JP6151212B2 - 低温作動型の固体酸化物形燃料電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description
これに関連する技術として、例えば特許文献1,2には、アノードの上層部(固体電解質層と対向する側の表面)にアクティブ層(活性層や触媒層とも言う。)と呼ばれる高活性な層を備えるアノード支持型のSOFCが開示されている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アノードアクティブ層を備えるアノード支持型の固体酸化物形燃料電池(SOFC)であって、優れた発電性能を発揮し得る低温(例えば500℃〜700℃程度)作動型の該電池を提供することにある。関連する他の目的は、かかるSOFCの製造方法を提供することにある。
(S10)アノード支持体グリーンシートの表面に、アノードアクティブ層グリーンシートと固体電解質層グリーンシートとをこの順に形成して積層グリーンシートを得ること、ここで、上記固体電解質層グリーンシートは上記カソードと対向する側の表面に反応抑止層グリーンシートを包含するか若しくは包含しない;
(S20)上記積層グリーンシートを焼成してハーフセルを得ること;
を包含する。ここで、上記ハーフセルは、上記アノードアクティブ層の平均厚みをA(μm)とし、上記アノードアクティブ層の気孔率をB(体積%)とし、上記固体電解質層の平均厚みをC(μm)とし、上記固体電解質層の気孔率をD(体積%)としたときに、次の条件:(1)上記アノードアクティブ層の平均厚みAが、20μm≦A≦80μm;(2)次式:P=A÷C×B÷Dにより算出される制御パラメータPが、20≦P≦120;を満たすよう作製する。
かかる態様において、固体電解質層に反応抑止層を包含するものを「拡張固体電解質層」と言い、本体である固体電解質層を「固体電解質層(主体層)」と言うことがある。而して、上記拡張固体電解質層の平均厚みC(μm)は、固体電解質層(主体層)の平均厚みCm(μm)および反応抑止層の平均厚みCr(μm)の総和C(=Cm+Cr)である。また、上記拡張固体電解質層の気孔率をD(体積%)は、典型的には固体電解質層(主体層)と反応抑止層とをあわせた全層における平均気孔率D(体積%)として求めることができる。換言すれば、反応抑止層は拡張固体電解質層の一部とみなすことができる。ただし、例えば反応抑止層単独の気孔率が90%以上のように、積極的に(敢えて)多孔質な層としている場合には、もはや反応抑止層本来の機能を発揮するものではなく、ここでいうところの気孔率Dを算出する際に考慮する必要はない。
また、各層の平均厚みは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)を用いた断面観察によって把握し得る。具体的には、まずクロスセクションポリッシャ加工等によってハーフセルの断面出しを行い、かかる断面をSEM観察する。そして、得られた観察画像に基づいて、各層の任意の数箇所(例えば3箇所〜20箇所)において厚みを計測する。かかる値を算術平均することにより、各層の平均厚みを求めることができる。
また、各層の気孔率は、例えば、別途作成した各層を水銀圧入法で測定し、かかる測定によって得られる気孔容積Vbを見かけの体積Vaで除して100を掛けること(すなわち、気孔率=Vb÷Va×100)によって算出することができる。あるいは、SEMを用いた断面観察によっても把握し得る。具体的には、上記平均厚みを算出する場合と同様に断面のSEM観察を行い、得られた観察画像を解析することによって各層の気孔率を求めることができる。
これにより、アノード支持体グリーンシートへの第2の溶剤の侵入を防止することができ、上記アノード支持体グリーンシートでいわゆるシートアタック現象が生じることを高度に抑制することができる。
図1(a),(b)に、一実施形態に係るSOFC(単セル)を模式的に示す。ここに開示されるSOFCの単セルはアノード支持型である。図1(a)に示す態様において、SOFC50aは、アノード支持体10と、アノードアクティブ層20と、固体電解質層30と、カソード40と、がこの順に積層されてなる。また、図1(b)に示す態様において、固体電解質層30bは、カソード40と対向する側の表面に反応抑止層34を包含する。換言すれば、SOFC50bは、アノード支持体10と、アノードアクティブ層20と、固体電解質層(主体層)32と、反応抑止層34と、カソード40とがこの順に積層されてなる。そして、ここに開示されるSOFCは、以下の特徴:
