JP6127438B2 - 含フッ素エーテル組成物、該組成物から形成された表面層を有する基材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(i)ペルフルオロポリエーテル化合物、酸、水および有機溶媒を含む表面処理剤(特許文献1)。
(ii)数平均分子量が1,100のペルフルオロポリエーテル化合物を含む表面処理剤(特許文献2)。
本発明は、撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を有する基材、および該表面層を有する基材の製造方法の提供を目的とする。
[1]下記含フッ素エーテル化合物(A1)、その部分加水分解縮合物(A2)、または前記含フッ素エーテル化合物(A1)と部分加水分解縮合物(A2)との混合物と、下記媒体(B)と、を含む含フッ素エーテル組成物。
含フッ素エーテル化合物(A1):ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を主鎖に有し、かつ該主鎖の少なくとも一方の末端に加水分解性シリル基を有し、前記ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と前記加水分解性シリル基とがアミド結合またはウレタン結合を有する連結基で結合され、前記加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量が2,000以上である含フッ素エーテル化合物。
媒体(B):含フッ素有機溶媒と非フッ素系アルコールとを含み、含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値が2〜6、水素結合項(dH)の体積平均値が4〜12である媒体。
[2]前記含フッ素エーテル化合物(A1)が、下式(1)で表される化合物である、[1]の含フッ素エーテル組成物。
X−O−Rf−Y ・・・(1)
ただし、式(1)中の記号は下記の通りである。
Rf:ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖。
X:炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基またはY。
Y:下式(Y1)〜(Y3)のいずれかで表される基。
−Q1−C(O)NH(CH2)n1−Si(L1)m1(R1)3−m1 ・・・(Y1)
−Q2−CH2OC(O)NH(CH2)n2−Si(L2)m2(R2)3−m2 ・・・(Y2)
−Q3−C(O)N((CH2)n3−Si(L3)m3(R3)3−m3)2 ・・・(Y3)
Q1〜Q3:2価の連結基。
L1〜L3:加加水分解性基。
R1〜R3:水素原子または1価の炭化水素基。
m1〜m3:1〜3の整数。
n1〜n3:1〜6の整数。
[4]前記含フッ素エーテル組成物を前記基材の表面に塗布する方法が、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法またはグラビアコート法である、[3]の表面層を有する基材の製造方法。
[5]前記基材の材質が、金属、樹脂、ガラス、セラミック、石、またはこれらの複合材料である、[3]または[4]の表面層を有する基材の製造方法。
[7]前記[1]または[2]の含フッ素エーテル組成物から形成されてなる表面層を入力面に有する、タッチパネル。
本発明の表面層を有する基材は、撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を有している。
本発明の表面層を有する基材の製造方法によれば、撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を有する基材を製造できる。
本明細書においては、式(Y1)で表される基を基(Y1)と記す。他の式で表される基も同様に記す。
本発明における主鎖とは、該主鎖以外のすべての分子鎖が側鎖と見なされるような線状分子鎖である。
本発明における加水分解性シリル基とは、加水分解反応によってシラノール基(Si−OH)を形成し得る基である。
本発明の含フッ素エーテル組成物は、含フッ素エーテル化合物(A1)、その部分加水分解縮合物(A2)、または前記含フッ素エーテル化合物(A1)と部分加水分解縮合物(A2)との混合物と、媒体(B)と、を含む。本発明の含フッ素エーテル組成物は、必要に応じて触媒(C)および他の添加剤(D)をさらに含んでいてもよい。
含フッ素エーテル化合物(A1)は、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を主鎖に有し、かつ該主鎖の少なくとも一方の末端に加水分解性シリル基を有する。含フッ素エーテル化合物(A1)は、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を主鎖に有することによって、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有さず、ペルフルオロアルキル基を有する従来のシラン化合物に比べて、基材上に撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を形成できる。
