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JP6327866B2 - 保護リレー装置および保護システム - Google Patents

保護リレー装置および保護システム Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、アプリケーション単位で時刻同期を行う保護リレー装置およびそれを用いた保護システムに関するものである。
電力系統には事故除去システムや系統安定化制御システムといった保護システムが適用されている。事故除去システムとは、送電線や母線の事故を検出して事故区間を切り離すシステムである。系統安定化制御システムとは、発電変電所の系統事故を検出して周波数脱調等の系統不安定事象を予測し発電機等を系統から切り離すシステムである。
これらの保護システムには、送電線区間や発変電所の各端子に保護リレー装置が設置されている。各保護リレー装置は、電流値や電圧値、接点情報などの電気量データを、計測あるいは生成し、この電気量データを他の保護リレー装置と通信で授受し合うことにより、事故検出判定用の演算や電流差動演算あるいは安定度演算を行っている。これらの演算は、保護リレー装置に実装されるアプリケーション(以下、アプリと略す)によって実行される。例えば、電流差動演算を行うアプリは電流差動アプリ、安定度演算を行うアプリは安定化アプリと呼ぶ。
ところで、保護リレー装置が事故検出判定用の演算を行うとき、同一時刻(同位相)の電気量データを取得する必要がある。そこで、保護リレー装置は分周値で電気角15°や30°などの任意の計測周期を生成し、ハードウェアクロックを分周したサンプリングパルス信号の立上がりエッジを同期させることで、計測タイミングを同期させている。
このとき、互いに通信接続される保護リレー装置群のうち、1台を同期の主端に設定し、残りのn台を同期の従端に設定して、主端と従端との間で同期通信を行っている。同期通信では、通信に用いる同期フレームに送信時刻と受信時刻を付加して通信し合い、従端側で主端のサンプリングパルス信号エッジの誤差(同期誤差)を算出する。
同期通信で算出した同期誤差を0値に近づけるよう、前記の分周値を(基準値+1)や(基準値−1)のように微調整し、サンプリング間隔を伸縮させている。このような同期手法をサンプリング同期と称している。このような同期通信はNTP(Network Time Protocol)同期通信や、PTP(Precision Time Protocol)同期通信などの標準的な時刻同期通信と同等である。
サンプリング同期を適用した保護システムでは、通常、1台の保護リレー装置を同期の主端とし、残りのn台の保護リレー装置を同期の従端に設定するので、1:nの同期主従構成を組むことになり、この形態を全系同期と呼んでいる。つまり、全系同期では、全ての従端が1台の主端とサンプリング同期することで、全ての保護リレー装置の計測タイミングを合わせることが可能である。
ここで全系同期について図14を用いて具体的に説明する。図14は全系同期を適用した送電線の事故除去システムを示している。図14に示すように、送電線10にIED11〜13を接続している。IEDとは、Intelligent Electronic Deviceの略であり、計測、演算および制御の機能を担い、且つ自立動作が可能な保護リレー装置である。
各IED11〜13が実装するアプリは、送電線10の電流差動アプリ11a〜13aである。また、各IED11〜13は通信線14に接続されるシリアル伝送部11b〜13bを備えている。図14の送電線の事故除去システムでは、3台のIED11〜13のうち、図中の左側のIED11を同期の主端とし、中央のIED12と右側のIED13を同期の従端として設定している。このような全系同期は基本的に同期主従1:1構成を拡張したものなので、構成は比較的シンプルである。
一般的に、保護システムには保護リレー装置を複数設けているが、保護リレー装置が同一のアプリを実装していることが多い。例えば図14に示したIEDは、3台全て電流差動アプリ11a〜13aを実装している。このようなIEDを備えた事故除去システムでは、各IEDの演算性能に応じて複数のIEDでアプリ処理を分担することができ、システムにおける演算処理負荷や通信負荷を分散することが可能である。
また、保守点検や局所的な通信回線および通信機器の不良、あるいは故障により特定のIEDが使用不可状態に陥ったとしても、ネットワーク上のIED同士が通信で相互に連携可能である。したがって、他の健全なIEDが、使用不可のIEDをバックアップすることができ、事故除去システムの稼働率ならびに安定性を維持することが可能である。
さらに近年では、保護システムに含まれるIED台数は増加しており、システムの規模は拡大傾向にある。このような状況を受けて、種類の異なるアプリを実装したIEDを複数設けて、アプリの並列運用を行う保護システムが提案されている。
しかし、複数種類のアプリを並列運用する保護システムでは、複数のアプリ同士が結びつくことで、IED間の同期通信の規模が飛躍的に拡大してしまう。そのため、54Kbpsや1.5Mbpsといった従来の標準的な通信回線では複数種類のアプリの並列運用は困難である。なぜなら、標準的な通信回線で瞬時値データを転送しようとしても、1情報フレーム長が90bitや119bitといった非常に小さい容量しか取り扱えないからである。
しかし今日では、ネットワーク回線の高速化が進み、IED間で取り扱える情報量が格段に増加した通信環境が構築可能になっている。例えば、図15に示す保護システムのように、ギガビットレベルといった高速の広域ネットワーク回線2を適用することで情報量の拡大に対応している(例えば、特許文献1など)。
