以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1及び図2に示されるように、本発明の第一実施形態に係る遠心式送風機10は、ケース20と、フラットパネル30と、複数の案内板41,42,43,44と、ファン50と、を備えている。尚、図1においては、フラットパネル30に直交する軸をy軸とし、y軸に直交するxz平面を規定するようにx軸及びz軸としている。図2以降においては、図1で定めたx軸、y軸、z軸を記載し、説明の便宜を図るものとする。図2は、図1において断面を指示するII−IIを含むxy平面における断面図を図示している。
ケース20は略円筒形状の容器であり、内部にファン50を収納している。ケース20は、天板21と、側板23と、底板25と、を有している。ケース20の上面をなす天板21は、その外周が略円形となるように形成されている。天板21の中央部分には、略円形の開口である吸引口22が形成されている。この吸引口22が、ケース20の外部から内部に吸引される空気の入口となっている。尚、天板21のうち吸引口22の縁の部分には、ケース20の内部に向かい且つ縮径するように屈曲して伸びるベルマウス221が形成されている。
ケース20における筒状の側面をなす側板23には、送風筒231が繋がるように設けられている。送風筒231は、その断面が略矩形状をなす角筒状のものであり、その一側面231aは側板23の接線方向に沿うように繋がれ、一側面231aと略平行に設けられている他側面231bは側板23と交わるように繋がれている。一側面231aと他側面231bとを繋ぐように、天面231c及び底面231dが設けられている。側板23には、送風筒231と繋がるように略矩形の開口部(不図示)が形成されている。送風筒231の側板23と繋がれている一端部とは反対側の他端部には、送風口24が形成されている。ファン50の回転によって起きる空気流は、側板23内の空間を旋回し、側板23の開口部(不図示)から送風筒231に送り出され、送風口24から外部へと吹き出される。
フラットパネル30は略円形の板であり、ケース20の外側において天板21と離隔するように配置されている。フラットパネル30は天板21に対して平行に配置されており、上面視(フラットパネル30からケース20を見る方向、y軸の正方向から負方向を見る方向)において天板21の略全体を覆っている。尚、ケース20に対するフラットパネル30の固定は、天板21に立てられた複数の支柱(不図示)を介在させることによって行われている。また、ケース20に対する案内板41乃至44の固定も、当該支柱によって行われている。
送風機10によって吸引される周囲の空気は、フラットパネル30と天板21との間に側方側から流入し、天板21に沿って吸引口22に向かって流れる。その後、吸引口22からケース20の内部に流入し、送風口24からケース20の外部に吹き出される。
案内板41乃至44は、吸引口22を通過する空気の流れを案内するように配置された板である。つまり、フラットパネル30と天板21の間を吸引口22に向かって流れる空気の流れ、及び吸引口を通過してケース20の内部に流入する空気の流れの両方を案内するように配置された板である。案内板41乃至44の具体的な形状及び機能については、後に詳しく説明する。
ファン50は遠心式多翼ファンであり、送風機10が空気を吸引する際に必要な吸引力を発生させるものである。ファン50は、モーター51と、回転軸52と、支持板53と、複数の羽根54とを有している。
モーター51は回転電気モーターであり、ケース20の内部において底板25の略中央となる位置に固定されている。回転軸52は、その回転中心に沿った仮想線である中心線CAが底板25の法線方向に沿うように配置された金属棒である。回転軸52は、モーター51の回転力を後述の支持板53に伝達するためのものである。制御装置(不図示)によってモーター51が駆動されると、回転軸52は、中心線CAを中心として回転する。
支持板53は、略円形をなす板状の部材であって、中央部531と、外周部532と、傾斜部533と、を有している。中央部531は、支持板53の中央に設けられている円板状の部分である。外周部532は、中央部531の外側に、中央部531とは離隔するように設けられている円環状の部分である。傾斜部533は、中央部531と外周部532とを繋ぐ部分である。支持板53は、中央部531の中心が回転軸52の上端に固定され、回転軸52によって下方から支えられている。外周部532が回転軸52の上端よりも低い位置(底板25に近い位置)となるように、中央部531と外周部532との間に傾斜部533が形成されている。
