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JP6199198B2 - 積層フィルム、太陽電池モジュール用バックシート、および太陽電池モジュール - Google Patents

積層フィルム、太陽電池モジュール用バックシート、および太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、積層フィルム、太陽電池モジュール用バックシート、および太陽電池モジュールに関する。
ポリエステルフィルムは、安価で優れた特性を有することから、多様な分野で利用されている。ポリエステルフィルムに求められる性能は多様である。例えば、ポリエステルフィルムを太陽電池用保護フィルム等の屋外にて長期間に使用されるものに用いる場合、長期間にわたり強度を維持するために耐加水分解性が高いこと、および意匠性の観点から可視光隠蔽性が高いことが要求される。
このため、例えば、特許文献1では、酸化チタン粒子を10〜30重量%含む表層と、酸化チタン粒子を0.1〜4重量%含む基材層からなり、フィルム全体における酸化チタン粒子含有率が3〜8重量%である、積層ポリエステルフィルムが記載されている。また、特許文献2では、無機微粒子を含有する無機微粒子集中含有層が少なくとも一方の最外層に配置された多層構造を有し、ポリエステルフィルム全体における無機微粒子の含有量が2〜10質量%であるポリエステルフィルムが記載されている。
国際公開2010/113920号パンフレット 特許第5288068号公報
ポリエステルフィルムの可視光隠蔽性は、ポリエステルフィルムに白色顔料を添加することにより向上させることができる。しかし、ポリエステルフィルムの製造時のポリエステルに白色顔料を練込む工程において、白色顔料に含まれる水分によりポリエステルの加水分解が生じる場合があり、また白色顔料粒子のせん断により生じる発熱によりポリエステルの熱分解が生じる場合がある。このため、可視光隠蔽性の向上を目的として白色顔料濃度を高くするほどポリエステルの分子量は低下し、耐加水分解性が低下するという問題がある。このような理由から、耐加水分解性および可視光隠蔽性の両方の性質を備えたポリエステルフィルムを製造することは困難である。
特許文献1のポリエステルフィルムは、表層により可視光隠蔽性を高め、基材層により耐加水分解性を高めることにより、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両立を図っている。しかし、フィルム全体の酸化チタン濃度が3〜8重量%と高いため、可視光隠蔽性には優れるものの、耐加水分解性は十分とは言えない。特許文献2のポリエステルフィルムは、フィルム全体の無機微粒子の含有量を2〜10質量%とすることで、光反射率と耐加水分解性の両立を図っている。しかし、フィルム全体の無機微粒子の含有量が2〜10質量%と高いため、可視光隠蔽性には優れるものの、耐加水分解性は十分とは言えない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方の性質を有する積層フィルムを提供することを解決すべき課題とする。さらに本発明は、上記の積層フィルムを含む、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュールを提供することを解決すべき課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリエステルおよび白色顔料を含有する第1の層と、ポリエステルを含有する第2の層とを少なくとも有し、第1の層は第2の層の少なくとも一方の面と接している積層フィルムにおいて、第1の層の白色顔料密度、第2の層の厚み、積層フィルム全体の白色顔料濃度、並びに積層フィルム全体の末端カルボキシル基濃度がそれぞれ所定の条件を満たすことによって、優れた耐加水分解性および優れた可視光隠蔽性を両立できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
<1> ポリエステルおよび白色顔料を含有する第1の層と、ポリエステルを含有する第2の層とを少なくとも有する積層フィルムであって、
第1の層は、第2の層の少なくとも一方の面と接しており、
第1の層の白色顔料密度は、1.0×10−4〜1.0×10−3g/cmであり、
第2の層の厚みが100〜300μmであり、
積層フィルム全体の白色顔料濃度が、0質量%より大きく2質量%未満であり、
積層フィルム全体の末端カルボキシル基濃度が6〜30当量/トンである、積層フィルム。
<2> 第1の層の白色顔料濃度が、5〜20質量%である、<1> に記載の積層フィルム。
<3> 第1の層の厚みが、5〜50μmである、<1> または<2>に記載のフィルム。
<4> 第2の層の白色顔料濃度が、0〜1.5質量%である、<1> 〜<3> 3のいずれかに記載の積層フィルム。
<5> 第2の層は、積層フィルムの幅方向端部をトリミング及び破砕したリサイクルチップを原料として60質量%以下含み、第1の層は、リサイクルチップを実質的に含まない、<1> 〜<4> のいずれかに記載の積層フィルム。
<6> 太陽電池モジュール用である、<1> 〜<5> のいずれかに記載の積層フィルム。
<7> <1> 〜<6> のいずれかに記載の積層フィルムを含む、太陽電池モジュール用バックシート。
<8> <7> に記載の太陽電池モジュール用バックシートを含む、太陽電池モジュール。
本発明によれば、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方の性質を有する積層フィルムが提供される。さらに本発明によれば、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方の性質を有する太陽電池モジュール用バックシートが提供される。さらに本発明によれば、本発明の積層フィルム又は太陽電池モジュール用バックシートを含む太陽電池モジュールが提供される。
図1は、本発明の積層フィルムの構成の一例を示す断面図である。 図2は、本発明の積層フィルムの構成の他の一例を示す断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、ポリエステルおよび白色顔料を含有する第1の層と、ポリエステルを含有する第2の層とを少なくとも有する積層フィルムであって、前記第1の層は、前記第2の層の少なくとも一方の面と接しており、前記第1の層の白色顔料密度は、1.0×10−4〜1.0×10−3g/cmであり、前記第2の層の厚みが100〜300μmであり、前記積層フィルム全体の白色顔料濃度が、0質量%より大きく2質量%未満であり、前記積層フィルム全体の末端カルボキシル基濃度が6〜30当量/トンであることを特徴とする。
このような構成とすることで、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方の性質を達成することができる。耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方の性質を有するようになるメカニズムについては、次のように推定される。すなわち、白色顔料濃度が低い層を第2の層とすることにより第2の層に高い耐加水分解性を付与し、白色顔料濃度が高い層を第1の層とすることにより第1の層に高い可視光隠蔽性を付与し、第一の層と第二の層を積層した層構成とすることにより、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両立が実現できると推定される。詳細には、第1の層の白色顔料密度を1.0×10−4〜1.0×10−3g/cm、とすることにより良好な可視光隠蔽性を達成し、第2の層の厚みが100〜300μmとし、積層フィルム全体の白色顔料濃度を2質量%未満とし、かつ積層フィルム全体の末端カルボキシル基濃度が6〜30当量/トンにすることにより良好な耐加水分解性を達成しているものと推定される。
本発明の積層フィルムは、ポリエステルおよび白色顔料を含有する第1の層と、ポリエステルを含有する第2の層とを少なくとも有し、第1の層は、第2の層の少なくとも一方の面と接している。
本発明の積層フィルムの一例を図1に示す。図1に示す積層フィルムは、第1の層12および第2の層10からなる2層構成の積層フィルムであり、第1の層は、第2の層の一方の面と接している。また、本発明の積層フィルムは、図1に一例を示したような2層構成の積層フィルムに限定されず、図2に一例を示したように、第1の層12、第2の層10および第1の層12の順で積層する3層構造の積層フィルムでもよい。さらに、本発明の積層フィルムは、第1の層、第2の層、及びその他の層がこの順に積層された積層フィルムでもよい。
太陽電池バックシート等異素材と貼り合わせて使用される用途で積層フィルムを用いる場合、貼り合わせ面の白色顔料濃度が大きいと、接着性が悪く剥離しやすいことから、第1の層と第2の層からなる2層構造であることが好ましい。
以下、本発明の積層フィルムの各層について説明する。
<第1の層>
第1の層は、ポリエステルおよび白色顔料を含有し、白色顔料密度は、1.0×10−4〜1.0×10−3g/cmである。また、第1の層は、第2の層の少なくとも一方の面と接している。
