JP6019256B1 - 水系素地調整剤組成物、当該組成物を用いた鋼材の塗装方法、及び塗装鋼材 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機溶剤を含まなくとも、鋼材の表面の錆層中に十分に浸透して錆を固定化でき、長期の防食性に優れ、しかも、乾燥性もよくて、作業性や環境保護の観点においても好ましい水系素地調整剤組成物を提供する。【解決手段】表面に錆を有する鋼材に塗布して使用され、(A)主剤及び(B)硬化剤を含有する二液混合型の水系素地調整剤組成物であり、前記主剤(A)は、(A-1)1分子内に水酸基及び/又はカルボキシル基を1以上有する水溶性又は水分散性樹脂と、(A-2)防錆顔料、(A-3)腐食性イオン固定化剤及び(A-4)シランカップリング剤からなる群から選ばれる1種以上とを含有し、温度23℃における粘度が1〜5000mPa・sであり、前記硬化剤(B)は水分散性のポリイソシアネート樹脂を含み、前記主剤(A)中の水酸基当量と、前記硬化剤(B)中のイソシアネート基当量との比(イソシアネート基当量/水酸基当量)が1.0〜1.7であることを特徴とする水系素地調整剤組成物である。【選択図】なし
Description
本発明は、鋼材の塗り替え塗装時の除錆処理等の素地調整が不要な、又はそれを軽減することが可能な素地調整剤組成物に関し、より詳しくは、水系であり、塗装作業性が良く、環境への負荷が少ない水系素地調整剤組成物に関する。
既設鋼構造物の塗り替え時期になると、通常鋼材表面には多くの赤錆が発生しており、そのような表面に単に塗料を塗り替え塗装しても、次第に塗膜にフクレや剥離が生じて、長期間の保護はできない。そのため、塗り替え塗装前には、ブラスト処理等の3種ケレン以上の物理的な除錆処理(素地調整)を行った後、塗料を塗装する必要があったが、このような物理的な素地調整では作業中に多量の粉塵や騒音が発生するため、作業環境や作業効率が非常に悪いという問題があった。そこで、従来は、このような物理的な素地調整を行なう代わりに、素地調整が不要な又はそれを軽減できる塗布型の素地調整剤を塗布する方法がいくつか提案されており、素地調整法の転換が図られている。
そして、このような素地調整剤を用いた方法としては、例えば、錆層中に存在する湿気を取り込んで凝集する湿気硬化型の樹脂を、防錆顔料や腐食性イオン(Cl-、SO4 2-等)固定化剤やカップリング剤と合わせて用いた素地調整剤により、錆を固定化して鋼材を不動態化させる方法(特許文献1、2)や、錆層中の水分により硬化する所定のエポキシ樹脂塗料を、ケチミン化合物(硬化剤)又はシランカップリング剤と共に用いた素地調整剤を用いる方法(特許文献3、4)が提案されている。ここで、通常、このような素地調整剤については錆層に十分に浸透させるために一般塗料よりもかなり低い粘度とする必要があることから、これら特許文献1〜4の素地調整剤には、いずれもキシレン等の有機溶剤が多量に配合されており、そのため、塗装時には大気中に排出される有機溶剤量が多く、塗装作業者及び環境への負荷が大きいことが問題となっていた。そのため、有機溶剤を含まずに錆層に十分に浸透させて錆を固定化できる素地調整剤として、水系の素地調整剤が望まれていた。
ところで、そもそも錆が発生する機序としては、鉄に水分が付着して局部電池が形成されるとアノード部では鉄の酸化反応により電子と鉄イオン(Fe2+)が生成する。カソード部では水分中の溶存酸素の還元反応によりアノード部で生成した電子量に相当する電子が消費され、同時に水酸化物イオン(OH−)が生成する。さらにこのFe2+イオンがOH−と結合して不溶性の錆が発生する。
すなわち、水の存在は、錆が発生する要因となることから、これまで、水を含む防食塗料などを鋼材に塗装する場合、経時的な錆の発生をも防ぐためには、物理的な素地調整を十分に施して鋼材表面の錆を完全に落とす必要があったが、前述の通り、物理的な素地調整は作業環境や作業効率が非常に悪い。このように、水を含む塗料を錆に塗装することは従来は避けられる傾向があったものの、物理的な素地調整を行なわなくても経時的な錆の発生などを防止できて長期の防食効果が得られる水系の素地調整剤が求められていた。
すなわち、水の存在は、錆が発生する要因となることから、これまで、水を含む防食塗料などを鋼材に塗装する場合、経時的な錆の発生をも防ぐためには、物理的な素地調整を十分に施して鋼材表面の錆を完全に落とす必要があったが、前述の通り、物理的な素地調整は作業環境や作業効率が非常に悪い。このように、水を含む塗料を錆に塗装することは従来は避けられる傾向があったものの、物理的な素地調整を行なわなくても経時的な錆の発生などを防止できて長期の防食効果が得られる水系の素地調整剤が求められていた。
これまで水系の素地調整剤としては、例えば、アクリル変性複合エマルション、ポリフェノール誘導体、亜リン酸塩、ステンレス合金粉末をそれぞれ一定の割合で配合した錆転換用水系塗料が提案されている(特許文献5)。しかしながら、この特許文献5で提案されている錆転換用水系塗料は、錆層中で架橋せず、乾燥による融着のみで錆との複合膜を形成するため、塗装後の表面に水が付着した際には、アクリル変性複合エマルションの表面にある界面活性剤を通して水が浸透しやすく、また、エマルション間の粒子ポケットに水が保持されやすくなることから、錆層中への浸透性や防食性の点において十分ではなく、経時的な錆の発生が懸念され、長期的な防食性を十分に担保できないことが懸念されている。
そのため、有機溶剤を使用しなくとも粘度が低く、それにより錆層中に十分に浸透して錆を固定化でき、しかも物理的な素地調整を要することなく経時的な錆の発生を防止して長期の防食性を担保できる水系の素地調整剤が望まれていた。
そのため、有機溶剤を使用しなくとも粘度が低く、それにより錆層中に十分に浸透して錆を固定化でき、しかも物理的な素地調整を要することなく経時的な錆の発生を防止して長期の防食性を担保できる水系の素地調整剤が望まれていた。
そこで、本願の発明者らは、このような素地調整剤について鋭意検討したところ、特定の水溶性又は水分散性の樹脂に、防錆顔料、腐食性イオン固定化剤及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる1種以上を共に含めて主剤とし、これと特定の水分散性ポリイソシアネート樹脂を含む硬化剤を用いて二液混合型の水系素地調整剤組成物とすることにより、有機溶剤を使用しなくとも、錆層中に十分に浸透して錆を固定化できると共に、物理的な素地調整を要することなく経時的な錆の発生を防止して長期の防食性を担保でき、しかも、乾燥性もよくて作業性もよい水系の素地調整剤組成物が得られることを初めて見出して、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、有機溶剤を使用することなく、錆層中に十分に浸透して錆を固定化できると共に、物理的な素地調整を要することなく経時的な錆の発生を防止して長期の防食性を担保でき、しかも、乾燥性もよくて作業性もよい水系の素地調整剤組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、表面に錆を有する鋼材に、このような水系の素地調整剤組成物を塗布すると共に、これに更に、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、塩素化ポリオレフィン系塗料、シリコーン樹脂系塗料及びふっ素樹脂系塗料よりなる群から選択される少なくとも1種を含む塗料を塗布して鋼材の表面に塗膜を形成する、表面に錆を有する鋼材の塗装方法を提供することであり、更には、表面に錆を有する鋼材に、当該塗装が施された塗装鋼材を提供することである。
