以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の点灯装置の回路構成図を図1に示す。本実施形態の点灯装置は、車両に搭載され、バッテリーからなる直流電源E1を入力電源として、前照灯として機能する放電灯La1(光源)を点灯させるものである。なお、本実施形態の点灯装置を、車両の前照灯を点灯させる用途に限定する趣旨ではない。
まず、本実施形態の点灯装置の構成について説明する。本実施形態の点灯装置は、点灯回路1と、点灯回路1を制御する制御部2とを主構成とする。
点灯回路1は、DC−DC変換回路3,インバータ回路4,イグナイタ回路5で構成されている。そして、点灯回路1は、直流電源E1から供給される直流電力から放電灯La1が必要とする電力を生成し、生成した電力を放電灯La1に供給する電力供給動作を行うことで、放電灯La1を点灯させる。
DC−DC変換回路3は、電力供給経路を導通・遮断するスイッチSW1を介して直流電源E1に接続されており、直流の入力電圧Vinを放電灯La1が必要とする電圧レベルに変換する。具体的には、DC−DC変換回路3は、トランスT1,スイッチング素子Q1、ダイオードD1、平滑用のコンデンサC1で構成されている。トランスT1の一次巻線n1とスイッチング素子Q1とが直列接続されており、スイッチSW1を介して直流電源E1の出力端間に接続されている。トランスT1の二次巻線n2の両端間には、ダイオードD1とコンデンサC1との直列回路が接続されている。スイッチング素子Q1は、制御部2によってスイッチング制御される。スイッチング素子Q1がオンされると、直流電源E1から供給される直流の入力電流Iinが一次巻線n1に流れ、トランスT1にエネルギーが蓄積される。そして、スイッチング素子Q1がオフされると、トランスT1に蓄積されたエネルギーが二次巻線n2からコンデンサC1に供給される。上記構成によりDC−DC変換回路3は、制御部2によってスイッチング素子Q1がオン・オフ駆動されることで、入力電圧Vinを放電灯La1が必要とする電圧レベルに変換する。
インバータ回路4は、DC−DC変換回路3が出力する直流電圧を、交流電圧に変換して放電灯La1に出力する。具体的には、インバータ回路4は、スイッチング素子Q2〜Q5からなるフルブリッジ回路で構成されている。コンデンサC1と並列に、スイッチング素子Q2,Q4の直列回路と、スイッチング素子Q3,Q5の直列回路とが接続されている。スイッチング素子Q2,Q4の接続中点と、スイッチング素子Q3,Q5の接続中点とでインバータ回路4の出力端を構成しており、この出力端間に放電灯La1が接続されている。スイッチング素子Q2〜Q5は、制御部2によってスイッチング制御される。上記構成によりインバータ回路4は、制御部2によってスイッチング素子Q2,Q5の組とスイッチング素子Q3,Q4の組とが交互にオン・オフ駆動されることによって、DC−DC変換回路3の出力極性を反転させて矩形波の交流電圧を生成する。そして、インバータ回路4は、放電灯La1に交流電圧を印加することで、放電灯La1を交流点灯させる。
また、放電灯La1は、高圧放電灯で構成されており、インバータ回路4−放電灯La1間には、放電灯La1に高電圧を印加することで放電を開始させるイグナイタ回路5が接続されている。イグナイタ回路5は、コンデンサCs1,トランスT2,スパークギャップSG1で構成されている。インバータ回路4の出力端間にコンデンサCs1と、トランスT2の一次巻線n11,スパークギャップSG1の直列回路と、トランスT2の二次巻線n12,放電灯La1の直列回路とが並列接続されている。放電灯La1を消灯状態(放電灯La1の端子間が開放状態)から始動させる際に、制御部2は、スイッチング素子Q2,Q5をオン状態,スイッチング素子Q3,Q4をオフ状態に維持にし、スイッチング素子Q1をオン・オフ駆動する。これにより、コンデンサCs1の両端電圧が上昇して所定電圧以上になると、スパークギャップSG1がブレークダウンする。スパークギャップSG1がブレークダウンすることで、放電灯La1に高電圧が印加されて絶縁破壊し、放電灯La1が始動する。放電灯La1が始動後は、インバータ回路4から交流電圧が印加されることで、放電灯La1の点灯が継続する。
また、本実施形態の点灯装置は、放電灯La1に印加されるランプ電圧を検出する電圧検出回路6と、放電灯La1に供給されるランプ電流を検出する電流検出回路7とを備えている。電圧検出回路6は、DC−DC変換回路3の出力端間に接続された抵抗R1,R2の直列回路で構成されており、DC−DC変換回路3の出力電圧Voを検出することで、ランプ電圧を等価的に検出している。また、電流検出回路7は、DC−DC変換回路7−インバータ回路4間の電流供給経路に介挿された抵抗R3で構成されており、DC−DC変換回路3の出力電流Ioを検出することで、ランプ電流を等価的に検出している。
