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JP6156427B2 - 積層塗膜及び塗装物 - Google Patents

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Description

本発明は積層塗膜及び塗装物に関する。
一般に自動車の車体や自動車の部品等の基材表面には複数の塗膜が重ねられて基材の保護及び外観の向上が図られている。例えば、特許文献1には、彩度及び明度が高く且つ光輝感を有する金色(ゴールド)の外観を得るために、着色アルミ顔料、アルミ顔料及び着色顔料を含む光輝性ベース塗膜にクリヤ塗膜を積層した塗膜構成とすることが記載されている。その着色アルミ顔料は、アルミフレークに酸化鉄を含む被覆成分を蒸着した鱗片状光輝性顔料とされ、着色アルミ顔料の色相をマンセル色相環100の基準(0位置)としたときに、着色顔料は、左回り−50および右回り+50で表示した色相の−3〜−15の色相範囲の顔料と、+3〜+15の色相範囲の顔料の2種類を少なくとも含む構成とされている。また、上記クリヤ塗膜には着色顔料を配合することができるとされている。
特開2011−251252号公報
ところで、図1に示すように、光輝材(例えば、アルミフレーク)1を含有する光輝性層2に顔料3を含有する透光性を有する着色層(例えば、カラークリヤ層)4を積層した場合、着色層4の厚さの不均一に起因して色むらを生ずることがある。すなわち、着色層4が厚いところと薄いところでは光の吸収度合が異なり、その結果、明るい部分と暗い部分ができて色の調子や濃淡に不揃いを生ずる。
その対策として、図2に示すように、光輝性層2に着色層4と同色系の顔料3を入れて色むらを抑制する手法が知られている。しかし、同図に示すように、顔料3が光輝性層2の全体に均一に分散されるとは限らず、顔料3の偏在がみられるのが通常である。例えば、光輝性層2の表層部において、光輝材1の上の顔料3の量が多い箇所と、光輝材1の上の顔料3の量が少ない箇所とを生ずる。その場合、顔料3が多い箇所では光輝材1による光の反射が弱くなり(暗くなり)、顔料3が少ない箇所では光輝材1による光の反射が強くなる(明るくなる)。このように、光輝性層2に顔料3を入れた場合でも、色むらは必ずしも解消されない。
また、図2に示すように、光輝性層2における顔料3の偏在によって、光輝材1が光輝性層2の表面に対して平行に配向せず、一部の光輝材1が傾斜した状態になって全体的に或いは部分的に輝度が低下するという問題もある。
そこで、本発明は、光輝性層を有する積層塗膜において、色の調子や濃淡にむらができることを抑制するとともに、フリップフロップ性を向上させる。
本発明は、上記課題を解決するために、光輝性層の光輝材に特殊な着色フレークを採用した。
本発明に係る積層塗膜は、光輝材を含有する光輝性層を備え、この光輝性層が、上記光輝材として、光輝性フレークの表面が、可視光線の全光線透過率が相違する複数種の着色材によって覆われた着色フレークを含有し、上記全光線透過率が相違する複数種の着色材は上記光輝性フレークの表面に斑になって付着していることを特徴とする。
この態様によれば、光輝性層に光が入射したとき、着色フレークの着色材によって該着色材固有の波長の光が反射され、他の波長の光はその着色材に吸収される。そうして、着色フレークの全光線透過率が低い着色材が付着した部分では光が強く吸収される一方、全光線透過率が高い着色材が付着した部分では光が該着色材を透過して光輝性フレームに達し易いことから、光輝性フレークによる光の正反射が強くなる。
また、この態様において、光の反射角度(着色フレークの表面の垂線と反射方向のなす角度)が大きくなると、光輝性フレークに散らばって付着している全光線透過率が低い着色材によって反射光が遮られ、反射光は弱くなる。特に、シェード側(正反射方向から離れた反射光が弱い入射側)では、反射光強度が小さくなる。