すなわち、本発明は、表面に錆を有する鋼材に塗布して使用され、主剤(A)及び硬化剤(B)を含有する二液混合型の水系素地調整剤組成物であり、
前記主剤(A)は、(A−1)1分子内に水酸基及び/又はカルボキシル基を1以上有する水溶性樹脂又は水分散性樹脂と、(A−2)防錆顔料、(A−3)腐食性イオン固定化剤及び(A−4)シランカップリング剤からなる群から選ばれる1種以上とを含有し、尚且つ温度23℃における粘度が1〜5000mPa・sであり、また、
前記主剤(A)は前記(A−3)腐食性イオン固定化剤を必須として含み、当該(A−3)腐食性イオン固定化剤の含有量は主剤(A)中0.1〜20質量%であり、
前記硬化剤(B)は水分散性のポリイソシアネート樹脂を含み、
前記主剤(A)中の水酸基当量と、前記硬化剤(B)中のイソシアネート基当量との比(イソシアネート基当量/水酸基当量)が1.0〜1.7であることを特徴とする水系素地調整剤組成物である。
前記主剤(A)は、(A−1)1分子内に水酸基及び/又はカルボキシル基を1以上有する水溶性樹脂又は水分散性樹脂と、(A−2)防錆顔料、(A−3)腐食性イオン固定化剤及び(A−4)シランカップリング剤からなる群から選ばれる1種以上とを含有し、尚且つ温度23℃における粘度が1〜5000mPa・sであり、また、
前記主剤(A)は前記(A−3)腐食性イオン固定化剤を必須として含み、当該(A−3)腐食性イオン固定化剤の含有量は主剤(A)中0.1〜20質量%であり、
前記硬化剤(B)は水分散性のポリイソシアネート樹脂を含み、
前記主剤(A)中の水酸基当量と、前記硬化剤(B)中のイソシアネート基当量との比(イソシアネート基当量/水酸基当量)が1.0〜1.7であることを特徴とする水系素地調整剤組成物である。
また、本発明は、表面に錆を有する鋼材に、前記の水系素地調整剤組成物を塗装した後に、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、塩素化ポリオレフィン系塗料、シリコーン樹脂系塗料及びふっ素樹脂系塗料よりなる群から選択される少なくとも1種を含む塗料を塗装して、鋼材の表面に塗膜を形成することを特徴とする表面に錆を有する鋼材の塗装方法である。
更に、本発明は、前記水系素地調整剤組成物と、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、塩素化ポリオレフィン系塗料、シリコーン樹脂系塗料及びふっ素樹脂系塗料よりなる群から選択される少なくとも1種を含む塗料とが、表面に錆を有する鋼材に順に塗装されてなる塗装鋼材である。
本発明における水系素地調整剤組成物によれば、有機溶剤を使用することなく錆層中に十分に浸透して錆を固定化できるため、長期の防食性に優れた塗膜を形成することができる。更に、本発明における水系素地調整剤組成物は、乾燥性もよく、作業性や環境保護の観点においても非常に好ましい。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載に限定されるものではなく、以下の例示以外についても、本発明の主旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明において、塗装の対象となる鋼材は、鉄鋼材料を素地としてこれを板・棒・管などに加工したものや構造物を含むものであり、例えば、道路、送電や通信用の鉄塔、橋梁、各種プラントなどを例示することができるが、これらに限定されるものではなく、また、鉄以外のその他の金属元素が含まれ得る。また、本発明における鋼材については、旧塗膜が除去された後に本発明の素地調整剤組成物が塗装されてもよく、旧塗膜を残したまま塗装されてもよい。ここで、本発明において「表面に錆を有する鋼材」とは、限定されるものではないが、水、酸素、塩化物イオン、硫酸イオンなどの腐食因子により表面が発錆した状態の前記鋼材に対して、前処理として、清掃程度の素地調整を行った鋼材のことを言う。具体的な前処理としては、ワイヤーブラシ、スコッチブライト(スリーエム社製商品名)等により劣化塗膜や浮き錆等の脆弱個所の除去を行うことや、或いは、層状錆やコブ錆等が発生した腐食の著しい個所がある場合は、これを動力研磨工具や手研磨工具にて除去するが、鋼材の表面に固着化した錆については除去する必要はない。また、素地調整とは、一般的には、塗装前に、鋼材の表面に発生した錆や、付着した油類、ほこり、ごみ、ヤニなどの汚れや、旧塗膜などを除去する処理を指し、具体的には、その作業内容・方法によって、1種ケレン(ブラスト法を用いて、さび、旧塗膜を全て除去し鋼材の表面を露出させる)、2種ケレン(動力工具と手工具を併用して、旧塗膜、さびを除去し鋼材の表面を露出させる)、3種ケレン(動力工具と手工具を併用して、健全な塗膜は残すが、それ以外の塗膜の割れ、膨れ、さびなどの不良部は除去する)、4種ケレン(動力工具と手工具を併用して、粉化物、汚れなどを除去する)が挙げられる。すなわち、本発明において、清掃程度の素地調整とは、限定はされないが、これらのうち、4種ケレン程度の処理に相当する。
本発明の素地調整剤組成物は、以下に述べる主剤(A)及び硬化剤(B)を含んで二液混合型であり、且つ水系の素地調整剤組成物である。以下、具体的に説明する。
ここで、本発明において、「水系」、「水溶性」、「水分散性」とは、当業界で通常使用されるものと同義であるが、「水系」とは水を媒体としていることを指し、また、「水溶性樹脂」とは、親水性基を有する樹脂が水に溶解された樹脂を指し、「水分散性樹脂」とは、強制乳化や自己乳化、懸濁重合、乳化重合、ミニエマルション重合等で得られる、乳化剤や親水性基で水に分散された樹脂を指すものである。
<主剤(A)>
本発明の素地調整剤組成物に使用される主剤(A)には、(A−1)1分子内に水酸基及び/又はカルボキシル基を1以上有する水溶性樹脂又は水分散性樹脂と、(A−2)防錆顔料、(A−3)腐食性イオン化固定化剤及び(A−4)シランカップリング剤からなる群から選ばれる1種以上とを含む。
本発明の素地調整剤組成物に使用される主剤(A)には、(A−1)1分子内に水酸基及び/又はカルボキシル基を1以上有する水溶性樹脂又は水分散性樹脂と、(A−2)防錆顔料、(A−3)腐食性イオン化固定化剤及び(A−4)シランカップリング剤からなる群から選ばれる1種以上とを含む。
本発明の前記(A−1)成分としては、1分子内に水酸基及び/又はカルボキシル基を1以上有する水溶性樹脂(以下、単に、「水溶性樹脂」と記載する場合がある。)と、1分子内に水酸基及び/又はカルボキシル基を1以上有する水分散性樹脂(以下、単に「水分散性樹脂」と記載する場合がある。)とが挙げられる。ここで、前記水溶性樹脂及び水分散性樹脂はいずれもその1分子当たりの水酸基数が1以上であることが、硬化剤と反応し得る点で好ましく、より好ましくは、2以上である。また、樹脂組成中の水酸基含有率は、いずれも0.1%以上であることが好ましく、より好ましくは、0.1%〜10%である。
