以下、図面を参照して、本発明に従う、シリンジ型噴出容器の一実施形態である、点鼻薬噴出容器を詳細に説明する。
図1中、符号1は、本発明の一実施形態である、例えば、点鼻薬噴出容器(以下、「噴出容器」)である。噴出容器1は、操作部(操作器具)1Aと、噴出部(カートリッジ)1Bを備える。
操作部1Aは、合成樹脂製またはガラス製のシリンジ10を有する。シリンジ10は、中空の胴部11の一端に環状の肩部12が一体に設けられている。また、シリンジ10には、肩部12を介して胴部11よりも径の小さい先端筒13が一体に設けられている。先端筒13の内側には、胴部11の内側に形成された空間に通じる内部通路が形成されている。また、シリンジ10には、先端筒13を取り囲む装着筒14が一体に設けられている。さらに、シリンジ10には、指掛け部15が一体に設けられている。
操作部1Aはまた、シリンジ10内に配置される合成樹脂製のロッド20を有する。ロッド20は、丸棒状のロッド本体21と、ロッド本体21よりも径の大きなロッドベース22とを有する。ロッド本体(ロッドの先端部)21とロッドベース22は、環状のフランジ23を介して一体に設けられている。ロッド本体21は、シリンジ10の先端部13に形成された内部通路を通して、先端部13から突出させる。
ロッドベース22の外周面には、複数の突起24が一体に設けられている。突起24は、ロッド20の長手方向に沿った軸線(以下、「軸線」)Oを挟んで対向する2箇所の位置に配置されることで1つの突起群Pを構成している。突起群Pは、軸線O方向に間隔を置いて複数配置される。本実施形態では、図2(a)に示すように、軸線O方向に間隔を置いて2箇所の位置に配置された第1突起群P1および第2突起群P2で構成されている。また突起24の後端(ロッド本体21側と反対側の端面)にはそれぞれ、傾斜面24aが形成されている。さらに、図2(b)に示すように、互いに隣り合う第1突起群P1および第2突起群P2の突起24は、軸線O方向にて、軸線O周りにオーバーラップしないように(軸線Oに沿った同一軸線上に整列しないように)配置されている。本実施形態では、第1突起群P1および第2突起群P2はそれぞれ、図2(b)に示すように、軸線O周りに90度ずらして配置されている。すなわち、突起24はそれぞれ、軸線O周りにオーバーラップしないように、軸線O周りに90度の間隔で配置されている。
加えて、ロッドベース22には、図2(a)に示すように、各突起24に繋がる凹所25が形成されている。凹所25は、ロッド20の後端面(ロッド本体21側と反対側の端面)20eに至るまで軸線Oに沿って伸びる。これにより、ロッドベース22には、突起24に対応する4つの凹所25が形成される。
また、操作部1Aは、図1に示すように、第1付勢部材30を有する。第1付勢部材30は、シリンジ10内に配置されている。第1付勢部材30は、シリンジ10の先端筒13からロッド突出方向(ロッド本体21を先端筒13から突出させる方向)にロッド20を付勢する。本実施形態では、第1付勢部材30は、ロッド20に設けたフランジ23を受圧面として、フランジ23に接触することによりロッド20を付勢する。第1付勢部材30は、例えば、金属製または合成樹脂製のリターンスプリングで構成する。
さらに、操作部1Aは、ロッド20の突出を規制する中空の規制部材40を有する。規制部材40は、図3(a)に示すように、大径部41と小径部42とを有し、例えば、合成樹脂によって一体に成形されている。
大径部41は、規制部材40の軸線(本実施形態では、軸線Oと同軸)を挟んで対向する2箇所の位置に、凸部41aが一体に設けられている。凸部41aはそれぞれ、図1に示すように、シリンジ10に形成した開口部16に引っ掛かって係止される。これにより、規制部材40は、シリンジ10内の、軸線O方向の所定位置に固定された状態に配置される。
小径部42には、フックアーム43が設けられている。フックアーム43は、フック43aを有する。フックアーム43は、図1に示すように、フック43aがロッド20の突起24に係止されることでロッド20の突出を規制する。フックアーム43は、ロッド20に設けた突起24に対応する位置に配置されている。本実施形態では、フックアーム43は、図3(a)に示すように、軸線O周りの4箇所の位置に等間隔(90度)で配置されている。
