[go: up one dir, main page]

JP6246484B2 - 静止誘導電器 - Google Patents

静止誘導電器 Download PDF

Info

Publication number
JP6246484B2
JP6246484B2 JP2013080789A JP2013080789A JP6246484B2 JP 6246484 B2 JP6246484 B2 JP 6246484B2 JP 2013080789 A JP2013080789 A JP 2013080789A JP 2013080789 A JP2013080789 A JP 2013080789A JP 6246484 B2 JP6246484 B2 JP 6246484B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
winding
opening
press board
insulating oil
press
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013080789A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014204042A (ja
Inventor
森 繁和
繁和 森
隆 岩渕
隆 岩渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2013080789A priority Critical patent/JP6246484B2/ja
Publication of JP2014204042A publication Critical patent/JP2014204042A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6246484B2 publication Critical patent/JP6246484B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Coils Of Transformers For General Uses (AREA)
  • Insulating Of Coils (AREA)
  • Regulation Of General Use Transformers (AREA)

Description

本発明の実施形態は、直流電圧が加わる部位の絶縁構成を改善させた静止誘導電器に関する。
近年、大容量、長距離送電、および異周波連係など、系統運用上多くのメリットを有する直流送電が多方面で使用されている。例えば、国内の一部の地域では、交流系統を連携する±250kV直流送電が実施され、また海外では±800kVの直流送電が実施されている。
直流送電においては、交流を直流に、または直流を交流にするために交直変換所が設置される。交直変換所は、交流電圧を変換器用変圧器およびサイリスタバルブを通して直流電圧に変換し、直流リアクトルを介して直流線路へ送電する。
このような変換器用変圧器や直流リアクトルの絶縁方法としては油絶縁方式が主流である。油絶縁方式には、絶縁油と固体絶縁物からなるプレスボード等とにより構成される、複合絶縁構成を採用しているものがある。絶縁油は、絶縁構成の一部を形成するとともに静止誘導電器内を循環するように流れており、巻線を冷却する冷却媒体としての役割も有している。
プレスボードは、絶縁油と比べて体積抵抗率が高いため、直流電圧の殆どを分担することになる。従って、体積抵抗率の小さい絶縁油には余り電界が加わらないため、絶縁強化を図ることができる。プレスボードの絶縁耐力は絶縁油よりも数倍高いため、プレスボードを適切に配置できれば電界が加わっても問題とならない。
特開平9−009623号公報
しかしながら、従来の静止誘導電器においては、絶縁油を循環させるための開口部がプレスボードに設けられている。この開口部では、プレスボードと絶縁油で分担される直流等電位分布が乱れ、局所的に絶縁油の直流電界が高くなりやすい。絶縁油の直流耐圧は、プレスボードに比べて約一桁小さく、この開口部付近では絶縁油自体、または絶縁油とプレスボードの界面において絶縁破壊が起きやすく、絶縁上の弱点になっていた。
そこで、巻線のコーナー部分を空間を介して覆う複数のアングルプレスボードを対向させて配置して、アングルプレスボード間に開口部を形成し、この開口部近傍に絶縁ボードを設けて絶縁油の流路を形成することが提案されている。しかし、このように絶縁強化をおこなったとしても、局所的に絶縁油の電界が高くなる部分があり、絶縁上の弱点を解決できてはいなかった。よって、従来の静止誘導電器では、絶縁性能を確保するために絶縁寸法を大きくする必要があり、静止誘導電器が大型化するという問題があった。
本発明の実施形態は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。その目的は、プレスボードに開口部を設けた場合であっても、開口部近傍の絶縁性を向上させ、小型で信頼性の高い静止誘導電器を提供することにある。
上記のような目的を達成するための実施形態の静止誘導電器は、絶縁油が充填された容器内に巻線が収納され、前記容器と前記巻線の軸方向の端部との間には静電シールドが設けられ、前記巻線と前記静電シールドを囲むように複数のプレスボードが空間を介して複数段配置され、前記プレスボードに開口部が形成されている静止誘導電器において、前記開口部は、隣接するプレスボードの開口部と重ならないように前記巻線の周方向にずれるように設けられ、絶縁油の流路がZ字状に形成されることを特徴とする。