ここで、前記水溶性樹脂としては、1分子内に水酸基及び/又はカルボキシル基を1以上有して、水溶性を有し、尚且つ後述する硬化剤(B)中のイソシアネート基と反応して硬化するものであれば、その形態、種類などは特に限定されるものではないが、具体的には、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等からなり、それにアミド基及びポリオキシアルキレン基等のノニオン性官能基を有する樹脂や、アミノ基、イミノ基及びヒドラジノ基等のカチオン性官能基を有する樹脂や、又は、カルボン酸基、スルホン酸基及びリン酸基等のアニオン性官能基を有する樹脂が挙げられる。この水溶性樹脂の具体的な製品名としては、互応化学工業(株)製プラスコートZ−221、プラスコートZ−730、プラスコートZ−446などが挙げられる。
この水溶性樹脂の使用の形態については、特に限定されないが、水などの水性媒体に溶解された形態、分散された形態が挙げられる。
一方、前記水分散性樹脂としては、1分子内に水酸基及び/又はカルボキシル基を1以上有して、水分散性を有し、尚且つ後述する硬化剤(B)中のイソシアネート基と反応して硬化するものであれば、その形態、種類などは特に限定されるものではないが、具体的には、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂等が挙げられる。この水分散性樹脂の具体的な製品名としては、住化バイエルウレタン(株)製のバイヒドロールA145、バイヒドロールA2290、バイヒドロールA2427、バイヒドロールA2542、バイヒドロールA2546、バイヒドロールA2601、バイヒドロールA242、DIC(株)製のバーノックWE−303、バーノックWE−304、バーノックWE−306、バーノックWE−308、バーノックWE−313、旭硝子社製のルミフロンFE−4200、ルミフロンFE−4300、ルミフロンFE−4400、ルミフロンFE−4500などが挙げられる。
この水分散性樹脂の使用の形態については、特に限定されないが、強制乳化や自己乳化、懸濁重合、乳化重合、ミニエマルション重合等で得られる、乳化剤や親水性基で水などの水性媒体中に分散された樹脂形態が挙げられる。
これらの水溶性樹脂及び水分散性樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、また、互いに反応性を有しないものであれば、2種以上を混合して用いることもできる。2種以上を混合して用いる場合には、1分子の分子鎖(繰り返し単位)の異なる複数の水溶性樹脂又は水分散性樹脂をそれぞれ混合してもよく、或いは、前記複数の水溶性樹脂及び水分散性樹脂を任意に混合することもできる。
また、前記(A−1)成分は、好ましくは、その水酸基価が20〜200mgKOH/gであり、より好ましくは、水酸基価が30〜150mgKOH/gである。水酸基価が20mgKOH/g未満であると、得られる塗膜の架橋密度が低くなるため錆の固定化能が低くなる傾向があり、反対に、水酸基価が200mgKOH/g超過であると、耐水性が劣る上に粘度が高くなり、水系素地調整剤として好ましい主剤粘度が得られにくくなる傾向があるからである。
また、前記(A−1)成分は、塗膜性能およびさび層への浸透性の観点から、その重量平均分子量Mwが1,000〜500,000であることが好ましく、より好ましくは、2,000〜300,000である。
そして、本発明の主剤(A)としては、このような(A−1)成分を含有するが、この(A−1)成分の含有量は、防食性などの塗膜性能の観点から、主剤(A)中に20〜95質量%が好ましく、より好ましくは、50〜80質量%とする。
また、本発明の主剤(A)は、前記(A−1)成分に加えて、更に以下の(A−2)〜(A−4)成分のうちの1種以上を共に含有するものである。すなわち、本発明の主剤(A)は、鋼材の発錆をより効果的に防止するための防錆顔料(A−2)や、鋼材における錆層と鉄素地との界面に存在するCl-やSO4 2-などの腐食性イオンを捕集すると共に化学反応し、水不溶性の複塩として固定化して不活性化するための腐食性イオン固定化剤(A−3)や、錆層への濡れ性や含浸性を向上させ、また、その上に塗装する塗料との密着性を向上させるためのシランカップリング剤(A−4)を、少なくともいずれか1種を単独で含有し、又は2種以上を、本発明の目的の範囲内で適宜選択して用いることもできる。
前記防錆顔料(A−2)としては、公知のものが使用できるが、例えば、リン酸アルミニウムや、縮合リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛ストロンチウム等の(亜)リン酸塩、モリブデン酸亜鉛や、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸マンガン等のモリブデン酸塩;その他ステアリン酸や、タンニン酸、クエン酸、イタコン酸、硼酸、タングステン酸等の各種酸の金属塩などが挙げられる。主剤(A)中における当該防錆顔料(A−2)の含有量は、0〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%とする。
また、前記腐食性イオン固定化剤(A−3)としては、公知のものが使用できるが、代表的には、ハイドロカルマイトや、ハイドロタルサイト等が挙げられる。主剤(A)中における当該腐食性イオン固定化剤(A−3)の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%とする。
また、前記シランカップリング剤(A−4)としては、公知のものが使用できるが、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。主剤(A)中における当該シランカップリング剤(A−4)の含有量は、0〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%とする。
そして、本発明における主剤(A)は、このような組成を有することにより、温度23℃における粘度が1〜5,000mPa・sである必要がある。粘度が1mPa・sよりも低い場合には、特に垂直面などの塗装の際において液ダレが生じるため塗装作業性が劣り、反対に、5,000mPa・sよりも大きい場合には、錆層中に十分に浸透させて錆を固定化することが困難となるからである。好ましい主剤(A)の粘度は、1,000〜3,500mPa・sである。
また、本発明における主剤(A)中には、本発明の範囲内で、更に、水系の分散媒を含んでも良い。このような水系の分散媒としては、公知のものが使用でき、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコールなどを1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。主剤(A)中の上記分散媒の含有量は、作業環境及び環境保護の観点から、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0質量%とすることである。