第1の層の白色顔料密度は、1.0×10−4〜1.0×10−3g/cmであり、1.0×10−4〜7.0×10−4g/cmが好ましく、1.5×10−4〜6.0×10−4g/cmがより好ましい。第1の層の白色顔料密度が1.0×10−4g/cm以上とすることで可視光隠蔽性を向上させることができ、1.0×10−3g/cm以下とすることで、耐加水分解性を向上させることができる。
第1の層の白色顔料密度は、第1の層の厚みと、第1の層に含まれる白色顔料濃度とから決まるパラメータであり、具体的には、以下の式により算出することができる。
D=t×ρ×C×10−6
ここで、
白色顔料密度:D g/cm
白色顔料濃度:C 質量%
第1の層の厚み:t μm
第1の層の密度:ρ g/cm
である。
第1の層に含まれる白色顔料濃度は5〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましく、6〜12質量%がさらに好ましい。5質量%以上とすることで十分な可視光隠蔽性を得ることができ、20質量%以下とすることで耐加水分解性を向上させることができる。
第1の層の白色顔料濃度は、第1の層全体の質量中に占める白色顔料の質量の割合 を、百分率で表したパラメータであり、具体的には、以下の方法により測定することができる。すなわち、坩堝に積層フィルムの内、第1の層を測定試料として3gとり、電気オーブン内において900℃で120分間加熱を行う。その後電気オーブン内が冷えてから坩堝を取り出し、坩堝の中に残った灰分の質量を測定する。この灰分がすなわち白色顔料分であり、灰分の質量を測定試料の質量で除し、100を乗じた値を白色顔料濃度とする。
第1の層の厚みは、特には限定されず、例えば1〜100μであり、5〜50μmが好ましく、10〜50μmがより好ましく、30〜50μmがさらに好ましい。第1の層の厚みは5μm以上であると可視光隠蔽性を向上させることができ、50μm以下であると耐加水分解性を向上させることができる。
<第2の層>
第2の層は、ポリエステルを含有する。第2の層の厚みは、100〜300μmであり、200〜300μmがより好ましく、200〜250μmがさらに好ましい。厚みが100μm以上とすることで十分な耐加水分解性が得られ、300μm以下とすることで生産性がよくなり、経済的となる。
第2の層に含有するポリエステルは、第1の層に含有するポリエステルと第2の層に含有するポリエステルは同一であってもよく、異なっていてもよい。
第2の層は、白色顔料を含有していてもよいし、含有しなくてもよい。第2の層に白色顔料を含める場合、第1の層に含有する白色顔料と第2の層に含有する白色顔料は同一であってもよく、異なっていてもよい。
第2の層に白色顔料が含有する場合、白色顔料濃度は、0〜1.5質量%であることが好ましく、0〜1質量%がより好ましく、実質的に含まないことがさらに好ましい。実質的に含まないとは、本発明の効果に影響を与えない範囲で含まないことをいい、例えば0.1質量%以下を表す。
<ポリエステル>
第1の層及び第2の層に用いられるポリエステルは特に制限されず、例えば、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが挙げられる。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを挙げることができる。このうち、力学的物性やコストのバランスの点で、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
前記ポリエステルは、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。更に、前記ポリエステルに他の種類の樹脂、例えばポリイミド等を少量ブレンドしたものであってもよい。
ポリエステルを重合する際には、カルボキシ基含量を所定の範囲以下に抑える観点から、Sb系、Ge系、Ti系の化合物を触媒として用いることが好ましく、中でも特にTi系化合物が好ましい。Ti系化合物を用いる場合、Ti系化合物を1ppm以上30ppm以下、より好ましくは3ppm以上15ppm以下の範囲で触媒として用いることにより重合する態様が好ましい。Ti系化合物の割合が前記範囲内であると、末端カルボキシル基含量を後述の範囲に調整することが可能であり、ポリマーの耐加水分解性を低く保つことができる。
Ti系化合物を用いたポリエステルの合成には、例えば、特公平8−301198号公報、特許第2543624号、特許第3335683号、特許第3717380号、特許第3897756号、特許第3962226号、特許第3979866号、特許第3996871号、特許第4000867号、特許第4053837号、特許第4127119号、特許第4134710号、特許第4159154号、特許第4269704号、特許第4313538号等に記載の方法を適用できる。
第1の層及び第2の層における各ポリエステルのカルボキシル基含量は、好ましくは35当量/トン以下であり、より好ましくは20当量/トン以下であり、特に好ましくは17当量/トン以下である。
ポリエステルのカルボキシル基含量が35当量/トン以下であると、耐加水分解性を保持し、湿熱経時したときの強度低下を小さく抑制することができる。カルボキシル基含量の下限は、接着性を保持する点で、2当量/トンが好ましい。なお、本明細書において、「当量/トン」とは1トン(1000kg)当たりのモル当量を表す。
カルボキシル基含量(AV)は、以下の方法により測定される値である。すなわち、
ポリエステル0.1gをベンジルアルコール5mlに溶解後、クロロホルムを5ml加えた混合溶液にフェノールレッド指示薬を滴下し、これを基準液(0.01N KOH−ベンジルアルコール混合溶液)で滴定する。この滴下量から末端カルボキシル基の濃度[当量/トン]を算出する。
ポリエステル中のカルボキシル基含量は、重合触媒種、製膜条件(製膜温度や時間)により調整することが可能である。
第1の層又は第2の層を構成するポリエステルは、重合後に固相重合されていることが好ましい。これにより、好ましいカルボキシル基含量を達成することができる。固相重合は、連続法(タワーの中に樹脂を充満させ、これを加熱しながらゆっくり所定の時間滞流させた後、送り出す方法)でもよいし、バッチ法(容器の中に樹脂を投入し、所定の時間加熱する方法)でもよい。具体的には、固相重合には、特許第2621563号、特許第3121876号、特許第3136774号、特許第3603585号、特許第3616522号、特許第3617340号、特許第3680523号、特許第3717392号、特許第4167159号等に記載の方法を適用することができる。
固相重合の温度は、170℃以上240℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以上230℃以下であり、さらに好ましくは190℃以上220℃以下である。また、固相重合時間は、5時間以上100時間以下が好ましく、より好ましくは10時間以上75時間以下であり、さらに好ましくは15時間以上50時間以下である。固相重合は、真空中あるいは窒素雰囲気下で行なうことが好ましい。
第1の層又は第2の層は、例えば、上記のポリエステルをフィルム状に溶融押出を行なった後、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上合計の倍率が3倍〜6倍になるよう延伸し、その後Tg〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるように延伸した2軸延伸フィルムであることが好ましい。
さらに、必要に応じて180〜230℃で1〜60秒間の熱処理を行なったものでもよい。
第1の層は、必要に応じて、少なくとも第2の層が設けられている側の面の反対側の面に対し、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理のような表面処理を行ってもよい。コロナ放電処理は、通常誘導体を被膜した金属ロール(誘電体ロール)と絶縁された電極間に高周波、高電圧を印加して、電極間の空気の絶縁破壊を生じさせることにより、電極間の空気をイオン化させて、電極間にコロナ放電を発生させる。そして、このコロナ放電の間を、ポリマー基材を通過させることにより行う。
好ましい処理条件は、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランス1〜3mm、周波数1〜100kHz、印加エネルギー0.2〜5kV・A・分/m程度が好ましい。
グロー放電処理は、真空プラズマ処理又は低圧プラズマ処理とも呼ばれる方法で、低圧雰囲気の気体(プラズマガス)中での放電によりプラズマを発生させ、基材表面を処理する方法である。本発明の処理で用いる低圧プラズマはプラズマガスの圧力が低い条件で生成する非平衡プラズマである。本発明の処理は、この低圧プラズマ雰囲気内に被処理フィルム(ポリマー基材)を置くことにより行われる。
グロー放電処理において、プラズマを発生させる方法としては、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電等の方法を利用することができる。放電に用いる電源は直流でも交流でもよい。交流を用いる場合は30Hz〜20MHz程度の範囲が好ましい。交流を用いる場合には50又は60Hzの商用の周波数を用いてもよいし、10〜50kHz程度の高周波を用いてもよい。また、13.56MHzの高周波を用いる方法も好ましい。