一般的な交直変換所の一例を示す配線図。 第1の実施形態の静止誘導電器の絶縁構成の一例を示す断面図である。 第1の実施形態の開口部の絶縁構成の一例を示す拡大断面図である。 図3の拡大断面図のA−A’断面図である。 従来の静止誘導電器における開口部の絶縁構成の一例を示す拡大断面図である。 従来の静止誘導電器における直流等電位線の分布図である。 第1の実施形態の静止誘導電器の開口部近傍における直流等電位線の分布図である。 第1の実施形態の静止誘導電器に開口部近傍以外の部位における直流等電位線の分布図である。 開口部間距離と直流電界の関係を示す説明図である。 第2の実施形態の静止誘導電器の絶縁構成の一例を示す断面図である。
[1. 第1の実施形態]
[1.1 実施形態の配置例]
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係る静止誘導電器が配置される交直変換所の一例を示す配置図である。図1に示すように、交直変換所は、交流線路1から入力した交流電圧を、変換器用変圧器2a,2b、サイリスタバルブ群3a、3bを通して直流電圧に変換し、直流リアクトル4を介して直流線路5に送電するように構成される。
この場合、サイリスタバルブ群3a、3bを形成するサイリスタバルブ6a、6bは交流電圧を直流電圧に、或いは直流電圧を交流電圧に変換する主要素である。このようなサイリスタバルブ6a、6bとしては、現在のところ運転実績、保守、点検の面から、空気絶縁方式のものが多く使用されている。この空気絶縁方式のサイリスタバルブ6a、6bは、通常バルブホール7と呼ばれる建物内に収納される。なお、図中8a、8bは変圧器用避雷器、9は直流リアクトル用避雷器、10はサイリスタバルブ群3a、3bのアノード−カソード間避雷器である。
[1.2 実施形態の構成]
(1)静止誘導電器の概略構成
図2はこのように配置される静止誘導電器の断面図を示すものである。本実施形態では、静止誘導電器として変換器用変圧器を例として説明する。本実施形態の静止誘導電器は、鉄心Iの周囲かつ同心円上に、鉄心Iに巻回される変圧器巻線が配置されている。この変圧器巻線は、絶縁油11が充填された容器T内に収納されているものであり、内側の巻線が交流巻線12、外側の巻線が直流巻線13となっている。
このうち交流巻線12は交流線路1に結合され、直流巻線13はサイリスタバルブ群3a又は3bに接続されている。容器Tと各巻線12、13の巻回方向の軸方向の端部との間には、電界緩和のために周囲を絶縁物で被覆した静電シールド14が配置されている。静電シールド14は、各巻線12、13の端部に、1つずつ設けても良いし、絶縁性を強化するために複数に分割して設けても良い。
各巻線12、13およびその静電シールド14の周囲には紙材などの固体絶縁物からなる複数のプレスボード15が空間を介して複数段設けられ、重層的に巻線12、13を囲んでいる。以下、各巻線12、13において、静電シールド14が配置される側を上と表現する。
(2)絶縁構成の概略
複数のプレスボード15はそれぞれが空間を介して配置され、巻線12,13の周囲に複数段配置されている。これは、プレスボード15の絶縁強度が絶縁油11単体よりも大きいためである。また、絶縁油11の体積をプレスボード15によって区分するためでもある。絶縁油11の体積抵抗率は、プレスボード15に比べて非常に小さい。よって、絶縁油11の破壊電界は絶縁油11の体積に対して負の依存性がある。そこで、プレボード15を複数段設けることで、絶縁油11の体積を細分化することで絶縁油11の耐圧が高められている。
プレスボード15は、巻線12、13と同心円状にほぼ等間隔に配置される複数のプレスボードパネル15aと、巻線12、13および静電シールド14の周囲と端部を取り囲む断面L字状の複数のアングルプレスボード15bと、静電シールド14の端部を取り囲むプレスボードリング15cおよび15dから構成される。複数のプレスボードパネル15aは、各巻線12、13の内外周にそれぞれ配置されている。
複数のアングルプレスボード15bは、各巻線12、13の内周側と外周側のコーナー部分を空間を介して覆う断面L字状の部材であり、内外周と外周側のプレスボードパネル15aと接続されている。内周側のアングルプレスボード15bは、各巻線12、13の内周側の面と平行に配置される面と、静電シールド14の上面と平行に配置される面とを有する。外周側のアングルプレスボード15bは、各巻線12、13の外周側の面と平行に配置される面と、静電シールド14の上面と平行に配置される面とを有する。アングルプレスボード15bが静電シールド14を重層的に覆うことで、巻線12、13の絶縁が強化されている。
プレスボード15は、上記のように絶縁油11を細分化するとともに、絶縁油11を冷却媒体として巻線12、13の周囲を循環させる流路を形成している。図中の矢印は絶縁油11の流れる方向を示している。以下、各巻線12、13周囲の絶縁構成について、具体的に説明する。
(2.1)交流巻線周囲の絶縁構成
交流巻線12の端部には、ひとつの静電シールド14が設けられている。交流巻線12と静電シールド14の周囲を囲むように、内周側と外周側のアングルプレスボード15bが一つずつ交互に空間を介して複数段配置されている。従って、静電シールド14と、静電シールド14と隣接するアングルプレスボード15bとの間、およびそれぞれ隣接する複数のアングルプレスボード15bの間には空間が形成される。