なお、本発明における主剤(A)中には、本発明の目的を害さない範囲で、有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤としては、公知のものが使用でき、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エステルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等が挙げられ、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。主剤(A)中の有機溶剤の含有量は、作業環境及び環境保護の観点から、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは有機溶剤が含まれないことである。
更に、本発明の水系素地調整剤組成物において、主剤(A)中には、本発明の目的の範囲内で、必要応じて、上記以外の体質顔料、着色顔料、顔料分散剤、表面調整剤、ダレ止め剤、消泡剤などを更に含むことができる。
<硬化剤(B)>
本発明における硬化剤(B)としては、水分散性ポリイソシアネート樹脂が含まれる。この水分散性ポリイソシアネート樹脂は、イソシアネート基を有することにより、主剤(A)中に含まれる水酸基やカルボキシル基と硬化剤のイソシアネート基とが反応して硬化するが、特に、この硬化剤に水分散性ポリイソシアネート樹脂を使用することにより、主剤(A)の水系樹脂と容易に混合でき、また、塗装した錆層の中で水酸基やカルボキシル基とイソシアネート基との反応による架橋膜を形成することから、錆を架橋膜の中に固定化することが可能となる点で好ましい。
ここで、水分散性ポリイソシアネート樹脂とは、水などの水性媒体に入れて攪拌をした際に、自己乳化し、水性媒体中に分散し得るポリイソシアネート樹脂を指し、公知のものが使用できるが、本発明においては、疎水性のイソシアネートと親水性のイソシアネートとの混合物、疎水性のイソシアネートと親水性の分散剤との混合物、親水性基を有するポリイソシアネートなどをいずれも用いることができる。親水基を有するポリイソシアネートは、種々の方法で調製することができ、例えば、非イオン性であって親水性を有する官能基であるエチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基等をポリイソシアネートに導入する方法や、イオン性基または潜在的イオン性基を含む化合物(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、シラノール基など)をポリイソシアネートに導入する方法等が挙げられる。
本発明における硬化剤(B)としては、水分散性ポリイソシアネート樹脂が含まれる。この水分散性ポリイソシアネート樹脂は、イソシアネート基を有することにより、主剤(A)中に含まれる水酸基やカルボキシル基と硬化剤のイソシアネート基とが反応して硬化するが、特に、この硬化剤に水分散性ポリイソシアネート樹脂を使用することにより、主剤(A)の水系樹脂と容易に混合でき、また、塗装した錆層の中で水酸基やカルボキシル基とイソシアネート基との反応による架橋膜を形成することから、錆を架橋膜の中に固定化することが可能となる点で好ましい。
ここで、水分散性ポリイソシアネート樹脂とは、水などの水性媒体に入れて攪拌をした際に、自己乳化し、水性媒体中に分散し得るポリイソシアネート樹脂を指し、公知のものが使用できるが、本発明においては、疎水性のイソシアネートと親水性のイソシアネートとの混合物、疎水性のイソシアネートと親水性の分散剤との混合物、親水性基を有するポリイソシアネートなどをいずれも用いることができる。親水基を有するポリイソシアネートは、種々の方法で調製することができ、例えば、非イオン性であって親水性を有する官能基であるエチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基等をポリイソシアネートに導入する方法や、イオン性基または潜在的イオン性基を含む化合物(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、シラノール基など)をポリイソシアネートに導入する方法等が挙げられる。
本発明における水分散性ポリイソシアネート樹脂の具体的な商品名としては、DIC(株)製のバーノックDNW−5000、バーノックDNW−5500、バーノックDNW−5010、バーノックDNW−5100、バーノックDNW−5200、バーノックDNW−6000、バーノックDNW−6500、三井化学(株)製のタケネートWD−725、タケネートWD−726、タケネートWD−730、旭化成ケミカルズ(株)製のデュラネートWB40−100、デュラネートWB40−80D、デュラネートWT30−100、デュラネートWT20−100、デュラネートWE50−100、デュラネートWL70−100、デュラネートWR80−70P、住化バイエルウレタン(株)製のバイヒジュール3100、バイヒジュールXP2451、バイヒジュール304、バイヒジュール305、バイヒジュールXP2700、バイヒジュールXP2547、バイヒジュール2487/1、バイヒジュール2655、バイヒジュール401−70、バイヒジュールXP2759、デスモジュールN3300、デスモジュールN3600、デスモジュールN3900、デスモジュールN3400、デスモジュールXP2580、デスモジュールXP2565、日本ポリウレタン(株)製のコロネートAQ−200、コロネートAQ−210、コロネートAQ−120、コロネートAQ−105などが挙げられる。
本発明においては、塗膜を十分に硬化させる観点、防食性などの塗膜性能、錆層への浸透性の観点から、主剤(A)に含まれる水溶性樹脂又は水分散性樹脂の水酸基当量と、当該硬化剤(B)に含まれる水分散性ポリイソシアネート樹脂のイソシアネート基当量との当量比(イソシアネート基当量/水酸基当量)が、1.0〜1.7の範囲とし、好ましくは、当該当量比が1.1〜1.6とすることがよく、より好ましくは1.2〜1.5とすることがよい。当該当量比が1.0未満の場合には、塗膜に十分な架橋がなく耐水性などの塗膜物性が低下し、反対に、当量比が1.7を超える場合にはポリイソシアネートが過剰に残存し、水分と反応して発泡し、塗膜物性が低下するため好ましくない。これら水酸基当量は前記(A−1)成分中の樹脂のOH基含有率(%)から算出することが可能であり、また、イソシアネート当量は、前記(B)成分中の水分散性ポリイソシアネートのNCO基含有率(%)より算出することが可能である。
また、この水分散性ポリイソシアネート樹脂については、重量平均分子量Mwは、乾燥性、防食性などの塗膜性能の観点から、800〜7,000であることが好ましく、より好ましくは、1,000〜5,000である。