グロー放電処理で用いるプラズマガスとして、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスを使用することができ、特に、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスが好ましい。具体的には、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することが望ましい。酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用いる場合、両者の比率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=100:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜70:30位が好ましい。また、特に気体を処理容器に導入せず、リークにより処理容器に入る大気や被処理物から出る水蒸気などの気体をプラズマガスとして用いる方法も好ましい。
プラズマガスの圧力としては、非平衡プラズマ条件が達成される低圧が必要である。具体的なプラズマガスの圧力としては、0.005〜10Torr(0.666〜1333Pa)、より好ましくは0.008〜3Torr(1.067〜400Pa)程度の範囲が好ましい。プラズマガスの圧力が0.666Pa以上であれば接着性改良効果が充分となり、1333Pa以下であれば電流が増大して放電が不安定になることが抑制される。
プラズマ出力としては、処理容器の形状や大きさ、電極の形状などにより一概には言えないが、100〜2500W程度、より好ましくは、500〜1500W程度が好ましい。
グロー放電処理の処理時間は、好ましくは0.05〜100秒、より好ましくは0.5〜30秒程度である。処理時間が0.05秒以上であれば接着性改良効果が充分得られ、100秒以下であれば被処理フィルムの変形や着色等を防ぐことができる。
グロー放電処理の放電処理強度はプラズマ出力と処理時間によるが、0.01〜10kV・A・分/mの範囲が好ましく、0.1〜7kV・A・分/mがより好ましい。
放電処理強度を0.01kV・A・分/m以上とすることで充分な接着性改良効果が得られ、10kV・A・分/m以下とすることで被処理フィルムの変形や着色といった問題を避けることができる。
グロー放電処理では、あらかじめ被処理フィルムを加熱しておくことも好ましい。この方法により、加熱を行わなかった場合に比べ、短時間で良好な接着性が得られる。加熱の温度は40℃〜被処理フィルムの軟化温度+20℃の範囲が好ましく、70℃〜被処理フィルムの軟化温度の範囲がより好ましい。加熱温度を40℃以上とすることで充分な接着性の改良効果が得られる。また、加熱温度を被処理フィルムの軟化温度以下とすることで処理中に良好なフィルムの取り扱い性が確保できる。
真空中で被処理フィルムの温度を上げる具体的方法としては、赤外線ヒーターによる加熱、熱ロールに接触させることによる加熱などが挙げられる。
火炎処理としては、例えばシラン化合物を導入した火炎を用いる火炎処理が挙げられる。
第2の層のポリエステルについて原料樹脂の形態としては、ペレット、フラフ、それらの混合物などを用いることができ、フラフの質量比率を60%以下にしてペレットと混合したものが好ましい。このようにペレットとフラフを混ぜ合わせたものを用いることで、原料樹脂の溶融の仕方や熱履歴を調整することができる。フラフは、例えば不要となったフィルムを粉砕して小片(いわゆるチップ)や屑片等にした粉砕物であり、すなわち積層フィルムの幅方向端部をトリミング、破砕したリサイクルチップである。フラフ比率を高めることは、リサイクル比率が高く、原料のコストダウンが可能である。一方で、フラフ比率増加は嵩高さを与え、嵩比重を例えばペレットのみの場合よりも低下させることができる。フラフを得るための樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルムが好適であり、原料樹脂中のポリエステル樹脂と同種のポリエステルのフィルムが好ましい。フラフの割合を60質量%以下にすることで、得られるポリエステルフィルムの末端COOH量の変動幅を低く抑えることができる。中でも、同様の理由から、フラフの質量比率は60質量%以下が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。
フラフのサイズとしては、嵩変化が与えられる範囲であれば制限はないが、フラフの厚みが20〜5000μmであるものが好ましい。中でも、嵩比重が小さくなり過ぎて充満率が低下しすぎないようにし、溶融不足を回避する観点から、フラフの厚みが100〜1000μmの範囲、更には100〜500μmの範囲がより好ましい。
また、製膜されるポリエステルフィルムの末端COOH量をより低減する点で、フラフのサイズのばらつきは小さい方が好ましく、例えばフラフの厚みのばらつきは±100%以内であることが好ましく、より好ましくは±50%以内であり、更には±10%以内である。フラフを用いる場合、厚みなどサイズばらつきを小さく抑えることで、得られるポリエステルフィルムの末端COOH量の変動を低く抑えることができる。
フラフの嵩比重としては、原料樹脂の嵩比重が前記範囲を満たす範囲において、0.3〜0.7の範囲であることが好ましい。原料樹脂の嵩比重とは、粉末を一定容積の容器の中に一定状態で入れる等して、所定形状にした粉末の質量を、そのときの体積で除算して求められる比重(単位体積あたりの質量)をいい、嵩比重が小さいほど嵩張る。
なお、第1の層は、リサイクルチップを実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、本発明の効果に影響を与えない範囲で含まないことをいい、例えば0.1質量%以下を表す。
<白色顔料>
第1の層は、白色顔料を含有する。また、第2の層は、白色顔料を含有してもよいし、含有しなくてもよい。第1の層に、白色顔料を含有させることで、光の反射率(白色度)を向上させ、可視光隠蔽性を高めることで、意匠性を付与することができる。また、光の反射率(白色度)を向上させ、太陽電池の発電効率を上げることができる。
白色顔料を構成する粒子(以下、単に「粒子」という)の平均粒径は特に限定されないが0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.15〜1μmの粒子である。粒子の平均粒径が0.1〜10μmであれば、少ない添加量でもフィルムの白色度を50以上とすることができる。
なお、粒子の平均粒径は電顕法により求めることができ、具体的には、以下の方法により求めることができる。
粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子の大きさに応じて適宜倍率を変え、写真撮影したものを拡大コピーする。次いで、ランダムに選んだ少なくとも200個以上の粒子について、各粒子の外周をトレースする。画像解析装置にてこれらのトレース像から粒子の円相当径を測定し、それらの平均値を平均粒径とする。
粒子は無機粒子または有機粒子いずれでもよく、両者を併用しても良い。これにより光の反射率を向上させ太陽電池の発電効率を上げることができる。好適に使用される無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、珪酸アルミ、リン酸カルシウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウムおよびフッ化カルシウム等を使用することができるが、特に二酸化チタン、硫酸バリウムが好ましい。なお、酸化チタンはアナターゼ型、ルチル型の何れでもよい。また、粒子表面にアルミナやシリカ等の無機処理を施してもよいし、シリコン系あるいはアルコール系等の有機処理を施してもよい。
これらの粒子のなかでも二酸化チタンが好ましく、これにより光照射下でも優れた耐久性を奏することができる。具体的には、63℃、50%Rh、照射強度100mW/cmで100時間UV照射した場合、破断伸び保持率が好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上である。このように光照射によってもポリエステルは光分解や劣化が抑制されるため、屋外で用いられる太陽電池の裏面保護膜としてより好適である。
二酸化チタンにはルチル型とアナターゼ型が存在するが、ポリエステルにルチル型を主体とする二酸化チタン粒子を添加することが好ましい。アナターゼ型は紫外線の分光反射率が非常に大きいのに対し、ルチル型は紫外線の吸収率が大きい(分光反射率が小さい)という特性を有している。本発明者は、二酸化チタンの結晶形態におけるこうした分光特性の違いに着目し、ルチル型の紫外線吸収性能を利用することで、太陽電池裏面保護用ポリエステルフィルム(太陽電池用バックシート)において、耐光性を向上させることができることを見出した。これにより他の紫外線吸収剤を実質的に添加しなくても光照射下でのフィルム耐久性に優れる。そのため、紫外線吸収剤のブリードアウトによる汚染や密着性の低下が生じにくい。