この空間には、紙などの固体絶縁物からなるスペーサ16がそれぞれ配置されている。スペーサ16は、静電シールド14と静電シールド14と隣接するアングルプレスボード15bの間隔と、それぞれ隣接するアングルプレスボード15bの間隔を一定に保つように配置されている。スペーサ16としては、プレスボード15と同じ絶縁物を用いることができる。
交流巻線12では、交流巻線12の下部から流入された絶縁油11が、交流巻線12を冷却しながら上方に流れる。内外周のアングルプレスボード15bは一つずつ交互に配置されているため、静電シールド14と平行に配置される面の端部と、隣接するアングルレスボード15bによって開口部が形成される。従って、交流巻線12の上方に到達した絶縁油11は、図1にて矢印に示すように、一つずつ交互に配置されたアングルプレスボード15bにより形成される流路を巻線径方向にZ字状に流れ、巻線12の上方から流出する。
(2.2)直流巻線周囲の絶縁構成
図3に示す通り、直流巻線13の静電シールド14は、内周側静電シールド14a及び外周側静電シールド14bに分割されて設けられている。内周側静電シールド14aと外周側静電シールド14bの間には紙などの固体絶縁物からなるスペーサ17が設けられ、静電シールド14aと14bの間の間隔を保持している。直流巻線13と静電シールド14の周囲を取り囲むように、断面逆U字状の絶縁構成が空間を介して複数段形成されている。
具体的には、直流巻線13と内周側静電シールド14aの周囲を囲むように、内周側のアングルプレスボード15bが複数段設けられている。また、直流巻線13と外周側静電シールド14bの周囲を囲むように、外周側のアングルプレスボード15bが複数段設けられている。内周側と外周側のアングルプレスボード15bは、静電シールド14と平行に配置される面の端部が空間を介して対向するように配置されている。
複数のプレスボードリング15cは、内周側と外周側のアングルプレスボード15bの端部の間に形成される空間部分を接続するように設けられている。プレスボードリング15cは、一方の端部が内周側のアングルプレスボード15bに接続され、他方の端部が外周側のアングルプレスボード15bに接続されている。
これら接続されたプレスボード15が複数段配置されることにより形成される空間には、さらにプレスボードリング15dが空間を介して設けられている。よって、直流巻線13の上部の絶縁構成は、接続されたプレスボード15とプレスボードリング15dが交互に空間を介して設けられることとなる。プレスボードリング15dの巻線径方向の長さ(以下、幅という)は、そのプレスボードリング15dより巻線側に隣接するプレスボード15において、直流巻線13の端部と平行となる面の幅と略同一である。従って、複数のプレスボードリング15dの幅は、直流巻線13から離れる程広くなる。プレスボードリング15dは、最上段の接続されたプレスボード15の上方にも設けられている。
静電シールド14と隣接するプレスボードリング15cの間の空間と、接続されたプレスボード15とプレスボードリング15dの間の空間には、紙などの固体絶縁物からなるスペーサ18がそれぞれ配置されている。スペーサ18は、後述するプレスボードリング15cおよび15dの開口部Oを介して対向するように、巻線の内周側と外周側に1つずつ配置されている。よって、対向して設けられたスペーサ18間の空間において、巻線径方向の長さが、プレスボード15により形成される絶縁油11の流路の幅となる。
スペーサ18は、静電シールド14と静電シールド14と隣接するプレスボードリング15cの間隔と、それぞれ隣接する接続されたプレスボード15とプレスボードリング15dの間隔を一定に保つように配置されている。スペーサ18としては、プレスボード15と同じ絶縁物を用いることができる。
直流巻線13の流路は、巻線周方向において複数に分割されて設けられている。図3のA−A’断面図(巻線周方向断面図)を図4に示す。図4は、スペーサ19で区切られた絶縁油11の流路のひとつを示す。スペーサ19で挟まれたひとつの流路を形成する区間において、複数のプレスボードリング15cおよび15dには、開口部Oがそれぞれ形成されている。開口部Oは、隣接するプレスボードリング15cの開口部Oと、プレスボードリング15dの開口部Oの位置が重ならないように、巻線の周方向にずれるように配置されている。
開口部間距離は、巻線周方向に少なくとも30mmとすることが好ましい。開口部間距離とは、巻線周方向において、プレスボードリングの開口部Oの端部から、隣接するプレスボードリングの開口部Oの端部までの距離を意味する。各プレスボードリング15cの開口部Oの位置は重なるように配置されている。各プレスボードリング15dの開口部Oの位置も重なるように配置されている。プレスボードリング15cと15dは交互に配置されているので、開口部Oも巻線周方向において交互に配置されることになる。
スペーサ19は、プレスボードリング15cの開口部Oにおいて、プレスボードリング15dの開口部側と反対側の近傍に設けられている。また、スペーサ19は、プレスボードリング15dの開口部Oにおいて、プレスボードリング15cの開口部側と反対側の近傍にも設けられている。よって、スペーサ19に挟まれた巻線周方向の区間において、プレスボードリングリング15cと15d、およびそれらの開口部OがZ字状の流路を形成する。
スペーサ19は、各プレスボードリング15cおよび15d間の空間を保持すると共に、絶縁油11の油止めとしての役割を有する。スペーサ19としては、プレスボード15と同じ絶縁物を用いることができる。
Z字状の流路は、巻線周方向に複数形成されている。すなわち、スペーサ19を介して、Z字状の流路が隣接している。例えば、スペーサ19の一方の端部が、あるZ字状の流路のプレスボードリング15cの開口部Oの端部と一致する場合、他方の端部はそのZ字状の流路に隣接する流路のプレスボードリング15dの開口部Oの端部と一致する。従って、スペーサ19を介して、一つのZ字状の流路の開口部Oと、もう一つのZ字状の流路の開口部Oとが隣接することとなる。