(1)アノードアクティブ層20の平均厚みAが、20μm以上80μm以下である;
(2)制御パラメータPが、20以上120以下である(ただし、P=A÷C×B÷Dであり、Aはアノードアクティブ層20の平均厚み(μm)、Bはアノードアクティブ層20の気孔率(体積%)、Cは固体電解質層30(または、固体電解質層(主体層)32および反応抑止層34)の平均厚み(μm)、Dは固体電解質層30(または、固体電解質層(主体層)32および反応抑止層34)の気孔率(体積%)を、それぞれ表す。);
をいずれも具備することによって特徴づけられる。したがって、その他の構成については特に限定されず、種々の用途に応じて任意に決定することができる。
アノード支持体10はまた、ガス拡散性や還元反応性の向上のために多孔質構造を有している。かかるアノード支持体10の気孔率は特に限定されないが、通常20体積%以上(典型的には30%体積以上、例えば30体積%以上50体積%以下)であるとよい。
あるいは、上述のような金属若しくは金属酸化物と、後述する固体電解質層の構成材料(典型的には酸化物イオン伝導体)とを任意の割合で混合した複合材料を用いることもできる。一好適例として、ニッケル系金属材料(例えばNiO)と安定化ジルコニア(例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ;Yttria stabilized zirconia))とのサーメットが挙げられる。これらの混合比(質量比)は特に限定されないが、通常90:10〜40:60程度であり、例えば80:20〜45:55であるとよい。これにより、電気伝導性と耐久性とをより高いレベルで両立することができる。
アノードアクティブ層20はまた、アノード支持体10と同様に多孔質構造である。かかるアノードアクティブ層20の気孔率Bは、後述する制御パラメータPを満たす限りにおいて特に限定されないが、ガスとの接触面積を十分に確保する観点や、ガス拡散性を向上する観点から、通常は1体積%以上であり、例えば5%体積以上であるとよい。また、導電性や機械的強度を高いレベルで維持する観点から、気孔率Bは通常凡そ30体積%以下であり、典型的には20体積%以下であり、例えば15体積%以下であるとよい。
また、アノード支持体10の構成材料と、アノードアクティブ層20の構成材料とは同じであってもよく、一部または全部の構成材料が異なっていてもよい。SOFCの一体性を高める観点からは、少なくとも同種の金属若しくは金属酸化物を含むとよい。
図1(a)に示す態様のSOFC50aにおいて、固体電解質層30の平均厚みCは、後述する制御パラメータPを満たす限りにおいて特に限定されないが、一般的に電気抵抗は厚みに比例して増大するため、抵抗を低減する観点から30μm以下が適当であり、典型的には20μm以下であり、例えば15μm以下であるとよい。これにより、一層優れた発電性能(高出力密度)を実現することができる。また、ガスのリークやクラック等の不具合の発生を的確に防止する観点からは、平均厚みCが3μm以上であるとよく、例えば5μm以上であることが好ましい。
固体電解質層30は、ガスのリークを防止する観点からは緻密であるほどよい。固体電解質層30の気孔率Dは、後述する制御パラメータPを満たす限りにおいて特に限定されないが、通常は5体積%以下であり、例えば2体積%以下であるとよい。一方で、極端に緻密な(例えば気孔率Dが0.1体積%以下の)固体電解質層30を形成するためには原子レベルでの積み上げが必要となり、特殊で煩雑な操作が必要となる。したがって、作業性や生産性、低コストの観点から、気孔率Dは典型的には0.2体積%以上、例えば0.5体積%以上であるとよい。
固体電解質層30bの好適な平均厚みCや気孔率Dは、上記SOFC50aの場合と同様である。また、反応抑止層34の平均厚みCrは、通常、固体電解質層(主体層)32の平均厚みCmに比べて薄く、低抵抗化の観点や当該層の機能を十分に発揮させる観点から、典型的には1μm以上5μm以下であるとよい。また、反応抑止層34の気孔率は、通常、固体電解質層(主体層)32と概ね同等であり、典型的には0.2体積%以上5体積%以下であり、例えば0.5体積%以上2体積%以下であるとよい。