なお、上記の通り、好ましくは二酸化チタン粒子はルチル型を主体とするものであるが、ここでいう「主体」とは、全二酸化チタン粒子中のルチル型二酸化チタン量が50質量%を超えていることを意味する。
また、全二酸化チタン粒子中のアナターゼ型二酸化チタン量が10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは0質量%である。アナターゼ型二酸化チタンの含有量が上記上限値を超えると、全二酸化チタン粒子中に占めるルチル型二酸化チタン量が少なくなるために紫外線吸収性能が不十分となる場合がある他、アナターゼ型二酸化チタンは光触媒作用が強いため、この作用によっても耐光性が低下する傾向にある。ルチル型二酸化チタンとアナターゼ型二酸化チタンとは、X線構造回折や分光吸収特性により区別することができる。
ルチル型二酸化チタン粒子は、粒子表面にアルミナやシリカ等の無機処理を施してもよいし、シリコン系あるいはアルコール系等の有機処理を施してもよい。ルチル型二酸化チタンは、ポリエステル組成物に配合する前に、精製プロセスを用いて、粒径調整、粗大粒子除去を行ってもよい。精製プロセスの工業的手段としては、粉砕手段で例えばジェットミル、ボールミルを適用することができ、分級手段としては、例えば乾式もしくは湿式の遠心分離を適用することができる。
本発明では白色顔料として有機粒子も使用できる。ポリエステル製膜中の熱に耐えるものが好ましく、例えば架橋型樹脂からなるものが用いられ、具体的にはジビニルベンゼンで架橋したポリスチレン等が用いられる。粒子のサイズや添加量は無機粒子の場合と同様である。
ポリエステルフィルム中への粒子の添加は公知の方法を用いる方法として、従来から公知の各種の方法を用いることができる。その代表的な方法として、下記の方法を挙げることができる。
(A)ポリエチレンテレフタレート合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に粒子を添加、または重縮合反応開始前に粒子を添加する方法。
(B)ポリエチレンテレフタレートに粒子を添加し、溶融混練する方法。
(C)上記(A)、(B)の方法において粒子を多量に添加したマスターペレット(またはマスターバッチ(MB)とも云う)を製造し、これらと粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートとを混練して、所定量の粒子を含有させる方法。
(D)上記(C)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
この中で事前にポリエステルと粒子を押出機で混合しておくマスターバッチ法(MB法:上記(C))が好ましい。また、事前に乾燥させていないポリエステル樹脂と粒子を押出機に投入し、水分や空気などを脱気しながらMBを作製する方法を採用することもできる。さらに、好ましくは、事前に少しでも乾燥したポリエステル樹脂を用いてMBを作製する方が、ポリエステルの酸価上昇を抑えられる。この場合、脱気しながら押出する方法や、十分乾燥したポリエステル樹脂により脱気をせずに押出する方法などがあげられる。
例えば、MBを作製する場合は投入するポリエステルはあらかじめ乾燥により水分率を低減させることが好ましい。乾燥条件としては、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜180℃において、1時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは6時間以上乾燥する。これにより、ポリエステル樹脂の水分量を好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥する。予備混合を方法は特に限定せず、バッチによる方法でもよいし、単軸もしくは二軸以上の混練押出機によっても良い。脱気しながらMBを作製する場合は、250℃〜300℃、好ましくは270℃〜280℃の温度でポリエステル樹脂を融解し、予備混練機に一つ、好ましくは2以上の脱気口を設け、0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上の連続吸引脱気を行い、混合機内の減圧を維持すること等の方法を採用することが好ましい。
<その他の材料>
第1の層には、ポリエステルおよび白色顔料以外に、そして第2の層にはポリエステル以外に、末端封止剤を添加し、耐加水分解性(耐候性)を向上させたものを用いても良い。さらに、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、第1の層及び/又は第2の層には、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤および染料などが添加されてもよい。
(末端封止剤)
第1の層及び/又は第2の層は、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂の全質量に対して0.1〜10質量%の末端封止剤を含むことができる。ポリエステルを構成するポリエステル樹脂の全質量に対する末端封止剤の上記添加量はより好ましくは0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.3〜2質量%である。
ポリエステルの加水分解は、末端カルボン酸等から生じるH(プロトン)の触媒効果により加速されるため、耐加水分解性(耐候性)を向上させるには、末端カルボン酸と反応する末端封止剤を添加することが有効である。
末端封止剤の添加量が、ポリエステル樹脂の全質量に対して0.1質量%以上であれば、耐候性向上効果が発現し易く、10質量%以下であればポリエステルに対して可塑剤として作用することが抑制され、力学強度、耐熱性の低下が抑制される。
末端封止剤としては、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、カーボネート化合物等が挙げられるが、ポリエチレンテレフタレート(PET)と親和性が高く末端封止能の高いカルボジイミドが好ましい。
末端封止剤(特にカルボジイミド末端封止剤)は高分子量であることが好ましい。これにより溶融製膜中の揮散を低減できる。分子量は200〜10万が好ましく、より好ましくは2000〜8万、さらに好ましくは1万〜5万である。末端封止剤(特にカルボジイミド末端封止剤)の分子量が上記範囲内であればポリエステル中に均一分散し易く耐候性改良効果を充分に発現し易くなり、また、押出し、製膜中に揮散し難く、耐候性向上効果を発現し易くなる。
なお、末端封止剤の分子量は、重量平均分子量を意味する。
(カルボジイミド系末端封止剤)
カルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物は、一官能性カルボジイミドと多官能性カルボジイミドがあり、一官能性カルボジイミドとしては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミドおよびジ−β−ナフチルカルボジイミドなどが挙げられる。特に好ましくは、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドである。
また、多官能性カルボジイミドとしては、重合度3〜15のカルボジイミドが好ましく用いられる。具体的には、1,5−ナフタレンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルジメチルメタンカルボジイミド、1,3−フェニレンカルボジイミド、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンカルボジイミド、2,6−トリレンカルボジイミド、2,4−トリレンカルボジイミドと2,6−トリレンカルボジイミドの混合物、ヘキサメチレンカルボジイミド、シクロヘキサン−1,4−カルボジイミド、キシリレンカルボジイミド、イソホロンカルボジイミド、イソホロンカルボジイミド、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−カルボジイミド、メチルシクロヘキサンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドおよび1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−カルボジイミドなどを例示することができる。
カルボジイミド化合物は、熱分解によりイソシアネート系ガスが発生するため、耐熱性の高いカルボジイミド化合物が好ましい。耐熱性を高めるためには、分子量(重合度)が高いほど好ましく、より好ましくはカルボジイミド化合物の末端を耐熱性の高い構造にすることが好ましい。また、一度熱分解を起こすとさらなる熱分解を起こし易くなるため、ポリエステルの押出温度をなるべく低温下にするなどの工夫が必要である。
末端封止剤のカルボジイミドは、環状構造を持つもの(例えば、特開2011−153209号公報に記載のもの)も好ましい。これらは低分子量でも上記高分子量カルボジイミド同等の効果を発現する。これはポリエステルの末端カルボン酸と環状のカルボジイミドが開環反応し、一方がこのポリエステルと反応、開環した他方が他のポリエステルと反応し高分子量化するため、イソシアネート系ガスが発生することを抑制するためである。