この保護システムでは、IED♯1〜♯4を含む系統安定化制御システムに、電流差動リレーとなるIED♯4〜6が追加されており、2種類のアプリが並列運用されている。図15に示すように、IED♯1〜♯4は、系統から切り離すもしくは系統に連結する対象である発電機G1〜G4を管轄する。また、IED♯4,5は送電線L1,L2を保護管轄とし、IED♯5,6は送電線L3,L4を保護管轄としている。
したがって、IED♯1〜♯4には発電機G1〜G4を管轄する安定化アプリが実装され、IED♯4,5には送電線L1,L2を管轄とする電流差動アプリが実装され、IED♯5,6には送電線L3,L4を管轄とする電流差動アプリが実装されている。また、広域ネットワーク回線2にはSWを介して、IED♯1〜♯6、時刻配信サーバ22および計算機サーバ23が接続されている。
以上のような保護システムでは系統安定化制御システムと送電線の事故除去システムの複合化を実現している。このため、保護システムは、系統安定化制御システムの範囲と送電線の事故除去システムの範囲を持ち、安定化アプリと電流差動アプリという種類の異なるアプリ間で同期通信を行っている。しかも、IED♯4が安定化アプリと電流差動アプリを兼ね備えるのでIEDの配置台数や通信設備を削減することが可能である。これにより、保守性の向上とコスト低減化に寄与することができる。
このような複数種類のアプリを並列運用する保護システムにおける同期通信について、図17〜図20を用いて具体的に説明する。図17〜図19は図15の保護システムにおける同期通信を説明するためのブロック図、図20は各IEDに設けられた同期通信ドライバのブロック図である。
図17〜図19に示すように、各IED♯1〜♯6および計算機サーバ23にはネットワークIF8と同期通信ドライバ9が設けられている。図17に示すIED♯1〜♯4、時刻配信サーバ22および計算機サーバ23を含む範囲が、系統安定化制御システムの範囲である。この範囲では時刻配信サーバ22が同期の主端となり、各IED♯1〜♯4が同期の従端となる。
したがって、IED♯1〜♯4および計算機サーバ23は、一定周期で、時刻配信サーバ22と通信して時刻同期し、各IED♯1〜♯4が同期した時刻を取得することになる。なお、IED♯1〜♯4のいずれかを同期主端にし、IEDのローカル時刻でIED♯1〜♯4を時刻同期すれば時刻配信サーバ22は不要となる。
IED♯1〜♯4は、図15に図示した発電機G1〜G4からVI情報を入力し、このVI情報からフェーザ情報に変換したデータで通信用のフレームを生成して、1サイクル周期で計算機サーバ23および他のIEDに前記フレームを広域ネットワーク回線2経由で配信する。計算機サーバ23は1サイクル周期で、各IED♯1〜♯4から受信するフェーザ情報に基づき、安定化演算判定を行う。
計算機サーバ23は演算結果に従ってトリップ制御を実施する。この場合、計算機サーバ23は発電機G1〜G4を管轄するIED♯1〜♯4に対してトリップ指令の送信フレームを生成し、これを広域ネットワーク回線2経由でIED♯1〜♯4に送信する。トリップ指令を受信したIED♯1〜♯4は、トリップ信号を発電機G1〜G4に出力し、発電機G1〜G4を系統からの切断制御あるいは系統への接続制御を行う。このような制御により系統の安定化を図ることができる。
図18に示すIED♯4,5を含む構成が、送電線L1,L2の事故除去システムの範囲である。IED♯4,5は送電線L1,L2端の通過電流を取り込む入力信号線を接続し、区間事故検出時に系統から切り離すための開閉器に出力信号線を接続する。また、IED♯4はスイッチSW経由で広域ネットワーク回線2を介してIED♯5と通信を行う。
IED♯4は、例えば電気角30°周期で通過電流を取り込み、相手端であるIED♯5に時刻付で通過電流値などの電気量データをフレームに乗せて送信する(IED♯5も同様である)。IED♯4,5は互いに相手端からフレームを受信するが、その都度、両端の通過電流値などを要素に差動演算して事故判定を行う。
そして、事故検出時には開閉器にトリップ信号を出力して送電線L1,L2の事故区間の切り離しを行い、事故波及の防止および事故除去を行うことができる。上記の送電線L1,L2の事故除去システムの範囲では、IED♯4が同期の主端となり、IED♯5が同期の従端となっている。
つまりIED♯4は、安定化アプリの同期通信では従端として動作するが、送電線L1,L2の電流差動アプリの同期通信では主端として動作する。このIED♯4は、1台に複数の保護機能を集約搭載しており、上述したようにIEDの配置台数や通信設備を低減させている。また、IED♯5は、送電線L1,L2の電流差動アプリの同期通信において同期の従端となり、IED♯4の同期時刻を取得して同期制御を行う。これにより、IED♯4とIED♯5の時刻が同期する。
図19に示すIED♯5,6を含む構成が、送電線L3,L4の事故除去システムの範囲である。この範囲では、IED♯5が同期の主端となり、IED♯6が同期の従端となる。つまりIED♯5は、送電線L1,L2の電流差動アプリの同期通信では従端として動作するが、送電線L3,L4の電流差動アプリの同期通信では主端として動作する。
また、IED♯6は送電線L3,L4の電流差動アプリの同期通信において同期の従端となり、IED♯5の同期時刻を取得して同期制御する。なお、送電線L3,L4の事故を除去する動作内容に関しては、送電線L1,L2のそれと同様であるため、説明は省略する。
続いて、図20を用いて、各IED♯1〜♯6に内蔵された同期通信ドライバの構成について説明する。図20に示すように、同期通信ドライバ9には、内部時計902と、サンプリングタイミング生成回路903と、通信処理部904と、時刻同期処理部905が設けられている。同期通信ドライバ9では、通信処理部904によって取得した同期時刻を元にして、内部時計902の時刻を補正すると同時に、サンプリングタイミング生成回路903の分周値を補正する。