カソード40はまた、ガス拡散性や酸化反応性の向上のために多孔質構造を有している。かかるカソード40の気孔率は特に限定されないが、10体積%以上(典型的には10体積%以上30体積%以下、例えば15体積%以上25体積%以下)であるとよい。
ここで、例えば上記ランタンコバルテート系酸化物とは、LaおよびCoを構成金属元素とする酸化物の他、LaおよびCo以外に他の1種以上の金属元素(遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。また、ランタンマンガネート系酸化物、ランタンフェライト系酸化物、ランタンニッケラート系酸化物およびサマリウムコバルテート系酸化物についても同様である。典型例として、SrをドープしたLaMnO3系酸化物(例えば、La0.8Sr0.2MnO3)、SrをドープしたLaCoO3系酸化物(例えば、La0.6Sr0.4CoO3)、SrおよびFeをドープしたLaCoO3系酸化物(例えば、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3)等が挙げられる。これらの酸化物は、いわゆる電子−酸化物イオン混合伝導体であり、他のペロブスカイト型酸化物に比べて高い反応活性を示す(高い触媒能を有する)ことから好ましい。
このようなSOFCは、まず、アノード支持体−アノードアクティブ層−固体電解質層(または、アノード支持体−アノードアクティブ層−固体電解質層(主体層)−反応抑止層)からなるハーフセルを作製し、次に、かかるハーフセルの固体電解質層側の表面にカソードを形成し、これを焼成することによって得ることができる。
ここに開示される製造方法では、上記ハーフセルの作製において、以下の工程:
(S10)アノード支持体グリーンシートの表面に、アノードアクティブ層グリーンシートと固体電解質層グリーンシートとをこの順に形成して積層グリーンシートを得ること;
(S20)上記積層グリーンシートを焼成してハーフセルを得ること;
を包含する。好適な一態様では、上記(S10)は、さらに以下の工程:
(S11)第1の導電性材料と第1のバインダと第1の溶剤とを含むスラリー状の原料混合物をシート状に成形して、上記アノード支持体グリーンシートを得る工程;
(S12)上記成形したアノード支持体グリーンシートの表面に、第2の導電性材料と第2のバインダと第2の溶剤とを含むスラリー状の原料混合物を付与して、上記アノードアクティブ層グリーンシートを形成する工程;
を包含する。以下、各工程について説明する。
まず、アノード支持体グリーンシートを準備する。アノード支持体グリーンシートとしては、市販品を購入してもよく、従来公知の方法で成形してもよい。
アノード支持体グリーンシートの成形にあたっては、まずアノード支持体形成用の原料混合物を調製し、かかる原料混合物をシート状に形づくるとよい。
また、原料混合物が溶剤を含む場合において、該原料混合物の固形分濃度(NV値)は、例えば50質量%〜70質量%(典型的には55質量%〜65質量%)程度に調整するとよい。これにより、作業性や成形性を向上することができる。
このようにして、アノード支持体グリーンシートを得ることができる。
次に、上記アノード支持体グリーンシートの表面に、アノードアクティブ層グリーンシートを形成する。アノードアクティブ層グリーンシートの形成にあたっては、例えば、まず、第2の導電性材料と、第2のバインダと、第2の溶剤と、必要に応じて用いられる他の成分と、を用いてアノードアクティブ層形成用の原料混合物を調製し、かかる原料混合物をアノード支持体グリーンシートの一方の表面(典型的には表面全体)に所望の厚みで付与するとよい。なお、原料混合物の調製やその付与は、上記アノード支持体グリーンシートを成形する場合と同様に行うことができる。
好適な一態様では、導電性材料として上記アノード支持体の形成に用いるものよりも平均粒径が小さいものを使用する。具体的には、平均粒径が、通常0.01μm〜3μm程度であり、典型的には0.05μm〜2μmであり、例えば0.1μm〜0.5μmの粉末状のものを用いるとよい。これにより、アノード支持体に比べて触媒活性点(比表面積)を増加させることができ、安定的に高い電極活性を実現することができる。