これらの環状構造を持つものの中でも、本発明では、末端封止剤が、カルボジイミド基を有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含むカルボジイミド化合物であることが好ましい。さらに、末端封止剤は、芳香環に隣接したカルボジイミド基を少なくとも1個有し、芳香環に隣接したカルボジイミド基の第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含むカルボジイミド(芳香族環状カルボジイミドとも言う)であることがより好ましい。
芳香族環状カルボジイミドは、環状構造を複数有していてもよい。
芳香族環状カルボジイミドは分子内に2つ以上のカルボジイミド基の第一窒素と第二窒素とが連結基により結合した環構造を有さない芳香族カルボジイミドであること、すなわち単環であるものも好ましく用いることができる。
環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有するが、例えば、スピロ環など、分子中に複数の環状構造を有する場合にはスピロ原子に結合するそれぞれの環状構造中に1個のカルボジイミド基を有していれば、化合物として複数のカルボジイミド基を有していてよいことはいうまでもない。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に、10〜15が好ましい。
ここで、環状構造中の原子数とは、環状構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50以下の原子数の環状カルボジイミド化合物は合成の困難性が小さく、コストを低く抑えられる。かかる観点より環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
環状構造を持つカルボジイミド系末端封止剤の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の具体例により限定されるものではない。
Figure 0006199198
(エポキシ系末端封止剤)
エポキシ化合物の好ましい例としては、グリシジルエステル化合物やグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。
グリシジルエステル化合物の具体例としては、安息香酸グリシジルエステル、t−ブチル−安息香酸グリシジルエステル、P−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘン酸グリシジルエステル、バーサティク酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレイン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステルおよびピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどを挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
また、グリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニルグリシジルエ−テル、O−フェニルグリシジルエ−テル、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ブタン、1,6−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ベンゼン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−エトキシエタン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−ベンジルオキシエタン、2,2−ビス−[р−(β,γ−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるビスグリシジルポリエーテルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
(オキサゾリン系末端封止剤)
オキサゾリン化合物としては、ビスオキサゾリン化合物が好ましく、具体的には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−9,9’−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)および2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等を例示することができる。これらの中では、ポリエステルとの反応性の観点から、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)が最も好ましく用いられる。さらに、上記で挙げたビスオキサゾリン化合物は本発明の目的を達成する限り、一種を単独で用いても、二種以上を併用してもどちらでもよい。
このような末端封止剤はポリエステルフィルム中に練り込むことが必要である。即ちポリエステル分子と直接反応させないと上記効果が得られない。PET上の塗布層に添加しても、ポリエステルと末端封止剤は反応しないためである。
<その他の層>
本発明の積層フィルムは、第1の層、第2の層の他に、その他の層が積層されていてもよい。その他の層としては、白色度の高い層(ボイドや粒子の多い層)、白色度の低い層(ボイドや粒子の少ない層などが挙げられる。その他の層としては、例えば特開2013−65846号公報の段落0065〜0066等の記載を参酌することができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<積層フィルムの物性>
本発明の積層フィルムは、積層フィルム全体の白色顔料濃度が、0質量%より大きく2質量%未満であり、0.5質量%以上2質量%未満が好ましく、1.5質量%以上2質量%未満がより好ましい。フィルム全体の白色顔料濃度を0質量%より大きくすることで可視光遮蔽性を向上させることができ、2質量%未満とすることで耐加水分解性を向上させることができる。
フィルム全体の白色顔料濃度は、積層フィルム全体の質量中に占める白色顔料の質量の割合を、百分率で表したパラメータであり、具体的には以下の方法により測定することができる。すなわち、坩堝に積層フィルムを測定試料として3gとり、電気オーブン内において900℃で120分間加熱を行う。その後電気オーブン内が冷えてから坩堝を取り出し、坩堝の中に残った灰分の質量を測定する。この灰分がすなわち白色顔料分であり、灰分の質量を測定試料の質量で除し、100を乗じた値を白色顔料濃度とする。
耐加水分解性は、末端カルボキシル基の量(末端カルボキシル基濃度;AV)によって改善する。このため、積層フィルム全体の末端カルボキシル基濃度は6〜30当量/トンであり、10〜25当量/トンが好ましく、10〜20当量/トンがより好ましい。
末端カルボキシル基濃度が6当量/トン未満であると、表面のカルボキシル基(COOH基)が少なくなりすぎ(極性が低くなりすぎ)、異素材との接着性密着性が低下することがある。また、末端カルボキシル基濃度が30当量/トンを超えると、ポリエステル分子末端のCOOH基のHが触媒となって加水分解が促され、耐加水分解性が低下してしまうことがある。
なお、末端カルボキシル基濃度は、ポリエステル0.1gをベンジルアルコール5mlに溶解後、クロロホルムを5ml加えた混合溶液にフェノールレッド指示薬を滴下し、これを基準液(0.01N KOH−ベンジルアルコール混合溶液)で滴定し、その滴下量から算出される値である。
積層フィルム全体の厚みは、100〜400μmが好ましく、100〜300μmがより好ましく、100〜250μmがさらに好ましく、110〜250μmが特に好ましい。
また、積層フィルム全体の厚みに対する第1の層の厚みの比(第1の層の厚み/積層フィルム全体の厚み)は、0.01〜0.30が好ましく、0.02〜0.25がより好ましい。
本発明の積層フィルムは、様々な用途に使用することができるが、太陽電池モジュール用フィルム(例えば、太陽電池の保護フィルム等)、建材用フィルム、および屋外広告用フィルム等に使用することができる。
<積層フィルムの製造方法>
本発明の積層フィルムの製造方法は特に制限されるものではないが、層間の接着性と生産性の観点から、共押出法にて製造されることが好ましい。第1の層と第2の層との2層構成の場合、2台の押出機を準備し、一方に第1の層を構成する組成物、他方に第2の層を構成する組成物を仕込み、それぞれの押出機から押出された溶融体(メルト)を2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイから押出し、未延伸の積層フィルムを得る(共押出し工程)。積層フィルムを二軸延伸し(延伸工程)、本発明の積層フィルムを得ることができる。
第1および第2の層に用いるポリエステルは、重縮合後、固相重合を行うことが好ましい。固相重合は、上記したとおりであり、好ましい態様も同様である。