このように、本発明によれば、光輝性層の着色フレークが光を反射させる機能を有するだけでなく、光を吸収する機能を有するため、光輝性層の上に透光性を有する着色層(例えば、カラークリヤ塗膜)を重ねることは必ずしも要しない。よって、従来の着色層の厚さの不均一に起因して色むらの発生を防止することが可能になる。しかも、光輝性フレークによる反射光強度が反射角度によって大きく変化するから、フリップフロップ性が強くなる。
ましい実施形態では、上記着色材として、上記全光線透過率が相違する2種の着色材を備え、上記着色フレークにおける上記全光線透過率が高い着色材の面積率が25%以上80%以下とされる。これにより、着色フレークを使用しながら、FI(フロップインデックス)値を高くすることができ、フリップフロップ性の向上に有利になる。
好ましい実施形態では、上記着色材は、粒状であって、その平均粒子径が300nm以下とされる。これにより、着色フレークは、粒状着色材による乱反射が減るため、高輝度になり、フリップフロップ性の向上に有利になる。
ここに、本発明は、上記光輝性層の上に上記着色材と同色系の着色材を含有する着色層を重ねることを排除するものではない。そのような着色層を設ける場合でも、その着色層を透過して光輝性層に入射した光が着色フレークによって吸収・反射されるため、色むらを生ずることが抑制される。
また、本発明によれば、着色フレークによって色むらを抑制するから、光輝性層に顔料を添加することは必ずしも要しないが、必要に応じて少量の顔料を光輝性層に添加することを妨げるものではない。但し、光輝性層に顔料を添加する場合、その顔料濃度はPWCで5.0%以下とすることが好ましい。光輝性層の顔料濃度を低くする又は零とすることにより、光輝材の上に顔料が偏在することによる色むらの発生が抑えられ、また、光輝材の配向が顔料によって乱されることが少なくなり、輝度の確保に有利になる。
上記光輝性フレークとしては、アルミ箔を粉砕して得られるアルミフレークを採用すること、さらには、薄い基材にアルミニウムを蒸着したフィルムを粉砕することで得られる、表面の平滑度を高めた蒸着アルミフレークを採用することが、輝度を高めて金属質感を得る上で好ましい。
好ましい実施形態では、上記着色材は赤や黒等の濃色系(マンセル明度が5以下)、特に黒色系とされる。すなわち、図1及び図2に示すように着色層に黒色顔料を添加して黒色を発現させる場合、着色層における光の吸収度合が該着色層の厚さの不均一によって部分的に異なり、色むら(特に濃淡)を生じ易い。このような色むら防止の観点から、光輝性層の着色フレームに濃色系の着色材を採用することが有意義になる。
好ましい実施形態では、上記光輝性層が上記着色材と同色系の着色下地層の上に積層される。
光輝性層の着色フレークの厚さが薄い場合、積層塗膜に入射する光が着色フレークを透過して下地で反射される。その場合、その下地の色が外観の塗色に影響を及ぼす。すなわち、塗色に濁りが出る。そこで、下地層を上記着色層と同色系の着色下地層とするものである。これにより、塗色の濁りが抑えられ、緻密感、深み感、金属質感が高くなる。
ここに、無彩色において同色系とは、比較対象色のマンセル値での明度差が5.0以下であることであり、有彩色において同色系とは、マンセル色相環を100分割して比較対象色の一方の色相を基準(0位置)とし、左廻り+50、右廻り−50で表示したとき、比較対象色の他方の色相が±10の色相範囲にあることである
好ましい実施態様では、上記光輝性層の上に透明クリヤ層が直接積層される。すなわち、図1及び図2に示す着色層を省略するものであり、これにより、色むら発生の防止に有利になるとともに、透明クリヤ層によって耐酸性や耐擦り傷性を得ることができる。
被塗物に上記積層塗膜を備えた塗装物としては、例えば、自動車のボディがあり、また、自動二輪車、その他の乗物のボディであってもよく、或いはその他の金属製品であってもよい。
本発明によれば、光輝性層の着色フレークが光を反射させる機能を有するだけでなく、光を吸収する機能を有するため、光輝性層の上に透光性を有する着色層を重ねることは必ずしも要さず、よって、従来の着色層の厚さの不均一に起因して色むらの発生を防止することが可能になり、しかも、光輝性フレークによる反射光強度が反射角度によって大きく変化するから、フリップフロップ性の向上に有利になる。
