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JP6276914B2 - 大入熱溶接用鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、造船、建築、土木等の各種溶接構造物で使用される鋼材に用いて好適な、入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施した際の溶接熱影響部の低温靭性に優れる大入熱溶接用鋼材に関する。
造船、建築、土木等の分野で使用される鋼材は、一般に、溶接接合により所望の形状の構造物に仕上げられる。これらの構造物においては、安全性の観点から、使用される鋼材の母材靱性はもちろんのこと、溶接部の靱性に優れることが要請されている。一方で、これら構造物や船舶はますます大型化し、使用される鋼材の高強度化・厚肉化に伴い、溶接施工にはサブマージアーク溶接、エレクトロガス溶接およびエレクトロスラグ溶接などの高能率な大入熱溶接が適用されている。このため、大入熱溶接により溶接施工したときに、溶接部の靱性に優れた鋼材が必要となっている。しかし、一般に、溶接入熱量が大きくなると、溶接熱影響部(HAZ)の組織が粗大化するために、溶接熱影響部の靱性は低下することが知られている。
このような大入熱溶接による靱性の低下に対して、これまでにも多くの対策が提案されてきた。例えば、TiNの微細分散によるオーステナイト粒の粗大化抑制やフェライト変態核としての作用を利用する技術はすでに実用化されている。また、Tiの酸化物を分散させる技術も特許文献1に開示されている。
TiNを積極的に利用するこれらの従来技術には、TiNが溶解する温度域に加熱される溶接熱影響部において、Tiが有する上記の作用がなくなり、さらには地の組織が固溶Tiおよび固溶Nにより脆化して靱性が著しく低下するという問題があった。
また、Ti酸化物を利用する技術では、酸化物を均一微細に分散させることが困難であるという問題があった。
これに対し、例えば特許文献2には、300kJ/cmを超える大入熱量で溶接した溶接熱影響部の靱性を向上させるためには、硫化物の形態制御に必要なCaを適正に含有させ、CaSを活用することが開示されている。酸化物に比べて低温で晶出するCaSを利用することで、これを微細に分散させることが可能となり、冷却中にこれを核として析出するMnSやTiN、BN等フェライト変態生成核を微細に分散させることにより、溶接熱影響部の組織を微細なフェライトパーライトの組織として高靱性化を達成する技術が開示されている。
特許文献3には、大入熱溶接部のHAZの島状マルテンサイトを低減する技術が開示されている。ここでは、C量を減らすと同時に、Mn量を増やして変態開始温度を低下させることでCの未変態オーステナイトへの分配を低減し、島状マルテンサイトの生成が抑制できるとしている。
特開昭57−51243号公報 特許3546308号 特開2007−84912
ところが、特許文献2においても、比較的合金添加量が多く添加された鋼成分においては、溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱量の溶接を施したときのボンド部組織に、島状マルテンサイト(MA)と呼ばれる硬質の脆化組織が数%形成し、これが靭性のさらなる向上を阻んでいることが問題となっている。従って、このような高強度クラスの大入熱溶接部のHAZ靭性の改善のためには、変態生成核の微細分散に加えて、さらに島状マルテンサイトを低減させる対策が必要である。
一方、特許文献3では、C含有量低減の代わりに強度補償のためにNbを0.03%以上必要としており、これによる島状マルテンサイト生成が懸念され、さらに、変態生成核としてTi酸化物を利用するため、Ti酸化物に関する上述の課題がある。
本発明では、降伏強度が390MPa以上の高強度鋼について、入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施した際の溶接熱影響部の低温靭性が、造船用厚鋼板の分野において、要求特性が最も厳しいF級鋼(日本海事協会 鋼船規則K編、M編、F級鋼:母材靭性:−60℃仕様、大入熱溶接継手靭性:−40℃仕様)の特性を兼ね備えた大入熱溶接用鋼材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行い、以下の知見を得た。
1.大入熱溶接熱影響部の靭性向上には、高温域でのオーステナイト粒の粗大化を抑制し、その後の冷却過程における粒内フェライト生成に加えて、島状マルテンサイト(MA)量を低減することが肝要である。