共押出し工程では、固相重合を経た後のポリエステルを溶融混練し、第1の層を形成するための第1の層を構成する組成物と、第2の層を形成するための第2の層を構成する組成物を2台の押出機にてそれぞれ溶融し、溶融体(メルト)を2層フィードブロック装置にて合流させ積層状態とした後、ダイから押出し、第2の層を構成する組成物の少なくとも片面に第1の層を構成する組成物を積層することにより積層フィルムを形成する。
例えば、上記の固相重合を経たポリエステルを乾燥し、残留水分を100ppm以下にした後、押出機を用いて溶融する。溶融温度は、250℃以上320℃以下が好ましく、260℃以上310℃以下がより好ましく、270℃以上300℃以下がさらに好ましい。
熱分解による末端COOHの発生をより抑制できる点で、押出機内を窒素置換して行なうのがより好ましい。
押出機において溶融された溶融体(メルト)は、ギアポンプ、濾過器等を通して、ダイから押出す。このとき、第2の層を形成するための第2の層を構成する組成物と、第2の層を構成する組成物の少なくとも片面側に第1の層を形成するための第1の層を構成する組成物を、フィードブロック装置を用いて合流させ積層状態とした後、ダイから押出して積層フィルムとする。
第1の層を構成する組成物は第2の層を構成する組成物の片面に積層してもよいし、両面に積層してもよい。
各押出ダイから共押出されたメルトは、チルロール(冷却ロール)を用いて冷却され、固化される。このとき、チルロールの温度は、10℃以上80℃以下が好ましく、より好ましくは15℃以上70℃以下、さらに好ましくは20℃以上60℃以下である。さらに、メルトとチルロールとの間で密着性を高め、冷却効率を上げる観点からは、チルロールにメルトが接触する前に静電気を印加しておくことが好ましい。さらに、チルロール反対面から冷風を当てたり、冷却ロールを接触させ、冷却を促すことも好ましい。これにより、厚手フィルム(具体的には、延伸後の厚みが250μm以上、更には300μm以上のフィルム)であっても、効果的に冷却が行なえる。
なお、冷却が不充分な場合には、球晶が発生しやすく、これが延伸ムラを引き起こし、厚みムラを発生させることがある。
延伸工程では、共押出し工程により作製された未延伸の積層フィルムの縦延伸及び横延伸を行い、縦延伸時及び横延伸時のフィルム表面温度を(Tg1+10)℃以上(Tg1+35)℃以下に制御する(Tg1は第1の層のガラス転移温度を表す)。縦延伸時及び横延伸時のフィルム表面温度が(Tg1+10)℃以上であれば延伸時の応力を低減することが出来るために耐加水分解性付与に必要な延伸倍率での延伸が可能となり、(Tg1+35)℃以下であれば耐加水分解性改善に必要な配向を付与することが可能となる。二軸延伸時(縦延伸時及び横延伸時)のフィルム表面温度は、(Tg1+12)℃以上(Tg1+30)℃以下であることがさらに好ましい。
例えば、未延伸の積層フィルムを、70℃以上140℃以下の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に3倍以上5倍以下の延伸率で延伸し、20℃以上50℃以下の温度のロール群で冷却する。続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、80℃以上150℃以下の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3倍以上5倍以下の延伸率で延伸する。
延伸率は、長手方向と幅方向それぞれ3倍以上5倍以下とするのが好ましい。また、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は、9倍以上15倍以下であることが好ましい。面積倍率が9倍以上であると、得られる二軸延伸積層フィルムの反射率や隠蔽性、フィルム強度が良好であり、また面積倍率が15倍以下であると、延伸時の破れを回避することができる。
二軸延伸する方法としては、上述のように、長手方向と幅方向の延伸とを分離して行なう逐次二軸延伸方法のほか、長手方向と幅方向の延伸を同時に行なう同時二軸延伸方法のいずれであってもよい。
得られた二軸延伸フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて、二軸延伸フィルムの熱固定処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してもよい。一般に、熱固定処理温度(Ts)が低いとフィルムの熱収縮が大きいため、高い熱寸法安定性を付与するためには、熱処理温度は高い方が好ましい。しかしながら、熱処理温度を高くし過ぎると配向結晶性が低下し、その結果形成されたフィルムが耐加水分解性に劣ることがある。
本発明では、二軸延伸フィルムの熱固定処理を行う際、第2の層の結晶融解ピークをTm2(℃)としたときに、熱固定時のフィルム表面温度を(Tm2−40)℃以上Tm2℃以下に制御する。熱固定時のフィルム表面温度が(Tm2−40)℃以上であれば熱固定による残留歪の除去効果が十分となり、熱収縮が許容範囲内のレベルとなり、Tm2℃以下であれば第2の層の配向緩和による耐加水分解性の悪化が防止可能となる。
なお、本発明の積層フィルムは、太陽電池モジュールを構成するバックシートとして用いることができるが、モジュール使用時には雰囲気温度が100℃程度まで上昇することがある。そのため、熱固定時のフィルム表面温度は(Tm2−30)℃以上(Tm2−10)℃以下であることがさらに好ましい。
また必要に応じて、幅方向あるいは長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。熱固定されたポリエステルフィルムは通常Tg以下まで冷却され、ポリエステルフィルム両端のクリップ把持部分をカットしロール状に巻き取られる。この際、最終熱固定処理温度以下、Tg以上の温度範囲内で、幅方向及び/または長手方向に1〜12%弛緩処理することが好ましい。
また、冷却は、最終熱固定温度から室温までを毎秒1℃以上100℃以下の冷却速度で徐冷することが寸法安定性の点で好ましい。特に、Tg+50℃からTgまでを、毎秒1℃以上100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながら、これらの処理を行うことが、積層フィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。
また、上記積層フィルムの製造に際し、積層フィルムの強度を向上させる目的で、多段縦延伸、再縦延伸、再縦横延伸、横・縦延伸など公知の延伸フィルムに用いられる延伸を行ってもよい。縦延伸と横延伸の順序を逆にしてもよい。
積層フィルムの製造方法の詳細は、例えば特開2011−211087号公報の段落0098〜0110等の記載を参酌することができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<太陽電池モジュール用バックシート>
本発明の太陽電池用バックシートは、本発明の積層フィルムを含む。本発明の太陽電池用バックシートは、本発明の積層フィルムを設けて構成し、被着物に対して、必要に応じて、易接着性の易接着性層、紫外線吸収層、光反射性のある白色層などの機能性層を少なくとも1層設けて構成することができる。本発明の積層フィルムを備えるので、長期使用時において安定した耐久性能を示す。
本発明の太陽電池用バックシートは、例えば、一軸延伸後及び/又は二軸延伸後の積層フィルムに下記の機能性層を塗設してもよい。塗設には、ロールコート法、ナイフエッジコート法、グラビアコート法、カーテンコート法等の公知の塗布技術を用いることができる。
また、これらの塗設前に表面処理(火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等)を実施してもよい。さらに、粘着剤を用いて貼り合わせることも好ましい。
(易接着性層)
本発明の積層フィルムを用いて太陽電池モジュールを構成する場合、太陽電池素子が封止剤で封止された電池側基板の封止材と向き合う側に、易接着性層を有していることが好ましい。封止剤(特にエチレン−酢酸ビニル共重合体)を含む被着物(例えば太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板の封止剤の表面)に対して接着性を示す易接着性層を設けることにより、バックシートと封止剤との間を強固に接着することができる。具体的には、易接着性層は、特に封止材として用いられるEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)との接着力が10N/cm以上、好ましくは20N/cm以上であることが好ましい。
さらに、易接着性層は、太陽電池モジュールの使用中にバックシートの剥離が起こらないことが必要であり、そのために易接着性層は高い耐湿熱性を有することが望ましい。
(バインダー)
易接着性層はバインダーの少なくとも1種を含有することができる。バインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。中でも、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。好ましいバインダーの例として、以下のものを挙げることができる。