なお、本発明における硬化剤(B)中には、本発明の目的を害さない範囲で、例えば、メラミン化合物やアルコキシシリル基を有する化合物を、水分散性ポリイソシアネート樹脂以外の硬化成分として含むことができる。この場合、水分散性ポリイソシアネート樹脂以外の硬化成分は、硬化剤(B)中50質量%以下とすることが好ましい。
また、本発明の水系素地調整剤組成物においては、前記主剤(A)と硬化剤(B)とを混合した際の前記水系分散媒の含有量は、0〜50質量%とすることが好ましく、より好ましくは、主剤(A)及び硬化剤(B)が共に前記の粘度範囲を満足して錆層中に十分に浸透させることができるのであれば、分散媒は含まなくてもよい。また、当該組成物中における前記有機溶剤の含有量は、本発明の目的を害さない範囲において、組成物中20質量%以下とすることが作業環境及び環境保護の観点において好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは、有機溶媒を含まないことである。なお、本発明において、水系分散媒や有機溶剤を含まないとは、本発明の水系素地調整剤組成物の調製に際して不可避的に混入されてしまう極微量の水系分散媒や有機溶剤を排除する意図ではない。
このようにして調製された本発明の水系素地調整剤組成物は、前述の通り、錆を有する鋼材に塗布する場合、前処理として、劣化塗膜や浮き錆等の脆弱個所をワイヤーブラシ、スコッチブライト(スリーエム社製商品名)等で除去し、また、層状錆やコブ錆等の発生した腐食の著しい個所がある場合には、動力研磨工具や手研磨工具にて除去する。ただし、固着化した錆は除去する必要はない。塗装方法としては、刷毛、ローラー、スプレーなどによることができ、このうち、作業性や塗料の飛散の観点から、刷毛、ローラーが好ましく使用される。塗布量としては、固形分換算で0.03〜0.2kg/m2程度塗布し、自然乾燥させる。また、当該水系素地調整剤組成物を塗装する際の塗装時の粘度は、1〜5000mPa・s(温度23℃)であることが錆層中に十分に浸透させる観点において好ましく、塗装時の粘度を1,000〜3,500mPa・s(温度23℃)とすることがより好ましい。本発明において、前記主剤(A)及び硬化剤(B)を混合して水系素地調整剤組成物とした後の粘度は、1〜5000mPa・s(温度23℃)を3時間以上維持することが好ましく、より好ましくは5時間以上である。
上記のように塗装した本発明の水系素地調整剤組成物は、常温乾燥が可能である。ここで、常温とは、塗装が行なわれる環境の大気温度により異なるが、通常は23℃を指し、強制的な加熱や冷却などの温度操作を行なわないことを指す。本発明の水系素地調整剤組成物については、温度5〜35℃の環境下で塗装されることが好ましい。
本発明の水系素地調整剤組成物は、上記塗装の際には、錆層中に十分に浸透させることが好ましいが、その浸透性の指標としては、断面観察があり、例えば、本発明の素地調整剤組成物を塗装した錆鋼板断面の元素分布状態を電子線マイクロアナライザーによる方法で測定できる。
本発明において、前記の水系素地調整剤組成物を、表面に錆を有する鋼材に塗装して塗膜を形成した後は、これに重ねて、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、塩素化ポリオレフィン系塗料、シリコーン樹脂系塗料及びふっ素樹脂系塗料よりなる群から選択される少なくとも1種を含む塗料を、好ましくは1〜4回塗装して、長期間フクレや剥離しにくい塗膜を形成することが好ましい。水系素地調整剤組成物に重ねて塗装する前記の塗料については、塗料により適宜選択されるものであり限定されないが、好ましくは、形成する塗膜厚の合計は55μm以上とすることがよい。重ねて塗装する当該塗料の乾燥方法は、常温乾燥とすることが挙げられ、乾燥後の塗膜の物性としては、耐候性、耐水性、付着性、耐アルカリ性、耐屈曲性、耐酸性などが求められる。重ねて塗装する際に用いる塗料は、下塗り塗料であればJIS K5551(構造物用さび止めペイント)、中塗り塗料であればJIS K5659(鋼構造物用耐候性塗料 中塗り)、上塗り塗料であればJIS K5659(鋼構造物用耐候性塗料 上塗り)の規定を満たす塗料であることが好ましい。
以下に、本発明の水系素地調整剤組成物について、実施例、参考例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例、参考例及び比較例に限定されるものではない。なお、実施例、参考例及び比較例における「部」、「%」はとくに断らない限り質量を基準とする。
[実施例1、3〜10、12〜13、16〜18、20〜27及び29〜37、参考例2、11、14、15、19及び28、並びに比較例1〜9]
先ず、表1〜3に示す配合のように、主剤(A)及び硬化剤(B)をそれぞれ準備した。主剤(A)及び硬化剤(B)のそれぞれについて、後述の方法で粘度を測定した。
先ず、表1〜3に示す配合のように、主剤(A)及び硬化剤(B)をそれぞれ準備した。主剤(A)及び硬化剤(B)のそれぞれについて、後述の方法で粘度を測定した。
[試験方法、評価]
キシレンで脱脂、洗浄した寸法150×70×1.6mmの磨き軟鋼板に対しその片面半分(75×70mm)に、JIS K5621(一般さび止めペイント)2種[「グリーンボーセイ建築用」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を2回塗りし、次いで、JIS K5516(合成樹脂調合ペイント)2種中塗り用[「タイコーマリン中塗」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を1回塗りし、最後に、JIS K5516(合成樹脂調合ペイント)2種上塗り用[「タイコーマリン上塗」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を1回塗りして、試験用塗板を得た。このようにして形成された塗膜を、以下「旧塗膜」という。
キシレンで脱脂、洗浄した寸法150×70×1.6mmの磨き軟鋼板に対しその片面半分(75×70mm)に、JIS K5621(一般さび止めペイント)2種[「グリーンボーセイ建築用」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を2回塗りし、次いで、JIS K5516(合成樹脂調合ペイント)2種中塗り用[「タイコーマリン中塗」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を1回塗りし、最後に、JIS K5516(合成樹脂調合ペイント)2種上塗り用[「タイコーマリン上塗」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を1回塗りして、試験用塗板を得た。このようにして形成された塗膜を、以下「旧塗膜」という。
得られた試験用塗板を屋外に12ケ月間曝露し、発錆させた。なお、曝露6ケ月間経過後に食塩をCl量に換算して500mg/m2となるよう塗布した。このようにして得られた発錆塗板の表面を、以下の塗装仕様で塗布した。
<前処理>
発錆塗板表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチブライト(スリーエム社製商品名)により除去した。
