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JP6012377B2 - レジストパターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レジストパターン形成方法及びレジスト組成物に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。レジスト膜の露光部が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光部が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらのエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のEUV(極紫外線)や、EB(電子線)、X線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性やマスク再現性等のリソグラフィー特性、良好なレジストパターン形状が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
例えば上記現像液がアルカリ現像液(アルカリ現像プロセス)の場合、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と、酸発生剤成分とを含有するものが一般的に用いられている。かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用によりベース樹脂の極性が増大して、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。そのためアルカリ現像することにより、未露光部がパターンとして残るポジ型パターンが形成される。
一方で、このような化学増幅型レジスト組成物を、有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いた溶剤現像プロセスに適用した場合、ベース樹脂の極性が増大すると相対的に有機系現像液に対する溶解性が低下するため、レジスト膜の未露光部が有機系現像液により溶解、除去されて、露光部がパターンとして残るネガ型のレジストパターンが形成される。このようにネガ型のレジストパターンを形成する溶剤現像プロセスをネガ型現像プロセスということがある(例えば特許文献1参照)。
化学増幅型レジスト組成物において使用されるベース樹脂は、一般的に、リソグラフィー特性等の向上のために、複数の構成単位を有している。たとえば、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分の場合、酸発生剤等から発生した酸の作用により分解して極性が増大する酸分解性基を含む構成単位が用いられているが、その他、ラクトン含有環式基を含む構成単位、水酸基等の極性基を含む構成単位等が用いられている(例えば特許文献2参照)。
また、ベース樹脂として、−SO−構造を含む環式基を含有する構成単位を有するものが提案されている。かかるベース樹脂は、マスク再現性やラフネス低減等のリソグラフィー特性やレジストパターン形状の向上に寄与するとされている。
ところで、このラフネスは、レジストパターン表面の荒れを意味し、レジストパターンの形状不良の原因となる。たとえば線幅のラフネス(ラインワイズラフネス(LWR))は、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅の不均一さに代表される形状不良の原因となる。レジストパターン形状の不良は、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがあり、パターンが微細化するほどその改善が重要となる。
さらに、パターンの微細化が進むのに伴い、前記ラフネスの問題に加えて、現像時におけるパターン表面への異物の付着、パターン倒れ等の問題も顕在化してきている。この問題を解決するため、基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、選択的露光を行い、現像処理を施した後、リンス液でリンス処理を行うパターン形成方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開2009−025723号公報 特開2003−241385号公報 特開2007−219009号公報
しかしながら、本発明者らは、レジストパターンの形成において、現像処理の後、リンス液でリンス処理を行った場合、リンス処理の前後でレジストパターン形状が変化しやすい、という問題があることを新たに見出した。この問題は、特に微細な寸法のレジストパターンを形成する際に顕著に生じる。たとえばラインパターンの形成であれば、ラインが部分的に湾曲する現象(以下これを「パターンよれ」という)がラインパターンの一部に、又は全体に渡って発生し、レジストパターン形状が不良となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、現像処理の後にリンス処理を行うレジストパターンの形成において、良好な形状のレジストパターンを得ること、を課題とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物を用いて、支持体上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記レジスト膜を現像する工程と、前記レジスト膜を現像した後にリンス処理を行う工程と、を含むレジストパターン形成方法であって、前記レジスト組成物は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)を含有し、該基材成分(A)が、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)と、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)と、下記一般式(a2−r−1)で表される基を含む構成単位(a2)と、を有する高分子化合物(A1)を含み、前記のレジスト膜を現像した後に行うリンス処理を、非イオン性界面活性剤水溶液を用いて行うことを特徴とするレジストパターン形成方法である。
[式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Ra01はラクトン含有多環式基、−SO−含有多環式基又はシアノ基を有する多環式基である。式(a2−r−1)中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり;R”は水素原子又はアルキル基である。n’は0〜2の整数である。*は結合手を示す。]
本発明のレジストパターン形成方法によれば、良好な形状のレジストパターンを得ることができる。
本発明のレジスト組成物を用いることにより、現像処理の後にリンス処理を行うレジストパターンの形成において、良好な形状のレジストパターンを得ることができる。
レジストパターン形状の評価における評価基準を示す、上空から観察したラインパターンのSEM像である。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(−H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(−CH−)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rα0)は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。また、置換基(Rα0)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rα0)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「アクリルアミドから誘導される構成単位」とは、アクリルアミドのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
アクリルアミドは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、アクリルアミドのアミノ基の水素原子の一方または両方が置換基で置換されていてもよい。なお、アクリルアミドのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリルアミドのカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリルアミドのα位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたもの(置換基(Rα0))と同様のものが挙げられる。
「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物を用いて、支持体上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記レジスト膜を現像する工程と、前記レジスト膜を現像した後にリンス処理を行う工程と、を含む。
かかるレジストパターン形成方法においては、前記レジスト組成物が、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)を含有し、該基材成分(A)が、後述の構成単位(a0)と構成単位(a1)と構成単位(a2)とを有する高分子化合物(A1)を含むことを特徴とする。
該レジスト組成物としては、後述する本発明のレジスト組成物を使用できる。
本発明のレジストパターン形成方法は、たとえば以下の様にして行うことができる。
まず、支持体上に、後述する本発明のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用い、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介して、又はマスクパターンを介さない電子線の直接照射の描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次に、前記レジスト膜を現像処理する。現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う。
現像処理後、リンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いたリンス液で行うことが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液で行うことが好ましい。このなかでも、本発明のレジストパターン形成方法においては、界面活性剤を含有するリンス液、を用いてリンス処理を行う場合に、そのリンス処理前後におけるレジストパターンの形状変化の抑制効果がより得られやすい。
溶剤現像プロセスの場合、前記の現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、現像処理後またはリンス処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。後述する本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性が高く、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用として特に有用である。
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤の中から適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
ケトン系溶剤は、構造中にC−C(=O)−Cを含む有機溶剤である。エステル系溶剤は、構造中にC−C(=O)−O−Cを含む有機溶剤である。アルコール系溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤であり、「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。ニトリル系溶剤は、構造中にニトリル基を含む有機溶剤である。アミド系溶剤は構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系溶剤は構造中にC−O−Cを含む有機溶剤である。