2.具体的な成分設計指針として、オーステナイト粒の粗大化抑制のため所望のTi、N量を確保すること、粒内フェライト生成のためCa、S、O量を適正に制御すること、MA生成の抑制のため鋼中Si量を低減することが有効である。そして、Mn、Cr、Mo、V量を適正に制御することが、溶接熱影響部靭性向上の観点からさらに好ましい。
本発明は、上記知見をもとに、さらに検討をくわえてなされたものであり、すなわち、本発明は、
[1]質量%で、C:0.030〜0.120%、Si:0.05%以下、Mn:1.40〜2.00%、P:0.020%以下、S:0.0005〜0.0040%、Al:0.005〜0.100%、Nb:0.003〜0.030%、Ti:0.004〜0.030%、B:0.0003〜0.0030%、N:0.0035〜0.0070%、Ca:0.0005〜0.0030%、O:0.0040%以下を含み、かつ、下記(1)式を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施したときのボンド近傍の熱影響部組織において、島状マルテンサイト面積分率が1%以下であることを特徴とする大入熱溶接用鋼材。
0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.8・・・(1)
ただし、上記式中のCa、O、Sは各成分の含有量(質量%)を表す。
[2]さらに、下記(2)式を満たすことを特徴とする、[1]に記載の大入熱溶接用鋼材。
Mn+0.8×(Cr+Mo+V)≦1.78・・・(2)
ただし、上記式中のMn、Cr、Mo、Vは各成分の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
[3]さらに、質量%で、V:0.20%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下、Cr:0.40%以下、Mo:0.40%以下、W:0.05〜0.40%の中から選ばれる1種以上を含有する[1]または[2]に記載の大入熱溶接用鋼材。
[4]さらに、質量%で、Mg:0.0005〜0.0050%、Zr:0.0010〜0.0200%、REM:0.0010〜0.0200%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の大入熱溶接用鋼材。
本発明によれば、300kJ/cmを超える大入熱溶接を施しても溶接熱影響部の強度と靭性に優れる鋼材を安価に得ることができる。したがって、本発明の鋼材は、サブマージアーク溶接、エレクトロガス溶接、エレクトロスラグ溶接などの大入熱溶接により施工される船舶や大型鋼構造物に好適に用いられる。
以下に本発明を実施するための形態について説明する。まず、本発明において化学成分を限定した意義について説明する。本発明において、化学成分に関する%表示は全て質量%を意味している。
C:0.030〜0.120%
Cは、構造用鋼として必要な強度を得るためにその含有量の下限を0.030%とし、島状マルテンサイトの生成量を抑えるため、上限を0.120%とする。
Si:0.05%以下
Siは本発明においてその含有量をきびしく制限する必要があるという点で重要な元素である。Siは鋼中に必ず含有される元素であるが、0.05%を超えて含有すると、大入熱溶接熱影響部に島状マルテンサイトを生成して靱性を劣化させる。しかしながら、鋼中含有量を0.05%以下に制限することにより、大入熱溶接熱影響部における島状マルテンサイトの生成が抑制され、その結果、靭性の劣化が抑えられるので、上限を0.05%とする。鋼中のSi量は、0.04%以下であることが好ましく、0.03%以下であることがさらに好ましい。
Mn:1.40〜2.00%
Mnは、母材の強度を確保するために、1.40%以上は必要であり、2.00%を超えると溶接部の靭性を劣化させる。したがって、Mnの範囲は、1.40〜2.00%とするが、好ましくは、1.40%〜1.78%の範囲であり、より好ましくは、1.40%〜1.60%の範囲である。
P:0.020%以下
Pは、不可避的に混入する不純物であり、0.020%を超えると、母材および溶接部の靭性を低下させるため、上限を0.020%とする。
S:0.0005〜0.0040%
Sは、所要のCaSあるいはMnSを生成するために0.0005%以上必要であり、0.0040%を超えると母材の靱性を劣化させる。したがって、Sの含有量は、0.0005〜0.0040%の範囲とする。
Al:0.005〜0.100%
Alは、鋼の脱酸上0.005%以上が必要であり、0.010%以上含有することが好ましいが、0.100%を超えて含有すると母材の靱性を低下させると同時に溶接金属の靱性を劣化させる。したがって、Alの含有量は、0.005〜0.100%の範囲とする。