含フッ素エーテル化合物(A1)は、単一化合物であってもよく、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖、末端基、連結基等が異なる2種類以上の混合物であってもよい。
含フッ素エーテル化合物(A1)が有する加水分解性シリル基は、後述するように基材表面の水酸基と化学結合を形成できる。含フッ素エーテル化合物(A1)が主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有する場合、含フッ素エーテル化合物(A1)は該末端のみで基材と結合する。一方、含フッ素エーテル化合物(A1)が主鎖の両方の末端に加水分解性シリル基を有する場合、含フッ素エーテル化合物(A1)は両方の末端で基材と結合する。これにより、主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有する含フッ素エーテル化合物(A1)から形成された表面層中のポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖は、主鎖の両方の末端に加水分解性シリル基を有する含フッ素エーテル化合物(A1)から形成された表面層中のポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖に比べて基材上で動きやすい。そのため、主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有する含フッ素エーテル化合物(A1)を用いて形成した表面層は、表面が摩耗されてもその力を効率的に逃がすことができ、耐摩耗性に優れる。
ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖としては、1種のオキシペルフルオロアルキレン単位のみから構成されていてもよく、炭素数の異なる2種以上のオキシペルフルオロアルキレン単位から構成されていてもよい。
含フッ素エーテル化合物(A1)としては、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の一端に、酸素原子を介して炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基が結合し、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の他端に、連結基を介して加水分解性シリル基が結合している化合物が好ましい。該化合物から形成された表面層は、より防汚性および耐摩耗性に優れる。
前記加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量(Mn)が前記下限値以上であれば、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を形成しやすい。
本発明における含フッ素エーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、特開2001−208736号公報に記載の方法に従い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」と記す。)によって測定される。
X−O−Rf−Y ・・・(1)
ただし、式(1)中の記号は下記の通りである。
Rf:ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖。
X:炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基またはY。
Y:基(Y1)〜(Y3)のいずれか。
−Q1−C(O)NH(CH2)n1−Si(L1)m1(R1)3−m1 ・・・(Y1)
−Q2−CH2OC(O)NH(CH2)n2−Si(L2)m2(R2)3−m2 ・・・(Y2)
−Q3−C(O)N((CH2)n3−Si(L3)m3(R3)3−m3)2 ・・・(Y3)
Q1〜Q3:2価の連結基。
L1〜L3:加水分解性基。
R1〜R3:水素原子または1価の炭化水素基。
m1〜m3:1〜3の整数。
n1〜n3:1〜6の整数。
オキシペルフルオロアルキレン単位の具体例としては、下記の単位が挙げられる。
(CF2O)、
(CF2CF2O)、
(CF2CF2CF2O)、
(CF(CF3)CF2O)、
(CF2CF2CF2CF2O)等。
−(CF2CF2O)d(CF2CF2CF2CF2O)e− ・・・(2)
−(CF2CF2O)f(CF2O)h− ・・・(3)
ただし、fは、0以上の整数であり、hは、0以上の整数であり、f+hは、5〜25の整数である。なお、(CF2CF2O)単位および(CF2O)単位の結合順序は限定されない。すなわち、(CF2CF2O)単位および(CF2O)単位がランダムに配置されてもよく、(CF2CF2O)単位と(CF2O)単位とが交互に配置されてもよく、複数の単位からなるブロックの2以上が連結してもよい。
CF3−、
CF3CF2−、
CF3(CF2)2−、
CF3(CF2)3−、
CF3(CF2)4−、
CF3(CF2)5−、
CF3CF(CF3)−等。
CF3−、
CF3CF2−、
CF3(CF2)2−。