有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。たとえば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中の、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤のいずれにも該当するものとする。
炭化水素系溶剤は、ハロゲン化されていてもよい炭化水素からなり、ハロゲン原子以外の置換基を有さない炭化水素溶剤である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
有機系現像液が含有する有機溶剤としては、上記の中でも、極性溶剤が好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等が好ましい。有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤(界面活性剤など)を配合できる。
各溶剤の具体例として、ケトン系溶剤としては、たとえば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)等が挙げられる。
ケトン系溶剤としてはメチルアミルケトン(2−ヘプタノン)が好ましい。
エステル系溶剤としては、たとえば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、酢酸ブチルが好ましい。
ニトリル系溶剤としては、たとえば、アセトニトリル、プロピオ二トリル、バレロニトリル、ブチロ二トリル等が挙げられる。
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、たとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該方法としては、たとえば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
(リンス液)
溶剤現像プロセスで現像処理後のリンス処理に用いる、有機溶剤を含有するリンス液における、有機溶剤としては、たとえば前記有機系現像液に用いる有機溶剤として挙げたもののうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用できる。通常、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤およびエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を使用する。これらのなかでも、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましく、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種類がより好ましく、アルコール系溶剤が特に好ましい。
リンス液に用いるアルコール系溶剤は、炭素数6〜8の1価アルコールが好ましく、該1価アルコールは直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。具体的には、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらのなかでも、1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−ヘキサノールが好ましく、1−ヘキサノールまたは2−ヘキサノールがより好ましい。
これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。ただし現像特性を考慮すると、溶剤現像プロセスにおいて、リンス液中の水の配合量は、リンス液の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
リンス液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が好適に挙げられる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができる。これらの中でも、ラフネス改善の点から、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルアミドエーテル等が挙げられ、なかでもポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いることが好ましい。
このポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおいて、オキシアルキレン鎖としては、オキシエチレン鎖(−(EO)−)またはオキシプロピレン鎖(−(PO)−)が好ましい。これらのオキシアルキレン鎖は、直鎖状構造を形成していてもよいし、分岐鎖状構造を形成していてもよい。また、これらの鎖状構造において、各オキシアルキレン鎖はどのように配列されていてもよく、一種のオキシアルキレン基からなるものでもよく、複数のオキシアルキレン基が混在していてもよい。複数のオキシアルキレン基が混在する場合、これらはランダム状に配列していてもよく、ブロック状に配列していてもよい。そのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、下記一般式で表される化合物を用いることができる。
非イオン性界面活性剤の一般式:R−O−(PO)−(EO)−H
は、炭素数8〜50の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。Rにおける炭素数は、好ましくは8〜30であり、より好ましくは8〜20である。
POはオキシプロピレン基を表し、EOはオキシエチレン基を表す。
xはオキシエチレン基の平均繰返し数を示し、0〜20の数であり、好ましくは5〜15の数である。
yはオキシプロピレン基の平均繰返し数を示し、0〜20の数であり、好ましくは0〜15の数である。ただし、x、yは同時に0にはならない。
界面活性剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
リンス液に界面活性剤を配合する場合、その配合量は、リンス液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
従来、たとえばラインパターンの形成であれば、現像処理の後、リンス処理を行った場合、最終的に形成されるラインパターンにおいて、ラインが部分的に湾曲する現象(パターンよれ)が発生しやすいという問題がある。このパターンよれの問題は、界面活性剤を含有するリンス液でリンス処理を行う場合に、より発生しやすい。特に、界面活性剤を純水に溶解したリンス液、より具体的には、リンス液として非イオン性界面活性剤水溶液を用いてリンス処理を行う場合に、発生しやすい問題である。
この問題に対し、本発明のレジストパターン形成方法を適用することにより、リンス処理前後におけるレジストパターンの形状変化の抑制効果が得られる。すなわち、本発明のレジストパターン形成方法によれば、現像処理の後にリンス処理を行う場合であっても、パターンよれ等が発生しにくくなり、良好な形状のレジストパターンを形成できる。
≪レジスト組成物≫
本発明のレジスト組成物は、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物を用いて、支持体上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記レジスト膜を現像する工程と、前記レジスト膜を現像した後にリンス処理を行う工程と、を含むレジストパターン形成方法に用いられるレジスト組成物である。
かかるレジストパターン形成方法については、前述した本発明のレジストパターン形成方法と同じである。
本発明のレジスト組成物は、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であり、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」ともいう。)を含有する。
かかるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部では酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該レジスト膜を現像すると、当該レジスト組成物がポジ型の場合は露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、当該レジスト組成物がネガ型の場合は未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
本明細書においては、露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、未露光部が溶解除去されるネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。
本発明のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
また、本発明のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
本発明のレジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生能を有するものであり、(A)成分が露光により酸を発生してもよく、(A)成分とは別に配合された添加剤成分が露光により酸を発生してもよい。
具体的には、本発明のレジスト組成物は、
(1)露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)を含有するものであってもよく;
(2)(A)成分が露光により酸を発生する成分であってもよく;
(3)(A)成分が露光により酸を発生する成分であり、かつ、さらに(B)成分を含有するものであってもよい。
すなわち、上記(2)及び(3)の場合、(A)成分は、「露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分」となる。このような(A)成分としては、露光により酸を発生する構成単位を有し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂を用いることができる。露光により酸を発生する構成単位としては、公知のものを用いることができる。
なかでも、本発明のレジスト組成物は、上記(1)の場合であるものが好ましい。
<(A)成分>
本発明において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、加えて、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、「樹脂」又は「高分子化合物」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
本発明のレジスト組成物に用いられる(A)成分は、一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)と、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)と、一般式(a2−r−1)で表される基を含む構成単位(a2)と、を有する高分子化合物(A1)(以下「(A1)成分」という。)を含むものである。
(A)成分としては、少なくとも(A1)成分が用いられ、該(A1)成分とともに他の高分子化合物及び/又は低分子化合物を併用してもよい。
[(A1)成分]