特開2010−41899号公報
上記の従来技術には次のような課題が指摘されている。図15に示した保護システムにおいて、安定化アプリを実装したIEDグループ(IED♯1〜♯4)と、電流差動アプリを実装したIEDグループ(IED♯4〜6)とは、機能上の相関はない。そのため、安定化アプリ用のIED♯1〜♯4間の同期通信と、電流差動アプリ用のIED♯4〜6間の同期通信は、互いに独立して動作可能である。
ところが実際には、図15の保護システムにおいて計測タイミングを合わせるためにサンプリング同期を行おうとすると、結果的には全てのIED♯1〜♯6が同期を取らざるを得なくなる。これは、2種類のアプリを実装するIED♯4が、送電線L1,L2の事故除去システムの範囲では同期の主端であるが、系統安定化制御システムの範囲では同期の従端であり同期の主端である時刻配信サーバ22の同期時刻を取得するためである。
つまり、複数種類のアプリを並列運用する保護システムでは、たとえ種類の異なるアプリ同士が機能上、相互に相関がないとしても、複数種類のアプリを実装する保護装置が保護システム内に存在すれば、全てが同期する全系同期になる。その結果、以下の課題が生じた。
(1)全系同期では全ての保護リレー装置が計測タイミングを合わせるので、同期の主端あるいはその近傍に不具合が生じると、サンプリング同期する全ての従端が同期不良を起こすことになる。そのため、不具合範囲外の保護リレー装置に搭載されるアプリも停止してしまい、保護システム内の全てのアプリが機能停止することになる。
この点について具体例を示すと、仮に図16に示した安定化アプリの実装例でIED♯1を同期の主端とした場合、IED♯1が故障することで安定化アプリは機能停止するが、それだけでは済まず、IED♯4が停止を余儀なくされるため、IED♯4〜♯6間の通信のみを必要とする送電線L1〜L4の電流差動アプリについても、機能が停止することになる。
(2)全系同期では同期主従設定に相関があり、構成を管理することが難しい。この点について図17,図18を用いて説明する。既に述べたように、IED♯4は安定化アプリ用の同期通信では従端として動作し(図17参照)、送電線L1,L2の電流差動アプリ用の同期通信では主端として動作している(図18参照)。このため、IED♯4は時刻配信サーバ22の時刻に同期した時刻を、IED♯5の電流差動アプリに渡している。
しかし、設定誤りなどを原因として、送電線L1,L2の電流差動アプリ用の同期通信で、IED♯4が主端ではなく従端に、IED♯5が従端ではなく主端に、それぞれ誤って設定されたとする。この場合、IED♯4は2つの同期主端に追従しようとする制御を行うことになり、正しい同期引き込みが行えなくなってしまう。
(3)また、複数種類のアプリを並列運用する保護システムにおいて全系同期を行うと、制御管轄外のIEDや通信設備が故障した場合、または保守点検などにより一時的に、あるアプリの運用を停止した場合に、故障からの復旧時または運用の再開時において、他のアプリに影響を及ぼすことがある。この影響について図15の保護システムを例にとって具体的に説明する。
全系同期である図15の保護システムでは、各IED♯1〜♯6および計算機サーバ23が時刻配信サーバ22の時刻と同期するが、ここでIED♯4が故障すると、IED♯5は同期通信不能となって自走状態となる。したがって、IED♯5の自走状態に追従してIED♯6は同期制御することができる。つまり、IED♯4が故障しても、IED♯5,6間は同期を維持することが可能である。
しかし、IED♯5,6間が同期を維持した状態のまま、故障したIED♯4が復旧すると、IED♯4とIED♯5の同期通信が回復することでIED♯5の同期補正制御が実施される。そのため、IED♯4の復旧時にIED♯5とIED♯6と同期がずれてしまい、一時的に同期不良を検出することになり、送電線L3,L4区間の保護が行えない期間が出てしまう。
さらに最近の保護システムでは、システム規模が拡大することで次の問題点が顕在化している。
(4)システム規模の拡大に伴って同期の主端に接続される従端数が増えるので、主端への通信集中が起き易くなり、通信負荷変動が増加して高精度同期を維持することが難しくなる。
(5)従端数の増加に従い、従端と主端との通信距離(ホップ数)には相違が生じ易く、全ての従端の同期精度(同期誤差)を一律にすることが困難になる。
(6)主端に近い箇所で通信障害が起きると機能不全の波及範囲が大きい。
本発明の実施形態は、以上の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、全系同期による同期精度の困難さや同期不良を解消し、一部のアプリが停止しても健全なアプリに関しては動作を継続することができ、優れた信頼性、安定性および稼働率を発揮することができる保護リレー装置および保護システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の実施形態は、種類の異なるアプリケーションが実装された保護リレー装置において、次の(a)〜(c)の特徴を有している。
(a)前記アプリケーション別に時刻同期処理部が組み込まれている。
(b)各時刻同期処理部には論理時刻が設定されている。
(c)前記論理時刻を基準にして別の保護リレー装置とのサンプリングタイミング差を求める。
また、以下の(d)〜(f)の特徴を有する保護システムも本発明の実施形態の1つである。
(d)複数の保護リレー装置に実装された複数のアプリケーションのうち、同一種類の前記アプリケーションが1つの同期グループとして構成される。
(e)当該同期グループに含まれる保護リレー装置の中で同期の主端および従端が設定される。
