン21との間に設けられることとなる。したがって、このような構成を有することにより、コイル巻線30B又は第2コイル巻線50Bがコイル基板20Bに対して当接している場合と比べて、導体パターン21とコイル巻線30との間に発生する寄生容量や導体パターン21と第2コイル巻線50Bとの間に発生する寄生容量を低減することができ、コイルより前段のスイッチング回路を構成しているMOS−FETや整流ダイオード等の素子が発生する高周波ノイズ成分が当該領域を通過することを抑制することができる。
また、上記の巻線部品10Bでは、コイル巻線30Bと一体的に形成された導体からなる突出部41、43がコイル基板20Bに設けられたランド231、233に対してはんだ付けにより固定される。すなわち、コイル巻線30Bとランド231、233とは電気的に接続される。これに対して、ランド231、233と、ランド231、233に対して近接する導体パターンである第1パターン210のコイル部212との間には、それぞれ貫通孔251、253が形成される。同様に、第2コイル巻線50Bと一体的に形成された導体からなる突出部57、58がコイル基板20Bに設けられたランド271、272に対してはんだ付けにより固定される。すなわち、第2コイル巻線50Bとランド271、272とは電気的に接続される。これに対して、ランド271、273と、ランド231、233に対して近接する導体パターンである第1パターン210のコイル部212との間には、それぞれ貫通孔255、256が形成される。このように、ランド231、233、271、272とコイル部212との間にそれぞれ貫通孔251、253、255、256により構成される空隙を設けることで、導体パターン21、コイル巻線30B及び第2コイル巻線50Bの間で発生する寄生容量が抑制でき、且つ、高周波ノイズ成分の通過も抑制することができる。
また、コイル基板20Bにおいては、ランド231、233、271、272が、平面視において互いに異なる位置に形成される。この場合、ランド231とランド271とが平面視において重なる位置に形成される場合と比較して、両者が離間するように設けられているため、ランド231とランド271との間で発生する寄生容量が抑制されている。
また、巻線部品10Bでは、第1パターン210、コイル巻線30B及び第2コイル巻線50Bがこの順で接続されてコイルを形成している。この場合、2つのコイル巻線を利用し且つ導体間の寄生容量の発生が抑制されたコイルを有する巻線部品をより小型化して作成することができる。
また、上記実施形態におけるコイル基板20Bでは、導体パターン21のうち、コイルにおいて互いに離間した位置に相当する導体の間に、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されている。具体的には、第1パターン210と第2パターン220との間にスリット291が形成されている。また、第1パターン210と第3パターン230との間には貫通孔292が形成されている。第1パターン210のうち端部216側は、巻線部品10Bによって形成されるコイルのうちの1ターン目始点近傍となる、そして、第1パターン210のうち、第2パターン220側の接続部214近傍は、巻線部品10Bによって形成されるコイルのうちの1ターン目の終端近傍となる。また、第3パターン230は、コイルの2ターン目の終端近傍となり、第2パターン220の接続部222近傍は、巻線部品10Bによって形成されるコイルのうちの3ターン目の終端近傍となる。このように、コイル基板20Bに含まれる第1パターン210、第2パターン220、第3パターン230は、それぞれ同一のコイルを形成する導体であるが、互いに離間した位置に相当する。そこで、両者の間にコイル基板20Bの厚さ方向に貫通する貫通孔(スリット)を設けて空隙を形成することで、両者の間で発生する寄生容量が抑制でき、且つ、高周波ノイズ成分の通過を抑制することができる。
なお、コイルにおいて互いに異なる位置に相当する導体が同一の基板上に形成されている場合、両者が相応に離間していれば、その間に発生する寄生容量は大きく低減される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る巻線部品及び電源装置は上記に限定されず、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施形態では、コイル巻線はコイル基板に対してはんだ付けによって固定される構成について説明したが、固定方法ははんだ付けに限定されず、例えば接着剤による接着等を採用することもできる。はんだ付け以外の方法でコイル巻線の突出部をコイル基板に対して固定する場合、コイル基板側にランドを形成する必要はないため、ランドとコイル部212との間に設けられた貫通孔を形成せずとも寄生容量の発生を抑制することは可能であるが、寄生容量の発生をより抑制するためには、貫通孔を形成することが好ましい。
また、コイル巻線に設けられる突出部は、コイル部を形成する導体により一体的に形成されていなくてもよく、他の部材等をコイル巻線に対して固着することで突出部を形成してもよい。さらに、上記実施形態では、突出部がコイル基板側に折り曲げられた形状を有している場合について説明したが、突出部が必ずしも折り曲げられた形状である必要はない。コイル巻線に設けられる突出部は、平面視において導体パターンとは重ならない位置でコイル基板に対して固定可能であって、コイル部がコイル基板から離間した状態でコイル巻線を支持できればよく、そのための突出部の形状は特に限定されない。
また、本実施形態では、チョークコイルについて説明したが、チョークコイル以外の電子部品に適用することもできる。例えば、上記のインダクタをトランスに適用する場合は、例えばコイル基板に設けられたコイル部を一次側とし、コイル巻線を二次側として、この一次側と二次側を電気的に絶縁する構成とすれば良い。