次に、制御部2について説明する。制御部2は、電圧検出回路6,電流検出回路7の検出値を用いてDC−DC変換回路3の出力をフィードバック制御する出力制御回路21,駆動回路22を備えている。出力制御回路21は、DC−DC変換回路3の出力を所望値とするために、電圧検出回路6,電流検出回路7の検出値に基づいてスイッチング素子Q1のPWM(Pulse Width Modulation)条件を設定する設定信号を生成して駆動回路22に出力する。駆動回路22は、出力制御回路21からの設定信号に基づいて生成したPWM信号を、AND回路23を介してスイッチング素子Q1に出力することで、スイッチング素子Q1をオン・オフ駆動する。上記構成により、出力制御回路21,駆動回路22は、DC−DC変換回路3の出力をフィードバック制御することで、放電灯La1に供給する電力を制御し、放電灯La1を安定点灯させている。また、制御部2は、インバータ回路4のスイッチング素子Q2〜Q5をスイッチング制御するブリッジ駆動回路24を備えている。
さらに、本実施形態の点灯装置は、点灯回路1の入力電圧Vinを検出する入力電圧検出部8を備えている。そして、制御部2は、入力電圧検出部8の検出結果に基づいて、DC−DC変換回路3,インバータ回路4を駆動・停止、すなわち点灯回路1の電力供給動作を実行・停止させる動作制御回路25を備えている。なお、動作制御回路25が、本願発明の制御回路に相当する。
動作制御回路25には、動作維持電圧V1(第1の閾値電圧)と、動作維持電圧V1よりも高い動作許可電圧V2(第2の閾値電圧)とが予め設定されている。そして、動作制御回路25は、入力電圧Vinと、動作維持電圧V1,動作許可電圧V2とを比較し、比較結果に基づいて指示信号をAND回路23,ブリッジ駆動回路24に送信することでDC−DC変換回路3,インバータ回路4を駆動または停止させる。具体的には、動作制御回路25は、入力電圧Vinが動作許可電圧V2以上である場合に、点灯回路1の電力供給動作(DC−DC変換回路3,インバータ回路4の駆動)を開始させる。そして、動作制御回路25は、入力電圧Vinが動作維持電圧V1以上である場合、点灯回路1の電力供給動作(DC−DC変換回路3,インバータ回路4の駆動)を継続させる。ここで、DC−DC変換回路3,インバータ回路4の駆動開始直後は、その直前に比べて入力電流Iinの差が大きく、直流電源E1の内部インピーダンスや、直流電源E1−点灯装置間の線路インピーダンスによって入力電圧Vinに電圧降下が発生する。したがって、動作許可電圧V2と動作維持電圧V1との間にはヒステリシス幅が設定されている。
また、入力電圧Vinに瞬時降下が発生して、入力電圧Vinが瞬間的に動作維持電圧V1を下回った場合は、DC−DC変換回路3,インバータ回路4の駆動を継続し、放電灯La1の点灯を維持させることが望ましい。そこで、制御部2は、タイマ26を備えている。タイマ26は、入力電圧Vinが動作維持電圧V1未満になると計時を開始し、入力電圧Vinが動作維持電圧V1以上になると計時を停止する。すなわち、タイマ26は、入力電圧Vinが動作維持電圧V1を下回っている時間を計測する。そして、動作制御回路25は、タイマ26の計時結果と判定時間とを比較する判定処理を行い、タイマ26の計時結果が判定時間に達すると、点灯回路1の電力供給動作を停止(DC−DC変換回路3,インバータ回路4を停止)させて、放電灯La1を消灯させる。上記構成により、入力電圧Vinに瞬時降下が発生した場合であっても、DC−DC変換回路3,インバータ回路4の動作が継続され、放電灯La1の点灯を維持させることができる。なお、タイマ26は、入力電圧Vinが動作維持電圧V1以上になると計時結果をリセットする。
ここで、直流電源E1の内部インピーダンスや、線路インピーダンスが増大する異常が発生すると、この異常によって入力電圧Vinが大きく低減して動作維持電圧V1未満となり放電灯La1が消灯されるおそれがある。しかし、放電灯La1が消灯することによって、直流電源E1から見た負荷が低減(入力電流Iinが低減)するので、入力電圧Vinが復帰(上昇)して再び動作許可電圧V2以上になる場合がある。この場合、動作制御回路25は、点灯回路1の電力供給動作(DC−DC変換回路3,インバータ回路4の駆動)を再開させ、放電灯La1を再点灯させる。しかし、放電灯La1が再点灯することによって、入力電圧Vinが再び低減して動作維持電圧V1未満となった場合、放電灯La1は再度消灯される。すなわち、放電灯La1が点滅を繰り返すこととなる。