積層塗膜の従来例を模式的に示す断面図。 別の従来例を模式的に示す断面図。 本発明の実施形態に係る積層塗膜を模式的に示す断面図。 着色フレークの一例を模式的に示す断面図。 同着色フレームを模式的に示す平面図。 着色フレークの別の例を模式的に示す断面図。 同着色フレームを模式的に示す平面図。 赤顔料を使用した露出型着色フレークにおけるアルミフレーク露出面積率及び顔料粒径が光線反射率に及ぼす影響を示すグラフ図。 黒顔料を使用した露出型着色フレークにおけるアルミフレーク露出面積率及び顔料粒径が光線反射率に及ぼす影響を示すグラフ図。 FI値の算出に用いる反射光の説明図。 露出型着色フレークのアルミフレーク露出面積率及び顔料粒径がFI値に与える影響を示すグラフ図。 露出面積率40%の露出型着色フレークにおいて着色材による反射光の遮蔽度が反射角度によって異なることを説明する図。 混在型着色フレークにおける黒顔料2の面積率及び顔料粒径が光線反射率に及ぼす影響を示すグラフ図。 混在型着色フレークの黒顔料2の面積率及び顔料粒径がFI値に与える影響を示すグラフ図。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
<積層塗膜の構成例>
図3に示すように本実施形態の自動車の車体(鋼板)11の表面に設けられた積層塗膜12は、着色下地層14、光輝性層15及び透明クリヤ層16を順に積層してなる。車体11の表面にはカチオン電着塗装によって電着塗膜(下塗り)13が形成され、電着塗膜13の上に上記積層塗膜12が設けられている。この積層塗膜12において、着色下地層14は中塗りに相当し、光輝性層15及び透明クリヤ層16は上塗りに相当する。
着色下地層14には、濃色系顔料21が分散している。光輝性層15には、光輝材としての着色フレーク22が分散している。顔料21としては、例えば、平均粒径が300nm以上500nm以下のカーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック等の黒顔料、或いはペリレンレッド等の赤顔料など種々の色相の顔料を採用することができる。着色フレーク22の着色材としては、着色下地層14の顔料21と同色系の顔料等が採用される。
光輝性層15の着色フレーク22は、当該光輝性層表面と略平行になるように配向されている。着色フレーク22を含有する塗料を着色下地層14の上に塗布した後、焼付けによる溶剤の蒸発によって塗膜が体積収縮して薄くなることを利用して、着色フレーク22を物理的に平らに並べる。
着色下地層14の樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂を採用することができ、光輝性層15の樹脂成分としては、例えば、アクリル系樹脂を採用することができ、透明クリヤ層16の樹脂成分としては、例えば酸エポキシ硬化型アクリル樹脂を採用することができる。
<着色フレーク>
次に着色フレーク22について説明する。以下に説明する「露出型着色フレーク」及び「混在型着色フレーク」のうちの前者は参考形態に係る着色フレークであり、後者が本発明の実施形態に係る着色フレークである。
[露出型着色フレーク]
図4及び図5に着色フレーク22の一例として着色フレーク22Aを示す。この着色フレーク22Aは、光輝性フレークとしてのアルミフレーク25の表面に、粒状着色材(顔料)26が散らばって付着し、アルミフレーク25が部分的に露出したものであり、着色材26が付着したアルミフレーク全体が樹脂コート層27で覆われている。この着色フレーク22Aはアルミフレークが部分的に露出しているから、これを便宜上「露出型着色フレーク」という。この露出型着色フレーク22Aは例えば次の浸漬法や蒸着法によって製造することができる。
[浸漬法]
着色材、シランカップリング剤及び溶剤を混合し、ボールミルによる分散処理を行なう。その中にアルミフレークのペースト及び溶剤を添加し、さらにボールミルによる分散処理を行なう。得られたスラリーに溶剤を加えて分散用ホールを除き、そのまま放置することにより、着色材が付着したアルミフレークを沈澱させ、溶剤を除去する。
