JP6273636B2 - カスパーゼ阻害剤を含む、TGF−βに起因する障害を治療または予防するための医薬およびその応用 - Google Patents
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Description
(項目1)カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞におけるトランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)シグナルおよびミトコンドリア異常の少なくとも1つに起因する角膜内皮の症状、障害または疾患を治療または予防するための医薬。
(項目2)前記症状、障害または疾患はTGF−βシグナルおよびミトコンドリア異常に関連するものである、項目1に記載の医薬。
(項目3)前記ミトコンドリア異常が、ミトコンドリア膜電位低下、ミトコンドリアの形態異常、およびミトコンドリア生合成の低下のうちのいずれか1つまたは複数から選択される、項目1に記載の医薬。
(項目4)前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィ、角膜移植後障害、角膜内皮炎、外傷、眼科手術、眼科レーザー手術後の障害、加齢、後部多形性角膜ジストロフィ(PPD)、先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィ(CHED)、および特発性角膜内皮障害からなる群より選択される、項目1に記載の医薬。
(項目5)前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィを含む、項目1〜4のいずれかに記載の医薬。
(項目6)前記医薬は、フックス角膜内皮ジストロフィにおける角膜内皮細胞のミトコンドリア膜電位低下を抑制することにより、フックス角膜内皮ジストロフィの進行を防止するものである、項目5に記載の医薬。
(項目7)カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞の保存または保存後の培養のための組成物。
(項目8)前記保存は凍結保存である、項目7に記載の組成物。
(項目9)カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞の増殖を促進するための組成物。
(項目10)p38MAPキナーゼをさらに含む、項目9に記載の組成物。
(項目11)前記カスパーゼ阻害剤は、カスパーゼ−3阻害剤である、項目1〜10のいずれかに記載の医薬または組成物。
(項目11A)前記カスパーゼ阻害剤は、panカスパーゼ阻害剤である、項目1〜11のいずれかに記載の医薬または組成物。
(項目12)前記カスパーゼ阻害剤は、Z−VD−FMK、Z−VAD−FMK、エムリカサンおよびニボカサンからなる群より選択される、項目1〜11または11Aのいずれかに記載の医薬または組成物。
(項目13)前記Z−VD−FMKの濃度は、約3μM〜約100μMである、項目12に記載の医薬または組成物。
(項目14)前記Z−VAD−FMKの濃度は、約3μM〜約30μMである、項目12に記載の医薬または組成物。
(項目15)前記エムリカサンの濃度は、約1μM〜約100μMである、項目12に記載の医薬または組成物。
(項目16)前記ニボカサンの濃度は、約30μM〜約300μMである、項目12に記載の医薬または組成物。
(項目17)前記カスパーゼ阻害剤が水溶性である、項目1〜11、11A、または12〜16のいずれかに記載の医薬または組成物。
(項目18)前記カスパーゼ阻害剤が点眼剤として提供される、項目1〜17に記載の医薬。
(項目X1)カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞におけるトランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)シグナルおよびミトコンドリア異常の少なくとも1つに起因する角膜内皮の症状、障害または疾患を治療または予防するための医薬。
(項目X2)前記症状、障害または疾患はTGF−βシグナルおよびミトコンドリア異常に関連するものである、項目X1に記載の医薬。
(項目X3)前記ミトコンドリア異常が、ミトコンドリア膜電位低下、ミトコンドリアの形態異常、およびミトコンドリア生合成の低下のうちのいずれか1つまたは複数から選択される、項目X1またはX2に記載の医薬。
(項目X4)前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィ、角膜移植後障害、角膜内皮炎、外傷、眼科手術、眼科レーザー手術後の障害、加齢、後部多形性角膜ジストロフィ(PPD)、先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィ(CHED)、および特発性角膜内皮障害からなる群より選択される、項目X1〜X3のいずれか1項に記載の医薬。
(項目X5)前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィを含む、項目X1〜X4のいずれかに記載の医薬。
(項目X6)前記医薬は、フックス角膜内皮ジストロフィにおける角膜内皮細胞のミトコンドリア膜電位低下を抑制することにより、フックス角膜内皮ジストロフィの進行を防止するものである、項目X1〜X5のいずれか1項に記載の医薬。
(項目X7)前記医薬は、フックス角膜内皮ジストロフィにおける細胞外マトリクスの過剰産生に起因する症状を治療または予防するものである、項目X5に記載の医薬。
(項目X8)前記症状は、角膜内皮面の疣贅(グッタータ)、デスメ膜の混濁グッテー、デスメ膜の肥厚、霧視、ハロー、グレア、視力低下、角膜混濁、白斑および視感覚の異常からなる群より選択される少なくとも1つを含む、項目X7に記載の医薬。
(項目X9)カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞における細胞外マトリックスの過剰発現に起因する角膜内皮の症状、障害または疾患を治療または予防するための医薬。
(項目X10)前記症状、障害または疾患は、角膜内皮細胞におけるフィブロネクチンの過剰発現に起因する、項目X9に記載の医薬。
(項目X11)前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィ、グッテーの形成、デスメ膜の肥厚、角膜厚の肥厚、混濁、瘢痕、角膜片雲、角膜斑、角膜白斑、羞明、および霧視からなる群より選択される項目X7またはX8に記載の医薬。
(項目X12)前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィを含む、項目X9〜X11のいずれかに記載の医薬。
(項目X13)前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィにおける、グッテーの形成およびデスメ膜の肥厚から選択される少なくとも1つを含む、項目X9〜X12のいずれか1項に記載の医薬。
(項目X14)カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞におけるTGF−βシグナル、ミトコンドリア異常および細胞外マトリックスの過剰発現に起因する角膜内皮の症状、障害または疾患を治療または予防するための医薬。
(項目X15)前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィ、その他の角膜内皮ジストロフィ、ならびに、薬物、手術、外傷、感染症、またはぶどう膜炎による角膜内皮障害からなる群より選択される項目X14に記載の医薬。
(項目X16)前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィを含む、項目X14またはX15に記載の医薬。
(項目X17)カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞の保存または保存後の培養のための組成物。
(項目X18)前記保存は凍結保存である、項目X17に記載の組成物。
(項目X19)カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞の増殖を促進するための組成物。