(A1)成分は、一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)と、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)と、一般式(a2−r−1)で表される基を含む構成単位(a2)と、を有する高分子化合物である。
(構成単位(a0))
構成単位(a0)は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位である。
[式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Ra01はラクトン含有多環式基、−SO−含有多環式基又はシアノ基を有する多環式基である。]
前記式(a0−1)中、Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
前記式(a0−1)中、Ra01は、ラクトン含有多環式基、−SO−含有多環式基又はシアノ基を有する多環式基である。
「ラクトン含有多環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する多環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合を単環式基、さらに他の環構造を有する基を、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a0)におけるラクトン含有多環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a0−r−1)〜(a0−r−6)でそれぞれ表される基が挙げられる。式中の*印は結合手を示す(以下同様)。
[式中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”は酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、m’は0または1である。]
前記式(a0−r−1)〜(a0−r−6)中、Ra’21におけるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(−O−)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
Ra’21における−COOR”、−OC(=O)R”において、R”はいずれも水素原子またはアルキル基である。
R”におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、炭素数は1〜15が好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
Ra’21におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
前記式(a0−r−1)、(a0−r−2)、(a0−r−4)中、A”における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
以下に一般式(a0−r−1)〜(a0−r−6)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
「−SO−含有多環式基」とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する多環式基を示し、具体的には、−SO−における硫黄原子(S)が環骨格の一部を形成する多環式基である。その環骨格中に−SO−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
−SO−含有多環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO−を含む多環式基、すなわち−O−SO−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する多環式基であることが好ましい。
−SO−含有多環式基として、より具体的には、下記一般式(a0−r−7)〜(a0−r−8)でそれぞれ表される基が挙げられる。
[式中、Ra’51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。]
前記一般式(a0−r−7)〜(a0−r−8)中、A”は、前記式(a0−r−1)、(a0−r−2)、(a0−r−4)中のA”と同様である。
Ra’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記式(a0−r−1)〜(a0−r−6)中のRa’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
以下に一般式(a0−r−7)〜(a0−r−8)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
「シアノ基を有する多環式基」とは、シアノ基(−CN)が1つ以上結合した多環式基を示す。
シアノ基を有する多環式基として、より具体的には、下記一般式(a0−r−9)〜(a0−r−11)でそれぞれ表される基が挙げられる。
[式中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、複数のRa’21のうち少なくとも1つはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”は酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。A’’’は単結合、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。]
前記式(a0−r−9)中、Ra’21及びA”は、前記式(a0−r−1)中のRa’21及びA”と同様である。R”については、前述したR”についての説明と同様である。
前記式(a0−r−10)〜(a0−r−11)中、Ra’21は、前記式(a0−r−1)中のRa’21と同様であり、R”については、前述したR”についての説明と同様である。A’’’における「酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基」は、前記式(a0−r−1)中のA”における「酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基」についての説明と同様である。
以下に、シアノ基を有する多環式基の具体例を挙げる。
上記の中でも、Ra01としては、レジスト膜とした際にリンス液の影響をより受けにくく、良好なパターン形状が得られやすいことから、−SO−含有多環式基、シアノ基を有する多環式基が好ましく、−SO−含有多環式基が特に好ましい。
具体的には、前記一般式(a0−r−7)で表される基、前記一般式(a0−r−9)〜(a0−r−11)でそれぞれ表される基が好ましく、前記一般式(a0−r−7)で表される基、前記一般式(a0−r−9)で表される基がより好ましく、前記一般式(a0−r−7)で表される基が特に好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a0)は1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、40モル%以下であることが好ましく、35モル%以下であることがより好ましく、5〜30モル%がさらに好ましく、10〜25モル%が特に好ましい。
構成単位(a0)の割合を下限値以上とすることにより、感度が高まる。加えて、ラフネス等のリソグラフィー特性がより向上する。上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができ、良好なレジストパターン形状が得られやすくなる。
(構成単位(a1))
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基がより好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(たとえばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
ここで「酸解離性基」とは、(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。
前記極性基のうちカルボキシ基または水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−1)で表される酸解離性基(以下「アセタール型酸解離性基」ということがある。)が挙げられる。
[式中、Ra’、Ra’は水素原子またはアルキル基であり、Ra’は炭化水素基であって、Ra’は、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成してもよい。]
式(a1−r−1)中、Ra’及びRa’のうち、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。
Ra’又はRa’がアルキル基である場合、該アルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。具体的には、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(a1−r−1)中、Ra’の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、環状の炭化水素基が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
Ra’が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族でも芳香族でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Ra’の環状の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、含まれる芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基);前記アリール基の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
Ra’が、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
上記極性基のうち、カルボキシ基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基が挙げられる。尚、下記式(a1−r−2)で表される酸解離性基のうち、アルキル基により構成されるものを、以下、便宜上「第3級アルキルエステル型酸解離性基」ということがある。
[式中、Ra’〜Ra’はそれぞれ炭化水素基であって、Ra’、Ra’は互いに結合して環を形成してもよい。]
Ra’〜Ra’の炭化水素基としては、前記Ra’と同様のものが挙げられる。
Ra’は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。Ra’とRa’とが互いに結合して環を形成する場合、下記一般式(a1−r2−1)で表される基が挙げられる。一方、Ra’〜Ra’が互いに結合せず、独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1−r2−2)で表される基が挙げられる。
[式中、Ra’10は炭素数1〜10のアルキル基、Ra’11はRa’10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基、Ra’12〜Ra’14は、それぞれ独立に炭化水素基を示す。]
式(a1−r2−1)中、Ra’10の炭素数1〜10のアルキル基は、式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基として挙げた基が好ましい。式(a1−r2−1)中、Ra’11がRa’10が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族環式基は、式(a1−r−1)におけるRa’の環状のアルキル基として挙げた基が好ましい。