(f)同一の同期グループ内の前記主端および前記従端は同期グループ単位で論理時刻を設定し、この論理時刻を用いて同期通信を行うと共に前記論理時刻を同期補正するように構成される。
(g)前記同期グループ内の主端は、他の同期グループの主端の従端となり他の同期グループの主端と同期通信可能に構成され、複数の前記同期グループが同期される。
本発明の第1の実施形態に係る同期通信ドライバのブロック図。 IED間の通信フレームのフォーマットを示す図。 サンプリングタイミングと論理時刻との関係を説明するための波形図。 第1の実施形態の要部ブロック図。 第1の実施形態の要部ブロック図。 第1の実施形態の要部ブロック図。 サンプリングタイミング差分を説明するための波形図。 サンプリングタイミングのすべりを説明するための波形図。 (a)は本発明の第2の実施形態におけるサンプリングタイミングをタイマで生成することを示す波形図、(b)はサンプリングタイミングとアプリ処理動作タイミングの関係を示す波形図。 本発明の第3の実施形態のブロック図。 第3の実施形態においてアプリグループで同期をとる構成を示すブロック図。 本発明の第4の実施形態のブロック図。 第4の実施形態においてアプリの冗長実装構成を示すブロック図。 従来の送電線の事故除去システムのブロック図。 2種類のアプリを並列運用した保護システムのブロック図。 図15の保護システムにおける各IEDに実装したアプリと通信対向を示すブロック図。 図15の保護システムの要部ブロック図。 図15の保護システムの要部ブロック図。 図15の保護システムの要部ブロック図。 各IEDに設けられた同期通信ドライバのブロック図。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて具体的に説明する。下記の実施形態は、複数のアプリを並列運用する保護システムであって、図15に示した従来技術と同様、系統安定化制御システムと送電線保護システムとを統合した保護システムである。そのため、図15〜図20の従来技術と同一の構成要素に関しては同一符号を付し、説明は割愛する。
[1]第1の実施形態
第1の実施形態について、図1〜図8を用いて説明する。
[構成]
(アプリ別の時刻同期処理部)
図1に示すように、IED♯4の同期通信ドライバ9には、安定化アプリと電流差動アプリという2種類のアプリが実装されており、アプリごとに時刻同期処理部906,907が分離して組み込まれている。
時刻同期処理部906,907にはそれぞれ論理時刻T1,T2が設定されている。T1が安定化アプリ用の論理時刻、T2が電流差動アプリ用の論理時刻であり、アプリ種別が増えるとT3、T4、Tnと別の論理時刻で管理される。本実施形態ではアプリ単位で設定した論理時刻T1,T2により同期通信を行うと共に、論理時刻T1,T2を対象として時刻同期補正を行う点に特徴がある。
なお、図示しないが、安定化アプリだけを実装したIED♯1〜3の同期通信ドライバ9には安定化アプリ用の時刻同期処理部906だけが組み込まれている。また、電流差動アプリだけを実装したIED♯5,6の同期通信ドライバ9には電流差動アプリ用の時刻同期処理部907だけが組み込まれている。
(通信フレームの構成)
次に、図2を用いてIED♯1〜♯6間の通信フレームのフォーマットについて説明する。図2の上段に示す通信フレームは、宛先アドレス、発信元アドレス、タイプ、IPヘッダ、UDPヘッダ、計測時刻、サンプリングタイミング差、電気量データ、FCS(フレームチェックシーケンスコード)といった情報を載せている。
図15の保護システムでは、安定化判定の演算用に計算機サーバ23を配置していることから、計算機の通信インターフェースとしては、扱いが容易であるUDP/IPフレームを採用するものとする。採用するフレーム種別は、装置の通信インターフェースやアプリケーションに依存するだけであり、その種別は適宜選択可能である。但し、図15の保護システムでリアルタイムな通信が求められる場合、TCP/IPのように、数百ミリ単位の応答待ち時間など時限制御があるプロトコルに関しては適用することができない。
UDP/IPフレームのユーザデータ領域には、アプリ種別、電気量データ、計測時刻情報、及びサンプリングタイミング差を格納し、広域ネットワーク回線2へ送出する。フレーム配信の方式は、ユニキャスト配信でもマルチキャスト配信のいずれでもよく、ネットワーク接続構成や対向装置数などのシステム構成に応じて適切な方式を選択すればよい。
電気量データの内容はアプリの種類によって異なり、送電線の電流差動アプリでは電気角30°度(50Hz系統で1.67ミリ秒間隔)の瞬時値データ、安定化アプリでは1サイクル(同20ミリ秒間隔)のフェーザデータとする。フェーザデータとは、位相や振幅からなる正弦波信号を取り扱うデータである。
なお、IED♯4のように2種類のアプリが実装されている場合、送信フレームを、送電線の電流差動用と、安定化用とでフレーム分離して送出しても良い。また、図2の下段に示した通信フレームのように、1フレームに2種類の情報、例えば瞬間時データとフェーザデータを、載せて送出するようにしてもよい。
フレーム中の計測時刻は、自装置で電気量データを計測/生成した時刻であり、同一種類のアプリ用の同期グループ内の論理時刻T1,T2から取得し、サンプリングタイミング差と合わせて送信フレームに載せる。また、サンプリングタイミング差をフレームに付加せずに、送信局で時刻差分をデータ補間した電気量データをフレームに載せる方式でもよい。なお、サンプリング周期が電気角3.75°や1°といった高速周期になると、サンプリングタイミング差が限りなく小さくなり、論理時刻T1,T2とほぼ一致する計測データが生成することができ、電気量データの補間は不要になる。
(論理時刻の種類)