Nb:0.003〜0.030%
Nbは、母材の強度・靱性および継手の強度を確保するのに有効な元素であるが、0.003%未満ではその効果が小さい。0.030%を超えて含有すると溶接熱影響部に島状マルテンサイトを形成することにより靱性が劣化する。したがって、Nbの含有量は、0.003〜0.030%の範囲とする。
Ti:0.004〜0.030%
Tiは、凝固時にTiNとなって析出し、溶接熱影響部でのオーステナイトの粗大化抑制やフェライト変態核となって高靱性化に寄与する。0.004%に満たないとその効果が少なく、0.030%を超えるとTiN粒子の粗大化によって期待する効果が得られなくなる。したがって、Tiの含有量は、0.004〜0.030%の範囲とする。好ましくは、0.006%〜0.028%の範囲である。
B:0.0003〜0.0030%
Bは、溶接熱影響部でBNを生成して、固溶Nを低減するとともにフェライト変態核として作用する元素である。このような効果を奏するには0.0003%以上の含有が必要であるが、0.0030%を超えて添加すると焼入れ性が過度に増して靱性が劣化する。したがって、Bの含有量は、0.0003〜0.0030%の範囲とする。
N:0.0035〜0.0070%
Nは、TiNを形成させるためのTiと見合う量を確保することが必要であり、0.0035%未満では十分なTiN量が得られず、溶接熱影響部でのオーステナイトの粗大化抑制やフェライト変態核として高靱性化に寄与する、などの効果が得られない。0.0070%を超えると溶接熱サイクルによってTiNが溶解する領域での固溶N量の増加によって靱性が著しく低下する。したがって、Nの含有量は、0.0035〜0.0070%の範囲とする。好ましくは、0.0037〜0.0070%の範囲とする。
Ca:0.0005〜0.0030%
Caは、CaSを形成することによりSを化学的に固定し靭性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには少なくとも0.0005%以上含有する必要があるが、0.0030%を超えて含有しても効果が飽和する。このため、本発明では、0.0005%〜0.0030%の範囲に限定する。
O:0.0040%以下
Oは、必ず含有するが、凝固時に酸化物となって析出するため、0.0040%を超えて含有すると、母材および溶接熱影響部の靭性が低下する。このため、Oの含有量は0.0040%以下とする。
0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.8・・・(1)
ただし、Ca、O、Sは各成分の含有量を(質量%)を表す。
Ca、OおよびSは、0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.8の関係を満足するように含有させる必要がある。この場合には、CaS上にMnSが析出した複合硫化物の形態となる。(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/Sの値が0.8を超えると、SがほとんどCaによって固定され、フェライト生成核として働くMnSがCaS上に析出しないために溶接熱影響部の靭性を確保できない。
また、(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/Sの値が0を超えかつ0.8以下であると、CaS上にMnSが析出した複合硫化物の形態となり、フェライト変態促進効果が発現される。したがって、0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.8とした。(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0の場合には、CaSが晶出しないためにSはMnS単独の形態で析出し、このMnSが鋼板製造時の圧延で伸長されて均一かつ微細に分散されないため、母材の靱性の低下を引き起こすとともに、溶接熱影響部での靭性向上が達成されない。
Mn+0.8×(Cr+Mo+V)≦1.78・・・(2)
ただし、上記式中のMn、Cr、Mo、Vは各成分の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
Mn+0.8×(Cr+Mo+V)が1.78を超えると、大入熱溶接熱影響部組織における島状マルテンサイト生成抑制効果が不十分となり、かつ、鉄母相の強度が過度に上昇し、試験温度−40℃での継手HAZ靭性の安定確保が困難となる。したがって、Mn+0.8×(Cr+Mo+V)≦1.78とすることが好ましい。