静電シールド14aと14bの間に設けられているスペーサ17は、開口部下方にて開口部Oを覆うように設けることができる。図4では、スペーサ17は、スペーサ19を介して隣接する開口部Oの位置と重なるように、これら開口部Oの下方に設けられている。スペーサ17の巻線周方向の長さは、スペーサ19を介して隣接する開口部Oの長さよりも長いことが好ましい。スペーサ19は、プレスボードリング15cの開口部Oに対応するものと、プレスボードリング15dの開口部に対応するものを別途設置しても良い。その場合は、スペーサ17の周方向の長さを、各開口部Oの長さよりも長くすれば良い。
以上のような直流巻線13では、直流巻線13の下部から流入された絶縁油11が、直流巻線12を冷却しながら上方に流れる。ずれた位置に開口部Oを有するプレスボードリング15cと15dは交互に配置されている。従って、直流巻線13の上方に到達した絶縁油11は、図4に示すように、静電シールド14aおよび14bの間の空間を流れてから、プレスボードリング15cおよび15dに設けられた開口部Oとスペーサ19により形成された流路を巻線周方向にZ字状に流れ、巻線13の上方から流出する。
[1.2 作用]
以上のような構成を有する本実施形態の作用を、図5に示すような巻線径方向に開口部をずらして配置させた静止誘導電器と対比させて以下に説明する。図5の静止誘導電器は、プレスボードリング15dと、対向する内周側と外周側のアングルプレスボード15bの端部間の空間に、開口部が形成されている。これら開口部は、巻線径方向にずれて配置されている。スペーサ18は、開口部の巻線径方向の端部に併せて配置され、絶縁油11の流路の幅を決定する。静電シールド14aおよび14bの間に、スペーサ17が設けられていない点でも、本実施形態と異なる。
図5の静止誘導電器の直流電位分布を解析すると、図6に示す通り、直流等電位線Eは、静電シールド14aおよび14b、アングルプレスボード15b,プレスボードリング15d、スペーサ18の部材において、それぞれの内部において移行しておらず、油隙を介して隣接している部材へと移行していることが分かる。特に、開口部近傍では、直流等電位線Eの乗り移りが生じ、絶縁油11に加わる電界が高くなる。このように高電界が生じた部分は、絶縁上の弱点となる。
一方、本実施形態の静止誘導電器においては、直流巻線13において、開口部Oは、巻線周方向にずらして配置されている。また、静電シールド14aおよび14bの間の空間には、スペーサ17が設けられている。図7に、図4のB−B’断面図(開口部近傍断面図)の直流電位分布を解析した結果を示す。また、図8に、図4のC−C’断面図(プレスボードリング15cおよび15d部分の断面図)の直流電位分布を解析した結果を示す。
図7および図8からも明らかな通り、直流等電位線Eは、静電シールド14aおよび14b、スペーサ17および18、プレスボードリング15cおよび15dそれぞれの内部において移行している。本実施形態では直流等電位線Eが油隙を介して移行することがほとんどなくなる。また、一部油隙を介して移行する直流等電位線Eもみられるが、その等電位線の間隔は非常に粗くなっていることから、絶縁油11に加わる電界は小さい。
(1)開口部の配置による作用
開口部Oが設けられた部分は、その開口部Oの端部を形成するプレスボード15の端部において、直流等電位線Eの乗り移りが生じる可能性がある。例えば、プレスボードリング15cの開口部近傍では、プレスボードリング15cの端部から、隣接するプレスボードリング15dに直流等電位線Eの乗り移りが起こり、絶縁油11に直流電界が加わる可能性がある。
本実施形態では、隣接するプレスボードリング15c、15dの開口部Oが、巻線周方向にずれるように設けられている。開口部Oの位置を巻線周方向にずらすことにより、プレスボードリング15cとプレスボードリング15dが重なるように配置されている距離を伸ばすことができる。直流等電位線Eはこのプレスボードリング15c、15dの重なり部分でも乗り移ることができるため、開口部近傍における直流等電位線Eの集中的な乗り移りを回避することが可能になる。
また、図5に示すような開口部を巻線径方向にずらすような構成の場合、巻線側のアングルプレスボード15bやプレスボードリング15cは、巻線径方向の幅が狭くなる。開口部は、絶縁油11の流動帯電を抑えるため、流速を低くする必要がある。従って、開口部の幅を一定以下にすることはできない。以上のように、開口部を巻線径方向にずらす構成の場合には、開口部間距離を確保することが困難であったため、開口部近傍の電界が高くなっていた。
一方、本実施形態では、開口部Oは巻線周方向にずらす構成としたため、開口部間距離を充分に確保することができる。図9は、隣接するプレスボードリング15c、15dの開口部間の距離と電界の関係を示すグラフである。図9(a)に、開口部近傍における最大電界が生じる部分を図中点線の丸で示す。図9(b)に示す通り、最大電界部に生じる電界は、開口部間距離がマイナスの値、すなわち開口部Oが重なるように配置されている場合に最も高い。一方、開口部間距離が長くなるにつれて、最大電界部に生じる電界が低くなることが分かる。
絶縁油11の破壊電界の標準偏差は10%前後であるので、開口部間距離を長くすることにより積極的に最大電界を低減させるには、−2σ値相当とし最大電界値が20%以上低減した場合とするのが好ましい。よって、本実施形態のように、開口部間距離を30mm以上ずらした場合には、最大電界値を20%以上低減させられるため、開口部近傍における直流等電位線Eの集中的な乗り移りを回避できる。
