JP6062164B2

JP6062164B2 - ヒンジ装置

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Inventors: 西谷　均; 均西谷
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Publication date: 2017-01-18
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Description

本発明は扉を回動自在に保持するヒンジ装置に関するものである。

従来から、枠体に扉を回動自在に保持するヒンジ装置としては丁番やピボットヒンジが知られており、どちらにおいても扉の開く側に回転軸位置を持ち出すことにより扉の１８０°の回転を可能にするものがほとんどである。したがって、当然回転軸部分は扉面から突出することになり、デザイン性においてはあまりよくなく、特に室内ドアなどでは扉面からの突起物になるため幼児が頭部をぶつける等の危険性もある。

またフロアヒンジ等の、扉の厚み方向の中心位置に回転軸を有した中心吊のものもあるが、このタイプは基本的に１００°程度までしか扉を開放できず、扉の吊元側厚み面と縦枠内面との隙間を大きく取る必要もあり使用用途が制限され一般的にはそれ程多用されていないのが現状である。さらには、回転軸部分を含む丁番全体を扉と枠体の厚み方向内に内蔵することができる隠し丁番があり、本発明者も特開２００７−２１１５７７にて提案している。この隠し丁番は外観が全く露出しないとともに１８０°の開放も可能である。しかし隠し丁番は一般的に扉正面と縦枠正面との段差が大きい場合には軌跡上使用できない傾向が強く、汎用性の面で不備な場合が多い。

またピボットヒンジの形式で扉側プレートと枠側ベースプレートの間にさらに中間プレートを設け、これらの各プレートを２本の回転軸にて連結し、回転軸を持ち出さずに１８０°の開放を可能とした構成のものがあり、この構成においては扉の開閉の際に中間プレートが勝手に回転してしまう逆折れ現象が問題とされてきた。そこでこの逆折れ現象を阻止すると共に規則に従った各プレートの動作を得るものが実開平２−１１９８３や実開平５−７１３８２等に開示されている。

しかし実開平２−１１９８３は各ヒンジの動作を規制する機構がボールをばねで凹部分に付勢させる構成であり、常に滑らかに開閉する場合はこのような抵抗の大小で動作を制御できるかもしれないが、急激な力が部分的にかかったときなどでは誤作動が起こることが考えられ、逆折れを完全に阻止することは難しいと想定できる。また実開平５−７１３８２は枠側ベースプレートと中間プレートと扉側プレートの構成にさらに移動部材を設け、枠側ベースプレートと扉側プレートに設けた凹部分に移動部材が出没する動作により中間プレートの動作を制御する構成になっている。したがって移動部材が別途必要であると共に枠側ベースプレートと扉側プレートに円形の回転盤部分を設けてその外周に凹部分が必要になり、形状的にも制限が多いと考えられる。

そこで本発明者はピボットヒンジタイプで扉側プレートと枠側ベースプレートの間に中間プレートを設けた構成で、第一回転軸と第二回転軸にて各プレートを連結し、所定角度位置付近までは扉側プレートと中間プレートが重なった状態で第一回転軸を中心に回転し、所定角度位置付近に達した段階で扉に装着されている扉側プレートのみが第二回転軸を中心としてさらに回転して１８０°までの開閉を可能とし、また各々のプレート同士の動作に係脱機構を設けたことにより中間プレートの逆折れ現象を阻止でき、さらにはヒンジ装置を分割して枠体と扉に別々に装着し、その後両者を嵌め合わせることにより扉を容易に吊り込むことをも可能としたヒンジ装置を特開２００２−２５０１７１と特開２００５−１４６６２５にて提示した。

しかし特開２００２−２５０１７１での構成では、中間プレートの逆折れ現象を防止する機構に係止ピンの上下方向の出没動作を採用したため、閉鎖時に扉側プレートの水平方向の回転移動により係止ピン先端を押して上下方向に没する動作を必要とし、この動作ではどうしても係止ピンが横方向に倒れようとする傾向が強くなり確実性において完全でない点と、上下移動する係止ピンを組付けるために枠側ベースプレートの厚みを大きくする必要が生じる点が未解決の改良点として残っている。