次に、得られたアルミフレークを樹脂で被覆するために、該着色アルミフレークを炭化水素系あるいはアルコール系溶媒に分散したスラリーにアクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のモノマーと過酸化ベンゾイル、過酸化イソブチル等の重合開始剤を添加し、加熱撹拌してモノマーを重合させることで表面に析出させる。
上記浸漬法において、着色材としてカーボンブラックを採用し、カーボンブラックを1g、シランカップリング剤を0.5g、溶剤(ミネラルスプリット)を10g、アルミフレークのペースト(アルミフレーク;平均粒径:30μm、平均厚さ:1μm)を10gとしたところ、カーボンブラックがアルミフレークに散らばって付着し、そのアルミフレークの露出面積率は60%であった。
[蒸着法]
これは、粉体流動化装置及び抵抗加熱装置を備えた真空容器内において、アルミフレークを流動化させながら、着色材を蒸発させてアルミフレークに付着せしめる方法である。粉体流動化装置としては、例えば、バレル型回転式真空チャンバーを備えた回転式流動化装置を使用する。抵抗加熱装置は、例えば、直流電源、一対の銅電極及びステンレス網の抵抗体から構成し、銅電極は直流電源から真空チャンバー内部に引き込まれた電線に接続する。ステンレス網の抵抗体は、真空チャンバーの中央に位置するように、銅電極にボルトで固定する。
アルミフレークをアセトンに分散したスラリーを吸引濾過し、次いで200℃で熱風乾燥することにより、アルミフレークの乾燥粉末を得る。真空チャンバー内にアルミフレークを充填し、ステンレス網に着色材を包む。真空チャンバー内の真空度を10−4torr以下まで下げる。真空チャンバーをローターにより回転させ、アルミフレークを流動させながら、電極に電流を流し、顔料を加熱し蒸発させる。蒸発終了後、アルミフレークを室温付近まで冷却する。これにより、着色材が散らばって付着したアルミフレークが得られる。
次に、得られたアルミフレークを樹脂で被覆するために、該着色アルミフレークを炭化水素系あるいはアルコール系溶媒に分散したスラリーにアクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のモノマーと過酸化ベンゾイル、過酸化イソブチル等の重合開始剤を添加し、加熱撹拌してモノマーを重合させることで表面に析出させる。
上記蒸着法において、着色材としてカーボンブラックを採用し、カーボンブラックを10g、アルミフレーク(平均粒径:30μm、平均厚さ:1μm)を20gとし、電極への通電を10V、40Aとし、加熱蒸発時間を60分としたところ、カーボンブラックがアルミフレークに散らばって付着し、そのアルミフレークの露出面積率は50%であった。
上記浸漬法及び蒸着法において、着色材とアクリルビーズ等の透光性ビーズとを混合してアルミフレークにその全面を覆うように付着させてもよい。この場合でも、着色材がアルミフレークに散らばって付着し、アルミフレークの透光性ビーズが付着した部分はその透光性ビーズを通してアルミフレークが光学的に露出した状態になるから、得られた着色フレークは露出型着色フレークということができる。
[混在型着色フレーク]
図6及び図7に着色フレーク22の別の例として着色フレーク22Bを示す。この着色フレーク22Bは、アルミフレーク25の表面が可視光線の全光線透過率の相違する2種類の粒状着色材28,29によって覆われ、さらに、着色材28,29が付着したアルミフレーク全体が樹脂コート層27で覆われたものである。全光線透過率が相違する2種類の着色材28,29はアルミフレーク25の表面に斑になって付着している。この着色フレーク22Bは複数種の着色材が混在しているから、これを便宜上「混在型着色フレーク」という。
この混在型着色フレーク22Bも上記浸漬法や上記蒸着法によって調製することができる。浸漬法を採用する場合、複数種の着色材をシランカップリング剤及び溶剤と混合してボールミルによる分散処理を行なう点が露出型着色フレークの場合と相違するだけで、他は同様にして混在型着色フレークを調製することができる。蒸着法を採用する場合、ステンレス網に複数種の着色材を混合して包む点が露出型着色フレークの場合と相違するだけで、他は同様にして混在型着色フレークを調製することができる。
