JP6328687B2 - 車両のラジエーターサポートカバー - Google Patents

Description

本発明は、車両のラジエーターサポートカバーに関し、詳しくは、車両のフロントグリルから取り込まれた外気を複数の樋部材を介して形成される複数の外気供給孔を介してエンジンへ供給する車両のラジエーターサポートカバーに関する。

従来、図１０に示すように、自動車１０１の走行中にフロントグリル１１８の外気導入口１１８ａから取り込まれた外気ａは、エンジンルーム１１０内に設けられたラジエータ１２２を冷却する外気ａ１として使用されている。また、この取り込まれた外気ａは、ラジエータ１２２の上部を覆うラジエーターサポートカバー１３０に形成された複数の外気供給孔１３６を有する開口部１３２を介してエンジン（図示しない）へ供給される外気ａ２として使用されている（特許文献１参照）。このようなラジエーターサポートカバー１３０として、例えば、図１１〜１４に示されるように、その開口部１３２に複数の樋部材１４０によって区画され前後方向が長手方向を成すスリット状の外気供給孔１３６が複数形成されているものが知られている。この複数の樋部材１４０は、複数の上側樋部材１３４と、略Ｕ字状の複数の下側樋部材１３８とから構成されている。これにより、これら複数の樋部材１４０（複数の上側樋部材１３４と複数の下側樋部材１３８）が複数の外気供給孔１３６を塞ぐ（目隠しする）格好となる。そのため、エンジンルーム１１０を覆うフロントフード１２０を開けた状態において、作業者（図示しない）から各外気供給孔１３６を介してラジエータ１２２を見え難くできる。したがって、フロントフード１２０を開けた状態におけるエンジンルーム１１０内の見栄えを向上させることができる。

特開平１１−２４５７４４号公報

しかしながら、上述した図１１〜１４に示される従来技術では、作業者から各外気供給孔１３６を介してラジエータ１２２を見え難くする観点から、複数の外気供給孔１３６は、その数が多く、かつ、その幅長が狭くなるように形成されていた。そのため、各樋部材１４０も多く設けられることとなっていた。したがって、この多く設けられた樋部材１４０がエンジンへ供給される外気ａ２の通過抵抗を成すため、このエンジンへ供給される外気量が少なくなることがあった。

本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、フロントフードを開けた状態におけるエンジンルーム内の見栄えを向上させることができつつ、多くの外気をエンジンへ供給できる車両のラジエーターサポートカバーを提供することである。

本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項１に記載の発明は、車両のフロントグリルから取り込まれた外気を複数の樋部材を介して形成される複数の外気供給孔を介してエンジンへ供給する車両のラジエーターサポートカバーである。複数の樋部材は、複数の上側樋部材と、略Ｕ字状の複数の下側樋部材とから構成されている。複数の上側樋部材と下側樋部材とは、エンジンルームを覆うフロントフードを開けた状態において、作業者から各外気供給孔を介してラジエータが見え難くなるように幅方向において互い違いを成すように設けられている。複数の下側樋部材は、前側に向けて下り傾斜した状態で設けられている。複数の下側樋部材の前側には、切欠が形成されている。

請求項１の発明によれば、従来技術のラジエーターサポートカバーと同様に、フロントフードを開けた状態におけるエンジンルーム内の見栄えを向上させることができる。また、従来技術のラジエーターサポートカバーと同様に、車両の走行中にフロントグリルの外気導入口から取り込まれた外気をエンジンルーム内に設けられたラジエータを冷却する外気として使用できる。また、この取り込まれた外気をラジエータの上部を覆うラジエーターサポートカバーに形成された複数の外気供給孔を介してエンジンへ供給される外気として使用できる。また、切欠が形成されているため、外気に対する通過抵抗としての樋部材の役割を抑えることができる。したがって、従来技術とは異なり、多くの外気をエンジンへ供給できる。

また、請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の車両のラジエーターサポートカバーであって、切欠は、略Ｕ字の内側のみに形成されている。

請求項２の発明によれば、例えば、切欠が樋部材の後側に形成されている場合と比較すると、エンジンルームを覆うフロントフードを開けた状態において作業者から切欠を見え難くできる。したがって、このフロントフードを開けた状態におけるエンジンルーム内の見栄えの悪化を防ぐことができる。