また特開２００５−１４６６２５は、端部に折れ曲がり部分若しくは幅広部分を有した円弧状長孔をいずれかのプレート面上の第一回転軸若しくは第二回転軸を中心とした円軌道上に形成し、係止ピンを中間プレート若しくは扉側プレートを貫通させた状態にて円弧状長孔に挿入し、扉の開閉動作により係止ピンが円弧状長孔と折れ曲がり部分若しくは幅広部分を水平方向に移動することで中間プレートと扉側プレートの動作を規制する構成であり、比較的大きな円弧形状の長孔が枠側ベースプレートの水平面上に必要となり、どうしても最も扉の荷重を支えなければならない部材である枠側ベースプレート自体の強度が得にくくなると想定される。この点においては枠側プレートをL型に曲げた形状にて形成し、縦枠に対して固定保持する取り付け方法で、枠側ベースプレートの水平面を床面から浮かせた状態で扉を保持する構成においては非常に重要な問題になってしまう。
特開２００７−２１１５７７実開平２−１１９８３実開平５−７１３８２特開２００２−２５０１７１特開２００５−１４６６２５

本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、扉が閉じている状態ではヒンジ装置全体が完全に扉面と面一となるように構成し、かつ１８０°の開閉が可能であり、誤作動である逆折れ現象をより確実に防止し、より強度面に優れかつコンパクトなヒンジ装置を提供することを目的とする。

まず円弧部材を有した枠側ベースプレートと中間プレートを扉の厚み内に配置した第一回転軸にて回動自在に連結し、切り替え部材を有した扉側プレートと中間プレートを第二回転軸にて回動自在に連結する。このとき枠側ベースプレートの戸尻側手前位置に第一回転軸と円弧部材を配置し、扉側プレートの戸先側手前位置に第二回転軸と切り替え部材を配置しておく。また円弧部材には第一回転軸挿入孔と第一回転軸挿入孔を中心とした円弧壁と凹部壁を設け、切り替え部材には第二回転軸挿入孔と第二回転軸挿入孔を中心とした円弧壁と押し出し壁と解除壁を設けておく。

次に両先端に突起部分を備えた回動カムを設け、両先端突起部分の片端に接触片と戻り止め片を形成し、他端に押し込み片と解除片を形成しておく。そして中間プレートに水平方向に回動可能な状態で組付ける。このとき中間プレートの面内に回動カムの片端の接触片と戻り止め片を配置し、中間プレートの面から大きく突出させて他端の押し込み片と解除片が出っ張った状態になるように形成しておく。すると枠側ベースプレートと中間プレートを第一回転軸にて回動自在に連結し、扉側プレートと中間プレートを第二回転軸にて回動自在に連結した段階で、回動カムを組み付けた中間プレートを枠側ベースプレートと扉側プレートとで挟み込んだ状態になり、枠側ベースプレートと中間プレートと扉側プレートは完全に重なった配置になる。そしてこの状態で回動カムの接触片と戻り止め片が円弧部材の円弧壁と凹部壁に同水平面にて接触若しくは近接し、かつ同時に回動カムの押し込み片と解除片が切り替え部材の押し出し壁と解除壁に同水平面上にて接触若しくは近接するように設定しておく。

ここで通常のヒンジ装置では扉を枠体に対して上下二ヵ所にて保持するのが一般的であり、扉の上下端部の吊り元側部分を切り欠いて掘り込み部を設け、その部分にヒンジ装置を配置する。このとき枠側ベースプレートと中間プレートの手前面と奥面は露出した状態で扉の正面と奥面に対してほぼ面一になるように設定し、扉側プレートにおいてはその幅を扉の厚みよりも小さく設定しておき、扉に掘り込んだ部分の内部に配置して扉側プレートの側面が扉面に露出しないように形成しておくとよい。そして組みつけられた状態のヒンジ装置の扉側プレートを掘り込んだ部分に嵌め込んだ状態で扉に固定し、その後に枠側ベースプレートを枠体に固定する作業にて枠体に扉を装着する。すると扉が閉じているときは枠側ベースプレートと中間プレートの側面が扉面と面一になっており、扉側プレートは見えないようにすることが可能である。