羽根54は、外周部532及び傾斜部533の一部から上方(天板21側)に向かって伸びるように配置された複数の板である。これら羽根54は、全てが同一形状であって、且つ互いに略平行となるように配置されている。また、羽根54の上方側にはリング55が配置されており、全ての羽根54の上端が、当該リング55に対して固定されている。尚、羽根54は、外周部532及び傾斜部533の一部のみに対応する位置に、全体として筒状をなすように配置されているため、支持板53の中央部且つ上方側には、複数の羽根54により囲まれた空間SPが形成されている。
モーター51が駆動され、回転軸52、支持板53、及び羽根54が中心線CAを中心として回転すると、羽根54の近傍における空気には遠心力が加えられるため、空間SPから羽根54を通過して外側に向かうような空気の流れが生じる。この空気の流れによって空間SPには負圧が発生し、吸引口22からケース20の内部に空気が流入する。また、羽根54を通過して側板23の近傍に到達した空気は、側板23に沿ってケース20の内部及び送風筒231を流れた後、送風筒231末端の送風口24から外部に吹き出される。
以上の説明で明らかなように、遠心式多翼ファンであるファン50は、中心線CAに沿った方向から(図2では上方側、y軸正方向から負方向に向かう方向から)空間SPに空気を吸引し、当該空気を外側に向かって吹き出すものとなっている。本実施形態においては、天板21に形成された円形の吸引口22は、その中心を中心線CAが通るような位置に形成されている。換言すれば、吸引口22は、ケース20のうち、回転軸52に沿った方向から空気が流入するような位置に形成されている。
引き続き図2を参照しながら、案内板41,42,43,44の形状について説明する。案内板41は、上面視における外形が、フラットパネル30とほぼ同一の円形となるように形成された金属板である。案内板41は、平板部41aと、屈曲部41bと、を有している。平板部41aは、屈曲部41bよりも外側に配置される部分であって、略円環状をなしている。平板部41aは、フラットパネル30とほぼ平行となっており、且つフラットパネル30に対して下面側から接している。
屈曲部41bは、中心線CAを中心とした半断面が、円を3分の1に分割した円弧に近似した円弧状断面となっている。屈曲部41bは、平板部41a側の端部における接線が平板部41aと沿うように、平板部41aと滑らかに繋がれている。屈曲部41bは、中心線CAに最も近接する部分における接線が中心線CAと沿うように配置されている。屈曲部41bの断面形状は、中心線CAを中心とした線対称形状となっている。
案内板41は、外周側から中心線CAに近づくほど下方側(吸引口22側)に向かうように傾斜しており、図2に示したように断面が屈曲した形状となっている。案内板41のうちケース20の外部に配置されている部分、すなわち、図2において天板21よりも上方側の部分は、吸引口22側(すなわち下方側、y軸負方向側)に設けられる小径部411と、小径部411を挟んで吸引口22とは反対側(すなわち上方側、y軸正方向側)に設けられる大径部412とを有しており、これによりその全体がホーン型となっている。案内板41のうち小径部411から大径部412までの部分が、本発明における第2部分に該当する。
屈曲部41bの一部は吸引口22に挿通されており、空間SPに配置されている。図2に示されるように、案内板41の断面形状は、ケース20の外部から内部に渡って連続的に且つ滑らかに屈曲した形状となっている。案内板41のうちケース20の内部に配置されている部分、すなわち、図2において天板21よりも下方側の部分は、吸引口22側(すなわち上方側、y軸正方向側)に設けられる小径部413と、小径部413を挟んで吸引口22とは反対側(すなわち下方側、y軸負方向側)に設けられる大径部414とを有しており、これによりその全体がホーン型となっている。案内板41のうち小径部413から大径部414までの部分が、本発明における第1部分に該当する。
尚、本実施形態においては、案内板41は、図2に示されたその断面を中心線CAの周りに回転させた形状となっている。このため、中心線CAに対して垂直な断面における形状は、中心線CAを中心とした円形となる。
案内板42乃至44は、いずれも案内板41と同様の形状を有しており、それぞれの断面が中心線CAの周りに線対称な形状となっている。案内板42は、中心線CAからみて案内板41よりも外側となる位置に配置されており、案内板41と案内板42との間には、これらによって区画された小流路410が形成されている。案内板43は、中心線CAからみて案内板42よりも外側となる位置に配置されており、案内板42と案内板43との間には、これらによって区画された小流路420が形成されている。案内板44は、中心線CAからみて案内板43よりも外側となる位置に配置されており、案内板43と案内板44との間には、これらによって区画された小流路430が形成されている。また、案内板44とケース20の天板21及びベルマウス221との間には、これらによって区画された小流路440が形成されている。