続いて、論理時刻T1,T2の種類について説明する。時刻同期処理部906,907にはそれぞれ論理時刻T1,T2が設定されている。論理時刻T1,T2は、安定化アプリあるいは電流差動アプリそれぞれが用いる同期通信の時刻単位でよい。例えば、安定化アプリでPTP同期を採用した場合、秒とナノ秒を時刻情報とし、電流差動アプリではサンプリングアドレス(例えば、電気角30°幅で歩進)を時刻情報とするようにしてもよい。
時刻同期処理部906,907は、同期通信の合間に、同期通信ドライバ9の内部時計902を用いて、IED内部で生成される最少単位時間、例えば1ミリ秒の時間幅で、論理時刻T1,T2を更新する。また、時刻同期処理部906,907は、各アプリの論理時刻T1,T2に付属情報として時刻構成情報を持たせることで、各論理時刻T1,T2の1ミリ秒の加算位置を特定することも可能である。なお、論理時刻T1,T2は、アプリ特有の時刻情報に応じて、単位やフォーマットが確定していれば、任意形式の時刻更新を行うようにしてもよい。
(時刻構成情報)
下記の表1は、同期通信ドライバ9の内部時計902による歩進を1000μ秒周期で実施する時の時刻構成情報の例である。ここでは、内部時計902の歩進量が各論理時刻T1,T2の「加算周期」を超えると、「加算単位」を論理時刻T1,T2に加算する。論理時刻T1,T2が「加算上限」を超過したら「桁上げ処理」に基づいて0循環や上位桁時刻を更新する。
Figure 0006327866
論理時刻T1,T2がサンプリングアドレス(50Hz)の場合、初回歩進では1000μ秒に相当する加算であり、加算周期を超過しないので、これを「前回歩進の加算余り」として記憶し、次回歩進で2000μ秒となり、1667μ秒超過で「加算単位」分を加算し、残り333μ秒を加算余りとして記憶する。なお、UCT時刻やシステムローカル時刻のように、複数要素で時刻情報を構成する場合には、その要素別に同様の情報があれば上位桁更新にも対応することができる。
(サンプリングタイミングと論理時刻との関係)
同期の従端における時刻同期処理部906,907が、論理時刻T1,T2を更新するタイミングについて、図3を参照して説明する。図3に示すように、従端の時刻同期処理部906,907は、同期通信により主端の基準タイミング差を得る。このとき、同期通信ではサンプリングタイミングの差分を得るだけであり、サンプリングタイミングそのものを補正することはない。従端の時刻同期処理部906,907は、サンプリング信号を基点にしてタイマ起動し、アプリ別の時刻情報に応じて、論理時刻T1,T2のタイミングを生成する。
(アプリ多重同期)
本実施形態における同期通信は、アプリ別に設定された論理時刻T1,T2を用いて時刻同期を行うので、アプリ多重同期と呼ぶことにする。第1の実施形態では系統安定化制御システムおよび送電線の事故除去システムの範囲でアプリ多重同期通信を行っている。
本実施形態では、同一のアプリを集めたグループが、グループ内で時刻同期を行う同期グループとなる。すなわち、IED♯1〜♯6に実装されたアプリは、安定化アプリの同期グループと、電流差動アプリの同期グループとに分けられる。本実施形態における時刻情報の構成や単位は同期グループ内で理解できるように設定されている。例えば、JST時刻やUTC時刻でもよいし、システム内のローカル時刻であっても構わない。
(アプリ多重同期通信における同期の主端および従端)
IED♯1〜♯6では、同期グループごとに、同期の主端および従端が設定されている。以下、本実施形態のアプリ多重同期通信における同期の主端および従端について、図4〜図6を用いて説明する。図4〜図6は図15の保護システムに適用したアプリ多重同期通信の機能を示すブロック図である。
図4に示した系統安定化制御システムの範囲では時刻配信サーバ22が同期の主端となり、IED♯1〜♯4における各安定化アプリ用の時刻同期処理部906が同期の従端となる。図5に示した送電線L1,L2の事故除去システムの範囲ではIED♯5の電流差動アプリ用の時刻同期処理部907が同期の主端となり、IED♯4の電流差動アプリ用の時刻同期処理部907が同期の従端となる。
図6に示した送電線L3,L4の事故除去システムの範囲ではIED♯6の電流差動アプリ用の時刻同期処理部907が同期の主端となり、IED♯5の電流差動アプリ用の時刻同期処理部907が同期の従端となる。時刻同期処理部906,907において、同期の従端となったものは、主端の論理時刻T1,T2を得て、これに基づいて従端の論理時刻T1,T2を同期補正する。
(サンプリングタイミング生成部およびフレーム送受信タイミング制御部)
ここで図1に戻り、同期通信ドライバ9の構成要素についてさらに説明する。図1に示すように、同期通信ドライバ9にはサンプリングタイミング生成部903およびフレーム送受信タイミング制御部909が設けられている。第1の実施形態に係るサンプリングタイミング生成部903は、分周値を補正することはせず、論理時刻T1,T2を基準にしてIED同士のサンプリングタイミング差を求めて、この差分を管理している。
フレーム送受信タイミング制御部909にはカウンタ計数回路919および水晶発振器929が設けられている。カウンタ計数回路919は同期通信フレームの送受信タイミングを保存し、保存した送受信タイミングを用いて同期の主端および従端間の伝送遅延時間および同期誤差を算出する。
カウンタ計数回路919は、サンプリング信号立上がりエッジを要素として加えることで、同期時刻に対するサンプリング信号の位置(時刻)を把握し、通信フレームの正確な送受信タイミングを取得する。カウンタ計数回路919が取得した送受信タイミングに基づくことで、サンプリングタイミング差を高い精度で求めることができる。
(サンプリングタイミング差分)