次にこの構成による扉の開閉動作としては、まず扉が閉じているときは枠側ベースプレートと中間プレートと扉側プレートは互いにほぼ全体が重なった状態で、回動カムの片端の接触片が円弧部材の円弧壁の奥側に近接しており、また同時に回動カムの他端の押し込み片が切り替え部材の押し出し壁にかつ解除片が解除壁に近接している状態になっている。したがって閉鎖状態から扉を開く初期段階では、回動カムの片端の押し込み片が切り替え部材の押し出し壁に入り込んだ状態で近接しており、同時に他端の接触片が円弧壁に近接しているため第二回転軸を中心には回転できず、その結果最初は第一回転軸を中心とした扉の開放動作になる。そして扉側プレートと中間プレートが重なったままの状態で扉は第一回転軸を中心に接触片と円弧壁の面対が途切れる所定角度位置付近まで回転することになる。

また、この位置付近にて停止片を用いて枠側ベースプレートに対する中間プレートの回転動作を強制的に停止させる。するとその後引き続き扉が開放しようとする動作により扉は第二回転軸を中心に解放しようとし、その結果切り替え部材の押し出し壁が回動カムの押し込み片を押し、戻り止め片が凹部壁に入り込んで第一回転軸を中心に回転する動作を規制すると共に押し込み片が切り替え部材の円弧壁に沿って第二回転軸を中心に開放可能となる係脱動作が実施される。そしてその後は第二回転軸を中心に１８０度まで完全に開放することが可能になる。

次に扉を大きく開放した状態から閉じると、所定角度位置に戻る直前に扉側プレートの切り替え部材の解除壁が回動カムの解除片を押して回動カムを回転させ、その結果回動カムの戻り止め片が円弧部材の凹部壁から外れることになり、再度中間プレートと扉側プレートが重なった状態で第一回転軸を中心に扉が閉鎖する動作になる。したがって回動カムと円弧部材と切り替え部材との係脱動作により２本の回転軸を中心とした扉の開閉動作に規則性を持たせることができる。

ヒンジ装置の機構部分全体が扉の厚み部分内に配置され、扉を閉じたときにはヒンジ装置の側面は扉面と面一になり、さらに扉側プレートは扉に内蔵できるため枠側ベースプレートと中間プレートのみの側面が横方向に細長く見えるだけになり、非常にデザイン性に優れた構成が実現できる。また回転軸部分が扉面から突出しないため安全性においても向上させることができる。

扉側プレートの所定角度位置付近での第二回転軸を中心とする回転動作により、回動カムを水平方向に移動させて中間プレートの回転動作を規制または解除する構成であるため、扉を開ける動作だけでなく閉じる動作においても中間プレートの逆折れ現象を確実に阻止することができ、より円滑で規則性を持った逆折れのない扉の１８０°の開閉操作を得ることが可能になる。また回動カムの動作が水平方向であるためヒンジ装置全体の厚みをより薄く設定することができる。

床面から浮かせた状態で下部ヒンジ装置の枠側ベースプレートを配置するような場合でも、扉の重量を支えるにおいて最も強度を必要とする枠側ベースプレートの水平面に大きな孔や長孔等を極力設けない形状が可能になり、耐荷重性能に優れかつコンパクトな形態で、重量扉等にも十分使用可能な構成を実現することができる。

以下図面に基づいて本発明のヒンジ装置に関する実施の形態を説明する。図１は本発明のヒンジ装置の下部ヒンジ装置ａの分解斜視図であり、L型に曲げ込んだ形状の枠側ベースプレート１と中間プレート２と扉側プレート３と回動カム４を主部材とし、互いを第一回転軸５と第二回転軸６で回転可能に連結する。そして枠側ベースプレート１の垂直方向に曲げ込んだ面を取り付け面として枠体の縦枠２６に装着し、扉２７の吊り元側の上下位置を切り欠いた状態にして掘り込み部２２を設け、そこに扉側プレート３を装着することで縦枠２６に扉２７を保持する構成である。