本実施形態では、図1に示すように、ロッド20のフランジ23と規制部材40の大径部41との間には、第1付勢部材30が配置されている。第1付勢部材30は、その軸線O方向(本実施形態では、軸線Oと同軸)に対して圧縮された状態で配置されている。これにより、ロッド20は常時、ロッド突出方向に付勢されている。すなわち、本実施形態では、フックアーム43は、第1付勢部材30の圧縮によって生じた付勢力(復元力)に伴う、ロッド20の突出を規制している。
さらに、フックアーム43は、図3(b)の正面に位置する前後のフックアーム43で示すように、小径部42に対して2つの連結部44を介して一体に設けられている。これにより、フックアーム43は、小径部42に対して2つの連結部44を基点に回動(揺動)させることができる。連結部44はそれぞれ、フックアーム43を連結部44周りに回転させたときに捻り変形を生じ、フックアーム43の回転を解除したときは捻り変形に伴う復元力を生じさせる。これにより、フックアーム43は、連結部44周りの一方に回転させたのち、その回転を生起させる力を解除すると、連結部44の復元力によって初期位置(図3(b)の斜線で示すフックアーム43の位置を参照のこと)に復帰する。
加えて、フックアーム43は、図3(b)の斜線で示すフックアーム43のように、そのフック43a側端部側と反対側の端部43b側が連結部44を基点に内向きに屈曲した形状をしている。これにより、フックアーム43は、その端部43bを受圧端部(以下、「受圧端部43b」)として、この受圧端部43bが、後述するように軸線O方向に押し込まれることにより、フックアーム43を連結部44を基点にフック43a側を押し開くことができる。本実施形態では、受圧端部43bは、フックアーム43の外面からフックアーム43の内面に向かって先細りする傾斜面で構成されている。
なお、本実施形態では、前述のとおり、突起24に対応する4つの凹所25がロッドベース22に形成されている。このため、フックアーム43を2つの連結部44を基点に回動(揺動)させたとき、フックアーム43の受圧端部43bは、ロッドベース22と干渉することがない。これにより、フックアーム43の正常な回動(揺動)が確保される。
加えて、操作部1Aは、図1に示すように、フックアーム43を押し開く中空の規制解除部材50を有する。規制解除部材50は、図4(a)に示すように、小径部51および大径部52を有し、例えば、合成樹脂によって一体に成形されている。本実施形態では、規制解除部材50は、図1に示すように、シリンジ10内への組み付け時に、ロッドベース22を貫通させることにより、軸線O周りに回転させることができる。
規制解除部材50の小径部51は、フックアーム43の受圧端部43bに接触する押圧端部51bを有する。押圧端部51bは、軸線Oを挟んで対向する2箇所の位置に配置されている。加えて、2つの押圧端部51bはそれぞれ、図1に示すように、2つのフックアーム43の受圧端部43bに対応するように設定されている。
本実施形態では、図4(b)に示すように、規制解除部材50の小径部51に、その軸線(本実施形態では、軸線Oと同軸)を挟んで対向する2箇所の位置に突出部51aを設け、この突出部51aの端部を押圧端部51bとして構成している。また、本実施形態では、押圧端部51bは、突出部51aの内面から突出部51aの外面に向かって先細りする傾斜面で構成されている。さらに、本実施形態では、図1に示すように、規制解除部材50の押圧端部51bを構成する傾斜面は、フックアーム43の受圧端部43bを構成する傾斜面と平行に構成されている。
規制解除部材50は、大径部52の外周面に軸線Oに沿って外向きに突出する複数の外向き張出部53を有する。外向き張出部53は、図4(a)に示すように、軸線O周りに間隔を置いて配置されている。本実施形態は、4つの外向き張出部53が軸線O周りに90度の間隔で配置されている。また、外向き張出部53は、図4(b)に示すように、押圧端部51bと反対側の端面53aが傾斜端面(以下、「傾斜端面53a」)として形成されている。傾斜端面53aは、押圧端部51bと反対側(後述の操作部材80側)に向かう従って、外向き張出部53の幅を区画する2つの張出側面のうちの、一方の張出側面53bに向かって先細りするように傾斜する。また、傾斜端面53aはそれぞれ、図1の図面右側に配置された拡大展開図に示すように、軸線O周りに互いに平行になるように同方向に傾斜している。