発錆塗板表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチブライト(スリーエム社製商品名)により除去した。
<水系素地調整剤組成物の塗布>
準備した主剤(A)及び硬化剤(B)をそれぞれ表1〜3の組成の通り混合して実施例1、3〜10、12〜13、16〜18、20〜27及び29〜37、参考例2、11、14、15、19及び28、並びに比較例1〜9に係る水系素地調整剤組成物とし、これを前記前処理後の発錆塗板の表面に、それぞれ塗布量0.10kg/m2となるように刷毛で塗布し、温度23℃の環境下で1日間自然乾燥させた。なお、実施例1、3〜10、12〜13、16〜18、20〜27及び29〜37、並びに参考例2、11、14、15、19及び28に係る水系素地調整剤組成物の塗装時の粘度は、いずれも5,000mPa・s以下であった。
臭気、塗装作業性、錆への浸透性、乾燥性、耐水性を後述方法によりそれぞれ評価した。
準備した主剤(A)及び硬化剤(B)をそれぞれ表1〜3の組成の通り混合して実施例1、3〜10、12〜13、16〜18、20〜27及び29〜37、参考例2、11、14、15、19及び28、並びに比較例1〜9に係る水系素地調整剤組成物とし、これを前記前処理後の発錆塗板の表面に、それぞれ塗布量0.10kg/m2となるように刷毛で塗布し、温度23℃の環境下で1日間自然乾燥させた。なお、実施例1、3〜10、12〜13、16〜18、20〜27及び29〜37、並びに参考例2、11、14、15、19及び28に係る水系素地調整剤組成物の塗装時の粘度は、いずれも5,000mPa・s以下であった。
臭気、塗装作業性、錆への浸透性、乾燥性、耐水性を後述方法によりそれぞれ評価した。
<下塗塗料塗布>
前記の通りに水系素地調整剤組成物を塗布した後、下塗塗料として変性エポキシ樹脂塗料弱溶剤型[「エポオールスマイル」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を、それぞれ塗布量0.22kg/m2となるようにエアスプレーで塗布し、温度23℃の環境下で1日間自然乾燥させた。
前記の通りに水系素地調整剤組成物を塗布した後、下塗塗料として変性エポキシ樹脂塗料弱溶剤型[「エポオールスマイル」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を、それぞれ塗布量0.22kg/m2となるようにエアスプレーで塗布し、温度23℃の環境下で1日間自然乾燥させた。
<中塗塗料塗布>
前記下塗塗料の塗布後、中塗塗料としてふっ素樹脂塗料用中塗塗料[「Vフロン100#スマイル中塗」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を、それぞれ塗布量0.16kg/m2となるようにエアスプレーで塗布し、温度23℃の環境下で1日間自然乾燥させた。
前記下塗塗料の塗布後、中塗塗料としてふっ素樹脂塗料用中塗塗料[「Vフロン100#スマイル中塗」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を、それぞれ塗布量0.16kg/m2となるようにエアスプレーで塗布し、温度23℃の環境下で1日間自然乾燥させた。
<上塗塗料塗布>
前記中塗塗料の塗布後、ふっ素樹脂塗料用上塗塗料[「Vフロン100#スマイル上塗」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を、それぞれ塗布量0.15kg/m2となるようにエアスプレーで塗布し、温度23℃の環境下で1日間自然乾燥させた。
前記中塗塗料の塗布後、ふっ素樹脂塗料用上塗塗料[「Vフロン100#スマイル上塗」〔大日本塗料(株)製商品名〕]を、それぞれ塗布量0.15kg/m2となるようにエアスプレーで塗布し、温度23℃の環境下で1日間自然乾燥させた。
次いで、前記上塗塗料の塗布後の塗板を、20℃、50%RHの条件下で7日間養生した。このようにして得られた複数の試験塗板について、後述の方法により防食性を評価した。
表1中における、注1)〜注12)は以下の通りである。
<(A−1)成分>
注1):バイヒドロールA145;住化バイエルウレタン(株)製、水酸基含有アクリルディスパージョン、不揮発分45%、OH基含有率3.3%、水酸基価109mgKOH/g(樹脂換算)、酸価10mgKOH/g、Mn=3900、Mw=13000、粘度(23℃)950mPa・s(分散媒:水)、平均粒子径(D50)=150nm
注2):バイヒドロールA2601;住化バイエルウレタン(株)製、水酸基含有アクリルディスパージョン、不揮発分45%、OH基含有率3.9%、水酸基価129mgKOH/g(樹脂換算)、粘度(23℃)2200mPa・s(分散媒:水)
注3):ルミフロンFE4200:旭硝子(株)製、水酸基含有ふっ素樹脂エマルション、不揮発分50%、OH基含有率1.6%、水酸基価54mgKOH/g(樹脂換算)、粘度(23℃)500mPa・s(分散媒:水)、平均粒子径(D50)=100〜200nm
注4):プラスコートZ−730:互応化学工業(株)製、カルボキシル基含有水溶性ポリエステル樹脂、不揮発分25%、カルボキシル基含有率4.0%、酸価40〜60mgKOH/g(樹脂換算)、粘度(23℃)10mPa・s(分散媒:水)
注5):ボンコート40−418EF;DIC(株)、アクリル系エマルション、不揮発分55%、OH基含有率0%(固形分として)、粘度(23℃)1000mPa・s(分散媒:水)、平均粒子径(D50)=250nm
注6):ボンコート5400EF;DIC(株)、アクリル−スチレン系エマルション、不揮発分55%、OH基含有率0%(固形分として)、粘度(23℃)3000mPa・s(分散媒:水)、平均粒子径(D50)=200nm
<(A−1)成分>
注1):バイヒドロールA145;住化バイエルウレタン(株)製、水酸基含有アクリルディスパージョン、不揮発分45%、OH基含有率3.3%、水酸基価109mgKOH/g(樹脂換算)、酸価10mgKOH/g、Mn=3900、Mw=13000、粘度(23℃)950mPa・s(分散媒:水)、平均粒子径(D50)=150nm
注2):バイヒドロールA2601;住化バイエルウレタン(株)製、水酸基含有アクリルディスパージョン、不揮発分45%、OH基含有率3.9%、水酸基価129mgKOH/g(樹脂換算)、粘度(23℃)2200mPa・s(分散媒:水)
注3):ルミフロンFE4200:旭硝子(株)製、水酸基含有ふっ素樹脂エマルション、不揮発分50%、OH基含有率1.6%、水酸基価54mgKOH/g(樹脂換算)、粘度(23℃)500mPa・s(分散媒:水)、平均粒子径(D50)=100〜200nm
注4):プラスコートZ−730:互応化学工業(株)製、カルボキシル基含有水溶性ポリエステル樹脂、不揮発分25%、カルボキシル基含有率4.0%、酸価40〜60mgKOH/g(樹脂換算)、粘度(23℃)10mPa・s(分散媒:水)
注5):ボンコート40−418EF;DIC(株)、アクリル系エマルション、不揮発分55%、OH基含有率0%(固形分として)、粘度(23℃)1000mPa・s(分散媒:水)、平均粒子径(D50)=250nm