(項目X20)p38MAPキナーゼをさらに含む、項目X19に記載の組成物。
(項目X21)前記カスパーゼ阻害剤は、カスパーゼ−3阻害剤である、項目X1〜X20のいずれかに記載の医薬または組成物。
(項目X21A)前記カスパーゼ阻害剤は、panカスパーゼ阻害剤である、項目1〜21のいずれかに記載の医薬または組成物。
(項目X22)前記カスパーゼ阻害剤は、Z−VD−FMK、Z−VAD−FMK、エムリカサンおよびニボカサンからなる群より選択される、項目X1〜X21またはX21Aのいずれかに記載の医薬または組成物。
(項目X23)前記Z−VD−FMKの濃度は、約3μM〜約100μMである、項目X22に記載の医薬または組成物。
(項目X24)前記Z−VAD−FMKの濃度は、約3μM〜約30μMである、項目X22に記載の医薬または組成物。
(項目X25)前記エムリカサンの濃度は、約1μM〜約100μMである、項目X22に記載の医薬または組成物。
(項目X26)前記ニボカサンの濃度は、約30μM〜約300μMである、項目X22に記載の医薬または組成物。
本明細書において「カスパーゼ」とは、システインを活性中心に持ち、アスパラギン酸のC末端側でペプチド結合を加水分解するエンドペプチダーゼの総称である。カスパーゼは、サイトカイン(インターロイキン1β等)のプロセッシングに機能しており、プログラム細胞死の実行や炎症反応に関与していることが知られている。すべてのカスパーゼは酵素前駆体として翻訳され、活性化は自分自身、または他のカスパーゼによる分解によって活性化され、カスケードの形式で機能する。カスパーゼは、発見された順に番号が付けられており、現在に至るまで哺乳類においてカスパーゼ1からカスパーゼ14までが知られている。ヒトの細胞においては10種類程度発見されている。例えば、カスパーゼ1はサイトカインのプロセシングによる炎症誘導に機能し、カスパーゼ3はプログラム細胞死の実行に直接関与し、カスパーゼ8はカスケードの上流に位置しプログラム細胞死のシグナル伝達を担っている。
混合し複合体を形成させると、生体中の分解酵素から核酸を保護する作用がありsiRNAのキャリアーとして非常に適しているキャリアーであると報告されており、このような形態を利用することができるが、本発明の核酸、治療または予防薬の導入の方法はこれには限られない。このようにして、生体内においては血清中の核酸分解酵素の働きにより、速やかに分解されてしまうため長時間の効果の継続を達成することができる。例えば、Takeshita F. PNAS.(2003) 102(34) 12177-82、Minakuchi Y Nucleic Acids Reserch(2004) 32(13) e109では、牛皮膚由来のアテロコラーゲンが核酸と複合体を形成し、生体内の分解酵素から核酸を保護する作用があり、siRNAのキャリアーとして非常に適していると報告されており、このような技術を用いることができる。
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J.et al.(1989).Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001); Ausubel,F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience; Ausubel,F.M.(1989).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience; Innis,M.A.(1990).PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press; Ausubel,F.M.(1992).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates; Ausubel,F.M.(1995).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates; Innis,M.A.et al.(1995).PCR Strategies,Academic Press; Ausubel,F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Wiley,and annual updates; Sninsky,J.J.et al.(1999).PCR Applications:Protocols for Functional Genomics,Academic Press、Gait,M.J.(1985).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRLPress; Gait,M.J.(1990).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press; Eckstein,F.(1991).Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press; Adams,R.L.etal.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids,Chapman&Hall; Shabarova,Z.et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,Weinheim; Blackburn,G.M.et al.(1996).Nucleic Acids in Chemistry and Biology,Oxford University Press; Hermanson,G.T.(I996).Bioconjugate Techniques, Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されている。角膜内皮細胞については、Nancy Joyceらの報告{Joyce, 2004 #161} {Joyce, 2003 #7}がよく知られているが、前述のごとく長期培養、継代培養により線維芽細胞様の形質転換を生じ、効率的な培養法の研究が現在も行われている。これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。これらの実施形態について、当業者は適宜、任意の実施形態を組み合わせ得る。
1つの局面において、本発明は、カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞におけるトランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)シグナルに起因する角膜内皮の症状、障害または疾患の治療または予防のための医薬を提供する。
別の局面において、本発明は、カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞の保存のための組成物を提供する。好ましい実施形態では、保存は凍結保存である。本発明において用いられるカスパーゼ阻害剤は、本明細書において説明される任意の形態、例えば、医薬として説明されている実施形態のうち、保存用組成物として適切なものを用いることができると理解される。
別の局面において、本発明は、角膜内皮細胞の増殖を促進するための組成物を提供する。本発明において用いられるカスパーゼ阻害剤は、本明細書において説明される任意の形態、例えば、医薬として説明されている実施形態のうち、保存用組成物として適切なものを用いることができると理解される。