また規制解除部材50は、図4(b)に示すように、大径部52の内周面に軸線Oに沿って内向きに突出する複数の内向き張出部54を有する。内向き張出部54も、外向き張出部53と同様、軸線O周りに間隔を置いて配置されている。本実施形態は、4つの内向き張出部54がそれぞれ、4つの外向き張出部53それぞれと径方向(軸線Oと直交する方向)に整列するように、軸線O周りに90度の間隔で配置されている。また、図4(b)には、図面奥行き側の内周面に形成された内向き張出部54が破線で示されている。内向き張出部54は、図4(b)の破線に示すように、押圧端部51bと反対側の端面54aが傾斜端面(以下、「傾斜端面54a」)として形成されている。傾斜端面54aも、押圧端部51bと反対側(後述の操作部材80側)に、内向き張出部54の幅を区画する2つの張出側面のうちの、一方の張出側面54bに向かって先細りするように傾斜する。また、傾斜端面54aもそれぞれ、図1の図面左側に配置された展開図に示すように、軸線O周りに互いに平行になるように同方向に傾斜している。
また、操作部1Aは、図1に示すように、第2付勢部材60を有する。第2付勢部材60は、規制解除部材50を規制部材40から遠ざける方向(後述の操作部材80方向)に付勢する。本実施形態では、第2付勢部材60は、規制部材40と規制解除部材50との間に軸線Oに対して圧縮された状態で配置されている。これにより、第2付勢部材60は、規制解除部材50の大径部52を受圧面として、規制解除部材50を常時、ロッド突出方向と反対方向に付勢する。第2付勢部材60も、例えば、金属製または合成樹脂製のリターンスプリングで構成する。なお、本実施形態では、図4に示すように、規制解除部材50の小径部51には、第2付勢部材60を軸線Oに対してガタつくことなく、センターリングするための複数の縦リブ51cが設けられている。縦リブ51cは、外向き張出部53とともに内向き張出部54と径方向に整列する位置に配置されている。
さらに、操作部1Aは、図1に示すように、中空のスリーブ部材70を有する。スリーブ部材70は、その軸線(本実施形態では、軸線Oと同軸)を挟んで対向する2箇所の位置に、凸部71が一体に設けられている。凸部71はそれぞれ、図1に示すように、シリンジ10に形成した開口部17に係止される。これにより、スリーブ部材70は、規制部材40と同様、シリンジ10内の、軸線O方向の所定位置に固定された状態に配置される。
また、スリーブ部材70は、図5に示すように、内径の小さな厚肉部72と、内径の大きな薄肉部73で形成され、例えば、合成樹脂によって一体に成形されている。スリーブ部材70は、薄肉部73の内周面に軸線Oに沿って径方向内向きに突出する複数の内向き張出部74を有する。内向き張出部74は、厚肉部72よりも径方向内向きに突出している。内向き張出部74は、軸線O周りに間隔を置いて配置されている。本実施形態は、図5(a)に示すように、4つの内向き張出部74がそれぞれ、軸線O周りに90度の間隔で配置されている。
また、内向き張出部74は、図5(b)に示すように、薄肉部73側の端面74aが傾斜端面(以下、「傾斜端面74a」)として形成されている。傾斜端面74aは、薄肉部73側(規制部材40側)に向かう従って、内向き張出部74の幅を区画する2つの張出側面のうちの、一方の張出側面74bに向かって先細りするように傾斜する。また、傾斜端面74aはそれぞれ、図1の図面右側に配置された拡大展開図に示すように、軸線O周りに互いに平行になるように同方向に傾斜している。さらに、スリーブ部材70の傾斜端面74aは、規制解除部材50の傾斜端面53aに平行に形成されている。
スリーブ部材70の内向き張出部74は、軸線O周りの間隔が、図1の図面右側に配置された拡大展開図に示すように、規制解除部材50の外向き張出部53を挿入可能に設定されている。これにより、スリーブ部材70は、規制解除部材50を、スリーブ部材70の内向き張出部74の外形形状に沿って軸線O方向にスライド可能に貫通させるとともに軸線O周りに回転可能に取り囲む。本実施形態では、内向き張出部74の傾斜端面74aおよび張出側面は、図1の図面右側に配置された展開図に示すように、軸線O周りに連続するラック(ギア)状に形成されている。
加えて、操作部1Aは、規制解除部材50を第2付勢部材60の付勢力に抗して押し込む操作部材80を有する。操作部材80は、図6に示すように、ディスク状の押圧部81とともに外周壁82および内周壁83を有する。外周壁82および内周壁83は、押圧部81の軸線(本実施形態では、軸線Oと同軸)に対して間隔を置いて同軸配置されている。操作部材80は、例えば、合成樹脂によって一体に成形されている。