次に、サンプリングタイミング差分について、図7を参照して具体的に説明する。図7は、同期の主端である時刻配信サーバ22の1PPS信号と、IED♯1のサンプリング信号と安定化アプリ用の論理時刻T1の1PPS信号、並びにIED♯2のサンプリング信号を示している。
IED♯1とIED♯2は、時刻配信サーバ22と同期通信して主端の時刻を取得し、安定化アプリ用の論理時刻T1を同期補正する。このとき、補正対象は論理時刻なので、1PPS信号の出力は現実的には生成されないが、理論的な1PPSタイミング(0ミリ秒のタイミング)は同調することになる。
これに対し、IED♯1とIED♯2のそれぞれのサンプリング信号は、同期補正の対象としていない。そのため、サンプリング信号がずれていれば、そのずれは生じたままである。また、各IEDの水晶発振器929のクロック偏差による滑りから、2つのサンプリング信号がずれ幅は逐次変化する。時刻同期処理部906、907は、このサンプリング信号のエッジと論理時刻T1の1PPSエッジとの差分を、サンプリングタイミング差分として求めている。
ところで各IED♯1〜♯6は、サンプリング信号を基準に信号入力するため、サンプリングタイミング差だけ時刻がずれた入力値となる。しかし、相手端のIEDに入力値を送信する際にはサンプリングタイミング差を付加して送信し、受信端のIEDでサンプリングタイミング差の時間幅をデータ補間する。このようにしてIED♯1〜♯6はサンプリングタイミング差による時刻ずれを解消することが可能である。
例えば、安定化アプリ用時刻同期処理部906によってIED♯1とIED♯2を論理時刻T1で同期通信し、正弦波信号をIED♯1とIED♯2に並列入力した場合、通常、主端の入力値と従端の入力値は、サンプリング信号のずれに応じて入力値がずれている。そこで、本実施形態ではサンプリングタイミング差から入力データを補間することにより、ほぼ同調した信号として扱うことができる。
(IED間の水晶発振器の周波数偏差)
ところで、従来の同期制御では、サンプリングタイミングの補正時に水晶発振器929の周波数の分周値を調整している。そのため、従来では、サンプリングタイミングの補正と同時に、各IED間の水晶発振器929の周波数偏差も同時に補正される。
これに対して、アプリ多重同期を実施する本実施形態では、サンプリングタイミング補正は行っていない。このため、水晶発振器929の周波数個体の偏差は解消されない。したがって、図8に示すように、同期の従端のサンプリングタイミングは、基準となる主端のサンプリングタイミングに対して、一定速度のすべりが生じている。例えば、図8に示した従端では、主端のサンプリングタイミングを基準にして1秒経過でNppmすべることを表している。
そこで本実施形態では、同期通信の直後に、時刻同期処理部906,907がサンプリングタイミング差を求める。そして、時刻同期処理部906,907は前記サンプリングタイミング差に基づいて別のIEDとの水晶発振器929の周波数偏差を算出する。
一般的に、同期通信の間隔が広がると、前記すべり幅が同期誤差として蓄積されるが、本実施形態においては同期通信毎に計測するサンプリングタイミング差から、すべり幅を求めることができる。したがって、同期通信のない期間の論理時刻更新時には、時刻同期処理部906,907がすべり幅分を加味した時刻加算を実施する。これにより、第1の実施形態では、たとえ同期通信の間隔が広がってすべり幅が大きくなったとしても、正確な論理時刻T1,T2として扱うことが可能となる。
[作用および効果]
第1の実施形態の作用および効果は、次の通りである。
(1)第1の実施形態においては、同期の範囲をアプリ別にグルーピングし、そのグループの中で閉じた時刻同期制御を多重的に行う、アプリ多重同期を実施している。このため、従来の全系同期のように、全てのIED♯1〜♯6が計測タイミングを合わせる必要が無い。したがって、異なる種類のアプリを実装したIED♯4を含む保護システムにおいて、IED♯1〜♯6のいずれか一つが故障したとしても、故障部位に関わらない健全なIEDに実装されたアプリは機能を維持することが可能である。これにより、保護システムの安定性および稼働率が大幅に向上する。
(2)第1の実施形態におけるアプリ多重同期では、アプリごとの論理時刻T1,T2を利用して時刻同期を行うので、全系同期に比べて、同期主従設定が容易となる。その結果、同期主従の設定時の設定誤りを防ぐことができ、保護システムの管理構成が容易となって、システムの信頼性が向上する。
(3)第1の実施形態は、アプリの機能を停止したIEDが復旧する時または運用を再開する時でも、他のアプリへ影響を与える心配が無い。例えば、IED♯4が故障してもIED♯4とはアプリが別グループであるIED♯5,6は、独立して同期通信を継続している。そのため、故障していたIED♯4が復旧してもIED♯5にて同期補正制御が実施されることはない。したがって、IED♯4の復旧に伴って、IED♯5とIED♯6との同期がずれる同期不良が起きる心配がない。
(4)時刻同期処理部906,907がサンプリングタイミング差分に基づいて、別のIEDとの水晶発振器周波数の周波数偏差を算出し、当該周波数偏差を加味して論理時刻T1,T2を更新するので、仮に同期通信を行う間隔が広くなったとしても、優れた同期精度を維持することができる。
(5)時刻同期処理部906,907は、同期グループごとに異なる時刻構成を用いて論理時刻T1,T2を更新するが、この論理時刻T1,T2の付属情報として時刻構成情報を持っている。そのため、IED内で生成される最小単位時間で、全てのアプリの論理時刻T1,T2を更新することが可能となり、正確な更新により論理時刻T1,T2の精度を高めることができる。
(6)本実施形態では、サンプリングタイミング差に相当する位相差分をデータ補間演算し、電気量データの補間値を用いている。論理時刻の同期精度が向上することでデータ補間演算の精度も向上し、サンプリング信号を補正する全系同期方式と同等性能のアプリ処理が実現できる。