注6):ボンコート5400EF;DIC(株)、アクリル−スチレン系エマルション、不揮発分55%、OH基含有率0%(固形分として)、粘度(23℃)3000mPa・s(分散媒:水)、平均粒子径(D50)=200nm
<(A−2)成分>
注7):Kホワイト#94;テイカ(株)製、リン酸アルミニウム系防錆顔料
注7):Kホワイト#94;テイカ(株)製、リン酸アルミニウム系防錆顔料
<(A−3)成分>
注8):ソルカットC;日本化学工業(株)製、腐食性イオン固定化剤
注8):ソルカットC;日本化学工業(株)製、腐食性イオン固定化剤
<(A−4)成分>
注9):KBM403;信越シリコーン(株)製、シランカップリング剤
注9):KBM403;信越シリコーン(株)製、シランカップリング剤
<(B)硬化剤>
注10):タケネートWD−725;三井化学(株)製、水分散性ポリイソシアネート樹脂(親水基を有する水分散性ポリイソシアネート)、不揮発分100%、NCO含有率16%、Mw=2000、粘度(23℃)800mPa・s
注11):バーノックDNW−6000; DIC(株)製、水分散性ポリイソシアネート樹脂(親水基を有する水分散性ポリイソシアネート)、不揮発分100%、NCO含有率16%、Mw=6000、粘度(23℃)2300mPa・s
注12):デュラネートTUL−100; 旭化成ケミカルズ(株)製、溶剤系用ポリイソシアネート樹脂、不揮発分100%、NCO含有率23%、Mw=2000、粘度(23℃)300mPa・s
注10):タケネートWD−725;三井化学(株)製、水分散性ポリイソシアネート樹脂(親水基を有する水分散性ポリイソシアネート)、不揮発分100%、NCO含有率16%、Mw=2000、粘度(23℃)800mPa・s
注11):バーノックDNW−6000; DIC(株)製、水分散性ポリイソシアネート樹脂(親水基を有する水分散性ポリイソシアネート)、不揮発分100%、NCO含有率16%、Mw=6000、粘度(23℃)2300mPa・s
注12):デュラネートTUL−100; 旭化成ケミカルズ(株)製、溶剤系用ポリイソシアネート樹脂、不揮発分100%、NCO含有率23%、Mw=2000、粘度(23℃)300mPa・s
各評価方法は、以下に示す通りである。
<粘度>
B型粘度計〔東京計器(株)製〕を用いて測定した。測定条件を以下に示す。
・温度:23℃
・ローター:No.3
・回転数:12rpm
<粘度>
B型粘度計〔東京計器(株)製〕を用いて測定した。測定条件を以下に示す。
・温度:23℃
・ローター:No.3
・回転数:12rpm
<臭気>
塗装時の臭気を、塗装作業者が感じた溶剤臭の有無、不快感から定性評価した。
◎:臭気を感じず、塗装時の不快感がない。
○:臭気を感じるが、塗装時の不快感はない。
△:臭気があり、塗装時に少しばかり不快を感じる。
×:臭気が強く、塗装時に大きな不快を感じる。
塗装時の臭気を、塗装作業者が感じた溶剤臭の有無、不快感から定性評価した。
◎:臭気を感じず、塗装時の不快感がない。
○:臭気を感じるが、塗装時の不快感はない。
△:臭気があり、塗装時に少しばかり不快を感じる。
×:臭気が強く、塗装時に大きな不快を感じる。
<塗装作業性>
塗装時の塗装作業性を、以下の評価基準より定性評価した。
◎:素地調整剤組成物の伸びが非常に良く、塗装が容易にできる。
○:素地調整剤組成物の伸びが良く、問題なく塗装できる。
△:素地調整剤組成物の伸びがやや悪く、塗装時に時折刷毛がひっかかることがある。
×:素地調整剤組成物の伸びが非常に悪く、塗装時に刷毛がひっかかって塗装に困難を感じる。
塗装時の塗装作業性を、以下の評価基準より定性評価した。
◎:素地調整剤組成物の伸びが非常に良く、塗装が容易にできる。
○:素地調整剤組成物の伸びが良く、問題なく塗装できる。
△:素地調整剤組成物の伸びがやや悪く、塗装時に時折刷毛がひっかかることがある。
×:素地調整剤組成物の伸びが非常に悪く、塗装時に刷毛がひっかかって塗装に困難を感じる。
<さびへの浸透性>
素地調整剤組成物を塗装した塗板断面の元素(炭素と鉄)分布の状態を電子線マイクロアナライザー〔(株)島津製作所製EPMA−1720〕で測定し、さび層(層厚み:100μm)への浸透深さを測定して以下の評価基準で評価した。
◎:さびへの浸透性が非常に高く、塗装した素地調整剤組成物がさび層の表面から100μm程度浸透する。
○:さびへの浸透性が高く、塗装した素地調整剤組成物がさび層の表面から50μm程度浸透する。
△:さびに浸透するが、塗装した素地調整剤組成物がさび層の表面から20μm程度浸透する。
×:さびへの浸透性が悪く、素地調整剤組成物の大部分がさび層の表面で硬化する。
素地調整剤組成物を塗装した塗板断面の元素(炭素と鉄)分布の状態を電子線マイクロアナライザー〔(株)島津製作所製EPMA−1720〕で測定し、さび層(層厚み:100μm)への浸透深さを測定して以下の評価基準で評価した。
◎:さびへの浸透性が非常に高く、塗装した素地調整剤組成物がさび層の表面から100μm程度浸透する。
○:さびへの浸透性が高く、塗装した素地調整剤組成物がさび層の表面から50μm程度浸透する。
△:さびに浸透するが、塗装した素地調整剤組成物がさび層の表面から20μm程度浸透する。
×:さびへの浸透性が悪く、素地調整剤組成物の大部分がさび層の表面で硬化する。
<乾燥性>
乾燥性については、塗装後の硬化過程における半硬化乾燥の程度で判定した。
◎:半硬化乾燥12時間半以内
○:半硬化乾燥16時間以内
△:半硬化乾燥24時間以内
×:半硬化乾24時間超過
乾燥性については、塗装後の硬化過程における半硬化乾燥の程度で判定した。
◎:半硬化乾燥12時間半以内
○:半硬化乾燥16時間以内
△:半硬化乾燥24時間以内
×:半硬化乾24時間超過
<耐水性>
水系素地調整剤組成物を塗装し、24時間経過した塗板を没水し72時間後の塗膜の状態で判定した
◎:フクレなし
○:塗膜表面に5%以下のフクレあり
△:塗膜表面に5%超過10%以下のフクレあり
×:塗膜表面に10%超過のフクレあり
水系素地調整剤組成物を塗装し、24時間経過した塗板を没水し72時間後の塗膜の状態で判定した
◎:フクレなし
○:塗膜表面に5%以下のフクレあり
△:塗膜表面に5%超過10%以下のフクレあり
×:塗膜表面に10%超過のフクレあり
<防食性>
JIS K5674のサイクル腐食性に基づいて防食性を評価した。
◎:フクレ、錆発生なし
○:クロスカット部に幅2mm以内のフクレ、錆発生あり
クロスカット部以外にフクレ、錆発生数点あり
△:クロスカット部に幅2〜5mmのフクレ、錆発生あり
クロスカット部以外に10%以下のフクレ、錆発生あり
×:クロスカット部に幅5mmを超えるフクレ、錆発生あり
クロスカット部以外に10%を超えるフクレ、錆発生あり
JIS K5674のサイクル腐食性に基づいて防食性を評価した。
◎:フクレ、錆発生なし
○:クロスカット部に幅2mm以内のフクレ、錆発生あり
クロスカット部以外にフクレ、錆発生数点あり
△:クロスカット部に幅2〜5mmのフクレ、錆発生あり
クロスカット部以外に10%以下のフクレ、錆発生あり
×:クロスカット部に幅5mmを超えるフクレ、錆発生あり
