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JP6019577B2 - 液状乳化組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、栄養剤、流動食、経管経腸栄養剤等に好適に用いることができる液状乳化栄養組成物の製造方法に関する。特に、カルシウムと大豆たんぱく質が反応して生じる沈殿を有効に軽減することができる液状乳化栄養組成物の製造方法に関する。
これまでに高齢者や各種疾病を持つ入院患者や在宅療養者に対して、栄養補給を目的に使用される製品として、各種流動食や栄養剤が市販されている。これらには栄養素としてたんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルが配合されるが、使用対象となる患者の状態に応じて組成配合が異なっている。また、近年、経管摂取の一態様として胃瘻・腸瘻経管栄養法が普及しつつあり、各種経管経腸栄養剤も多く市販されている。
大豆たんぱく質は、血中コレステロールの低下作用等の様々な生理活性が知られており、これらの栄養剤に配合されるたんぱく質として好ましい。一方で、大豆たんぱく質は、乳たんぱく質に比べ、溶解性が低いため、沈殿を生成しやすく、また、カルシウムイオン、マグネシウムイオンが共存すると塩析又は凝固する特徴がある。このため、大豆たんぱく質及びカルシウム、マグネシウムを高濃度で配合した栄養剤は、保存中に沈殿が生成しやすい、という問題がある。保存期間中に栄養剤中に生成されてしまった沈殿物は、使用時に異物と間違えられるおそれがある。また、経管経腸栄養剤として用いる場合には、沈殿物によってチューブ内流動性が低下してしまう。さらに、栄養剤を500mL以上の比較的大容量で保存した場合、生じる沈殿物が多いほど、容器内の栄養剤の上部と下部の間に、たんぱく質、カルシウム、及びマグネシウム等の含有量に差が生じてしまう。このため、例えば小分けして摂取する場合、摂取時ごとに栄養剤の組成が異なり、栄養バランスの偏りが発生してしまう。特に、栄養剤が紙パックやカートカン等の非可撓性の容器に充填され、かつ当該容器内の含気量が1%以下である場合には、保存中に沈殿物が分散され難いため、当該問題がより顕著となる。また、栄養剤を容器に充填し、レトルト殺菌等の加熱殺菌をする場合、容器内残気部に生成する液状乳化組成物の凝集、変性、濃縮等に起因する褐色付着物の生成を抑制するため、充填時に可能な限り残気量を抑制することが好ましいが、残気量を抑制することによって、上記と同様に、保存中に沈殿物が分散され難くなるため、当該問題が生じる。
従来までに、栄養剤等においてカルシウムと大豆たんぱく質の反応を抑制する方法としては、例えば、リン酸塩、クエン酸塩等のキレート剤を用いてカルシウムイオンをキレートする方法がある(例えば、特許文献1及び2参照。)また、ミルクに可溶性のカルシウム化合物を添加し、pHを6.5〜7.5の範囲内に入るように適量のリン酸塩を加えることにより、ミルク中にカルシウム化合物を安定して保持する方法がある(例えば、特許文献3参照。)。その他、たんぱく質組成物中に不溶性カルシウム塩類を懸濁させた後に乾燥させた組成物を使用する方法も開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開2001−316278号公報 特開2006−061064号公報 特表2003−527868号公報 特表2001−507072号公報
本発明は、高濃度のカルシウム又はマグネシウムと大豆たんぱく質とを含有しながらも、たんぱく質の凝集又は沈殿の少ない液状乳化組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、まず、大豆たんぱく質をはじめとするたんぱく質材料と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩以外の他の原料とを混合し、得られた原料混合物を乳化した後に、炭酸カルシウム等の2価陽イオンの不溶性塩を添加することによって、得られた液状乳化組成物におけるたんぱく質の凝集又は沈殿を効果的に抑制し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)の液状乳化組成物の製造方法を提供する。
(1) 原料として少なくとも、大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上とを用い、
大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩以外の他の原料とを混合した原料混合物を乳化して得られた乳化物に、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上を添加し、
前記不溶性カルシウム塩として炭酸カルシウムを用い、前記不溶性マグネシウム塩として炭酸マグネシウムを用いることを特徴とする液状乳化組成物の製造方法。
) 前記原料混合物が、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩を除く全ての原料を含有する前記(1)液状乳化組成物の製造方法。