(2)スペーサ17の作用
図4のB−B’断面部分においては、プレスボードリング15cに開口部Oが設けられているため、プレスボードリング15dのみによって絶縁構成が形成されることとなる。よって、プレスボードリングの設置枚数が、C−C’断面部分の半分となる。プレスボード15の直流耐圧は、絶縁油11の直流耐圧より数倍高いものではあるが、プレスボードリング15dに過度の直流電界が加われば、絶縁破壊する可能性がある。
しかし、本実施形態では、スペーサ17は下方にて開口部Oを覆うように設けられている。直流等電位線Eは、静電シールド14aおよび14bの間をスペーサ17を介して移動することができる。よって、スペーサ17が直流電圧を分担することになり、開口部Oにより枚数が減ったプレスボードリングの電圧分担を低減することが可能になる。
[1.3 効果]
以上のような本実施形態の効果は以下の通りである。
(1)開口部Oを巻線周方向にずらすことにより、開口部近傍において直流等電位線Eが油隙を介して移行することを低減でき、絶縁油11に加わる電界が小さくすることができる。また、絶縁油11を介して直流等電位線Eが移行する場合であっても、等電位線の間隔が非常に粗いことから、絶縁油11に加わる電界が小さくすることができる。よって、開口部近傍に絶縁上の弱点が生じることがなく、絶縁性を向上させることができる。
(2)開口部間距離を30mm以上とした場合には、電界値を更に低減することができ、開口部近傍における直流等電位線Eの集中的な乗り移りを回避できる。よって、開口部近傍に絶縁上の弱点が生じることがなく、絶縁性を向上させることができる。
(3)静電シールド14が複数に分割されている場合には、分割された静電シールド14の間にスペーサを設けることで、開口部Oを有するプレスボードリングの電圧分担を低減することができる。よって、開口部近傍に絶縁上の弱点が生じることがなく、絶縁性を向上させることができる。
(4)さらに、以上のように絶縁性を向上させることで、絶縁寸法を縮小することができるため、信頼性が高くかつ小型の静止誘導電器を提供することが可能となる。
[2. 第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態は、巻線側のプレスボードリングにおいてのみ開口部Oを巻線周方向にずらす構成であり、基本的には第1の実施形態と同様である。従って、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態では、巻線側のプレスボード15の絶縁構成において、開口部Oが巻線周方向にずらして配置されている。図10に示すように、巻線側に、アングルプレスボード15bとプレスボードリング15eがそれぞれ2段配置されている。このアングルプレスボード15bとプレスボードリング15eはそれぞれ開口部Oを有し、第1の実施形態と同様に開口部が巻線周方向にずれている。したがって、巻線側の2段の絶縁構成では、巻線周方向にZ字状の絶縁油11の流路が形成されることとなる。
巻線12、13から離れたプレスボード15の絶縁構成においては、開口部Oが巻線径方向にずらして配置されている。巻線側に構成された2段の絶縁構成の外側では、アングルプレスボード15bが2段配置されている。アングルプレスボード15bは、それぞれ開口部Oを有し、隣接するアングルプレスボード15bの開口部Oから、巻線径方向にずれている。従って、巻線から離れた2段の絶縁構成では、巻線径方向にZ字状の絶縁油11の流路が形成されることとなる。
巻線側の絶縁構成においては、前述のとおり、プレスボード15の巻線径方向の幅が狭くなる。従って、第1の実施形態と同様の構成とすることで、開口部近傍の絶縁性を向上させることができる。巻線12、13から離れたプレスボード15においては、巻線径方向の幅が広くなるため、開口部間距離を充分に確保したうえで径方向に開口部Oをずらすことが可能になる。従って、巻線から離れたプレスボードの絶縁構成においては、絶縁構成の部材を少なくできるとともに開口部近傍の絶縁性を向上させることができる。すなわち、本実施形態の構成を採用した場合であっても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[3. 他の実施形態]
(1)上記の実施形態では、直流巻線における構成例を説明したが、直流巻線の絶縁構成は交流巻線の絶縁構成に適用することもできる。また、直流側、交流側の両方に設けることもできる。
(2)上記の実施形態では、プレスボード、アングルプレスボード、プレスボードリングにより、巻線周囲の絶縁構成を構成したが、これらの部材はどのように組み合わせても構わない。各部材の形状は、巻線の絶縁構成を鑑みて適宜変更可能である。また、開口部はプレスボードのいずれかに設けられていればよく、具体的な部材は適宜選択すれば良い。
(3)上記の実施形態では、絶縁油が流出する側の構成を巻線上部とし、周囲の絶縁構成を説明した。この巻線周囲の絶縁構成は、絶縁油が流入する側、すなわち巻線下部においても適用可能である。
(4)本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
I…鉄心
T…容器
11…絶縁油
12…交流巻線
13…直流巻線
14、14a、14b…静電シールド
15…プレスボード
15a…プレスボードパネル
15b…アングルプレスボード
15c、15d、15e…プレスボードリング
16、17、18、19…スペーサ