小流路410乃至440の内部を流れる空気は、フラットパネル30に沿って中心線CAに近づくように流れた後、その流れ方向を滑らかに変化させながら、吸引口22から空間SPへと流入する。空間SPに流入した後は更にその流れ方向を変化させて、中心線CAから遠ざかる方向に流れる。空気の流れがこのような流れとなるように、案内板42乃至44によって区画された小流路410乃至440は、いずれも屈曲した流路となっている。
図3及び図4を参照しながら、以上のような形状の案内板41乃至44の機能について説明する。まず、図3を参照しながら、案内板41乃至44が存在しない場合における、送風機10に吸引される空気の流れを説明し、続いて、図4を参照しながら、案内板41乃至44が存在する場合における、送風機10に吸引される空気の流れを説明する。図3は、図2に示したものと同様の断面を模式的に示したものであるが、案内板41乃至44が仮に存在しない場合における、送風機10に吸引される空気の流れを示している。
既に説明したように、モーター51が駆動されて羽根54が回転すると、空間SPに負圧が発生し、これにより吸引口22からケース20の内部に空気が流入する。案内板41乃至44が存在しない場合においても、吸引される空気はフラットパネル30に沿って中心線CAに近づくように流れた後、その流れ方向を変化させながら吸引口22から空間SPへと流入する。空間SPに流入した空気は更にその流れ方向を変化させて、中心線CAから遠ざかる方向に向かって流れる。空間SPに流入した空気は、羽根54に向かって流れる。
このように屈曲した空気の流れを、図3では符号FL1、FL2、FL3をそれぞれ付した矢印により示している。以下では、これらの矢印によって示される空気の流れを、それぞれ屈曲流FL1、FL2、FL3と表記する。
屈曲流FL1は、屈曲した流れのうち最も外側の部分における流れである。すなわち、フラットパネル30の近傍、中心線CAの近傍、支持板53の近傍を順に通ったのち、羽根54のうち下方側部分(底板25側の部分)を通過するような空気の流れである。
屈曲流FL3は、屈曲した流れのうち最も内側の部分における流れである。すなわち、天板21の近傍、吸引口22の縁(ベルマウス221)の近傍を順に通ったのち、羽根54のうち上方側部分(天板21側の部分)を通過するような空気の流れである。
屈曲流FL2は、屈曲流FL1と屈曲流FL3との間における空気の流れである。屈曲流FL1、FL2、FL3は、以上のようにいずれも屈曲した流れであり、互いに略平行な流れとなっている。
空気がこのように屈曲して流れると、当該空気は、屈曲した流れの内側から外側に向かうような遠心力を受ける。屈曲流FL3の一部の空気は、この遠心力の影響により、屈曲流FL3を離れて屈曲流FL2に合流する。このような空気の流れを、図3では矢印AR1で示している。
同様に、屈曲流FL2の一部の空気は、遠心力の影響により、屈曲流FL2を離れて屈曲流FL1に合流する。このような空気の流れを、図3では矢印AR2で示している。
このように、遠心力によって、一部の空気が屈曲した流れの外側に向かうため、最も外側の流れである屈曲流FL1(吸引口22のうち最も内側を通過する空気の流れ)の流速は、他の屈曲流FL2、FL3の流速よりも大きくなってしまう傾向がある。その結果、羽根54に到達する空気の流速分布は一様とはならず、羽根54の下端部には高速の空気(屈曲流FL1)が到達し、上端部には低速の空気(屈曲流FL3)が到達することとなる。本発明者らが鋭意検討を行ったところによれば、羽根54に到達する空気においてこのような不均一な速度分布が生じると、送風機10の動作音(乱流音)が大きくなってしまうことが判明している。
案内板41乃至44が仮に存在しない場合においては、吸引される空気の流れは上記及び図3に示したようなものとなるため、速度分布に起因して乱流音が発生してしまう。本実施形態に係る送風機10は、実際には案内板41乃至44を備えることで上記のように速度分布が不均一となることが抑制され、乱流音の増大を抑制している。
図4は、図2及び図3に示したものと同様の断面を模式的に示したものであるが、図3とは異なり、案内板41乃至44に案内されながら送風機10に吸引される空気の流れを示している。図4においては、吸引される空気の流れのうち、小流路410における流れを屈曲流FL11として示している。同様に、小流路420における流れを屈曲流FL12とし、小流路430における流れを屈曲流FL13とし、小流路440における流れを屈曲流FL14として示している。