) 大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩以外の他の原料とを混合して原料混合物を調製する原料混合工程と、
前記原料混合物を乳化する乳化工程と、
前記乳化工程後、得られた乳化物を冷却する冷却工程と、
前記冷却工程後、前記乳化物に、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上を添加する添加工程と、
前記添加工程により得られた乳化物の濃度を調整し、液状乳化組成物を調製する濃度調整工程と、
を有する前記(1)又は(2)の液状乳化組成物の製造方法。
) 前記原料混合物が、さらに、ミネラル類、ビタミン類を含有する前記(1)〜()のいずれか一つの液状乳化組成物の製造方法。
) 前記原料混合物が、さらに、中鎖脂肪酸を含有する前記(1)〜()のいずれか一つの液状乳化組成物の製造方法。
) 前記原料混合物が、さらに、EPA又はDHAを含有する前記(1)〜()のいずれか一つの液状乳化組成物の製造方法。
) 前記原料混合物が、さらに、食物繊維を含有する前記(1)〜()のいずれか一つの液状乳化組成物の製造方法。
) 前記濃度調整工程後、得られた液状乳化組成物を、非可撓性の容器に、当該容器内の含気量が1容量%以下となるように充填する充填工程と、を有する前記()〜()のいずれか一つの液状乳化組成物の製造方法。
) 前記液状乳化組成物の内容量が、500mL以上である前記()の液状乳化組成物の製造方法。
10) 前記液状乳化組成物が、経管経腸栄養に用いられる前記(1)〜()のいずれか一つの液状乳化組成物の製造方法。
本発明の液状乳化組成物の製造方法により、大豆たんぱく質と、カルシウム又はマグネシウムとの両方を高濃度に含有しているにも関わらず、保存時の沈殿物の生成が顕著に抑制された液状乳化組成物を、従来の製造設備等を利用してより簡便に製造することができる。
本発明の液状乳化組成物の製造方法(以下、本発明の製造方法、ということがある。)は、大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上とを含有する液状乳化組成物の製造方法であって、大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩以外の他の原料とを混合した原料混合物を乳化した後、得られた乳化物に、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上を添加することを特徴とする。一般的に、栄養剤等に用いられる液状乳化組成物は、ほぼ全ての原料が、乳化処理前に混合される。つまり、不溶性カルシウム塩又は不溶性マグネシウム塩を含有する液状乳化組成物は、従来法によれば、大豆たんぱく質を含むたんぱく質材料と、不溶性カルシウム塩又は不溶性マグネシウム塩の両方を混合した後、得られた混合物が乳化される。これに対して、本発明の製造方法では、不溶性カルシウム塩又は不溶性マグネシウム塩を、乳化処理後に添加することにより、大豆たんぱく質と、カルシウム又はマグネシウムとの両方を高濃度に含有しているにも関わらず、たんぱく質の凝集及び沈殿物の生成が顕著に抑制された液状乳化組成物を製造することができる。
本発明の製造方法は原料として少なくとも、大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上とを用い、かつ、乳化処理後に不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上を添加する以外は、従来の液状乳化組成物と同様に製造することができる。
原料として用いられる大豆たんぱく質は、大豆又は脱脂大豆を加工して、大豆由来のタンパク質含有率を50%以上に高めたものである。原料として用いられる大豆たんぱく質の形状は特に限定されず、粉末状、ペースト状、粒状、繊維状等を用いることができる。本発明においては、市販されている濃縮大豆たんぱく、分離大豆たんぱく等を用いることができる。
大豆たんぱく質の配合量は、製造される液状乳化組成物が摂取される目的や一回当たりの摂取量等を考慮して適宜調整することができる。例えば、液状乳化組成物100mL当たりの含有量が、固形分として1.8〜7.5g、好ましくは2.2〜5.0gとなるように、大豆たんぱく質を配合することができる。ここで、固形分は、たんぱく質原料から水分量やミネラル分、脂質等を除いた、実質たんぱく質としての重量である。
本発明の製造方法においては、原料として、大豆たんぱく質とともに、その他のたんぱく質を用いてもよい。その他のたんぱく質としては、カゼイン及びその塩やホエー等の乳たんぱく質、小麦たんぱく質、とうもろこしたんぱく質、魚肉たんぱく質、卵たんぱく質等が挙げられ、これらを粉末、顆粒、フレーク又はペレット状に加工したものも含む。また、必要に応じて、たんぱく質を補給する素材として、前記たんぱく質の分解物やアミノ酸、酵母エキス等の各種エキスを添加しても良い。なお、大豆たんぱく質をはじめとするたんぱく質及びたんぱく質補給源としての素材(以下、まとめて「たんぱく質材料」ということがある。)は、全てが不溶化している必要は無く、製剤組成上の必要に応じて不溶化物と溶解物とが様々な割合で存在し得る。