角膜内皮細胞はレシピエント自身または適切なドナーの角膜から常法で採取される。本発明における移植条件を考慮すれば、同種由来の角膜内皮細胞を準備すればよい。例えば、角膜組織のデスメ膜と内皮細胞層を角膜実質から剥離した後、培養皿に移し、ディスパーゼなどで処理する。これによって角膜内皮細胞はデスメ膜より脱落する。デスメ膜に残存している角膜内皮細胞はピペッティングなどによって脱落させることができる。デスメ膜を除去した後、本発明の培養液中で角膜内皮細胞を培養する。培地または培養液としては例えば市販のDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)(例えば、THERMO−FISCHER=INVITROGEN、カタログ番号:12320等を)にFBS(ウシ胎仔血清)(例えば、BIOWEST、カタログ番号:S1820−500)、b−FGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)(例えば、THERMO−FISCHER=INVITROGEN、カタログ番号:13256−029)、およびペニシリン、ストレプトマイシンなどの抗生物質を適宜添加し、さらに本発明の増殖促進用組成物の成分を添加したものを使用することができる。培養容器(培養皿)にはその表面にI型コラーゲン、IV型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンまたはウシ角膜内皮細胞の細胞外マトリックスなどをコーティングしてあるものを使用することが好ましい。あるいは、通常の培養容器をFNC coating mix(登録商標)(50ml(AES−0407)、ATHENA、カタログ番号:0407)等の市販のコーティング剤で処理したものを用いてもよい。
培養に供された角膜内皮細胞が増殖した後に継代培養を行うことができる。好ましくはサブコンフルエントないしコンフルエントになった時点で継代培養を行う。継代培養は次のように行うことができる。まずトリプシン−EDTA等で処理することによって細胞を培養容器表面から剥がし、次いで細胞を回収する。回収した細胞に本発明の増殖促進用組成物を含む培地または培養液を加えて細胞浮遊液とする。細胞を回収する際、あるいは回収後に遠心処理を行うことが好ましい。かかる遠心分離処理によって細胞密度の高い細胞浮遊液を調製することができる。好ましい細胞密度は、約1〜2×106個/mLである。尚、ここでの遠心処理の条件としては、例えば、500rpm(30g)〜1000rpm(70g)、1〜10分を挙げることができる。
本実施例では、フックス角膜内皮ジストロフィ患者由来の角膜内皮細胞から不死化角膜内皮細胞株(iFECD)を作製した。
シアトルアイバンクから購入した研究用角膜より角膜内皮細胞を基底膜とともに機械的に剥離し、コラゲナーゼを用いて基底膜よりはがして回収後、初代培養を行った。培地はOpti−MEM I Reduced−Serum Medium, Liquid(INVITROGEN カタログ番号:31985−070)に、8%FBS(BIOWEST、カタログ番号:S1820−500)、200mg/ml CaCl2・2H2O(SIGMA カタログ番号:C7902−500G)、0.08% コンドロイチン硫酸(SIGMA カタログ番号:C9819−5G)、20μg/mlアスコルビン酸(SIGMA カタログ番号:A4544−25G)、50μg/mlゲンタマイシン(INVITROGEN カタログ番号:15710−064)および5ng/ml EGF(INVITROGEN カタログ番号:PHG0311)を加えた3T3フィーダー細胞用の馴化させたものを基本培地として用いた。また、基本培地にSB431542(1μmol/l)およびSB203580(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルホニルフェニル)−5(4−ピリジル)イミダゾール<4−[4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリジン)(1μmol/l)を添加したもの(本明細書では「SB203580+SB431542+3T3馴化培地」ともいう)で培養した。
フックス角膜内皮ジストロフィの臨床診断により水疱性角膜症に至り、角膜内皮移植(デスメ膜内皮角膜移植=DMEK)を実施されたヒト患者3名より文書による同意および倫理員会の承認のもと角膜内皮細胞を得た。DMEKの際に機械的に病的な角膜内細胞と基底膜であるデスメ膜とともに剥離し、角膜保存液であるOptisol−GS(ボシュロム社)に浸漬した。その後、コラゲナーゼ処理を行い酵素的に角膜内皮細胞を回収して、SB203580+SB431542+3T3馴化培地により培養した。培養したフックス角膜内皮ジストロフィ患者由来の角膜内皮細胞はSV40ラージT抗原およびhTERT遺伝子をPCRにより増幅して、レンチウイルスベクター(pLenti6.3_V5−TOPO; Life Technologies Inc)に導入した。その後、レンチウイルスベクターを3種類のヘルパープラスミド(pLP1、pLP2、pLP/VSVG; Life Technologies Inc.)とともにトランスフェクション試薬(Fugene HD; Promega Corp., Madison, WI)を用いて293T 細胞 (RCB2202; Riken Bioresource Center, Ibaraki, Japan)に感染させた。48時間の感染後にウイルスを含む培養上清を回収して、5μg/mlのポリブレンを用いて、培養したフックス角膜内皮ジストロフィ患者由来の角膜内皮細胞の培養液に添加して、SV40ラージT抗原およびhTERT遺伝子を導入した。フックス角膜内皮ジストロフィ患者由来の不死化角膜内皮細胞株(iFECD)の位相差顕微鏡像を確認した。コントロールとしてシアトルアイバンクから輸入した研究用角膜より培養した角膜内皮細胞を同様の方法で不死化し、正常角膜内皮細胞の不死化細胞株を作製した(iHCEC)。健常ドナー由来の不死化角膜内皮細胞株(iHCEC)および不死化角膜内皮細胞株(iFECD)の位相差顕微鏡像をみると、iHCECおよびiFECDはいずれも正常の角膜内皮細胞同様に一層の多角形の形態を有する。iHCECおよびiFECDはDMEM+10%FBSにより維持培養を行った。
本実施例では、UV照射後におけるカスパーゼ阻害剤によるカスパーゼ3の活性化の抑制を調べた。
培養サル角膜内皮細胞をFNC Coating Mixをコートした96ウェルプレートに5×103個播種し、37℃で5%CO2の条件下にてコンフルエントに到達するまで培養した。培地はダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco,12320−032)+10% FBS+1%ペニシリン−ストレプトマイシン(nacalai tesque、26252−94)を使用した。
Z−VD−FMK (10μM)
Z−VAD−FMK (10μM)
エムリカサン (10μM)
(カスパーゼ阻害剤は細胞障害時のカスパーゼ3の活性化を抑制している)
図1のグラフは、カスパーゼ添加なしでUVを照射した場合のカスパーゼ3/7活性に対する、各カスパーゼ阻害剤を添加した場合のカスパーゼ3/7活性の割合を示している。示される通り、各阻害剤を添加した場合は、UVを添加していないコントロール群と同等のカスパーゼ3/7活性を示しており、カスパーゼ阻害剤が細胞障害時のカスパーゼ3の活性化を抑制していることが示された。
本実施例では、培養サル角膜内皮細胞のアポトーシスに対するカスパーゼ阻害剤Z−VD−FMKの効果の検討を行った。
培養サル角膜内皮細胞をFNC Coating Mixをコートした12ウェルプレートに1×105個播種し、37℃で5%CO2の条件下にてコンフルエントに到達するまで培養した。培地はダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco,12320−032)+10% FBS+1% Penicillin−Streptomycin(ペニシリン−ストレプトマイシン)(nacalai tesque,26252−94)を使用した。
Z−VAD−FMK (10μM)
Z−VD−FMK (3、10、20、30、50μM)
エムリカサン (1、3、10、30、100μM)
ニボカサン (1、3、10、30、100μM)
浮遊および死細胞も回収するため、氷上で培地を回収し、細胞を1×PBS(−)で2回洗浄した溶液も回収し、4℃、800g、5分遠心し上清を捨て、沈殿物を得た。洗浄した細胞は、氷上でタンパク質抽出用緩衝液(RIPA;50mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.1% SDS、0.5% DOC、1%NP−40)を加えてタンパク質を抽出した。その後、上記浮遊および死細胞の遠心後の沈殿物も一緒に懸濁して抽出した。回収した液を超音波装置(BIORUPTOR、TOSHO DENKI製)にて冷水中で30sec、3回粉砕後に、4℃、15000rpm、10分遠心し、タンパク質の上清を回収した。