案内板41乃至44の形状は、図3に示した屈曲流FL1乃至3(つまり、案内板41等が無い場合の空気の流れ)に沿いながら、これらを複数の流れに分けるような形状となっている。つまり、案内板41乃至44及び天板21によって区画された小流路410乃至440のそれぞれの流路方向は、案内板41乃至44が存在しない場合の空気の流れに概ね沿うような方向となっている。
ただし、図4に示されるように案内板41乃至44を設けると、図3の場合と異なり、屈曲流FL11乃至13は互いに案内板41乃至44によって分離されている。このため、それぞれの屈曲流FL13等には遠心力が働くのであるが、例えば、屈曲流FL13から一部の空気が屈曲流FL12に合流するような流れは存在しない。
つまり、吸引口22の外側(ベルマウス221の近傍)を通過する空気が、吸引口22の内側(中心線CAの近傍)を通過する空気に合流してしまうような現象は、図2及び図4に示した案内板41乃至44によって防止されている。合流に起因して局所的に空気の流速が増加してしまうことが抑制されるため、羽根54に到達する空気の速度分布は略一様なものとなる。すなわち、屈曲流FL11,FL12,FL13,FL14のそれぞれの流速は、互いにほぼ等しくなる。その結果、速度分布が不均一となることに起因した騒音の発生も抑制される。
尚、近年では、送風機10を薄型化すること、すなわち、図2における上下方向(y軸方向)の寸法を小さくすることが強く求められている。このように薄型化した場合においては、屈曲した流路の曲率半径は更に小さくなり、空気が受ける遠心力は更に大きくなる。しかしながら、本実施形態では、案内板41乃至44によって屈曲流同士の合流が確実に抑制されるため、薄型化した場合であっても、羽根54に到達する空気の流速分布を略均一に保つことができる。
案内板41乃至44の形状を工夫した箇所について、図2を再び参照しながら更に詳しく説明する。小流路410等の上流側端部の近傍においては、フラットパネル30、案内板41乃至44、及び天板21は、互いに平行となっている。また、当該部分においては、互いに隣り合う案内板同士の間隔、及び案内板44と天板21との間隔は、全て等しくなっている。
図2においては、小流路410の上流側端部における開口(入口)の断面を、点線DI1で示している。同様に、小流路420の上流側端部における開口の断面を点線DI2で示し、小流路430の上流側端部における開口の断面を点線DI3で示し、小流路440の上流側端部における開口の断面を点線DI4で示している。点線DI1乃至DI4は、それぞれの長さが互いに等しい。以上のような構成により、小流路410乃至420のそれぞれの流路断面積は、入口側においては互いに等しくなっている。
一方、小流路410等の下流側端部(空間SP側の端部)の近傍においては、案内板41と案内板42との間隔が最も広くなっており、案内板44と天板21との間隔が最も狭くなっている。小流路410乃至420のそれぞれの流路断面積は、出口側においては互いに等しくなっておらず、内側(案内板41側)から外側(天板21側)に行くに従って次第に狭くなっている。
図2においては、小流路410の下流側端部における開口(出口)の断面を、点線DO1で示している。同様に、小流路420の下流側端部における開口の断面を点線DO2で示し、小流路430の下流側端部における開口の断面を点線DO3で示し、小流路440の下流側端部における開口の断面を点線DO4で示している。上記の説明で明らかなように、点線DO1乃至DO4は、点線DO1が最も長く、点線DO4が最も短くなっている。
ここで、それぞれの小流路410等について、その入口部の流路断面積に対する出口部の流路断面積の比率を、当該小流路の「断面積拡大率」と定義する。小流路410の断面積拡大率が最も大きくなっており、小流路420の断面積拡大率が2番目に大きくなっており、小流路430の断面積拡大率が3番目に大きくなっており、小流路440の断面積拡大率が最も小さくなっている。すなわち、内側(中心線CAに近い側)に形成されている小流路の断面積拡大率の方が、外側(中心線CAから遠い側)に形成されている小流路の断面積拡大率よりも大きくなっている。尚、本実施形態においては、それぞれの断面積拡大率の値がすべて1よりも小さくなっている。
ところで、各小流路410等についての流路断面積の大小関係は、図2における点線DI1等の長短によって単純に定まるものではない点に留意が必要である。これについて、図5を参照しながら説明する。図5は、案内板41と案内板42とによって区画された小流路410の形状を模式的に示したものである。図5に示されるように、小流路410の入口部における流路断面積は、図2における点線DI1を中心線CAの周りに回転させて得られる面FG1の面積となる。また、小流路410の出口部分における流路断面積は、図2における点線DO1を中心線CAの周りに回転させて得られる面FG2の面積となる。