前記ポリオレフィンの例として、ケミパールS−120、同S−75N(ともに三井化学(株)製)が挙げられる。前記アクリル樹脂の例として、ジュリマーET−410、同SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)が挙げられる。また、前記アクリルとシリコーンとの複合樹脂の例として、セラネートWSA1060、同WSA1070(ともにDIC(株)製)、及びH7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
前記バインダーの量は、0.05〜5g/m2の範囲が好ましく、0.08〜3g/m2の範囲が特に好ましい。バインダー量は、0.05g/m2以上であることでより良好な接着力が得られ、5g/m2以下であることでより良好な面状が得られる。
(微粒子)
易接着性層は、微粒子の少なくとも1種を含有することができる。易接着性層は、微粒子を層全体の質量に対して5質量%以上含有することが好ましい。
微粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化錫等の無機微粒子が好適に挙げられる。特にこの中でも、湿熱雰囲気に曝されたときの接着性の低下が小さい点で、酸化錫、シリカの微粒子が好ましい。
微粒子の粒径は、10〜700nm程度が好ましく、より好ましくは20〜300nm程度である。粒径が前記範囲の微粒子を用いることにより、良好な易接着性を得ることができる。微粒子の形状には特に制限はなく、球形、不定形、針状形等のものを用いることができる。
微粒子の易接着性層中における添加量としては、易接着性層中のバインダー当たり5〜400質量%が好ましく、より好ましくは50〜300質量%である。微粒子の添加量は、5質量%以上であると、湿熱雰囲気に曝されたときの接着性に優れており、1000質量%以下であると、易接着性層の面状がより良好である。
(架橋剤)
易接着性層は、架橋剤の少なくとも1種を含有することができる。
架橋剤の例としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。湿熱経時後の接着性を確保する観点から、これらの中でも特にオキサゾリン系架橋剤が好ましい。
前記オキサゾリン系架橋剤の具体例として、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。さらに、これらの化合物の(共)重合体も好ましく利用することができる。
また、オキサゾリン基を有する化合物として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS500、同WS700(いずれも日本触媒化学工業(株)製)等も利用できる。
架橋剤の易接着性層中における好ましい添加量は、易接着性層のバインダー当たり5〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。架橋剤の添加量は、5質量%以上であることで良好な架橋効果が得られ、反射層の強度低下や接着不良が起こりにくく、50質量%以下であることで塗布液のポットライフをより長く保てる。
(添加剤)
易接着性層には、必要に応じて、更にポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカ等の公知のマット剤、アニオン系やノニオン系などの公知の界面活性剤などを添加してもよい。
(易接着性層の形成方法)
易接着性層の形成方法としては、易接着性を有するポリマーシートをポリエステルフィルムに貼合する方法や塗布による方法があるが、塗布による方法は、簡便でかつ均一性の高い薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いる塗布液の溶媒としては、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、易接着性層を塗布により形成する場合は、本発明の製造方法において述べたとおり、熱処理後の乾燥ゾーンにおいて塗布層の乾燥と熱処理を兼ねることが好ましい。なお、後述する着色層やその他の機能性層を塗布により形成する場合も同様である。
(物性)
易接着性層の厚みには特に制限はないが、通常は0.05〜8μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。易接着性層の厚みは、0.05μm以上であることで必要とする易接着性が得られやすく、8μm以下であることで面状をより良好に維持することができる。
易接着性層は、ポリエステルフィルムとの間に着色層(特に反射層)が配置された場合の着色層の効果を損なわない観点から、透明性を有していることが好ましい。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の積層フィルムまたは本発明のバックシートを含むことを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と既述の本発明の積層フィルム(太陽電池用バックシート)との間に配置して構成されている。基板と積層フィルムとの間は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂(いわゆる封止材)で封止して構成することができる。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性の基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1:積層フィルムの作製
<ポリエステルの合成>
−エステル化−
第一エステル化反応槽に、高純度テレフタル酸4.7トン(4700kg)とエチレングリコール1.8トン(1800kg)を90分かけて混合してスラリーを形成させ、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。更にクエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(VERTEC AC−420、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に供給し、反応槽内温度250℃、攪拌下、平均滞留時間約4.3時間で反応を行なった。このとき、クエン酸キレートチタン錯体を、Ti添加量がTi元素換算で9ppmとなるように連続的に添加した。このとき、得られたオリゴマーの酸価は600当量/トンであった。
この反応物を第二エステル化反応槽に移送し、攪拌下、反応槽内温度250℃で、平均滞留時間で1.2時間反応させ、酸価が200当量/トンのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽は内部が3ゾーンに仕切られており、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、Mg添加量が元素換算値で67ppmになるように連続的に供給し、続いて第3ゾーンから、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を、P添加量が元素換算値で65ppmになるように連続的に供給した。
-重縮合反応-
上記で得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給し、攪拌下、反応温度270℃、反応槽内圧力2.67×10-3MPa(20torr)で、平均滞留時間約1.8時間で重縮合させた。
更に、第二重縮合反応槽に移送し、この反応槽において攪拌下、反応槽内温度276℃、反応槽内圧力6.67×10-4MPa(5torr)で滞留時間約1.2時間の条件で反応(重縮合)させた。
次いで、更に第三重縮合反応槽に移送し、この反応槽では、反応槽内温度278℃、反応槽内圧力2.0×10-4MPa(1.5torr)で、滞留時間1.5時間の条件で反応(重縮合)させ、反応生成物(ポリエチレンテレフタレート;以下、PETと略記する。)を得た。
得られたPET(反応生成物)について、高分解能型高周波誘導結合プラズマ質量分析(HR−ICP−MS;SIIナノテクノロジー社製AttoM)を用いて、測定を行なった。その結果、Ti=9ppm、Mg=67ppm、P=58ppmであった。Pは当初の添加量に対して僅かに減少しているが、重合過程において揮発したものと推定される。
-固相重合工程-
上記で重合したPETをペレット化(直径3mm、長さ7mm)し、得られた樹脂ペレット(固有粘度IV=0.60dl/g、末端カルボキシル基濃度=25当量/トン)を、以下のようにして固相重合を実施した。
なおポリエステルの固有粘度(IV)は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、25℃で測定した溶液粘度から、下式より固有粘度を算出することができる。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量であり(本測定では1g/100mlとする)、Kはハギンス定数(0.343とする)であり、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定することができる。