2)ウェスタンブロット法
上記抽出したタンパク質8μgをSDS−PAGEにて分離し、ニトロセルロース膜に転写した。1次抗体は、ウサギ抗カスパーゼ3抗体(Cell Signaling、9662)、ウサギ抗PARP抗体(Cell Signaling、9542)、マウス抗GAPDH抗体(MBL社、M171−3)を用いた。2次抗体はペルオキシダーゼで標識した抗ウサギ抗体、抗マウス抗体(GE Healthcare Biosciences、NA934V,NA931V)を用いた。1次抗体はウサギ抗カスパーゼ3抗体およびウサギ抗PARP抗体:1000倍希釈、マウス抗GAPDH抗体:3000倍希釈し、2次抗体は5000倍希釈した。検出にはChemi Lumi ONE Ultra(nacalai tesque、11644−40)を使用した。検出したバンドの強度は、ルミノ・イメージアナライザーLAS−4000mini(富士フィルム社)およびImageQuantTM software(GE Healthcare社)により解析した。
(カスパーゼ阻害剤は細胞障害時のカスパーゼ3の活性化を抑制し細胞死を抑える)
結果を図2〜4に示す。位相差顕微鏡像からUV照射群は顕著に細胞障害を受けている様子が観察された。さらに、ウェスタンブロットの結果から、UV照射群において活性型である切断された約17kDaのカスパーゼ3が認められた。UV照射+Z−VAD−FMK添加群では、試験したすべての濃度域において約17kDaの活性型切断カスパーゼ3は観察されず、非活性型である切断された約19kDaのカスパーゼ3が観察された(図2)。エムリカサン添加群においては、試験したすべての濃度域において活性型切断カスパーゼ3は観察されず、その上、約19kDaの非活性型切断カスパーゼ3も、1および3μM添加時においてわずかに観察されるだけで、その他の濃度では観察されなかった(図3)。これは、カスパーゼ3の活性化を強く抑制していることを意味している。ニボカサン添加群においては、100μMの濃度でカスパーゼ3の抑制効果が観察された(図4)。これらの結果から、カスパーゼ阻害剤は細胞障害時のカスパーゼ3の活性化を抑制していることが明らかになった。
本実施例では、培養サル角膜内皮細胞の過酸化水素による細胞障害に対するカスパーゼ阻害剤の効果を検討した。
培養サル角膜内皮細胞をFNC Coating Mixをコートした12ウェルプレートに1×105個播種し、37℃で5%CO2の条件下にてコンフルエントに到達するまで培養した。培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(Gibco,12320−032)+10% FBS+1% Penicillin−Streptomycin(nacalai tesque, 26252−94)を使用した。
Z−VAD−FMK (10μM)
Z−VD−FMK (10μM)
エムリカサン (10μM)
ニボカサン (100μM)
浮遊および死細胞も回収するため、氷上で培地を回収し、細胞を1×PBS(−)で2回洗浄した溶液も回収し、4℃、800g、5分遠心し上清を捨て、沈殿物を得た。洗浄した細胞は、氷上でタンパク質抽出用緩衝液(RIPA;50mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.1% SDS、0.5%
DOC、1%NP−40)を加えてタンパク質を抽出した。その後、上記浮遊および死細胞の遠心後の沈殿物も一緒に懸濁して抽出した。回収した液を超音波装置(BIORUPTOR、TOSHO DENKI製)にて冷水中で30秒、3回粉砕後に、4℃、15000rpm、10分遠心し、タンパク質の上清を回収した。
2)ウェスタンブロット法
上記抽出したタンパク質9.6μgをSDS−PAGEにて分離し、ニトロセルロース膜に転写した。1次抗体は、ウサギ抗カスパーゼ3抗体(Cell Signaling、9662)、ウサギ抗PARP抗体(Cell Signaling、9542)、マウス抗GAPDH抗体(MBL社、M171−3)、マウス抗CHOP抗体(Cell Signaling、2895)を用いた。2次抗体はペルオキシダーゼで標識した抗ウサギ抗体、抗マウス抗体(GE Healthcare Biosciences、NA934V,NA931V)を用いた。1次抗体はウサギ抗カスパーゼ3抗体:1000倍希釈、ウサギ抗PARP抗体:2000倍希釈、マウス抗GAPDH抗体:3000倍希釈し、2次抗体は5000倍希釈した。検出にはChemi Lumi ONE Ultra(nacalai tesque、11644−40)を使用した。検出したバンドの強度は、ルミノ・イメージアナライザーLAS−4000mini(富士フィルム社)およびImageQuantTM software(GE Healthcare社)により解析した。
(カスパーゼ阻害剤は過酸化水素による細胞障害時のカスパーゼ3の活性化を抑制する)
過酸化水素は、その強力な酸化作用に起因して細胞に障害を与えることが知られている。本実施例において、カスパーゼ阻害剤が過酸化水素による細胞障害を抑制することを確認した。結果を図5に示す。示される通り、過酸化水素のみ添加した群では、活性型切断カスパーゼ3が認められるのに対し、過酸化水素+カスパーゼ阻害剤添加群においては、活性型切断カスパーゼ3は認められず、細胞障害を抑制していた。したがって、カスパーゼ阻害剤は過酸化水素による細胞障害時のカスパーゼ3の活性化を抑制する。
本実施例では、培養サル角膜内皮細胞のMG132による細胞障害に対するカスパーゼ阻害剤の効果を検討した。
培養サル角膜内皮細胞を、FNC Coating Mixをコートした12ウェルプレートに1×105個播種し、37℃で5%CO2の条件下にてコンフルエントに到達するまで培養した。培地はダルベッコ改変イーグル培地(Gibco, 12320−032)+10% FBS+1% Penicillin−Streptomycin(nacalai tesque, 26252−94)を使用した。
Z−VAD−FMK (10μM)
Z−VD−FMK (10μM)
エムリカサン (10μM)
ニボカサン (100μM)
浮遊および死細胞も回収するため、氷上で培地を回収し、細胞を1×PBS(−)で2回洗浄した溶液も回収し、4℃、800g、5分遠心し上清を捨て、沈殿物を得た。洗浄した細胞は、氷上でタンパク質抽出用緩衝液(RIPA;50mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.1% SDS、0.5% DOC、1%NP−40)を加えてタンパク質を抽出した。その後、上記浮遊および死細胞の遠心後の沈殿物も一緒に懸濁して抽出した。回収した液を超音波装置(BIORUPTOR、TOSHO DENKI製)にて冷水中で30秒、3回粉砕後に、4℃、15000rpm、10分遠心し、タンパク質の上清を回収した。
上記抽出したタンパク質10μgをSDS−PAGEにて分離し、ニトロセルロース膜に転写した。1次抗体は、ウサギ抗カスパーゼ3抗体(Cell Signaling、9662)、ウサギ抗PARP抗体(Cell Signaling、9542)、マウス抗GAPDH抗体(MBL社、M171−3)、マウス抗CHOP抗体(Cell Signaling、2895)を用いた。2次抗体はペルオキシダーゼで標識した抗ウサギ抗体、抗マウス抗体(GE Healthcare Biosciences、NA934V,NA931V)を用いた。1次抗体はウサギ抗カスパーゼ3抗体:1000倍希釈、ウサギ抗PARP抗体:2000倍希釈、マウス抗GAPDH抗体:3000倍希釈し、2次抗体は5000倍希釈した。検出にはChemi Lumi ONE Ultra(nacalai tesque、11644−40)を使用した。検出したバンドの強度は、ルミノ・イメージアナライザーLAS−4000mini(富士フィルム社)およびImageQuantTM software(GE Healthcare社)により解析した。
(カスパーゼ阻害剤はMG132により誘導されるunfolded proteinによる細胞障害を抑制し、小胞体ストレスによるカスパーゼ3の活性化を抑制する)