面FG1の面積と面FG2の面積との大小関係は、点線DI1と点線DO1の長短のみにより定まるものではない。仮に、点線DI1が点線DO1よりも短かったとしても、中心線CAからの距離については点線DI1の方が大きいため、面FG1の面積(入口部分における流路断面積)の方が、面FG2の面積(出口部分における流路断面積)よりも大きくなる。図5には、小流路410のみを図示したが、他の小流路(420乃至440)の流路断面積の大小についても、同様である。
図2に戻って説明を続ける。それぞれの小流路410等は、いずれも入口部から出口部に近づくほどその流路断面積が小さくなっている。このため、各小流路を通る空気は、下流側に行くにしたがって次第にその流速が速くなる。また、本実施形態においては、上記のように、内側(中心線CAに近い側)に形成されている小流路の断面積拡大率の方が、外側(中心線CAから遠い側)に形成されている小流路の断面積拡大率よりも大きくなっている。
従って、それぞれの小流路410等を流れる空気の流速は、入口部においてはほぼ同一の流速となっているのであるが、出口部においては、最も断面積拡大率の小さい小流路440の流速が最も大きくなっている。
このような構成により、最も流速が小さくなる傾向のある羽根54の上端部近傍に向けて、流速が比較的大きい空気が供給される。一方、最も流速が大きくなる傾向のある羽根54の下端部近傍に向けて、流速が比較的小さい空気が供給される。その結果、羽根54に到達する空気の流速の分布が、より均一なものとなっている。
尚、本実施形態においては、案内板41乃至44が、ケース20の外部から内部に亘るように配置された構成となっているが、ケース20の内部のみに案内板が配置された構成としてもよい。すなわち、図2に示した案内板41乃至44のうち、天板21よりも下方側の部分のみが存在するような構成としてもよい。このような態様であっても、空間SPにおいて屈曲する空気の流れを案内板41乃至44によって案内して、羽根54に到達する空気の流速分布を略一様なものとすることができる。
逆に、ケース20の外部のみに案内板が配置された構成としてもよい。すなわち、図2に示した案内板41乃至44のうち、天板21よりも上方側の部分のみが存在するような構成としてもよい。このような態様であっても、吸引口22に流入する際に屈曲する空気の流れを案内板41乃至44によって案内して、羽根54に到達する空気の流速分布を略一様なものとすることができる。この場合、(案内板41等が存在しない)空間SPにおいても空気が屈曲して流れることに鑑みて、最も内側の小流路410から空間SPに向かう空気の流速が、最も外側の小流路440から空間SPに向かう空気の流速よりも遅くなるように構成することが望ましい。
また、本実施形態においては4枚の案内板41乃至44を備える構成となっているが、案内板の枚数は適宜変更してもよい。例えば、複数の案内板ではなく単一の案内板を備える構成としてもよい。
続いて、本発明の第二実施形態に係る送風機10Aについて、図6を参照しながら説明する。送風機10Aは、フラットパネルを有さない点、及び案内板の形状において送風機10と異なっているが、他の構成は送風機10と同一となっている。このため、以下では送風機10Aの送風機10と異なる構成についてのみ説明する。
送風機10Aは、中心線CAを囲むように配置された4枚の案内板41A乃至44Aを備えている。案内板41A乃至44Aは、いずれもその断面が中心線CAの周りに線対称な形状となっている。
案内板44Aは、最も外側に配置されており、その外周面が吸引口22の縁に接している。案内板44Aのうちケース20の外部に配置されている部分、すなわち、図6において天板21よりも上方側の部分は、吸引口22側(すなわち下方側)に設けられる小径部441Aと、小径部441Aを挟んで吸引口22とは反対側(すなわち上方側)に設けられる大径部442Aとを有しており、これによりその全体がホーン型となっている。また、案内板44Aの一部は吸引口22に挿通されている。案内板44Aのうち小径部441Aから大径部442Aまでの部分が、本発明における第2部分に該当する。
案内板43Aは、案内板44Aよりも内側(中心線CA側)に配置されている。案内板43Aのうちケース20の外部に配置されている部分、すなわち、図6において天板21よりも上方側の部分は、吸引口22側(すなわち下方側)に設けられる小径部431Aと、小径部431Aを挟んで吸引口22とは反対側(すなわち上方側)に設けられる大径部432Aとを有しており、これによりその全体がホーン型となっている。案内板43Aのうち小径部431Aから大径部432Aまでの部分が、本発明における第2部分に該当する。