図２は本発明のヒンジ装置を扉２７と縦枠２６に取り付けた閉鎖状態での正面図であり、下部ヒンジ装置ａと上部ヒンジ装置ｂで１セットのヒンジ装置を構成し、その配置はほぼ上下に反転させた状態になっている。また扉２７を縦枠２６に装着する手段としては、ねじにて固定するのが一般的であり、図１に示すように枠側ベースプレート１の垂直方向に曲げ込んだ面と扉側プレート３の水平面に各々取り付け用のねじ孔を設けておき、図２に示すようにヒンジ装置を介して扉２７を縦枠２６に装着するとよい。また、上部ヒンジ装置ａと下部ヒンジ装置ｂは吊り込み手段の違いにより若干異なる部分もあるが、基本的な構成や各部材の開閉のための動作はほとんど同じである。そこで以下においては下部ヒンジ装置ａの構成および動作にて説明する。また各々の部材の位置関係を明確にするため、前後方向に関しては扉２７が開く方向を手前側、逆方向を奥側とし、左右方向に関しては吊り元側の縦枠２６に近い位置を戸尻側、逆の方向を戸先側として以後表記する。

図３は枠側ベースプレート１の上面図であり、L型形状の水平面部分の手前側位置に第一回転軸挿入孔９を備えた円弧部材７を設ける。そして円弧部材７は第一回転軸挿入孔９を中心としかつ所定の開き角度を有した円弧壁１０を備えており、その円弧壁１０が終焉する位置に凹部壁１１を設けておく。図４は中間プレート２の上面図であり、手前の戸尻側に第一回転軸５を、戸先側に第二回転軸６を設け、その奥の中央位置付近に回動カム軸挿入孔１２を、その横位置に矩形孔１３を設けておく。図５は回動カム４の上面図であり、回転動作の支点となる回動カム軸１４を挟んで両側に先端部分を有し、戸尻側に配置される先端には接触片１５と戻り止め片１６を形成し、逆側に配置される先端には押し込み片１７と解除片１８を形成しておく。このとき解除片１８と押し込み片１７は図１に示すように高さ方向に大きく突出した形状にしておく。

そして回動カム４の押し込み片１７と解除片１８を中間プレート２の矩形孔１３に嵌め込んでさらに上側に突出させた状態にし、同時に回動カム軸１４を中間プレート２の回動カム軸挿入孔１２に差し込んで両者を組み付ける。この状態を示した上面図が図６であり、回動カム４が中間プレート２に組み付けた状態で水平方向に一定角度のみ回転動作できるように矩形孔１３の形状を設定しておく。このとき図１に示すように中間プレート２の第一回転軸５周辺に円弧部材７が適正に配置できるようにその部分の厚みを薄くしておくとよい。

図７は扉側プレート３の上面図であり、中央より戸先側位置に第二回転軸挿入孔１９が手前側になるように切り替え部材８を配置し、第二回転軸挿入孔１９の周辺に円弧壁１０を形成し、さらに円弧壁１０が終焉する位置に押し出し壁２０を設けておく。そしてそのさらに奥位置に解除壁２１を設けておく。そして押し出し壁２０と解除壁２１との間に回動カム４の上下方向に突出した押し込み片１７と解除片１８が入り込んだ状態で配置できるように形成しておく。また扉側プレート３の外形形状全体を扉２７の厚みよりも細く設定しておき、図８に示すように扉２７の吊り元側上下の深く掘る部分を扉側プレート３と同形状にし、その浅い位置側を扉２７の厚み方向全体に切り欠いてしまうような形状の掘り込み部２２を設けておき、施工時にその深い部分に扉側プレート３を嵌め込むように配置することで扉側プレート３の側面が扉正面に露出しないようにすることができる。

次に図１に示すように枠側ベースプレート１と回動カム４を組み付けた中間プレート２を重ねた状態で第一回転軸５にて回転自在に連結し、中間プレート２と扉側プレート３も重ねた状態で第二回転軸６にて回転自在に連結する。したがって中間プレート２は枠側ベースプレート１に対して第一回転軸５を中心に回転し、扉側プレート３は中間プレート２に対して第二回転軸６を中心に回転することになる。そして扉２７が閉鎖した状態で中間プレート２の側面が扉２７と面一になるようにしておく。またこの際に各プレート間に耐摩耗性のよい樹脂ワッシャ等を挟みこんでおくと良い。さらには円弧部材７と切り替え部材８および回動カム４も耐摩耗性のよい樹脂等で被覆しておくか、もしくは磨耗の少ないオイルを含浸させた焼結金属等で製作しておくとさらに高性能な構成が得られる。