固相重合は、既述のエステル化反応により重合したポリエステルを露点温度−30℃の窒素により140℃で7分間加熱し、固相重合時の固着を防止する目的で予備結晶化を行なった。
次に露点温度−30℃の加熱窒素を用いて165℃で4時間乾燥させ、樹脂中の水分率を50ppm以下にした。
次に、乾燥させたポリエステル樹脂を205℃に予備加熱した後、207℃で25時間窒素循環させることにより固相重合を進行させた。窒素循環条件としては、ガス比(排出する樹脂量に対する循環させる窒素ガス量)を1.5m/kg、空塔速度0.08m/秒、エチレングリコール濃度240ppm、水濃度12ppm、エチレングリコールと水とのモル分圧比(エチレングリコールのモル分圧/水のモル分圧)が20の窒素を用いることにより固相重合を進行させた。上記混合ガス組成とするため、エチレングリコールスクラバーには含水率100ppmの高純度なエチレングリコールを用い、また、スクラバーの温度を35℃とした。スクラバー内の圧力は、0.1MPa〜0.11MPaの範囲とした。
次に反応工程から排出される樹脂(500kg/h)を60℃まで冷却した。得られた樹脂は固有粘度IV=0.78dl/g、末端カルボキシル基濃度=9当量/トンであった。
<マスターペレットの作製>
PETペレットに酸化チタンが40〜60質量%となるように混練し、マスターペレットを作製した。
<押出製膜>
第1の層は、上記PETと上記マスターペレットを、酸化チタン濃度が12質量%となるように混合し、これを含水率100ppm以下に乾燥させた後、押出機1に供給し285℃で溶融押出した。押出機1としては2箇所のベントを備えたダブルベント式同方向回転噛合型の二軸押出機を用いた。
第2の層は、上記PETと、得られた積層フィルムの幅方向端部をトリミング・破砕して作製したリサイクルチップとを、酸化チタン濃度が0.2質量%となるように混合し、これを含水率100ppm以下に乾燥させた後、押出機2に供給し285℃で溶融押出した。押出機2としては押出機1同様、2箇所のベントを備えたダブルベント式同方向回転噛合型の二軸押出機を用いた。
それぞれの押出機出口から押出された溶融体(メルト)をギアポンプ、金属繊維フィルタ(孔径20μm)を通した後、2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイから冷却ロールに押出した。押出されたメルトは、静電印加法を用いて冷却ロールに密着させた。冷却ロールは、中空のキャストロールを用い、この中に熱媒として水を通して温調できるようになっている。
<延伸・巻取り>
上記方法で冷却ロール上に押出し、固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、250μmの厚みのフィルムを得た。なお、延伸は、縦延伸を95℃で、横延伸を140℃で縦延伸、横延伸の順に行なった。その後、210℃で12秒間熱固定した後、205℃で横方向に3%緩和した。延伸後、両端を10cmずつトリミングした後、両端に厚み出し加工を施した後、直径30cmの樹脂製巻芯に3000m巻き付けた。なお、幅は1.5mであった。また、第1の層の厚みは、10μmであり、第2の層の厚みは240μmであった。
第1の層の白色顔料密度を、第1の層の厚み、第1の層の密度、白色顔料濃度の積より算出したところ、1.8×10−4g/cmであった。
-縦延伸-
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、下記条件にて縦方向(搬送方向)に延伸した。
・予熱温度:95℃
・延伸温度:95℃
・延伸倍率:3.5倍
・延伸速度:3000%/秒
-横延伸-
縦延伸した前記フィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
・予熱温度:110℃
・延伸温度:120℃
・延伸倍率:3.9倍
・延伸速度:70%/秒
<測定・評価>
上記で得られた固相重合前後のPETに対して、下記の測定、評価を行なった。
-末端カルボキシル基濃度-
ポリエステル0.1gをベンジルアルコール5mlに溶解後、クロロホルムを5ml加えた混合溶液にフェノールレッド指示薬を滴下し、これを基準液(0.01N KOH−ベンジルアルコール混合溶液)で滴定した。滴下量から末端カルボキシル基の濃度[当量/トン]を算出した。
-白色顔料濃度-
フィルム全体の白色顔料濃度は、積層フィルム全体の質量中に占める白色顔料の質量の割合を、百分率で表したパラメータであり、具体的には以下の方法により測定することができる。すなわち、坩堝に積層フィルムを測定試料として3gとり、電気オーブン内において900℃で120分間加熱を行う。その後電気オーブン内が冷えてから坩堝を取り出し、坩堝の中に残った灰分の質量を測定する。この灰分がすなわち白色顔料分であり、灰分の質量を測定試料の質量で除し、100を乗じた値を、積層フィルム全体の白色顔料濃度とした。
第1の層の白色顔料濃度は、上記の測定方法において、測定試料として、積層フィルムの内、第1の層を3g用いることにより同様に測定を行った。
第2の層の白色顔料濃度は、上記の測定方法において、測定試料として、積層フィルムの内、第2の層を3g用いることにより同様に測定を行った。
実施例2〜11、比較例1〜11:積層フィルムの作製
実施例1における第1および第2の層の白色顔料密度、厚み、フィルム全体の白色顔料濃度、および末端カルボキシル基濃度などを下記表に記載のものに変更した以外は同様にして、他の実施例および比較例の積層フィルムを作製した。
-耐加水分解性-
製膜〜延伸加工により得られたフィルムについて、120℃で100%の湿熱条件で所定の時間処理を行ない、その後JIS−K7127法により破断伸度測定を行なって、下記の評価基準にしたがって評価した。A及びBが実用上許容できる基準である。
A:破断伸度が未処理フィルムの50%にまで減少する時間が90時間を超え100時間以下のもの
B:破断伸度が未処理フィルムの50%にまで減少する時間が80時間を超え90時間以下のもの
C:破断伸度が未処理フィルムの50%にまで減少する時間が70時間を超え80時間以下のもの
D:破断伸度が未処理フィルムの50%にまで減少する時間が70時間以下のもの
-可視光隠蔽性-
マクベス光濃度計により、可視光域(380−700nm)での光学濃度(O.D.)を測定し、下記の評価基準にしたがって評価した。A、B及びCが実用上許容できる基準である。
A:光学濃度が0.6[O.D.]を超えるもの
B:光学濃度が0.5[O.D.]を超え、0.6[O.D.]以下のもの
C:光学濃度が0.4[O.D.]を超え、0.5[O.D.]以下のもの
D:光学濃度が0.4[O.D.]以下のもの
Figure 0006199198
上記表から、第1の層、第2の層、および積層フィルム全体が全て所定の要件を満たす実施例1〜11は、耐加水分解性および可視光遮蔽性が優れていることがわかる。一方、第1の層、第2の層、および積層フィルム全体のいずれかが所定の要件を満たさない比較例1〜11は、耐加水分解性および可視光遮蔽性の両方を満足できるものではないことが分かる。
本発明の積層フィルムは、耐加水分解性に優れていることにより屋外において長期間に渡り強度を維持できるとともに、可視光隠蔽性にも優れていることにより意匠性にも優れる。本発明の積層フィルムを用いることにより、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュールを得ることができる。さらに本発明の積層フィルムは、建材用フィルム、屋外広告用フィルム等にも使用できる、産業上の利用可能性が高い。
10 第2の層
12 第1の層

Claims (6)

  1. ポリエステルおよび白色顔料を含有する第1の層と、ポリエステルを含有する第2の層とを少なくとも有する積層フィルムであって、
    前記第1の層は、前記第2の層の少なくとも一方の面と接しており、
    前記第1の層の白色顔料密度は、4.3×10 -4 〜5.4×10 -4 g/cm 2 であり、
    前記第1の層の白色顔料濃度が、6〜12質量%であり、
    前記第1の層の厚みが、30〜50μmであり、
    前記第2の層の厚みが100〜300μmであり、
    前記積層フィルム全体の白色顔料濃度が、1.58質量%以上2質量%未満であり、
    前記積層フィルム全体の末端カルボキシル基濃度が6〜17当量/トンである、積層フィルム。
  2. 前記第2の層の白色顔料濃度が、0〜1.5質量%である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記第2の層は、前記積層フィルムの幅方向端部をトリミング及び破砕したリサイクルチップを原料として60質量%以下含み、前記第1の層は、前記リサイクルチップを実質的に含まない、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 太陽電池モジュール用である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルムを含む、太陽電池モジュール用バックシート。
  6. 請求項5に記載の太陽電池モジュール用バックシートを含む、太陽電池モジュール。
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