案内板43Aの一部は吸引口22に挿通されている。案内板43Aのうちケース20の内部に配置されている部分、すなわち、図6において天板21よりも下方側の部分は、吸引口22側(すなわち上方側)に設けられる小径部433Aと、小径部433Aを挟んで吸引口22とは反対側(すなわち下方側)に設けられる大径部434Aとを有しており、これによりその全体がホーン型となっている。案内板43Aのうち小径部433Aから大径部434Aまでの部分が、本発明における第1部分に該当する。
案内板42A、41Aは、いずれも案内板43Aと略同様の形状を有している。ただし、最も内側に配置されている案内板41Aについては、ケース20の外部に配置されている部分の形状がホーン型とはなっておらず、上方側から下方側まで同一の径を有する形状、すなわち円筒型となっている。また、本実施形態においては、案内板41A乃至44Aは、それぞれの上端位置から天板21までの距離(高さ)が全て同一となっている。
案内板41Aと案内板42Aとの間には、これらによって区画された小流路410Aが形成されている。案内板42Aと案内板43Aとの間には、これらによって区画された小流路420Aが形成されている。案内板43Aと案内板44Aとの間には、これらによって区画された小流路430Aが形成されている。
本実施形態においても、吸引口22のうち内側を通過する空気の流れと、外側を通過する空気の流れとが、案内板41A乃至44Aによって分離されている。
図2の場合と同様に、図6においては、小流路410Aの上流側端部における開口(入口)の断面を、点線DI1Aで示している。同様に、小流路420Aの上流側端部における開口の断面を点線DI2Aで示し、小流路430Aの上流側端部における開口の断面を点線DI3Aで示している。上記の説明で明らかなように、点線DI1A乃至DI3Aは、それぞれの長さが互いに等しい。
一方、小流路410A等の下流側端部(空間SP側の端部)の近傍においては、案内板44Aと案内板43Aとの間隔が最も狭くなっており、案内板42Aと案内板41Aとの間隔が最も広くなっている。
図6においては、小流路410Aの下流側端部における開口(出口)の断面を、点線DO1Aで示している。同様に、小流路420Aの下流側端部における開口の断面を点線DO2Aで示し、小流路430Aの下流側端部における開口の断面を点線DO3Aで示している。上記の説明で明らかなように、点線DO1A乃至DO3Aは、点線DO3Aが最も短く、点線DO1Aが最も長くなっている。
本実施形態においても、最も内側の流路である小流路410Aの断面積拡大率が最も大きくなっている。また、その外側の流路である小流路420Aの断面積拡大率が2番目に大きくなっており、最も外側の流路である小流路430Aの断面積拡大率が最も小さくなっている。
本実施形態においては、小流路430Aの断面積拡大率の値が1よりも小さく、小流路420Aの断面積拡大率の値も1よりも小さい。つまり、小流路430A及び小流路420Aについては、それぞれの出口部における流路断面積が、入口部における流路断面積よりも小さくなっている。
一方、小流路410Aの断面積拡大率の値は1よりも大きくなっている。つまり、小流路410Aの出口側における流路断面積(点線DO1Aを中心線CAの周りに回転させて得られる面の面積であり、図7の面FG2Aの面積である)が、小流路410Aの入口側における流路断面積(点線DI1Aを中心線CAの周りに回転させて得られる面の面積であり、図7の面FG1Aの面積である)よりも大きくなっている。尚、図7は、案内板41Aと案内板42Aとによって区画された小流路410Aの形状を模式的に示したものである。
以上のように、最も外側に形成されている小流路430Aの断面積拡大率の値が1よりも小さく、最も内側に形成されている小流路410Aの断面積拡大率の値が1よりも大きい。このような構成とすることにより、小流路430Aの出口部における流速は、入口部における流速よりも大きくなる。一方、小流路410Aの出口部における流速は、入口部における流速よりも小さくなる。その結果、最も流速が小さくなる傾向のある羽根54の上端部近傍に向けて、流速が比較的速い空気が供給される。一方、最も流速が速くなる傾向のある羽根54の下端部近傍に向けて、流速が比較的遅い空気が供給される。その結果、羽根54に到達する空気の流速の分布が、より均一なものとなっている。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。