したがって各プレートを組み付けた状態においては、回動カム４の接触片１５および戻り止め片１６と円弧部材７の円弧壁１０および凹部壁１１が同一水平面に配置され、また同時に回動カム４の高さ方向に突出した位置での解除片１８および押し込み片１７も切り替え部材８の押し出し壁２０や円弧壁１０および解除壁２１と同一水平面に配置されることになる。そして図９はこの構成で扉２７が閉鎖している状態を示した上面図であり、回動カム４の接触片１５が円弧部材７の円弧壁１０の端部付近に近接して位置しており、回動カム４の押し込み片１７と解除片１８が切り替え部材８の押し出し壁２０と解除壁２１の間に嵌まり込んだ状態で互いに近接した状態になっている。

次に図９の閉鎖状態からの扉２７の開閉に基づく動作を図１０にて説明する。図１０(ａ)は図９と同様の閉鎖状態を示しており、この状態から扉２７を開くと、当然第一回転軸５と第二回転軸６の両方若しくはどちらかを中心に回転しようとする。しかし、ここで扉２７が先に第二回転軸６を中心に回転するには、切り替え部材８の押し出し壁２０が回動カム４の押し込み片１７を押し込んで回動カム４を回転動作させなければならないことになる。ところが回動カム４の支点を挟んで逆側にある接触片１５と円弧部材７の円弧壁１０とがほぼ接触しているため、瞬時に接触片１５と円弧壁１０が当接してしまい回動カム４は回転できない。したがって図１０(ａ)の状態では扉２７は第二回転軸６を中心としては回転できないことになり、中間プレート２と扉側プレート３は同位置にてそのまま保持される。ところが円弧部材７の円弧壁１０は第一回転軸５を中心とした円弧形状にて設定されているため第一回転軸５を中心とした中間プレート２の回転動作は可能であり、その結果開放初期段階においては図１０(ｂ)に示すように扉２７は第一回転軸５を中心に回転を開始する。

つまり円弧壁１０と回動カム４の接触片１５が近接して面対している図１０(ｃ)付近までの角度範囲においては必ず第一回転軸５を中心とした中間プレート２および扉側プレート３の回転動作になる。そして回動カム４の接触片１５が円弧壁１０の終焉した直後の凹部壁１１位置にまで移動して初めて回動カム４の回転動作が可能になる。その動作の開始初期状態が図１０(ｃ)から図１０(ｄ)であり、この付近の扉２７の開き角度を所定角度位置とする。また図１に示すように、扉２７が所定角度位置付近にまで開いた段階で中間プレート２が停止片２３に当たって停止するように構成し、所定角度位置付近で中間プレート２が停止すると同時に回動カム４の接触片１５が円弧壁１０から外れて回転動作可能な状態を得られるように構成しておく。また、この停止片２３の位置や形状は図１や図１０に示すような形状だけでなく他のどのようなものでもよい。また図１０では所定角度位置を９０度付近にて設定した構成を示しているが、所定角度位置の設定においても特に制限は無く任意である。

ここで、図１０(ｃ)の位置ではまだ回動カム４は回転動作していない状態である。そして扉２７をこの状態からさらに開放しようとする初期段階で、扉２７が第二回転軸６を中心として回転しようとする動作と共に、図１０(ｄ)〜図１０(ｅ)に示すように扉側プレート３の切り替え部材８の押し出し壁２０が押し込み片１７を押しながら回動カム４を回転動作させ、そのまま図１０(ｆ)に示すように押し込み片１７が切り替え部材８の円弧壁１０に沿って移動しながら１８０度まで開放することが可能になる。また、この回動カム４の回転動作と同時に図１０(ｅ)〜図１０(ｆ)に示すように戻り止め片１６が凹部壁１１に挿入され、互いが係止することにより中間プレート２が第一回転軸５を中心として戻る方向に回転する動作を制止することができる。したがって所定角度位置付近以降は第一回転軸５を中心とした回転動作は制止され、第二回転軸６を中心とした回転動作だけになる係脱動作が実施可能になる。またこの係脱動作中においては比較的狭い角度範囲内で中間プレート２と扉側プレート３が同時に回転動作することもあるが、その際のがたつきを最小限にするように各々の位置関係を極力近接させて設定しておくとよい。