クロスカット部以外に10%を超えるフクレ、錆発生あり
<さび顔料への浸透性>
調製した本発明の素地調整剤組成物のさびへの浸透性を確認するため、実施例18及び比較例9の素地調整剤組成物を用いて以下の評価を行った。
(試験方法)
OHPシート上に内径3.5cmのアルミニウム製のリングを置き、このリングの中に鉄さび顔料〔ケミライト工業(株)製〕5gを入れ、MP−35〔島津(株)製〕を用いて圧力:10t/cm2、時間:30秒の条件で押し固めてペレット状にした。このペレットの表面に、実施例18又は比較例9の素地調整剤組成物を、それぞれ0.7g塗布した。その後、室温で24時間乾燥させた後、リングを持ち上げることにより、ペレット内部への浸透性を評価した。結果を図1に示した。
それぞれ、塗布直後の状態、24時間乾燥後にリングを持ち上げた後のリングに付着した部分(浸透部分)、OHPシート上に残存した部分(非浸透部分)を示す。
調製した本発明の素地調整剤組成物のさびへの浸透性を確認するため、実施例18及び比較例9の素地調整剤組成物を用いて以下の評価を行った。
(試験方法)
OHPシート上に内径3.5cmのアルミニウム製のリングを置き、このリングの中に鉄さび顔料〔ケミライト工業(株)製〕5gを入れ、MP−35〔島津(株)製〕を用いて圧力:10t/cm2、時間:30秒の条件で押し固めてペレット状にした。このペレットの表面に、実施例18又は比較例9の素地調整剤組成物を、それぞれ0.7g塗布した。その後、室温で24時間乾燥させた後、リングを持ち上げることにより、ペレット内部への浸透性を評価した。結果を図1に示した。
それぞれ、塗布直後の状態、24時間乾燥後にリングを持ち上げた後のリングに付着した部分(浸透部分)、OHPシート上に残存した部分(非浸透部分)を示す。
(結果)
実施例18:
24時間乾燥後にリングを持ち上げると、リングには鉄さび顔料及び素地調整組成物が共に付着し、残ったOHPシートには、鉄さび顔料が少し付着している程度であった。すなわち、実施例18の素地調整組成物が、鉄さび顔料のペレット中に十分に浸透して、鉄さび顔料と共に固化していることが分かる。
比較例9:
24時間乾燥後にリングを持ち上げると、リングに付着していたのは殆どが比較例9の素地調整組成物であり、OHPシートには、鉄さび顔料の殆どが付着したままであった。すなわち、比較例9の素地調整組成物は、鉄さび顔料のペレット中には殆ど浸透できず、鉄さび顔料のペレット表層で固化してしまうことが分かる。
すなわち上記の結果より、実施例18の素地調整剤組成物は鉄さびペレットの内部まで浸透し、さびを固化可能だが、比較例9の素地調整剤組成物は鉄さびペレットの表層のみで固化し、さびを殆ど固化できないことが分かる。
実施例18:
24時間乾燥後にリングを持ち上げると、リングには鉄さび顔料及び素地調整組成物が共に付着し、残ったOHPシートには、鉄さび顔料が少し付着している程度であった。すなわち、実施例18の素地調整組成物が、鉄さび顔料のペレット中に十分に浸透して、鉄さび顔料と共に固化していることが分かる。
比較例9:
24時間乾燥後にリングを持ち上げると、リングに付着していたのは殆どが比較例9の素地調整組成物であり、OHPシートには、鉄さび顔料の殆どが付着したままであった。すなわち、比較例9の素地調整組成物は、鉄さび顔料のペレット中には殆ど浸透できず、鉄さび顔料のペレット表層で固化してしまうことが分かる。
すなわち上記の結果より、実施例18の素地調整剤組成物は鉄さびペレットの内部まで浸透し、さびを固化可能だが、比較例9の素地調整剤組成物は鉄さびペレットの表層のみで固化し、さびを殆ど固化できないことが分かる。
Claims (7)
- 表面に錆を有する鋼材に塗布して使用され、主剤(A)及び硬化剤(B)を含有する二液混合型の水系素地調整剤組成物であり、
前記主剤(A)は、(A−1)1分子内に水酸基及び/又はカルボキシル基を1以上有する水溶性樹脂又は水分散性樹脂と、(A−2)防錆顔料、(A−3)腐食性イオン固定化剤及び(A−4)シランカップリング剤からなる群から選ばれる1種以上とを含有し、尚且つ温度23℃における粘度が1〜5000mPa・sであり、また、
前記主剤(A)は前記(A−3)腐食性イオン固定化剤を必須として含み、当該(A−3)腐食性イオン固定化剤の含有量は主剤(A)中0.1〜20質量%であり、
前記硬化剤(B)は水分散性のポリイソシアネート樹脂を含み、
前記主剤(A)中の水酸基当量と、前記硬化剤(B)中のイソシアネート基当量との比(イソシアネート基当量/水酸基当量)が1.0〜1.7であることを特徴とする水系素地調整剤組成物。 - 前記(A−1)成分は、1分子内に水酸基を1以上有し、かつ、水酸基価が20〜200mgKOH/gである水溶性樹脂又は水分散性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の水系素地調整剤組成物。
- 前記硬化剤(B)における水分散性ポリイソシアネート樹脂は、重量平均分子量が800〜7,000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系素地調整剤組成物。
- 前記(A−3)腐食性イオン固定化剤は、ハイドロカルマイト及びハイドロタルサイトからなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水系素地調整剤組成物。
- 前記主剤(A)が前記(A−2)防錆顔料を含み、当該(A−2)防錆顔料が、リン酸アルミニウム、縮合リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛ストロンチウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム及びモリブデン酸マンガンと、ステアリン酸、タンニン酸、クエン酸、イタコン酸、硼酸又はタングステン酸の金属塩とからなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水系素地調整剤組成物。
- 表面に錆を有する鋼材に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水系素地調整剤組成物を塗装した後に、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、塩素化ポリオレフィン系塗料、シリコーン樹脂系塗料及びふっ素樹脂系塗料よりなる群から選択される少なくとも1種を含む塗料を塗装して、鋼材の表面に塗膜を形成することを特徴とする表面に錆を有する鋼材の塗装方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の水系素地調整剤組成物と、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、塩素化ポリオレフィン系塗料、シリコーン樹脂系塗料及びふっ素樹脂系塗料よりなる群から選択される少なくとも1種を含む塗料とが、表面に錆を有する鋼材に順に塗装されてなる塗装鋼材。
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