MG132はプロテアソーム阻害剤であり、これにより折り畳まれなかったタンパク質(unfolded protein)がもたらされ、小胞体ストレスが生じる。小胞体ストレスの蓄積によりカスパーゼ3が活性化され、細胞が障害を受ける。本実施例では、カスパーゼ阻害剤添加群におけるMG132により誘導される細胞障害の抑制効果を確認した。結果を図6に示す。MG132群において観察されるカスパーゼ3の活性化は、カスパーゼ阻害剤添加群においては観察されなかった。したがって、カスパーゼ阻害剤はMG132により誘導される小胞体ストレスによるカスパーゼ3の活性化を抑制する。
本実施例では、培養サル角膜内皮細胞のTGによる細胞障害対するカスパーゼ阻害剤の効果の検討を行った。
培養サル角膜内皮細胞をFNC Coating Mixをコートした12ウェルプレートに1×105個播種し、37℃で5%CO2の条件下にてコンフルエントに到達するまで培養した。培地はダルベッコ改変イーグル培地(Gibco, 12320−032)+10% FBS+1% Penicillin−Streptomycin(nacalai tesque, 26252−94)を使用した。
Z−VAD−FMK (10μM)
エムリカサン (10μM)
浮遊および死細胞も回収するため、氷上で培地を回収し、細胞を1×PBS(−)で2回洗浄した溶液も回収し、4℃、800g、5分遠心し上清を捨て、沈殿物を得た。洗浄した細胞は、氷上でタンパク質抽出用緩衝液(RIPA;50mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.1% SDS、0.5% DOC、1%NP−40)を加えてタンパク質を抽出した。その後、上記浮遊および死細胞の遠心後の沈殿物も一緒に懸濁して抽出した。回収した液を超音波装置(BIORUPTOR、TOSHO DENKI製)にて冷水中で30秒、3回粉砕後に、4℃、15000rpm、10分遠心し、タンパク質の上清を回収した。
上記抽出したタンパク質5.7μgをSDS−PAGEにて分離し、ニトロセルロース膜に転写した。1次抗体は、ウサギ抗カスパーゼ 3抗体(Cell Signaling、9662)、ウサギ抗PARP抗体(Cell Signaling、9542)、マウス抗GAPDH抗体(MBL社、M171−3)、マウス抗CHOP抗体(Cell Signaling、2895)を用いた。2次抗体はペルオキシダーゼで標識した抗ウサギ抗体、抗マウス抗体(GE Healthcare Biosciences、NA934V,NA931V)を用いた。1次抗体はウサギ抗カスパーゼ3抗体:1000倍希釈、ウサギ抗PARP抗体:2000倍希釈、マウス抗GAPDH抗体:3000倍希釈し、2次抗体は5000倍希釈した。検出にはChemi Lumi ONE Ultra(nacalai tesque、11644−40)を使用した。検出したバンドの強度は、ルミノ・イメージアナライザーLAS−4000mini(富士フィルム社)およびImageQuantTM software(GE Healthcare社)により解析した。
(カスパーゼ阻害剤はタプシガルギン(TG)により誘導されるunfolded proteinによる細胞障害を抑制し小胞体ストレスによるカスパーゼ3の活性化を抑制する)
タプシガルギン(TG)は、MG132と同様、小胞体ストレスを誘導する。本実施例では、カスパーゼ阻害剤添加群におけるTGにより誘導される細胞障害の抑制効果を確認した。結果を図7に示す。TGのみ添加した場合、活性型である切断された約17kDaのカスパーゼが観察されるのに対し、カスパーゼ阻害剤を添加した場合は、活性型切断カスパーゼは観察されなかった。したがって、カスパーゼ阻害剤はTGにより誘導される小胞体ストレスによるカスパーゼ3の活性化を抑制する。
本実施例では、培養サル角膜内皮細胞のCCCPによる細胞障害に対するカスパーゼ阻害剤の効果を検討した。
培養サル角膜内皮細胞をFNC Coating Mixをコートした12ウェルプレートに1×105個播種し、37℃で5%CO2の条件下にてコンフルエントに到達するまで培養した。培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(Gibco, 12320−032)+10% FBS+1% Penicillin−Streptomycin(nacalai tesque, 26252−94)を使用した。
Z−VAD−FMK (10μM)
Z−VD−FMK (10μM)
エムリカサン (10μM)
浮遊および死細胞も回収するため、氷上で培地を回収し、細胞を1×PBS(−)で2回洗浄した溶液も回収し、4℃、800g、5分遠心し上清を捨て、沈殿物を得た。洗浄した細胞は、氷上でタンパク質抽出用緩衝液(RIPA;50mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.1% SDS、0.5% DOC、1%NP−40)を加えてタンパク質を抽出した。その後、上記浮遊および死細胞の遠心後の沈殿物も一緒に懸濁して抽出した。回収した液を超音波装置(BIORUPTOR、TOSHO DENKI製)にて冷水中で30秒、3回粉砕後に、4℃、15000rpm、10分遠心し、タンパク質の上清を回収した。
2)ウェスタンブロット法
上記抽出したタンパク質5μgをSDS−PAGEにて分離し、ニトロセルロース膜に転写した。1次抗体は、ウサギ抗カスパーゼ3抗体(Cell Signaling、9662)、ウサギ抗PARP抗体(Cell Signaling、9542)、マウス抗GAPDH抗体(MBL社、M171−3)を用いた。2次抗体はペルオキシダーゼで標識した抗ウサギ抗体、抗マウス抗体(GE Healthcare Biosciences、NA934V,NA931V)を用いた。1次抗体はウサギ抗カスパーゼ3抗体:1000倍希釈、ウサギ抗PARP抗体:2000倍希釈、マウス抗GAPDH抗体:3000倍希釈し、2次抗体は5000倍希釈した。検出にはChemi Lumi ONE Ultra(nacalai tesque、11644−40)を使用した。検出したバンドの強度は、ルミノ・イメージアナライザーLAS−4000mini(富士フィルム社)およびImageQuantTM software(GE Healthcare社)により解析した。
(カスパーゼ阻害剤はCCCPにより誘導されるミトコンドリア膜電位低下によるミトコンドリア依存性のプログラム細胞死を抑制する)
脱共役剤であるCCCPを添加した場合、脱共役に起因してミトコンドリア膜電位が低下し、ミトコンドリア障害が誘導される。ミトコンドリア障害はプログラム細胞死を誘導し、すなわちカスパーゼが活性化される。そのため、CCCPを添加した場合は、約17kDaの切断されたカスパーゼ3が観察され、カスパーゼ3の活性化が認められた(図8)。しかしながら、カスパーゼ阻害剤を添加した場合は、カスパーゼ3の活性化が抑制された。これらの結果から、カスパーゼ阻害剤は、ミトコンドリア障害による細胞障害を抑制することができることが明らかになった。
本実施例では、UV照射されたウサギ角膜内皮細胞におけるAnnexin Vの蛍光観察を行った。
本実施例では、以下のカスパーゼ阻害剤を使用した。
Z−VAD−FMK (10μM)
Z−VD−FMK (10μM)
エムリカサン (10μM)
ニボカサン (100μM)
(カスパーゼ阻害剤は細胞障害による角膜内皮細胞のプログラム細胞死を抑制する)
図9に示される通り、UV照射群では、Annexin V陽性のアポトーシス細胞が観察され、その割合も顕著に高かった。他方で、カスパーゼ阻害剤添加群においては、Annexin Vの蛍光はほとんど観察されず、Annexin V陽性細胞の割合に関しても、UV照射なしのコントロール群よりも低いか、コントロール群と同等のAnnexin V陽性細胞の割合を示した。
本実施例では、UV照射されたウサギ角膜内皮細胞の機能障害および形態異常を共焦点顕微鏡で観察した。
本実施例では、以下のカスパーゼ阻害剤を使用した。
Z−VD−FMK (10μM)
Z−VAD−FMK (10μM)
エムリカサン (10μM)
(カスパーゼ阻害剤は細胞障害刺激による角膜内皮細胞の機能障害および形態異常を抑制する)