操作部材80の外周壁82は、軸線Oを挟んで対向する2箇所の位置に、凸部82aが一体に設けられている。凸部82aはそれぞれ、図1に示すように、シリンジ10に形成したスリット18に挿入されている。これにより、操作部材80は、シリンジ10内に配置される。また、操作部材80は、シリンジ10に対して軸線O方向にスライドさせることができる。本実施形態では、スリット18は、図1に示すように、軸線O方向に伸びている。これにより、操作部材80は、シリンジ10に対して軸線O方向にスライドさせることができる。
また操作部材80には、図6(a)に示すように、軸線O周りに無終端状に配置された環状の波形面Fが形成されている。波形面Fは、複数の山形形状部84で形成されている。本実施形態では、4つの山形形状部84が軸線O周りに90度の間隔で配置されている。山形形状部84は、傾斜角度の大きな傾斜端面(以下、「急傾斜端面」)84aと、この傾斜端面84aよりも傾斜角度の小さな傾斜端面(以下、「緩傾斜端面」)84bで形成されている。
本実施形態では、図1に示すように、第2付勢部材60が規制部材40と規制解除部材50との間に圧縮状態で組み付けられている。また本実施形態では、操作部材80は、凸部82aがスリット18の端縁に接触することで、シリンジ10に対して抜け止めされている。このため、操作部材80の急傾斜端面84aは、操作部材80を押し込む前の初期状態にて、図1の図面左側に配置された拡大展開図に示すように、第2付勢部材60の付勢力feに抗して、規制解除部材50の内向き張出部54に形成された傾斜端面54aをロッド突出方向に押圧するように接触している。これにより、規制解除部材50の内向き張出部54には、操作部材80の急傾斜端面84aから、第2付勢部材60の圧縮力(付勢力)feに応じた分力fcが加えられている。すなわち、本実施形態では、第2付勢部材60に付勢された規制解除部材50と、シリンジ10に抜け止めされた操作部材80とにそれぞれ、互いに接触する傾斜端面54aと急傾斜端面84aとを設けることで回転力付与機構M1を形成し、規制解除部材50には、操作部材80を押し込む前の初期状態において既に、軸線O周りの付勢力(分力)fcが加えられている。
これに対し、規制解除部材50の外側には、図1の図面右側に配置された拡大展開図に示すように、4つの外向き張出部53が軸線O周りに間隔を置いて配置されているとともに、スリーブ部材70の内側には、4つの内向き張出部74が軸線O周りに間隔を置いて配置されている。規制解除部材50の張出側面53bと、スリーブ部材70の張出側面74bとは、操作部材80を押し込む前の初期状態において、前記展開図に示すように、互いに軸線O方向に沿ってスライド可能に接触している。これにより、操作部材80を押圧する前の初期状態において、規制解除部材50に加わる回転力(付勢力fc)は、外向き張出部53の張出側面53bがスリーブ部材70に設けた内向き張出部74の張出側面74bに接触することで生じる反力frによって相殺される。すなわち、本実施形態では、規制解除部材50とスリーブ部材70とにそれぞれ、互いにスライド可能に接触する外向き張出部53と内向き張出部74とを設けることで回転阻止機構M2を形成し、規制解除部材50をスリーブ部材70に対して軸線O方向にスライド可能に保持するとともに、規制解除部材50の軸線O周りの回転を阻止する。
また、規制解除部材50の外向き張出部53とスリーブ部材70の内向き張出部74との軸線O方向の長さは、操作部材80を最大まで押し込んだときに、規制解除部材50の外向き張出部53がスリーブ部材70に設けた内向き張出部74の隙間から外れるように設定されている。本実施形態では、操作部材80を最大まで押し込むときに、規制解除部材50に設けた外向き張出部53の張出側面53bが、スリーブ部材70に設けた内向き張出部74の張出側面74bに接触しなくなるように設定している。すなわち、本実施形態では、規制解除部材50の、張出側面53bの軸線方向長さと、スリーブ部材80の、張出側面74bの軸線方向長さを設定することで回転阻止解除機構M3を形成し、操作部材80を最大まで押し込めば、規制解除部材50は、操作部材80から軸線O周りの付勢力fcを受けつつスリーブ部材70に対して自由になる。このため、操作部材80を最大まで押し込めば、規制解除部材50が軸線O周りに微少な量だけ予備回転することで、規制解除部材50に設けた外向き張出部53の傾斜端面53aの少なくとも一部を、スリーブ部材70に設けた内向き張出部74の傾斜端面74aに対して、軸線O上にオーバーラップさせることができる。