しかし、放電灯La1が点滅を繰り返すことによって、放電灯La1の寿命低下を招く。そこで、本実施形態の点灯装置は、タイマ26の計時結果が判定時間に達することによって、動作制御回路25が点灯回路1の電力供給動作を停止(DC−DC変換回路3,インバータ回路4を停止)させた停止回数をカウントするカウンタ27を備えている。そして、動作制御回路25は、カウンタ27のカウント数が所定回数に達すると、タイマ26の計時結果と比較する判定時間を延長させることで、異常時における放電灯La1の点滅回数を低減させる。以下に、判定時間の延長処理を含む、制御部2の詳細な動作について、図2に示すフローチャートおよび、図3に示す入力電圧Vinの波形図を用いて説明する。
まず、ステップS1の「START」から動作が開始し、次のステップS2の「起動電圧判定」にて、動作制御回路25は、入力電圧Vinが動作許可電圧V2以上(起動範囲内)であるか否かを確認する。
入力電圧Vinが起動範囲内であれば、ステップS3の「無負荷動作制御」に移行し、無負荷状態(未放電状態)である放電灯La1を始動させる。すなわち、イグナイタ回路5を用いて放電灯La1に高電圧を印加させて、放電灯La1の放電を開始させる。このとき、ステップS4の「第1の動作電圧判定」にて、動作制御回路25は、入力電圧Vinを監視しており、入力電圧Vinが動作維持電圧V1以上(動作範囲内)であるか否かを確認する。入力電圧Vinが動作範囲内であれば、ステップS5の「点灯判定」に移行し、制御部2は、放電灯La1が点灯したか否かの判定を行う。ここで、放電灯La1が放電を開始すると、無負荷状態(非放電状態)のときに比べて出力電圧Voが低下する。したがって、ステップS5の「点灯判定」にて、出力電圧Voの低下を検出することで放電灯La1が点灯したと判定することができる。また、放電灯La1が放電を開始すると出力電流Ioが増加するので、出力電流Ioの増加を検出することでも放電灯La1が点灯したと判定することができる。このように、ステップS4の「第1の動作電圧判定」,ステップS5の「点灯判定」を行い、入力電圧Vinが動作範囲内、かつ放電灯La1が消灯状態であれば、ステップS3の「無負荷動作制御」を繰り返すループを形成している。
そして、ステップS5の「点灯判定」にて、放電灯La1が点灯したと判定されると、ステップS6の「点灯制御」に移行し、制御部2は、DC−DC変換回路3の出力電力が所望値になるようにフィードバック制御する。なお、ステップS6の「点灯制御」にて、DC−DC変換回路3の出力電圧Voまたは出力電流Ioが所望値となるようにフィードバック制御する構成でもよい。このとき、ステップS7の「第2の動作電圧判定」にて、動作制御回路25は、入力電圧Vinを監視しており、入力電圧Vinが動作維持電圧V1以上(動作範囲内)であるか否かを確認する。入力電圧Vinが動作範囲内であれば、ステップS8の「負荷状態判定」に移行し、制御部2は、放電灯La1の点灯状態を判定する。このように、ステップS7の「第2の動作電圧判定],ステップS8の「負荷状態判定」を行い、入力電圧Vinが動作範囲内、かつ放電灯La1が正常点灯状態であれば、ステップS6の「点灯制御」を繰り返すループを形成している。
一方、ステップS8の「負荷状態判定」にて、負荷の異常(例えば放電灯La1の短絡など)が検出された場合、ステップS9の「保護停止」に移行して点灯回路1の電力供給動作を保護停止し、ステップS10の「END」にて処理を終了する。なお、点灯回路1の保護停止状態では、入力電圧Vinが動作許可電圧V2以上になっても、点灯回路1の電源供給動作の停止状態が継続される。そして、制御部2の内部または外部から、動作制御回路25にリセット信号が入力されることによって、点灯回路1の保護停止状態が解除される。
また、ステップS8の「負荷状態判定」にて、放電灯La1の消灯(立ち消え)が検出された場合、ステップS2の「起動電圧判定」に戻る。
ここで、直流電源E1の内部インピーダンスや、線路インピーダンスが増大する異常が発生したとする。そして、この異常によって入力電圧Vinが大きく低下し、無負荷動作制御時におけるステップS4の「第1の動作電圧判定」または、点灯制御時におけるステップS7の「第2の動作電圧判定」にて、入力電圧Vinが動作維持電圧V1未満になったとする。すると、ステップS11またはステップS12の「判定処理」に移行する。そして、タイマ26が計時を開始し、動作制御回路25は、タイマ26の計時結果と判定時間とを比較する比較処理を行う。ここで、本実施形態の点灯装置は、判定時間の値に初期値T1が設定されている。以降、初期値T1が設定された判定時間を、判定時間T1と称す。