たんぱく質材料の総配合量は、製造される液状乳化組成物が摂取される目的や一回当たりの摂取量、配合されるたんぱく質材料の種類等を考慮して適宜調整することができる。本発明の製造方法においては、製造される液状乳化組成物中のたんぱく質含有量が、固形分で1.8〜7質量%、好ましくは2.5〜7質量%となるように、たんぱく質材料を原料として用いることが好ましい。
本発明の製造方法においては、原料として、少なくとも不溶性カルシウム塩又は不溶性マグネシウム塩のいずれかを用いる。不溶性カルシウム塩又は不溶性マグネシウム塩としては、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、1種類又は2種類以上の不溶性カルシウム塩と、1種類又は2種類以上の不溶性マグネシウム塩とを併用してもよい。不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩の大きさは、微細であることが好ましく、例えば、細かいメッシュ(100〜150メッシュ)の篩を通過できる大きさのものが好ましい。
原料として用いられる不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩は、水への溶解性が低い可食性のカルシウム塩及びマグネシウム塩であればよく、食品素材として一般的に摂取されている不溶性塩や、食品添加物、食品添加物製剤、日本薬局方(医薬品である場合)として摂取又は使用が認められている不溶性塩の中から適宜選択して用いることができる。不溶性カルシウム塩としては、具体的には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酸化カルシウム等が挙げられる。不溶性マグネシウム塩としては、例えば、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。本発明の製造方法において原料として用いられる2価陽イオンの不溶性塩としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムからなる群より選択される1種又は2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムからなる群より選択される1種又は2種以上を組み合わせて用いることがより好ましい。
原料として添加される不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩の量は、その他の原料の組成を考慮して適宜調整することができる。例えば、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩は、カルシウム量又はマグネシウム量として、液状乳化組成物100mL当たり10〜150mgとなるように添加されることが好ましく、40〜100mgとなるように添加されることがより好ましい。
本発明の製造方法においては、原料として、さらに、脂質、炭水化物、ビタミン類、各種ミネラルを用いることができる。
炭水化物としては、ブドウ糖や果糖等の単糖類、ショ糖や麦芽糖等の二糖類、オリゴ糖、デキストリン、デンプン、糖アルコール、増粘多糖類、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維等が挙げられる。水溶性食物繊維源としては、難消化性デキストリン、ペクチン、ガラクトマンナンが挙げられ、不溶性食物繊維としては大豆や小麦に由来するフスマや結晶セルロースが挙げられる。
脂質としては、食用油脂、例えば、パーム油、やし油、綿実油、ひまわり油、落花生油、シソ油、あまに油、なたね油、大豆油、サフラワー油、オリーブ油、こめ油、コーン油、ごま油、カカオバター等の植物性油脂や、牛脂、豚脂、魚油、バター、バターオイル等の動物性油脂の他、ショートニングに代表される加工油脂等が挙げられ、用途に応じて数種類を選択し組み合わせて使用する。本発明において原料として用いられる脂質としては、中鎖脂肪酸又は中鎖脂肪酸を構成成分とするトリグリセライドを含有するものであることが好ましく、少なくともEPA(エイコサペンタエン酸)又はDHA(ドコサヘキサエン酸)のいずれか一方を含有するものであることがより好ましい。なお、EPA又はDHAを豊富に含有する油脂を原料として用いてもよく、精製されたEPA又はDHAを原料として添加してもよい。
さらに、脂肪酸モノグリセリドや有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤を用いることも好ましい。原料として油脂を用いた場合には、乳化処理によって、油脂がエマルジョンとして分散状態となる液状乳化組成物が製造される。油脂と乳化剤を併用した場合には、油脂の乳化状態をより良好に保つことができる。
ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンD3、ニコチン酸アミド、葉酸、β−カロチン、パントテン酸、ビタミンE、ビオチン等が挙げられる。ミネラル類としては、先に述べたカルシウムの他、リン、銅、亜鉛、マンガン、クロム、モリブデン、セレン、鉄、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ヨウ素等が挙げられる。これらは、有機酸塩や無機酸塩、化学合成品等に代表される食品添加物としての他、各種食品からの抽出エキスや酵母など、食品素材から由来して配合されてもよい。
本発明の製造方法においては、原料として、さらに、カルニチン、α−リポ酸、CoQ10、カテキン、アントシアニン、イソフラボンに代表されるポリフェノール等のいわゆる機能性栄養素を配合することができる。また、製造される液状乳化組成物の粘度を調整するために、増粘剤やゲル化剤等の粘度調整剤を使用してもよい。粘度調整剤としては寒天、カラギーナン、ファーセルラン、アルギン酸塩、ゼラチン、ペクチン、マンナン、ジェランガム、カシアガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タラガム、グァーガム、キサンタンガム、デンプン等を挙げることができ、必要に応じて1種類若しくは複数選択することができる。さらに、食品由来の原材料や抽出物、食品添加物として調味料、着色料、各種天然又は合成甘味料、香料、pH調整剤を使用してもよい。
本発明の製造方法は、例えば、大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩以外の他の原料とを混合して原料混合物を調製する原料混合工程と、前記原料混合物を乳化する乳化工程と、前記乳化工程後、得られた乳化物を冷却する冷却工程と、前記冷却工程後、前記乳化物に、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上を添加する添加工程と、前記添加工程により得られた乳化物の濃度を調整し、液状乳化組成物を調製する濃度調整工程と、により実施することができる。
原料混合工程においては、大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩を除くその他の原料を混合する。この際、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩を除く全ての原料を混合することが好ましい。但し、本発明の効果(すなわち、不溶性カルシウム塩等を乳化処理後に添加することによる、沈殿物低減効果)を損なわず、かつ乳化物に添加した場合であっても当該乳化物中に均一に分散・溶解し得る原料であれば、原料混合工程では混合せず、乳化工程後に、不溶性カルシウム塩と共に若しくは別個に添加してもよい。当該原料としては、例えば、水溶性のビタミン類やミネラル類のような水溶性が高い低分子化合物が挙げられる。
例えば、適量の温水に原料を順次投入し、混合することにより、原料を溶解又は分散させた原料混合物が調製される。固形状の原料は、そのまま添加してもよく、適当量の水に溶解・分散させた状態で添加してもよい。
次いで、乳化工程として、得られた原料混合物を乳化する。乳化方法は、乳化操作に一般的に使用されている高圧ホモジナイザーや超音波乳化機、コロイドミル、高速ホモミキサー等を利用して行うことができる。
乳化工程後、得られた乳化物を冷却する(冷却工程)。例えば、プレートクーラー等の汎用されている冷却器を使用して、10℃以下になるまで冷却する。
冷却工程後、当該乳化物に、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上を添加する。不溶性カルシウム塩等は、水に充分に分散された状態で添加されることが好ましい。不溶性カルシウム塩等がダマの状態で調合液に添加されると、それ自体の白色沈殿が生じ易いためである。例えば、不溶性カルシウム塩等を温水に添加し、ホモミキサー等を用いて撹拌することによって充分に分散させた懸濁液の状態で添加する。当該懸濁液は、乳化物に添加される前に、100〜150メッシュの篩にかけてもよい。
その後、当該乳化物に水を添加して濃度を調整する(濃度調整工程)。これにより、所望の濃度の液状乳化組成物を製造することができる。
本発明の製造方法においては、不溶性カルシウム塩等は、乳化工程後であればいずれの段階で添加してもよい。例えば、冷却工程前の乳化物に不溶性カルシウム塩等を添加し、冷却工程、続く濃度調整工程を行ってもよく、濃度調整工程後に、不溶性カルシウム塩等を添加してもよい。また、濃度調整に使用する水と共に不溶性カルシウム塩等の懸濁液を添加してもよい。
得られた液状乳化組成物は、加熱殺菌して容器に充填するか、又は容器に充填した後加熱殺菌する。加熱殺菌処理することによって長期保存が可能である。殺菌方法としては、超高温短時間(UHT)殺菌や熱水殺菌、バッチ式及び連続式レトルト装置を使用した殺菌等が挙げられる。このうちから1又は必要に応じて複数の方法で処理される。なお、液状乳化組成物が容器に充填された後にレトルト殺菌処理される場合、可能な限り容器内の残気量を抑制することが好ましい。それにより、残気部に発生する液状乳化組成物の凝集、変性、濃縮等に起因する褐色付着物の生成を抑制することができる。一個あたりの残気量は、15mL以下であると好ましく、10mL以下であるとより好ましく、5mL以下であると更に好ましい。