Yとしては、含フッ素エーテル組成物の貯蔵安定性、ならびに表面層の防汚性および外観が良好となる点からは、基(Y1)または基(Y2)が好ましく、基(Y1)が特に好ましい。
化合物(1)中にYが2つある場合、すなわちXがYの場合、2つのYは同一であってもよく、異なっていてもよい。
加水分解性基は、加水分解反応により水酸基となる基である。化合物(1)およびその部分加水分解縮合物の末端のSi−L1(Si−L2、Si−L3も同様。)は、加水分解反応によりシラノール基(Si−OH)となる。シラノール基は、さらに分子間で縮合反応してSi−O−Si結合を形成する。また、シラノール基は、基材の表面の水酸基(基材−OH)と脱水縮合反応して、化学結合(基材−O−Si)を形成する。化合物(1)は、末端に加水分解性シリル基を有するため、基材との反応性が良好であり、基材の表面に撥水撥油性を付与できる。
L1〜L3としては、工業的な製造が容易な点から、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子が特に好ましい。L1〜L3としては、化合物(1)の貯蔵安定性に優れる点から、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。また、化合物(1)の長期の貯蔵安定性が必要な場合には、L1〜L3はエトキシ基が特に好ましい。含フッ素エーテル組成物の塗布後の反応時間を短時間とする場合には、L1〜L3はメトキシ基が特に好ましい。
R1〜R3としては、1価の炭化水素基が好ましく、1価の飽和炭化水素基が特に好ましい。1価の飽和炭化水素基の炭素数は、合成が簡便である点から、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
m1〜m3が2以上である場合、化合物(1)の1分子中に存在する複数のL1〜L3は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。原料の入手容易性や製造容易性の点からは、化合物(1)の1分子中に存在する複数のL1〜L3は、互いに同じであることが好ましい。
n1〜n3は2〜4の整数が好ましく、2または3が特に好ましい。
部分加水分解縮合物(A2)は、含フッ素エーテル化合物(A1)中の加水分解性シリル基の加水分解性基(L1〜L3)の一部が加水分解反応することによって形成されたシラノール基(Si−OH)が、分子間で脱水縮合反応して形成されるオリゴマーである。部分加水分解縮合物(A2)中には、少なくとも1つの加水分解性基またはその加水分解により生じた水酸基が存在している。
触媒としては、酸触媒または塩基触媒等が挙げられる。また、触媒としては、無機触媒または有機触媒等が挙げられる。無機酸触媒としては、塩酸、硝酸等が挙げられる。有機酸触媒としては、カルボキシ基を有する化合物、スルホ基を有する化合物(p−トルエンスルホン酸等。)等が挙げられる。無機塩基触媒としては、アンモニア等が挙げられる。有機塩基触媒としては、フェニルアミン等が挙げられる。
加水分解性基の加水分解は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としては、メタノール等のアルコール系有機溶媒が好ましい。
媒体(B)は、少なくとも含フッ素有機溶媒を含む。含フッ素有機溶媒とは、分子内にフッ素原子を有する有機溶媒である。媒体(B)が含フッ素有機溶媒を含むことで、含フッ素エーテル組成物において、含フッ素エーテル化合物(A1)または部分加水分解縮合物(A2)が均一に溶解しやすくなる。
媒体(B)に含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値は、2〜6である。具体的には、媒体(B)が1種の含フッ素有機溶媒の場合、該含フッ素有機溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)が2〜6の範囲内である。媒体(B)が2種以上の溶媒を含む場合、各々の溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)を体積平均した値が2〜6の範囲内である。
媒体(B)に含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値は、3〜6が特に好ましい。前記極性項(dP)の体積平均値が前記範囲内であれば、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を形成しやすい。
媒体(B)に含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの水素結合項(dH)の体積平均値は、4〜12である。具体的には、媒体(B)が1種の含フッ素有機溶媒の場合、該含フッ素有機溶媒のハンセン溶解度パラメータの水素結合項(dH)が4〜12の範囲内である。媒体(B)が2種以上の溶媒を含む場合、各々の溶媒のハンセン溶解度パラメータの水素結合項(dH)を体積平均した値が4〜12の範囲内である。
媒体(B)に含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの水素結合項(dH)の体積平均値は、7〜12が特に好ましい。前記水素結合項(dH)の体積平均値が前記範囲内であれば、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を形成しやすい。