そして、動作制御回路25は、タイマ26の計時結果が判定時間T1以上になると、ステップS13「動作一時停止」に移行し、動作制御回路25は、点灯回路1の電力供給動作を停止させることで、放電灯La1を消灯させる。このとき、カウンタ27が、点灯回路1の停止回数をカウントアップし、カウント数が1回となる。本実施形態では、カウンタ27のカウント数が1回(所定回数)に達すると、ステップS14の「判定時間変更(T1→T2)」にて、動作制御回路25は、判定時間を初期値T1よりも長い値T2に設定する。以降、値T2が設定された判定時間を、判定時間T2と称す。その後、リセット回路(図示なし)から動作制御回路25に起動信号が出力され、ステップS2の「起動電圧判定」に戻る。なお、タイマ26の計時結果が所定時間に達すると起動信号を出力するようにリセット回路を構成する場合、判定時間の値は、リセット回路が起動信号を出力するよりも早く点灯回路1の電源供給動作が停止されるように設定する必要がある。
ここで、ステップS13の「動作一時停止」にて放電灯La1が消灯されることによって、入力電圧Vinが復帰(上昇)して再び動作許可電圧V2以上になったとする(図3参照)。この場合、点灯回路1の電力供給動作が再開され、放電灯La1の再点灯後、入力電圧Vinが再び低下して動作維持電圧V1未満になったとする。このとき、動作制御回路25は、タイマ26の計時結果と、ステップS14にて設定された判定時間T2とを比較する比較処理を行う。そして、動作制御回路25は、タイマ26の計時結果が判定時間T2に達すると、点灯回路1の電力供給動作を再停止させて、放電灯La1を再消灯させる。そして、既に判定時間は値T2に設定されているので、ステップS14の「判定時間変更(T1→T2)」が省略されて、ステップS2の「起動電圧判定」に戻る。
また、ステップS11の「判定処理」にて、タイマ26の計時結果が判定時間に達する前に、入力電圧Vinが復帰して動作維持電圧V1以上になると、ステップS5の「点灯判定」に移行する。また、ステップS12の「判定処理」にて、タイマ26の計時結果が判定時間に達する前に、入力電圧Vinが復帰して動作維持電圧V1以上になると、ステップS8の「点灯判定」に移行する。
このように、本実施形態の点灯装置は、点灯回路1,入力電圧検出部8,タイマ26,動作制御回路25,カウンタ27を備える。
点灯回路1は、放電灯La1(光源)に電力を供給する電力供給動作を行う。入力電圧検出部8は、点灯回路1の入力電圧Vinを検出する。タイマ26は、入力電圧Vinが動作維持電圧V1(第1の閾値電圧)未満になると計時を開始し、動作維持電圧V1以上になると計時を停止する。動作制御回路25は、入力電圧Vinが動作維持電圧V1よりも高い動作許可電圧V2(第2の閾値電圧)以上である場合に、点灯回路1の電力供給動作を開始させる。また、動作制御回路25は、入力電圧Vinが動作維持電圧V1未満になると、タイマ26の計時結果と判定時間とを比較する判定処理を行い、タイマ26の計時結果が判定時間に達すると点灯回路1の電力供給動作を停止させる。また、動作制御回路25は、入力電圧Vinが再び動作許可電圧V2以上になると点灯回路1の電力供給動作を再開させる。カウンタ27は、タイマ26の計時結果が判定時間に達することによって、動作制御回路25が点灯回路1の電力供給動作を停止させた停止回数をカウントする。
そして、動作制御回路25は、カウンタ27のカウント数が1回(所定回数)に達すると、判定時間を、前回の判定処理に用いた判定時間よりも延長、すなわち、判定時間に設定する値を初期値T1から値T2に変更する。
上述したように、カウンタ27のカウント数が0回である場合、判定時間の値は初期値T1が設定され、カウンタ27のカウント数が1回以上である場合、判定時間の値は初期値T1よりも長いT2が設定される。すなわち、ステップS13の「動作一時停止」にて、点灯回路1の電力供給動作が1回でも停止されると、以降の判定処理に用いられる判定時間が、初回の判定処理に用いた判定時間よりも長くなる。したがって、ステップS11,S12の「判定処理」中に、入力電圧Vinが動作維持電圧V1以上に復帰する可能性が向上するので、放電灯La1の点滅回数を低減させることができ、放電灯La1の寿命低下を抑制することができる。なお、入力電圧Vinが動作維持電圧V1以上に復帰する要因の例として、直流電源E1の出力が復帰または、線路インピーダンスの異常が回復または、点灯始動直後に多く流れる入力電流Iinが点灯時間の経過に伴って減少する等があげられる。
また、本実施形態では、ステップS4の「第1の動作電圧判定」とステップS7の「第2の動作電圧判定」において、入力電圧Vinと比較する値は互いに同じ値(動作維持電圧V1)に設定されているが、互いに異なる値を設定してもよい。