得られた液状乳化組成物は、保存時におけるたんぱく質の凝集及び沈殿が生じ難い、という優れた特徴を有する。このため、当該液状乳化組成物は、紙パックやカートカン等の非可撓性の容器に充填された場合や、当該容器内の含気量が1容量%以下のように容器容量に対する内容量が多い場合、内容量自体が500mL以上のように比較的多い場合であっても、沈殿物の生成が抑制できる。
得られた液状乳化組成物は、経口摂取されてもよく、経管経腸栄養として用いることもできる。経管経腸栄養用途としてより簡便に利用するためには、易開封性の容器であるのが好ましく、また、自立性があるのが好ましい。更にフィルムバッグに封入され、1回の使いきりで衛生的に使用される形態であることが好ましい。容器は使用目的に応じて紙パックやフィルムパウチ、口栓付フィルムバッグ、金属缶等が採用される。
次に実施例等を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
食用油脂、EPA含有精製魚油、中鎖脂肪酸トリグリセライド及び乳化剤を混合し、その混合液を、第1の調合タンク内の75℃の温水650gに投入した。次いで、当該温水にさらに、炭酸カリウム水溶液、大豆たんぱく質、乳たんぱく質、糖質、水溶性食物繊維を投入した。次いで、第2の調合タンク内に40℃以上の温水130gを張り、クエン酸ナトリウム、食塩、塩化マグネシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸亜鉛を順次溶解した。続いて、第2の調合タンク内の溶液を第1の調合タンク内に投入し、第1の調合タンク内の溶液と混合した。得られた混合液を原料混合液とした。
当該原料混合液を2分割し、一方の液には70℃の温水5gに分散させた炭酸カルシウム製剤(商品名:カルネクスPN、竹原工業社製)を投入し、高圧ホモジナイザーにて乳化圧75Mpaで処理し、10℃以下に冷却し、濃度調整を実施した(組成物A)。なお、得られた組成物Aの容量は373mLであった。次いで、当該組成物Aは、100gずつパウチに充填し、130℃90秒間でレトルト殺菌を実施した。
残る一方の液は、まず、高圧ホモジナイザーにて乳化圧75Mpaで処理し、10℃以下に冷却した。次いで、当該乳化物に、組成物Aに添加したものと同じ温水に分散させた炭酸カルシウム製剤を投入し、濃度調整を実施した(組成物B)。なお、得られた組成物Bの容量は388mLであった。組成物Aと同様に、当該組成物Bは、100gずつパウチに充填し、130℃90秒間でレトルト殺菌を実施した。
組成物A及びBの原料配合は表1に示した。なお、両組成物とも、1kcal/mLである。
Figure 0006019577
組成物A及びBの沈殿量の評価及び物性測定を実施した。結果を表2に示す。
沈殿量の評価は、遠心分離法により行った。まず、遠心チューブに試料を40mL採取し、3500rpm(2380×g)(製品番号:AX−310、TOMY社製)で80分間遠心した。得られた上清を30mL除去し、さらに30mL加水した後、3500rpmで20分間遠心した後、沈殿量を測定した。
Figure 0006019577
この結果、比重、pH、粘度、粒子径については、組成物AとBにおいて差は認められなかった。一方で、沈殿生成量については、組成物Aが4mLであったのに対し、組成物Bは3mLであり、組成物Aよりも明らかに少なかった。当該結果から、炭酸カルシウムを乳化処理後に添加することによって、得られた液状乳化組成物の沈殿生成量を低減させられることが明らかである。
[実施例2]
実施例1の組成物A及びBを、実生産規模(2500mLスケール)で製造した。組成物A及びBの原料配合は表3に示した。なお、両組成物とも、1kcal/mLである。
Figure 0006019577
組成物Aは以下のようにして製造した。まず、食用油脂、EPA含有精製魚油、中鎖脂肪酸トリグリセライド及び乳化剤を混合し、その混合液を、第1の調合タンク内の温水に投入した。次いで、当該温水にさらに、炭酸カリウム、大豆たんぱく質、乳たんぱく質、糖質、水溶性食物繊維、ミネラル酵母類を投入した。次いで、第2の調合タンク内に温水を張り、クエン酸ナトリウム、食塩、塩化マグネシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸亜鉛を順次溶解した。続いて、第2の調合タンク内の溶液を第1の調合タンク内に投入し、第1の調合タンク内の溶液と混合した。第1の調合タンク内の溶液に、さらに、炭酸カルシウム(商品名:カルネクスPN、竹原工業社製)、ビタミン類、香料を投入し、高圧ホモジナイザーにて乳化圧75Mpaで処理し、プレートクーラーにて冷却した。調液タンクに貯留後、L−アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、チアミン塩酸塩を投入した。全原料を添加した後、水を添加して濃度調整を実施し、組成物Aを得た。当該組成物Aに対してプレートヒーターで予備加熱を実施し、脱気処理(10〜20mmHg)を実施した後、低圧ホモジナイザーで処理した。さらに、プレート式殺菌機にて殺菌し(出口温度:135±2℃、ホールド時間:60秒間)、冷却した後、紙パックに無菌充填した。