ハンセン溶解度パラメータの定義および計算方法は、下記の文献に記載されている。
Charles M. Hansen著、「Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook」、CRCプレス、2007年。
本発明においては、データベースに登録されている溶媒についてはその値を、登録されていない溶媒についてはHSPiPバージョン3による推算値を用いる。
含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)が有する加水分解性シリル基の加水分解を促進できる点からは、媒体(B)は水を含むことが好ましい。
含フッ素エーテル化合物(A1)を溶解しやすい点では、非フッ素系有機溶媒としては、非フッ素系アルコールが特に好ましい。
非フッ素系アルコールとしては、メタノール(dP=12.3、dH=22.3。)、エタノール(dP=8.8、dH=19.4。)、プロパノール(dP=6.8、dH=17.4。)、イソプロパノール(dP=6.1、dH=16.4。)が好ましい。
非フッ素系ケトンとしては、アセトン(dP=10.4、dH=7。)、メチルエチルケトン(dP=9、dH=5.1。)、メチルイソブチルケトン(dP=6.1、dH=4.1。)が好ましい。
非フッ素系エーテルとしては、ジエチルエーテル(dP=2.9、dH=4.6。)、テトラヒドロフラン(dP=5.7、dH=8。)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(dP=4.2、dH=7.3。)が好ましい。
非フッ素系エステルとしては、酢酸エチル(dP=5.3、dH=7.2。)、酢酸ブチル(dP=3.7、dH=6.3。)が好ましい。
本発明の含フッ素エーテル組成物は、必要に応じて触媒(C)をさらに含んでいてもよい。
触媒(C)は、含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)の加水分解反応、脱水縮合反応を促進させる。すなわち、触媒(C)を用いることで、シラノール基の生成、部分加水分解縮合物の形成、基材の表面と表面層との密着が促進される。
本発明の含フッ素エーテル組成物は、必要に応じて他の添加剤(D)をさらに含んでいてもよい。
他の添加剤(D)としては、紫外線吸収剤、光安定剤、熱硬化安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、染料、分散剤、帯電防止剤、界面活性剤(防曇剤、レベリング剤等。)、金属酸化物粒子、各種樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等。)等が挙げられる。
本発明の含フッ素エーテル組成物中の含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)の合計の含有量は、0.005〜1質量%が好ましく、0.005〜0.5質量%がより好ましく、0.005〜0.1質量%が特に好ましい。前記含有量が下限値以上であれば、表面層は耐摩擦性および防汚性に優れる。前記含有量が上限値以下であれば、表面層の外観に優れ、カバーガラスなど、電子部材の最表面や、各種物品の表面に使用した際、視界が良好となり、操作性、意匠性が良くなる。また含フッ素エーテル組成物は貯蔵安定性に優れる。
また、本発明の含フッ素エーテル組成物は、含フッ素エーテル化合物(A1)、部分加水分解縮合物(A2)、または前記含フッ素エーテル化合物(A1)と部分加水分解縮合物(A2)との混合物と、媒体(B)とを組み合わせて用いるため、優れた耐摩耗性を有する表面層を形成できる。これは、以下のように考えられる。
ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と加水分解性シリル基とが、アミド結合またはウレタン結合を有する連結基で結合された含フッ素エーテル化合物では、極性を持たないポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と、極性を持ったアミド結合またはウレタン結合を有する連結基を有する。そのため、該含フッ素エーテル化合物は媒体中における溶解が不均一になりやすい。その結果、該含フッ素エーテル化合物の加水分解性シリル基と基材表面の水酸基との反応性が低下し、表面層に充分な耐摩耗性を付与できない場合があった。これに対して、本発明の含フッ素エーテル組成物では、ハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値と水素結合項(dH)の体積平均値とを特定の範囲内とした媒体(B)を用いるため、含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)が媒体(B)中に均一に溶解する。そのため、含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)が有する加水分解性シリル基と基材表面の水酸基との反応性が高まり、優れた耐摩耗性を有する表面層を形成できると考えられる。