結果を図10に示す。N−カドヘリン、ZO−1は、アドへレンスジャンクションやタイトジャンクションに関与するタンパク質であり、これらの蛍光観察により角膜内皮細胞の機能の一つであるバリア機能を評価することができる。UV照射群では、N−カドヘリンの蛍光がほとんど観察されず、アドへレンスジャンクションが障害されていることがわかる。また、ZO−1の蛍光観察からは、タイトジャンクションが障害されていることがわかる。phalloidinは、細胞形態の維持等を含む様々な役割を持つアクチンに結合するため、細胞形態を評価することができる。phalloidinの蛍光画像からわかるように、UV照射群では、コントロールでは細胞の皮質部分に局在するアクチンが細切れになり異常な局在を示している。これらのUV対照群における観察とは対照的に、UV照射+カスパーゼ阻害剤添加群においては、コントロール群(UV照射なし)と同様に細胞の機能・形態が維持されていることが認められる。
本実施例では、不死化フックス角膜内皮ジストロフィ患者由来細胞(iFECD)のTGF−β2による細胞障害に対するカスパーゼ阻害剤の効果を検討した。
iFECDをコーティングされていない12ウェルプレートに1.2×105ずつ播種し、37℃で5%CO2の条件下にて24時間培養した。培地はダルベッコ改変イーグル培地(nacalai tesque,26252−94)+10% FBS(Biological Industries/04−001−1A)+1% Penicillin−Streptomycin(nacalai tesque, 26252−94)を使用した。
試薬は以下のものを使用した:
(カスパーゼ阻害剤はフックス角膜内皮ジストロフィ疾患細胞モデルの角膜内皮細胞のアポトーシスを抑制する)
図11に示される通り、TGF−β2群において顕著な細胞死が観察されたが、各カスパーゼ阻害剤が添加された群においては、TGF−β2阻害剤であるSB431542を添加した群と同様に、プログラム細胞死が抑制されていたことが観察された。この結果は、カスパーゼ阻害剤がTGF−β2刺激による細胞障害を抑制することができることを示している。
本実施例では、不死化フックス角膜内皮ジストロフィ患者由来細胞(iFECD)におけるTGF−β2によるカスパーゼ3の活性化に対するカスパーゼ阻害剤の抑制効果を調べた。
IFECDの培養は実施例9と同様の手順で行った。
浮遊および死細胞も回収するため、氷上で培地を回収し、細胞をダルベッコPBS(−)(ニッスイ/05913)で2回洗浄した溶液も回収し、4℃、800g、5分遠心し上清を捨て、沈殿物を得た。洗浄した細胞は、氷上でタンパク質抽出用緩衝液(RIPA;50mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.1% SDS、0.5% DOC、1% NP−40)を加えてタンパク質を抽出した。その後、上記浮遊および死細胞の遠心後の沈殿物も一緒に懸濁して抽出した。回収した液を超音波装置(BIORUPTOR、TOSHO DENKI製)にて冷水中で3分間超音波を当てたのち、4℃、1500rpm、10分遠心し、タンパク質の上清を回収した。
2)ウェスタンブロット法
上記抽出したタンパク質(各ウェルにそれぞれ9μl流し、タンパク質量は、Cleaved−Caspase3およびGAPDHは約5.4μg、PARPは約6.2μgであった。)をSDS−PAGEにて分離し、ニトロセルロース膜に転写した。1次抗体は、Anti−GAPDH mAb(株式会社医学生物学研究所/M171−3)、PARP Antibody(CSTジャパン株式会社/9542S)、Caspase−3 Antibody(CSTジャパン株式会社/9662S)を用いた。2次抗体はECL Mouse IgG, HRP−Linked Whole Ab (ヒツジ由来)(GE Healthcare Life Sciences/ NA931V)、ECL Rabbit IgG, HRP−linked whole Ab(ロバ由来)(GE Healthcare Life Sciences/ NA934V)を用いた。1次抗体はAnti−GAPDH mAbを3000倍希釈、PARP Antibodyを2000倍希釈、Caspase−3 Antibodyを1000倍希釈し、2次抗体は5000倍希釈した。検出にはChemi−Lumi One Ultra(ナカライテスク株式会社/11644−40)を使用した。検出したバンドの強度は、ルミノ・イメージアナライザーLAS−4000mini(富士フィルム社)およびImageQuantTM software(GE Healthcare社)により解析した。
(カスパーゼ阻害剤はフックス角膜内皮ジストロフィ疾患細胞モデルのカスパーゼ3の活性化を抑制する)
ウェスタンブロットの結果を図14に示す。示される通り、カスパーゼ阻害剤添加群においては、活性化型の切断カスパーゼ3のバンド(約17kDa)が観察されず、カスパーゼ阻害剤が、フックス角膜内皮ジストロフィ疾患細胞モデルのカスパーゼ3の活性化を抑制することが示された。
本実施例では、ウサギ角膜を用いたカスパーゼ阻害剤の角膜保存に対する効果を検討した。
安楽死後0〜24時間のウサギ眼球を実験に用いた。実体顕微鏡下で角膜輪部に沿ってスプリング剪刃を用いて強膜を切除し、水晶体および虹彩を取り除き強角膜片を作成した。強角膜片を2分割し、コントロール群およびエムリカサン添加群とした。角膜の分割後、コントロール群はDMSOを添加したOptisol−GS(登録商標)(Bausch&Lomb)、カスパーゼ阻害剤添加群ではエムリカサンを添加したOptisol−GS(登録商標)にて2週間4℃で静置した。
(Emricasanは角膜保存液への添加により角膜保存中の角膜内皮障害を抑制する)
結果を図15に示す。4℃で2週間保存後の蛍光画像からわかるように、コントロール群は細胞障害を受けているのに対し、エムリカサン添加群は、4℃で2週間保存してもほとんど細胞障害を受けず、細胞の形態異常が観察されなかった。また、細胞障害に際して認められるアクチンの収縮環の出現をエムリカサンが有意に抑制した。
本実施例では、凍結保存液の検討を行った。
市販される凍結保存液、CELL BANKER PLUS(タカラバイオ カタログ番号:CB021)、CELL BANKER 2(タカラバイオ カタログ番号:CB031)、STEM−CELLBANKER(タカラバイオ カタログ番号:CB043)、KM BANKER(コージンバイオ カタログ番号:KOJ−16092005)、Freezing Medium, Animal Component Free, CRYO Defined(Cnt−CRYO)(CELLNTEC カタログ番号:CnT−CRYO−50)、およびOptiMEM(INVITROGEN)に10%(v/v)となるようにウシ胎児血清とDMSO(ナカライテスク)を添加し、凍結保存液として用いた。
生存率=生細胞数/(生細胞数+死細胞数)×100
(市販される各種凍結保存液においてKM bankerは角膜内皮細胞の細胞障害抑制に優れる)
結果を図16に示す。トリパンブルー陰性細胞の割合は凍結保存液間で差は認められなかった。しかしながら、より代謝活性のある細胞に由来するATPを定量することにより算出された細胞生存率は、Km bankerが最も高く、コントロールとほとんど変わらなかった。
本実施例では、各種凍結保存液における角膜内皮細胞の凍結後の細胞生着を観察した。
(材料および方法)
(KM bankerは角膜内皮細胞の凍結後の細胞生着を促進する)
図17に示される顕微鏡像からわかるように、KM bankerを使用した場合、細胞生着が促進されていることが観察された。さらに、図18に示されるように、KM bankerを使用した場合、凍結保存を経ていない継代培養細胞と比較してわずかに細胞数が少なかったが、他の凍結保存液を使用した場合と比較して顕著に高い細胞数を示した。これは、KM bankerは、角膜内皮細胞の凍結保存後の細胞生着を促進していることを示している。
本実施例では、角膜内皮凍結保存後の角膜内皮細胞培養におけるZ−VD−FMKのカスパーゼ阻害の効果を検証した。
試験にはMSC−CM(MSC順化培地)で培養したヒト角膜内皮細胞を用いた。ヒト角膜内皮細胞を培養中の培養皿から培地を除去し、事前に37℃に温めておいたPBS(−)を添加し、洗浄を行った。この作業を2回繰り返した。PBS(−)除去後、TrypLE Select(×10)(GIBCO、A12177−01)を添加し、37℃(5% CO2)で10分インキュベートした。その後、KM BANKERで凍結保存した。−80℃で3日間保存した後、37℃水浴にてチューブを浸漬して解凍した。また細胞をラミニンE8をコーティングした12ウェルプレートに100,000細胞播種し、播種時に最終濃度5μmol/lとなるようにZ−VD−FMK添加した。Z−VAD−FMKを添加しない群に関してはDMSOを添加した。