式(a1−r2−2)中、Ra’12及びRa’14はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基は、式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基として挙げた基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
式(a1−r2−2)中、Ra’13は、式(a1−r−1)におけるRa’の炭化水素基として例示された直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であることが好ましい。これらの中でも、Ra’の環状のアルキル基として挙げた基であることがより好ましい。
前記式(a1−r2−1)で表される基の具体例を以下に挙げる。
前記式(a1−r2−2)で表される基の具体例を以下に挙げる。
前記極性基のうち水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−3)で表される酸解離性基(以下便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
[式中、Ra’〜Ra’はそれぞれアルキル基である。]
式(a1−r−3)中、Ra’〜Ra’は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素数は、3〜7であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3〜4であることが最も好ましい。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位;アクリルアミドから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位;ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位;ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a1)の好ましい具体例としては、下記一般式(a1−1)又は(a1−2)で表される構成単位が挙げられる。
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vaはエーテル結合を有していてもよい2価の炭化水素基であり、na1は0〜2であり、Raは上記式(a1−r−1)又は(a1−r−2)で表される酸解離性基である。Waはna2+1価の炭化水素基であり、na2は1〜3であり、Raは上記式(a1−r−1)又は(a1−r−3)で表される酸解離性基である。]
前記式(a1−1)中、Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
Vaの炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。Vaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
また、Vaとしては、上記2価の炭化水素基の炭素原子間にエーテル結合(−O−)を有していてもよい。Va中に存在するエーテル結合は1つでも2つ以上でもよい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
前記Vaにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記式(a1−2)中、Waにおけるna2+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられる。
前記na2+1価は、2〜4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
以下に前記式(a1−1)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
以下に前記式(a1−2)で表される構成単位の具体例を示す。
(A1)成分が有する構成単位(a1)は、1種でもよく2種以上でもよい。
上記の中でも、構成単位(a1)としては、感度が高まり、ラフネス低減などのリソグラフィー特性がより向上することから、前記酸分解性基として脂肪族単環式基含有基を含む構成単位(a1c)を用いることが好ましい。
該構成単位(a1c)のなかでも、前記一般式(a1−1)で表される構成単位であって、該式(a1−1)中のRa(酸解離性基)が脂肪族単環式基含有基である構成単位がより好ましい。
このなかでも、該Ra(酸解離性基)が前記一般式(a1−r−2)で表され、かつ、脂肪族単環式基含有基である構成単位がさらに好ましい。この場合のRaとしては、前記式(r−pr−s1)〜(r−pr−s18)でそれぞれ表される基、前記式(r−pr−cs1)〜(r−pr−cs3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
さらに、そのなかでも、該Ra(酸解離性基)が前記一般式(a1−r2−1)で表され、かつ、脂肪族単環式基含有基である構成単位が特に好ましい。この場合のRaとしては、前記式(r−pr−s1)〜(r−pr−s18)でそれぞれ表される基が挙げられる。
(A1)成分中の構成単位(a1)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、45モル%以下であることが好ましく、10〜40モル%がより好ましく、20〜40モル%がさらに好ましく、25〜35モル%が特に好ましい。
構成単位(a1)の割合を下限値以上とすることによって、容易にレジストパターンを得ることができ、高感度、高解像性、ラフネス低減等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより、パターンよれの発生がより抑制される等、良好な形状のレジストパターンが得られやすくなる。
(構成単位(a2))
構成単位(a2)は、下記一般式(a2−r−1)で表される基、すなわち、ラクトン含有単環式基を含む構成単位である。
構成単位(a2)のラクトン含有単環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高める上で有効なものである。
[式(a2−r−1)中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり;R”は水素原子又はアルキル基である。n’は0〜2の整数である。*は結合手を示す。]
前記式(a2−r−1)中、Ra’21は、前記式(a0−r−1)〜(a0−r−6)中のRa’21と同様である。R”については、前述したR”についての説明と同様である。n’は1又は2が好ましく、2がより好ましい。
以下に、一般式(a2−r−1)で表される基の具体例を挙げる。
構成単位(a2)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a2)の好ましい具体例としては、下記一般式(a2−1)で表される構成単位が挙げられる。
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Ya21は単結合または2価の連結基である。La21は−O−、−COO−、−CON(R’)−、−OCO−、−CONHCO−又は−CONHCS−であり、R’は水素原子またはメチル基を示す。ただしLa21が−O−の場合、Ya21は−CO−にはならない。Ra21は前記一般式(a2−r−1)で表される基である。]
前記式(a2−1)中、Rは前記と同じである。
Ya21の2価の連結基としては特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)
2価の連結基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
Ya21における該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
Ya21における該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
(ヘテロ原子を含む2価の連結基)
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
Ya21がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−C(=O)−NH−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基において、m”は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Ya21としては、単結合、又はエステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基若しくはこれらの組合せであることが好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a2)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、20モル%以上であることが好ましく、25〜70モル%がより好ましく、30〜60モル%がさらに好ましい。
構成単位(a2)の割合を下限値以上とすることによって、レジスト膜の基板への密着性がより高まる。また、上限値以下とすることにより、構成単位(a1)とのバランスが良好となり、感度がより高まる。加えて、ラフネス低減等のリソグラフィー特性がより向上する。
(その他の構成単位)
(A1)成分は、構成単位(a0)、構成単位(a1)及び構成単位(a2)に加えて、さらに、これら構成単位に該当しない他の構成単位を有してもよい。
該他の構成単位としては、上述の構成単位に分類されない構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能であり、例えば以下に示す構成単位(a3)、構成単位(a4)等が挙げられる。
構成単位(a3):
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(ただし、上述した構成単位(a0)、(a1)、(a2)に該当するものを除く)である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが特に好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a3)は、1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a3)を有する場合、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、20モル%以下であることが好ましく、0〜10モル%であることがより好ましい。構成単位(a3)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
構成単位(a4):
構成単位(a4)は、酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により当該レジスト組成物中に酸が発生した際(例えば後述する(B)成分から酸が発生した際)に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−7)でそれぞれ表される構成単位を例示することができる。
[式中、Rαは前記と同じである。]
(A1)成分が有する構成単位(a4)は、1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a4)を有する場合、構成単位(a4)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、40モル%以下であることが好ましく、5〜30モル%であることがより好ましく、10〜20モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(a4)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a4)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