特に好適な一態様では、第2の溶剤として、上記アノード支持体の形成に用いる第1のバインダを溶解しない若しくは溶解し難いものを用いる。一好適例を挙げると、第1のバインダとしてブチラール系ポリマーを用いる場合に、第2の溶剤としてα−テルピネオール等の環状アルコール系溶剤を用いるとよい。これにより、より一層的確にシートアタックを防止することができる。なお、ここで「溶解しない」とは、第2の溶剤に対する第1のバインダの溶解性が凡そ0.01g/L以下であることをいい、「溶解し難い」とは、第2の溶剤に対する第1のバインダの溶解性が凡そ0.1g/L以下であることをいう。
また、原料混合物が溶剤を含む場合において、該原料混合物の固形分濃度(NV値)は、例えば60質量%〜80質量%(典型的には65質量%〜75質量%)程度に調整するとよい。これにより、作業性(塗工性)や優れた触媒活性を実現することができる。
また、原料混合物を付与する厚みは、焼成後のアノードアクティブ層20の平均厚みAが20μm以上80μm以下を満たすよう調整する。具体的には、アノード支持体グリーンシート上に、20μm以上(例えば22μm以上)であって、150μm以下(典型的には100μm以下、例えば80μm以下)の厚みでアノードアクティブ層形成用の原料混合物を付与するとよい。
このようにして、アノード支持体−アノードアクティブ層グリーンシートを得ることができる。
次に、アノードアクティブ層グリーンシートの表面に、固体電解質層グリーンシートを形成する。固体電解質層グリーンシートの形成にあたっては、例えば、まず、酸化物イオン伝導体と、バインダと、必要に応じて用いられる他の成分と、を用いて固体電解質層形成用の原料混合物を調製し、かかる原料混合物をアノードアクティブ層グリーンシートの表面(典型的には表面全体)に所望の厚みで付与するとよい。なお、原料混合物の調製やその付与は、上記アノード支持体グリーンシートを成形する場合と同様に行うことができる。
好適な一態様では、平均粒径が0.01μm〜5μm(典型的には0.1μm〜2μm、例えば0.5μm〜1μm)程度の粉末状(粒子状)の酸化物イオン伝導体を使用する。これにより、気孔率の低減された緻密な固体電解質層を実現することができる。
好適な他の一態様では、上記第2のバインダと同じ系統の(より好ましくは同種の)バインダを用いる。これにより、アノードアクティブ層グリーンシートとの親和性(相溶性)が高まり、界面において自己組織化が生じる。その結果、界面剥離等の不具合の発生を抑制することができ、ハーフセルとしての一体性を高めることができる。
また、原料混合物が溶剤を含む場合において、該原料混合物の固形分濃度(NV値)は、例えば50質量%〜80質量%(典型的には60質量%〜70質量%)程度に調整するとよい。これにより、固体電解質層の形成に起因する不都合(例えばピンホールや塗工スジ等)の発生を防止することができ、作業性を確保しつつ高いイオン伝導性を実現することができる。
また、原料混合物を付与する厚みは、焼成後の固体電解質層30,30bの平均厚みCが5μm以上15μm以下を満たすよう調整するとよい。具体的には、アノードアクティブ層グリーンシート上に、5μm以上(例えば6μm以上)であって、30μm以下(典型的には20μm以下、例えば15μm以下)の厚みで固体電解質層形成用の原料混合物を付与するとよい。
また、原料混合物が溶剤を含む場合において、該原料混合物の固形分濃度(NV値)は、例えば50質量%〜80質量%(典型的には60質量%〜70質量%)程度に調整するとよい。
また、原料混合物を付与する厚みは、焼成後の反応抑止層34の平均厚みが1μm以上5μm以下を満たすよう調整するとよい。具体的には、固体電解質層グリーンシート上に、1μm以上(例えば1.2μm以上)であって、10μm以下(例えば5μm以下)の厚みで反応抑止層形成用の原料混合物を付与するとよい。
このようにして、アノード支持体−アノードアクティブ層−固体電解質層の積層グリーンシート(例えば、アノード支持体−アノードアクティブ層−固体電解質層(主体層)−反応抑止層の4層構造の積層グリーンシート)を得ることができる。
上記作製した積層グリーンシートを焼成することにより、アノード支持体10とアノードアクティブ層20と固体電解質層30または30bとを備えたハーフセルを得ることができる。
焼成時の温度は、例えば凡そ1200℃〜1500℃とすることができる。また、焼成時間は、例えば凡そ1時間〜5時間とすることができる。