また、本実施形態においては、全系同期ではなく、アプリ多重同期を採用したことで、システム内に複数の主端を分散配置することができる。このため、次のような作用および効果が得られる。
(7)保護システムにおいて並列運用されるアプリの数が増えたとしても、アプリの種類ごとに主端を設定するので、アプリ数に比例して主端の数も増える。このため、システム規模が拡大しても、同期の主端に接続される従端数を抑制することができる。したがって、主端への通信集中が起き難くなり、通信負荷変動が低減して高精度同期を維持することができる。
(8)従端数の抑制により、従端と主端との通信距離(ホップ数)を、極力均一化することができ、同期精度(同期誤差)の一律化を実現することができる。
(9)主端に近い箇所で通信障害が起きたとしても、主端が分散配置されているので、機能不全の波及が保護システム全体に拡がることがなく、通信障害の影響が及ぶ範囲を限定することが可能である。
以上のような第1の実施形態によれば、一部のアプリが停止しても、動作可能な健全なアプリに関しては動作が継続可能である。また、アプリ多重同期を適用したことで、全系同期による同期精度の困難さや同期不良を解消することができ、保護システムの信頼性、安定性および稼働率が大幅に向上する。
[2]第2の実施形態
第2の実施形態について、図9を用いて説明する。第2の実施形態は基本的に、図1に示した第1の実施形態と同様の構成要素を有しており、同一の構成要素に関しては同一符号を付して説明は割愛する。
[構成]
第2の実施形態は、各IEDに実装したアプリの起動構成に特徴がある。図9に示すように、第2の実施形態の時刻同期処理部906,907では、同期通信によりIED間のサンプリングタイミング差を求め、このサンプリングタイミング差からタイマを起動して、タイマイベントで処理起動させている。タイマ値は、位相角相当時間からサンプリングタイミング差に当たる時間を差し引いた値とする。
(サンプリングタイミングとアプリ処理動作タイミングとの関係)
図9(a)に示すように、既定の位相角周期に動作するIEDにおいて、正確なタイミングで処理起動する目的で割り込みなどのイベントを用いて起動し、例えばサンプリング信号の立ち上がりエッジを割り込みとして順次アプリ処理を起動することができる。
サンプリング信号を同期させる従来の全系同期では、アプリの処理起動タイミングも同期できるが、本実施形態のアプリ多重同期ではサンプリング信号を同期させていない。そのため、図9(b)に示すとおり、サンプリングタイミング差に応じた処理起動にずれが生じる。サンプリングタイミング差はIED間の水晶発振器929の偏差で、逐次変化するため、処理タイミングも同様に変化していく。
そこで、第2の実施形態の時刻同期処理部906,907ではアプリ処理の起動タイミングをタイマ値で生成することにより、サンプリングタイミング差に応じた処理起動のズレを吸収し、アプリ処理を同調させることができる。このとき、アプリが、時刻同期処理部907に実装された送電線の電流差動アプリであれば、送電線両端のIEDの電流差動演算処理実行が同期するので、トリップ信号出力タイミングを同調させることができる。したがって、より適切な送電線の事故除去を実現することができる。
また、一般的に、電気量入力値をフレーム送信する処理の動作タイミングに関しても、これが変動すると、相手端のIEDに着信するタイミングも変動するので、受信フレームの処理負荷が変動することになり、位相角期間内で既定処理が完了できずにIEDの機能が維持できなくなる恐れがある。
このような不具合に対しても、第2の実施形態では、フレーム送信処理の起動タイミングをタイマで生成することで処理の同調が可能となり、受信フレーム処理負荷を安定させることができる。
[作用および効果]
以上のような第2の実施形態によれば、サンプリング信号を同期補正しないアプリ多重同期においても、個々のIEDのアプリ動作タイミングを同調させることができ、負荷分散による処理動作の安定を図ることができる。
[第2の実施形態の変形例]
また、第2の実施形態の変形例としては、起動タイミングがばらつくように乱数を加味したタイマ値にして、負荷を均一化させることも可能である。このような変形例は、複数IEDのフレーム送信処理が同一タイミングで起動することでフレーム受信が短期間に集中して処理負荷が変動する場合や、通信回線の消費帯域超過が懸念されるようなシステム構成の場合に、特に有効である。
[3]第3の実施形態
第3の実施形態について、図10、図11を用いて説明する。
[構成]
第3の実施形態は、遮断器不動作時の事故波及防止を実現するための保護システムである。図10に示すように、第3の実施形態に係る保護システムは、送電線L1,L2はIED♯4,5で事故判定し、送電線L3,L4はIED♯6,7で事故判定する構成である。送電線L1,L2と送電線L3,L4は、それぞれ独立した保護構成として組むことができるが、IED♯4,5による送電線L1,L2の電流差動アプリと、IED♯6,7による送電線L3,L4の電流差動アプリを同期させている。
このような第3の実施形態において、例えば、送電線L1で事故を検出し、遮断器が遮断動作を行い、送電線L1の事故を除去しようとしたとする。このとき、遮断器の故障や接点故障もしくはIED♯5の故障により遮断器が不動作となり、事故除去に失敗するケースを想定する。このようなケースでは、IED♯5の遮断器の近傍の遮断器、つまりIED♯7の遮断器もしくはIED♯6の遮断器が遮断動作を行うことで、事故の波及を防止することが可能である。