(A1)成分は、構成単位(a0)と構成単位(a1)と構成単位(a2)とを有する高分子化合物であり、このなかでも、構成単位(a0)と構成単位(a1c)と構成単位(a2)とを有する高分子化合物が好ましい。
かかる(A1)成分のなかでも、前記一般式(a0−r−7)で表される基を含む構成単位(a0)と構成単位(a1c)と構成単位(a2)との繰返し構造からなる高分子化合物、前記一般式(a0−r−9)で表される基を含む構成単位(a0)と構成単位(a1c)と構成単位(a2)との繰返し構造からなる高分子化合物等が好適に挙げられる。
特に、現像処理の後にリンス処理を行うレジストパターンの形成において、良好な形状のレジストパターンが得られやすく、たとえばラインパターンの形成であれば、パターンよれの発生がより抑制されることから、かかる(A1)成分中の前記構成単位(a1c)の割合が、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して45モル%以下であり、より好ましくは10〜40モル%、さらに好ましくは20〜40モル%であり、特に好ましくは25〜35モル%であり、かつ、前記構成単位(a0)の割合が、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して10〜25モル%であることが好ましい。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜4.0がより好ましく、1.0〜3.0が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該(A1)成分の割合が25質量%以上であれば、現像処理の後にリンス処理を行うレジストパターンの形成において、良好な形状のレジストパターンが得られやすく、たとえばラインパターンの形成であれば、パターンよれの発生がより抑制される。
本態様のレジスト組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本態様のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
本態様のレジスト組成物は、基材成分として、前記(A1)成分に該当しない、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(以下「(A2)成分」という。)を併用してもよい。
(A2)成分としては、特に限定されず、化学増幅型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂)から任意に選択して用いればよい。(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他の成分>
本態様のレジスト組成物は、上記の(A)成分に加えて、さらに、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という)を含有するものでもよい。
[(B)成分]
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが挙げられる。なかでも、オニウム塩系酸発生剤を用いるのが好ましい。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば、下記の一般式(b−1)で表される化合物(以下「(b−1)成分」ともいう)、一般式(b−2)で表される化合物(以下「(b−2)成分」ともいう)又は一般式(b−3)で表される化合物(以下「(b−3)成分」ともいう)を用いることができる。
[式中、R101、R104〜R108はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。R102はフッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。Y101は単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。V101〜V103はそれぞれ独立に単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基である。L101〜L102はそれぞれ独立に単結合または酸素原子である。L103〜L105はそれぞれ独立に単結合、−CO−又は−SO−である。M’m+はm価のオニウムカチオンである。]
{アニオン部}。
・(b−1)成分のアニオン部
式(b−1)中、R101は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
(置換基を有していてもよい環式基)
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
101における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
101における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
101における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:たとえば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
101における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
なかでも、R101における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、R101における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、前記一般式(a0−r−1)〜(a0−r−6)、(a2−r−1)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(a0−r−7)〜(a0−r−8)でそれぞれ表される−SO−含有多環式基、下記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−2)でそれぞれ表される−SO−含有単環式基、その他以下に挙げる複素環式基が挙げられる。
[式中、Ra’51は前記一般式(a0−r−7)〜(a0−r−8)中のRa’51と同様である。n’は0〜2の整数である。]
101の環状の炭化水素基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(−CH−)を置換する基である。
(置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基)
101の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
(置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基)
101の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
101の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R101における環式基等が挙げられる。
なかでも、R101は、置換基を有していてもよい環式基が好ましく、置換基を有していてもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;前記一般式(a0−r−1)〜(a0−r−6)、(a2−r−1)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;上記一般式(a0−r−7)〜(a0−r−8)、(a5−r−1)〜(a5−r−2)でそれぞれ表される−SO−含有環式基などが好ましい。
式(b−1)中、Y101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。
101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。当該組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO−)が連結されていてもよい。当該組み合わせとしては、たとえば下記式(y−al−1)〜(y−al−7)でそれぞれ表される連結基が挙げられる。
[式中、V’101は単結合または炭素数1〜5のアルキレン基であり、V’102は炭素数1〜30の2価の飽和炭化水素基である。]
V’102における2価の飽和炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基でもよく分岐鎖状のアルキレン基でもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基として、具体的には、メチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
また、V’101又はV’102における前記アルキレン基における一部のメチレン基が、炭素数5〜10の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は、前記式(a1−r−1)中のRa’の環状の脂肪族炭化水素基から水素原子をさらに1つ除いた2価の基が好ましく、シクロへキシレン基、1,5−アダマンチレン基または2,6−アダマンチレン基がより好ましい。
101としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、上記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
式(b−1)中、V101は、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基である。V101におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基は、炭素数1〜4であることが好まい。V101におけるフッ素化アルキレン基としては、V101におけるアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、V101は、単結合、又は炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基であることが好ましい。
式(b−1)中、R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
(b−1)成分のアニオン部の具体例としては、たとえば、Y101が単結合となる場合、トリフルオロメタンスルホネートアニオンやパーフルオロブタンスルホネートアニオン等のフッ素化アルキルスルホネートアニオンが挙げられ;Y101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、下記式(an−1)〜(an−3)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
[式中、R”101は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記式(r−hr−1)〜(r−hr−6)でそれぞれ表される基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基であり;R”102は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記一般式(a0−r−1)〜(a0−r−6)、(a2−r−1)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、又は前記一般式(a0−r−7)〜(a0−r−8)、(a5−r−1)〜(a5−r−2)でそれぞれ表される−SO−含有環式基であり;R”103は、置換基を有していてもよい芳香族環式基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり;v”はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、q”はそれぞれ独立に1〜20の整数であり、t”は1〜3の整数であり、n”は0または1である。]