また、前述したように、含フッ素エーテル組成物に用いる含フッ素エーテル化合物(A1)は、加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量(Mn)が2,000以上であるため、表面層中での含フッ素エーテル化合物(A1)中のポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の運動性が高い。そのため、表面層の表面が摩耗されたときの力を逃がしやすく、優れた耐摩耗性が得られる。
本発明の表面層を有する基材は、本発明の含フッ素エーテル組成物から形成された表面層を有する。
表面層を形成する対象となる基材は、撥水撥油性の付与が求められている基材であれば特に限定されない。基材の表面の材料としては、金属、樹脂、ガラス、セラミック、石、これらの複合材料が挙げられる。
本発明の表面層を有する基材は、良好な撥水撥油性を有するとともに、優れた防汚性および耐摩耗性を有するため、タッチパネルを構成する部材として好適である。タッチパネルとは、指等による接触によってその接触位置情報を入力する装置と表示装置とを組み合わせた入力/表示装置(タッチパネル装置)の、入力装置を意味する。タッチパネルは、基材と、入力検出方式に応じて、透明導電膜、電極、配線、IC等とから構成されている。本発明の表面層を有する基材の表面層を有する面をタッチパネルの入力面とすることにより、良好な指紋除去性を有するタッチパネルが得られる。
タッチパネル用基材の材質は、透光性を有する。「透光性を有する」とは、JIS R 3106に準じた垂直入射型可視光透過率が25%以上であることを意味する。
ガラスとしては、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、および化学強化したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
透明樹脂基材としては、アクリル樹脂、ポリカーボネートが好ましい。
なお、膜厚は、たとえば薄膜解析用X線回折計ATX−G(RIGAKU社製)を用いて、X線反射率法によって反射X線の干渉パターンを得て、該干渉パターンの振動周期から算出できる。
本発明の表面層を有する基材の製造方法としては、本発明の含フッ素エーテル組成物を基材の表面に塗布した後、前記媒体(B)を除去する方法が好ましい。
含フッ素エーテル組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法またはグラビアコート法が好ましい。
加熱する場合の温度は、10〜300℃が好ましく、20〜200℃が特に好ましい。
また、形成した表面層中の化合物であって他の化合物や基材と化学結合していない化合物は、必要に応じて除去してもよい。具体的な方法としては、たとえば、表面層に溶剤をかけ流す方法や、溶剤をしみ込ませた布でふき取る方法が挙げられる。
例1〜6は実施例であり、例7〜13は比較例である。
略号、測定方法および評価方法を以下に示す。
Mn:数平均分子量。
Mw:質量平均分子量。
TMS:テトラメチルシラン。
R−225:ジクロロペンタフルオロプロパン。
HFIP:ヘキサフルオロイソプロパノール。
R−113:CCl2FCClF2。
CFE−419:CClF2CClFCF2OCF2CClF2。
TFEO:トリフルオロエタノール。
PFA:テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルコキシビニルエーテル)共重合体。
DBTDL:ジブチルスズジラウリレート。
IPA:イソプロパノール。
AE3000:アサヒクリンAE−3000(製品名、旭硝子社製)。
VertrelXF(HFC−43−10mee):2H,3H−デカフルオロペンタン。
HFE7200:ノベック−7200(製品名、3M社製)。
MeOH:メタノール。
t−BME:メチル−tert−ブチルエーテル。
AA:酢酸。
HFC365:1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン。
MEK:メチルエチルケトン。
ACT:アセトン。
a:オキシペルフルオロアルキレン単位の数であり、aを付した化合物は、aの値が異なる2種以上の化合物からなる。aの平均値は、化合物のMnから求めた値である。
含フッ素エーテル化合物のMnは、GPCによって測定した。GPCの測定は、特開2001−208736号公報に記載の方法に従い、下記条件にて行った。
移動相:R−225(旭硝子社製、アサヒクリンAK−225SECグレード1)およびHFIPの混合溶媒(R−225/HFIP=99/1(容量比))。
分析カラム:PLgel MIXED−Eカラム(ポリマーラボラトリーズ社製)を2本直列に連結したもの。
分子量測定用標準試料:分子量分布(Mw/Mn)が1.1未満である、Mnが2,000〜10,000のペルフルオロポリエーテル4種および分子量分布(Mw/Mn)が1.1以上である、Mnが1,300のペルフルオロポリエーテル1種。
検出器:蒸発光散乱検出器。
移動相流速:1.0mL/分。
カラム温度:37℃。
表面層を有する基材を水平に保持し、表面層の表面に2μLの水を5滴置き、その接触角を測定し、5つの値の平均値を求めた。水接触角が大きいほど撥水性に優れる。