浸漬法において、着色材として全光線透過率が相違するカーボンブラックとアニリンブラックを採用し、カーボンブラックを0.5g、アニリンブラックを0.5g、シランカップリング剤を0.5g、溶剤(ミネラルスプリット)を10g、アルミフレークのペースト(アルミフレーク;平均粒径:30μm、平均厚さ:1μm)を10gとしたところ、カーボンブラックとアニリンブラックがアルミフレークに斑に付着し、アルミフレークの表面に占めるアニリンブラックの面積率は60%であった。
蒸着法において、着色材としてカーボンブラックとアニリンブラックを採用し、カーボンブラックを15g、アニリンブラックを15g、アルミフレーク(平均粒径:30μm、平均厚さ:1μm)を20gとし、電極への通電を10V、40Aとし、加熱蒸発時間を60分としたところ、カーボンブラックとアニリンブラックがアルミフレークに斑に付着し、アルミフレークの表面に占めるアニリンブラックの面積率は50%であった。
ここに、カーボンブラックの屈折率は1.8、アニリンブラックの屈折率は1.58である。屈折率が小さい方が全光線透過率が高いことから、屈折率が相違する着色材のアルミフレークにおける占有面積比率を制御することによって、混在型着色フレークの反射光特性を調整することができる。
<露出型着色フレークの光反射特性>
露出型着色フレークに関し、アルミフレークの露出面積率及び着色材粒径が光線反射率に及ぼす影響を調べた。光線反射率は、着色フレークの表面の垂線を基準とする入射角度10゜での正反射率(反射角度10゜)であり、入射光の波長は630nmとした。
赤顔料として屈折率2.02のペリレンレッドを用いたケースを図8に、黒顔料として屈折率1.8のカーボンブラックを用いたケースを図9に示す。いずれのケースも、露出面積率が大きくなるほど反射率が大きくなっており、また、平均粒径が200nmを超えて大きくなってくると、反射率が大きく低下している。
<露出型着色フレークの露出面積率等がFI値に与える影響>
着色材として、平均粒径が200nmのカーボンブラックと、平均粒径が400nmのカーボンブラックの2種類を準備し、光輝性フレークとしてアルミフレークを準備し、露出面積率が異なる複数種の露出型着色フレークを作成した。それらの露出型着色フレークを用いて基板上に光輝性層を形成し、その上に透明クリヤ層を形成した複数のサンプルを作成した。光輝性層は、着色フレークを分散させたアクリル系ベース塗料をスプレー塗装することによって形成した。着色フレークは光輝性層表面と略平行に配向するようにし、且つ基板が個々の着色フレークの間から露出しないようにした。透明クリヤ層はアクリル系クリヤ塗料のスプレー塗装によって形成した。
得られたサンプルは、各々光輝性層が含有する露出型着色フレークの着色材の平均粒径及びアルミフレーク露出面積率が相違する。そうして、それら各サンプルのFI(フロップインデックス)値を測定した。
FI値は、図10に示すように、サンプル31の表面に対して該表面の垂線から45゜傾けた角度で光を入射したときの、正反射方向から入射方向側に45°傾けた反射光(45゜反射光)の明度指数L*45°と、正反射方向から入射方向側に15°傾けた反射光(15゜反射光)の明度指数L*15°と、正反射方向から入射方向側に110°傾けた反射光(110゜反射光)の明度指数L*110°とに基いて、次式により求められる値である。
FI=2.69×(L*15°−L*110°)1.11/L*45°0.86
測定結果を図11に示す。平均粒径が200nmのケース及び400nmのケースのいずれも、露出面積率が零から大きくなるに従ってFI値が大きくなり、露出面積率50%〜60%付近でFI値がピークになった後は露出面積率が大きくなるに従ってFI値が低下するという傾向になった。
露出面積率が零から大きくなるに従ってFI値が大きくなっているのは、アルミフレークの露出面積が広くなるに従って15゜反射光が強くなっていくためと認められる。一方、FI値が露出面積率50%〜60%付近でピークになり、その後は露出面積率が大きくなるに従ってFI値が低下しているのは、アルミフレークの露出が大きくなり過ぎると、着色材による110゜反射光の遮蔽度が低下していくためと認められる。