R”101、R”102およびR”103の置換基を有していてもよい脂肪族環式基は、前記R101における環状の脂肪族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における環状の脂肪族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”103における置換基を有していてもよい芳香族環式基は、前記R101における環状の炭化水素基における芳香族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における該芳香族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”101における置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基は、前記R101における鎖状のアルキル基として例示した基であることが好ましい。R”103における置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、前記R101における鎖状のアルケニル基として例示した基であることが好ましい。
・(b−2)成分のアニオン部
式(b−2)中、R104、R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。ただし、R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。
104、R105は、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基の炭素数は1〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜7、さらに好ましくは炭素数1〜3である。R104、R105の鎖状のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。また、R104、R105の鎖状のアルキル基においては、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また、200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。前記鎖状のアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
式(b−2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、式(b−1)中のV101と同様のものが挙げられる。
式(b−2)中、L101〜L102は、それぞれ独立に単結合又は酸素原子である。
・(b−3)成分のアニオン部
式(b−3)中、R106〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。
{カチオン部}
式(b−1)、(b−2)及び(b−3)中、M’m+は、m価のオニウムカチオンであり、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好適に挙げられ、下記の一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表される有機カチオンが特に好ましい。
[式中、R201〜R207、およびR211〜R212は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し、R201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R208〜R209はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R210は置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基、アルケニル基、又は−SO−含有環式基であり、L201は−C(=O)−または−C(=O)−O−を表し、Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表し、xは1または2であり、W201は(x+1)価の連結基を表す。]
201〜R207、およびR211〜R212におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記式(ca−r−1)〜(ca−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
[式中、R’201はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい環式基、鎖状のアルキル基、または鎖状のアルケニル基である。]
R’201の置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、後述の式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる他、置換基を有していてもよい環式基又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基として前述の式(a1−r−2)で表される酸解離性基と同様のものも挙げられる。
201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−または−N(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
208〜R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、相互に結合して環を形成してもよい。
210は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO−含有環式基である。
210におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
210におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
210における、置換基を有していてもよい−SO−含有環式基としては、前述の「−SO−含有環式基」と同様のものが挙げられ、このなかでも一般式(a0−r−7)で表される基が好ましい。
201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
201におけるアリーレン基は、後述の式(b−1)中のR101における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、前述の一般式(a1−1)中のVaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記式(ca−4)中、xは、1または2である。
201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
201における2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、前述の一般式(a2−1)におけるYa21と同様の炭化水素基が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
201における3価の連結基としては、前記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
式(ca−1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−67)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
[式中、R”201は水素原子又は置換基であって、置換基としては前記R201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
前記式(ca−2)で表される好適なカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
前記式(ca−3)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−3−1)〜(ca−3−6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
前記式(ca−4)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−4−1)〜(ca−4−2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
上記の中でも、カチオン部[(M’m+1/m]は、一般式(ca−1)で表されるカチオンが好ましく、式(ca−1−1)〜(ca−1−67)でそれぞれ表されるカチオンがより好ましい。
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本態様のレジスト組成物が(B)成分を含有する場合、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。(B)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
[(D)成分]
本態様のレジスト組成物は、(A)成分に加えて、又は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに、酸拡散制御剤成分(以下「(D)成分」という。)を含有してもよい。
(D)成分は、前記(B)成分等から露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
(D)成分は、露光により分解して酸拡散制御性を失う光崩壊性塩基(D1)(以下「(D1)成分」という。)であってもよく、該(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物(D2)(以下「(D2)成分」という。)であってもよい。
・(D1)成分について
(D1)成分を含有するレジスト組成物とすることで、レジストパターンを形成する際に、露光部と未露光部とのコントラストを向上させることができる。
(D1)成分としては、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されず、下記一般式(d1−1)で表される化合物(以下「(d1−1)成分」という。)、下記一般式(d1−2)で表される化合物(以下「(d1−2)成分」という。)及び下記一般式(d1−3)で表される化合物(以下「(d1−3)成分」という。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(d1−1)〜(d1−3)成分は、露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、未露光部においてクエンチャーとして作用する。
[式中、Rd〜Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。ただし、式(d1−2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。Ydは単結合または2価の連結基である。mは1以上の整数であって、Mm+はそれぞれ独立にm価の有機カチオンである。]
{(d1−1)成分}
・・アニオン部
式(d1−1)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