このようにして得られたハーフセルの固体電解質層30,30b側の表面にカソードを形成し、これを焼成することによって、ここに開示されるSOFCを得ることができる。カソードは、例えばペロブスカイト型酸化物とバインダと必要に応じて用いられる他の成分とを用いてなる反応抑止層形成用の原料混合物を、固体電解質層30(または反応抑止層34)の表面に所望の厚みで付与し、所定の温度で焼成することによって形成するとよい。なお、原料混合物の調製やその付与は、上記アノード支持体グリーンシートを成形する場合と同様に行うことができる。また、焼成時の温度は、例えば700℃〜1200℃(好ましくは800℃〜1100℃)とすることができる。また、焼成時間は、例えば凡そ1時間〜5時間とすることができる。
このように、図1(a)または(b)に示すようなSOFCを製造することができる。
図面中央に配されるインターコネクタ60aは、その両面を2つの単セル52,54で挟まれており、一方のセル対向面62がセル52のカソード40と対向(隣接)し、他方のセル対向面66がセル54のアノード支持体10と対向(隣接)している。かかるインターコネクタ60aのセル対向面62,66と、それぞれ対応する単セル52,54側のアノード支持体10あるいはカソード40の対向面との間には、接合材を付与してなる封止部(図示せず)が形成されている。また、セル対向面62,66には複数の溝が形成されており、供給されたガスが流れるガス流路64,68を構成している。
SOFCシステム100の作動時には、アノード側のガス流路68に燃料ガス(典型的には水素(H2))が、カソード側のガス流路64に酸素(O2)含有ガス(典型的には空気)が、それぞれ供給される。このSOFCシステム100に電流を印加すると、カソード40において酸素が還元され、酸化物イオンとなる。そして、該酸化物イオンが(固体電解質層30bを介して)アノードに到達し、燃料ガスを酸化して電子を放出することにより電気エネルギーの生成(すなわち発電)が行われる。
まず、平均粒径0.8μmの酸化ニッケル(NiO)粉末と、平均粒径0.5μmのイットリア安定化ジルコニア(8mol%Y2O3−ZrO2、以下「8YSZ」と略称することがある。)粉末と、造孔材(カーボン)とを、54:36:10の質量比率で混ぜ合わせ、混合粉末を得た。かかる混合粉末と、バインダ(ブチラール系ポリマー)と、可塑剤(フタル酸エステル)とを、100:7:6の質量比率になるよう秤量し、溶剤(イソプロピルアルコール)中で混練することによって、NV値が凡そ60質量%のスラリー状のアノード支持体形成用組成物を調製した。これをシート成形して、厚みが凡そ0.6mmのアノード支持体グリーンシートを得た。
上記SOFCを温度500℃〜700℃で動作させ、発電特性評価を行った。代表値として、作動温度600℃における最大電力密度(W/cm2)の値を表1の「発電性能」の欄に示す。また、図3に制御パラメータPと発電性能との関係を示す。
(1)20μm≦A≦50μm;
(2)20≦P≦120;
を満たす例1〜例4では、相対的に高い発電性能を示した。なかでも、75≦Pを満たす例1および例3では、600℃における発電性能が0.25W/cm2以上と高く、特に、100≦P(100≦P≦120)を満たす例4では、600℃における発電性能が0.3W/cm2と最も高い発電性能を示した。
以上の結果より、ここに開示される製造方法によれば、アノードアクティブ層を備えるSOFC全体の最適化を図ることができ、低温環境下でも発電性能の高いSOFCを安定的に実現することができるとわかった。
20 アノードアクティブ層
30、30b 固体電解質層
32 固体電解質層(主体層)
34 反応抑止層
40 カソード
50a、50b、52、54 SOFC(単セル)
60、60a インターコネクタ
100 SOFCシステム
Claims (13)
- アノード支持体と、アノードアクティブ層と、固体電解質層と、カソードとがこの順に積層されてなる固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
アノード支持体グリーンシートの表面に、アノードアクティブ層グリーンシートと固体電解質層グリーンシートとをこの順に形成して積層グリーンシートを得ること、