さらに、本実施形態では、規制解除部材50に設けた外向き張出部53に傾斜端面53aが形成されているとともに、スリーブ部材70に設けた内向き張出部74に傾斜端面74aが形成されている。このため、規制解除部材50が予備回転したのち、操作部材80の押し込みを解除すると、規制解除部材50に設けた外向き張出部53の傾斜端面53aは、第2付勢部材60の復元力(付勢力)feによってスリーブ部材70に設けた波形面Fの傾斜端面74aを押圧する。このとき、規制解除部材50は、その外側に設けた外向き張出部53の傾斜端面53aがスリーブ部材70に設けた内向き張出部74の傾斜端面74aに沿ってスライドすることで、規制部材40から軸線Oに沿って遠ざかりつつ軸線O周りを回転する。このため、規制解除部材50の内側では、その内側に設けた内向き張出部54の傾斜端面54aが操作部材80に設けた波形面Fの緩傾斜端面84bを押し退けて回転しながら波形面Fを規制部材40から遠ざかる向きに付勢する。これにより、規制解除部材50は、軸線O周りを回転しながら操作部材80とともに、操作部材80を押し込む前の初期状態に復帰できる。すなわち、本実施形態では、第2付勢部材60に付勢された規制解除部材50に、傾斜端面53aが形成された外向き張出部53を設けるともに、この傾斜端面53aに接触する傾斜端面74aが形成された内向き張出部74をスリーブ部材70に設けることで回転機構M4を形成し傾斜端面54aと急傾斜端面84aの回転機構を形成することで、傾斜端面53aと傾斜端面74aの回転機構は、緩傾斜端面84bを乗り越えさせる為の回転力を発生させる。操作部材80の押し込みを解除したのちも、規制解除部材50に軸線O周りの回転を生じさせることにより、常に規制解除部材50の押圧端部51bが軸線O上でフックアーム43の受圧端部43bとオーバーラップするようにしている。
操作部1Aは、上述のように構成される。他方、噴出部1Bは、図1に示すように、内容物(本実施形態では、点鼻薬)Cが充填された充填部(カートリッジ)として機能するとともに、内容物Cを噴出させることができる。
噴出部1Bは、図1に示すように、合成樹脂製の外筒91を有する。外筒91は、小径部91aと大径部91bとを一体に有し、大径部91bの末端部(小径部91a側と反対側の端部)は、外筒91の後端部91cを構成する。後端部91cは、外筒91の軸線(本実施形態では、軸線Oと同軸)周りを周回する環状の突起部に形成されている。また外筒91は、小径部91aの先端部(大径部91b側と反対側の端部)に、噴出口1aが形成されている。噴出口1aは、例えば、図示せぬオーバーキャップによって密封することができる。
また、外筒91の大径部91bは、図1に示すように、その内側にシリンジ10の先端筒13を収容する収容部として構成される。外筒91の後端部91cは、(雄)ねじ部として機能する。後端部91cは、装着筒14の内側に形成された(雌)ねじ部14sに取り外し可能に螺合する。これにより、噴出部1Bは、図1に示すように、シリンジ10の装着筒14に螺合させることで、操作部1Aに対して取り外し可能に装着させることができる。なお、シリンジ10と外筒91との接続は、凹凸によるアンダーカット嵌合などの既存の手段を選択することもできる。
また噴出部1Bは、外筒91の内側に配置される合成樹脂製の内筒92を有する。内筒92の内側には、スピンエレメント93が配置されている。スピンエレメント93は、噴出口1aに向かう内容物Cの流れを旋回流にする。
加えて、噴出部1Bは、ピストン94を有する。ピストン94は、内筒92の内側に液密状態を維持しつつスライド可能に配置されている。ピストン94は、スピンエレメント93とともに内筒92内に内容物Cを充填する液室Sを形成する。これにより、噴出部1Bは、図示せぬオーバーキャップを装着させることにより、操作部1Aに対して着脱可能なカートリッジとして構成することができる。ピストン94には、ロッド20のロッド本体21が接触する。これにより、ピストン94は、ロッド20の突出動作にあわせてスピンエレメント93に向かってスライドする。
次に、本実施形態の使用方法を説明する。