本発明では、V、Ni、Cu、Cr、Mo、Wの中から選ばれる1種以上を、それぞれ下記範囲内において選択的に含有することができる。V、Cr、Moを含有する場合は、Mn量との関係において、含有量を規定する。
V:0.20%以下
Vは、母材の強度・靱性の向上およびVNとしてのフェライト生成核として働き、この効果は0.05%以上含有することにより発揮されるが、0.20%を超えるとかえって靱性の低下を招く場合がある。したがって、Vを添加する場合は、0.20%以下とすることが好ましい。
Ni:1.00%以下
Niは、母材の高靭性を保ちつつ強度を上昇させる。この効果は0.10%以上含有することにより発揮されるが、1.00%を超えても効果が飽和する場合があるので、Niを添加する場合は、1.00%以下とすることが好ましい。
Cu:1.00%以下
Cuは、Niと同様、母材の高靭性を保ちつつ強度を上昇させる。この効果は0.10%以上含有することにより発揮されるが、1.00%を超えると熱間脆性を生じ、鋼板の表面性状を劣化させる場合がある。したがって、Cuを添加する場合は、1.00%以下とすることが好ましい。
Cr:0.40%以下
Crは、母材の高強度化に有効な元素であり、この効果は0.05%以上含有することにより発揮されるが、過剰に添加すると靱性に悪影響を与えることがあるため、上限を0.40%とすることが好ましい。
Mo:0.40%以下
Moは、母材の高強度化に有効な元素であり、この効果は0.03%以上含有することにより発揮されるが、過剰に添加すると靱性に悪影響を与えることがある。したがって、Moを添加する場合は、0.40%以下とすることが好ましい。
W:0.05〜0.40%
Wは、母材の高強度化に有効な元素であり、この効果は0.05%以上含有することにより発揮されるが、過剰に添加すると靱性に悪影響を与えることがある。したがって、Wを添加する場合は、0.05〜0.40%とすることが好ましい。
本発明では、さらにMg、Zr、REMの中から選ばれる1種以上を下記範囲内において含有させることができる。
Mg:0.0005〜0.0050%
Mgは、酸化物の分散による靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには0.0005%以上含有することが好ましいが、0.0050%を超えて含有しても効果が飽和することがある。したがって、Mgを添加する場合は、0.0005〜0.0050%とすることが好ましい。
Zr:0.0010〜0.0200%
Zrは、酸化物の分散による靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには0.0010%以上含有することが好ましいが、0.020%を超えて含有しても効果が飽和することがある。したがって、Zrを添加する場合は、0.0010〜0.0200%とすることが好ましい。
REM:0.0010〜0.0200%
REMは、酸化物の分散による靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには0.0010%以上含有することが好ましいが、0.0200%を超えて含有しても効果が飽和することがある。したがって、REMを添加する場合は0.0010〜0.0200%とすることが好ましい。
溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施したときのボンド近傍の熱影響部組織において、島状マルテンサイト面積分率が1%以下であること
溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を対象としたのは、このような大入熱溶接の場合に島状マルテンサイトが生成しやすいので、この生成を防止するためである。
ボンド近傍の熱影響部組織とは、溶接金属と母鋼板の境界からおよそ0.5mm母材である鋼板側に入った位置までの間の領域をいう。
島状マルテンサイト面積分率は、後述するようにSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて測定することができる。島状マルテンサイト面積分率が1%以下としたのは、1%以下であれば島状マルテンサイトが存在していても靱性に及ぼす影響は極めて小さく、1%を超えると靱性値のバラツキが大きくなる。したがって、島状マルテンサイト面積分率を1%以下と限定した。
本発明においては、前述のように、鋼中のSi量を0.05%以下に制限することにより、島状マルテンサイトの面積分率を1%以下に抑制することができるので、その結果、TiNの析出挙動制御による溶接熱影響部でのオーステナイトの粗大化抑制や高靱性化効果と相俟って、熱影響部において優れた靭性を達成する。