ここで、着色材による反射光の遮蔽度について検討する。図12(a)〜(d)は、着色材による反射光の遮蔽度が反射角度によって異なることを説明する図である。着色材が全て球形で且つ均一な粒径を有すると仮定して、着色材の模型としてガラス玉を採用した。ガラス玉複数個をプレートの上にプレートの露出面積率が40%となるように略均等間隔で配置した。そうして、伏角を変化させ、各伏角におけるガラス玉の間からプレートが覗く大きさを撮影によって調べた。図12(a)は伏角20゜(115゜反射光の方向)のケース、図12(b)は伏角30゜(105゜反射光の方向)のケース、図12(c)は伏角45゜(90゜反射光の方向)のケース、図12(d)は伏角90゜(45゜反射光の方向)のケースである。
図12によれば、伏角が小さくなるに従って、ガラス玉の間から覗くプレート面が小さくなり、伏角20゜(115゜反射光の方向)では、プレートが見えなくなっている。伏角が小さくなるに従ってプレートが見えにくくなるということは、これを着色フレークに置き換えて考察すれば、例えば、アルミフレークによる110゜反射光は、着色材に遮られて反射光強度がかなり小さくなること、従って、FI値が大きい(フリップフロップ性が強い)ことを意味する。
そうして、図12は露出面積率が40%のケースであるが、露出面積率が大きくなると、着色材による反射光の遮蔽度がそれだけ低下する。このため、図11に示すように、露出面積率が60%を超えて大きくなると、FI値が低下する傾向になるものと認められる。露出面積率100%ではアルミフレーク自体のFI値になっている。
また、図11において、平均粒径が200nmであるときFI値が400nmである時のFI値よりも大きいのは、粒径が小さくなるほど光が着色材を透過し易くなる、つまり、着色材による光の乱反射が弱くなるためと認められる。
図11の結果によれば、大きなFI値を実現するためには、露出面積率を20%以上85%以下程度にすること(平均粒径200nmではFI値が30以上になる)、そして、着色材の平均粒径を小さくすること、例えば300nm以下にすることが好ましいことがわかる。
<混在型着色フレークの光反射特性>
2種の着色材混在型着色フレークに関し、全光線透過率が高い着色材の面積率(アルミフレークの表面積に占める当該着色材の面積率)及び当該2種の着色材の粒径が光線反射率に及ぼす影響を調べた。光線反射率の測定条件は先の露出型着色フレークの場合と同じである。
全光線透過率が低い着色材として屈折率1.8のカーボンブラックを用い、全光線透過率が高い着色材として屈折率が1.58のアニリンブラックを用いたケースを図13に示す。このケースにおいても、アニリンブラックの面積率が大きくなるほど反射率が大きくなっており、また、平均粒径が200nmを超えて大きくなってくると、反射率が大きく低下している。
<混在型着色フレークの着色材面積率等がFI値に与える影響>
着色材として、各々平均粒径が200nmのカーボンブラック及びアニリンブラックと、各々平均粒径が400nmのカーボンブラック及びアニリンブラックを準備し、光輝性フレークとしてアルミフレークを準備し、着色材の平均粒径及びアニリンブラックの面積率が異なる複数種のカーボンブラック・アニリンブラック混在型着色フレークを作成した。それらの露出型着色フレークを用いて基板上に光輝性層を形成し、その上に透明クリヤ層を形成した複数のサンプルを作成した。光輝性層は、着色フレークを分散させたアクリル系ベース塗料をスプレー塗装することによって形成した。着色フレークは光輝性層表面と略平行に配向するようにし、且つ基板が個々の着色フレークの間から露出しないようにした。透明クリヤ層はアクリル系クリヤ塗料のスプレー塗装によって形成した。
得られたサンプルは、各々光輝性層が含有する露出型着色フレークの着色材の平均粒径及びアニリンブラックの面積率が相違する。そうして、それら各サンプルのFI値を測定した。
測定結果を図14に示す。平均粒径が200nmのケース及び400nmのケースのいずれも、アニリンブラックの面積率が零から大きくなるに従ってFI値が大きくなり、面積率50%〜60%付近でFI値がピークになった後はその面積率が大きくなるに従ってFI値が低下するという傾向になった。