図7(a)は、操作部材80を押し込む前の初期状態である。以下、図7(a)のようにD1方向と、それに直交する図7(a)に示すD2方向を基準に、図7〜図16を説明する。初期状態では、第2付勢部材60が圧縮状態で組み付けられているとともに、操作部材80がシリンジ10に対して抜け止めされる。このため、規制部材40と操作部材80との間に配置される規制解除部材50には、第2付勢部材60からの付勢力feが常時加わる。このとき、規制解除部材50の内側では、図7(b)の図面下側に示すように、規制解除部材50に設けた内向き張出部54に対して第2付勢部材60の付勢力feに応じた付勢力(分力)fcが軸線O周りに生じているが、規制解除部材50の外側では、図7(b)の図面上側に示すように、規制解除部材50に設けた外向き張出部53の張出側面53bがスリーブ部材70に設けた内向き張出部74の張出側面74bを押圧する。このため、規制解除部材50は、初期状態において軸線O周りに回転することがない。
使用者は始め、例えば、人差し指と中指をシリンジ10の指掛け部15に引っ掛けるとともに、親指を操作部材80の押圧部81をあてがうことで、噴出容器1を片手で保持する。次いで、図8(a)に示すように、操作部材80を力fpで押し込むと、操作部材80の凸部82aがシリンジ10に形成したスリット18に沿ってスライドすることで、操作部材80が規制部材40に向かって押し込まれる。このとき、規制解除部材50の内側では、図8(b)の図面下側に示すように、操作部材80に設けた波形面Fの急傾斜端面84aが規制解除部材50に設けた内向き張出部54の傾斜端面54aを押し込む一方、規制解除部材50の外側では、図8(b)の図面上側に示すように、規制解除部材50に設けた外向き張出部53の張出側面53bがスリーブ部材70に設けた張出側面74bに接触しながら軸線Oに沿ってスライドする。このため、規制解除部材50は、軸線O周りに回転することなく、操作部材80とともに矢印dに示すロッド突出方向に押し込まれる。
操作部材80をさらに押し込むと、図9(a)に示すように、規制解除部材50の押圧端部51bが、第1突起群P1の突起24に対応する2つのフックアーム43の受圧端部43bをそれぞれ押し込むことで、フックアーム43が連結部44を基点にした回転を開始する。このとき、規制解除部材50の内側では、図9(b)の図面下側に示すように、操作部材80の急傾斜端面84aが依然として規制解除部材50に設けた内向き張出部54の傾斜端面54aを押し込む一方、規制解除部材50の外側でも、図9(b)の図面上側に示すように、規制解除部材50に設けた外向き張出部53の張出側面53bが依然としてスリーブ部材70の径方向突出側面74bに接触しながら軸線Oに沿ってスライドする。このため、フックアーム43の押し開きが開始された直後は依然として、規制解除部材50は、軸線O周りに回転することなく、操作部材80とともに矢印dに示すロッド突出方向に押し込まれる。
操作部材80をさらに押し込むと、フックアーム43が連結部44を基点に回転することでさらに押し開かれる。このため、フックアーム43に設けたフック43aとロッド20に設けた第1突起群P1の突起24との引っ掛かりが解除されることで、ロッド20は、一定の速度で短時間に、第1付勢部材30の付勢力(復元力)によってシリンジ10の先端筒13からさらに突出する。このため、ロッド20のロッド本体21に接触するピストン94も、一定の速度で短時間に、スピンエレメント93に向かってスライドしながら内容物Cを圧送する。すなわち、スピンエレメント93には、内容物Cが、あたかも蓄圧(圧縮)された状態から瞬時に開放されたような大きな力を受けた流れとして流入する。これにより、噴出口1aからは、安定した霧状の内容物Cを噴出させることができる。
その後、操作部材80を最大まで押し込むと、フックアーム43が図10(a)に示すように完全に押し開かれるとともに、規制解除部材50の内側では、規制解除部材50に設けた外向き張出部53の張出側面53bがスリーブ部材70に設けた内向き張出部74の張出側面74bから外れる。このとき、規制解除部材50には、付勢力(分力)fcが加えられているため、図10(b)の図面下側に示すように、規制解除部材50に設けた内向き張出部54の傾斜端面54aが操作部材80に設けた波形面Fの急傾斜端面84aに沿ってスライドすることで、規制解除部材50を、軸線O周りに微少な量ΔLだけ、時計回りまたは反時計回りに予備回転させることができる。これにより、図10(b)の図面上側に示すように、規制解除部材50に設けた外向き張出53の傾斜端面53aの少なくとも一部を、スリーブ部材70に設けた内向き張出部74の傾斜端面74aに対して軸線O上にオーバーラップさせることができる。