(Z−VD−FMKは角膜内皮凍結保存後の角膜内皮細胞培養を促進する)
図19に示される通り、カスパーゼ阻害剤であるZ−VD−FMKを添加した場合は、凍結保存後の角膜内皮細胞培養において細胞増殖を促進した。したがって、カスパーゼ阻害剤は、角膜内皮細胞の増殖に有用であることが明らかになった。
本実施例では、Z−VD−FMKによる角膜内皮凍結保存における細胞障害の減少を調べた。
試験にはMSC−CMで培養したヒト角膜内皮細胞を用いた。ヒト角膜内皮細胞を培養中の培養皿から培地を除去し、事前に37℃に温めておいたPBS(−)を添加し、洗浄を行った。この作業を2回繰り返した。PBS(−)除去後、TrypLE Select(×10)(GIBCO、A12177−01)を添加し、37℃(5% CO2)で10分インキュベートした。その後、KM BANKERに最終濃度10μmol/lとなるようにZ−VD−FMK(和光純薬工業 カタログ番号:262−02061)を加えて凍結保存した。なお、コントロール群には、試薬の溶媒であるジメチルスルホキシド(DMSO)(Dimethyl Sulfoxide,Sterile−filtered;nacalai tesque,13408−64)を添加して凍結した。
(Z−VD−FMKによるカスパーゼ阻害は角膜内皮凍結保存による細胞障害を減らす)
本実施例では、凍結保存におけるカスパーゼ阻害剤の細胞生存率に対する影響および凍結保存後に添加したカスパーゼ阻害剤の細胞数に対する影響を調べた。凍結から常温に回復した直後の細胞生存率は、Z−VD−FMKを凍結保存液に添加した場合(Freeze+Z−VD−FMK)、添加していない場合(Freeze control)と比べ細胞生存率が高かった(図20左)。Freeze control群において、凍結保存後にZ−VD−FMKを添加した場合、細胞障害が抑制され、細胞数は、凍結保存後にDMSOを添加した場合と比較しておよそ1.7倍であった。Freeze+Z−VD−FMK群においては、凍結保存後にDMSOを添加した場合、細胞数はおよそ2.2倍であり、凍結保存後にさらにZ−VD−FMKを添加した場合は、およそ2.5倍であった。また、p38MAPK阻害剤であるSB203580を添加した場合は相乗効果が確認された。
(材料および方法)
試験にはMSC−CMで培養したヒト角膜内皮細胞を用いた。ヒト角膜内皮細胞を培養中の培養皿から培地を除去し、事前に37℃に温めておいたPBS(−)を添加し、洗浄を行った。この作業を2回繰り返した。PBS(−)除去後、TrypLE Select(×10)(GIBCO、A12177−01)を添加し、37℃(5% CO2)で10分インキュベートした。その後、Cell BANKER、KM BANKERを凍結保存液として使用して凍結保存した。コントロールにはDMSOを使用した。−80℃で3日間保存した後、37℃水浴にてチューブを浸漬して解凍した。
(Z−VD−FMKは複数の凍結保存液への添加における凍結後の細胞培養を促進する)
結果を図21に示す。示される通り、凍結保存後にZ−VAD−MKを添加した場合、添加していない場合と比べて顕著に細胞数が多いことが認められる。また、Cell Bankerを凍結保存液として使用した場合でも、KM Bankerを凍結保存液として使用した場合でも、Z−VAD−MKの効果は同等であることがわかる。したがって、Z−VAD−MKは、いずれの凍結保存液において添加しても同様に細胞培養を促進することが示された。
本実施例では、カスパーゼ阻害剤がTGF−β2による角膜内皮細胞の細胞外マトリックス産生を抑制することを確認した。
(材料および方法)
24ウェルプレートに丸ガラスを置き、エタノールで5分間消毒しラミニン−511 E8 Fragmentでコーティングした。その後、iFECDを4.0×105ずつ播種し、6割〜7割コンフルエントになるまで37℃(5% CO2)で培養した。培地はダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、nacalai tesque、08456−36)+10%FBS(Thermo Fisher Scientific、S1820−500)+1%ペニシリン−ストレプトマイシン(nacalai tesque、26252−94)を使用した。その後、SB431542(和光純薬工業株式会社/192−16541)、Z−VD−FMK(異性体混合物)(和光純薬株式会社/262−02061)、エムリカサン(CHEMSCENE、LLC/CS−0599)を10μMの濃度で添加し24時間インキュベートした。コントロール群、TGF−β2添加群は培地交換を行った。培地はDMEM+2%FBS+1%P/Sを用いた。その後、TGF−β2(10ng/mL)のみまたはTGF−β2(10ng/mL)と各阻害剤(10μM)の両方を添加し24時間後に下記の方法で免疫染色を行った。
(材料および方法)
iFECDを12ウェルプレートに1.0×105ずつ播種し、6割〜7割コンフルエントになるまで37℃(5%CO2)で培養した。培地はダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、nacalai tesque、08456−36)+10%FBS(Thermo Fisher Scientific、S1820−500)+1%ペニシリン−ストレプトマイシン(nacalai tesque、26252−94)を使用した。その後、SB431542(和光純薬工業株式会社/192−16541)、Z−VD−FMK(異性体混合物)(和光純薬株式会社/262−02061)エムリカサン(CHEMSCENE、LLC/CS−0599)を10μMの濃度で添加し24時間インキュベートした。コントロール群、TGF−β2添加群は培地交換を行った。培地はDMEM+2%FBS+1%P/Sを用いた。その後、TGF−β2(10ng/mL)のみまたはTGF−β2(10ng/mL)と各阻害剤(10μM)の両方を添加し24時間後に下記の方法でタンパクを回収した。
浮遊及び死細胞も回収するため、氷上で培地を回収し、細胞を1×PBS(−)で2回洗浄した溶液も回収し、4℃、800g、15分遠心し上清を捨て、沈殿物を得た。洗浄した細胞は、氷上でタンパク質抽出用緩衝液(RIPA;50mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.1% SDS、0.5% DOC、1%NP−40)を加えてタンパク質を抽出した。その後上記浮遊および死細胞の遠心後の沈殿物も一緒に懸濁して抽出した。回収した液を超音波装置(BIORUPTOR、TOSHO DENKI製)にて3分粉砕後、10分遠心し(4℃、15000rpm)、タンパク質の上清を回収した。
上記抽出したタンパク質8μgをSDS−PAGEにて分離し、ニトロセルロース膜に転写した。1次抗体にはマウス抗フィブロネクチン抗体(BD Bioscinece,610077)、ウサギ抗Smad2抗体(cell signaling、5339P)、ウサギ抗p−Smad2抗体(cell signaling、3108S)、マウス抗GAPDH抗体(MBL社、M171ー3)を用いた。2次抗体はペルオキシターゼで標識した抗ウサギ抗体、抗マウス抗体(GE Healthcare Biosciences、NA934V、NA931V)を用いた。1次抗体はマウス抗Fibronectin抗体を20000倍希釈、ウサギ抗Smad2抗体およびウサギ抗p−Smad2抗体を1000倍希釈、GAPDHを3000倍希釈し、二次抗体は5000倍希釈した。
結果を図22および23に示す。本実施例では、TGF−β2刺激による細胞外マトリックス産生に対するカスパーゼ阻害剤の効果について検討を行った。TGF−β2添加群において、フィブロネクチンの発現がコントロールに比べ増加していた。それに対し、TGF−β2+カスパーゼ阻害剤添加群において発現が減少していた。また、TGF−β2添加群、TGF−β2+カスパーゼ阻害剤においてリン酸化Smad2(p−Smad2)の発現が認められた。