全てのIEDが同一のネットワークに接続された状態では、IED♯4とIED♯5との電流差動、並びにIED♯6とIED♯7との電流差動だけではなく、IED♯4とIED♯6、IED♯4とIED♯7、IED♯5とIED♯6、IED♯5とIED♯7の電流差動も取れる。これらの追加可能な電流差動は、別の電流差動アプリとして定義することもできる。しかし、その場合には、IED♯4〜7同士で同期主従を構成して同期通信する必要があり、通信負荷が増大して設定の複雑度が増すと言った懸念が生じた。
そこで、本実施形態では、IED♯4,5の電流差動アプリとIED♯6,7の電流差動アプリだけを同期させ、それぞれの差動演算が可能であり、遮断器不動作用のバックアップとして、最小限の構成で事故判定演算を行うことができる。すなわち、図11に示すように、IED♯6に同期の従端となる時刻同期処理部907を追加し、IED♯6がIED♯5と同期通信するように構成する。
[作用および効果]
以上のような第3の実施形態では、IED♯6がIED♯5に同期し、その論理時刻を用いてIED♯7が同期することで、IED♯4〜7が同期することになる。つまり、追加する時刻同期処理部はIED♯6における同期の従端1つのみでよい。
また、追加したIED♯5とIED♯6間の同期通信が不能になった場合でも、全系同期ではないので、IED♯4とIED♯5、IED♯6とIED♯7はそれぞれ、電流差動アプリ内の同期を維持することが可能であり、健全動作を継続することができる。すなわち、アプリのグループ間だけで同期を取ることが可能になり、事故判定の区間を拡大しつつ、遮断器の不動作時にも事故波及を防止することができる。しかも、全系同期による不具合を確実に回避することができる。
[4]第4の実施形態
第4の実施形態について、図12および図13を用いて説明する。
[構成]
第4の実施形態は、アプリの冗長構成を採用した保護システムである。図12に示すように、第4の実施形態に係る保護システムは、IED♯7に送電線L1,L2の電流差動アプリを追加実装することに特徴がある。
[作用および効果]
以上のような第4の実施形態では、IED♯7が、送電線L3,L4の事故除去を担うと同時に、IED♯5の故障や、IED♯5のCB不動作時にIED♯5のバックアップとして動作することができる。したがって、IEDを増設することなく、アプリの冗長構成を容易に組むことが可能である。
[5]他の実施形態
なお、上記の実施形態は、本明細書において一例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図するものではない。すなわち、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことが可能である。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
2 広域ネットワーク回線
22 時刻配信サーバ
23 計算機サーバ
9 同期通信ドライバ
902 内部時計
903 サンプリングタイミング生成回路
904 通信処理部
905,906,907 時刻同期処理部
10,L1〜L4 送電線
11a〜13a 電流差動アプリ
11b〜13b シリアル伝送部
14 通信線
T1,T2 論理時刻
♯1〜♯6,11〜13 IED

Claims (7)

  1. 複数のアプリケーションが実装された保護リレー装置において、
    前記アプリケーション別に時刻同期処理部が組み込まれ、
    各時刻同期処理部には論理時刻が設定され、
    前記論理時刻を基準にして別の保護リレー装置とのサンプリングタイミング差を求め
    前記時刻同期処理部は、前記サンプリングタイミング差に基づいて別の保護リレー装置との水晶発振器周波数の周波数偏差を算出し、当該周波数偏差を加味して前記論理時刻を更新することを特徴とする保護リレー装置。
  2. 同一のアプリケーションを集めたグループが、グループ内で時刻同期を行う同期グループとなり、
    前記時刻同期処理部は、前記同期グループごとに異なる時刻構成を用いて前記論理時刻を更新し、前記論理時刻に付属情報として時刻構成情報を持つことを特徴とする請求項1に記載の保護リレー装置。
  3. 同期通信から保護リレー装置間のサンプリングタイミング差を求め、電気量入力値とサンプリングタイミング差をアプリケーション情報としてフレームに載せて相手の保護リレー装置に送信し、フレームを受信した保護リレー装置で電気量入力値からサンプリングタイミング差に相当する位相差分をデータ補間演算し、電気量補間値を用いて保護演算することを特徴とする請求項1又は2に記載の保護リレー装置。
  4. 前記サンプリングタイミング差からアプリケーションの動作タイミングを同期させるタイマ値を生成するタイマを備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の保護リレー装置。
  5. 前記タイマは乱数値を用いてタイマ値を生成することを特徴とする請求項に記載の保護リレー装置。
  6. 複数の保護リレー装置に実装された複数のアプリケーションのうち、同一種類の前記アプリケーションが1つの同期グループとして構成され、
    当該同期グループに含まれる保護リレー装置の中で同期の主端および従端が設定され、
    同一の同期グループ内の前記主端および前記従端は同期グループ単位で論理時刻を設定し、この論理時刻を用いて同期通信を行うと共に前記論理時刻を同期補正するように構成され
    前記同期グループ内の主端は、他の同期グループの主端の従端となり他の同期グループの主端と同期通信可能に構成され、複数の前記同期グループが同期されることを特徴とする保護システム。
  7. 前記保護リレー装置には、冗長構成を組む複数のアプリケーションが実装されたことを特徴とする請求項に記載の保護システム。
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