これらのなかでも、Rdとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては水酸基、フッ素原子又はフッ素化アルキル基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基もしくはナフチル基がより好ましい。
前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
前記鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記鎖状のアルキル基が置換基としてフッ素原子又はフッ素化アルキル基を有するフッ素化アルキル基である場合、フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜11が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。該フッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、たとえば酸素原子、炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
Rdとしては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換されたフッ素化アルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換されたフッ素化アルキル基(直鎖状のパーフルオロアルキル基)であることが好ましい。
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
・・カチオン部
式(d1−1)中、Mm+は、m価の有機カチオンである。
m+の有機カチオンとしては、前記一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが好適に挙げられ、前記式(ca−1−1)〜(ca−1−67)でそれぞれ表されるカチオンがより好ましい。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−2)成分}
・・アニオン部
式(d1−2)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
ただし、Rdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない(フッ素置換されていない)ものとする。これにより、(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分としてのクエンチング能が向上する。
Rdとしては、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい);カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
Rdの炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(d1−1)のRdにおける炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基)が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
以下に(d1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
・・カチオン部
式(d1−2)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−3)成分}
・・アニオン部
式(d1−3)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられ、フッ素原子を含む環式基、鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基であることが好ましい。中でも、フッ素化アルキル基が好ましく、前記Rdのフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
式(d1−3)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
中でも、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、環式基であることが好ましい。
Rdにおけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rdのアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
Rdにおけるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
Rdにおけるアルケニル基は、上記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられ、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基が好ましい。これらの基はさらに置換基として、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を有していてもよい。
Rdにおける環式基は、上記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられ、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。Rdが脂環式基である場合、レジスト組成物が有機溶剤に良好に溶解することにより、リソグラフィー特性が良好となる。また、Rdが芳香族基である場合、EUV等を露光光源とするリソグラフィーにおいて、該レジスト組成物が光吸収効率に優れ、感度やリソグラフィー特性が良好となる。
式(d1−3)中、Ydは、単結合または2価の連結基である。
Ydにおける2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。これらはそれぞれ、前記式(a2−1)におけるYa21の2価の連結基についての説明のなかで挙げた、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
Ydとしては、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、アルキレン基又はこれらの組み合わせであることが好ましい。アルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
以下に(d1−3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
・・カチオン部
式(d1−3)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分は、上記(d1−1)〜(d1−3)成分のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましい。
(D1)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られる。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
((D1)成分の製造方法)
前記の(d1−1)成分、(d1−2)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
また、(d1−3)成分の製造方法は、特に限定されず、例えば、US2012−0149916号公報に記載の方法と同様にして製造される。
・(D2)成分について
酸拡散制御剤成分としては、上記の(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物成分(以下「(D2)成分」という。)を含有していてもよい。
(D2)成分としては、酸拡散制御剤として作用するもので、かつ、(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミン、この中でも特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンもしくはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
また、(D2)成分としては、芳香族アミンを用いてもよい。
芳香族アミンとしては、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
(D2)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
[(E)成分]
本態様のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。
[(F)成分]
本態様のレジスト組成物は、レジスト膜に撥水性を付与するために、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を含有してもよい。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報、特開2010−032994号公報、特開2010−277043号公報、特開2011−13569号公報、特開2011−128226号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。前記重合体としては、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);該構成単位(f1)と前記構成単位(a1)との共重合体;該構成単位(f1)と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体、であることが好ましい。ここで、該構成単位(f1)と共重合される前記構成単位(a1)としては、1−エチル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位が好ましい。
[式中、Rは前記と同様であり、Rf102およびRf103はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、Rf102およびRf103は同じであっても異なっていてもよい。nfは1〜5の整数であり、Rf101はフッ素原子を含む有機基である。]
式(f1−1)中、α位の炭素原子に結合したRは前記と同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−1)中、Rf102およびRf103のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもRf102およびRf103としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、nfは1〜5の整数であって、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
式(f1−1)中、Rf101はフッ素原子を含む有機基であって、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、特に好ましい。
なかでも、Rf101としては、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基が特に好ましく、トリフルオロメチル基、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CH−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが最も好ましい。
(F)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部の割合で用いられる。