ここで、前記固体電解質層グリーンシートは、1層で構成されており、前記カソードと対向する側の表面には反応抑止層グリーンシートを含むか若しくは含まない;および、
前記積層グリーンシートを焼成してハーフセルを得ること;
を包含し、
ここで、前記ハーフセルは、前記アノードアクティブ層の平均厚みをA(μm)とし、前記アノードアクティブ層の気孔率をB(体積%)とし、前記固体電解質層の平均厚みをC(μm)とし、前記固体電解質層の気孔率をD(体積%)としたときに、以下の条件:
(1)前記アノードアクティブ層の平均厚みAが、20μm≦A≦80μm;
(2)次式:P=A÷C×B÷Dにより算出される制御パラメータPが、20≦P≦120;
を満たすよう構築する、製造方法。 - 前記固体電解質層の平均厚みCが5μm以上15μm以下となるように前記ハーフセルを作製する、請求項1に記載の製造方法。
- 前記アノードアクティブ層の平均厚みAが50μm以下となるように前記ハーフセルを作製する、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記アノードアクティブ層の気孔率Bが5体積%以上15体積%以下となるように前記ハーフセルを作製する、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記固体電解質層の気孔率Dが0.5体積%以上2体積%以下となるように前記ハーフセルを作製する、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記アノード支持体グリーンシートの表面にアノードアクティブ層グリーンシートを形成する工程は、
第1の導電性材料と第1のバインダと第1の溶剤とを含むスラリー状の原料混合物をシート状に成形して、前記アノード支持体グリーンシートを得る工程と、
前記成形したアノード支持体グリーンシートの表面に、第2の導電性材料と第2のバインダと第2の溶剤とを含むスラリー状の原料混合物を付与して、前記アノードアクティブ層グリーンシートを形成する工程と、を包含し、
前記第2の溶剤として、前記第1のバインダを溶解しない若しくは溶解し難いものを用いる、請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。 - アノード支持体と、アノードアクティブ層と、固体電解質層と、カソードとがこの順に積層されて構成されている固体酸化物形燃料電池であって、
前記固体電解質層は、1層で構成されており、前記カソードと対向する側の表面に反応抑止層を含むか若しくは含まず、
ここで、前記アノードアクティブ層の平均厚みをA(μm)とし、前記アノードアクティブ層の気孔率をB(体積%)とし、前記固体電解質層の平均厚みをC(μm)とし、前記固体電解質層の気孔率をD(体積%)としたときに、以下の条件:
(1)前記アノードアクティブ層の平均厚みAが、20μm≦A≦80μm;
(2)次式:P=A÷C×B÷D;により算出される制御パラメータPが、20≦P≦120;
を満たす、固体酸化物形燃料電池。 - 500℃〜700℃で作動する、請求項7に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記固体電解質層の平均厚みCが5μm以上15μm以下である、請求項7または8に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記アノードアクティブ層の平均厚みAが50μm以下である、請求項7から9のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記アノードアクティブ層の気孔率Bが5体積%以上15体積%以下である、請求項7から10のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記固体電解質層の気孔率Dが0.5体積%以上2体積%以下である、請求項7から11のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 制御パラメータPが、75≦P≦120である、請求項7から12のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
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