Claims (4)

  1. 絶縁油が充填された容器内に巻線が収納され、前記容器と前記巻線の軸方向の端部との間には静電シールドが設けられ、前記巻線と前記静電シールドを囲むように複数のプレスボードが空間を介して複数段配置され、前記プレスボードに開口部が形成されている静止誘導電器において、
    前記開口部は、隣接するプレスボードの開口部と重ならないように前記巻線の周方向にずれるように設けられ、絶縁油の流路がZ字状に形成されることを特徴とする静止誘導電器。
  2. 前記静電シールドが複数に分割され、前記複数の静電シールドの間にスペーサが設けられ、
    前記スペーサは、前記開口部と重なる位置に配置され、
    前記スペーサの前記巻線の周方向の長さが、前記開口部の前記巻線の周方向の長さよりも長く形成されていることを特徴とする請求項1記載の静止誘導電器。
  3. 前記開口部は、隣接するプレスボードの開口部と30mm以上ずれるように設けられていることを特徴とする請求項1又は2いずれか一項記載の静止誘導電器。
  4. 前記複数段配置されたプレスボードのうち、前記巻線側のプレスボードの開口部が前記巻線の周方向にずれるように設けられ、
    前記容器側のプレスボードの開口部が前記巻線の径方向にずれるように設けられていることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項記載の静止誘導電器。
JP2013080789A 2013-04-08 2013-04-08 静止誘導電器 Active JP6246484B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013080789A JP6246484B2 (ja) 2013-04-08 2013-04-08 静止誘導電器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013080789A JP6246484B2 (ja) 2013-04-08 2013-04-08 静止誘導電器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014204042A JP2014204042A (ja) 2014-10-27
JP6246484B2 true JP6246484B2 (ja) 2017-12-13