本態様のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
[(S)成分]
本態様のレジスト組成物は、レジスト材料を有機溶剤(以下「(S)成分」ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。さらに、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
本発明のレジスト組成物によれば、現像処理の後にリンス処理を行うレジストパターンの形成において、良好な形状(特にラフネスの低減した形状)のレジストパターンを得ることができる。かかる効果が得られる理由は定かではないが、本発明においては、基材成分(A)として特定の構成単位、すなわち、構成単位(a0)と構成単位(a1)と構成単位(a2)とを有する高分子化合物を用いることで、リンス処理の際にリンス液の影響を受けにくい(リンス耐性が向上した)レジスト膜が形成される、と推測される。これにより、リンス処理の際、特にレジストパターンの形状変化を生じやすい、界面活性剤を含有するリンス液が用いられた場合でも、本発明のレジスト組成物を用いることで、たとえばラインパターンの形成においては、パターンよれの発生が抑制されて良好な形状のレジストパターンが得られる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本実施例では、化学式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と表記し、他の化学式で表される化合物についても同様に記載する。
尚、NMRによる分析において、13C−NMRの内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。
<高分子化合物の製造例>
(製造例1)
温度計、還流管及び窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコ内で、20.00g(117.54mmol)の化合物(21)と、23.76g(130.36mmol)の化合物(11)と、6.22g(24.08mmol)の化合物(01)とを、64.21gのプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PM)とシクロヘキサノン(CH)との混合溶剤(PM:CH=1:1(質量比))に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を7.20g(31.28mmol)添加して溶解させることにより滴下液を調製した。
PM:CH=1:1(質量比)の混合溶剤34.83gを80℃に加熱し、そこに上記滴下液を 窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。
得られた反応重合液を、大量のヘプタン(Hep)と酢酸エチル(AcOEt)との混合溶剤(Hep:AcOEt=4:1(質量比))に滴下して重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体を濾別し、Hep:AcOEt=6:4(質量比)の混合溶剤にて洗浄し、乾燥して目的物である高分子化合物1を36.15g得た。
この高分子化合物1について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7200、分子量分散度(Mw/Mn)は1.73であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=45/45/10であった。
(製造例2〜30)
高分子化合物2〜高分子化合物30は、各高分子化合物を構成する構成単位を提供する下記化合物を、表1に示すモル比でそれぞれ用いた以外は、上記製造例1と同様にして製造した。
得られた高分子化合物1〜高分子化合物30について、質量平均分子量(Mw)及び分子量分散度(Mw/Mn)を表1に併記した。
<レジスト組成物の調製>
(実施例1〜20、比較例1〜9)
表2、3に示す各成分を混合して溶解することにより各例のレジスト組成物を調製した。
表2、3中、[ ]内の数値は配合量(質量部)であり、各略号は以下の意味を有する。
(A)−1〜(A)−29:上記の高分子化合物1〜高分子化合物29。
(B)−1:下記化学式(B)−1で表される化合物からなる酸発生剤。
(D)−1:下記化学式(D)−1で表される化合物からなる酸拡散制御剤。
(E)−1:サリチル酸。
(F)−1:下記化学式(F)−1で表される高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は23100、分子量分散度(Mw/Mn)は1.78。カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=77/23。
(S)−1:PGMEA/PGME/シクロヘキサノン=45/30/25(質量比)の混合溶剤。
<リンス液の調製>
後述の<レジストパターンの形成>におけるリンス処理の際に用いるリンス液を調製した。具体的には、以下に示す3種の非イオン性界面活性剤をそれぞれ純水に溶解させることで、非イオン性界面活性剤濃度0.05質量%の水溶液(リンス液1、リンス液2、リンス液3)を得た。
非イオン性界面活性剤の一般式:R−O−(PO)−(EO)−H
,PO,EO,x,yは前述の説明と同様である。
リンス液1に用いた非イオン性界面活性剤・・・R=ドデシル基,x=7,y=0
リンス液2に用いた非イオン性界面活性剤・・・R=トリデシル基,x=9,y=3
リンス液3に用いた非イオン性界面活性剤・・・R=ドデシル基,x=10,y=4
尚、3種の非イオン性界面活性剤は、特許第4323249号公報における比較例1、実施例2、実施例1に記載の各製造方法に準じて合成したものを用いた。
<レジストパターンの形成>
各例のレジスト組成物を用いて、以下に示すレジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した。
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚90nmの有機系反射防止膜を形成した。
次いで、該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、130℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
次いで、ArF液浸露光装置NSR−S609B(ニコン社製;NA(開口数)=1.07、Cross−pole(0.78/0.97)with POLANO)を用い、ライン幅49nm、ピッチ98nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下「LSパターン」という。)をターゲットとするマスク(6%ハーフトーン)を介して、トップコートが形成された該レジスト膜に対し、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、85℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)で10秒間のアルカリ現像処理を行った。
次いで、各種のリンス液(リンス液1、リンス液2、リンス液3)をそれぞれ用いて、リンス処理を10秒間行い、振り切り乾燥を行った。
この後、100℃で60秒間の条件でポストベークを行った。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、幅49nmのラインパターンが等間隔(ピッチ98nm)に配置されたLSパターンが形成された。
[レジストパターン形状の評価]
前記<レジストパターンの形成>によって形成されたLSパターンを、上空から、走査型電子顕微鏡(商品名:SU−8000、日立ハイテクノロジー社製)を用いて観察し、「パターンよれ」の発生状態について、図1に示す評価基準に基づいて評価した。その結果を表4に示した。
図1は、かかるレジストパターン形状の評価における評価基準を示す、上空から観察したラインパターンのSEM像である。。
図1において、評価○は、パターンよれの発生が認められない状態であり、評価△は、一部にパターンよれが発生している状態であり、評価×は、全体にパターンよれが発生している状態である。
[最適露光量(Eop)の評価]
前記のレジストパターンの形成方法によってターゲットサイズのLSパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm)を求めた。その結果を表4に示した。
[ラインワイズラフネス(LWR)の評価]
前記<レジストパターンの形成>によって形成されたLSパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧300V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により、ライン幅を、ラインの長手方向に400箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を求め、400箇所の3sについて平均化した値を、LWRを示す尺度として算出した。その結果を「LWR(nm)」として表4に示した。この3sの値が小さいほど、その線幅のラフネスが小さく、より均一な幅のLSパターンが得られたことを意味する。
表4の結果から、実施例1〜20のレジスト組成物を用いることにより、現像処理の後にリンス処理を行うレジストパターンの形成において、いずれのリンス液を用いる場合であっても、パターンよれの発生が抑制され、良好な形状のレジストパターンを形成できること、が分かる。
加えて、実施例1〜20においては、高感度で、ラフネスの低減されたレジストパターンを形成できること、も分かる。

Claims (3)

  1. 露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物を用いて、支持体上にレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜を露光する工程と、
    前記レジスト膜を現像する工程と、
    前記レジスト膜を現像した後にリンス処理を行う工程と、
    を含むレジストパターン形成方法であって、
    前記レジスト組成物は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)を含有し、該基材成分(A)が、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)と、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)と、下記一般式(a2−r−1)で表される基を含む構成単位(a2)と、を有する高分子化合物(A1)を含み、
    前記のレジスト膜を現像した後に行うリンス処理を、非イオン性界面活性剤水溶液を用いて行うことを特徴とするレジストパターン形成方法。
    [式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Ra01はラクトン含有多環式基、−SO−含有多環式基又はシアノ基を有する多環式基である。式(a2−r−1)中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり;R”は水素原子又はアルキル基である。n’は0〜2の整数である。*は結合手を示す。]
  2. 前記構成単位(a1)が、前記酸分解性基として脂肪族単環式基含有基を含む構成単位(a1c)である、請求項1記載のレジストパターン形成方法。
  3. 前記構成単位(a1c)の割合が、前記高分子化合物(A1)を構成する全構成単位の合計に対して45モル%以下であり、かつ、
    前記構成単位(a0)の割合が、前記高分子化合物(A1)を構成する全構成単位の合計に対して10〜25モル%である、請求項2記載のレジストパターン形成方法。
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