図22および図23から明らかなように、TGF−β2添加群においてはフィブロネクチンの過剰発現が認められ、TGF−β2阻害剤であるSB431542添加群においては、TGF−β2によるフィブロネクチンの過剰発現が抑制されており、またTGF−β2刺激によりリン酸化されるSmad2の存在も認められなかった。他方で、カスパーゼ阻害剤であるZ−VD−FMKまたはエムリカサンを添加した群では、フィブロネクチンの過剰発現が抑制されていたにもかかわらず、p−Smad2の存在が認められた。これは、カスパーゼ阻害剤が、TGF−β2シグナルとは異なる経路でフィブロネクチンの過剰発現を抑制していることが示唆される。実際、カスパーゼは細胞死に関与していることが知られているが、細胞外マトリックスの発現に関与していることは知られていなかった。したがって、カスパーゼ阻害剤が、TGF−β2シグナルとは異なる経路でフィブロネクチンの過剰発現を抑制することは予想外であった。
本実施例では、製剤例として、カスパーゼ阻害剤を含有する角膜保存液を以下のように製造する。
エムリカサン 0.5695mg
Optisol−GS(Bausch−Lomb)適量
全量100mL
各濃度の被験物質の組成を以下に示す。
エムリカサン 1〜10mM(569.5-5695mg)
または、他のカスパーゼ阻害剤の適切な濃度
塩化ナトリウム 0.85g
リン酸二水素ナトリウム二水和物 0.1g
ベンザルコニウム塩化物 0.005g
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
全量100mL(pH7.0)
塩化ナトリウム 0.85g
リン酸二水素ナトリウム二水和物 0.1g
ベンザルコニウム塩化物 0.005g
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
全量100mL(pH7.0)
フックス角膜内皮ジストロフィおよび類縁の角膜内皮疾患と診断された際に(具体例としては、1)細隙灯顕微鏡検査によるグッテー形成、デスメ膜肥厚、角膜上皮浮腫、角膜実質浮腫の観察、2)スペキュラマイクロスコープによるグッテー像、角膜内皮障害像の観察、3)ペンタカム、OCT、超音波角膜厚測定装置などによる角膜浮腫の観察、4)遺伝子診断により高リスクと判断された場合)使用する。想定例としては、点眼薬、前房内注射、徐放剤を用いた投与、硝子体内注射、結膜下注射などがある。
Claims (34)
- カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞におけるトランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)シグナルに起因する角膜内皮の症状、障害または疾患を治療または予防するための医薬。
- 前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィ、角膜移植後障害、角膜内皮炎、外傷、眼科手術、眼科レーザー手術後の障害、加齢、後部多形性角膜ジストロフィ(PPD)、先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィ(CHED)、および特発性角膜内皮障害からなる群より選択される、請求項1に記載の医薬。
- 前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィを含む、請求項1または2に記載の医薬。
- 前記医薬は、フックス角膜内皮ジストロフィにおける細胞外マトリクスの過剰産生に起因する症状を治療または予防するものである、請求項3に記載の医薬。
- 前記症状は、角膜内皮面の疣贅(グッタータ)、デスメ膜の混濁グッテー、デスメ膜の肥厚、霧視、ハロー、グレア、視力低下、角膜混濁、白斑および視感覚の異常からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項4に記載の医薬。
- カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞における細胞外マトリックスの過剰発現に起因する角膜内皮の症状、障害または疾患を治療または予防するための医薬。
- 前記症状、障害または疾患は、角膜内皮細胞におけるフィブロネクチンの過剰発現に起因する、請求項6に記載の医薬。
- 前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィ、グッテーの形成、デスメ膜の肥厚、角膜厚の肥厚、混濁、瘢痕、角膜片雲、角膜斑、角膜白斑、羞明、および霧視からなる群より選択される請求項6に記載の医薬。
- 前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィを含む、請求項6〜8のいずれかに記載の医薬。
- 前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィにおける、グッテーの形成およびデスメ膜の肥厚から選択される少なくとも1つを含む、請求項9に記載の医薬。
- カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞におけるTGF−βシグナルおよび細胞外マトリックスの過剰発現に起因する角膜内皮の症状、障害または疾患を治療または予防するための医薬。
- 前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィ、その他の角膜内皮ジストロフィ、ならびに、薬物、手術、外傷、感染症、またはぶどう膜炎による角膜内皮障害からなる群より選択される請求項11に記載の医薬。
- 前記症状、障害または疾患は、フックス角膜内皮ジストロフィを含む、請求項11または12に記載の医薬。
- カスパーゼ阻害剤を含む凍結保存液を含む、角膜内皮細胞の凍結保存または凍結保存後の培養のための組成物。
- カスパーゼ阻害剤を含む、角膜内皮細胞の増殖を促進するための組成物。
- p38MAPキナーゼをさらに含む、請求項15に記載の組成物。
- 前記カスパーゼ阻害剤は、カスパーゼ−3阻害剤である、請求項1〜16のいずれかに記載の医薬または組成物。
- 前記カスパーゼ阻害剤は、Z−VD−FMK、Z−VAD−FMK、エムリカサンおよびニボカサンからなる群より選択される、請求項1〜13のいずれかに記載の医薬。
- 前記Z−VD−FMKの濃度は、約3μM〜約100μMである、請求項18に記載の医薬。
- 前記Z−VAD−FMKの濃度は、約3μM〜約30μMである、請求項18に記載の医薬。
- 前記エムリカサンの濃度は、約1μM〜約100μMである、請求項18に記載の医薬。
- 前記ニボカサンの濃度は、約30μM〜約300μMである、請求項18に記載の医薬。
- 前記カスパーゼ阻害剤は、Z−VD−FMK、Z−VADFMK、エムリカサンおよびニボカサンからなる群より選択される、請求項14または15に記載の組成物。
- 前記Z−VD−FMKの濃度は、約3μM〜約100μMである、請求項23に記載の組成物。
- 前記Z−VAD−FMKの濃度は、約3μM〜約30μMである、請求項23に記載の組成物。
- 前記エムリカサンの濃度は、約1μM〜約100μMである、請求項23に記載の組成物。
- 前記ニボカサンの濃度は、約30μM〜約300μMである、請求項23に記載の組成物。
- カスパーゼ阻害剤を含む、フックス角膜内皮ジストロフィを治療または予防するための医薬であって、該カスパーゼ阻害剤はエムリカサンである、医薬。
- 前記フックス角膜内皮ジストロフィは、角膜内皮細胞におけるTGF−βシグナルに起因する、請求項28に記載の医薬。
- 前記フックス角膜内皮ジストロフィは、角膜内皮細胞における細胞外マトリックスの過剰発現に起因する、請求項28に記載の医薬。
- 前記フックス角膜内皮ジストロフィは、角膜内皮細胞におけるTGF−βシグナルおよび細胞外マトリックスの過剰発現に起因する、請求項28に記載の医薬。
- 前記エムリカサンの濃度は、約1μM〜約100μMである、請求項29〜31のいずれかに記載の医薬。
- 前記カスパーゼ阻害剤はZ−VD−FMKであり、前記凍結保存液はKM BANKER(商標)、CELL BANKER(登録商標)、またはこれらの改変された凍結保存液である、請求項14に記載の組成物。
- 前記カスパーゼ阻害剤はZ−VD−FMKである、請求項15または16に記載の組成物。
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