次に所定角度位置を大きく越えて開放してから扉２７を閉じた場合の動作を説明する。図１０(ｆ)の状態から閉じると、中間プレート２の第一回転軸５を中心とした回転動作は制止されているため第二回転軸６を中心に回転して扉２７は閉じ、所定角度位置直前で今度は図１０(ｅ)に示すように切り替え部材８の解除壁２１が回動カム４の解除片１８を押し込む動作になる。すると回動カム４が回転動作して戻り止め片１６と凹部壁１１との係止を解除する動作を得、所定角度位置付近を経て図１０(ｃ)の状態に戻り、そのまま連続して中間プレート２が第一回転軸５を中心に回転して扉２７を閉じる動作を得ることができる。また図１０(ｃ)の段階で第二回転軸６を中心とした回転動作は再度制止され図１０(ａ)に示す閉鎖状態にまで戻ることになる。

したがって中間プレート２が２本の回転軸に対して同時に大きく回転してしまう誤作動や、閉状態から先に第二回転軸６を中心に扉２７が回転してしまって縦枠２６の内面に戸尻面のコーナーが当接する等の誤動作を確実に排除でき、規則性に従った扉２７の開閉動作を確実に得ることが可能になる。また上記説明においては部分的に分割して実施したが、これらの動作は途中で一旦停止するようなことはなく、一連の円滑な開放動作として実施することができる。さらには図３に示すように枠側ベースプレート１の水平面には扉２７の荷重を受ける際に強度を損なうような長孔等は必要なく、強度面で優れた構成が実現できる。

また図１０(ｃ)〜図１０(ｆ)の状態では扉２７の荷重は第二回転軸６位置の下方にかかり、したがって第一回転軸５を支点として中間プレート２の奥側を持ち上げるようとする力になる。するとその部分が浮いたような状態になり、扉２７の垂れ下がりが発生することも懸念される。そのため図１１に示すように枠側ベースプレート１の水平面の戸先側を、第一回転軸５を中心とした外周辺２４にて形成しておき、中間プレート２の戸尻側奥位置にコの字形状に曲げ込んだ垂れ止め部分２５を形成しておき、枠側ベースプレート１の外周辺２４を抱き込んだ状態で組みつけておくとよい。

本発明のヒンジ装置の、下部ヒンジの分解斜視図である。本発明のヒンジ装置を枠体と扉に装着した納まり正面図である。本発明のヒンジ装置の、枠側ベースプレートの上面図である。本発明のヒンジ装置の、中間プレートの上面図である。本発明のヒンジ装置の、回動カムの上面図である。本発明のヒンジ装置の、中間プレートに回動カムを組付けた状態の上面図である。本発明のヒンジ装置の、扉側プレートの上面図である。本発明のヒンジ装置の、扉側の掘り込み形状を示す斜視図である。本発明のヒンジ装置の、閉鎖状態の納まり上面図である。本発明のヒンジ装置の、開閉の軌跡を順に示す軌跡図である。本発明のヒンジ装置の、垂れ止め手段を示す斜視図である。

ａ下部ヒンジ装置
ｂ上部ヒンジ装置
１枠側ベースプレート
２中間プレート
３扉側プレート
４回動カム
５第一回転軸
６第二回転軸
７円弧部材
８切り替え部材
９第一回転軸挿入孔
１０円弧壁
１１凹部壁
１２回動カム軸挿入孔
１３矩形孔
１４回動カム軸
１５接触片
１６戻り止め片
１７押し込み片
１８解除片
１９第二回転軸挿入孔
２０押し出し壁
２１解除壁
２２掘り込み部
２３停止片
２４外周辺
２５垂れ止め部分
２６縦枠
２７扉