また、本実施形態の変形例として、カウンタ27のカウント数が複数回に達したタイミングで、判定時間を延長するように構成してもよい。上記では、カウンタ27のカウント数が1回に達すると判定時間を初期値Tから値T2に変更しているが、カウンタ27のカウント数が2回以降の複数回に達したタイミングで判定時間を延長してもよい。このように構成した場合における制御部2の詳細な動作について、図4に示すフローチャート,図5に示す入力電圧Vinの波形図を用いて説明する。なお、図4に示すフローチャートにおいて、図2に示すフローチャートと同一の制御については、同一符号を付して説明を省略する。また、以下の例では、カウンタ27のカウント数が3回に達すると判定時間を延長するように構成している。
ステップS13の「動作一時停止」にて、動作制御回路25が点灯回路1の電源供給動作を停止させると、ステップS131の「停止回数カウントアップ」にて、カウンタ27が停止回数をカウントアップする。そして、ステップS132の「停止回数判定」にて、動作制御回路25は、カウンタ27のカウント数が3回以上であるか否かを確認する。カウンタ27のカウント数が3回未満である場合、ステップS2の「起動電圧判定」に戻る。一方、ステップS131の「停止回数カウントアップ」にて、カウンタ27のカウント数が3回に達した場合、ステップS14の「判定時間変更(T1→T2)」に移行し、動作制御回路25は、判定時間を初期値T1よりも長い値T2に設定する。なお、なお、ステップS132の「停止回数判定」にて、カウンタ27のカウント数が4回以上である場合、
既に判定時間は値T2に設定されているので、ステップS14の「判定時間変更(T1→T2)」が省略されて、ステップS2の「起動電圧判定」に戻る。
すなわち、図5に示すように、判定処理が3回目までは初期値T1が設定された判定時間が用いられ、判定処理が4回目以降は値T2に設定された判定時間が用いられる。このように、カウンタ27のカウント数が複数回に達したタイミングで判定時間の延長処理を行うので、ノイズ等の影響による誤動作を防止することができる。
さらに、本実施形態の変形例として、カウンタ27のカウント数が上限回数に達すると点灯回路1の電力供給動作を保護停止させるように構成してもよい。上記では、点灯回路1の電源供給動作の停止後に、入力電圧Vinが復帰して動作許可電圧V2以上となる限り、放電灯La1が点滅を繰り返すこととなる。そこで、動作制御回路25は、カウンタ27のカウント数が、予め設定された上限回数に達すると、点灯回路1の電源供給動作を保護停止させる。このように構成した場合における制御部2の詳細な動作について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図6に示すフローチャートにおいて、図2に示すフローチャートと同一の制御については、同一符号を付して説明を省略する。
ステップS13の「動作一時停止」にて、動作制御回路25が点灯回路1の電源供給動作を停止させると、ステップS131の「停止回数カウントアップ」にて、カウンタ27が停止回数をカウントアップする。そして、ステップS133の「停止回数判定」にて、動作制御回路25は、カウンタ27のカウント数が上限回数であるか否かを確認する。
カウンタ27のカウント数が上限回数未満かつ、所定回数に達した場合、ステップS14の「判定時間変更(T1→T2)」にて、判定時間の延長処理を行い、ステップS2の「起動電圧判定」に戻る。なお、カウンタ27のカウント数が所定回数未満または、上限回数未満かつ所定回数よりも多い場合、ステップS14の「判定時間変更(T1→T2)」が省略され、ステップS2の「起動電圧判定」に戻る。
一方、ステップS131の「停止回数カウントアップ」にて、カウンタ27のカウント数が上限回数に達した場合、ステップS9の「保護停止」に移行し、動作制御回路25は、点灯回路1を保護停止し、ステップS10の「END」にて処理を終了する。
すなわち、カウンタ27のカウント数が上限回数に達すると、動作制御回路25は、点灯回路1を保護停止させることで、異常発生時における放電灯La1の点滅回数を限定している。このように、判定時間を延長させて可能な限り放電灯La1を点灯させるが、放電灯La1の点灯状態が継続せず点滅を繰り返す場合に、点滅回数を限定することで、放電灯La1の寿命低下を抑制することができる。
ここで、ユーザーの操作によって放電灯La1のオン・オフが繰り返された場合、カウンタ27のカウント数が上限回数に達して点灯回路1が誤って保護停止されるおそれがある。そこで、点灯回路1の定常状態が所定時間継続した場合、カウンタ27のカウント数をリセットするように構成してもよい。