表面層を有する基材を水平に保持し、表面層の表面に2μLのノルマルヘキサデカンを5滴置き、その接触角を測定し、5つの値の平均値を求めた。ヘキサデカン接触角が大きいほど撥油性に優れる。
スチールウールボンスター(♯0000)を使用し、表面層を有する基材の表面層面を、荷重1kg/cm2、速度320cm/分で、3,000往復摩耗した。その後、前記した方法で水接触角を測定した。摩耗後の水接触角が80°以上の場合を◎(良好)、60°以上80°未満の場合を○(可)、60°未満の場合を×(不可)とした。
製造した含フッ素エーテル組成物を室温(20〜25℃)で3ヶ月間保管した。その後、該含フッ素エーテル組成物をディップコート法により基材に塗布し、120℃の熱風循環オーブン中で30分間加熱して乾燥させることで、表面層を有する基材を得た。その後、形成した表面層の水接触角を前記した方法により測定した。
3ヶ月間保管した含フッ素エーテル組成物を用いた場合の水接触角と、保管を行わなかった含フッ素エーテル組成物を用いた場合の水接触角の変化が5°未満の場合を○(可)、5°以上の場合を×(不可)とした。
化合物(1−1)を下記の方法により合成した。
CF3CF2−O−(CF2CF2O−CF2CF2CF2CF2O)aCF2CF2O−CF2CF2CF2C(O)NH(CH2)3−Si(OCH3)3 ・・・(1−1)
ただし、aは4〜10の整数であり、aの平均値は7である。
CF2=CFO−CF2CF2CF2COOCH3 ・・・(4)
CF2=CFO−CF2CF2CF2CH2OH ・・・(5)
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):2.2(1H)、4.1(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−85.6(2F)、−114.0(1F)、−122.2(1F)、−123.3(2F)、−127.4(2F)、−135.2(1F)。
CF3CH2−O−(CF2CFHO−CF2CF2CF2CH2O)a+1−H ・・・(6)
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン、基準:TMS) δ(ppm):4.1(2H)、4.8(16H)、6.7〜6.9(8H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン、基準:CFCl3) δ(ppm):−74.2(3F)、−84.3〜−85.1(16F)、−89.4〜−90.5(16F)、−120.2(14F)、−122.0(2F)、−126.6(14F)、−127.0(2F)、−145.1(8F)。
単位数(a+1)の平均値:8。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン、基準:TMS) δ(ppm):4.1(2H)、4.8(28H)、6.7〜6.9(14H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン、基準:CFCl3) δ(ppm):−74.2(3F)、−84.3〜−85.1(28F)、−89.4〜−90.5(28F)、−120.2(26F)、−122.0(2F)、−126.6(26F)、−127.0(2F)、−145.1(14F)。
単位数(a+1)の平均値:14。
CF3CF2CF2OCF(CF3)COF ・・・(7)
CF3CH2−O−(CF2CFHO−CF2CF2CF2CH2O)a+1−C(O)CF(CF3)OCF2CF2CF3 ・・・(8)
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):4.4(16H)、4.9(2H)、6.0−6.2(8H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−75.2(3F)、−80.0(1F)、−81.9(3F)、−82.7(3F)、−84.7〜−85.0(16F)、−86.0(1F)、−90.5〜−93.0(16F)、−121.1(2F)、−121.5(14F)、−128.0(16F)、−130.3(2F)、−132.5(1F)、−145.3(8F)。
単位数(a+1)の平均値:8。
CF3CF2−O−(CF2CF2O−CF2CF2CF2CF2O)aCF2CF2O−CF2CF2CF2CF2O−C(O)CF(CF3)OCF2CF2CF3 ・・・(9)
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−80.0(1F)、−82.0〜−82.5(6F)、−84.0(30F)、−86.7〜87.8(6F)、−89.2(34F)、−126.5(32F)、−130.4(2F)、−132.4(1F)。
単位数(a)の平均値:7。
CF3CF2−O−(CF2CF2O−CF2CF2CF2CF2O)aCF2CF2O−CF2CF2CF2C(O)OCH3 ・・・(10)
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−84.0(30F)、−88.2(3F)、−89.2(34F)、−119.8(2F)、−126.5(30F)。
単位数(a)の平均値:7。