Claims

枠側ベースプレートと扉側プレートとの間に中間プレートを設け、複数の回転軸により前記各プレートが水平方向に回転動作することにより扉を開閉するヒンジ装置であって、円弧部材を有した枠側ベースプレートと中間プレートを扉の厚み内に配置した第一回転軸にて回動自在に連結し、切り替え部材を有した扉側プレートと中間プレートを第二回転軸にて回動自在に連結し、回動カムを中間プレートに水平方向に回動可能に組付け、扉の開閉範囲内での所定角度位置にて回動カムと円弧部材がさらには回動カムと切り替え部材が同時に係脱する動作を得、２本の回転軸を中心とした開閉動作を可能としたことを特徴とするヒンジ装置。
前記枠側ベースプレートに第一回転軸と円弧部材を配置し、扉側プレートに第二回転軸と切り替え部材を配置し、その間に回動カムを有した中間プレートを挟み込んだ状態で重ね合わせて両回転軸にて連結し、回動カムを円弧部材と切り替え部材の間に配置し、回動カムと円弧部材と切り替え部材との係脱動作により、扉は閉状態から所定角度位置までは第一回転軸を中心に回転し、所定角度位置以降は第一回転軸を中心とした回転動作を制止し、第二回転軸を中心に回転する動作を得、所定角度位置よりさらに大きく開放された状態から閉鎖する段階では先に第二回転軸を中心に回転し、所定角度位置以降は第二回転軸に対する回転動作を制止し、第一回転軸を中心に回転する動作を得ることを特徴とする請求項１に記載のヒンジ装置。
円弧部材は第一回転軸挿入孔と第一回転軸挿入孔を中心とした円弧壁と凹部壁を備えており、切り替え部材は第二回転軸挿入孔と第二回転軸挿入孔を中心とした円弧壁と押し出し壁と解除壁を備えており、回動カムに接触片と戻り止め片と押し込み片と解除片を形成し、中間プレートに回動カムを水平方向に回転可能に組み付け、回動カムの接触片と戻り止め片が円弧部材の円弧壁と凹部壁に同水平面にて面対し、かつ回動カムの押し込み片と解除片が切り替え部材の押し出し壁と解除壁に同水平面上にて面対するように設定し、扉が閉じているときは枠側ベースプレートと中間プレートと扉側プレートは互いにほぼ全体が揃った状態で重なっており、回動カムの接触片が円弧部材の円弧壁の奥側に配置されており、回動カムの押し込み片が切り替え部材の押し出し壁にかつ解除片が解除壁に面対しており、閉鎖状態からの扉を開く初期段階では回動カムの押し込み片が切り替え部材の押し出し壁に入り込んだ状態で配置されており、同時に接触片が円弧壁に面対しているため第二回転軸を中心には回転できず、したがって第一回転軸を中心とした開放動作になり、扉側プレートと中間プレートは重なったままの状態で第一回転軸を中心に接触片と円弧壁の面対が途切れる所定角度位置まで回転する動作を得、この位置にて枠側ベースプレートに対する中間プレートの回転動作を係止しておくことにより、その後扉が第二回転軸を中心に開放しようとする動作により切り替え部材の押し出し壁が回動カムの押し込み片を押し、戻り止め片が凹部壁に入り込んで第一回転軸を中心に回転する動作を制止すると共に押し込み片が切り替え部材の円弧壁に沿って第二回転軸を中心に開放可能となる係脱動作を得ることを特徴とする請求項１または２に記載のヒンジ装置。
扉を所定角度位置よりさらに大きく開放した状態から閉じると、所定角度位置に戻る直前に扉側プレートの切り替え部材の解除壁が回動カムの解除片を押して回動カムを回転させ、その結果回動カムの接触片が円弧部材の凹部壁から外れることになり、再度中間プレートと扉側プレートが重なった状態で第一回転軸を中心に扉が閉鎖する動作を得ることを特徴とする請求項１及至３いずれか１項に記載のヒンジ装置。
扉の閉鎖状態で中間プレートの手前面と奥面が露出した状態で扉の正面と奥面に対してほぼ面一になるように設定し、扉側プレートの幅を扉の厚みよりも小さく設定して扉に掘り込んだ状態で配置し、扉側プレートが外部に露出しないように形成したことを特徴とする請求項１及至４いずれか１項に記載のヒンジ装置。