図1に示すように、制御部2は、放電灯La1が点灯を継続している時間(点灯継続時間)を計測するタイマ28を備えている。動作制御回路25は、少なくとも放電灯La1が点灯しているときに点灯回路1が定常状態であると判断しており、タイマ28が計測した点灯継続時間が所定時間に達すると、カウンタ27のカウント数をリセットする。このように構成した場合における制御部2の詳細な動作について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図7に示すフローチャートにおいて、図2,図6に示すフローチャートと同一の制御については、同一の符号を付して説明を省略する。
動作制御回路25は、ステップS8の「負荷状態判定」にて、放電灯La1は正常点灯状態であると判断すると、ステップS15の「点灯継続時間判定」に移行し、動作制御回路25は、タイマ28が計測した点灯継続時間と所定時間とを比較する。点灯継続時間が所定時間未満である場合、ステップS6の「点灯制御」に戻る。一方、点灯継続時間が所定時間以上である場合、ステップS16の「停止回数リセット」に移行し、動作制御回路25は、カウンタ27のカウント数をリセットした後、ステップS6の「点灯制御」に戻る。
また、動作制御回路25は、ステップS8の「負荷状態判定」にて、放電灯La1が消灯状態(立ち消え)と判断すると、ステップS17の「点灯継続時間リセット」に移行し、タイマ28が計測した点灯継続時間をリセットする。その後、ステップS2の「起動電圧判定」に戻る。
このように、点灯回路1の定常状態が所定時間継続した場合に、カウンタ27のカウント数がリセットされる。したがって、ユーザーの操作によって放電灯La1のオン・オフが繰り返された場合であっても、点灯回路1が誤って保護停止されることを防止することができる。
ここで、カウンタ27のカウント数が所定回数に達し、判定時間が初期値T1から値T2に延長された後に、異常状態から回復して点灯回路1の定常状態が所定時間継続したとする。この場合、上記処理(ステップS15,S16)によって、カウンタ27のカウント数はリセットされるが、判定時間の値は、初期値T1から延長された値T2のままとなる。そのため、再び異常が発生して入力電圧Vinが動作維持電圧V1未満になると、延長されたままの判定時間が用いられる。したがって、可能な限り放電灯La1の点灯を維持し、放電灯La1の点滅回数を低減させることができるという利点がある。
しかし、入力電圧Vinが低い状態で点灯回路1の電力供給動作を継続することとなるので、点灯回路1の劣化を招くおそれがある。
そこで、点灯回路1の定常状態が所定時間以上継続、すなわち、タイマ28が計測した点灯継続時間が所定時間以上である場合、動作制御回路25は、カウンタ27のカウント数をリセットすると共に、判定時間を初期値T1に戻す処理を行う。これにより、入力電圧Vinが低い状態における点灯回路1の電力供給動作の不要な継続を防止し、点灯回路1の劣化を抑制することができる。
また、上記の変形例として、動作制御回路25は、点灯回路1の定常状態が所定時間以上継続した場合、カウンタ27のカウント数をリセットすると共に、点灯回路1の定常状態が経過するにつれて判定時間を段階的に短縮するように構成してもよい。判定時間を段階的に短縮する方法として、定期的に現在の判定時間の値から所定値を減算する方法または、定期的に現在の判定時間の値から所定値を除算する方法などがある。
このように、点灯回路1の定常状態が経過するにつれて判定時間を段階的に短縮することによって、定期的な入力電圧Vinの低下が発生した場合に、比較的長い判定時間が用いられるので、可能な限り放電灯La1の点灯を維持させることができる。
また、上記の変形例として、動作制御回路25は、点灯回路1の定常状態が経過するにつれて判定時間を段階的に短縮する際に、判定時間を入力電圧Vinの大きさに応じた割合で短縮するように構成してもよい。例えば、動作制御回路25は、入力電圧Vinが大きくなるにつれて、定期的に現在の判定時間の値から減算または除算する値を大きくする。
このように、入力電圧Vinが大きい場合は、判定時間を初期値T1まで早く短縮し、入力電圧Vinが小さい場合は、判定時間を初期値T1までゆっくり短縮する。これにより、短期間に入力電圧Vinの低減が発生した場合でも、放電灯La1の点灯を維持させることができる。