なお、本実施形態において、微少量ΔLは、図10(b)の図面下側に示すように、操作部材80に設けた波形面Fを形作る一方の山形形状部84の急傾斜端面84aと、これと隣り合う他方の山形形状部84の緩傾斜端面84bとの間に形成される底(谷)84rを利用することで設定する。すなわち、微少量ΔLは、図10(b)の図面下側に示すように、規制解除部材50に設けた内向き張出部54が操作部材80に設けた波形面Fの急傾斜端面84aに沿ってスライドしたのち、底84rに引っ掛かって停止するまでの移動量として設定されている。
一方、図11(a)は、図10(a)をD2方向から示したものである。このとき、ロッド20に設けた第2突起群P2の突起24に対応するフックアーム43は、図11(a)のように押し開かれていないが、第2突起群P2の突起24はそれぞれ、図示のように、これら突起24に対応する2つのフックアーム43のフック43aに引っ掛かることなく、シリンジ10の先端筒13に向かって移動することができる。
その後、図11(b)に示すように、第2突起群P2の突起24に対応する2つのフックアーム43のフック43aはそれぞれ、ロッド20とともに突出してきた第2突起群P2の突起24に引っ掛かることで、第2突起群P2の突起24をそれぞれ抜け止め保持する。すなわち、ロッド20の突出は、図11(b)に示すように、規制部材40の4つのフックアーム43のうち、ロッド20に設けた第2突起群P2の突起24に対応する2つのフックアーム43のフック43aが第2突起群P2の突起24に引っ掛かることで制限される。これにより、ロッド20の突出量(内容物Cの噴出量)は、第1突起群P1と第2突起群P2との間の軸線O方向の寸法(長さ)で規定することができる。
1回目の噴出が完了したのち、操作部材80の押し込みを解除すると、規制解除部材50は、第2付勢部材60の復元力(付勢力)feによって、操作部材80とともに、シリンジ10に対する初期位置(図7に示す位置と同様の位置)に自動的に復帰する。
ここで、図12(a)は、1回目の噴出が完了したのち、操作部材80の押し込みを解除した直後の図11(b)の噴出容器1をD1方向から示したものである。操作部材80の押し込みが解除されると、規制解除部材50は、第2付勢部材60からの付勢力feによって規制部材40から遠ざかる向きに付勢される。このとき、規制解除部材50の外側では、図12(b)の図面上側に示すように、規制解除部材50に設けた外向き張出部53の傾斜端面53aがスリーブ部材70に設けた内向き張出部74の傾斜端面74aを押圧しながら、この傾斜端面74aに沿ってスライドすることで、規制解除部材50は規制部材40から軸線Oに沿って遠ざかりつつ軸線O周りを、予備回転と同方向に時計回りまたは反時計回りに回転する。このため、規制解除部材50の内側では、図12(b)の図面下側に示すように、第2付勢部材60からの付勢力feに応じた分力fc’により、規制解除部材50に設けた内向き張出部54の傾斜端面54aが、操作部材80に設けた波形面Fの谷84rから緩傾斜端面84bを押し退けて回転しながら波形面Fを規制部材40から遠ざかる向きに付勢する。これにより、規制解除部材50は、図13(a)に示すように、軸線O周りを回転しながら操作部材80とともに、操作部材80を押し込む前の初期状態に復帰できる。
図13(a)の規制解除部材50は、図12(a)に示す状態から、軸線O周りに90度回転している。本実施形態では、スリーブ部材70に設けた内向き張出部74の張出側面74bは、フックアーム43と径方向に整列するように、軸線O周りに90度の間隔で配置されている。このため、規制解除部材50が回転しながら操作部材80とともに初期状態に復帰するとき、規制解除部材50の外側では、図13(b)の図面上側に示すように、規制解除部材50に設けた外向き張出部53の張出側面53bがスリーブ部材70に設けた内向き張出部74の張出側面74bに接触することで、規制解除部材50を軸線O周りに90度だけ回転させることができる。また、規制解除部材50の内側では、図13(b)の図面下側に示すように、規制解除部材50に設けた内向き張出部54の傾斜端面54aが、初期状態と同様、操作部材80に設けた波形面Fの次の山形形状部84の急傾斜端面84aの一部とオーバーラップする位置に位置決めされる。これにより、1回目の噴出後の復帰状態では、規制解除部材50の押圧端部51bは、図13(a)をD2方向から示す図14(a)のように、操作部材80が押し込み前の初期状態に復帰するまでの規制解除部材50の回転によって、規制解除部材50の押圧端部51bをそれぞれ、第2突起群P2の2つの突起24に対応する、フックアーム43の受圧端部43bに整列させることができる。