実施例に係る自動車のフロントの斜視図である。 図１のフロントフードの一部を切り欠いた状態を示す図である。 図１の縦断面の模式図である。 図２のラジエーターサポートカバーの拡大図である。 図４のラジエーターサポートカバーの左の開口部の拡大図である。 図５を後ろ側から見た斜視図である。 図５において、左右方向で切った縦断面図である。 図５において、前後方向で切った縦断面図である。 切欠の変形例を示す図である。 従来技術に係る自動車のフロントの縦断面の模式図である。 従来技術に係るラジエーターサポートカバーの斜視図である。 図１０のラジエーターサポートカバーの左の開口部の拡大図である。 図１２を後ろ側から見た斜視図である。 図１２において、左右方向で切った縦断面図である。

以下、本発明を実施するための形態を、図１〜８を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、「車両」として、「自動車（乗用車）１」を例に説明することとする。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、この自動車１を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。

まず、図１〜３を参照して、実施例に係る自動車１のフロントＦの概略構成を説明する。この自動車１のフロントＦには、車両ボデー（図示しない）に組み付けられた左右に対を成すフロントフェンダーパネル１２やフロントバンパ１４や左右に対を成すヘッドライト１６やフロントグリル１８や開閉可能に組み付けられたフロントフード２０から成るエンジンルーム１０が形成されている。このエンジンルーム１０内の前寄り位置には、車両ボデーに組み付けられたラジエーターサポート２４を介してラジエータ２２が搭載されている。

このラジエーターサポート２４には、ラジエータ２２を覆うようにラジエーターサポートカバー３０が組み付けられている。また、このエンジンルーム１０内の後寄り位置には、エンジン（図示しない）が搭載されている。また、このフロントグリル１８には、左右方向が長手方向を成すスリット状の外気導入口１８ａが複数形成されている。このようにスリット状に形成されていると、自動車１の走行中において、小石や雪等の異物（図示しない）の侵入を抑制し外気Ａのみを取り込むことができる。

ここで、図４〜８を参照して、このラジエーターサポートカバー３０について詳述する。このラジエーターサポートカバー３０は、自動車１の幅方向（左右方向）に広がるパネル状の部材から構成されている。このラジエーターサポートカバー３０には、左右に対を成すように開口部３２が形成されている。この開口部３２には、複数の樋部材４０によって区画され前後方向が長手方向を成すスリット状の外気供給孔３６が複数形成されている。

これにより、自動車１の走行中において、フロントグリル１８の複数の外気導入口１８ａから取り込まれた外気Ａをエンジンの吸気ダクト（図示しない）へ供給できる。この複数の樋部材４０は、複数の上側樋部材３４と、略Ｕ字状の複数の下側樋部材３８とから構成されている（図７参照）。これら複数の上側樋部材３４と下側樋部材３８とは、エンジンルーム１０を覆うフロントフード２０を開けた状態において、作業者から各外気供給孔３６を介してラジエータ２２が見え難くなるように左右方向において互い違いを成すように設けられている。

この下側樋部材３８は、底部３８ａと左右の側部３８ｃとから成る略Ｕ字状を成しており、前側に向けて下り傾斜した状態を成すように形成されている。また、この下側樋部材３８の略Ｕ字状の底部３８ａの前側には、この略Ｕ字に溜まる水（雨水、洗車水等）を抜くための水抜穴３８ｂが形成されている（図８参照）。また、この下側樋部材３８の略Ｕ字状の内側の側部３８ｃの前側には、略半円状（１／２円状）の切欠３８ｄが形成されている。

ここで言う内側とは、自動車１のインナ側のことである。そのため、この内側とは、左の開口部３２における下側樋部材３８であれば、右側のことであり、右の開口部３２における下側樋部材３８であれば、左側のことである。また、この下側樋部材３８は、左右方向の内側に向けて（左右方向において切欠３８ｄ側に向けて）下り傾斜した状態を成すように形成されている。なお、このように形成されたラジエーターサポートカバー３０は、例えば、剛性を有する合成樹脂（例えば、ＰＰ等）によって一体的に成形されている。