また、上記の変形例として、動作制御回路25は、放電灯La1が点灯し、かつ入力電圧Vinが動作維持電圧V1以上であるときに定常状態であると判断するように構成してもよい。この場合、タイマ28は、入力電圧Vinが動作維持電圧V1以上で、放電灯La1が点灯を継続している時間を計測するように構成する。そして、動作制御回路25は、タイマ28の計時結果と所定時間とを比較することで、点灯回路1の定常状態が所定時間以上継続しているか否かを判断する。
このように、点灯回路1が定常状態であると判断する条件に、入力電圧Vinが動作維持電圧V1以上であることを付け加えている。これにより、入力電圧Vinの大きさに適したタイミングでカウンタ27のカウント数をリセットし、判定時間を初期値T1に戻すことができる。
また、上述した各変形例を組み合わせた制御を行うように点灯装置を構成してもよい。
(実施形態2)
本実施形態の点灯装置は、カウンタ27のカウント数が増加する度に、判定時間を、前回の判定処理に用いた判定時間よりも延長させることに特徴を有する。なお、本実施形態の点灯装置の回路構成は、実施形態1の点灯装置と同一であり(図1参照)、実施形態1と同一の構成,制御には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態の制御部2の詳細な動作について、図8に示すフローチャートおよび、図9に示す入力電圧Vinの波形図を用いて説明する。
実施形態1と同様に、無負荷動作制御時におけるステップS4の「第1の動作電圧判定」または、点灯制御時におけるステップS7の「第2の動作電圧判定」にて、入力電圧Vinが動作維持電圧V1未満(動作範囲外)になると、タイマ26が計時を開始する。そして、動作制御回路25は、タイマ26の計時結果と判定時間T1とを比較する比較処理を行う。動作制御回路25は、タイマ26の計時結果が判定時間T1以上になると、ステップS13の「動作一時停止」に移行し、点灯回路1の電力供給動作を停止させることで、放電灯La1を消灯させる。このとき、カウンタ27が、点灯回路1の停止回数をカウントアップする。
次に、本実施形態では、カウンタ27のカウント数が所定回数(本実施形態では1回)に達すると、ステップS14Aの「判定時間変更(一定値を加算)」に移行する。そして、動作制御回路25は、現在判定時間に設定されている値(初期値T1)に、一定値を加算した値T11を判定時間に設定する。その後、ステップS2の「起動電圧判定」に戻る。また、放電灯La1の再点灯後、入力電圧Vinが再び低下し、ステップS13の「動作一時停止」にて、点灯回路1の電力供給動作が再停止されると、動作制御回路25は、値T11に一定値を加算した値T12を判定時間に設定する。すなわち、図9に示すように、点灯回路1の電力供給動作が停止されカウンタ27のカウント数が増加する度に、判定時間の値に一定値が加算され、初期値T1→値T11→値T12→値T13→…と、判定時間が段階的に延長される。なお、カウンタ27のカウント数が所定回数未満である場合、ステップS14Aの「判定時間変更(一定値を加算)」が省略され、ステップS2の「起動電圧判定」に戻る。
ここで、大幅に長い値が判定時間に設定されていた場合、入力電圧Vinが低い状態で点灯回路1の動作を継続させることとなる。そして、この長い値が設定された判定時間が繰り返されることによって、点灯回路1の劣化につながるおそれがある。
しかし、本実施形態では、カウンタ27のカウント数が増加する度に、判定時間が段階的に延長される。したがって、入力電圧Vinが低い状態で点灯回路1の電力供給動作を実行する時間を抑制することで、点灯回路1の劣化を抑制することができる。
なお、本実施形態では、一定値を加算することで、判定時間を段階的に延長させているが、一定値を乗算することで、判定時間を段階的に延長するように構成してもよい。
また、本実施形態の変形例として、判定時間が閾値時間よりも長くなると、点灯回路1が放電灯La1に供給する電力を低減させるように構成してもよい。本変形例では、上記制御によって、判定時間が段階的に延長され、判定時間が閾値時間よりも長く設定されると、動作制御回路25は、点灯回路1が放電灯La1に供給する電力を、例えば放電灯La1が立ち消えしない程度の電力まで低減させる。
このように、判定時間が閾値時間よりも長くなると、放電灯La1への供給電力を低減させることによって、点灯装置の入力電力(入力電流Iin)が小さくなる。したがって、直流電源E1−点灯装置間の線路インピーダンスによる電圧降下を小さくすることができる。これにより、入力電圧Vinが動作維持電圧V1を下回りにくくなり、放電灯La1の点灯を維持させることができる。なお、放電灯La1への供給電力を低減させても、放電灯La1の点灯を維持させることができない場合、点灯回路1を保護停止させ、入力電圧Vinが動作許可電圧V2以上になっても点灯回路1の電力供給動作の停止状態を継続させることが望ましい。