また、第1突起群P1の突起24に対応する2つのフックアーム43は、規制解除部材50が初期位置に復帰するのに伴い、連結部44の復元力によって、小径部42に対する初期位置(図3(b)の斜線で示すフックアーム43の位置)に自動的に復帰する。本実施形態では、フックアーム43は、フック43aが突起24の傾斜面24aに沿ってスライドすることで、緩やかに復帰できる。
残りの内容物Cを噴出させたいときは、図14(a)に示す状態から、操作部材80の押圧部81を再度押し込むと、1回目の噴出と同様、ロッド20に設けた第2突起群P2の突起24に対応する2つのフックアーム43が連結部44を基点に押し開かれることで、図14(b)に示すように、第2突起群P2の突起24とフックアーム43のフック43aとの引っ掛かりが解除される。このときも、ロッド20は、一定の速度で短時間に、付勢部材30の付勢力(復元力)によってシリンジ10の先端筒13からさらに突出する。すなわち、この場合も、スピンエレメント93には、内容物Cが、あたかも蓄圧(圧縮)された状態から瞬時に開放されたような大きな力を受けた流れとして流入する。これにより、噴出口1aからは2回目も、安定した霧状の内容物Cを噴出させることができる。
そして、操作部材80を最大まで押し込むと、図14(b)のその後をD1方向から示す図15(a)に示すように、1回目の噴出と同様、規制解除部材50に設けた外向き張出部53がスリーブ部材70に設けた内向き張出部74から外れたのち、図15(b)の図面下側に示すように、規制解除部材50に設けた内向き張出部54の傾斜端面54aが操作部材80に設けた波形面Fの急傾斜端面84aに沿って微少量ΔLだけ軸線O周りにスライドすることで、このスライド量(微少量ΔL)だけ、図15(b)の図面上側に示すように、規制解除部材50に設けた外向き張出部53を軸線O周りに微少量ΔLだけ予備回転させることができる。これにより、2回目の噴出が完了したのち、操作部材80の押し込みを解除すれば、1回目の噴出終了の押し込み解除と同様、図12(b)の図面上側に示すように、規制解除部材50の外側では、規制解除部材50に設けた外向き張出部53の傾斜端面53aがスリーブ部材70に設けた内向き張出部74の傾斜端面74aに沿って規制部材40から遠ざかる方向にスライドする一方、規制解除部材50の内側では、図12(b)の図面下側に示すように、規制解除部材50に設けた内向き張出部54の傾斜端面54aが操作部材80に設けた波形面Fの緩傾斜端面84bを押し退けて回転しながら規制部材40から遠ざかる方向に移動する。したがって、1回目の噴出終了の押し込み解除と同様、操作部材80が押し込み前の初期位置に復帰するまでの規制解除部材50の回転によって、規制解除部材50の押圧端部51bは、図15(a)のその後をD1方向から示す図16(a)に示すように、規制解除部材50の押圧端部51bをそれぞれ、再び第1突起群P1の2つの突起24に対応する、フックアーム43の受圧端部43bに整列させることができる。
本発明によれば、上記した噴出容器1のように、押し込みを繰り返すだけの簡単な操作で、既定量(本実施形態では、第1突起群P1と第2突起群P2との間の軸線O方法の寸法で既定された量)の内容物Cを安定した噴出状態で多段階(本実施形態では、2段階)に噴出させることができる。また、本発明によれば、上記した噴出容器1のように、操作器具1Aから噴出部1Bを、内容物Cが充填されたカートリッジとして分けて使用することができる。加えて、本発明によれば、上記した噴出容器1のように、噴出部1Bには、内容物Cの噴出を安定させる手段(機構)を必要としないので、コスト面で有効である。
上述したところは、本発明の実施形態を例示的に示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、上述の実記形態のように、突起24とフックアーム43をそれぞれ、軸線Oを挟んで対向する位置に配置するように構成すれば、ロッド20を安定して突出させることができるが、突起群Pを構成する突起24の個数は、少なくとも1つとすることができ、アームフック43の個数についても、少なくとも1つとすることができる。また、突起群Pの個数についても、2つ以上であればよい。また噴出部1Bは、操作部1Aに対して取り外せないように構成することも可能である。また、本発明によれば、噴出部1A内に、スピンエレメント93に替えて、メッシュリングを内蔵させることにより、内容物Cを泡状に噴出させることもできる。