NH2(CH2)3−Si(OCH3)3 ・・・(11)
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.6(2H)、1.6(2H)、2.8(1H)、3.3(2H)、3.5(9H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−84.1(30F)、−87.9(3F)、−89.3(34F)、−120.8(2F)、−126.6(28F)、−127.2(2F)。
化合物(1−2)を下記の方法により合成した。
CF3CF2−O−(CF2CF2O−CF2CF2CF2CF2O)aCF2CF2O−CF2CF2CF2C(O)NH(CH2)3−Si(OCH3)3 ・・・(1−2)
ただし、aは10〜16の整数であり、aの平均値は13である。
CF3CH2−O−(CF2CFHO−CF2CF2CF2CH2O)a+1−C(O)CF(CF3)OCF2CF2CF3 ・・・(8)
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):4.4(28H)、4.9(2H)、6.0−6.2(14H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−75.2(3F)、−80.0(1F)、−81.9(3F)、−82.7(3F)、−84.7〜−85.0(28F)、−86.0(1F)、−90.5〜−93.0(28F)、−121.1(2F)、−121.5(26F)、−128.0(28F)、−130.3(2F)、−132.5(1F)、−145.3(14F)。
単位数(a+1)の平均値:14。
CF3CF2−O−(CF2CF2O−CF2CF2CF2CF2O)aCF2CF2O−CF2CF2CF2CF2O−C(O)CF(CF3)OCF2CF2CF3 ・・・(9)
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−80.3(1F)、−82.0〜−82.5(6F)、−84.2(54F)、−86.9〜88.0(6F)、−89.4(58F)、−126.6(56F)、−130.4(2F)、−132.4(1F)。
単位数(a)の平均値:13。
CF3CF2−O−(CF2CF2O−CF2CF2CF2CF2O)aCF2CF2O−CF2CF2CF2C(O)OCH3 ・・・(10)
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−84.0(54F)、−88.2(3F)、−89.2(58F)、−119.8(2F)、−126.5(54F)。
単位数(a)の平均値:13。
撹拌終了後、化合物(1−2)を97質量%含む組成物を得た。NMRから、化合物(10ii)の98%が化合物(1−2)に変換されていることを確認した。また、化合物(11)のすべてが反応しており、副生物であるメタノールが生成していることを確認した。得られた化合物(1−2)のMnを測定したところ、4,900であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.6(2H)、1.6(2H)、2.8(1H)、3.3(2H)、3.5(9H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−84.1(54F)、−87.9(3F)、−89.3(58F)、−120.8(2F)、−126.6(52F)、−127.2(2F)。
化合物(1−3)を下記の方法により合成した。
(CH3O)3Si−(CH2)3NHC(O)O(CH2)2O−(CF2CF2O)p−(CF2O)qCF2CH2O−C(O)NH(CH2)3−Si(OCH3)3 ・・・(1−3)
ただし、pは15〜33の整数であり、qは8〜25の整数であり、pの平均値は約26、qの平均値は13である。
該化合物のNMR分析の結果、D4000中の−CF2CH2OHの99.1モル%が−CF2CH2OC(O)NH(CH2)3Si(OCH3)3に変換された化合物であることを確認した。すなわち、化合物(1−3)が主たる生成物であった。得られた化合物(1−3)のMnを測定したところ、4,400であった。
O=C=NCH2CH2CH2Si(OCH3)3・・・(12)
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.9(4H)、1.8(4H)、3.2(4H)、3.8(18H)、7.0(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl3) δ(ppm):−52.1(11F)、−53.7(11F)、−55.4(4F)、−81.3(8F)、−83.3(4F)、−89.1(34F)、−90.7(18F)。
国際公開第2009/008380号の化合物(A1−1)(CF3O[CF2CF2O]aCF2C(O)NH(CH2)3Si(OCH3)3、aは7.3)と同様にして、主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有する含フッ素エーテル化合物(F)を合成した。得られた含フッ素エーテル化合物(F)のMnを測定したところ、1,100であった。