また、本実施形態の変形例として、判定時間が閾値時間よりも長くなると、点灯回路1を保護停止させるように構成してもよい。本変形例では、上記制御によって判定時間が段階的に延長され、判定時間が閾値時間よりも長く設定されると、動作制御回路25は、点灯回路1を保護停止させ、入力電圧Vinが動作許可電圧V2以上になっても点灯回路1の電力供給動作の停止状態を継続させる。
このように、判定時間が閾値時間よりも長くなると、点灯回路1を保護停止させることで、異常発生時における放電灯La1の点滅回数を限定している。判定時間を延長させて可能な限り放電灯La1を点灯させるが、放電灯La1の点灯状態が継続せず点滅を繰り返す場合に、点滅回数を限定することで、放電灯La1の寿命低下を抑制することができる。
また、上述した変形例を組み合わせて、判定時間が第1の閾値時間よりも長くなると、放電灯La1への供給電力を、放電灯La1が立ち消えしない程度の電力まで低減させる。そして、判定時間が、第1の閾値時間よりも長い第2の閾値時間よりも長くなると点灯回路1を保護停止させ、入力電圧Vinが動作許可電圧V2以上になっても点灯回路1の電力供給動作の停止状態を継続させるように構成してもよい。
また、実施形態1の制御と組み合わせた制御を行うように点灯装置を構成してもよい。
(実施形態3)
本実施形態の点灯装置は、放電灯La1の点灯状態毎に判定時間を設定しており、カウンタ27のカウント数が所定回数に達した時点における放電灯La1の点灯状態に対応した判定時間を前回よりも延長させることに特徴を有する。なお、本実施形態の点灯装置の回路構成は、実施形態1の点灯装置と同一であり(図1参照)、実施形態1と同一の構成,制御には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態の制御部2の詳細な動作について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。
実施形態1,2と同様に、ステップS4の「第1の動作電圧判定」および、ステップS7の「第2の動作電圧判定」にて、入力電圧Vinが動作維持電圧V1未満になると、タイマ26が計時を開始する。
ここで、本実施形態では、無負荷動作制御時であるステップS4の「第1の動作電圧判定」にて判定処理に用いる判定時間には初期値T1aが設定されている。そして、動作制御回路25は、ステップS4の「第1の動作電圧判定」にてタイマ26の計時結果が判定時間T1a以上になると、ステップS13aの「動作一時停止」に移行し、点灯回路1の電力供給動作を停止させることで、放電灯La1を消灯させる。このとき、カウンタ27がカウントアップし、カウンタ27のカウント数が所定回数(例えば1回)に達すると、ステップS14aの「判定時間変更(T1a→T2a)」にて、動作制御回路25は、判定時間を初期値T1aよりも長い値T2aに設定する。
一方、点灯制御時であるステップS7の「第2の動作電圧判定」にて判定処理に用いる判定時間には初期値T1bが設定されている。そして、動作制御回路25は、ステップS7の「第2の動作電圧判定」にてタイマ26の計時結果が判定時間T1b以上になると、ステップS13bの「動作一時停止」に移行し、点灯回路1の電力供給動作を停止させることで、放電灯La1を消灯させる。このとき、カウンタ27がカウントアップし、カウンタ27のカウント数が所定回数(例えば1回)に達すると、ステップS14bの「判定時間変更(T1b→T2b)」にて、動作制御回路25は、判定時間を初期値T1bよりも長い値T2bに設定する。
このように、本実施形態では、放電灯La1の始動時(無負荷時)と点灯時とで、別々の判定時間を設定している。そして、カウンタ27のカウント数が所定回数に達した時点において、放電灯La1の点灯状態に対応した判定時間のみを延長させる。点灯回路1の回路動作上、放電灯La1の無負荷状態と点灯状態とで必要とする入力電力(入力電流Iin)が異なる場合がある。このような場合に、本実施形態では、放電灯La1の状態に応じた適切な判定時間を設定することができる。また、点灯回路1の回路ストレス上、許容できる判定時間が異なる場合にも有効である。
また、実施形態1,2の制御と組み合わせた制御を行うように点灯装置を構成してもよい。
また、上記実施形態では、放電灯La1を点灯させる点灯装置として説明したが、光源の種類は放電灯La1に限定せず、点灯装置は、例えば図11に示すように光源として複数の発光ダイオードLa2を点灯させるように構成されていてもよい。発光ダイオードLa2は、直流駆動であり、始動時に高電圧の印加も不要であるので、点灯回路1はDC−DC変換回路3のみで構成されている。