一方で、組成物Bは、炭酸カルシウム(商品名:カルネクスPN、竹原工業社製)を高圧ホモジナイザー処理前ではなく、高圧ホモジナイザー処理及び冷却処理後に投入した以外は、組成物Aと同様のフローにて製造した。なお、炭酸カルシウムは、50℃以上の温水に添加した後、ホモミキサーを用いて4000rpmで撹拌することによって充分に分散させた後、100メッシュの篩にてダマが無いことを確認した後、150メッシュの篩を通して、調液タンクに投入した。
組成物A及びBの製造開始後の物性測定を実施した。さらに、実施例1と同様にして、組成物A及びBの沈殿量の評価を実施した。なお、組成物A及び組成物Bの製造時期が異なるため、比較のためには、5℃で長期保存した検体を使用した。組成物Aは5℃で11ヶ月間の保存品、組成物Bは5℃で8ヶ月間の保存品であった。結果を表4及び5に示す。この結果、比重等の物性値については、組成物AとBにおいて差は認められなかった。一方で、沈殿生成量については、組成物Aが3mLであったのに対し、組成物Bは1.5mLであり、組成物Aよりも明らかに少なかった。組成物Aと組成物Bの保存期間の差が3ヶ月であったのに対し、得られた沈殿量の差は2倍であったため、沈殿量の差に対する保存期間の影響は少ないと考える。
Figure 0006019577
Figure 0006019577
本発明の製造方法により製造された液状乳化組成物は、大豆たんぱく質と、カルシウム又はマグネシウムとの両方を高濃度に含有しているにも関わらず、保存時の沈殿物の生成が顕著に抑制されているため、栄養剤、流動食、経管経腸栄養剤等に好適である。

Claims (10)

  1. 原料として少なくとも、大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上とを用い、
    大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩以外の他の原料とを混合した原料混合物を乳化して得られた乳化物に、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上を添加し、
    前記不溶性カルシウム塩として炭酸カルシウムを用い、前記不溶性マグネシウム塩として炭酸マグネシウムを用いることを特徴とする液状乳化組成物の製造方法。
  2. 前記原料混合物が、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩を除く全ての原料を含有する請求項に記載の液状乳化組成物の製造方法。
  3. 大豆たんぱく質と、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩以外の他の原料とを混合して原料混合物を調製する原料混合工程と、
    前記原料混合物を乳化する乳化工程と、
    前記乳化工程後、得られた乳化物を冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程後、前記乳化物に、不溶性カルシウム塩及び不溶性マグネシウム塩からなる群より選択される1種以上を添加する添加工程と、
    前記添加工程により得られた乳化物の濃度を調整し、液状乳化組成物を調製する濃度調整工程と、
    を有する請求項1又は2に記載の液状乳化組成物の製造方法。
  4. 前記原料混合物が、さらに、ミネラル類、ビタミン類を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の液状乳化組成物の製造方法。
  5. 前記原料混合物が、さらに、中鎖脂肪酸を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の液状乳化組成物の製造方法。
  6. 前記原料混合物が、さらに、EPA又はDHAを含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の液状乳化組成物の製造方法。
  7. 前記原料混合物が、さらに、食物繊維を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の液状乳化組成物の製造方法。
  8. 前記濃度調整工程後、得られた液状乳化組成物を、非可撓性の容器に、当該容器内の含気量が1容量%以下となるように充填する充填工程と、を有する請求項のいずれか一項に記載の液状乳化組成物の製造方法。
  9. 前記液状乳化組成物の内容量が、500mL以上である請求項に記載の液状乳化組成物の製造方法。
  10. 前記液状乳化組成物が、経管経腸栄養に用いられる請求項1〜のいずれか一項に記載の液状乳化組成物の製造方法。
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