(含フッ素エーテル組成物の製造)
媒体(B)として、R−225とIPAとを体積比率34.5/65.5で混合した媒体(極性項(dP)の体積平均値:5.1、水素結合項(dH)の体積平均値:11.2。)の300gを調製した。その後、該媒体に、含フッ素エーテル化合物(A1)として、合成例2で製造した化合物(1−2)の0.15gを溶解し、含フッ素エーテル組成物(X1)を製造した。
厚さ1mmのガラスの表面に、含フッ素エーテル組成物(X1)をディップコート法により塗布し、120℃の熱風循環オーブン中で30分間加熱して乾燥させることで表面層を形成した。
形成された表面層の水接触角およびヘキサデカン接触角の測定、ならびに耐摩耗性および貯蔵安定性の評価結果を表2に示す。
含フッ素エーテル化合物、媒体の種類を表1に示すように変更した以外は、例1と同様にして、含フッ素エーテル組成物(X2)〜(X13)を製造した。
含フッ素エーテル組成物の種類を表1に示すように変更した以外は、例1と同様にして、表面層を有する基材を製造した。
形成された表面層の水接触角およびヘキサデカン接触角の測定、ならびに耐摩耗性および貯蔵安定性の評価結果を表2に示す。
なお、表1における媒体の組成における括弧内の数値は各溶媒の体積比率である。
一方、例7〜13の含フッ素エーテル組成物(X7)〜(X13)を用いて形成した表面層は、耐摩耗性が不充分であった。例7の含フッ素エーテル組成物(X7)は、含フッ素エーテル化合物の加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量が2,000未満であるためと考えられる。例8〜10の含フッ素エーテル組成物(X8)〜(X10)は、媒体の溶解度パラメータの極性項(dP)と水素結合項(dH)の体積平均値が特定の範囲内でなかったためと考えられる。例11の含フッ素エーテル組成物(X11)は、媒体に含フッ素有機溶媒を含まなかったためと考えられる。例12〜13の含フッ素エーテル組成物(X12)〜(X13)は、媒体の溶解度パラメータの極性項(dP)が特定の範囲外だったためと考えられる。
Claims (7)
- 下記含フッ素エーテル化合物(A1)、その部分加水分解縮合物(A2)、または前記含フッ素エーテル化合物(A1)と部分加水分解縮合物(A2)との混合物と、下記媒体(B)と、を含む含フッ素エーテル組成物。
含フッ素エーテル化合物(A1):ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を主鎖に有し、かつ該主鎖の少なくとも一方の末端に加水分解性シリル基を有し、前記ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と前記加水分解性シリル基とがアミド結合またはウレタン結合を有する連結基で結合され、前記加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量が2,000以上である含フッ素エーテル化合物。
媒体(B):含フッ素有機溶媒と非フッ素系アルコールとを含み、含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値が2〜6、水素結合項(dH)の体積平均値が4〜12である媒体。 - 前記含フッ素エーテル化合物(A1)が、下式(1)で表される化合物である、請求項1に記載の含フッ素エーテル組成物。
X−O−Rf−Y ・・・(1)
ただし、式(1)中の記号は下記の通りである。
Rf:ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖。
X:炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基またはY。
Y:下式(Y1)〜(Y3)のいずれかで表される基。
−Q1−C(O)NH(CH2)n1−Si(L1)m1(R1)3−m1 ・・・(Y1)
−Q2−CH2OC(O)NH(CH2)n2−Si(L2)m2(R2)3−m2 ・・・(Y2)
−Q3−C(O)N((CH2)n3−Si(L3)m3(R3)3−m3)2 ・・・(Y3)
Q1〜Q3:2価の連結基。
L1〜L3:加水分解性基。
R1〜R3:水素原子または1価の炭化水素基。
m1〜m3:1〜3の整数。
n1〜n3:1〜6の整数。 - 請求項1または2に記載の含フッ素エーテル組成物を基材の表面に塗布した後、前記媒体(B)を除去することを特徴とする、表面層を有する基材の製造方法。
- 前記含フッ素エーテル組成物を前記基材の表面に塗布する方法が、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法またはグラビアコート法である、請求項3に記載の表面層を有する基材の製造方法。
- 前記基材の材質が、金属、樹脂、ガラス、セラミック、石、またはこれらの複合材料で
ある、請求項3または4に記載の表面層を有する基材の製造方法。 - 請求項1または2に記載の含フッ素エーテル組成物から形成されてなる表面層を有する基材。
- 請求項1または2に記載の含フッ素エーテル組成物から形成されてなる表面層を入力面に有する、タッチパネル。
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