続いて、上述したラジエーターサポートカバー３０の作用を説明する。このラジエーターサポートカバー３０も、従来技術のラジエーターサポートカバー１３０と同様に、自動車１の走行中にフロントグリル１８の外気導入口１８ａから取り込まれた外気Ａをエンジンルーム１０内に設けられたラジエータ２２を冷却する外気Ａ１として使用できる（図３参照）。また、この取り込まれた外気Ａをラジエータ２２の上部を覆うラジエーターサポートカバー３０に形成された複数の外気供給孔３６を有する開口部３２を介してエンジンへ供給される外気Ａ２として使用できる。

また、このラジエーターサポートカバー３０には、従来技術のラジエーターサポートカバー１３０と同様に、複数の上側樋部材３４と、略Ｕ字状の複数の下側樋部材３８とから構成されている複数の樋部材４０が設けられている。そのため、従来技術と同様に、フロントフード２０を開けた状態におけるエンジンルーム１０内の見栄えを向上させることができる。また、この下側樋部材３８の前側には、略半円状（１／２円状）の切欠３８ｄが形成されている。そのため、外気Ａ２に対する通過抵抗としての下側樋部材３８の役割を抑えることができる。したがって、従来技術とは異なり、多くの外気Ａ２をエンジンへ供給できる。

また、この切欠３８ｄは、下側樋部材３８の前側に形成されている。そのため、この切欠３８ｄが下側樋部材３８の後側に形成されている場合と比較すると、エンジンルーム１０を覆うフロントフード２０を開けた状態において作業者から切欠３８ｄを見え難くできる。したがって、このフロントフード２０を開けた状態におけるエンジンルーム１０内の見栄えの悪化を防ぐことができる。また、この切欠３８ｄが下側樋部材３８の後側に形成されている場合と比較すると、エンジンルーム１０への外気Ａ２の供給量を多くできる。なぜなら、ラジエータ２２側は圧力が高いため、下側樋部材３８の後側に切欠３８ｄが形成されても、エンジンルーム１０が外気Ａ２を取り込み難くなるからである。

また、この切欠３８ｄは、略Ｕ字状の側部３８ｃの内側に形成されている。そのため、作業者がこの切欠３８ｄを見たとき、この切欠３８ｄが作業者にとって死角に位置することとなる。したがって、フロントフード２０を開けた状態におけるエンジンルーム１０内の見栄えの悪化を防ぐことができる。

上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。

実施例では、『車両』の例として、『自動車（乗用車）１』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『各種の乗物』であっても構わない。

また、実施例では、切欠３８ｄは略半円状（１／２円状）に形成されている形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、切欠３８ｄは１／４円状に形成されている形態でも構わない（図９参照）。

また、実施例では、全ての下側樋部材３８に切欠３８ｄが形成されている形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、一部の下側樋部材３８にのみ切欠３８ｄが形成されていても構わない。

１ 自動車（車両）
１０ エンジンルーム
１８ フロントグリル
２０ フロントフード
２２ ラジエータ
３０ ラジエーターサポートカバー
３２ 開口部
３６ 外気供給孔
３８ 下側樋部材
３８ｄ 切欠
４０ 樋部材（上側樋部材、下側樋部材）
Ａ１ 外気

Claims (2)

1. 車両のフロントグリルから取り込まれた外気を複数の樋部材を介して形成される複数の外気供給孔を介してエンジンへ供給する車両のラジエーターサポートカバーであって、
   複数の樋部材は、複数の上側樋部材と、略Ｕ字状の複数の下側樋部材とから構成されており、
   複数の上側樋部材と下側樋部材とは、エンジンルームを覆うフロントフードを開けた状態において、作業者から各外気供給孔を介してラジエータが見え難くなるように幅方向において互い違いを成すように設けられており、
   複数の下側樋部材は、前側に向けて下り傾斜した状態で設けられており、
   複数の下側樋部材の前側には、切欠が形成されている車両のラジエーターサポートカバー。
2. 請求項１に記載の車両のラジエーターサポートカバーであって、
   切欠は、略Ｕ字の内側のみに形成されている車両のラジエーターサポートカバー。
   
   
   

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