なお、本発明の鋼材は、例えば、以下のようにして製造される。まず溶銑を転炉で精錬して鋼とした後、RH脱ガスを行い、連続鋳造または造塊−分塊工程を経て鋼片とする。これを再加熱し、熱間圧延後放冷するか、あるいはまた、前記熱間圧延後に、加速冷却、直接焼入れ−焼戻し、再加熱焼入れ−焼戻し、再加熱焼準−焼戻しなどの工程を経て製造することができる。
次に本発明を実施例に基づいて説明する。
150kgの高周波溶解炉にて、表1に示す組成の鋼を溶製し、厚さ170mmのスラブとした。このスラブを1150℃に1時間加熱後、仕上圧延温度が板厚中心温度で830℃である熱間圧延を行なって板厚50mmに仕上げた後、10℃/sの冷却速度(板厚中心部)で加速冷却した。得られた厚鋼板の1/4t(t:板厚)の位置でC方向(圧延方向と垂直方向)から平行部14mmφ×85mm、標点間距離70mmの丸棒引張試験片を、1/4tの位置のL方向(圧延方向)から2mmVノッチシャルピー試験片を採取し、母材の強度(YS、TS)と靭性(脆性破面遷移温度(vTrs))を評価した。
Figure 0006276914
さらに、溶接継手熱影響部の特性を評価するため、大入熱溶接(400〜500kJ/cm)のエレクトロガス溶接(EGW)によって継手を作製した後、HAZ靭性を、板厚方向の表面と裏面1mm位置についてボンド部にノッチを入れたシャルピー試験片を用いて、試験温度−40℃での吸収エネルギー(3本の試験片の平均値、「vE−40℃」と記載する。)により評価した。
目標特性は、大入熱溶接継手シャルピー靭性が−40℃仕様のF級鋼を対象として、溶接継手HAZ靭性で吸収エネルギーvE−40℃≧50Jとした。溶接熱影響部における島状マルテンサイトの面積分率は、2段エッチング法により島状マルテンサイトを現出したのち、SEM(走査型電子顕微鏡)による倍率:2000倍の写真5枚をトレースしたうえ、それぞれ画像解析を行い、その平均値を算出した。
表2に、島状マルテンサイトの面積分率と、HAZ靭性を母材の機械的性質とともに示す。
Figure 0006276914
表2から、本発明例であるNo.1〜8ではいずれも降伏応力YSが390N/mm以上、引張強さが510N/mm以上で脆性破面遷移温度(vTrs)も−80℃以下と優れた母材特性を有していることが確認された。また、本発明鋼は、溶接熱影響部の吸収エネルギーvE−40℃が50J以上であり、溶接熱影響部靭性にも優れている。一方、化学成分や(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/Sの値、Mn+0.8×(Cr+Mo+V)の値、島状マルテンサイト面積分率の1つ以上が本発明範囲を外れる比較例であるNo.9〜20は、上記のいずれか1つ以上の特性が劣っている。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C:0.030〜0.120%、
    Si:0.05%以下、
    Mn:1.40〜2.00%、
    P:0.020%以下、
    S:0.0005〜0.0040%、
    Al:0.005〜0.100%、
    Nb:0.003〜0.030%、
    Ti:0.004〜0.030%、
    B:0.0003〜0.0030%、
    N:0.0035〜0.0070%、
    Ca:0.0005〜0.0030%、
    O:0.0040%以下
    を含み、かつ、下記(1)式を満たすと共に、下記(2)式を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施したときのボンド近傍の熱影響部組織において、島状マルテンサイト面積分率が1%以下であることを特徴とする大入熱溶接用鋼材。
    0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.8・・・(1)
    ただし、上記式中のCa、O、Sは各成分の含有量(質量%)を表す。
    Mn+0.8×(Cr+Mo+V)≦1.78・・・(2)
    ただし、上記式中のMn、Cr、Mo、Vは各成分の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
  2. さらに、質量%で、V:0.20%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下、Cr:0.40%以下、Mo:0.40%以下、W:0.05〜0.40%の中から選ばれる1種以上を含有する請求項1に記載の大入熱溶接用鋼材。
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