アニリンブラックの面積率が零から大きくなるに従ってFI値が大きくなっているのは、全光線透過率が高いアニリンブラックの占有面積が広くなるに従ってアルミフレークによる反射光が強くなっていくためと認められる。一方、FI値が面積率50%〜60%付近でピークになり、その後は面積率が大きくなるに従ってFI値が低下しているのは、アニリンブラックの占有面積が大きくなり過ぎると、アルミフレークからの反射光のカーボンブラックによる遮蔽度が低下していくためと認められる。
また、露出型着色フレークの場合と同じく、平均粒径が200nmであるときFI値が400nmである時のFI値よりも大きくなっている。
図14の結果によれば、大きなFI値を実現するためには、全光線透過率が高い着色材の面積率を25%以上80%以下程度にすること(平均粒径200nmではFI値が30以上になる)、そして、着色材の平均粒径を小さくすること、例えば300nm以下にすることが好ましいことがわかる。
なお、上記実施形態は、着色材として、赤顔料又は黒顔料を使用した例であるが、本発明は赤及び黒以外の色相の着色材を採用することもできる。
11 車体(鋼板)
12 積層塗膜
13 電着塗膜
14 着色下地層
15 光輝性層
16 透明クリヤ層
21 顔料
22 着色フレーク
22A 着色フレーク
22B 着色フレーク
25 アルミフレーク(光輝性フレーク)
26 着色材
27 樹脂コート層
28 着色材(全光線透過率が低い)
29 着色材(全光線透過率が高い)

Claims (9)

  1. 光輝材を含有する光輝性層を備えた積層塗膜であって、
    上記光輝性層は、上記光輝材として、光輝性フレークの表面が可視光線の全光線透過率の相違する複数種の着色材によって覆われた着色フレークを含有し、
    上記全光線透過率が相違する複数種の着色材は上記光輝性フレークの表面に斑になって付着していることを特徴とする積層塗膜。
  2. 請求項1において、
    上記着色材として、全光線透過率が相違する2種の着色材を備え、
    上記着色フレークにおける上記全光線透過率が高い着色材の面積率が25%以上80%以下であることを特徴とする積層塗膜。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    上記着色材は、粒状であって、その平均粒子径が300nm以下であることを特徴とする積層塗膜。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    上記光輝性フレークがアルミフレークであることを特徴とする積層塗膜。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    上記着色材はマンセル明度が5以下である濃色系であることを特徴とする積層塗膜。
  6. 請求項5において、
    上記着色材が黒色系であることを特徴とする積層塗膜。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
    上記光輝性層が上記着色材と同色系の着色下地層の上に積層されており、
    上記同色系とは、無彩色の場合は、比較対象色のマンセル値での明度差が5.0以下であることであり、有彩色の場合は、マンセル色相環を100分割して比較対象色の一方の色相を基準(0位置)とし、左廻り+50、右廻り−50で表示したとき、比較対象色の他方の色相が±10の色相範囲にあることであることを特徴とする積層塗膜。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
    上記光輝性層の上に透明クリヤ層が直接積層されていることを特徴とする積層塗膜。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載された積層塗膜を備えていることを特徴とする塗装物。
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