Family

ID=52354197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013080789A Active JP6246484B2 (ja) 2013-04-08 2013-04-08 静止誘導電器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6246484B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101942374B1 (ko) * 2015-04-28 2019-01-29 현대일렉트릭앤에너지시스템(주) 변압기

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5442620A (en) * 1977-09-12 1979-04-04 Hitachi Ltd Transformer winding
JPS55123111A (en) * 1979-03-15 1980-09-22 Toshiba Corp Dc electric equipment
JPS5661028U (ja) * 1979-10-15 1981-05-23
JPS5931212U (ja) * 1982-08-23 1984-02-27 株式会社東芝 油入絶縁機器
JPS6030525U (ja) * 1983-08-08 1985-03-01 株式会社日立製作所 巻線用シ−ルドリング
JPS6247116U (ja) * 1985-09-12 1987-03-23
JPS6252921U (ja) * 1985-09-20 1987-04-02
JPS62172130U (ja) * 1986-04-22 1987-10-31
CN101136281B (zh) * 2006-08-28 2011-10-26 Abb技术有限公司 具有屏蔽环的高压变压器、屏蔽环及屏蔽环的制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014204042A (ja) 2014-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI455155B (zh) 變壓器
US20150109090A1 (en) Electrical transformer with a shielded cast coil assembly
JP6246484B2 (ja) 静止誘導電器
US10090095B2 (en) Stationary induction electrical apparatus
JP6552779B1 (ja) 静止誘導器
CA2967110C (en) Cooling ducts for transformers' winding
US9099238B2 (en) High voltage insulation system and a high voltage inductive device comprising such an insulation system
JP6656187B2 (ja) 静止誘導器
JP2013065762A (ja) 静止誘導機器
JP2014203973A (ja) 静止誘導電器
JP7204954B2 (ja) 静止誘導器
JP5932515B2 (ja) 油入静止誘導電器
RU2604644C1 (ru) Стационарное индукционное электрическое устройство
CN102197447B (zh) 变压器
JP2013069717A (ja) 変換器用変圧器
JP5317930B2 (ja) 静止誘導電器
JP5885898B1 (ja) 静止誘導機器
JP2014027140A (ja) 静止誘導電器
JP2022160043A (ja) 静止誘導機器
JP2015035528A (ja) 油入静止誘導機器
JPH09190934A (ja) 直流送電用変圧器
KR20230016287A (ko) 무선 전력 전송 기반 고압 dc 전원장치
JP2019179849A (ja) 静止誘導機器
JPH09260150A (ja) 直流送電用誘導電器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170328

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171017

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171115

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6246484

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151